特許第6497780号(P6497780)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497780
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】ボルトレス型バッテリセル接続
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20190401BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20190401BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20190401BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
   H01M2/10 S
   H01M2/30 C
   H01M2/34 B
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-514048(P2015-514048)
(86)(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公表番号】特表2015-520934(P2015-520934A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】US2013040731
(87)【国際公開番号】WO2013176913
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2016年3月1日
【審判番号】不服2017-17928(P2017-17928/J1)
【審判請求日】2017年12月4日
(31)【優先権主張番号】61/649,820
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/839,931
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】ティーイー・コネクティビティ・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】ザオ ウェイピン
【合議体】
【審判長】 板谷 一弘
【審判官】 土屋 知久
【審判官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−91035(JP,A)
【文献】 特開2000−149909(JP,A)
【文献】 特開2004−98295(JP,A)
【文献】 特表2012−506105(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/071292(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0248010(US,A1)
【文献】 特開2011−76936(JP,A)
【文献】 実開昭58−150269(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M2/10
H01M2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々が正極セル端子及び負極セル端子(120,122)を有する複数のバッテリセル(102)と、
前記複数のバッテリセル上に取り付けられ、前記複数のバッテリセル間に架かるキャリア(230)であって、貫通して前記正極セル端子及び前記負極セル端子を露出する開口(236,238)を備えるトレイ(232)を有する前記キャリアと、
対応するトレイに受容される複数のバスバー(150)であって、夫々が、前記対応する開口を通って対応するバッテリセルの前記正極セル端子にレーザ溶接された正極板(152)と、前記対応する開口を通って異なるバッテリセルの前記負極セル端子にレーザ溶接された負極板(154)とを有する前記バスバーと
を含み、
前記キャリア(230)は、隣接するトレイ間にU形状のフレキシブルヒンジ(242)を含み、
前記ヒンジは、前記トレイと前記トレイによって保持された対応するバスバーとの間の相対移動を可能にし、
前記キャリア(230)は、前記キャリアの前部から前方に延在するフロントトレイ(244)を含み、
前記フロントトレイは、対応する前記バスバー(150)に結合されたバッテリ端子(300,320)を受容するバッテリパック(100)。
【請求項2】
前記トレイ(232)は、対応するバスバー(150)を受容するポケット(234)を有し、
前記トレイは、前記ポケットに前記バスバーを固定するために前記ポケット内に延在するタブ(264)を有する請求項1のバッテリパック(100)。
【請求項3】
