特許第6497773号(P6497773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6497773電子ギターの操作子設定装置およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497773
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】電子ギターの操作子設定装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G10H 3/18 20060101AFI20190401BHJP
   G10H 1/00 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   G10H3/18 L
   G10H1/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-39741(P2015-39741)
(22)【出願日】2015年3月2日
(65)【公開番号】特開2016-161731(P2016-161731A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130329
【氏名又は名称】株式会社コルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100105810
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 宏
(72)【発明者】
【氏名】尾田 真
(72)【発明者】
【氏名】桜川 夏木
【審査官】 安田 勇太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−086790(JP,A)
【文献】 特開平04−166998(JP,A)
【文献】 特表2000−512400(JP,A)
【文献】 特開2001−249852(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0024129(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00 − 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ギターに設けられ、電子ギターの楽音信号を拾う複数のマグネットピックアップの設定を自動で行う装置であって、
いずれかの設定態様を選択するための操作子である設定態様選択操作子と、
複数種類の設定態様のそれぞれと、ギターボディ表面の異なる位置に配置された複数のマグネットピックアップを設定制御するための情報であるピックアップ用設定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記設定態様選択操作子で選択操作された設定態様を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した設定態様に対応するピックアップ用設定情報を前記記憶手段から読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて、前記複数のマグネットピックアップの設定制御を行う制御手段と、を備え、
前記複数のマグネットピックアップのコイルは、一対のコイルが直列に接続されて、当該接続点をTAP端子とし、
前記制御手段は、前記TAP端子の接地、非接地の制御をFETのゲートへの電圧印加で制御可能に構成され、
前記制御手段は、更に、
前記読み出し手段が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて行った前記複数のマグネットピックアップの設定に対して、新たに設定操作が行われた場合には、前記設定態様選択操作子で選択された設定態様に対応づけられているピックアップ用設定情報を、前記新たな設定操作に対応するピックアップ用設定情報で更新する、電子ギターの操作子設定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記設定態様選択操作子は、
回転式の操作子であることを特徴とする電子ギターの操作子設定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、
前記更新が行われる場合には、報知および/または表示を行う通知手段を備えたことを特徴とする電子ギターの操作子設定装置。
【請求項4】
電子ギターに設けられた複数のマグネットピックアップの設定を自動で行い、いずれかの設定態様を選択するための操作子である設定態様選択操作子と、所要の情報を記憶するためのメモリと、を備えた電子ギターの操作子設定装置に、
複数種類の設定態様のそれぞれと、ギターボディ表面の異なる位置に配置された複数のマグネットピックアップを設定制御するための情報であるピックアップ用設定情報とを対応付けてメモリに記憶する記憶機能と、
前記設定態様選択操作子で選択操作された設定態様を検出する検出機能と、 この検出機能が検出した設定態様に対応するピックアップ用設定情報をメモリから読み出す読み出し機能と、
前記読み出し機能が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて、前記複数のマグネットピックアップの設定制御を行う制御機能と、を実現するためのプログラムであり、
前記複数のマグネットピックアップのコイルは、一対のコイルが直列に接続されて、当該接続点をTAP端子とし、
前記制御機能は、前記TAP端子の接地、非接地の制御をFETのゲートへの電圧印加で制御可能であり、
前記制御機能は、更に、
