(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
予め、前記調理容器の外径に応じて、前記コンロバーナの点火後所定時間経過した時点における前記温度検出部により検出された前記検出温度と、前記操作部における操作に基いて設定される前記火力との関係を求めておき、前記径推定処理として、前記検出温度と前記火力との前記関係に基いて、既知の前記検出温度および前記火力から前記調理容器の外径を推定することを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
前記検出温度と前記火力との前記関係として、前記調理容器の異なる複数の外径毎に求められる、前記検出温度と前記火力との前記関係を近似する近似式が用いられることを特徴とする請求項2記載のガスコンロ。
前記操作部における操作に基いて設定された前記火力が大きい場合には、前記操作部における操作に基いて設定された前記火力が小さい場合に較べて、前記所定時間が短くなる形態で、前記所定時間が、前記操作部における操作に基いて設定された前記火力の値に応じて設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のガスコンロ。
前記コンロバーナの点火時点における前記検出温度が高い場合は、前記コンロバーナの点火時点における前記検出温度が低い場合に較べて大きい補正幅で、前記検出温度を小さい値に補正する形態で、前記検出温度を補正した後、前記調理容器の外径を推定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のガスコンロ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に示されるガスコンロにあっては、コンロバーナの火力が所定の第1火力以上の火力を所定時間継続した時に、温度検出部により検出された検出温度に基いて火力減少制御を実行し得るように構成されるものである。従って、使用者が第1火力より小さい任意の火力にてガスコンロを使用した場合に、五徳上に載置された調理容器の外径がそのときの火力に見合った外径であるか否かの判定が行われていない。
【0007】
しかし、ガスコンロを使用する際には、調理内容に応じて、使用者によって任意の火力に調節されるものであるから、コンロバーナの火力が任意の火力に設定された場合にも、そのときの火力と五徳上に載置された調理容器の外径との関係が、高温の燃焼排気による調理容器の取っ手の加熱を防止でき、また、調理容器の底の外方にはみ出した火炎に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝されることが防止できる、適切な関係であるかどうかの判定が行われることが望まれていた。
【0008】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、コンロバーナの火力が任意の火力に調節された場合にも、そのときの火力に応じて五徳上に載置された調理容器の外径が推定でき、高温の燃焼排気による調理容器の取っ手の加熱を防止でき、また、調理容器の外方にはみ出した火炎に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝されることが抑制されるガスコンロを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、ガスコンロ本体と、前記ガスコンロ本体の上端部に設けられるトッププレートと、前記トッププレートに形成されたバーナ用開口を介して、外周縁に形成された炎孔部が前記トッププレートの上方に突出するように設けられるコンロバーナと、操作部の操作に基いて前記コンロバーナの点消火および火力の制御を行う制御部と、前記炎孔部の周囲に配置されて、前記コンロバーナによって加熱される調理容器が載置される五徳と、を備えてなるガスコンロであって、前記トッププレート上における、前記炎孔部から所定距離離れた位置に
熱電対からなる温度検出部を設け、前記制御部は、前記コンロバーナの点火後所定時間経過した時点における前記温度検出部により検出された検出温度、および、前記操作部における操作に基いて設定された前記火力に基いて、平面視における前記調理容器の外径を推定する径推定処理を行い、前記径推定処理により推定された前記調理容器の外径に応じて、調理容器外径推定後制御を実行することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、予め、前記調理容器の外径に応じて、前記コンロバーナの点火後所定時間経過した時点における前記温度検出部により検出された前記検出温度と、前記操作部における操作に基いて設定される前記火力との関係を求めておき、前記径推定処理として、前記検出温度と前記火力との前記関係に基いて、既知の前記検出温度および前記火力から前記調理容器の外径を推定