前記バスバー(150)はバイメタルバスバーである請求項1のバッテリパック(100)。
【請求項4】
前記キャリア(230)は、複数の電圧検出ワイヤ(263)を有する電圧検出ワイヤハーネス(260)を保持し、
前記電圧検出ワイヤは、前記バスバーの電圧を検出するために、対応するバスバー(150)に接続される請求項1のバッテリパック(100)。
【請求項5】
前記バスバー(150)の各々は、該バスバー(150)から延在する電圧検出コンタクト(156)を含み、
前記電圧検出コンタクトは、前記キャリア(230)によって保持された電圧検出ワイヤ(263)に接続される請求項1のバッテリパック(100)。
【請求項6】
更に、前記キャリア(230)に受容され、対応する正極セル端子(120)に接続された正極バッテリ端子(320)と、前記キャリアに受容され、対応する負極セル端子(122)に接続された負極バッテリ端子(300)とを含み、
前記正極バッテリ端子及び前記負極バッテリ端子は、夫々、速結端(304、323)を有し、
前記バッテリパックは、更に、前記正極バッテリ端子及び前記負極バッテリ端子を電気的に接続するために前記正極バッテリ端子及び前記負極バッテリ端子の前記速結端に接続されたモジュール対モジュール端子(340)を含む請求項1のバッテリパック(100)。
【請求項7】
更に、前記キャリア(230)に受容され、対応する正極セル端子(120)にレーザ溶接された正極バッテリ端子(320)を含み、
前記バッテリ端子は、電力端子(310)に対する電気的接続のための速結端(323)を有する請求項1のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野及び背景技術】
【0001】
本発明は、一般に、バッテリモジュールに関する。電気自動車又はハイブリッド自動車用のバッテリモジュール等のバッテリモジュールは、典型的に、バッテリモジュールを形成するために1つにまとめられた複数のセルを含む。バッテリモジュールは、互いに接続されてバッテリパックを形成する。セルの各々は、互いに電気的に接続された正極セル端子及び負極セル端子を含む。様々な種類のセルを使用して、様々な種類のバッテリモジュールが形成される。例えば、ある種類のバッテリモジュールは、パウチ型のバッテリモジュールとして知られ、他の種類のバッテリモジュールは、角柱型のバッテリモジュールとして知られ、更に他の種類のバッテリモジュールは、円筒型のバッテリモジュールとして知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
角柱型のバッテリモジュールは、積層された角柱型のバッテリセルを使用する。正極セル端子と負極セル端子は、バスバーを用いて接続される。正極セルと負極セルは、典型的に、ねじ付きポスト又はボルトを含む。バスバーは、ナットを用いてねじ付きポストに接続される。典型的なバッテリモジュールは、夫々バスバー及びナットを用いて互いに接続された10個以上のバッテリセルを含む。問題は、かかる接続は、時間が掛かるということである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この問題の解決法は、夫々が正極セル端子及び負極セル端子を有する複数のバッテリセルと、前記複数のバッテリセル上に取り付けられ、前記複数のバッテリセル間に架かるキャリアとを含むバッテリパックによって提供される。前記キャリアは、貫通して前記正極セル端子及び前記負極セル端子を露出する開口を備えるトレイを有する。複数のバスバーは、対応するトレイに受容される。前記バスバーは、夫々、前記対応する開口を通って対応するバッテリセルの前記正極セル端子にレーザ溶接された正極板と、前記対応する開口を通って異なる隣接するバッテリセルの前記負極セル端子にレーザ溶接された負極板とを有する。前記バスバーは、バイメタルバスバーとすることができる。
【0004】
本発明は、添付の図面を参照して、一例として以下に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】例示的実施形態に従って形成されたバッテリパックを上から見た斜視図である。
【0006】
図2】例示的実施形態に従って形成された角柱型のバッテリセルの1つを上から見た斜視図である。
【0007】
図3】例示的実施形態に従って形成されたバスバーを上から見た斜視図である。
【0008】
図4】例示的実施形態に従って形成されたバスバーの断面図である。
【0009】
図5】例示的実施形態に従って形成されたバスバーの断面図である。
【0010】
図6】例示的実施形態に従って形成されたバスバーの断面図である。
【0011】
図7】例示的実施形態に従って形成されたバスバーの断面図である。
【0012】
図8】例示的実施形態に従って形成されたバスバーの斜視図である。
【0013】
