特許第6497779号(P6497779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497779
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】操作者判定装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/25 20130101AFI20190401BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20190401BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20190401BHJP
   H01H 13/20 20060101ALI20190401BHJP
   F02N 15/00 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   B60R25/25
   G06T1/00 400H
   G06T7/00 510B
   G06T7/00 530
   H01H13/20 A
   F02N15/00 F
   F02N15/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-177368(P2015-177368)
(22)【出願日】2015年9月9日
(65)【公開番号】特開2017-52380(P2017-52380A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2018年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(72)【発明者】
【氏名】稲波 雄一
(72)【発明者】
【氏名】三村 裕紀
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−115513(JP,A)
【文献】 特開2008−174095(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01849644(EP,A1)
【文献】 特開2007−264958(JP,A)
【文献】 特開平09−265528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00−25/40
F02N 15/00
G06T 1/00
G06T 7/00
H01H 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ボタンを押し込むことによってオン操作及びオフ操作がなされるスイッチと、
前記オン操作及び前記オフ操作の際、前記操作ボタンに接触する操作者の操作指の生体情報を読み取る生体情報読取部と、
前記オン操作及び前記オフ操作時の操作感を生成する操作感生成部と、
生体情報の照合元となる登録生体情報を生成するために第1のオン操作時に読み取られた生体情報の特徴点の数が予め定められた数よりも少ない場合、前記第1のオン操作に続く第1のオフ操作の操作感を前記第1のオン操作の操作感と異ならせるため、前記第1のオフ操作時に前記操作ボタンを押し込む際の操作荷重を前記第1のオン操作時よりも大きくさせて読み取られた前記第1のオフ操作時の生体情報に基づいて前記登録生体情報を生成する制御部と、
を備えた操作者判定装置。
【請求項2】
さらに前記操作ボタンに付加された前記操作荷重を検出する荷重センサを備え、
前記操作感生成部は、前記荷重センサに検出された前記操作荷重が予め定められた第1の荷重しきい値より大きい場合、前記操作ボタンに振動を付加して前記操作感を生成し、
前記制御部は、前記第1のオン操作時に読み取られた前記生体情報の特徴点の数が前記予め定められた数よりも少ない場合、前記操作荷重が前記第1の操作荷重しきい値よりも大きい第2の操作荷重しきい値より大きくなってから前記振動を前記操作ボタンに付加するように前記操作感生成部を制御する、
請求項1に記載の操作者判定装置。
【請求項3】
前記操作感生成部は、前記操作ボタン側に配置された第1のコイルと、前記第1のコイルと対向して前記スイッチの本体側に配置された第2のコイルと、を有し、
前記制御部は、前記第1のオン操作時に読み取られた前記生体情報の特徴点の数が前記予め定められた数よりも少ない場合、前記第1のオフ操作時に前記第1のコイルと前記第2のコイルの相互作用による反発力を生成することにより前記第1のオフ操作時の前記操作荷重を前記第1のオン操作時よりも大きくさせる、
請求項1に記載の操作者判定装置。
【請求項4】
操作者の登録操作を受け付け、前記登録操作を行った操作者を登録者として当該登録者の生体情報と関連付けて登録生体情報として登録させる登録部と、
前記登録生体情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記制御部は、前記生体情報読取部が読み取った生体情報と前記記憶部に記憶された前記登録生体情報とを照合して当該生体情報を有する操作者が前記登録生体情報を登録した登録者であるか否かを判定する、
を備えた請求項1乃至3のいずれか1項に記載の操作者判定装置。
【請求項5】
前記車両に搭載された複数の車載装置ごとに行われた設定とこの設定を行った登録者とを関連付けた車両設定テーブルを生成する車両設定テーブル生成部を有し、
前記制御部は、前記スイッチを操作した操作者が登録者であったと判定した場合、前記車両設定テーブルに基づいて当該登録者が登録した設定を読み出して車両設定情報として出力する、