前記読み出し機能が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて行った前記複数のマグネットピックアップの設定に対して、新たに設定操作が行われた場合には、前記設定態様選択操作子で選択された設定態様に対応づけられているピックアップ用設定情報を、前記新たな設定操作に対応するピックアップ用設定情報で更新する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器の操作子の設定を自動で行う装置に係わり、特に電子ギターに設けた各種の操作子の設定をプログラム選択操作子で選択した設定態様の設定情報に基づいた設定制御で行う装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はピックアップ装置について開示している(特許文献1参照。)。このピックアップ装置は、ハムバッカーピックアップ1とシングルコイルピックアップ2を一体に構成して、このピックアップ装置を電子ギターのボディまたはピックガードに取り付けるように構成し、ハムバッカーピックアップ1とシングルコイルピックアップ2の取り付け部分が単一となり、更に、ピックアップの切り換えは、簡単なスイッチ操作により可能であってハムバッカーピックアップ1とシングルコイルピックアップ2を所望に応じて付け換える必要が無くなる点に特徴がある。
【0003】
だが、従来の電子ギターにあっては、ピックアップの構成として各種の接続方法が実用化されており、各々の接続方法により音色が異なるため、これらを模擬するためには、切り替えスイッチの数を増やす必要がある。図8は、5個の切り替えスイッチを備えたエフェクタの模式的な構成図であり、S1、S2は、前側および後側マグネットピックアップのコイルのHOT端子とCOLD端子の位相切り替えスイッチ(連動式)、S3、S4はトーンスイッチ、S5は両ピックアップの選択スイッチである。接続態様に応じて異なる音色となる電子ギターを模擬するには例えば図8のような回路が必要であったが、電子ギターの演奏者が演奏中等に所望の音色をピックアップ接続態様に応じて選択することは困難であった。つまり、このような構成にすると、ピックアップ接続態様の選択幅は増加し、接続切り替えの度に音色や音量を調節しなければならず、スイッチの状態(2=32通り)の組合せと音色や音量の対応が複雑なので、設定の切り替えが煩雑なものとなる。また、COLD側を接地する構成やピックアップの出力を混合して出力する構成となる電子ギターでは図8に示す構成を模擬できないし、電子ギターを模擬するためにスッイチやボリューム等を増やすと更に複雑な構成となる。
【0004】
また、音色名に応じて複数のパラメータを切り替える外部エフェクタは存在したが、ピックアップの切り替えは無かった。センタータップの扱いによる音色の変化は外部のエフェクタや図8のトーンコントロール部のフィルタで静的な周波数特性は模擬することは可能であっても、外来ノイズの影響やピッキングを変化させた場合などのマグネットピックアップの飽和特性等の動特性を模擬することは困難であり、模擬の対象とした電子ギターとの操作感との差異があった。
【0005】
一方で、電子ギター用のデジタルエフェクタでは、音色切り替えを一つのスイッチの操作で行うために、CPUを用いてDSP内のフィルタ係数等のパラメータを複数同時に切り替えることが広く行われている。特許文献2によれば、電子ギターの複数の変換部の構造を簡素化することについての発明が開示されており、「電子ギターの回路構成が、回路全般を制御するCPU40と、プログラムおよび入力されたデータを格納するメモリ部41と、音量、音色、モード切り替えなどの各種スイッチを備えた操作スイッチ部42と、複数の弦4の弾弦操作による弦振動を楽音情報として検出する楽音検出部43とを備えており、電磁式のノーマルピックアップ部6とピエゾ素子のピックアップ部26を用いてハーフトーンを出力する」ことについて記載されている(特許文献2参照。)。
【0006】
また、この特許文献2には、「2つの異なる電気信号を加算すると基音成分が下がっても倍音が比率的に増大するので、クリアなジャズ、アコ―スティックサウンドなどに適した音を得ることができ、また、2つの異なる電気信号を減算すると基音成分が倍増しディスト―ションに対して深い歪をもたらすことができるので、音程感が増しロックなどに適した音を得ることができる」電子回路も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−202366号公報(第2−3頁、第1図)
【特許文献2】特開2014−206663公報(第8−13頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
結局、これらの従来技術によれば、複数のピックアップの出力の混合比を変えることを超える作用を得ることができず、電子ギターで用いられてきたピックアップの各種の接続方法を模擬することはできなかった。特に、ハムバッカーピックアップのセンタータップスイッチの動作による音色の変化については、外乱ノイズに対するコイルの方向による応答の違いなど、従来の電子ギターに慣れた演奏者に違和感を与えるものであった。
【0009】
本発明は、かかる従来の課題を解決するためになされたもので、演奏者の違和感が無いような設定態様で操作子の設定状態を予め定めておいて呼び出すことで、演奏者が操作子を設定する煩わしさを解消する操作子設定装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、電子ギターに設けられ、電子ギターの楽音信号を拾う複数のマグネットピックアップの設定を自動で行う装置であって、
いずれかの設定態様を選択するための操作子である設定態様選択操作子と、
複数種類の設定態様のそれぞれと、異なる位置に配置された複数のマグネットピックアップを設定制御するための情報であるピックアップ用設定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
