(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1において、故障診断実行手段は、故障した制御バルブの特定に用いる複数のテストパターンの故障診断を順次実行するとともに、各テストパターンの故障診断後に、該テストパターンおよび前回までのテストパターンの診断結果に基づいて故障バルブ特定手段が故障した制御バルブを特定できた場合にはテストパターンの故障診断を終了する一方、故障した制御バルブを特定できない場合には故障診断を続行することを特徴とする油圧回路における制御バルブの故障診断システム。
請求項1において、故障バルブ特定手段は、故障した制御バルブの特定に用いる全てのテストパターンの故障診断が故障診断実行手段により実行された後に、該全てのテストパターンの診断結果に基づいて故障した制御バルブを特定することを特徴とする油圧回路における制御バルブの故障診断システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の故障診断システムが実施された油圧ショベル(本発明の作業機械の一例である)の油圧回路を示すが、該油圧回路において、1、2は可変容量型の第一、第二油圧ポンプ(本実施の形態では、斜板角度により容量が変化する斜板式ピストンポンプ)、3は油タンク、4〜9は第一、第二油圧ポンプ1、2から吐出される作動油により作動する油圧アクチュエータであって、本実施の形態では、主として第一油圧ポンプ1から圧油供給される油圧アクチュエータとしてバケットシリンダ4、ブームシリンダ5、左走行モータ6が設けられており、また、主として第二油圧ポンプ2から圧油供給される油圧アクチュエータとして右走行モータ7、旋回モータ8、スティックシリンダ9が設けられている。
【0009】
さらに、10、11、15は前記バケットシリンダ4、ブームシリンダ5、スティックシリンダ9に対する作動油の給排流量をそれぞれ制御するバケット用、ブーム用、スティック用のメータリングバルブであって、これらメータリングバルブ10、11、15は、それぞれ4つの独立した電子制御式バルブを用いて構成されている。バケット用メータリングバルブ10を例にとって説明すると、該バケット用メータリングバルブ10は、バケットシリンダ4のロッド側油室の出入口となるロッド側ポート4aへの供給流量を制御する第一メータインバルブ10Aと、ロッド側ポート4aからの排出流量を制御する第一メータアウトバルブ10Bと、バケットシリンダ4のヘッド側油室の出入口となるヘッド側ポート4bへの供給流量を制御する第二メータインバルブ10Cと、ヘッド側ポート4bからの排出流量を制御する第二メータアウトバルブ10Dとを用いて構成されていると共に、これら第一、第二メータインバルブ10A、10C、第一、第二メータアウトバルブ10B、10Dは、後述するコントローラ16からの制御信号で作動するように構成されている。尚、前記ロッド側ポート4a、ヘッド側ポート4bは、本発明の油圧アクチュエータに備えられる一対のポートのうちの一方のポート、他方のポートに相当すると共に、ブームシリンダ5、スティックシリンダ9も、バケットシリンダ4と同様に、作動油の出入口となる一対のポート5a、5b、9a、9bを備えている。また、ブーム用、スティック用のメータリングバルブ11、15についての説明は省略するが、これらブーム用、スティック用のメータリングバルブ11、15もバケット用メータリングバルブ10と同様に、コントローラ16からの制御信号に基づいて作動する電子制御式の第一、第二メータインバルブ11A、11C、15A、15C、第一、第二メータアウトバルブ11B、11D、15B、15Dを用いて構成されている。
さらに、12、13は左右の走行モータ6、7に対する作動油の給排流量をそれぞれ制御する左走行用、右走行用のメータリングバルブであって、これらメータリングバルブ12、13は、走行用操作具の操作に基づいてパイロットバルブ(図示せず)から出力されるパイロット圧により作動するパイロット作動式バルブを用いて構成されている。また、14は旋回モータ8に対する作動油の給排流量を制御する旋回用メータリングバルブであって、該旋回用メータリングバルブ14は、メータインとメータアウトとで独立制御は行わないが、コントローラ16からの制御指令で作動する電子制御式バルブを用いて構成されている。
【0010】
さらに、17、18は第一、第二油圧ポンプ1、2の吐出側に接続される第一、第二吐出ラインであって、第一吐出ライン17の圧油は、前記左走行用メータリングバルブ12に供給されると共に、後述する第一位置Xの走行直進弁27を経由してバケット用メータリングバルブ10、ブーム用メータリングバルブ11に供給されるように構成されている。一方、第二吐出ライン18の圧油は、旋回用メータリングバルブ14、スティック用メータリングバルブ15に供給されると共に、第一位置Xの走行直進弁27を経由して右走行用メータリングバルブ13に供給されるように構成されている。
【0011】
さらに、19、20は第一、第二吐出ライン17、18からそれぞれ分岐形成されて油タンク3に至る第一、第二リリーフ油路であって、該第一、第二リリーフ油路19、20には、第一、第二吐出ライン17、18の回路最高圧を設定するための第一、第二メインリリーフバルブ21、22がそれぞれ配設されている。
【0012】
さらに、23、24は前記第一、第二リリーフ油路19、20の下流側において第一、第二吐出ライン17、18からそれぞれ分岐形成されて油タンク3に至る第一、第二バイパス油路であって、該第一、第二バイパス油路23、24には、コントローラ16からの制御信号に基づいて第一、第二バイパス油路23、24の流量制御を行う第一、第二バイパスバルブ25、26がそれぞれ配設されている。
【0013】
さらに、前記走行直進弁27は、コントローラ16からの制御信号に基づいて第一位置Xと第二位置Yとに切換る2位置切換弁であって、該走行直進弁27が第一位置Xに位置している状態では、第一吐出ライン17の圧油が左走行用メータリングバルブ12に供給され、第二吐出ライン18の圧油が右走行用メータリングバルブ13に供給されるが、第二位置Yに位置している状態では、第一吐出ライン17の圧油が左右両方の走行用メータリングバルブ12、13に供給されるようになっている。尚、走行直進弁27が第二位置Yに位置している状態では、バケット用、ブーム用、旋回用、スティック用メータリングバルブ10、11、14、15には第二吐出ライン18の圧油が供給されるようになっている。
【0014】
さらに、28は第一吐出ライン17と第二吐出ライン18とを連通する合流油路であって、該合流油路28には、コントローラ16からの制御信号に基づいて切換る合流バルブ29が配設されている。該合流バルブ29はチェック弁29aを具備した3位置切換弁であって、第一位置Xに位置している状態では、チェック弁29aによって第一吐出ライン17から第二吐出ライン18への油の流れは許容するが逆方向の流れは阻止し、第二位置Yに位置している状態では、第一、第二吐出ライン17、18同士の油の流れを遮断し、第三位置Zに位置している状態では、第一、第二吐出ライン17、18同士を連通して互いに合流させることができるように構成されている。
【0015】
さらに、30、31は第一、第二吐出ライン17、18の吐出油を循環させて油タンク3に戻すための第一、第二循環油路であって、該第一、第二循環油路30、31には、コントローラ16からの制御信号に基づいて第一、第二循環油路30、31を開閉する第一、第二暖機バルブ32、33がそれぞれ配設されている。