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記検出温度と前記火力との前記関係として、前記調理容器の異なる複数の外径毎に求められる、前記検出温度と前記火力との前記関係を近似する近似式が用いられることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記調理容器の外径に対応する適正設定火力が設定されており、前記制御部は、前記調理容器外径推定後制御として、前記操作部における操作に基いて設定された前記火力が前記適正設定火力より大きいとき、前記コンロバーナの前記火力を前記適正設定火力以下に制御することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記操作部における操作に基いて設定された前記火力が大きい場合には、前記操作部における操作に基いて設定された前記火力が小さい場合に較べて、前記所定時間が短くなる形態で、前記所定時間が、前記操作部における操作に基いて設定された前記火力の値に応じて設定されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記コンロバーナの点火時点における前記検出温度が高い場合は、前記コンロバーナの点火時点における前記検出温度が低い場合に較べて大きい補正幅で、前記検出温度を小さい値に補正する形態で、前記検出温度を補正した後、前記調理容器の外径を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明にあっては、コンロバーナの火力が任意の火力に調節された場合にも、そのときの火力に応じて五徳上に載置された調理容器の外径が推定できる。そして、調理容器外径推定後制御を実行することで、高温の燃焼排気による調理容器の取っ手の加熱を防止でき、また、調理容器の外方にはみ出した火炎に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝されることが抑制された安全なガスコンロとできる。
【0016】
請求項2に係る発明にあっては、調理容器の外径に応じた検出温度と火力との関係を実験等により求めることができて、外径の推定精度を向上させることができる。
【0017】
請求項3に係る発明にあっては、調理容器の外径に応じた検出温度と火力との関係を求める有限回の実験結果から、任意の検出温度と火力との関係を設定することができる。
【0018】
請求項4に係る発明にあっては、高温の燃焼排気による調理容器の取っ手の加熱を防止でき、また、調理容器の外方にはみ出した火炎に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝されることが抑制されるガスコンロとすることができる。
【0019】
請求項5に係る発明にあっては、火力が大きい場合には火力が小さい場合に較べて早期に調理容器の平面視における外径を推定し、この推定した外径に応じて、調理容器外径推定後制御を実行できるので、一層安全なガスコンロとすることができる。
【0020】
請求項6に係る発明にあっては、コンロバーナの点火時点における前記検出温度が高い場合に、調理容器の平面視における外径が大きい側に誤検出することが抑制されて、調理容器外径推定後制御を適正に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係るガスコンロの実施形態について添付図面に基いて説明する。
【0023】
本発明に係るガスコンロの第一の実施形態としてのガステーブルコンロ1は、
図1に示すように、上方に開口する筐体をなすガスコンロ本体11の上面がトッププレート12で覆われており、円筒状の外形(第一の実施形態では外径60mm)を有する左バーナ21および右バーナ22の2口のコンロバーナを備えている。コンロバーナ(左バーナ21、右バーナ22)は、
図2に示すように、トッププレート12に形成したバーナ用開口(図示せず)を介して、夫々のコンロバーナの外周に形成された炎孔部23をトッププレート12の上方に突出させている。
【0024】
図1に示すように、ガステーブルコンロ1において、左バーナ21および右バーナ22より前方側に位置しているその前面14には、左バーナ21の点消火操作および火力調節操作を行うための左バーナ操作部31および右バーナ22の点消火操作および火力調節操作を行うための右バーナ操作部32が設けられている。
【0025】
ガステーブルコンロ1内には、左バーナ操作部31および右バーナ操作部32の操作に基いて、
図3に示すガスバルブ24の開閉およびイグナイタ25の発停により各コンロバーナ(左バーナ21、右バーナ22)の点消火の制御を行い、また、ステッピングモータ26により駆動されるガス量調整バルブ27の開度調節を行って各コンロバーナに供給されるガス量を調節して各コンロバーナの火力の制御を行う制御部(図示せず)を備えている。
【0026】
また、