定態様選択操作子で選択操作された設定態様を検出する検出手段と、
出手段が検出した設定態様に対応するピックアップ用設定情報を記憶手段から読み出す読み出し手段と、
み出し手段が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて、複数のマグネットピックアップの設定制御を行う制御手段と、を備え、
複数のマグネットピックアップのコイルは、一対のコイルが直列接続されて、当該接続点をTAP端子とし、
制御手段は、前記TAP端子の接地、非接地の制御をFETのゲートへの電圧印加で制御可能に構成され、
制御手段は、更に、
読み出し手段が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて行った複数のマグネットピックアップの設定に対して、新たに設定操作が行われた場合には、設定態様選択操作子で選択された設定態様に対応づけられているピックアップ用設定情報を、新たな設定操作に対応するピックアップ用設定情報で更新する構成とした。
【0011】
この構成によれば、記憶手段は、複数種類の設定態様のそれぞれと、前記複数の操作子を設定制御するための情報である設定情報とを対応付けて記憶する。設定態様選択操作子(プログラムセレクトスイッチ)によって、いずれかの設定態様を選択すると、検出手段は、設定態様選択操作子で選択された設定態様を検出し、読み出し手段は、この検出手段が検出した設定態様の設定情報を記憶手段から読み出す。そして、制御手段は、読み出し手段が読み出した設定情報に基づいて複数の操作子の設定制御を自動で行う。
【0012】
この結果、演奏者の違和感が無いような設定態様で操作子の設定状態を予め定めておいて呼び出することよって、操作子設定の煩わしさを解消することが可能となる。また、例えば、演奏者が最初から総ての操作子に対する設定をするのではなく、お勧めの基本設定態様等が提供されるため、機械スイッチ等による機械式操作子設定の煩わしさを解消することができる。初心者であっても操作子を使いこなせるようにしたり、演奏中の電子ギターに適用可能な設定態様が選択されている場合には演奏しながらの操作子設定を容易としている。
【0013】
前記電子ギターには楽音信号を拾う複数のピックアップが設けられ、
前記設定情報には、この複数のピックアップのいずれかを選択するかを定めるピックアップ用設定情報が含まれ、
前記制御手段は、
前記ピックアップ用設定情報を参照し、選択されたピックアップの楽音信号をそのまま又は加工して出力側に送る一方、選択しないピックアップの楽音信号を廃棄する構成とすることができる。
【0014】
この構成によれば、制御手段は、電子ギターに設けられた複数のピックアップのいずれを選択するかを定めるピックアップ用設定情報ピックアップ用設定情報を参照し、選択されたピックアップの楽音信号をそのまま又は加工して出力側に送る一方、選択しないピックアップの楽音信号を廃棄する。かくして、ピックアップの選択をソフトウエア的な処理のみで行うことができて、装置規模の簡素化や低コスト化等を図ることが可能となる。なお、ピックアップの選択は頻繁に行われるため、専用の機械操作子をギターボディ等に設け、このスイッチ操作に応じて強制的にピックアップ選択が行われるようにしても良いことは言うまでもない。
【0015】
また、前記複数の操作子の1又は複数をFET(電界効果型トランジスタ)制御動作で設定する構成とすれば、FETは電圧駆動型であるので電流駆動型に比して省電力化を図ることができるので好ましい。更に、前記設定態様選択操作子を、回転式操作子とすれば、電子ギターの演奏時に設定態様の選択操作がし易くなる。
【0016】
また、FETをセンターTAPスイッチとして用いると、通常オーディオ信号の切り替えに用いられるCMOSICによるアナログスイッチに比べて、低電源電圧で動作する点、片電源で動作する点、飽和特性がソフトである点等で優れていて電子ギターに適用して向いている。実際、電子ギターにデジタルエフェクタと共に本装置を組み込んだ場合、アナログ電源を単一化できるため、回路構成を簡素化できる。
【0017】
上記の装置において、前記制御手段は更に、
前記読み出し手段が読み出した設定情報に基づいて行った前記複数の操作子の設定に対して、新たに操作子の操作が行われた場合には、
前記設定態様選択操作子で選択された設定態様に対応づけられている設定情報を、前記新たな操作子の操作に対応する設定情報で更新することを特徴とする構成とするのも好ましい。
【0018】
この構成によれば、制御手段は、読み出し手段が読み出した設定情報に基づいて行った複数の操作子の設定に対して、新たに操作子の操作が行われた場合に、設定態様選択操作子で選択された設定態様に対応づけられている設定情報を、この新たな操作子の操作に対応する設定情報で更新する。この結果、提供された設定態様を基にしてこれに対して設定変更することで、新たな設定情報が記憶されることになる。したがって、最新の設定情報を記憶できるので、演奏者の便宜となると共に、最初は例えばお勧めの設定態様が提供されるようにすることができるので、演奏者が総ての操作子を最初から設定する手間を省ける利点も有する。
【0019】
前記更新が行われる場合には、報知および/または表示を行う通知手段を備えた構成とすれば、通知手段は、更新が行われる場合には報知および/または表示を行うので、電子ギターの演奏者は更新動作が行われた場合にはそれを確認することができる。
【0020】
また、本発明の他の態様は、電子ギターに設けられた複数のピックアップの設定を自動で行い、いずれかの設定態様を選択するための操作子である設定態様選択操作子と、所要の情報を記憶するためのメモリと、を備えた電子ギターの操作子設定装置に、
複数種類の設定態様のそれぞれと、異なる位置に配置された複数のマグネットピックアップを設定制御するための情報であるピックアップ用設定情報とを対応付けてメモリに記憶する記憶機能と、