請求項4に記載の操作者判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、駆動源の始動や停止を指令する始動スイッチと、駆動源を始動させる始動手段と、指紋を読み取る指紋センサと、指紋センサ、始動スイッチからの入力に基づいて始動手段の作動を制御する始動処理を実行する制御手段と、を備えた始動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この始動制御装置の制御手段は、始動スイッチにより始動が指令されたときに、始動手段による始動を実行する前に、指紋センサが読み取った指紋と予め登録された登録指紋とによる指紋照合を行い、一致判定がなされると、利用者が正当な利用者であると認証して始動手段による始動を許可する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−174095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の始動制御装置は、例えば、読み取った登録指紋の面積が小さいなどの理由で登録指紋の特徴点が少ない場合、再度指紋を読み取らせようと始動スイッチを触らせることは、意図しない駆動源の停止などを指令する可能性があり困難であるので、照合に適さない登録指紋のままで照合を行わなければならず、指紋照合における判定精度が低くなってしまう。
【0006】
従って、本発明の目的は、照合に適した生体情報を読み取ることができる操作者判定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、操作ボタンを押し込むことによってオン操作及びオフ操作がなされるスイッチと、オン操作及びオフ操作の際、操作ボタンに接触する操作者の操作指の生体情報を読み取る生体情報読取部と、オン操作及びオフ操作時の操作感を生成する操作感生成部と、生体情報の照合元となる登録生体情報を生成するために第1のオン操作時に読み取られた生体情報の特徴点の数が予め定められた数よりも少ない場合、第1のオン操作に続く第1のオフ操作の操作感を第1のオン操作の操作感と異ならせるため、第1のオフ操作時に操作ボタンを押し込む際の操作荷重を第1のオン操作時よりも大きくさせて読み取られた第1のオフ操作時の生体情報に基づいて登録生体情報を生成する制御部と、を備えた操作者判定装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、照合に適した生体情報を読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、第1の実施の形態に係る車両設定装置のブロック図の一例であり、図1(b)は、車両設定装置の生体情報読取部の配置の一例を示す概略図である。
図2図2(a)は、第1の実施の形態に係る車両設定装置のスタートスイッチの要部断面図の一例であり、図2(b)及び図2(c)は、読み取られた指紋パターンの一例を示す概略図である。
図3図3は、第1の実施の形態に係る車両設定装置が含まれる車両の車両設定システムのブロック図の一例である。
図4図4は、第1の実施の形態に係る車両設定装置の車両設定テーブル生成部が生成する車両設定テーブルの一例を示す概略図である。
図5図5は、第1の実施の形態に係る車両設定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の実施の形態に係る車両設定装置のブロック図の一例である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第2の実施の形態に係る車両設定装置のスタートスイッチの要部断面図の一例である。
図8図8は、第2の実施の形態に係る車両設定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る操作者判定装置は、操作ボタンを押し込むことによってオン操作及びオフ操作がなされるスイッチと、オン操作及びオフ操作の際、操作ボタンに接触する操作者の操作指の生体情報を読み取る生体情報読取部と、オン操作及びオフ操作時の操作感を生成する操作感生成部と、生体情報の照合元となる登録生体情報を生成するために第1のオン操作時に読み取られた生体情報の特徴点の数が予め定められた数よりも少ない場合、第1のオン操作に続く第1のオフ操作の操作感を第1のオン操作の操作感と異ならせるため、第1のオフ操作時に操作ボタンを押し込む際の操作荷重を第1のオン操作時よりも大きくさせて読み取られた第1のオフ操作時の生体情報に基づいて登録生体情報を生成する制御部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この操作者判定装置は、オン操作時に読み取られた生体情報の特徴点の数が少ない場合、オン操作よりも押し込み荷重が大きくて操作ボタンに対する接触面積が大きくなるオフ操作において読み取った生体情報から登録生体情報を生成することができる。従って操作者判定装置は、特徴点が多くて照合に適した登録生体情報を用いて照合を行うことができるので、照合の判定精度が向上する。
【0012】
[第1の実施の形態]
(車両設定装置1の全体構成)
図1(a)は、第1の実施の形態に係る車両設定装置のブロック図の一例であり、図1(b)は、車両設定装置の生体情報読取部の配置の一例を示す概略図である。図2(a)は、第1の実施の形態に係る車両設定装置のスタートスイッチの要部断面図の一例であり、図2(b)及び図2(c)は、読み取られた指紋パターンの一例を示す概略図である。図3は、第1の実施の形態に係る車両設定装置が含まれる車両の車両設定システムのブロック図の一例である。なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また図1(a)、図3及び後述する図6では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0013】
操作者判定装置としての車両設定装置1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、操作ボタン101を押し込むことによってオン操作及びオフ操作がなされるスイッチと、オン操作及びオフ操作の際、操作ボタン101に接触する操作者の操作指の生体情報10aを読み取る生体情報読取部11と、オン操作及びオフ操作時の操作感を生成する操作感生成部と、生体情報10aの照合元となる登録生体情報150を生成するために第1のオン操作時に読み取られた生体情報10aの特徴点の数が予め定められた数(特徴点数180)よりも少ない場合、第1のオン操作に続く第1のオフ操作の操作感を第1のオン操作の操作感と異ならせるため、第1のオフ操作時に操作ボタン101を押し込む際の操作荷重を第1のオン操作時よりも大きくさせて読み取られた第1のオフ操作時の生体情報10aに基づいて登録生体情報150を生成する制御部18と、を備えて概略構成されている。