尚、本実施の形態において、前記第一、第二メインリリーフバルブ21、22、第一、第二バイパスバルブ25、26、走行直進弁27、合流バルブ29、第一、第二暖機バルブ32、33は本発明の制御バルブに相当する。そして、これらの制御バルブと前述したメータリングバルブ10〜15とは、コントロールバルブユニットとして一つに纏められた状態で配設されている。
【0016】
一方、前記コントローラ16は、マイクロコンピュータ等を用いて構成されるものであって、
図2のブロック図に示す如く、油圧アクチュエータ用操作具(バケット用、ブーム用、左走行用、右走行用、旋回用、スティック用の各操作具であって、図示しないが、操作レバーや操作ペダル)の操作方向および操作量をそれぞれ検出する操作検出手段34〜39、第一、第二油圧ポンプ1、2の斜板角度をそれぞれ検出する第一、第二斜板角度センサ40a、40b、第一、第二吐出ライン17、18の圧力をそれぞれ検出する第一、第二圧力センサ41、42、後述するモニタ装置43等からの信号を入力し、これら入力信号に基づいて、前記第一、第二油圧ポンプ1、2、バケット用、ブーム用、旋回用、スティック用のメータリングバルブ10、11、14、15、第一、第二バイパスバルブ25、26、走行直進弁27、合流バルブ29、第一、第二暖機バルブ32、33、モニタ装置43等に制御信号を出力するように構成されていると共に、故障診断制御手段44、メモリ46等を備えて構成されている。そして、該コントローラ16は、油圧アクチュエータ用操作具の操作に基づいて油圧アクチュエータ4〜9を作動せしめる通常制御や、モニタ装置43の操作に基づいて暖機運転を行う暖機運転制御や、故障診断制御手段44による故障診断をモニタ装置43の操作に基づいて行う故障診断制御等の各種制御を実行する。尚、前記モニタ装置43は、油圧ショベルの運転室に配されており、図示しないが、ディスプレイと操作キーとを備えていると共に、コントローラ16と入出力可能に接続されている。
【0017】
まず、コントローラ16の行う通常制御について説明すると、コントローラ16は、バケット用、ブーム用、旋回用、スティック用の操作検出手段34、35、38、39から油圧アクチュエータ用操作具の操作信号が入力された場合に、該操作された油圧アクチュエータ用のメータリングバルブ10、11、14、15に制御信号を出力して、対応する油圧アクチュエータ(バケットシリンダ4、ブームシリンダ5、旋回モータ8、スティックシリンダ9)に対する給排流量を制御する。たとえば、バケット用操作具の操作検出手段34からバケットアウト(バケットシリンダ4縮小)の操作信号が入力された場合には、バケット用メータリングバルブ10の第一メータインバルブ10Aおよび第二メータアウトバルブ10Dに制御信号を出力して、バケットシリンダ4のロッド側ポート4aへの供給流量およびヘッド側ポート4bからの排出流量を制御する。
【0018】
さらに、前記通常制御において、コントローラ16は、油圧アクチュエータ用操作具の操作信号が入力された場合に、操作された油圧アクチュエータ4〜9の油圧供給源となる第一、第二油圧ポンプ1、2の吐出圧を操作具の操作量に応じて調整するべく、第一、第二バイパスバルブ25、26に開度量調整の制御信号を出力して第一、第二バイパス油路23、24の流量制御を行う。尚、コントローラ16のメモリ46には、油圧アクチュエータ用操作具の操作量と第一、第二バイパスバルブ25、26の開度量との関係を示したマップが収納されており、該マップを用いて第一、第二バイパスバルブ25、26の開度量制御が行われるように構成されている。また、油圧アクチュエータ用操作具が操作されていない状態では、第一、第二バイパスバルブ25、26は最大の開度量で第一、第二バイパス油路23、24を開くように制御され、これにより第一、第二油圧ポンプ1、2は低圧状態になるように構成されている。
【0019】
さらに、通常制御において、コントローラ16は、直進走行を行うべく左右両方の走行用操作具が操作され、さらにバケット用、ブーム用、旋回用、スティック用の何れかの操作具が操作された場合に、制御信号を出力して走行直進弁27を第二位置Yに切換える。この状態では、第一油圧ポンプ1の吐出油が左走行モータ6および右走行モータ7に供給される一方、第二油圧ポンプ2の吐出油が上記操作具操作されたバケットシリンダ4、ブームシリンダ5、旋回モータ8、スティックシリンダ9に供給されるようになっており、これにより、第一油圧ポンプ1の吐出流量を左右の走行モータ6、7のみで分配して両走行モータ6、7への供給流量を同等にすることができるようになっている。尚、左右の走行操作具のみが操作されている場合、あるいはバケット用、ブーム用、旋回用、スティック用の操作具のみが操作されている場合には、走行直進弁27は第一位置Xに位置するように制御される。
【0020】
さらに、通常制御において、コントローラ16は、流量を要する油圧アクチュエータ(たとえば、ブームシリンダ5、スティックシリンダ9)の操作信号が入力された場合に、第一油圧ポンプ1からの作動油と第二油圧ポンプ2からの作動油とを合流させて上記油圧アクチュエータに供給するべく、合流バルブ29に対して制御信号を出力する。この場合に、コントローラ16は、油圧アクチュエータ用操作具の操作量に応じて要求流量を求め、該要求流量が油圧アクチュエータに供給されるように作動油の合計流量を制御する。
尚、前記通常制御が実行されている場合、モニタ装置43は、エンジン冷却水温度、作動油温度、燃料残量等の各種機体情報をディスプレイに表示するように構成されている。
【0021】
次いで、コントローラ16の行う暖機制御について説明すると、コントローラ16は、暖機を必要とする条件(作動油の温度、外気温等)が成立した場合に、モニタ装置43のディスプレイに「暖機の実行」の要否を確認する画面を表示する。そして、この画面の表示に基づいてオペレータが「暖機を実行する」指示を入力した場合に、コントローラ16は、第一、第二暖機バルブ32、33に対して第一、第二循環油路30、31を開く開位置に位置するように制御信号を出力する。そして、該第一、第二暖機バルブ32、33が開くことにより、第一、第二油圧ポンプ1、2の作動油が自動的に循環して作動油およびコントロールバルブユニットを暖めるように構成されている。尚、暖機制御が実行されていない場合には、第一、第二暖機バルブ32、33は第一、第二循環油路30、31を閉じる閉位置に位置するように制御される。
【0022】
次いで、コントローラ16の行う故障診断制御について説明すると、該故障診断制御を行う故障診断制御手段44は、故障診断実行手段47および故障バルブ特定手段48を備えているとともに、モニタ装置43の操作に基づいて故障診断を行うように構成されているが、本実施の形態において、モニタ装置43は、操作キーの操作に基づいて、暗証番号の入力等によりサービスマン等の特定者だけに操作が許容されるサービスモードを設定できるようになっており、該サービスモード内において故障診断制御の操作を行うことができるようになっている。
【0023】
ここで、前記コントローラ16のメモリ46には、故障診断用の複数のテストパターンを設定したデータが収納されている。該テストパターンは、前記制御バルブ(第一、第二メインリリーフバルブ21、22、第一、第二バイパスバルブ25、26、走行直進弁27、合流バルブ29)のうち2つ以上の制御バルブを診断対象として種々組み合わせたものであって、本実施の形態では、
図3の表図に示す如く、第一バイパスバルブ25と第一メインリリーフバルブ21と第一暖機バルブ32とを診断対象とするテストパターン1、第二バイパスバルブ26と第二メインリリーフバルブ22と第二暖機バルブ33とを診断対象とするテストパターン2、第一バイパスバルブ25と第一メインリリーフバルブ21と第一暖機バルブ32と第二暖機バルブ33とを診断対象とするテストパターン3、第二バイパスバルブ26と第二メインリリーフバルブ22と第一暖機バルブ32と第二暖機バルブ33とを診断対象とするテストパターン4が設定されている。さらに、本実施の形態では、第一油圧ポンプ1を診断対象とするポンプテスト1、第二油圧ポンプ2を診断対象とするポンプテスト2も設定されている。