定態様選択操作子で選択操作された設定態様を検出する検出機能と、
出機能が検出した設定態様に対応するピックアップ用設定情報をメモリから読み出す読み出し機能と、
み出し機能が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて、複数のマグネットピックアップの設定制御を行う制御機能と、実現するためのプログラムであり、
複数のマグネットピックアップのコイルは、一対のコイルが直列に接続されて、当該接続点をTAP端子とし、
制御機能は、前記TAP端子の接地、非接地の制御をFETのゲートへの電圧印加で制御可能であり、
制御機能は、更に、
読み出し機能が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて行った複数のマグネットピックアップの設定に対して、新たに設定操作が行われた場合には、設定態様選択操作子で選択された設定態様に対応づけられているピックアップ用設定情報を、新たな設定操作に対応するピックアップ用設定情報で上書き更新する、プログラムである。
【0021】
CPU、DSP等のプロセッサは、ROM等の記録媒体に記録されたこのプログラムを読み取って実行すると、電子ギターの操作子設定装置に、
複数種類の設定態様のそれぞれと、異なる位置に配置された複数のマグネットピックアップを設定制御するための情報であるピックアップ用設定情報とを対応付けてメモリに記憶する記憶機能と、
設定態様選択操作子で選択操作された設定態様を検出する検出機能と、
出機能が検出した設定態様に対応するピックアップ用設定情報をメモリから読み出す読み出し機能と、
み出し機能が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて、前記複数のマグネットピックアップの設定制御を行う制御機能と、実現する。また、複数のマグネットピックアップのコイルは、一対のコイルが直列に接続されて、当該接続点をTAP端子とし、制御機能は、前記TAP端子の接地、非接地の制御をFETのゲートへの電圧印加で制御可能であり、制御機能は、更に、読み出し機能が読み出したピックアップ用設定情報に基づいて行った複数のマグネットピックアップの設定に対して、新たに設定操作が行われた場合には、設定態様選択操作子で選択された設定態様に対応づけられているピックアップ用設定情報を、新たな設定操作に対応するピックアップ用設定情報で上書き更新する。
【0022】
したがって、記憶機能は、複数の設定態様のそれぞれと、電子ギターの複数の操作子を設定制御する設定情報とを対応付けて記憶装置に記憶する。設定態様選択操作子によって、いずれかの設定態様を選択すると、検出機能は設定態様選択操作子で選択された設定態様を検出し、読み出し機能は、この検出機能が検出した設定態様の設定情報を記憶機能から読み出す。そして、制御機能は読み出し機能が読み出した設定情報に基づいて、複数の操作子の設定制御を自動で行う。この結果、演奏者の違和感が無いような設定態様で操作子の設定状態を予め定めておいて呼び出することによって、機械スイッチや機械操作子等による多数の操作子設定の煩わしさを解消することができる。
【0023】
このようなプログラムをROM等の記録媒体に記録しておき、この記録したプログラムをCPUやDSP等のプロセッサ等が読み取って実行していくことによって、検出機能、読み出し機能、制御機能等の各機能を実現することが可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、演奏者の違和感が無いような設定態様で各操作子の設定状態を予め定めておいて呼び出することを可能とするという効果がある。また、演奏者が最初から総ての操作子に対する設定をするのではなく、お勧めの基本設定態様等が提供されるため、機械スイッチ等による機械式操作子設定の煩わしさを解消することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】電子ギターの操作子設定装置1の構成図である。
図2】電子ギター200の模式的な構成図である。
図3】プログラムに記憶する操作子設定態様の模式的な説明図である。
図4】プログラムに記憶する操作子設定態様の模式的な説明図である。
図5】動作を説明するフローチャートである。
図6】テーブル150の説明図である。
図7】マグネットピックアップのコイルの模式的な説明図である。
図8】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の実施形態の操作子設定装置1においては、操作子を電子スイッチや電子ボリューム等の電子デバイスで実現しこれを電子制御可能とし、操作子の設定状態を予め定めておいて呼び出する点に特徴がある。
【0027】
(電子ギター200の構成)
図2は、電子ギター(エレキギター)200のボディ近傍の模式的な説明図である。なお、ボディ周縁部等は図示していない。電子ギター200は、ボディと、これに繋がるネック220と、不図示のヘッドから成る。ネック220には、多数のフレット210がネック220の延在方向と直交する方向に設けられている。そして、ボディ表面には楽音信号を拾うピックアップや操作子が設けられている。ネック220側から、前側マグネットピックアップ2、後側マグネットピックアップ4およびピエゾピックアップ6の3個のピックアップがボディ表面に設けられている。6本の弦の一端側は、ピエゾピックアップ6のブリッジに固定されており、弦の他端側はヘッドに固定されていて、弦は張設されている。
【0028】
また、ボディ表面には音量を調節するためのボリューム60と、音質を調整するためのトーン調整ボリューム70と、3個のピックアップの内でいずれを楽音信号ピックアップ用に用いるかを選択するためのピックアップセレクトスイッチ75とが設けられている。また、楽音信号を出力するための出力ジャック80も設けられている。なお、図2に示す電子ギター200の構成は一例であり、例えばピックアップの種類や数を適宜変更したり、弦やフレットの数を変更することができる。