【0014】
本実施の形態のスイッチは、一例として、スタートスイッチ10であるが、これに限定されず、生体情報の照合が必要な他のスイッチであっても良い。また本実施の形態の操作感生成部は、一例として、アクチュエータ13である。
【0015】
また車両設定装置1は、操作者の登録操作を受け付け、登録操作を行った操作者を登録者として当該登録者の生体情報10aと関連付けて登録生体情報150として登録させる登録部としての登録読出部14と、登録生体情報150を記憶する記憶部15と、を備えている。制御部18は、生体情報読取部11が読み取った生体情報10aと記憶部15に記憶された登録生体情報150とを照合して生体情報10aを有する操作者が登録生体情報150を登録した登録者であるか否かを判定する。
【0016】
さらに車両設定装置1は、車両に搭載された複数の車載装置ごとに行われた設定とこの設定を行った登録者とを関連付けた車両設定テーブル160を生成する車両設定テーブル生成部16を備えている。制御部18は、スタートスイッチ10を操作した操作者が登録者であったと判定した場合、車両設定テーブル160に基づいて当該登録者が登録した設定を読み出して車両設定情報Sとして出力する。
【0017】
この車両設定装置1は、一例として、電子キーなどによる無線通信に基づく認証によってドアが開錠された後、車両のバッテリーから駆動電圧が供給され、生体情報読取部11による生体情報10aの読み取りが行える状態となる。なお車両設定装置1は、無線通信に基づく認証によるドアの開錠ではなく、物理キーによるドアの開錠、又はドアが開けられたことによって駆動電圧が供給されるように構成されても良い。
【0018】
(スタートスイッチ10の構成)
スタートスイッチ10は、例えば、運転席に着座する操作者の前方や運転席と助手席の間に位置するフロアコンソールなどに配置されている。スタートスイッチ10は、図2(a)に示すように、本体100と、操作ボタン101と、を有している。この操作ボタン101は、実質的に本体100に対して移動しないように支持されている。
【0019】
スタートスイッチ10は、操作面102になされたプッシュ操作による操作荷重が荷重センサ12によって検出されるように構成されている。この荷重センサ12は、本体100と操作ボタン101の間に配置されている。
【0020】
制御部18は、荷重センサ12から出力される荷重情報Sに基づいて操作荷重を取得し、この操作荷重が第1の荷重しきい値181より大きい場合、スタートスイッチ10がオン操作又はオフ操作されたと判定する。
【0021】
このスタートスイッチ10は、主に、オン操作により車両の駆動装置の始動、又は始動準備を車両に指示し、その後になされたオフ操作により駆動装置の停止を指示する。またスタートスイッチ10は、一例として、ブレーキ装置を作動させずにプッシュ操作が行われた場合、OFF(電源をオフ)、ACC(一部の電子機器が使用可能)、ON(全ての電子機器が使用可能)などの電源遷移を指示する。
【0022】
具体的には、駆動装置が内燃機関(エンジン)である場合、シフト装置やブレーキ装置の操作条件が満足された状態でなされたプッシュ操作によりエンジンが始動する。また駆動装置がモータである場合、上記の操作条件が満足された状態でなされたプッシュ操作によりモータに電流を供給する始動準備が行われる。さらに駆動装置がエンジンとモータのハイブリッドである場合、上記の操作条件が満足された状態でなされたプッシュ操作により、始動時に優先される駆動装置に対応して始動又は始動準備が行われる。このオン操作の後に行われたオフ操作によって、駆動装置の停止が指示される。
【0023】
(生体情報読取部11の構成)
生体情報読取部11は、図2(a)に示すように、スタートスイッチ10の操作面102の下方に配置され、操作面102に接触する操作指の生体情報10aを読み取るように構成されている。この生体情報10aは、一例として、操作指の指紋パターン及び静脈パターンの少なくとも一方のパターンの情報を含んでいる。
【0024】
この生体情報読取部11は、例えば、指紋パターンを読み取る場合、光学式、静電容量方式、電界強度測定方式、感圧式及び感熱式などの指紋パターンを読み取るように構成されたセンサが用いられる。
【0025】
また生体情報読取部11は、例えば、静脈パターンを読み取る場合、照射した近赤外線の反射に基づいて静脈パターンを読み出すように構成されたセンサが用いられる。
【0026】
さらに生体情報読取部11は、例えば、指紋パターンと静脈パターンの両方を読み取る場合、可視光を照射して撮像した画像を画像処理して指紋パターンと静脈パターンを抽出するように構成されたセンサが用いられる。
【0027】
本実施の形態の生体情報読取部11は、一例として、指紋パターンを読み取る静電容量方式のセンサであるものとする。生体情報読取部11は、読み取った読取領域11aの生体情報10aを制御部18に出力する。この読取領域11aは、一例として、図2(b)及び図2(c)に示すように、矩形状を有し、生体情報読取部11が読み取ることができる領域を示している。
【0028】
(荷重センサ12の構成)
荷重センサ12は、操作ボタン101に付加された操作荷重を検出し、この操作荷重に応じた荷重情報Sを出力する。この荷重センサ12は、例えば、歪みセンサなどである。
【0029】
(アクチュエータ13の構成)
アクチュエータ13は、荷重センサ12に検出された操作荷重が予め定められた第1の荷重しきい値181より大きい場合、操作ボタン101に振動を付加してプッシュ操作が受け付けられた操作感を生成する。
【0030】
このアクチュエータ13は、操作ボタン101に配置され、自身が振動することにより操作ボタン101に振動を付加する。アクチュエータ13は、例えば、金属板と、圧電素子と、を備えたモノモルフ型の圧電アクチュエータである。このモノモルフ型圧電アクチュエータとは、1枚の圧電素子だけで屈曲する構造のアクチュエータである。なお、変形例としては、アクチュエータ13は、2枚の圧電素子を金属板の両面に設けたバイモルフ型圧電アクチュエータであっても良い。
【0031】
このアクチュエータ13は、制御部18から出力される駆動信号Sによって振動するように構成されている。