図9】例示的実施形態に従って形成されたバスバーの斜視図である。
【0014】
図10】例示的実施形態に従って形成されたバスバーの斜視図である。
【0015】
図11】バスバー用のリアキャリアを示す。
【0016】
図12】リアカバーを示す。
【0017】
図13】バスバー用のフロントキャリアを示す。
【0018】
図14】フロントカバーを示す。
【0019】
図15】バッテリモジュールの一部を示す。
【0020】
図16】バッテリモジュールの他の一部を示す。
【0021】
図17】例示的実施形態に従って形成された負極バッテリ端子の斜視図である。
【0022】
図18】雌コネクタを示す。
【0023】
図19】負極バッテリ端子に嵌合した雌コネクタを示す。
【0024】
図20】正極バッテリ端子を示す。
【0025】
図21】正極バッテリ端子を示す。
【0026】
図22】正極バッテリ端子に嵌合した雌コネクタを示す。
【0027】
図23】バッテリモジュールの他の一部を示す。
【0028】
図24】モジュール対モジュールの雌コネクタの斜視図である。
【0029】
図25】例示的実施形態に従って形成されたサーミスタの斜視図である。
【0030】
図26】隣接するバッテリセル間に装着されたサーミスタを示す。
【0031】
図27】バッテリパックの例示的な組立方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、例示的実施形態に従って形成されたバッテリパック100を上から見た斜視図である。バッテリパック100は、積層された複数のバッテリモジュール101を含む。バッテリパック100は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の自動車におけるバッテリシステムの一部として使用されることができる。バッテリパック100は、他の実施形態では、その他の用途に使用されることができる。
【0033】
各バッテリモジュール101は、複数の角柱型のバッテリセル102を含む。角柱型のバッテリセル102は、積層形状に並べて配置され、バッテリモジュール101を形成する。任意ではあるが、バッテリモジュール101は、角柱型のバッテリセル102を保持するケース又はその他のハウジングを含んでもよい。角柱型のバッテリセル102の上部には、バッテリカバーが設けられてもよい。バッテリカバーは、角柱型のバッテリセル102の夫々を被覆してもよい。
【0034】
各バッテリモジュール101は、正極バッテリ端子106と負極バッテリ端子108を含む。端子106,108は、外部の電力ケーブルに結合されるように構成され、或いは、他のバッテリモジュール101のバッテリ端子にバスバーで接続されることができる。例示的実施形態では、バッテリ端子106,108は、速結型のコネクタを使用して接続される。
【0035】
図2は、例示的実施形態に従って形成された角柱型のバッテリセル102の1つを上から見た斜視図である。角柱型のバッテリセル102は、上面112及び側壁114を有するセルハウジング110を含む。図示の実施形態では、セルハウジング110は、4つの側壁114を有する箱型である。バッテリセル102は、上面112にガス逃し弁116を有する。
【0036】
バッテリセル102は、正極セル端子120と負極セル端子122を含む。例示的実施形態では、正極セル端子120はアルミニウムであり、負極セル端子122は銅である。正極セル端子120は、バッテリセル102のための接続インタフェースとして使用される上面112から延在するポスト124を有する。図示の実施形態では、ポスト124は、接続インタフェースを画定する上面を有する平らなパッドを含む。負極セル端子122は、バッテリセル102のための接続インタフェースとして使用される上面112から延在するポスト126を有する。図示の実施形態では、ポスト126は、接続インタフェースを画定する上面を有する平らなパッドを含む。
【0037】
図3は、例示的実施形態に従って形成されたバスバー150を上から見た斜視図である。バスバー150は、隣接する角柱型のバッテリセル102(図2に図示)のバッテリ端子同士を電気的に接続するために使用される。バスバー150は、正極セル端子と負極セル端子(例えば、アルミニウムセル端子と銅セル端子)の両者に接続される時に通電を減少する又は無くすことによって電気防食を提供する。
【0038】
バスバー150は、正極板152及び負極板154を含む。正極板152は、1つのバッテリセル102の対応する正極セル端子120(図2に図示)に接続されるように構成され、負極板154は、隣接するバッテリセル102の対応する負極セル端子122(図2に図示)に接続されるように構成される。例示的実施形態では、正極板及び負極板152,154は、別々に製造され、超音波溶接、クラッディング、又はその他の方法等によって、互いに結合される。或いは、正極板及び負極板152,154は、一体的に形成されてもよい。任意で、正極板や負極板152,154は、めっきされてもよい。正極板及び負極板152,154は、任意の厚み及び形状を有してよい。正極板及び負極板152,154の厚み及び形状は、互いに異なってもよい。任意で、64%ICASアルミニウム等の高濃度のアルミニウムが使用されてもよい。正極板152の大きさ及び形状は、バスバー150全体で負極板154と同様又は等しい抵抗を有するように選択されてもよい。