【0029】
図7は、マグネットピックアップ(前側マグネットピックアップ2、後側マグネットピックアップ4)を構成するコイルの模式的な説明図である。一対のコイルの一方側(図面左側)の下端の電圧を「COLD」とし、他方側(図面右側)の上端の電圧を「HOT」とする。そして、図面左側のコイルの上端と、他方側(図面右側)のコイルの下端とを接続し、その中間点(センターTAP端子とも称する)を「TAP」とする。このように決めた「COLD」、「TAP」、「HOT」が図1図3図4に示したものである。TAP端子を例えば接地したり、HOT電圧としたりして、センターTAP電圧の制御を行う。
【0030】
(操作子設定装置1の構成)
図1は本発明の一実施形態である「電子ギター200の操作子設定装置1」の構成図である。この操作子設定装置1は例えば小型の回路基板に搭載される電子回路などによって実現可能である。操作子設定装置1は、装置全体の動作を統括するCPU100と、CPU100が読み込むプログラムやデータ等を格納するメモリ90とを有している。また、操作子設定装置1は、電子ギター200のボディに設けられた前側マグネットピックアップ2が拾った電子ギターの楽音信号を増幅するアンプ20と、同じく電子ギター200のボディに設けられた後側マグネットピックアップ4が拾った電子ギターの楽音信号を増幅するアンプ22とを有していて、アンプ20およびアンプ22で増幅された楽音信号は、同一のA/D変換器30でアナログデジタル変換される。そして、このアナログデジタル変換された楽音信号はそれぞれCPU100に入力される。メモリ90は不揮発的記憶装置であり、プログラム90や後述する更新情報94などの所要のデータが不揮発的に記憶されている。
【0031】
前側マグネットピックアップ2および後側マグネットピックアップ4の二つのコイルのHOT端子はそれぞれ、アンプ20、アンプ22の入力側に接続されると共に、この二つのコイルのCOLD端子はそれぞれ接地されている。そして、前側マグネットピックアップ2のコイルのTAP端子は、FET10(電界効果型トランジスタ)のドレイン端子に接続され、FET10のソース端子は接地されている。そして、FET10のゲート端子はCPUの出力端子に接続されている。
【0032】
同様に、後側マグネットピックアップ4のコイルのTAP端子は、FET12(電界効果型トランジスタ)のドレイン端子に接続され、FET12のソース端子は接地されている。そして、FET12のゲート端子はCPU100の出力端子に接続されている。この構成によって、CPU100の出力端子を介してFET10、FET12のゲート端子に所定正電圧を印加することにより、電圧駆動でFET10、FET12をオン・オフすることができ、省電力を図ることができる。かくして、FET10、FET12がオンしてTAP端子が接地されてCOLD端子と同一電圧レベル(接地レベル)になったり、FET10、FET12がオフして、TAP端子がHOT端子と同一電圧レベル(ハイレベル)になったりする。
【0033】
更に、ピエゾピックアップ6が設けられていて、電子ギター200の1番目および2番目の弦から、このピエゾピックアップ6が拾った楽音信号はアンプ2で増幅され、また、電子ギター200の3番目の弦から6番目の弦までにおいて、このピエゾピックアップ6が拾った楽音信号はアンプ2で増幅される。そして、アンプ24、アンプ26で増幅された楽音信号はA/D変換器32でアナログデジタル変換され、このアナログデジタル変換された楽音信号はそれぞれCPU100に入力される。したがって、CPU100は、1〜2番目の弦振動による楽音信号(入力1)と、2〜6番目の弦振動による楽音信号(入力2)とを別々に扱うことが可能となり、例えば入力1と入力2に対して異なる信号処理を施すことが可能になる。
【0034】
また、CPU100によって各種の信号処理が施された楽音信号を、デジタルアナロ変換するD/A変換器40と、このD/A変換器40でデジタルアナログ変換された楽音信号を増幅するアンプ28と、このアンプ28で増幅されたアナログ楽音信号を出力するための出力ジャック80とを有している。そして、いずれかの設定態様(“プログラム”とも記す:装置1の動作プログラムとは異なる)を選択するための操作子である設定態様選択操作子としてのプログラムセレクトスイッチ50がCPU100に接続されている。また、楽音信号をデジタルアナログ変換するD/A変換器45を介してヘッドホンジャック85が接続されていて、このヘッドホンジャック85にヘッドホンのプラグを装着することによって、ヘッドホンで楽音を聞くことが可能となる。さらに、3つのピックアップのいずれかを選択する操作子であるピックアップセレクトスイッチ75がCPU100に接続されていて、このスイッチ75の選択操作によっても楽音信号を拾うピックアップを強制的に選択することが可能である。このスイッチ75によらずソフトウエアでピックアップを選択すること例えば選択したピックアップからの楽音信号のみを出力することも可能である。
【0035】
CPU100は、例えば演奏者がプログラムセレクトスイッチ50で選択したプログラム(設定態様)を把握する。例えば、プログラムセレクトスイッチ50で「6」番を選択する操作を行った場合には、CPU100は「6」番目に登録されている設定態様で各操作子(ボリューム60、トーン調整ボリューム70等)を自動設定する。プログラムセレクトスイッチ50は、回転式の操作子で成っており、ダイアル状に回転させる回転操作で設定態様が変更される構成である。よって、回転操作で設定態様が変化して、電子ギターの演奏時等設定態様の選択操作を行い易くなっている。
【0036】