図1に示すように、ガステーブルコンロ1はガスグリル部4を備えており、ガステーブルコンロ1の前面14には、ガスグリル部4の前面に備える扉41を開閉するためのグリル取っ手42と、ガスグリル部4の点消火操作および火力調節操作を行うためのグリル操作部33を備えている。ガスグリル部4における調理に伴う排気はトッププレート12の後方に設けたグリル排気口13から排出される。
【0027】
トッププレート12上における左バーナ21および右バーナ22夫々の炎孔部23の周囲には、
図2に示すように、各コンロバーナによって加熱される調理容器7を載置する五徳5が配置してある。五徳5は、
図1に示すように、調理容器7を載置するための五徳爪51を炎孔部23の周囲に複数放射状に配置してあり、夫々の五徳爪51の下端が円環状の五徳リング52で結合されて、トッププレート12上に載置される。なお、ガステーブルコンロ1は左バーナ21および右バーナ22の2つのコンロバーナを備えるものであるが、左バーナ21および右バーナ22共に本発明の実施形態としては同様の形態を有するものであるので、以下、左バーナ21について詳しく説明し、右バーナ22についての詳細な説明は省略する。
【0028】
左バーナ21は、
図4に示すように、炎孔部23(
図2、
図5参照)の周方向において、コンロバーナの五徳爪51が対向して存在する箇所(Sの区間)では、炎孔部23の周方向において五徳爪51が対向して存在しない箇所(Fの区間)に比べて、左バーナ21による加熱が抑制されるように炎孔部23が構成されている。具体的には、コンロバーナの周方向において、五徳爪51が対向して存在する箇所(Sの区間)には炎孔が形成されておらず、五徳爪51が対向して存在しない箇所(Fの区間)だけに炎孔が形成されており、左バーナ21による五徳5の加熱が抑制されるように左バーナ21の炎孔部23が構成されている。
【0029】
また、
図1に示すように、トッププレート12上における、炎孔部23から所定距離L1(第一の実施形態では25mm)離れた位置に温度検出部6を設けてある。具体的には、平面視において左バーナ21の前方に位置する五徳爪51の近傍に、熱電対からなる温度検出部6が配設されている。なお、
図2に示すように、温度検出部6の感温部(測温接点)61は、トッププレート12の上面よりも所定の高さ寸法H1の高さ位置、具体的には、トッププレート12の上面から五徳爪51の上端までの高さ寸法H2(第一の実施形態では34mm)の1/2の高さより少し高い高さ寸法H1の位置(第一の実施形態ではトッププレート12の上面から18mm)に位置させてある。これによって、以下の効果が得られる。
【0030】
ちなみに、熱電対からなる温度検出部6の感温部(測温接点)61に対して、図示しない基準接点(冷接点)が、温度検出部6の感温部(測温接点)61の下方30mmの位置に形成されており、トッププレート12の下方に位置している。
【0031】
なお、温度検出部6は、左バーナ21の着火を検出するために設けられる着火センサとしての熱電対とは別に設けられている。
【0032】
なお、第一の実施形態では、温度検出部6の出力は、感温部(測温接点)61と基準接点(冷接点)との温度差が0℃(ゼロ)のときに0(mV)で、感温部(測温接点)61と基準接点(冷接点)との温度差が100℃のとき4(mV)であり、温度検出部6の出力は、感温部(測温接点)61と基準接点(冷接点)との温度差に略比例する。
【0033】
五徳の上に鍋などの調理容器7が存在している場合には、
図2、
図5に示すように、炎孔部23からの火炎8は調理容器7の底に沿って伸びて調理容器7の外径方向の外側にトッププレート12に添って形成されるのであるが、トッププレート12に添って形成される火炎8とトッププレート12との間には、火炎8の外径方向の外側から内径方向に向かって、この火炎8の燃焼用の二次空気が流れ込むことになる(
図5の二次空気の流れ91参照)。
【0034】
そして、この二次空気としては、ガスコンロの周囲に存在する空気が供給されることになる。ガスコンロの周囲に存在する空気は、一般的に火炎8周辺を流れる高温の燃焼排気(
図5の燃焼排気の流れ92参照)の温度に比べて著しく低温の常温であるから、温度検出部6の感温部61の位置がトッププレート12の表面と同じ高さであるときには、この二次空気で温度検出部6の感温部61が冷却されてしまい、温度検出部6による火炎8の温度検出が適切に行われないおそれがある。そこで、温度検出部6の感温部61の高さ位置を、トッププレート12よりも上述の高さ寸法H1(第一の実施形態では18mm)とすることで、この二次空気によって温度検出部6の感温部61が過度に冷却されてしまうことが防止できる。
【0035】
また、
図2、
図5等に示すように、五徳5に載置された鍋などの調理容器7の底面に接触して調理容器7の底面の温度を検出する調理容器温度検出手段62が、その支持軸63が左バーナ21の中心を下から上に貫通する形態で設けてある。これは、五徳5への調理容器7の載置と連動して調理容器温度検出手段62および支持軸63が上下に移動し、支持軸63の下端に設けたマイクロスイッチ(図示せず)によって支持軸63の上下の移動を検出することで、五徳5への調理容器7の載置の有無を検出する。すなわち、調理容器温度検出手段62と支持軸63とマイクロスイッチとによって、五徳5への調理容器7の載置の有無を検出する調理容器載置検出手段64を構成している。