【0039】
バスバー150は、負極板154から延在する電圧検出コンタクト156を含む。図示の実施形態では、電圧検出コンタクト156は、電圧検出システムのワイヤを受容するように構成されたクリンプバレルを構成する。圧着により、正確で確実な検出のためにワイヤと確実に接続する。他の実施形態では、圧接コンタクト、ばねコンタクト、ピン、ソケット、ポークイン型ワイヤ接続部、溶接パッド等の、電圧検出システムの対応する部品に接続するために、その他の種類のコンタクトが設けられてもよい。電圧検出ワイヤは、その他の実施形態では、溶接、半田付け、導電性接着剤を使用するなどして、バスバー150に固定されてもよい。電圧検出コンタクト156の位置は、特定の用途に応じて変えてもよい。実施形態によっては、電圧検出コンタクト156を含まなくてもよい。他の実施形態では、電圧検出コンタクト156は、半田付け、溶接、締結などによって負極板154に結合される又はその他の方法によって負極板154に固定される別体の部品でもよい。任意で、電圧検出コンタクト156は、負極板154とともに打ち抜き工程と曲げ工程によって形成されてもよい。電圧検出コンタクト156は、バスバー150全体の電圧を測定することによってセルの電圧を監視するモジュールコントローラに電気的に接続されてもよい。電圧検出コンタクト156は、他の実施形態では、正極板152と共に曲げ工程によって形成されたり、正極板152から延在したりしてもよい。
【0040】
図4は、例示的実施形態に従って形成されたバスバー150の断面図である。バスバー150は、正極板及び負極板152,154を超音波溶接することによって製造される。正極板152は、アルミニウム材料から作られる。負極板154は、銅材料から作られる。正極板及び負極板152,154の間には、バイメタルブリッジ158が形成される。例示的実施形態では、負極板154の一部は、正極板152の少なくとも一部の上方に架かり、ブリッジ158を形成するが、他の実施形態では、正極板152が負極板154の上方に架かり、ブリッジを形成してもよい。ブリッジ158は、正極板及び負極板152,154の間のバイメタルインタフェースを画定する。バイメタルインタフェースは、正極板及び負極板152,154の間の接続を確実にするために大きな表面積を有する。この表面積は、ブリッジ158の重なり部分の長さと幅によって画定される。例示的実施形態では、この長さと幅は両方とも、正極板及び負極板152,154の厚みよりも大きい。任意ではあるが、負極板154の約10%以上が正極板152に重なってもよい。例示的実施形態では、バイメタルインタフェースは、略平面状であり、バスバー150の平面に平行である。任意ではあるが、正極板152はアルミニウム板でもよく、負極板154は銅板でもよい。正極板152は、クラッディング法、溶接法、又は他の接続法などによって、負極板154に接続されてもよい。
【0041】
バスバー150は、正極板152が、1つのバッテリセル102の正極セル端子120に接続され、負極板154が、隣接するバッテリセル102の対応する負極セル端子122に接続されるように、隣接するバッテリセル102の間に結合される。例示的実施形態では、正極板及び負極板152,154は、対応する端子120,122にレーザ溶接される。レーザ溶接により、ナットと、そのナットをねじ付きポストに螺合する必要性がなくなる。バスバー150は、レーザ溶接によって、より速く接続されることができる。レーザ溶接により、バスバー150と端子120,122との間には、低インタフェース抵抗を有するインタフェース等の、良好な電気接続部が生じる。
【0042】
図5は、例示的実施形態に従って形成されたバスバー150の断面図である。バスバー150は、正極板及び負極板152,154をクラッディングすることによって製造される。正極板152は、アルミニウム材料から作られる。負極板154は、銅材料から作られる。正極板及び負極板152,154の間には、クラッディングの領域において、バイメタルブリッジ158が形成される。
【0043】
バスバー150は、正極板152が、1つのバッテリセル102の正極セル端子120に接続され、負極板154が、隣接するバッテリセル102の対応する負極セル端子122に接続されるように、隣接するバッテリセル102の間に結合される。例示的実施形態では、正極板及び負極板152,154は、対応する端子120,122にレーザ溶接される。