尚、本実施の形態では、前記テストパターン1〜4の何れかに含まれる第一バイパスバルブ25、第二バイパスバルブ26、第一メインリリーフバルブ21、第二メインリリーフバルブ22、第一暖機バルブ32、第二暖機バルブ33が故障診断の対象となる制御バルブ(故障診断対象バルブ)である。そして、これらテストパターン1〜4のデータは予め設定されていてコントローラ16のメモリ46に収納されているが、モニタ装置43を用いて任意の制御バルブを診断対象とする各種テストパターンを設定できる構成にすることもできる。また、第一、第二油圧ポンプ1、2を診断対象とするポンプテスト1、2は、本発明のテストパターンには含まれない。
【0024】
そして、制御バルブの故障診断を行う場合には、まず、モニタ装置43を操作して「制御バルブの自動故障診断の実行」を指示すると、その信号がコントローラ16に入力されて、故障診断実行手段47および故障バルブ特定手段48を備えた故障診断制御手段44による制御バルブの自動故障診断が行われる。この場合、後述するように、故障診断実行手段47は、前記各テストパターンを単位とする故障診断を、各テストパターンに応じて設定された診断用制御信号を制御バルブに出力して実行する。一方、故障バルブ特定手段48は、故障診断実行手段47により故障の有無が診断されたテストパターンに含まれる制御バルブ同士の照合をして、故障した制御バルブ(以下、故障した制御バルブを故障バルブと称する)の特定を行うように構成されている。
【0025】
前記故障診断実行手段47が各テストパターンの故障診断を行うにあたり、故障診断実行手段47は、各テストパターンに応じて設定された診断用制御信号を制御バルブに出力して制御バルブを診断用制御状態にすると共に、第一、第二油圧ポンプ1、2を駆動させ、その吐出圧を第一、第二圧力センサ41、42により検出し、該検出された吐出圧を予め設定された吐出圧標準値として比較して故障診断を行うように構成されている。
尚、テストパターン1〜4の故障診断を行う場合には、全てのメータリングバルブ10〜15は閉じるように制御され、また、図示しないが油圧ショベルの油圧回路に設けられている旋回用ブレーキ装置はブレーキ状態となるように制御される。
【0026】
次いで、前記故障診断実行手段47が行う各テストパターン1〜4の故障診断について具体的に説明する。まず、第一バイパスバルブ25と第一メインリリーフバルブ21と第一暖機バルブ32とを診断対象とするテストパターン1では、合流バルブ29は、第一吐出ライン17と第二吐出ライン18とを遮断する第二位置Yに位置するように制御する。走行直進弁27は、第一吐出ライン17の圧油が左走行用メータリングバルブ12および走行直進弁27を経由してバケット用、ブーム用メータリングバルブ10、11に供給されるとともに、第二吐出ライン18の圧油が旋回用、スティック用メータリングバルブ14,15および走行直進弁27を経由して右走行用メータリングバルブ13に供給される第一位置Xに位置するように制御する。第一バイパスバルブ25は、第一バイパス油路23を閉じるように制御し、第二バイパスバルブ26は、最大の開度量で第二バイパス油路24を開くように制御する。第一、第二暖機バルブ32、33は、第一、第二循環油路30、31を閉じる閉位置に位置するように制御する。このようにして各制御バルブをテストパターン1の診断用制御状態にした状態で、第一油圧ポンプ1を最低流量で駆動させる。この状態では、
図4に示す如く、第一油圧ポンプ1からの吐出油は、第一吐出ライン17から走行直進弁27を経由して第二位置Yの合流バルブ29に至ると共に、閉位置の第一暖機バルブ32に至るように流れるが、この状態で、第一圧力センサ41から入力される第一吐出ライン17の圧力を、予め設定される第一メインリリーフバルブ21の設定圧(本発明の吐出圧標準値に相当する)と比較する。そして、第一吐出ライン17の圧力が第一メインリリーフバルブ21の設定圧以上の場合にはテストパターン1に故障なし(テストパターン1が診断対象とする全ての制御バルブに故障なし)と判断し、第一吐出ライン17の圧力が第一メインリリーフバルブ21の設定圧未満の場合にはテストパターン1に故障あり(テストパターン1が診断対象とする少なくとも1つの制御バルブに故障あり)と判断する。
【0027】
また、第二バイパスバルブ26と第二メインリリーフバルブ22と第二暖機バルブ33とを診断対象とするテストパターン2では、合流バルブ29は、第一吐出ライン17から第二吐出ライン18への油の流れは許容するが逆方向の流れは阻止する第一位置Xに位置するように制御する。走行直進弁27は、第一吐出ライン17の圧油が左走行用メータリングバルブ12および走行直進弁27を経由してバケット用、ブーム用メータリングバルブ10、11に供給されるとともに、第二吐出ライン18の圧油が旋回用、スティック用メータリングバルブ14,15および走行直進弁27を経由して右走行用メータリングバルブ13に供給される第一位置Xに位置するように制御する。第一バイパスバルブ25は、最大の開度量で第一バイパス油路23を開くように制御し、第二バイパスバルブ26は、第二バイパス油路24を閉じるように制御する。第一、第二暖機バルブ32、33は、第一、第二循環油路30、31を閉じる閉位置に位置するように制御する。このようにして各制御バルブをテストパターン2の診断用制御状態にした状態で、第二油圧ポンプ2を最低流量で駆動させる。この状態では、
図5に示す如く、第二油圧ポンプ2からの吐出油は、第二吐出ライン18から第一位置Xの合流バルブ29に至ると共に、閉位置の第二暖機バルブ33に至るように流れるが、この状態で、第二圧力センサ42から入力される第二吐出ライン18の圧力を、予め設定される第二メインリリーフバルブ22の設定圧(本発明の吐出圧標準値に相当する)と比較する。そして、第二吐出ライン18の圧力が第二メインリリーフバルブ22の設定圧以上の場合にはテストパターン2に故障なし(テストパターン2が診断対象とする全ての制御バルブに故障なし)と判断し、第二吐出ライン18の圧力が第二メインリリーフバルブ22の設定圧未満の場合にはテストパターン2に故障あり(テストパターン2が診断対象とする少なくとも1つの制御バルブに故障あり)と判断する。
【0028】
また、第一バイパスバルブ25と第一メインリリーフバルブ21と第一暖機バルブ32と第二暖機バルブ33を診断対象とするテストパターン3では、合流バルブ29は、第一、第二吐出ライン17、18同士を連通して互いに合流させる第三位置Zに位置するように制御する。走行直進弁27は、第一吐出ライン17の圧油が左走行用メータリングバルブ12および走行直進弁27を経由してバケット用、ブーム用メータリングバルブ10、11に供給されるとともに、第二吐出ライン18の圧油が旋回用、スティック用メータリングバルブ14,15および走行直進弁27を経由して右走行用メータリングバルブ13に供給される第一位置Xに位置するように制御する。第一バイパスバルブ25は、第一バイパス油路23を閉じるように制御し、第二バイパスバルブ26は、最大の開度量で第二バイパス油路24を開くように制御する。第一、第二暖機バルブ32、33は、第一、第二循環油路30、31を閉じる閉位置に位置するように制御する。このようにして各制御バルブをテストパターン3の診断用制御状態にした状態で、第一油圧ポンプ1を最低流量で駆動させる。この状態では、
