(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明にかかるリング締結装置、当該リング締結装置により製造されるコネクタ付ホース、および当該コネクタ付ホースに用いられるリング部材の実施形態について説明する。
【0010】
[リング締結装置の構成]
図1は、本発明にかかるリング締結装置の一実施形態を模式的に示す上面図であり、
図2は、本発明にかかるリング締結装置の一実施形態を模式的に示す側面図である。本実施形態のリング締結装置1は、コネクタが挿入されたホースに外嵌されている環状のリング部材をかしめ機構50により縮径させることで、ホースとコネクタとを互いに固定して、コネクタ付ホースを製造する装置である。なお、本明細書における「外嵌」とは、リング部材がホースに対して相対移動可能な程度に、ホースの外周面とリング部材の内周面との間に若干の隙間がある場合をも含む概念である。
【0011】
リング締結装置1は、主に、ホースが載置される第1ステージ10および第2ステージ20、リング部材を位置決めするためのリング位置決め部30、第2ステージ20を第1ステージ10に対して離接する方向(
図1、2の矢印の方向)に移動させる駆動機構40、リング部材を縮径させるためのかしめ機構50、ならびに駆動機構40およびかしめ機構50の動作を制御する制御手段60を有して構成される。
【0012】
第1ステージ10の上面には収容溝11が形成されており、コネクタが挿入されたホースのうちコネクタ側の一部が収容溝11に収容される形態で、第1ステージ10にホースが載置される。第1ステージ10は、支持部材12によって固定支持されている。
【0013】
第2ステージ20は、第1ステージ10から離間して配置されており、第2ステージ20には、コネクタが挿入されたホースのうちコネクタ側と反対側の一部が載置される。第2ステージ20は、非導電性の樹脂等からなるプレート部材21に、導電性の金属からなる2つの導電部材22が取り付けられた構成となっている。プレート部材21は、支持部材23によって、第1ステージ10に対して離接する方向に移動可能に支持されている。具体的には、制御手段60により駆動機構40が駆動されることで、プレート部材21が支持部材23に対して略水平に相対移動し、第2ステージ20が第1ステージ10に近づいたり、遠ざかったりすることが可能となっている。駆動機構40としては、例えば、エアシリンダを採用することができる。
【0014】
図3は、導電部材22の形状を示す斜視図である。2つの導電部材22は、第2ステージ20の移動方向から見て、互いに離間した状態で左右対称に配置されており、両者間には電流が流れないようになっている。導電部材22は、プレート部材21に固定される底部22aと、第2ステージ20の移動方向に沿って、底部22aから立設された壁部22bとを有する。壁部22bのうち第1ステージ10側の先端部は、上記移動方向と直交する方向に突出した当接部22cとなっており、後述するように、この当接部22cがリング部材に当接可能となっている。
【0015】
コネクタが挿入されたホースのうちコネクタ側と反対側の部分は、互いに対向する2つの壁部22bの間に載置される。ここで、上述の当接部22cは、載置されたホースに向かって突出しており、2つの導電部材22の当接部22cの間の間隔は、ホースの外径よりもわずかに大きい程度となっている。このため、第2ステージ20に載置されたホースの動きが当接部22cによってある程度規制され、後述のかしめ動作の際に、ホースが径方向にずれることを抑制可能となっている。
【0016】
図1に戻って、プレート部材21には、第2ステージ20の移動量を検出する移動量検出センサ24が設けられており、この移動量検出センサ24は、制御手段60と電気的に接続されている。また、各導電部材22には、各導電部材22が通電状態となったことを検出するための電流検出センサ25が設けられており、この電流検出センサ25は制御手段60と電気的に接続されている。
【0017】
ここで、各導電部材22が通電状態となる仕組みについて説明する。各導電部材22には、常に所定の電圧がかかっており、導電部材22が導電性のリング部材を導電性のリング位置決め部30(詳細には後述する付勢片31)に当接させることによって、導電部材22、リング部材およびリング位置決め部30が互いに接触して電気回路が形成され、各導電部材22が通電状態となる。一方、導電部材22がリング部材をリング位置決め部30に当接させておらず、上記電気回路が形成されていない場合には、各導電部材22は通電状態とはならない。
【0018】
図4は、リング位置決め部30を第2ステージ20の移動方向から見た図である。リング位置決め部30は、リング部材の位置決めを行う部位であり、第1ステージ10に取り付けられている。リング位置決め部30は、少なくとも2つ(本実施形態では2つ)の付勢片31を有しており、少なくとも2つの付勢片31でホースHを挟み込むように構成されている。特に、本実施形態では、第2ステージ20の移動方向から見て左右対称となるように2つの付勢片31を離間配置することで、ホースHを左右から均等に付勢できるようになっている。