【0044】
図6は、例示的実施形態に従って形成されたバスバー150の断面図である。バスバー150は、コーティング162によって被覆された銅板160から製造される。任意で、コーティング162は、正極板及び負極板152,154に固定することができるコーティングでもよい。例えば、コーティング162は、レーザ溶接できてもよい。コーティング162は、通電に対して電気防食を提供する。
【0045】
バスバー150は、正極板152が、1つのバッテリセル102の正極セル端子120に接続され、負極板154が、隣接するバッテリセル102の対応する負極セル端子122に接続されるように、隣接するバッテリセル102の間に結合される。例示的実施形態では、正極板及び負極板152,154は、対応する端子120,122にレーザ溶接される。コーティング162は、アルミニウム端子と銅端子の両方に結合されるように構成された材料である。
【0046】
図7は、例示的実施形態に従って形成されたバスバー150の断面図である。バスバー150は、銅板164から製造される。正極セル端子120は、アルミニウムポスト165と、アルミニウムポスト165から延在するバイメタルポスト166を含む。バイメタルポスト166は、アルミニウムと銅のバイメタルとすることができる。
【0047】
バスバー150は、正極板152が、1つのバッテリセル102の正極セル端子120のバイメタルポスト166に接続され、負極板154が、隣接するバッテリセル102の対応する負極セル端子122に接続されるように、隣接するバッテリセル102の間に結合される。例示的実施形態では、正極板及び負極板152,154は、対応する端子120,122にレーザ溶接される。
【0048】
図8は、例示的実施形態に従って形成されたバスバー150の斜視図である。バスバー150は、負極板154に対して、負極板154を通る開口168の上方に正極板152を超音波溶接することによって製造される。バスバー150は、バスバー150を補強するための壁170を含む。負極板154の形状は、正極板152に対応する。正極板152は、アルミニウム材料から作られる。負極板154は、銅材料から作られる。正極板及び負極板152,154は、超音波溶接され、正極板及び負極板152,154の間にバイメタルインタフェースを生成し、通電に対して電気防食を提供する。
【0049】
図9は、例示的実施形態に従って形成されたバスバー150の斜視図である。バスバー150は、正極板及び負極板152,154をクラッディングすることによって製造される。正極板152は、アルミニウム材料から作られる。負極板154は、銅材料から作られる。電圧検出コンタクト156は、負極板154から延在する。
【0050】
図10は、例示的実施形態に従って形成されたバスバー150の斜視図である。バスバー150は、銅板から製造される。バスバー150は、ニッケル又はその他のコーティングを含んでもよい。正極板及び負極板152,154は、銅板の両端によって画定される。電圧検出コンタクト156は、銅板から延在し、縁に沿って中心に配置されるなど、縁に沿って配置されることができる。
【0051】
図11は、バスバー150用のリアキャリア200を示す。リアキャリア200は、バッテリセル102(図2に図示)の上面112に取り付けられるように構成される。リアキャリア200は、対応するバスバー150(図3に図示)を受容する複数のトレイ202を含む。トレイ202は、バスバー150を受容するリセプタクルすなわちポケット204を有する。ポケット204は、バスバー150を受容して保持する大きさ及び形状に設定される。例えば、バスバー150は、締まり嵌めによってトレイ202に保持されてもよい。バスバー150に係合して保持するために、ポケット204内には突起又はタブ205が延在してもよい。
【0052】
トレイ202は、正極セル端子と負極セル端子120,122を夫々露出させる開口206,208を有する。バスバー150は、開口206,208を通ってバッテリセル102に対してレーザ溶接又はその他の方法で接続されることができる。任意で、バスバー150の一部が、開口206,208内に延在し、バッテリセル102と係合してもよく、バッテリセルの一部が、開口206,208内に延在し、バスバー150と係合してもよい。
【0053】
トレイ202は、電圧検出ワイヤ接続領域210を有してもよい。電圧検出ワイヤは、電圧検出コンタクト156(図3に図示)に接続するため、ワイヤハーネスから領域210内に配線される。例示的実施形態では、隣接するトレイ202は、バッテリセル102上に配置するために、トレイ202ひいてはバスバー150の相対移動を可能にするフレキシブルヒンジ212によって分離される。フレキシブルヒンジ212は、全ての隣接するトレイ202間、又は4つおきのトレイ202など特定のトレイ202間に設けられてもよい。リアキャリア200は、プラスチック材料等の誘電材料から製造される。リアキャリア200は、バスバー150同士を電気的に絶縁し、且つバスバー150をバスバー150の周囲環境から電気的に絶縁する。