図6に示す如く、第一油圧ポンプ1からの吐出油は、第一吐出ライン17から走行直進弁27を経由して閉位置の第一暖機バルブ32に至ると共に、第三位置Zの合流バルブ29を経由して閉位置の第二暖機バルブ33に至るように流れるが、この状態で、第一圧力センサ41から入力される第一吐出ライン17の圧力を、予め設定される第一メインリリーフバルブ21の設定圧(本発明の吐出圧標準値に相当する)と比較する。そして、第一吐出ライン17の圧力が第一メインリリーフバルブ21の設定圧以上の場合にはテストパターン3に故障なし(テストパターン3が診断対象とする全ての制御バルブに故障なし)と判断し、第一吐出ライン17の圧力の圧力が第一メインリリーフバルブ21の設定圧未満の場合にはテストパターン3に故障あり(テストパターン3が診断対象とする少なくとも1つの制御バルブに故障あり)と判断する。
【0029】
また、第二バイパスバルブ26と第二メインリリーフバルブ22と第一暖機バルブ32と第二暖機バルブ33とを診断対象とするテストパターン4では、合流バルブ29は、第一、第二吐出ライン17、18同士を連通して互いに合流させる第三位置Zに位置するように制御する。走行直進弁27は、第一吐出ライン17の圧油が左走行用メータリングバルブ12および走行直進弁27を経由してバケット用、ブーム用メータリングバルブ10、11に供給されるとともに、第二吐出ライン18の圧油が旋回用、スティック用メータリングバルブ14,15および走行直進弁27を経由して右走行用メータリングバルブ13に供給される第一位置Xに位置するように制御する。第一バイパスバルブ25は、最大の開度量で第一バイパス油路23を開くように制御し、第二バイパスバルブ26は、第二バイパス油路24を閉じるように制御する。第一、第二暖機バルブ32、33は、第一、第二循環油路30、31を閉じる閉位置に位置するように制御する。このようにして各制御バルブをテストパターン4の診断用制御状態にした状態で、第二油圧ポンプ2を最低流量で駆動させる。この状態では、
図7に示す如く、第二油圧ポンプ2からの吐出油は、第二吐出ライン18から閉位置の第二暖機バルブ33に至ると共に、第三位置Zの合流バルブ29を経由して閉位置の第一暖機バルブ32に至るように流れるが、この状態で、第二圧力センサ42から入力される第二吐出ライン18の圧力を、予め設定される第二メインリリーフバルブ22の設定圧(本発明の吐出圧標準値に相当する)と比較する。そして、第二吐出ライン18の圧力が第二メインリリーフバルブ22の設定圧以上の場合にはテストパターン4に故障なし(テストパターン4が診断対象とする全ての制御バルブに故障なし)と判断し、第二吐出ライン18の圧力が第二メインリリーフバルブ22の設定圧未満の場合にはテストパターン4に故障あり(テストパターン4が診断対象とする少なくとも1つの制御バルブに故障あり)と判断する。
【0030】
一方、故障バルブ特定手段48は、本実施の形態では、前記テストパターン1〜4のうちテストパターン1、3、4の診断結果を用いて故障バルブの特定を行うように設定されているとともに、該テストパターン1、3、4の故障診断を故障診断実行手段47に実行させる制御手順や、該故障診断に基づいて故障バルブを特定する制御手順が予めプログラムされている。そして、該プログラムに従って、故障診断実行手段47に制御指令を出力してテストパターン1,3、4の故障診断を予め設定された順序で順次実行させるとともに、各テストパターンの診断結果に基づいて故障バルブの特定を行うように構成されている。
【0031】
ここで、前記故障バルブ特定手段48による故障バルブの特定は、故障の有無が診断されたテストパターンに含まれる制御バルブ同士の照合により行われるが、この場合、故障ありと診断されたテストパターンに含まれる制御バルブと故障なしと診断されたテストパターンに含まれる制御バルブのうち、故障ありに含まれて故障なしに含まれない制御バルブがあれば、該制御バルブが故障バルブであると特定される。また、故障ありと診断された複数のテストパターンに含まれる制御バルブのうち共通する制御バルブがあり、且つ、共通する制御バルブが単数(あるいは極少数)ならば、該共通する制御バルブが故障している可能性の高い制御バルブとして特定され、このように故障している可能性の高い制御バルブの特定も、故障バルブの特定に含まれる。さらに、故障バルブの特定は、故障しているバルブのみを特定する場合に限定されず、絞り込まれた複数の制御バルブのうちの少なくとも1つが故障している場合の特定も含まれる。
尚、故障の可能性が高いと特定された制御バルブ、あるいは少なくとも1つが故障しているとして絞り込まれた制御バルブについては、別途個別に故障診断を行うことになる。
【0032】
次いで、前記故障バルブ特定手段48の行う制御バルブの自動故障診断の制御手順について、
図8のフローチャート図に基づいて説明する。
まず、モニタ装置43の操作に基づいて自動故障診断がスタートすると、故障バルブ特定手段48は、故障診断実行手段47に対して、テストパターン3の故障診断を実行するように制御指令を出力する(ステップS1)。該制御指令を受けた故障診断実行手段47は、前述したテストパターン3の故障診断を実行し、その診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。
【0033】
前記テストパターン3の診断結果が入力されると、故障バルブ特定手段48は、該診断結果が故障ありか故障なしかを判断し(ステップS2)、故障なし(NO)の場合には、続けて、故障診断実行手段47に対して、テストパターン4の故障診断を実行するように制御指令を出力する(ステップS3)。該制御指令を受けた故障診断実行手段47は、前述したテストパターン4の故障診断を実行し、その診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。
【0034】
前記テストパターン4の診断結果が入力されると、故障バルブ特定手段48は、該診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS4)。そして、故障なし(NO)の場合には、故障バルブ(故障した制御バルブ)なしと特定し(ステップS5)、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS6)した後、自動故障診断を終了する。
【0035】
これに対し、前記ステップS4でテストパターン4の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブは第二バイパスバルブ26あるいは第二メインリリーフバルブ22であると特定する(ステップS7)。そして、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS8)した後、自動故障診断を終了する。
【0036】
一方、前記ステップS2でテストパターン3の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブ特定手段48は、続けて、故障診断実行手段47に対して、テストパターン1の故障診断を実行するように制御指令を出力する(ステップS9)。該制御指令を受けた故障診断実行手段47は、前述したテストパターン1の故障診断を実行し、その診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。
【0037】
前記テストパターン1の診断結果が入力されると、故障バルブ特定手段48は、該診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS10)。そして、故障なし(NO)と判断された場合には、故障バルブは第二暖機バルブ33であると特定し(ステップS11)、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS12)した後、自動故障診断を終了する。