【0032】
(登録読出部14の構成)
登録読出部14は、一例として、図1(b)に示すように、スタートスイッチ10の近傍に配置されたセットボタン140、登録ボタン141〜登録ボタン143を備えて概略構成されている。このセットボタン140、登録ボタン141〜登録ボタン143は、例えば、プッシュボタンとして構成されているがこれに限定されず、タッチスイッチであっても良い。
【0033】
セットボタン140、登録ボタン141〜登録ボタン143は、操作者が自分好みに調整した車載装置ごとの設定、つまり車両設定を登録する際、及び登録した車両設定を呼び出す際に押されるボタン群である。
【0034】
車載装置は、一例として、図3に示すように、ステアリング調整装置24、シート調整装置26、ミラー調整装置28、車両周囲撮像装置30、衝突警告装置32、タッチパネル34、表示装置36、タッチパッド38、空調装置40、ナビゲーション装置42、音楽再生装置44及び映像再生装置46などである。また車両設定装置1は、例えば、車両制御部22が表示装置36に表示させるメニューの項目数や種類などの設定を設定できる場合、当該設定を車両設定として車両設定テーブル160に登録する。
【0035】
セットボタン140には、一例として、「SET」の文字が印刷されている。登録ボタン141〜登録ボタン143には、一例として、「A」〜「C」の文字が印刷されている。この「A」〜「C」は、登録者A〜登録者Cを示している。なお登録ボタンの数や登録可能な登録者の数は、任意である。
【0036】
ここで操作者が現在の車両設定を登録する場合、一例として、セットボタン140を押した後、当該車両設定を登録したい登録ボタンを押すことで登録される。この登録操作では、スタートスイッチ10をオン操作した際の生体情報10aが登録生体情報150として記憶される。そして登録の後、操作者が車両に乗り込んでスタートスイッチ10をオン操作すると、操作者の生体情報10aと登録生体情報150とが照合され、例えば、操作者が登録者Aであった場合、登録者Aが設定した車両設定が読み出される。
【0037】
なお登録読出部14の操作によって以前登録した車両設定を読み出したい場合、一例として、当該車両設定を登録した登録ボタンを押した後、セットボタン140を押すことで押された登録ボタンに関係する登録者の車両設定が読み出される。
【0038】
セットボタン140、登録ボタン141〜登録ボタン143は、例えば、点灯又は点滅するように構成される。制御部18は、例えば、操作者が未登録者である場合、登録操作を報知するため、車両設定が登録されていない登録ボタンを点灯又は点滅させる。また制御部18は、例えば、登録された車両設定が読み出される場合、既に登録されている登録ボタンを点灯又は点滅させる。この報知は、例えば、車両のスピーカから出力される音声メッセージによりなされても良いし、表示装置にメッセージ画像を表示させることによってなされても良いし、点灯又は点灯と組み合わせて行われても良い。
【0039】
登録読出部14は、例えば、押されたボタンの組み合わせに応じた登録読出情報Sを生成し、制御部18に出力する。制御部18は、登録読出情報Sに基づいて車両設定の登録操作がなされたのか、読出操作がなされたのかを判断して適切な処理を行う。
【0040】
なお登録読出部14は、例えば、登録ボタン141が押された場合、登録ボタン141を押した操作者を登録者Aとして登録読出情報Sを生成する。同様に、登録読出部14は、例えば、登録ボタン142が押された場合、登録ボタン142を押した操作者を登録者Bとして登録読出情報Sを生成し、登録ボタン143が押された場合、登録ボタン143を押した操作者を登録者Cとして登録読出情報Sを生成する。
【0041】
変形例として車両設定装置1は、例えば、複数の登録ボタンを操作することにより、押された登録ボタンの組み合わせに応じて3人より多くの登録者の車両設定の登録、及び読出しを行うことができるように構成されても良い。
【0042】
(記憶部15の構成)
記憶部15は、一例として、半導体メモリである。この記憶部15は、登録者ごとの登録生体情報150を記憶している。なお記憶部15は、例えば、制御部18が備えるRAM(Random Access Memory)18aであっても良い。
【0043】
この登録生体情報150は、オン操作又はオフ操作の際に読み取られた指紋パターンの情報である。より具体的には、登録生体情報150は、例えば、読み取られた生体情報10aと、登録操作の際に押された登録ボタンが示す登録者と、を関連付けた情報である。
【0044】
なお生体情報読取部11が静脈パターンを読み取る場合は、登録生体情報150が登録を指示された静脈パターンの情報となり、指紋パターン及び静脈パターンを読み取る場合は、登録を指示された指紋パターン及び静脈パターンの情報となる。
【0045】
(車両設定テーブル生成部16の構成)
図4は、第1の実施の形態に係る車両設定装置の車両設定テーブル生成部が生成する車両設定テーブルの一例を示す概略図である。図4に示す設定は、登録可能な設定の一部を図示している。
【0046】
車両設定テーブル生成部16は、車載装置ごとの設定とこの設定を登録した登録者とを関連付けた車両設定テーブル160を生成する。図4に示す車両設定テーブル160には、車両制御部22〜映像再生装置46の設定の一部が図示されている。
【0047】
図4に示す車両設定テーブル160の車両制御部22に関する項目は、一例として、表示装置36に表示される基準画面のメニュー項目に関する設定の項目であり、設定範囲が詳細メニュー、標準メニュー、簡易メニュー、初期設定が標準メニューである。なお他の設定可能な設定は、一例として、メニュー項目の配置などに関する設定である。
【0048】
ステアリング調整装置24に関する項目は、一例として、ステアリングの上下角に関する設定の項目であり、設定範囲が10段階、初期設定が5である。なお他の設定可能な設定は、一例として、ステアリングの長さ調整などに関する設定である。
【0049】
シート調整装置26に関する項目は、一例として、シートの前後位置に関する設定の項目であり、設定範囲が30段階、初期設定が15である。なお他の設定可能な設定は、一例として、シートの倒れる角度、シートの高さなどに関する設定である。