また、出力音量を指示操作するためのボリューム60と、音質を調整するたトーン調整ボリューム70が設けられ、これらはCPU100と接続されている。そして、ボリューム60およびトーン調整ボリューム70のそれぞれの操作で音量、音質を操作指示すると、CPU100はこれを受け取って、楽音信号の出力音量、楽音信号の出力音質を操作指示されたように変更する。ボリューム60は回転式の操作子で成っており、右回りに回すほど大きい音量を指示する構成である。同様に、トーン調整ボリューム70は回転式の操作子で成っており、例えば右回りに回すほど高音の音質を指示する構成である。
【0037】
そして、ボリューム60やトーン調整ボリューム70の現在の状態が、プログラムセレクトスイッチ50で選択した「プログラム」で設定されるべき音量、音質とは異なる場合には、CPU100は強制的にボリューム60やトーン調整ボリューム70の指示量をその「プログラム」で指示される値とする。例えばボリューム60が現在「大音量」を指示している場合において、プログラムセレクトスイッチ50で選択した「プログラム」が「小音量」を指示した時には、ボリュームスイッチ60を強制的に左回りに回す。このための構成としては、例えばボリューム60の回転軸にアクチュエータの回転軸を連結しこのアクチュエータを制御する構成とすれば良い。一般的な電子ボリュームで構成可能である。
【0038】
また、トーン調整ボリューム70についても同様な構成とすることが可能である。なお、現在の状態と新たにプログラムセレクトスイッチ50で選択した「プログラム」における操作子の設定状態とが異なる場合にはこの事を通知する通知手段を設けて操作者に注意を喚起する構成とすることもできる。この通知手段としは例えばLED等の点灯デバイスの点灯等が挙げられる。
【0039】
図3図4は、プログラムセレクトスイッチ50で選択した「プログラム」における操作子設定態様の模式的説明図である。図3(a)は、プログラム番号「1」に対応する操作子設定態様の説明図である。プログラム番号「1」においてはA1〜A5までの5個の操作子の設定状態をメモリ90に予め記憶している。A1、A2はそれぞれ、前側マグネットピックアップ(FRONT Magnet Pickup)の音量調整操作子(VOLUME)A1、音質調整操作子A2(TONE)、また、A3、A4はそれぞれ、後側マグネットピックアップ(REAR Magnet Pickup)の音量調整操作子A3(VOLUME)、音質調整操作子A4(TONE)である。そして、A5は2つのピックアップのいずれを選択するかを設定するための操作子である。この操作子はギターボディに設けた機械的スイッチやソフトウエア処理によるもので、ソフトウエア処理による場合、CPU100が、複数のピックアップのいずれかを選択するかを定めるピックアップ用の設定情報を参照して、選択するように定められたピックアップからの楽音信号をそのまま又は加工したものを出力側に送る一方、選択しないピックアップからの楽音信号は廃棄する。このように、プログラム「1」番は、操作子A1〜A5に対する設定状態を予め定め、これを呼び出すようにしたものである。なお、図3図4において「C」で示すのはコンデンサである。
【0040】
次に、図3(b)は、プログラム番号「2」に対応する操作子設定態様の説明図である。プログラム番号「2」においては、B1〜B3までの3個の操作子の設定状態をメモリ90に予め記憶している。B2、B3はそれぞれ、音量調整操作子(VOLUME)、音質調整操作子(TONE)であり、B1は2つのピックアップ(FRONT Magnet Pickup、REAR Magnet Pickup)のいずれを選択するかを設定する操作子である。この操作子はギターボディに設けた機械式スイッチやソフトウエアによるものでソフトウエアによる場合には、例えばCPU100が、設定情報を参照して、選択するように定められたピックアップからの楽音信号を出力側に送る一方、選択しないピックアップからの楽音信号は廃棄する。このように、プログラム「」番は、操作子B1〜B3に対する設定状態を予め定め、これを呼び出すようにしたものである。
【0041】
同様に、図3(c)は、プログラム番号「3」に対応する操作子設定態様の説明図である。このプログラム番号「3」においてはC1〜C4までの4個の操作子の設定状態をメモリ90に予め記憶している。C1は3つのピックアップ(FRONT Magnet Pickup、REAR Magnet Pickup)のいずれを選択するかを設定する操作子である。CPU100が、複数のピックアップのいずれかを選択するかを定める設定情報を参照して、選択されるように定められたピックアップからの楽音信号を出力側に送る。また、C2は音量ボリューム、C3およびC4はそれぞれ、前側マグネットピックアップ、後側マグネットピックアップ(FRONT Magnet Pickup、REAR Magnet Pickup)に対する音質調整操作子C3、C4である。プログラム「3」番は、操作子C1〜C4に対する設定状態を予め定め、これを呼び出すようにしたものである。
【0042】
次に、図3(d)は、プログラム番号「4」に対応する操作子設定態様の説明図である。操作子D1、D2はそれぞれ前側マグネットピックアップ、後側マグネットピックアップ(FRONT Magnet Pickup、REAR Magnet Pickup)に対する中間TAPスイッチであり、TAP端子を接地又はハイ電圧とするものである。D3は、前側マグネットピックアップと後側マグネットピックアップ(FRONT Magnet Pickup、REAR Magnet Pickup)の選択操作によるもので、CPU100は、ピックアップ用の設定情報を参照して、選択するように定められたピックアップからの楽音信号を出力側に送る一方、選択しないピックアップからの楽音信号は廃棄する。もちろん、ギターボディに設けた機械式スイッチでピックアップを選択するよう構成とすることができる。D4は音量ボリュウーム、D5は音質調整操作子である。プログラム「4」番は、操作子D1〜D5に対する設定状態を予め定め、これを呼び出すようにしたものである。