【0038】
一方、前記ステップS10でテストパターン1の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブ特定手段48は、続けて、故障診断実行手段47に対して、テストパターン4の故障診断を実行するように制御指令を出力する(ステップS13)。該制御指令を受けた故障診断実行手段47は、前述したテストパターン4の故障診断を実行し、その診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。
【0039】
前記テストパターン4の診断結果が入力されると、故障バルブ特定手段48は、該診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS14)。そして、故障なし(NO)と判断された場合には、故障バルブは第一バイパスバルブ25あるいは第一メインリリーフバルブ21であると特定し(ステップS15)、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS16)した後、自動故障診断を終了する。
【0040】
また、前記ステップS14でテストパターン4の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブは第一暖機バルブ32であると特定する(ステップS17)。そして、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS18)した後、自動故障診断を終了する。
【0041】
而して、故障診断実行手段47によるテストパターンの故障診断が実行されるととともに、該テストパターンの診断結果に基づいて故障バルブ特定手段48による故障バルブの特定が行われることになるが、この場合に、故障診断実行手段47は、故障バルブの特定に用いるテストパターン(本実施の形態では、テストパターン1、3、4)の故障診断を、故障バルブ特定手段48からの制御指令に基づいて予め設定された順序で順次実行する一方、各テストパターンの故障診断後に、該テストパターンおよび前回までのテストパターンの故障診断に基づいて故障バルブ特定手段48が故障バルブを特定できた場合にはテストパターンの故障診断を終了する一方、故障バルブを特定できない場合にはテストパターンの故障診断を続行することになる。
つまり、前述した
図8に示すフローチャート図に基づいて説明すると、まず、ステップS1でテストパターン3の故障診断が実行されるが、該テストパターン3のみの診断結果では、テストパターンに含まれる制御バルブ同士の照合ができないため故障バルブを特定することはできず、テストパターンの故障診断は続行される。
前記ステップS1で実行されたテストパターン3の診断結果が故障なしの場合には、次いで、ステップS3でテストパターン4の故障診断が実行されるが、該テストパターン4が故障なしの場合には、今回および前回故障なしと診断されたテストパターン4およびテストパターン3に含まれる全ての制御バルブ、つまり本実施の形態の故障診断対象バルブの全てが故障なしと判断され、これにより故障バルブなし(故障診断対象バルブの全てが正常である)と特定して、テストパターンの故障診断を終了する。
一方、ステップ3で実行されたテストパターン4の診断結果が故障ありの場合には、今回故障ありと診断されたテストパターン4に含まれ、且つ、前回故障なしと診断されたテストパターン3に含まれない制御バルブは第二バイパスバルブ26と第二メインリリーフバルブ22であるため、第二バイパスバルブ26あるいは第二メインリリーフバルブ22の少なくとも1つが故障バルブであると特定して、テストパターンの故障診断を終了する。
また、前記ステップS1で実行されたテストパターン3の診断結果が故障ありの場合には、次いで、ステップS9でテストパターン1の故障診断が実行されるが、該テストパターン1の診断結果が故障なしの場合には、前回故障ありと診断されたテストパターン3に含まれ、且つ、今回故障なしと診断されたテストパターン1に含まれない制御バルブは第二暖機バルブ33であるため、該第二暖機バルブ33が故障バルブであると特定して、テストパターンの故障診断を終了する。
一方、ステップS9で実行されたテストパターン1の診断結果が故障ありの場合には、今回または前回故障ありと診断されたテストパターン1、3に共通して含まれる制御バルブは多数あって故障バルブの特定ができないため、テストパターンの故障診断が続行され、ステップS13でテストパターン4の故障診断が実行される。
そして、前記ステップS13で実行されたテストパターン4の診断結果が故障なしの場合には、前回までに故障ありと診断されたテストパターン1、3に含まれ、且つ、今回故障なしと診断されたテストパターン4に含まれない制御バルブは第一バイパスバルブ25と第一メインリリーフバルブ21であるため、第一バイパスバルブ25あるいは第一メインリリーフバルブ21の少なくとも1つが故障バルブであると特定して、テストパターンの故障診断を終了する。
また、ステップS13で実行されたテストパターン4の診断結果が故障ありの場合には、今回および前回までに故障ありと診断されたテストパターン1、3、4に共通して含まれる制御バルブは第一暖機バルブ32だけであるため、該第一暖機32が故障している可能性の高いバルブとして特定して、テストパターンの故障診断を終了する。
【0042】
次いで、故障診断制御手段44の行う第一、第二油圧ポンプ1、2の自動故障診断について説明する。まず、第一、第二油圧ポンプ1、2の自動故障診断を行う場合には、モニタ装置43を操作して「油圧ポンプの自動故障診断の実行」を指示すると、その信号がコントローラ16に入力されて、故障診断制御手段44による第一、第二油圧ポンプ1、2の自動故障診断が行われる。この場合、故障診断制御手段44は、第一、第二油圧ポンプ1、2をそれぞれ診断対象とする後述のポンプテスト1、2を実行するが、該ポンプテスト1、2を実行する場合には、前述したテストパターン1〜4の場合と同様に、全てのメータリングバルブ10〜15は閉じるように制御され、また、旋回用ブレーキ装置はブレーキ状態となるように制御される。
【0043】
まず、第一油圧ポンプ1を診断対象とするポンプテスト1について説明すると、該ポンプテスト1では、合流バルブ29は、第一、第二吐出ライン17、18同士を連通して互いに合流させる第三位置Zに位置するように制御する。走行直進弁27は、第一吐出ライン17の圧油が左走行用メータリングバルブ12および走行直進弁27を経由してバケット用、ブーム用メータリングバルブ10、11に供給されるとともに、第二吐出ライン18の圧油が旋回用、スティック用メータリングバルブ14,15および走行直進弁27を経由して右走行用メータリングバルブ13に供給される第一位置Xに位置するように制御する。第一、第二バイパスバルブ25、26は、最大の開度量で第一、第二バイパス油路23、24を開くように制御する。第一、第二暖機バルブ32、33は、第一、第二循環油路30、31を開く開位置に位置するように制御する。このようにして各制御バルブをポンプテストの診断用制御状態にした状態で、第一油圧ポンプ1を最低流量で駆動させる。この状態では、
図9に示す如く、第一油圧ポンプ1からの吐出油は、第一バイパス油路23を経由して油タンク3に流れるが、この状態で、第一油圧ポンプ1の流量を最低流量から10%変化させる。そして、このときの第一油圧ポンプ1に対する斜板角度指令値と第一斜板角度センサ40aの検出値とを比較して、第一油圧ポンプ1の斜板角度変位が指令値に対応して正確に行われているか否かを診断し、これにより第一油圧ポンプ1の故障の有無を判断してモニタ装置43のディスプレイに表示する。
【0044】