【0050】
ミラー調整装置28に関する項目は、一例として、ミラーの左右角度に関する設定の項目であり、設定範囲が30段階、初期設定が15である。なお他の設定可能な設定は、一例として、上下角度などに関する設定である。
【0051】
車両周囲撮像装置30に関する項目は、一例として、表示装置36に表示させる車両の周囲の画像範囲に関する設定の項目であり、設定範囲が全方向、後方、左方向、初期設定が全方向である。なお他の設定可能な設定は、一例として、予測される軌道の表示などに関する設定である。
【0052】
衝突警告装置32に関する項目は、一例として、警告音に関する設定の項目であり、設定範囲が20段階、初期設定が10である。なお他の設定可能な設定は、一例として、障害物を検知する感度などに関する設定である。
【0053】
タッチパネル34に関する項目は、一例として、操作指の検出感度に関する設定の項目であり、設定範囲が20段階、初期設定が10である。このタッチパネル34は、表示装置36に重ねて設置されている。なお他の設定可能な設定は、一例として、自動感度調節のON、OFFなどに関する設定である。
【0054】
表示装置36に関する項目は、一例として、明度に関する設定の項目であり、設定範囲が50段階、初期設定が25である。なお他の設定可能な設定は、一例として、コントラストなどに関する設定である。
【0055】
タッチパッド38に関する項目は、一例として、操作指の検出感度に関する設定の項目であり、設定範囲が20段階、初期設定が10である。このタッチパッド38は、例えば、運転席と助手席の間のフロアコンソールに配置されている。なお他の設定可能な設定は、一例として、自動感度調節のON、OFFなどに関する設定である。
【0056】
空調装置40に関する項目は、一例として、設定温度に関する設定の項目であり、設定範囲が18〜30℃、初期設定が20℃である。なお他の設定可能な設定は、一例として、運転席、助手席、後部座席ごとの設定温度、吹出口、自動温度調整のON、OFFなどに関する設定である。
【0057】
ナビゲーション装置42に関する項目は、一例として、表示装置36に表示される地図画像の縮尺に関する設定の項目であり、設定範囲が25m(1/2500)〜200km(1/2048万)、初期設定が100m(1/1万)である。なお他の設定可能な設定は、一例として、目的地の選択、駐車場などのアイコンの表示・非表示などに関する設定である。
【0058】
音楽再生装置44に関する項目は、一例として、曲のシャッフルに関する設定の項目であり、設定範囲がONとOFF、初期設定がOFFである。なお他の設定可能な設定は、一例として、音量、音質などに関する設定である。
【0059】
映像再生装置46に関する項目は、一例として、再生位置に関する設定の項目であり、設定範囲が前回再生位置及びメインメニュー、初期設定が前回再生位置である。なお他の設定可能な設定は、一例として、音量、音質などに関する設定である。
【0060】
なお他の車載装置としては、ワイパ装置(例えば、自動ワイパ機能のON・OFF)、ヘッドライト(例えば、自動ライト機能のON・OFF)、無線ネットワーク装置(例えば、携帯電話及びスマートフォンなどとの接続・非接続)、アイドリングストップ装置(例えば、アイドリングストップのON・OFF)、駆動方法切替装置(例えば、2WDと4WDの切り替え)、走行モード切替装置(例えば、ノーマルモード、スポーツモード、オールウェザーモード)、横滑り安全装置(例えば、機能のON・OFF)などがある。
【0061】
車両設定テーブル生成部16は、例えば、現在の車両設定の登録操作が行われた場合、現在の車両設定に関する設定情報Sを車両制御部22から取得すると共に制御部18から登録者を識別する識別情報Sを取得し、登録者と車両設定とを関連付けて車両設定テーブル160を作成する。この設定情報Sは、例えば、制御部18が登録読出情報Sに基づいて登録操作が行われたと判定し、車両制御部22に設定情報Sの出力を依頼することで得られる。
【0062】
また車両設定テーブル生成部16は、例えば、車両設定の読み出しが行われる場合、制御部18が出力した識別情報Sが示す登録者の車両設定を車両設定テーブル160から読み出し、車両設定情報Sとして出力する。
【0063】
(制御部18の構成)
制御部18は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM18a及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部18が動作するためのプログラムが格納されている。RAM18aは、例えば、特徴点数180、第1の荷重しきい値181、第2の荷重しきい値182及び識別しきい値183、また一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0064】
制御部18は、生体情報読取部11から取得した生体情報10aと記憶部15から取得した登録生体情報150とを照合し、車両の操作者がいずれの登録者であるか、又は未登録者であるかを識別するように構成されている。
【0065】
制御部18は、一例として、生体情報10aに基づく操作者の指紋パターンの特徴点と、登録生体情報150に登録された登録者の指紋パターンの特徴点と、の類似度が識別しきい値183より大きい場合、操作者が登録者であると判定する。
【0066】
この特徴点とは、例えば、図2(c)に示すように、中心点110、分岐点111、端点112及び三角州113と呼ばれる4つの点である。中心点110とは、指紋パターンの中心となる点である。分岐点111とは、指紋の隆線が分岐している点である。端点112とは、隆線が切れている点である。三角州113とは、三方向から隆線が集まった点である。なお制御部18は、特徴点の位置、特徴点間の距離などに基づいて照合し、類似度を算出する。
【0067】
制御部18は、生体情報10a及び登録生体情報150の指紋パターンの特徴点などを照合し、一致する特徴点の数に応じて類似度を判定し、操作者が登録者のいずれなのか、それとも未登録者なのかを識別する。そして制御部18は、判定結果を識別情報Sとして車両設定テーブル生成部16に出力する。
【0068】