【0043】
図4(a)は、プログラム番号「5」に対応する操作子設定態様の説明図である。操作子E1、E2はピックアップ選択、位相、混合(SELECT,PHASE,MIX)を選択するもの、E3およびE4はそれぞれ、音量ボリュウーム、音質調整操作子である。このように、プログラム「5」番は、操作子E1〜E5に対する設定状態を予め定め、これを呼び出すようにしたものである。図4(b)は、図1に示した構成の電子ギター200に対応し、この構成の電子ギター200の場合にはプログラム番号「6」番のプログラムを読み出す。操作子F1、F2はそれぞれ、前側マグネットピックアップ、後側マグネットピックアップのTAP端子を接地又はハイ電圧とする中間端子電圧設定用の操作子であり、また、操作子F3は前側マグネットピックアップ、後側マグネットピックアップの内のいずれを選択するソフトウエアによるもので、ギターボディに設けたピックアップセレクトスイッチ75の操作に応じていずれのピックアップが選択される。
【0044】
この構成においては、ピエゾピックアップを選択するピエゾピックアップ選択スイッチF6の設定情報や2つのマグネットピックアップの選択スイッチF3の選択設定情報、操作子F4の音量設定情報、操作子F5の音質設定情報等を、プログラム番号「6」のプログラムを読み出すものである。そして、この構成によれば、前側マグネットピックアップと後側マグネットピックアップ2個のマグネットピックアップにおける選択操作や、これに更にピエゾ式ピックアップ6を加えた3個のピックアップにおける選択操作の基本設定態様が提供されるので、電子ギター200の操作性が向上する。音量設定、音質設定等が瞬時で行われて演奏にバリエーションを与えることも可能になると共に、演奏者は操作子設定の煩わしさから解放される。
【0045】
そして、図4(c)は、プログラム番号「7」に対応する操作子設定態様の説明図である。操作子G1、G2はTAP端子電圧設定用の操作子、G5、G6はそれぞれ前側マグネットピックアップに対する音量調整、音質調整のための操作子であり、また、G7、G8はそれぞれ前側マグネットピックアップに対する音量調整、音質調整のための操作子である。G9は両ピックアップの内のいずれかを選択するための選択操作子であり、CPU100が、選択するピックアップからの楽音信号を出力側に送る一方、選択しないピックアップからの楽音信号は廃棄する処理を行ったりするか、あるいは、ギターボディに機械的スイッチを設け、演奏者によるスイッチ操作に応じてピックアップ選択が行われる。そして、操作子G3、G4は位相を検出するか否かを指示する操作子である。このように、プログラム「7」番は、操作子G1〜G9に対する設定状態を予め定め、これを呼び出すようにしたものである。
【0046】
以上のように、プログラムセレクトスイッチ50を操作して番号「1」から「7」までのプログラムのいずれかを選択すると、対応する操作子の設定情報が呼び出されて、これで電子ギターが備える複数の操作子のそれぞれを設定する。また、前側マグネットピックアップ2の楽音信号又は後側マグネットピックアップ4の楽音信号のいずれかを選択する場合において、マグネットピックアップ2の楽音信号を選択する場合には、CPU100は、この前側マグネットピック2からの楽音信号に対して所要の信号処理を施した楽音信号のみをD/A変換器40に送る。一方、後側マグネットピックアップ4の楽音信号を選択する場合には、CPU100は、この後側マグネットピック4からの楽音信号に対して所要の信号処理を施した楽音信号のみをD/A変換器40に送る。あるいは機械式スイッチを設け演奏者によるスイッチ操作に応じて強制的にピックアップ選択を行う構成としている。
【0047】
(動作)
次に、電子ギター200の操作子設定装置1の動作について説明する。CPU100の動作によって、メモリ90は、複数種類の設定態様のそれぞれと、電子ギターの複数の操作子を設定制御するための情報である「設定情報」とを対応付けて記憶する。本実施形態では、プログラム番号「1」からプログラム番号「7」における、各操作子の設定情報がメモリ90記憶される。図6に示すテーブル150のように記憶される。このテーブル150はメモリ90に格納されている。テーブル160は、プログラムセレクトスイッチ50で選択可能な各プログラム番号と設定情報とを対応付けて記憶している。なお、専用の情報書き込み可能な操作子を設け、テーブル160の記憶内容を書き込む変更することも可能であるが、この場合には多数のプログラム(設定態様)を記憶する構成とするのが情報書き込み操作子を不要にするので好ましい。
【0048】
図5に示すように、先ず、CPU100は、いずれかの設定態様を選択するための操作子であるプログラムセレクトスイッチ50で選択操作された設定態様を検出する(ステップ100)。次いで、CPU100は、検出した設定態様の設定情報をメモリ90に格納されたテーブル150から読み出す(ステップ150)。そして、CPU100は、読み出した設定情報に基づいて複数の操作子の設定制御を行う(ステップS200)。
【0049】
例えば、プログラムセレクトスイッチ50が選択し得る選択態様が「1」から「7」の7種類あるとする。プログラムセレクトスイッチ50を操作して、設定態様「6」つまり6番目の設定態様を選択した場合を想定する。プログラム番号「6」に対応する設定情報をテーブル150から読み出して、各操作子を設定する。具体的には、中間TAPの電圧選択操作子の設定、前側マグネットピックアップ2および後側ピックアップ4のいずれかの選択操作子の設定、ボリューム60およびトーン調整ボリューム70の設定、ピエゾピックアップ6の選択設定を実行する。また、ピックアップの選択操作は、選択するピックアップからの楽音信号を有効としてD/A変換器40に送る一方、選択しないピックアップからの楽音信号は廃棄する。あるいは、ギターボディに設けた特別のスイッチの操作に応じて、ピックアップの強制的な選択設定を行う。