また、第二油圧ポンプ2を診断対象とするポンプテスト2では、合流バルブ29、走行直進弁27、第一、第二バイパスバルブ25、26、第一、第二暖機バルブ32、33は、前述したポンプテスト1と同じ診断用制御状態となるように制御し、この状態で、第二油圧ポンプ2を最低流量で駆動させる。この状態では、
図10に示す如く、第二油圧ポンプ2からの吐出油は、第二バイパス油路24を経由して油タンク3に流れるが、この状態で、第二油圧ポンプ2の流量を最低流量から10%変化させる。そして、このときの第二油圧ポンプ2に対する斜板角度指令値と第二斜板角度センサ40bの検出値とを比較して、第二油圧ポンプ2の斜板角度変位が指令値に対応して正確に行われているか否かを診断し、これにより第二油圧ポンプ2の故障の有無を判断してモニタ装置43のディスプレイに表示する。
尚、前記第一、第二油圧ポンプ1、2は本発明のテストパターンの診断対象には含まれないが、本実施の形態において、故障診断制御手段44は、第一、第二油圧ポンプ1、2を診断対象とするポンプテスト1、2も実行する構成となっており、このように、本発明のテストパターンの診断対象には含まれない油圧機器の故障診断を、本発明の診断対象となる制御バルブの故障診断と組み合わせて行なうこともできる。
【0045】
叙述の如く構成された実施の形態において、油圧ショベルの油圧回路は、油圧ポンプ1、2(本実施の形態では、第一油圧ポンプ1、第二油圧ポンプ2)と、該油圧ポンプ1、2から吐出される作動油により作動する油圧アクチュエータ4〜9(本実施の形態では、バケットシリンダ4、ブームシリンダ5、左走行モータ6、右走行モータ7、旋回モータ8、スティックシリンダ9)と、油圧ポンプ1、2から吐出される作動油の流れの方向、流量あるいは圧力を制御するための複数の制御バルブ(本実施の形態では、第一、第二メインリリーフバルブ21、22、第一、第二バイパスバルブ25、26、走行直進弁27、合流バルブ29、第一、第二暖機バルブ32、33)とを備えているが、これら複数の制御バルブの故障を診断するための故障診断システムを設けるにあたり、複数の制御バルブのうち2つ以上の制御バルブを診断対象として種々組合わせた複数のテストパターン(本実施の形態では、テストパターン1〜4)を設定すると共に、各テストパターンを単位とする故障診断を、各テストパターンに応じて設定された診断用制御信号を制御バルブに出力して実行する故障診断実行手段47と、該故障診断実行手段47により故障の有無が診断されたテストパターンに含まれる制御バルブ同士の照合をして故障した制御バルブの特定を行う故障バルブ特定手段48とが設けられている。
【0046】
而して、制御バルブの故障診断を行う場合には、故障診断実行手段47によりテストパターンの故障診断が実行されるとともに、該診断結果に基づいて故障バルブ特定手段48が故障バルブを特定することになり、よって、回路構成に関する専門の知識がなくても、故障した制御バルブを簡単に特定できることになって、制御バルブの故障診断に要する時間および手間を大幅に削減することができ、メンテナンス性の向上に大きく貢献できることになるが、この場合に、故障診断実行手段47は、2つ以上の制御バルブを診断対象として組合わせたテストパターンを単位として故障診断を行うため、個別に制御バルブを故障診断する場合と比して、診断時間を大幅に短縮することができる。さらに、故障バルブ特定手段48による故障バルブの特定は、故障の有無が診断されたテストパターンに含まれる制御バルブ同士の照合により行なわれるため、油圧回路に関する高い知識がなくても、故障バルブ特定手段48が故障バルブを特定する制御プログラムの作成が容易で、制御の簡単化に大きく貢献できる。
【0047】
さらにこのものにおいて、故障診断実行手段47は、故障した制御バルブの特定に用いる複数のテストパターンの故障診断を順次実行することになるが、この場合に、各テストパターンの故障診断後に、該テストパターンおよび前回までのテストパータの診断結果に基づいて故障バルブ特定手段48が故障した制御バルブを特定できた場合にはテストパターンの故障診断を終了する一方、故障バルブを特定できない場合には故障診断を続行する構成になっているから、故障バルブが特定された以降のテストパターンの故障診断は実行されないことになり、而して、制御バルブが多数あってテストパターンが数多く設定されている場合であっても、故障診断が実行されるテストパターンの数を可及的に少なくすることができて、診断時間の短縮に大きく貢献できる。
【0048】
しかも、前記故障診断実行手段47および故障バルブ特定手段48は油圧ショベルの運転席に配されるモニタ装置43に接続されており、該モニタ装置43の操作に基づいてテストパターンの故障診断および故障したバルブの特定が行われる一方、その結果がモニタ装置43に表示される構成になっているから、故障診断用の操作装置や表示装置を別途必要とせず、モニタ装置43を利用して故障診断と結果表示とを行えることになる。
【0049】
また、前記油圧アクチュエータ4〜9のうちバケットシリンダ4、ブームシリンダ5、スティックシリンダ9に対する給排流量を制御するためのメータリングバルブ10、11、15は、油圧アクチュエータ4、5、9(バケットシリンダ4、ブームシリンダ5、スティックシリンダ9)の一方のポート4a、5a、9aへの供給流量を制御する電子制御式の第一メータインバルブ10A、11A、15Aと、油圧アクチュエータ4、5、9の一方のポート4a、5a、9aからの排出流量を制御する電子制御式の第一メータアウトバルブ10B、11B、15Bと、油圧アクチュエータ4、5、9の他方のポート4b、5b、9bへの供給流量を制御する電子制御式の第二メータインバルブ10C、11C、15Cと、油圧アクチュエータ4、5、9の他方のポート4b、5b、9bからの排出流量を制御する電子制御式の第二メータアウトバルブ10D、11D、15Dとを用いて構成されているが、このように各ポート4a、4b、5a、5b、9a、9bへの給排流量制御を個別のメータイン、メータアウトバルブで行うように構成された油圧回路は複雑であって、前記メータリングバルブ10、11、15に加えて、作動油の流れの方向、流量、圧力を制御するための制御バルブが多数設けられている。本発明は、このように多数の制御バルブが設けられている油圧回路であっても、故障した制御バルブの特定を短時間で容易に行えることになり、特に有用である。
【0050】
尚、本発明は上記実施の形態(第一の実施の形態)に限定されないことは勿論であって、例えば、第一の実施の形態では、テストパターン1、3、4の診断結果を用いて故障バルブの特定を行うように設定されているが、以下に説明する第二の実施の形態の如く、テストパターン2、3、4の診断結果を用いて故障バルブの特定を行うように設定することもできる。尚、この第二の実施の形態のものは、故障バルブの特定に用いるテストパターン2,3、4に応じて故障バルブ特定手段48にプログラムされている制御手順が第一の実施の形態とは異なるが、他の構成は第一の実施の形態と同様であり、また作用効果も第一の実施の形態と同様であるため、故障バルブ特定手段48が行う自動故障診断の制御手順についてのみ、
図11のフローチャート図に基づいて説明する。
【0051】
第二の実施の形態において、故障バルブ特定手段48は、モニタ装置43の操作に基づいて故障バルブの自動故障診断がスタートすると、まず、故障診断実行手段47に対して、テストパターン4の故障診断を実行するように制御指令を出力する(ステップS1)。該制御指令を受けた故障診断実行手段47はテストパターン4の故障診断を実行し、その診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。
【0052】