【0036】
次に、制御部による火力制御について説明する。なお、以下の説明において、火力の単位を(kcal/h)にて表すが、1(kcal/h)=1.163(W)の関係を用いて、火力の単位をWに変換できる。
【0037】
図8に示すように、使用者が、左バーナ操作部31を操作して火力を設定火力に設定し点火操作を行う(S1)。この点火操作に応じて、制御部が左バーナ21の火力を上記設定火力に調節して燃焼させる(S2)。
【0038】
制御部は、上記設定火力を点火後所定時間(第一の実施形態では10秒)経過した時点で(S3)、温度検出部6により温度を検出する(S4)。そして制御部は、上記設定火力及び温度検出部6による検出値に応じて、五徳5に載置された調理容器7の外径(鍋径)を推定する径推定処理を行う(S5)。
【0039】
なお、径推定処理で使用する以下のデータを予め求め、制御部とともに設けられるROM(Read Only Memory)等の記憶手段に記憶させておく。
【0040】
まず、調理容器7の外径(鍋径)の任意の異なる値に対して、左バーナ21の設定火力を任意の異なる値に変更したときの、点火後所定時間(第一の実施形態では10秒)経過した時点において、温度検出部6による検出値を予め実験的に求める。温度検出部6による検出値を予め実験的に求めた結果の一例を表1に示す。
【0042】
次に、表1において、左バーナ21の設定火力をx(kcal/h)とし、温度検出部6による検出値をy(mV)とし、調理容器7の外径(鍋径)の任意の異なる値における、yをxの関数として表したときのxとyとの関係(近似式)を求める。このxとyとの関係(近似式)を表2に示す。
【0044】
ここで、左バーナ21の燃焼時における、左バーナ21の設定火力x(kcal/h)は、制御部が行う
図3に示すステッピングモータ26により駆動されるガス量調整バルブ27の開度調節に関する制御値と一対一に対応しており、表2のxは、制御部が認識しているガス量調整バルブ27の開度調節に関する制御値を介してyと関係付けられている。
【0045】
なお、表2に示すxとyとの関係は近似式であるが、必ずしも式で表されなくてもよく、例えば調理容器7の外径とxとyとの組み合わせを離散的に包含するテーブルであってもよい。また、xとyとの関係を近似式として導出するにあたっては、例えば最小二乗法が好適に用いられるが、他の手法が用いられてもよい。また、xとyとの関係を表す近似式は、表2に示すような二次関数であってもよいし、一次関数や三次関数、四次以上の高次関数、三角関数等、他の関数であってもよい。
【0046】
表1および表2に対応するデータが、記憶手段に格納される。
【0047】
径推定処理は、以下に示す手順で行う。
【0048】
図9の(S11)に示すように、制御部は、まず、表2に示すxとyとの関係(近似式)に、制御部が認識しているガス量調整バルブ27の開度調節に関する制御値から求まる設定火力x(kcal/h)を代入する。これにより、夫々の「調理容器7の外径」に対応した、左バーナ21の設定火力がx(kcal/h)であるときの温度検出部6による検出値y(mV)が求まる(表3参照)。
【0049】
例えば、表2に示す夫々の「調理容器7の外径」に対応するxとyとの関係(近似式)に、x(kcal/h)として1950を代入すれば、左バーナ21の設定火力xが1950(kcal/h)のとき、夫々の「調理容器7の外径」に対応する、温度検出部6による検出値y(mV)の予測値が表3に示すように求められる。
【0051】
次に、制御部は、
図9の(S12)に示すように、左バーナ21の設定火力xが例えば1950(kcal/h)で燃焼したときの、点火後所定時間(第一の実施形態では10秒)経過した時点における、温度検出部6による検出値yの実測値が、例えば4.5(mV)であったときには、4.5(mV)が、表3における調理容器7の外径22(cm)に対応する4.22(mV)と調理容器7の外径24(cm)に対応する4.61(mV)との間の値であるから、制御部(図示せず)は、五徳5上に載置された調理容器7の平面視における外径が、22(cm)以上24(cm)以下の大きさの範囲であると推定する。
【0052】
以上のように、第一の実施形態においては、左バーナ21の火力が任意の火力に調節された場合に、そのときの火力に応じて五徳5上に載置された調理容器7の外径が推定できる。そして、例えば、後述するような、調理容器外径推定後制御を実行することで、高温の燃焼排気による調理容器7の取っ手の加熱を防止でき、また、調理容器7の外方にはみ出した火炎8に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝されることが抑制された安全なガスコンロとできる。