具体的には制御部18は、一例として、登録生体情報150に基づく登録者A〜登録者Cの指紋パターンの特徴点がそれぞれ50箇所であり、操作者の指紋パターンの特徴点との一致点が、登録者Aが40箇所、登録者Bが20箇所、登録者Cが33箇所である場合、登録者Aとの類似度が80(%)、登録者Bとの類似度が40(%)、及び登録者Cとの類似度が66(%)と算出する。制御部18は、一例として、識別しきい値183が70(%)である場合、操作者が登録者Aであると判定する。
【0069】
また制御部18は、第1のオン操作時に読み取られた生体情報10aの特徴点の数が特徴点数180よりも少ない場合、操作荷重が第1の荷重しきい値181よりも大きい第2の荷重しきい値182より大きくなってから振動を操作ボタン101に付加するようにアクチュエータ13を制御する。
【0070】
つまり制御部18は、読取領域11aに含まれる特徴点の数が特徴点数180よりも少ない場合、荷重しきい値を切り替え、操作荷重が第2の荷重しきい値182より大きくならないと振動を付加しないように構成されている。
【0071】
具体的には、上述のように、制御部18は、特徴点の類似度を算出することによって生体情報10aと登録生体情報150の照合を行うが、生体情報10aに含まれる特徴点の数が少ないと精度の高い照合を行うことができない。
【0072】
そこで制御部18は、オン操作の後、登録操作が行われると、オン操作時に読み取ってRAM18aに保存しておいた生体情報10aの特徴点の数と特徴点数180とを比較する。この特徴点の数が特徴点数180よりも少ない場合、操作面102と操作指9との接触面積90が小さいことが考えられる。
【0073】
従って制御部18は、接触面積90を増やすため、オン操作時に振動を付加していた操作荷重では振動を付加しないように、つまり第1の荷重しきい値181から第2の荷重しきい値182に操作荷重に関するしきい値を切り替えて振動を付加するのに必要な操作荷重を大きくする。この操作荷重の変化によって、操作者は、操作感が変わったことを感じながら、より大きな操作力で操作ボタン101を押し込もうとする。その結果、操作指9が潰れることによって接触面積90が大きくなり、一例として、図2(c)に示すように、読取パターン115が読取領域11aの全域に渡ることとなる。
【0074】
このようにして得られたオフ操作時の生体情報10aの特徴点の数は、オン操作時の生体情報10aの特徴点の数よりも多くなるので、登録生体情報150として適している。
【0075】
ここで制御部18は、例えば、図3に示すように、車両LAN(Local Area Network)20に電磁気的に接続されている。制御部18は、例えば、車両LAN20を介して車両制御部22などと接続され、相互に情報などを交換している。この車両LAN20は、一例として、車両設定装置1と車載装置などと共に車両設定システム2を構成している。以下では、この車両設定システム2について説明する。
【0076】
(車両設定システム2の構成)
車両設定システム2は、一例として、図3に示すように、車両設定装置1と、複数の車載装置と、車両設定装置1から出力された車両設定情報Sに基づいて複数の車載装置を制御する制御装置としての車両制御部22と、を備えている。
【0077】
車両制御部22は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU、半導体メモリであるRAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。
【0078】
この車両制御部22は、図3に示すように、制御部18からの依頼によってステアリング調整装置24〜映像再生装置46の設定の情報である現在設定情報S10〜現在設定情報S21を、車両LAN20を介して取得する。そして車両制御部22は、取得した現在設定情報S10〜現在設定情報S21に基づいて設定情報Sを生成し、車両LAN20を介して車両設定装置1に出力する。
【0079】
また車両制御部22は、車両設定装置1から車両LAN20を介して車両設定情報Sを取得する。車両制御部22は、取得した車両設定情報Sに基づいて車載装置ごとの設定の情報である個別設定情報S30〜個別設定情報S41を生成し、車両LAN20を介して対応する車載装置に出力する。車載装置は、自身に対応する個別設定情報に基づいて登録者が登録した設定に変更する。
【0080】
以下に車両設定装置1の動作の一例について図5のフローチャートに従って説明する。
【0081】
(動作)
車両設定装置1は、電子キーを携帯した操作者が車両のドアを開錠すると、車両から駆動電圧が供給され、生体情報読取部11が指紋パターンの読み取りが可能な状態となる。
【0082】
制御部18は、荷重センサ12からの荷重情報Sに基づく操作荷重と第1の荷重しきい値181とを比較してスタートスイッチ10のオン操作が検出されたか監視する。制御部18は、操作荷重が第1の荷重しきい値181より大きくてステップ1の「Yes」が成立する、すなわちオン操作が検出された場合(Step1:Yes)、オン操作時に取得した生体情報10aをRAM18aに保存し、オン操作を示す操作情報Sを生成して車両LAN20に出力し、そして駆動信号Sをアクチュエータ13に出力して予め定められた期間振動を呈示する(Step2)。
【0083】
制御部18は、荷重情報Sと第1の荷重しきい値181とを比較してオフ操作を監視する。制御部18は、オフ操作がなされず(Step3:No)、そして登録読出情報Sに基づいて登録操作がなされた場合(Step4:Yes)、RAM18aに一時的に保存しておいたオン操作時の生体情報10aの特徴点の数と特徴点数180とを比較する(Step5)。
【0084】
制御部18は、特徴点の数が特徴点数180より多い場合(Step6:Yes)、オン操作時の生体情報10aを登録生体情報150として登録者に関連付けて記憶部15に記憶させる(Step7)。
【0085】
制御部18は、ステップ8の「Yes」が成立する、つまりオフ操作が検出された場合(Step8:Yes)、オフ操作を示す操作情報Sを生成して車両LAN20に出力する(Step9)。
【0086】
ここでステップ3において制御部18は、オフ操作が検出された場合(Step3:Yes)、ステップ9に処理を進め、オフ操作を示す操作情報Sを生成して車両LAN20に出力する。