前記テストパターン4の診断結果が入力されると、故障バルブ特定手段48は、該診断結果が故障ありか故障なしかを判断し(ステップS2)、故障なし(NO)の場合には、続けて、故障診断実行手段47に対して、テストパターン3の故障診断を実行するように制御指令を出力する(ステップS3)。該制御指令を受けた故障診断実行手段47はテストパターン3の故障診断を実行し、その診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。
【0053】
前記テストパターン3の診断結果が入力されると、故障バルブ特定手段48は、該診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS4)。そして、故障なし(NO)と判断された場合には、故障バルブなし(故障診断対象バルブの全てが正常である)と特定し(ステップS5)、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS6)した後、自動故障診断を終了する。
つまり、ステップS2、S4でテストパターン4、3の診断結果が共に故障なしの場合には、これらテストパターン4、3に含まれる全ての制御バルブ、つまり本実施の形態の故障診断対象バルブの全てが故障なしと判断され、これにより故障バルブなしと特定する。
【0054】
これに対し、前記ステップS4でテストパターン3の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブは第一バイパスバルブ25あるいは第一メインリリーフバルブ21であると特定する(ステップS7)。そして、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS8)した後、自動故障診断を終了する。
つまり、ステップS2で故障なしと診断されたテストパターン4に含まれず、ステップS4で故障ありと診断されたテストパターン3に含まれる制御バルブは第一バイパスバルブ25と第一メインリリーフバルブ21であるため、第一バイパスバルブ25あるいは第一メインリリーフバルブ21の少なくとも1つが故障バルブであると特定する。
【0055】
一方、前記ステップS2でテストパターン4の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブ特定手段48は、続けて、故障診断実行手段47に対して、テストパターン2の故障診断を実行するように制御指令を出力する(ステップS9)。該制御指令を受けた故障診断実行手段47はテストパターン2の故障診断を実行し、その診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。
【0056】
前記テストパターン2の診断結果が入力されると、故障バルブ特定手段48は、該診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS10)。そして、故障なし(NO)と判断された場合には、故障バルブは第一暖機バルブ32であると特定し(ステップS11)、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS12)した後、自動故障診断を終了する。
つまり、ステップS2で故障ありと診断されたテストパターン4に含まれ、ステップS10で故障なしと診断されたテストパターン2に含まれない制御バルブは第一暖機バルブ32であるため、該第一暖機バルブ32が故障バルブであると特定する。
【0057】
一方、前記ステップS10でテストパターン2の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブ特定手段48は、続けて、故障診断実行手段47に対して、テストパターン3の故障診断を実行するように制御指令を出力する(ステップS13)。該制御指令を受けた故障診断実行手段47はテストパターン3の故障診断を実行し、その診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。
【0058】
前記テストパターン3の診断結果が入力されると、故障バルブ特定手段48は、該診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS14)。そして、故障なし(NO)と判断された場合には、故障バルブは第二バイパスバルブ26あるいは第二メインリリーフバルブ22であると特定し(ステップS15)、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS16)した後、自動故障診断を終了する。
つまり、ステップS2、S10で故障なしと診断されたテストパターン4、2に含まれず、ステップS14で故障ありと診断されたテストパターン3に含まれる制御バルブは第二バイパスバルブ26と第二メインリリーフバルブ22であるため、第二バイパスバルブ26あるいは第二メインリリーフバルブ22の少なくとも1つが故障バルブであると特定する。
【0059】
また、前記ステップS14でテストパターン3の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブは第二暖機バルブ33であると特定する(ステップS17)。そして、該特定結果をモニタ装置43のディスプレイに表示(ステップS18)した後、自動故障診断を終了する。
つまり、ステップS2、S10、S14で故障ありと診断されたテストパターン4、2、3に共通して含まれる制御バルブは第二暖機バルブ33だけであるため、該第二暖機33が故障している可能性の高いバルブであるとして特定する。
【0060】
さらに、本発明は、以下に説明する第三の実施の形態に示す如く、まず、故障診断実行手段47が故障した制御バルブの特定に用いる全てのテストパターンの故障診断を実行し、その後に、該全てのテストパターンの診断結果に基づいて故障バルブ特定手段48が故障した制御バルブを特定する構成にすることもできる。尚、この第三の形態のものにおいて、制御バルブが設けられている油圧回路や、テストパターンについては前述した第一の実施の形態のものと同様であるため、説明を省略する。また、
図1〜7については、第一の実施の形態のものを共用する。
【0061】
次いで、前記第三の実施の形態における故障診断制御手段44の制御手順について、
図12、
図13に示すフローチャート図に基づいて説明する。まず、
図12のフローチャート図に示すメインルーチンにおいて、モニタ装置43を操作して「制御バルブの自動故障診断の実行」を指示すると、その信号がコントローラ16に入力されて、故障診断制御手段44による制御バルブの自動故障診断がスタートする。尚、第三の実施の形態のものでは、前述したテストパターン1〜4のうちテストパターン2、3、4を用いて故障した制御バルブの特定を行うように設定されていて、これらテストパターン2、3,4が故障した制御バルブの特定に用いる全てのテストパターンとなる。また、第三の実施の形態の故障診断対象バルブは、前記第一の実施の形態と同様に、第一バイパスバルブ25、第二バイパスバルブ26、第一メインリリーフバルブ21、第二メインリリーフバルブ22、第一暖機バルブ32、第二暖機バルブ33である。
【0062】
前記制御バルブの自動故障診断がスタートすると、故障診断制御手段44は、まず、故障診断実行手段47に対して「テストパターン故障診断実行制御」を行うように制御指令を出力する。該「テストパターン故障診断実行制御」において、故障診断実行手段47は、故障した制御バルブの特定に用いる全てのテストパターン2、3、4の故障診断を順次実行してその診断結果を故障バルブ特定手段48に出力する。尚、故障診断実行手段47による各テストパータンの故障診断は、前述した第一の実施の形態の各テストパターンの故障診断と同様に行なわれる。