【0053】
そして、制御部は、この推定結果に応じて、
図8の(S6)に示す調理容器外径推定後制御を実行する。調理容器外径推定後制御としては、種々の制御が実行可能であるが、第一の実施形態では、制御部は、前記調理容器外径推定後制御として以下に示す制御を実行する。
【0054】
第一の実施形態では、調理容器7の平面視における外径に対応して、使用者が調理容器7に不用意に近づいても、使用者が高温に曝されるような状況が生じ難い火力として、表4に示す適正設定火力が設定されている。
【0056】
上記適正設定火力としては、左バーナ21に形成される火炎8が、調理容器7の平面視における外径(外郭)外にはみ出さないように、調理容器7の平面視における外径に対応して設定されることが好ましい。
【0057】
そして、制御部は、調理容器外径推定後制御として、
図10に示すように、左バーナ操作部31の操作に基いて制御された火力(設定火力)が適正設定火力より大きいか否かを判定する(S21)。そして、設定火力が適正設定火力より大きいとき、左バーナ21の火力を適正設定火力以下に制御する(S22)。
【0058】
このように構成されることで、高温の燃焼排気による調理容器7の取っ手の加熱を防止でき、また、調理容器7の外方にはみ出した火炎8に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝されることが抑制されるガスコンロとすることが可能である。
【0059】
つまり、調理容器外径推定後制御として、左バーナ操作部31の操作に基いて制御された火力が適正設定火力より大きいときは、五徳5上に載置されている鍋などの調理容器7の外径が設定火力に見合った外径より小さく、調理容器7の底面より外側に火炎8がはみ出して火炎8がトッププレート12の表面から上方向に偏向している、
図6に示すような状態である、と判断できるもので、制御部は、左バーナ21の火力を適正設定火力に減少させる制御を、調理容器外径推定後制御として実行する。
【0060】
そして、調理容器外径推定後制御の実行によって、調理容器7の底面より外側に火炎8がはみ出して、火炎8がトッププレート12の表面から上方向に偏向している
図6に示すような状態は解消されて、調理容器7の底面より外側に火炎8がはみ出さない
図7の状態に至ることで、火炎8からの高温の燃焼排気による調理容器7の取っ手の加熱を防止でき、調理容器7の底の外方にはみ出した火炎8に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝されることが防止できる。
【0061】
なお、上述のように、左バーナ21の設定火力が1950(kcal/h)で燃焼した例において、点火後所定時間(第一の実施形態では10秒)経過した時点における、温度検出部6による検出値yの実測値が、例えば4.5(mV)であったときのように、五徳5上に載置された調理容器7の平面視における外径が、22以上24(cm)以下の大きさであると推定される場合には、五徳5上に載置された調理容器7の平面視における外径が22(cm)のときの適正設定火力2300(kcal/h)が、左バーナ21の設定火力xの1950(kcal/h)より大きいので、左バーナ21の火力としては、1950(kcal/h)が維持される。
【0062】
次に、第二の実施形態について
図11に基いて説明する。なお、第二の実施形態は上記第一の実施形態と大部分において同じであるため、同じ部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0063】
上記第一の実施形態では、設定火力を点火後所定時間経過した時点で、設定火力及び温度検出部6による検出値yに応じて、五徳5に載置された調理容器7の外径(鍋径)を推定するにあたり、点火後所定時間経過した時点を、点火後10秒としていた(
図8の(S3)参照)。すなわち、所定時間を10秒等といった固定値として構成するものである。
【0064】
これに対し、第二の実施形態においては、所定時間が、コンロバーナ(ここでは左バーナ21)の設定火力xの値に応じて設定されるように構成される(
図11の(S33)参照)。なお、
図11における(S31)〜(S32)はそれぞれ
図8における(S1)〜(S2)と、
図11における(S34)〜(S37)はそれぞれ
図8における(S3)〜(S6)と同じであり、説明は省略する。
【0065】
このようにすることで、より細かな制御が可能となる。例えば、左バーナ21の火力(設定火力x)が大きい場合には、左バーナ21の設定火力xが小さい場合に較べて、所定時間が短くなるようにする。これにより、左バーナ21の設定火力が大きい場合には火力が小さい場合に較べて早期に調理容器7の平面視における外径を推定して、この結果に応じた調理容器外径推定後制御を実行できるので、一層安全なガスコンロとすることができる。
【0066】