【0054】
図12は、バスバー150上でリアキャリア200(図11に図示)に結合されるように構成されたリアカバー220を示す。リアカバー220は、プラスチック材料等の誘電材料から製造される。リアカバー220は、バスバー150の意図しない接触から保護する。任意ではあるが、リアカバー220は、リアキャリア200と共成形されるなど、リアキャリア200と一体としてもよい。任意で、リアカバー220は、リアキャリア200上に配置するために、リアカバー220の区画同士の相対移動を可能にするフレキシブルヒンジを含んでもよい。
【0055】
図13は、バスバー150用のフロントキャリア230を示す。フロントキャリア230は、バッテリセル102(図2に図示)の上面112に取り付けられるように構成される。フロントキャリア230は、プラスチック材料等の誘電材料から製造される。フロントキャリア230は、バスバー150(図3に図示)の意図しない接触から保護する。
【0056】
フロントキャリア230は、対応するバスバー150を受容する複数のトレイ232を含む。トレイ232は、バスバー150を受容するリセプタクルすなわちポケット234を有する。ポケット234は、バスバー150を受容して保持する大きさ及び形状に設定される。例えば、バスバー150は、締まり嵌めによってトレイ232に保持されてもよい。バスバー150に係合して保持するために、ポケット234内には突起又はタブが延在してもよい。
【0057】
トレイ232は、正極セル端子と負極セル端子120,122を夫々露出させる開口236,238を有する。バスバー150は、開口236,238を通ってバッテリセル102に対してレーザ溶接又はその他の方法で接続されることができる。任意で、バスバー150の一部が、開口236,238内に延在し、バッテリセル102と係合してもよく、バッテリセル102の一部が、開口236,238内に延在し、バスバー150と係合してもよい。
【0058】
トレイ232は、電圧検出ワイヤ接続領域240を有してもよい。電圧検出ワイヤは、電圧検出コンタクト156(図3に図示)に接続するために、ワイヤハーネスから領域240内に配線される。例示的実施形態では、トレイ232同士は、バッテリセル102上に配置するために、トレイ232ひいてはバスバー150の相対移動を可能にするフレキシブルヒンジ242によって分離される。フレキシブルヒンジ242は、全ての隣接するトレイ232間、又は4つおきのトレイ232など特定のトレイ232間に設けられてもよい。
【0059】
幾つかのトレイ232の前方には、フロントトレイ244が設けられる。フロントトレイ244は、バスバー150及びその他の部品を保持するための更なる空間を提供する。任意で、フロントトレイ244の範囲内で、対応するバスバーに対してバッテリ端子が接続されてもよい。フロントトレイ244には、モジュール対モジュールのバッテリ端子が受容されてもよい。フロントトレイ244には、正極バッテリ端子又は負極バッテリ端子が受容されてもよい。フロントトレイ244には、電力ケーブルが受容されてもよい。
【0060】
図14は、バスバー150上でフロントキャリア230(図13に図示)に結合されるように構成されたフロントカバー250を示す。フロントカバー250は、プラスチック材料等の誘電材料から製造される。フロントカバー250は、バスバー150の意図しない接触から保護する。任意で、フロントカバー250は、フロントキャリア230と共成形されるなど、フロントキャリア230と一体としてもよい。
【0061】
フロントカバー250は、蓋252を含む。蓋252は、フロントカバー250の前縁にヒンジ結合される。蓋252は、対応するフロントトレイ244と整列するように構成される。蓋252は、バスバー150や、バスバー150に結合されるその他の部品を被覆する。
【0062】
例示的実施形態では、フロントカバー250は、フロントキャリア230上に配置するために、フロントカバー250の区画同士の相対移動を可能にするフレキシブルヒンジ254を含む。
【0063】
図15は、バッテリモジュール101の一部を示す。リアキャリア200及びフロントキャリア230は図示されているが、カバー220,250(図12及び図14に図示)は、明確にするために取り除かれている。ワイヤハーネス260は、端部にコネクタ262を備えた状態で図示されている。ワイヤハーネス260は、対応する電圧検出コンタクト156に電気的に接続され、電圧検出ワイヤ端子領域210,240を通過する。例えば、ワイヤハーネス260の個々の電圧検出ワイヤ263は、対応する電圧検出コンタクト156に接続される。