【0087】
ステップ4において制御部18は、登録操作がない場合(Step4:No)、ステップ3に処理を進める。
【0088】
またステップ6において制御部18は、生体情報10aの特徴点の数が特徴点数180以下の場合(Step6:No)、操作荷重のしきい値を第1の荷重しきい値181から第2の荷重しきい値182として操作感を切り替える(Step10)。
【0089】
制御部18は、ステップ11において「Yes」が成り立つ、つまりオフ操作が検出された場合(Step11:Yes)、オフ操作時に取得した生体情報10aを登録生体情報150として登録者と関連付けて記憶部15に記憶させ(Step12)、ステップ9に処理を進める。
【0090】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る車両設定装置1は、照合に適した生体情報10aを読み取ることができる。具体的には、この車両設定装置1は、オン操作時に読み取られた生体情報10aの特徴点の数が少ない場合、オン操作よりも押し込み荷重が大きく、また操作ボタン101に対する接触面積が大きくなるオフ操作において読み取った生体情報10aから登録生体情報150を生成する。従って車両設定装置1は、特徴点が多くて照合に適した登録生体情報150を用いて照合を行うことができるので、照合の判定精度が向上する。
【0091】
車両設定装置1は、操作者が意図しないで登録生体情報150を取得することができる。そして車両設定装置1は、登録生体情報150を生成するために、駆動装置の始動や停止の指示以外にスタートスイッチ10を触らせる必要がないので、意図せず駆動装置が始動したり、停止したり、電源遷移したりすることを防止することができる。
【0092】
車両設定装置1は、照合の精度が高いので、操作者が登録した車両設定を高い精度で提供することができる。
【0093】
なお変形例として制御部18は、オン操作時の生体情報10aと、オン操作時の生体情報10aの特徴点の数が少ないとして再度読み取られたオフ操作時の生体情報10aと、の類似度が設定されたしきい値より大きい場合、オフ操作時の生体情報10aに基づいて登録生体情報150を生成するように構成されても良い。
【0094】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、第1のコイル及び第2のコイルが生成する磁場の反発力によってオン操作とは異なるオフ操作の操作感を生成する点で上述の実施の形態と異なっている。
【0095】
図6は、第2の実施の形態に係る車両設定装置のブロック図の一例である。図7(a)及び図7(b)は、第2の実施の形態に係る車両設定装置のスタートスイッチの要部断面図の一例である。図7(a)は、第1のコイル131及び第2のコイル132に駆動信号S2aを供給していない状態の一例を示し、図7(b)は、駆動信号S2aを供給した状態の一例を示している。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0096】
本実施の形態の車両設定装置1は、図6図7(a)及び図7(b)に示すように、操作感生成部としてのコイル対13aが、操作ボタン51側に配置された第1のコイル131と、第1のコイル131と対向してスイッチとしてのスタートスイッチ5の本体50側に配置された第2のコイル132と、を備えている。制御部18は、オン操作時に読み取られた生体情報10aの特徴点の数が特徴点数180よりも少ない場合、オフ操作時に第1のコイル131と第2のコイル132の相互作用による反発力を生成することによりオフ操作時の操作荷重をオン操作時よりも大きくさせるように構成されている。
【0097】
またスタートスイッチ5は、図7(a)及び図7(b)に示すように、筒形状を有する本体50と、プッシュ操作がなされる操作ボタン51と、を備えて概略構成されている。
【0098】
さらにスタートスイッチ5は、操作ボタン51になされたプッシュ操作を検出するスイッチ部12aを有している。このスイッチ部12aは、検出したプッシュ操作に応じてスイッチ信号S1aを制御部18に出力する。このスイッチ部12aは、一例として、操作ボタン51の移動によってオン、オフする機械式スイッチであっても良いし、操作ボタン51に配置された磁石の磁場を検出することでオン、オフを検出する磁気センサを用いたものであっても良い。
【0099】
このスタートスイッチ5の本体50には、半径の異なる2つの孔(上部孔540及び下部孔541)が連結されてなる挿入孔54が設けられている。この挿入孔54には、操作ボタン51が挿入される。挿入孔54の上部孔540には、操作ボタン51の上部52が移動可能に挿入されている。下部孔541には、操作ボタン51の下部53が移動可能に挿入されている。この操作ボタン51の上部52と下部53は、半径の異なる円柱形状を有している。なおスタートスイッチ5は、操作ボタン51が本体50から抜けないように構成されている。
【0100】
操作ボタン51の上部52と上部孔540の底部540aとの間には、コイルばね55が配置されている。このコイルばね55は、操作前の操作ボタン51に対して弾性力Fを付加している。操作者は、少なくともこの弾性力Fよりも大きい操作荷重Fを操作ボタン51に付加しないと操作ボタン51を押し下げることはできない。
【0101】
操作ボタン51の下部53の端部530には、第1のコイル131が巻き回されている。この第1のコイル131は、図7(b)に示すように、制御部18から供給された駆動信号S2aに基づいて磁場131aを生成する。
【0102】
また本体50の端部530と対向する基部501には、第2のコイル132が巻き回されている。この基部501は、底部500から突出し、円柱形状を有している。第2のコイル132は、図7(b)に示すように、制御部18から供給された駆動信号S2aに基づいて磁場132aを生成する。
【0103】
図7(b)の紙面において、第1のコイル131と第2のコイル132に流れる駆動信号S2aは、逆方向になるので、対向する端部530側と基部501側の極性が同じ極性となって操作ボタン51には、反発力Fが作用する。操作者は、駆動信号S2aが供給された場合、少なくともコイルばね55の弾性力Fとコイル対13aの磁場131a及び磁場132aの相互作用による反発力Fの合力より大きい操作荷重Fを操作ボタン51に付加しないと操作ボタン51を押し下げることはできない。