次に、第三の実施形態について説明する。なお、第三の実施形態は上記第一の実施形態と大部分において同じであるため、同じ部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0067】
上記第一の実施形態では、温度検出部6により検出した検出値y(
図8の(S4)参照)を用いて、五徳5に載置された調理容器7の外径(鍋径)を推定するのであるが、上記第一の実施形態では、検出値yをそのまま径推定処理(
図8の(S5)参照)に用いている。
【0068】
これに対し、第三の実施形態においては、コンロバーナ(ここでは左バーナ21)の点火時点における温度検出部6による検出温度(検出値y)が高い場合、つまり初期温度が高い場合は、左バーナ21の点火時点における温度検出部6による検出温度が低い場合に較べて大きい補正幅で、温度検出部6による検出温度を小さい値に補正して、補正した検出温度を用いて径推定処理を行うようにしている。
【0069】
このようにすることで、左バーナ21の点火時点における温度検出部6による検出温度が高い場合に、調理容器7の外径が大きい側に誤検出されることが抑制される。これにより、一層安全なガスコンロとすることができる。すなわち、調理容器7の外径が大きい側に誤検出されてしまうと(温度検出部6による検出温度が大きい側に誤検知されてしまうと)、径推定処理により、実際には
図6に示すように調理容器7の底面より外側に火炎8がはみ出す状態にあるにもかかわらず、調理容器7の底面より外側に火炎8がはみ出さない
図2の状態であると誤判定される惧れがある。
【0070】
このような誤判定がなされると、調理容器外径推定後制御にて、本来は火力を適正設定火力以下に低減させて、調理容器7の底面より外側に火炎8がはみ出さない
図7の状態にするように制御すべきところ、調理容器7の外径が大きい程、適正設定火力が大きいため、適正設定火力以下と誤判定されて
図6に示す状態のままとなるように制御される惧れがある。
図6に示す状態のままであると、高温の燃焼排気により調理容器7の取っ手が加熱され、また、調理容器7の外方にはみ出した火炎8に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝される惧れがある。そして、特に、温度検出部6による検出温度が高い場合にこのような誤検出がなされると、調理容器7の外方にはみ出す火炎8がより大きくなってしまう。
【0071】
そこで、第三の実施形態のように、点火時点つまり、燃焼開始時における温度検出部6による検出温度が高い場合に、検出温度が低い場合に較べて大きい補正幅で検出温度を小さい値に補正することにより、高温の燃焼排気による調理容器7の取っ手の加熱を防止でき、また、調理容器7の外方にはみ出した火炎8に使用者が不用意に接近して使用者が高温に曝されることが抑制される。これにより、調理容器外径推定後制御を適正に行うことができる。
【0072】
また、上記各実施形態においては、ガスコンロがガステーブルコンロであったが、上記各実施形態においてガスコンロがビルトインコンロであってもよく、設置形態は限定されない。
【0073】
また、上記各実施形態においては、ガスコンロが、備えるコンロバーナの数が2つの2口ガスコンロであったが、上記各実施形態において1口ガスコンロ、3口以上のガスコンロであってもよく、口数は限定されない。また、コンロバーナの位置も限定されない。
【0074】
また、上記各実施形態においては、ガスコンロがガスグリル部4を備えているが、上記各実施形態においてガスグリル部4を備えないガスコンロであってもよい。
【0075】
また、上記各実施形態においては、コンロバーナの五徳爪51と対向する部分には炎孔が形成されていないようにして、炎孔部23の周方向における五徳爪51の存在箇所で炎孔部23の周方向における五徳爪51の不存在箇所に比べて左バーナ21による加熱が抑制されるように構成したものであった。これに対して、上記各実施形態において、コンロバーナの五徳爪51と対向しない領域における相隣接する炎孔間のピッチと比較して、コンロバーナの五徳爪51と対向する領域における相隣接する炎孔間のピッチを広くすることで、炎孔部23の周方向における五徳爪51の存在箇所で炎孔部23の周方向における五徳爪51の不存在箇所に比べて左バーナ21による加熱が抑制されるように構成してもよい。
【0076】
また、上記各実施形態においては、調理容器外径推定後制御において、設定火力が適正設定火力より大きいときに、
図10の(S22)に示すように左バーナ21の火力を適正設定火力以下に制御していた。これに対して、
図10の(S22)において火力を適正設定火力以下に制御する代わりに、音、光などによって報知を行うように構成してもよい。
【0077】
また、上記各実施形態においては、
図1に示すように、平面視においてコンロバーナの前方に位置する五徳爪51の近傍の一箇所に温度検出部6を設けていた。これに対して、温度検出部6を、炎孔部23の周方向の複数箇所(たとえば3箇所)に設けてもよい。