【0064】
図示の実施形態では、電圧検出コンタクト156は、電圧検出コンタクト156に電圧検出ワイヤ263を圧着するための圧着バレルを含む。或いは、電圧検出コンタクト156は、電圧検出パッド又は溶接パッドを含み、電圧検出ワイヤ263の端部が電圧検出パッドに溶接され、電圧検出ワイヤ263をバスバー150に機械的且つ電気的に接続するようにしてもよい。
【0065】
バスバー150は、ポケット204,234に配置される。正極板152は、1つのバッテリセル102と整列するように構成され、負極板154は、隣接するバッテリセル102と整列するように構成される。タブ264は、バスバー150を所定の位置に保持する。電圧検出コンタクト156は、電圧検出ワイヤ接続領域240内に延在する。ワイヤハーネス260からのワイヤは、コンタクト156への接続のために、電圧検出ワイヤ接続領域210,240内に配線されるように構成される。例示的実施形態では、キャリア200,230は、ワイヤ接続領域210,240にワイヤハーネス260を保持するフィンガー266を含む。
【0066】
リアキャリア200及び対応するバスバー150は、一体としてバッテリセル102上に設置されるように構成される。そして、バスバー150は、バッテリセル102に対して、レーザ溶接又はその他の方法によって機械的且つ電気的に接続されることができる。同様に、フロントキャリア230及び対応するバスバー150は、一体としてバッテリセル102上に設置されるように構成される。
【0067】
図16は、バッテリモジュール101の他の一部を示す。負極バッテリ端子300は、対応するトレイ232及びフロントトレイ244に受容された状態で示されている。負極バッテリ端子300は、電圧検出コンタクト302を含む。負極バッテリ端子300は、対応する部品に対して速結するように構成された速結端304を含む。図示の実施形態では、速結端304は、対応するバッテリ端子に差し込まれるように構成されたブレードになっている。
【0068】
図17は、負極バッテリ端子300の速結端304を示す、例示的実施形態に従って形成された負極バッテリ端子300の斜視図である。負極バッテリ端子300は、打ち抜き工程と曲げ工程によって形成されてもよい。負極バッテリ端子300は銅材料から作られる。図示の実施形態では、負極バッテリ端子300は、例えば、より多くの電流を搬送したり、剛性を提供し、速結端304を支持したりするために、端子300に更なる断面積を提供する直立側壁を有するが、これらの側壁は、図16に示す実施形態のように、内側に折り曲げられ、用途に応じて負極バッテリ端子300の高さを低くしてもよい。負極バッテリ端子300は、他の実施形態では、他の形状を有してもよい。負極バッテリ端子300は、他の実施形態では、ブレード以外の種類の接続端を有してもよい。
【0069】
図18は、負極バッテリ端子300(図17に図示)と嵌合するように構成された電力コネクタ310を示す。電力コネクタ310は、雌コネクタ又はレセプタクルコネクタの形状を有し、以下、雌コネクタ310又はレセプタクルコネクタ310と呼ぶ場合がある。雌コネクタ310は、負極バッテリ端子300の速結端304(図16に図示)を受容するレセプタクル312を含む。任意で、負極バッテリ端子300と電気的に接続するために、レセプタクル312には、撓み可能なフィンガー又はその他の構造が設けられてもよい。雌コネクタ310は、打ち抜き工程と曲げ工程によって形成されてもよい。雌コネクタ310は、単一部品からなる構造体又は複数部品からなる構造体でもよい。
【0070】
雌コネクタ310は、反対側の端部にパッド314を含む。パッド314は、電力ケーブルに接続されるように構成される。例えば、電力ケーブルは、パッド314に超音波溶接される。雌コネクタ310は、電力ケーブルに接続するためのその他の機能又は構造体を含んでもよい。
【0071】
図19は、負極バッテリ端子300に嵌合する雌コネクタ310を示す。雌コネクタ310は、フロントトレイ244内に位置している。パッド314は、電力ケーブルの接続のために露出させている。任意で、フロントトレイ244は、電力ケーブルが、パッド314に対して複数の角度で配置されることができるように、2つ以上の方向に開放していてもよい。例えば、電力ケーブルは、雌コネクタ310及び負極バッテリ端子300と一直線になってパッド314に結合されてもよい。或いは、電力ケーブルは、他の実施形態では、雌コネクタ310及び負極バッテリ端子300に対して垂直に又は他の角度で延在してもよい。
【0072】
図20は、正極バッテリ端子320を示す。正極バッテリ端子320は、電圧検出コンタクト322を含む。正極バッテリ端子320は、接続端を含み、この接続端は、図示の実施形態では、対応する部品に速結するように構成された速結端323である。この接続端は、他の実施形態では、他の種類の接続を行うための他の種類の機能を有してもよい。