【0104】
従って車両設定装置1は、コイル対13aに駆動信号S2aを供給しない場合の第1の操作感と、コイル対13aに駆動信号S2aを供給した場合の第2の操作感と、を切り替えることができる。この第2の操作感は、第1の操作感よりも操作荷重が大きいので、操作指9と操作面510との接触面積90の大きさがコイル対13aに駆動信号S2aを供給した方が大きくなり、登録生体情報150の生成に適している。
【0105】
なお変形例として、第1のコイル131又は第2のコイル132のいずれか一方が磁石であっても良い。また図7(a)及び図7(b)に示すスタートスイッチ5は、一例であって、少なくとも磁場の相互作用に基づく反発力によって第2の操作感が生成される構成を備えていれば、他の構成であっても良い。
【0106】
以下に本実施の形態の車両設定装置1の動作について図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0107】
(動作)
車両設定装置1は、電子キーを携帯した操作者が車両のドアを開錠すると、車両から駆動電圧が供給され、生体情報読取部11が指紋パターンの読み取りが可能な状態となる。
【0108】
制御部18は、スイッチ部12aからのスイッチ信号S1aに基づいてスタートスイッチ5のオン操作が検出されたか監視する。制御部18は、スイッチ信号S1aに基づいてステップ20の「Yes」が成立する、すなわちオン操作が検出された場合(Step20:Yes)、オン操作時に取得した生体情報10aをRAM18aに保存し、オン操作を示す操作情報Sを生成して車両LAN20に出力する(Step21)。
【0109】
制御部18は、スイッチ部12aからのスイッチ信号S1aに基づいてオフ操作を監視する。制御部18は、オフ操作がなされていない場合(Step22:No)、登録操作の有無を確認する。制御部18は、登録読出情報Sに基づいて登録操作がなされた場合(Step23:Yes)、RAM18aに一時的に保存しておいたオン操作時の生体情報10aの特徴点の数と特徴点数180とを比較する(Step24)。
【0110】
制御部18は、特徴点の数が特徴点数180より多い場合(Step25:Yes)、オン操作時の生体情報10aを登録生体情報150として登録者に関連付けて記憶部15に記憶させる(Step26)。
【0111】
制御部18は、ステップ27の「Yes」が成立する、つまりオフ操作が検出された場合(Step27:Yes)、オフ操作を示す操作情報Sを生成して車両LAN20に出力する(Step28)。
【0112】
ここでステップ22において制御部18は、オフ操作が検出された場合(Step22:Yes)、ステップ28に処理を進め、オフ操作を示す操作情報Sを生成して車両LAN20に出力する。
【0113】
ステップ23において制御部18は、登録操作がない場合(Step23:No)、ステップ22に処理を進める。
【0114】
またステップ25において制御部18は、生体情報10aの特徴点の数が特徴点数180以下の場合(Step25:No)、コイル対13aに駆動信号S2aを供給して押下げに必要な操作荷重を大きくする(Step29)。
【0115】
制御部18は、ステップ30において「Yes」が成り立つ、つまりオフ操作が検出された場合(Step30:Yes)、オフ操作時に取得した生体情報10aを登録生体情報150として登録者と関連付けて記憶部15に記憶させ(Step31)、ステップ28に処理を進める。
【0116】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態の車両設定装置1は、オン操作時に読み取られた生体情報10aの特徴点の数が少ない場合、コイル対13aに駆動信号S2aを供給し、オン操作よりも押し込み荷重が大きく、また操作ボタン101に対する接触面積が大きくなるオフ操作において読み取った生体情報10aから登録生体情報150を生成する。従って車両設定装置1は、特徴点が多くて照合に適した登録生体情報150を用いて照合を行うことができるので、照合の判定精度が向上する。
【0117】
上述の実施の形態及び変形例に係る車両設定装置1は、例えば、用途に応じて、その一部が、コンピュータが実行するプログラム、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって実現されても良い。
【0118】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
1…車両設定装置、2…車両設定システム、5…スタートスイッチ、9…操作指、10…スタートスイッチ、10a…生体情報、11…生体情報読取部、11a…読取領域、12…荷重センサ、12a…スイッチ部、13…アクチュエータ、13a…コイル対、14…登録読出部、15…記憶部、16…車両設定テーブル生成部、18…制御部、18a…RAM、20…車両LAN、22…車両制御部、24…ステアリング調整装置、26…シート調整装置、28…ミラー調整装置、30…車両周囲撮像装置、32…衝突警告装置、34…タッチパネル、36…表示装置、38…タッチパッド、40…空調装置、42…ナビゲーション装置、44…音楽再生装置、46…映像再生装置、50…本体、51…操作ボタン、52…上部、53…下部、54…挿入孔、90…接触面積、100…本体、101…操作ボタン、102…操作面、110…中心点、111…分岐点、112…端点、113…三角州、115…読取パターン、131…第1のコイル、131a…磁場、132…第2のコイル、132a…磁場、140…セットボタン、141〜143…第1の登録ボタン〜第3の登録ボタン、150…登録生体情報、160…車両設定テーブル、180…特徴点数、181…第1の荷重しきい値、182…第2の荷重しきい値、183…識別しきい値、500…底部、501…基部、510…操作面、530…端部、540…上部孔、540a…底部、541…下部孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8