【0019】
各付勢片31は、バネ支持部32に取り付けられたバネ33によって、ホースHの内側に向かって付勢されており、その付勢力によって支軸34を中心にホースHを押さえつける方向に回動する。付勢片31のうちホースHと接触する部分は、ホースHの輪郭に概ね一致する円弧状の切欠部31aとなっており、付勢片31の内周面とホースHの外周面との間にはほとんど隙間が生じないようになっている。2つの付勢片31の間の上方は開放されており、この上方からホースHを押し込んで、2つの付勢片31の間に配置することができる。
【0020】
図2に戻って、第1ステージ10の上方には、第1ステージ10に載置されたコネクタを上方から押さえて、コネクタ、ひいてはコネクタが挿入されたホースを動かないように固定する固定手段70が設けられている。固定手段70は、コネクタを押さえて固定するための固定部71と、この固定部71を上下方向に操作するためのレバー72とを有している。
【0021】
[コネクタ付ホースの製造方法]
以上のように構成されたリング締結装置1を用いて、ホースとコネクタとをリング部材で互いに固定したコネクタ付ホースを製造する手順について説明する。
図5は、コネクタ付ホースの製造工程を示すフローチャートであり、
図6は、コネクタ付ホースの製造工程を模式的に示す上面図である。
【0022】
コネクタ付ホースを製造するに際しては、まず、一端にコネクタCが挿入されるとともに、リング部材Rが外嵌されたホースHを準備し、オペレータが、このホースHを第1ステージ10と第2ステージ20とにわたって載置する(ステップS101、
図6(a)参照)。このとき、コネクタCは第1ステージ10の収容溝11に収容され、コネクタCが挿入される側と反対側のホースHの大部分が第2ステージ20に載置される。また、リング部材Rは、第2ステージ20とリング位置決め部30との間に位置させられる。そして、固定手段70(
図2参照)のレバー72を操作し、固定部71を下方に移動させることにより、固定部71の下端部でコネクタCを押さえて固定する。オペレータは、ここまでの作業を完了すると、不図示のスイッチを押し、リング締結装置1を作動させる。
【0023】
制御手段60は、スイッチが押されたことを認識すると(ステップS102においてYES)、駆動機構40を作動させて第2ステージ20を第1ステージ10側(リング位置決め部30側)に向かって移動させる(ステップS103)。第2ステージ20の先端部(導電部材22の当接部22c)がリング部材Rに当接すると、リング部材Rは2つの当接部22cによりそのまま押されて、やがてリング位置決め部30の付勢片31の端面に当接する(
図6(b)参照)。
【0024】
当接部22cにより押されているリング部材Rが付勢片31に当接すると、導電部材22が通電状態となり、電流検出センサ25により電流が検出される。そこで、制御手段60は、2つの導電部材22にそれぞれ設けられた2つの電流検出センサ25により電流が検出されたか否かを判断する(ステップS104)。
【0025】
2つの電流検出センサ25により電流が検出されたということは、
図6(b)に示すように、リング部材Rの軸方向がホースHの軸方向と略一致した状態で、リング部材Rが適切に位置決めされたことを意味する。一方、例えば、
図7に示すように、リング部材7の一部が付勢片31の内周面とホースHの外周面との間に挟まり、リング部材7の軸方向がホースHの軸方向に対して傾いているような場合には、電流検出センサ25により電流が検出されない状態となる。
【0026】
つまり、ステップS104により、リング部材Rがリング位置決め部30によって適切に位置決めされたか否かを判定することができる。なお、所定時間または所定回数、ステップS104においてNOと判断される状態が継続する場合には、
図7に示すような不具合が生じていると考えられるので、不図示の警報ランプ等で異常を報知した後、リング締結装置1を強制終了するようにしてもよい。
【0027】
また、ステップS104と同時並行でステップS105が実行される。ステップS105では、制御手段60は、移動量検出センサ24(
図1参照)により検出される第2ステージ20の移動量が、所定の範囲内か否かを判断する。ここで、「所定の範囲」とは、リング部材Rの位置決めが正しく行われた場合に、第2ステージ20が
図6(a)の位置から
図6(b)の位置まで移動するはずである移動量に対して、許容幅をもって決められる範囲である。許容幅は、例えば、リング部材Rの幅寸法の公差や、移動量検出センサ24の検出誤差等を加味して決めることができる。
【0028】
第2ステージ20の移動量が所定の範囲内に収まる場合は、正しい幅寸法のリング部材Rが適切に位置決めされたことを意味する。一方、第2ステージ20の移動量が所定の範囲内に収まらない場合には、例えば、正しいリング部材Rとは幅寸法の大きく異なる、誤った種類のリング部材Rを用いた可能性があると考えられる。したがって、第2ステージ20の移動量が所定の範囲外の場合には、不図示の警報ランプ等で異常を報知してから、リング締結装置1の動作を終了する。