【0073】
正極バッテリ端子320は、バッテリセル102の対応する正極セル端子122(両方とも図2に図示)にレーザ溶接されるように構成されたアルミニウム板324を含む。アルミニウム板324は、正極バッテリ端子320の本体326に対して超音波溶接又はその他の方法で機械的且つ電気的に接続されてもよい。本体326は、銅板から打ち抜き工程と曲げ工程によって形成されてもよい。従って、正極バッテリ端子320は、バイメタル端子となる。アルミニウム板324を露出するために、本体326には開口328が設けられてもよい。
【0074】
図21は、対応するトレイ232及びフロントトレイ244に装着した正極バッテリ端子320を示す。図22は、正極バッテリ端子320に嵌合した雌コネクタ310の形状の電力コネクタ310を示す。電力ケーブルは、雌コネクタ310のパッドに対して任意の角度で接続される。
【0075】
図23は、2つのバッテリモジュール101が、モジュール対モジュールの電力コネクタ340を使用して互いに接続される様子を示すバッテリパック100の他の部分を示す。図24は、モジュール対モジュールの電力コネクタ340の斜視図である。
【0076】
正極バッテリ端子及び負極バッテリ端子320,300は、フロントキャリア230に沿って、対応するトレイ232及びフロントトレイ244の適切な位置に装着される。電力コネクタ340は、端子320,300に嵌合するモジュール対モジュールの雌コネクタ340の形状になっている。
【0077】
モジュール対モジュールの雌コネクタ340は、雌コネクタ310と同様の2つの雌コネクタを含み、これらの雌コネクタは、ブリッジ342によって連結される。ブリッジ342は、正極バッテリ端子と負極バッテリ端子320,300との間の相対移動を可能にするフレキシブルブリッジでもよい。ブリッジ342は低い高さを有する。ブリッジ342は、雌端子310を製造するために使用される順送金型からのキャリアから形成されてもよく、順送金型からのキャリアは、2つの雌コネクタ310間から除去されず、ブリッジ342となる。ブリッジ342は、雌コネクタ310間の振動エネルギー及び相対移動に対応する。
【0078】
図25は、例示的実施形態に従って形成されたサーミスタ350の斜視図である。図26は、隣接するバッテリセル102の間に装着されたサーミスタ350を示す。サーミスタ350は、基部354から延在するワイヤ352を含む。基部354は、キャリア200又は230の対応する開口356に受容される。サーミスタ350は、任意の2つのバッテリセル102の間に配置されてもよい。キャリア200,230は、サーミスタ350を多くの位置に配置することを可能にすることによって、サーミスタ350の柔軟な配置を可能にする。任意で、バッテリモジュール101の様々な位置における温度を検出するために、様々なバッテリセル102の間で複数のサーミスタ350が使用されてもよい。開口356は、バッテリセル102の間のインタフェースにおいてサーミスタを適切に整列させる。ワイヤ352は、キャリア200又は230から、電圧検出ワイヤが配線される領域と同一の領域を通って配線されてもよい。
【0079】
図27は、バッテリパック100の例示的な組立方法を示す。工程402では、キャリア200,230が、電圧検出システム及び温度検出システムのための対応するバスバー150及びワイヤハーネスと共に、バッテリセル102に装着される。バスバー150は、レーザ溶接などによって、対応するセル端子120,122に機械的且つ電気的に接続される。
【0080】
工程404では、カバー220,250が、キャリア200,230に夫々結合される。工程406では、雌コネクタ310とモジュール対モジュールの雌コネクタ340が、対応する正極バッテリ端子と負極バッテリ端子320,300に結合される。電力ケーブルは、超音波溶接等によって、雌コネクタ310に接続される。工程408では、蓋252が閉じられる。
【0081】
当然のことながら、上記の記述は、例示であり、制限しようとするものではない。例えば、上述の実施形態(やその態様)は、互いに組み合わせて用いられてもよい。更に、本発明の範囲から逸脱せずに本発明の教示に特定の状況や材料を適応させるために、多くの修正がなされてもよい。様々な構成要素の寸法、材料の種類、向き、及び本書に記述した様々な構成要素の数及び位置は、特定の実施形態の特徴を定義するものであって、制限するものではなく、単に例示的な実施形態である。請求項の精神及び範囲内の多くのその他の実施形態及び変形は、当業者によって、上記の記述を再考することにより理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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