【0063】
前記「テストパターン故障診断実行制御」が終了する、つまり、テストパターン2、3、4の故障診断が全て終了してその診断結果が故障バルブ特定手段48に入力されると、続けて、故障診断制御手段44は、故障バルブ特定手段48に対して「故障バルブ特定制御」を行うように制御指令を出力する。
【0064】
前記「故障バルブ特定制御」において、故障バルブ特定手段48は、故障の有無が診断されたテストパターン2、3、4に含まれる制御バルブ同士の照合をして故障バルブを特定するが、該故障バルブを特定する制御手順は予めプログラムされており、該プログラムに従って故障バルブを特定する。尚、「故障バルブ特定制御」における故障バルブ特定手段48の制御手順については後述する。
【0065】
前記「故障バルブ特定制御」が終了する、つまり、故障バルブ特定手段48により故障バルブが特定されると、故障診断制御手段44は、故障診断実行手段47により故障診断が実行された全てのテストパターン2、3、4の診断結果と、故障バルブ特定手段48により特定された故障バルブとをモニタ装置43のディスプレイに表示して、制御バルブの自動故障診断を終了する。
【0066】
次いで、前記「故障バルブ特定制御」における故障バルブ特定手段48の制御手順について、
図13のフローチャート図に基づいて説明する。
まず、「故障バルブ特定制御」がスタートすると、故障バルブ特定手段48は、テストパターン4の診断結果が故障ありか故障なしかを判断し(ステップS1)、テストパターン4の診断結果が故障なし(NO)の場合には、続けて、テストパターン3の診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS2)。そして、テストパターン3の診断結果が故障なし(NO)と判断された場合には、故障バルブ(故障した制御バルブ)なしと特定して(ステップS3)、故障バルブ特定制御を終了する。
つまり、ステップS1、S2でテストパターン4、3の診断結果が共に故障なしの場合には、これらテストパターン4、3に含まれる全ての制御バルブ、つまり本実施の形態の故障診断対象バルブの全てが故障なしと判断され、これにより故障バルブなしと特定する。
【0067】
これに対し、前記ステップS2でテストパターン4の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブは第一バイパスバルブ25あるいは第一メインリリーフバルブ21であると特定して(ステップS4)、故障バルブ特定制御を終了する。
つまり、ステップS1で故障なしと診断されたテストパターン4に含まれず、ステップS2で故障ありと診断されたテストパターン3に含まれる制御バルブは第一バイパスバルブ25と第一メインリリーフバルブ21であるため、第一バイパスバルブ25あるいは第一メインリリーフバルブ21の少なくとも1つが故障バルブであると特定する。
【0068】
一方、前記ステップS1でテストパターン4の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、続けて、テストパターン2の診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS5)。そして、テストパターン2の診断結果が故障なし(NO)と判断された場合には、故障バルブは第一暖機バルブ32であると特定して(ステップS6)、故障バルブ特定制御を終了する。
つまり、ステップS1で故障ありと診断されたテストパターン4に含まれ、ステップS5で故障なしと診断されたテストパターン2に含まれない制御バルブは第一暖機バルブ32であるため、該第一暖機バルブ32が故障バルブであると特定する。
【0069】
これに対し、前記ステップS5でテストパターン2の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、続けて、テストパターン3の診断結果が故障ありか故障なしかを判断する(ステップS7)。そして、テストパターン3の診断結果が故障なし(NO)と判断された場合には、故障バルブは第二バイパスバルブ26あるいは第二メインリリーフバルブ22であると特定して(ステップS8)、故障バルブ特定制御を終了する。
つまり、ステップS1、S5で故障なしと診断されたテストパターン4、2に含まれず、ステップS7で故障ありと診断されたテストパターン3に含まれる制御バルブは第二バイパスバルブ26と第二メインリリーフバルブ22であるため、第二バイパスバルブ26あるいは第二メインリリーフバルブ22の少なくとも1つが故障バルブであると特定する。
【0070】
また、前記ステップS7でテストパターン3の診断結果が故障あり(YES)と判断された場合には、故障バルブは第二暖機バルブ33であると特定して(ステップS9)、故障バルブ特定制御を終了する。
つまり、ステップS1、S5、S7で故障ありと診断されたテストパターン4、2、3に共通して含まれる制御バルブは第二暖機バルブ33qだけであるため、該第二暖機33が故障している可能性の高いバルブであるとして特定する。
【0071】
而して、第三の実施の形態のものでは、まず、故障診断実行手段47が故障した制御バルブの特定に用いる全てのテストパターンの故障診断を実行し、その後に、該全てのテストパターンの診断結果に基づいて故障バルブ特定手段48が故障した制御バルブを特定することになるが、このように構成された第三の実施の形態のものにおいても、前記第一の実施の形態と同様に、故障診断実行手段47は、2つ以上の制御バルブを診断対象として組合わせたテストパターンを単位として故障診断を行うため、個別に制御バルブを故障診断する場合と比して、診断時間を大幅に短縮することができるとともに、故障バルブ特定手段48による故障バルブの特定は、故障の有無が診断されたテストパターンに含まれる制御バルブ同士の照合により行なわれるため、油圧回路に関する高い知識がなくても、故障バルブ特定手段48が故障バルブを特定するプログラムを容易に作成できるとともに、制御の簡単化に大きく貢献できる。
【0072】
さらに、この第三の実施の形態では、まず、故障診断実行手段47により故障バルブの特定に用いる全てのテストパターンの故障診断が実行され、その後に該全てのテストパターンの診断結果に基づいて故障バルブ特定手段48が故障バルブの特定を行う構成であるから、制御プログラムが簡単で、例えば新たにテストパターンを追加したような場合にも、プログラムの修正更新を容易に行うことができる。さらに、故障バルブの特定に用いる全てのテストパターンの故障診断が実行されるため、故障バルブ特定手段48による故障バルブの特定だけでは故障バルブが確定しなかったような場合(例えば、複数の制御バルブが同時に故障しているような場合)に、故障診断を行う者が全てのテストパターンの診断結果を確認し、該診断結果を参考にして個別に制御バルブの故障診断を行う等の対応策を取ることができる。
【0073】
尚、上記第三の実施の形態のものでは、テストパターン2、3、4を用いて故障した制御バルブの特定を行うように設定されているが、テストパターン1、3、4を用いて故障した制御バルブの特定を行うように設定することもできる。
さらに、本発明のテストパターンは、前述したテストパターン1〜4に限定されないことは勿論であって、各種作業機械の油圧回路や、該油圧回路に配される制御バルブ等に応じて種々に設定することができる。
また
、上記第一〜第三の実施の形態では、故障診断の手順として、まずテストパターンによる故障診断でメータリングバルブ以外の制御バルブの故障判断を行い、この故障判断で制御バルブに故障がないと診断された場合に、メータリングバルブの故障診断を行うようになっている。