【0029】
2つの電流検出センサ25により電流が検出され、かつ、第2ステージ20の移動量が所定の範囲内の場合(ステップS104およびステップS105の両方においてYESと判断された場合)には、かしめ機構50が作動され、かしめ機構50の締結爪51によりリング部材Rが縮径されるかしめ動作が実行される(ステップS106、
図6(c)参照)。その結果、適切に位置決めされたリング部材Rがかしめられ、リング部材RによりホースHとコネクタCとが良好な状態で固定されたコネクタ付ホースHCを製造することができる。
【0030】
[リング部材の詳細な形状]
図8は、リング部材Rの詳細な形状を示す側面図である。本実施形態で用いるリング部材Rの外周面には、端に向かうほど径方向外側に広がる形状となっている端部R1と、両側の端部R1に挟まれた中央部R2とが形成されている。ここで、かしめ機構50は、リング部材Rに対して、例えば、四方平行かしめ等のかしめを行うための締結爪51を複数有している。締結爪51は、リング部材Rの周方向に沿って配置されており、リング部材Rの外周面に対向する押圧部51aでリング部材Rを径方向内側に押圧することで、リング部材Rを縮径させることができる。
【0031】
両端部R1の間の中央部R2は、概ね平坦であり、締結爪51の押圧部51aと同等の幅を有している。ここで、第2ステージ20およびリング位置決め部30に挟まれた状態で適切な位置決めがなされても、リング部材Rはなお微動する余地が残っている場合がある。このような場合においても、締結爪51がリング部材Rの外周面を押圧する際に、締結爪51の角が外拡がり形状になっている両端部R1に接触することで、中央部R2が押圧部51aに対向するように、リング部材Rの幅方向の位置が微調整される。その結果、リング部材Rを精度よくかしめることが可能となる。なお、中央部R2の幅と押圧部51aの幅とが「同等」であるとは、厳密にこれらの幅が一致することに限定されず、上述の作用効果を奏するのに支障がない程度に若干の差が存在することも許容するものである。
【0032】
[効果]
以上のように、本実施形態のリング締結装置1によれば、リング位置決め部30が、ホースHの内側に向かって付勢される付勢片31を有しており、リング部材Rが付勢片31の端面に当接することで位置決めされる。付勢片31がホースHの内側に向かって付勢されていることで、付勢片31の内周面とホースHの外周面との間にはほとんど隙間が生じず、リング部材Rがその隙間に入り込む余地を大きく低減することができる。したがって、リング部材Rを狙い通りの姿勢で付勢片31(リング位置決め部30)に当接させることができ、ひいてはリング部材Rを適切に位置決めすることができる。
【0033】
また、本実施形態では、付勢片31は少なくとも2つ設けられており、少なくとも2つの付勢片31でホースHを挟み込むように構成されているので、ホースHを付勢片31によって良好に固定することができる。ただし、付勢片31を複数設けることは必須ではなく、1つの付勢片31によってホースHを壁等に押し付けるようにしてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、制御手段60は、第2ステージ20の先端部に設けられた複数の導電部材22のすべてが、リング部材Rを付勢片31に当接させることで通電状態となった場合に、かしめ機構50を作動させる。このため、リング部材Rがリング位置決め部30に当接することによって確実に位置決めされた状態で、リング部材Rをかしめることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、制御手段60は、複数の導電部材22のすべてが通電状態になるとともに、移動量検出センサ24により検出された第2ステージ20の移動量が所定の範囲内である場合に、かしめ機構50を作動させる。このため、リング部材Rが正しい種類のものであることが確認でき、幅寸法の異なる間違った種類のリング部材Rをかしめてしまうことを回避できる。
【0036】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記実施形態の要素を適宜組み合わせまたは種々の変更を加えることが可能である。
【0037】
例えば、上記実施形態では、リング位置決め部30を第1ステージ10に取り付けるものとしたが、リング位置決め部30を第1ステージ10から離間させて独立に設けることも可能である。
【0038】
また、上記実施形態では、2つの付勢片31がともにバネ33により付勢されるものとしたが、一方の付勢片31は固定され、他方の付勢片31のみが付勢されるようにしてもよい。また、付勢片31の数や配置を適宜変更してもよいことは言うまでもない。
【0039】
また、上記実施形態では、コネクタCが挿入されたホースHのうちコネクタC側を第1ステージ10に載置するものとしたが、コネクタC側を第2ステージ20に載置するようにしてもよい。