【0050】
図6に示す設定情報によれば、CPU100は、前側マグネットピックアップ2、後側ピックアップフロント側4およびピエゾピックアップ6の内で、F6は選択なしでF3は「リア」つまり、後側マグネットピックアップ4のみを選択するので、この後側マグネットピックアップ4からの楽音信号を有効なものとして扱う。
【0051】
また、前側マグネットピックアップ2に対するコイルの中間TAP端子を「接地」するために、CPU100はFET10のゲートにハイ電圧を印加する。その結果、FET10のソース端子とドレイン端子とが導通してドレイン電圧、即ちTAP端子電圧が接地状態になる。一方、後側マグネットピックアップ4に対するコイルの中間TAP端子を「ハイ電圧」にするために、CPU100はFET10のゲートにロー電圧を印加するかあるいは何もしない。その結果、FET12のソース端子とドレイン端子とが分離してドレイン電圧、即ち、TAP端子電圧がハイ電圧状態になる。そして、CPU100は、ボリューム60の音量を例えば10段階の「3」に設定し、トーン調整ボリューム70の音質を10段階の「2」に設定する。
【0052】
以上に説明してきたように、本実施形態によれば、メモリ90は、複数種類の設定態様(設定パターン)のそれぞれと、電子ギターの複数の操作子を設定制御するための設定情報とを対応付けて記憶し、プログラムセレクトスイッチ50(設定態様選択操作子)によって、いずれかの設定態様を選択すると、CPU100は、プログラムセレクトスイッチ50で選択操作された設定態様を検出し、検出した設定態様に対応する設定情報をメモリ90から読み出す。そして、CPU100は、この読み出した設定情報に基づいて、ボリューム60、トーン調整ボリューム70等の複数の操作子の設定制御を自動で行う。
【0053】
この結果、演奏者の違和感が無いような設定態様で操作子の設定状態を予め定めておけばこれを呼び出して、設定態様に対するギター操作子の設定を好みのものとすることを可能となり、操作子設定の煩わしさを解消することが可能となる。また、演奏者が最初から総ての操作子に対する設定をするのではなく、お勧めの基本設定態様等が提供されるため、機械スイッチ等による機械式操作子設定の煩わしさを解消することができる。また、CPU100は、電子ギター200に設けられた複数のピックアップのいずれかを選択するかを定める設定情報を参照し、選択するピックアップの楽音信号を出力側に送る一方、選択しないピックアップの楽音信号を廃棄するので、ピックアップの選択をソフトウエア的な処理のみで行うことができて、装置規模の簡素化や低コスト化等を図ることが可能となる。もちろん、ピックアッピ選択用の機械的スイッチをギタボディ等に設けてこの操作によって強制的に選択可能としても良い。
【0054】
また、CPU100は複数のピックアップが拾った楽音信号を混合した、いわゆるハーフトーンの楽音信号を生成して出力する構成とすることができる、つまり、ミックスバランスを調整できる。この結果、例えばマグネットピックアップおよびピエゾピックアップのそれぞれが拾った楽音信号を混合した楽音信号をそのまま又は加工して出力することができ、音楽性に富む楽音信号を生成することができるといった効果も得ることができる。
【0055】
(変形例)
上述した構成に追加して以下のような変形例を得ることも可能である。
(1)CPU100が読み出した設定情報に基づいて行った、ボリューム60、トーン調整ボリューム70等の操作子の設定に対して、演奏者によって新たに操作子の操作が行われた場合には、プログラムセレクトスイッチ50で選択された設定態様に対応づけられている設定情報を、上記の新たな操作子の操作に対応する設定情報で更新する(新たな設定情報は更新情報94となる)構成とするのも好ましい。この構成によれば、最新の設定情報を記憶できるので、演奏者の便宜となる。
【0056】
(2)この更新が行われる場合には、報知および/または表示を行うLED85やチャイムを備えた構成とすれば、LED85やチャイムは、更新が行われる場合に報知または表示を行うので、ギター演奏者は更新動作が行われた場合にはそれを確認することができる。
【0057】
(3)図1の構成によれば、CPU100が、前側マグネットピックアップ2および後側ピックアップ4の内のいずれかが拾った楽音信号と、ピエゾピックアップ6が拾った楽音信号とを混合して、ハーフトーン信号を出力することができる。この結果、演奏時におけるハーフトーンの出力切り替え等を容易に行うことが可能になる。
【0058】
また、以上述べてきたような操作子設定装置1の動作は、CPU100がメモリ90に記録された装置動作プログラム92を実行することによって実現することが可能である。また、以上の実施形態において様々な変形例が挙げられる。例えば、ピックアップの種類を変更したり、プログラムセレクトスイッチ50を回転式操作子以外のものとする、等が挙げられるが、本発明の範囲はここに記載したもののみではないことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明してきたように、本発明の操作子設定装置は、音楽分野、特に電子ギターに適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 操作子設定装置
2 前側マグネットピックアップ
4 後側マグネットピックアップ
6 ピエゾピックアップ
10 FET
12 FET
30 A/D変換器
32 A/D変換器
40 D/A変換器
45 D/A変換器
50 プログラムセレクトスイッチ
60 ボリューム
70 トーン調整ボリューム
80 出力ジャック
85 ヘッドホンジャック
90 メモリ
92 プログラム
100 CPU
150 テーブル
200 電子ギター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8