(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497785
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】気管内挿管装置用の使い捨てシース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-520023(P2016-520023)
(86)(22)【出願日】2014年9月30日
(65)【公表番号】特表2016-536041(P2016-536041A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】US2014058249
(87)【国際公開番号】WO2015053983
(87)【国際公開日】20150416
【審査請求日】2017年9月28日
(31)【優先権主張番号】61/888,331
(32)【優先日】2013年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514281245
【氏名又は名称】センチュリオン メディカル プロダクツ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Centurion Medical Products Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツ,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】セティ,ハルシャ
(72)【発明者】
【氏名】モントゴメリー,クリストファー
【審査官】
杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2011/0196204(US,A1)
【文献】
特表2012−519522(JP,A)
【文献】
特開2007−029290(JP,A)
【文献】
特開平07−313000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
A61B 1/267
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルに連結される近位端とは反対側の湾曲可能な遠位端を有する細長の連結式アームを受けるように構成される長手方向管路を規定する、細長の弾性部であって、C字状断面およびチャネル開口を有する長手方向開口チャネルを規定するように前記弾性部から突出する一対のリップによって、前記長手方向管路に隣接して規定される開口チャネルを有する弾性部と、
前記弾性部の遠位端に隣接する剛性部と、
前記一対のリップに取り付けられた少なくとも1つのC字状クリップと、
前記リップの一方の一部に沿って設けられた切り欠き部分と、
を備えることを特徴とする気管内挿管装置用シース。
【請求項2】
請求項1に記載のシースにおいて、前記弾性部は、70未満のショアA硬度を有する材料から成ることを特徴とするシース。
【請求項3】
請求項2に記載のシースにおいて、前記剛性部は、少なくとも60のショアD硬度を有することを特徴とするシース。
【請求項4】
請求項1に記載のシースにおいて、前記弾性部は、70未満のショアA硬度を有するゴムから成ることを特徴とするシース。
【請求項5】
請求項4に記載のシースにおいて、前記剛性部は、少なくとも60のショアD硬度を有する熱可塑性材料から成ることを特徴とするシース。
【請求項6】
請求項1に記載のシースにおいて、前記弾性部は、70未満のショアA硬度を有するシリコーンゴムから成り、前記剛性部は、少なくとも60のショアD硬度を有する熱可塑性材料から成ることを特徴とするシース。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシースにおいて、前記熱可塑性材料は、ポリカーボネート、アクリルポリマー、ポリスチレン、及びナイロンから成る群から選択されることを特徴とするシース。
【請求項8】
請求項1に記載のシースにおいて、前記管路は、正方形の断面を有することを特徴とするシース。
【請求項9】
請求項1に記載のシースにおいて、前記管路の遠位端は、透明な光学窓で封止可能に閉じられることを特徴とするシース。
【請求項10】
請求項1に記載のシースにおいて、前記少なくとも1つのクリップが、前記開口チャネルの長さに沿って互いに離れた関係性で配置された複数の弾性クリップを具えることを特徴とするシース。
【請求項11】
請求項1に記載のシースにおいて、前記クリップは、前記リップにおいて全体的又は部分的に埋め込まれることを特徴とするシース。
【請求項12】
請求項1に記載のシースにおいて、前記クリップは、鋼、ステンレス鋼、ニッケル、及びニッケル合金から成る群から選択される材料から成ることを特徴とするシース。
【請求項13】
請求項1に記載のシースにおいて、前記クリップは、熱可塑性エラストマから成ることを特徴とするシース。
【請求項14】
請求項1に記載のシースにおいて、前記間隙は、前記弾性部の遠位端に位置し、前記剛性部の近位縁部を露出することを特徴とするシース。
【請求項15】
請求項14に記載のシースにおいて、前記間隙は、前記弾性部の縁部と前記剛性部の前記近位縁部との間において規定され、前記シースが屈曲するときには気管内チューブを保持し、前記シースが直線状であるときには前記気管内チューブを放すように構成されることを特徴とするシース。
【請求項16】
請求項1に記載のシースにおいて、前記シースは、関節アームを湾曲させる枢動レバーを有するハンドル部に対して連結される前記関節アーム上に配置されることを特徴とするシース。
【請求項17】
請求項16に記載のシースにおいて、前記関節アームが少なくとも2つの連結部を有しており、前記関節アームの本体の非関節部分にヒンジで連結した少なくとも1つのリンク部材と、1のリンク部材にヒンジで連結した末端部材とを有することを特徴とするシース。
【請求項18】
請求項17に記載のシースにおいて、前記レバーに対して動作可能に連結される第1制御ワイヤは、前記少なくとも1つのリンク部材上に回転可能に実装される第1プーリと、前記末端部材上に回転可能に実装される第2プーリとに巻き付けられ、前記末端部材に対して連結されることを特徴とするシース。
【請求項19】
請求項18に記載のシースにおいて、前記レバーに対して動作可能に連結される第2制御ワイヤをさらに備え、前記第2ワイヤは、前記少なくとも1つのリンク部材上に回転可能に実装される第3プーリと、前記末端部材上に回転可能に実装される第4プーリとに巻き付けられ、前記末端部材に対して連結されることを特徴とするシース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2013年10月8日に出願された米国仮特許出願第61/888,331号明細書の利益を主張する。この特許の開示内容は、参照することによって本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、気管内挿管装置に関し、特に、再利用のために容易且つ迅速に準備可能な気管内挿管装置に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の気管内への気管内チューブの導入を容易にする、操作可能な(例えば、湾曲可能な)遠位端を有する気管内挿管装置が知られている。また、この装置の遠位部分上においては弾性シースが採用され、この弾性シースは、挿管工程の終了時に廃棄され、装置の再利用前に新しいシースと取り替え可能であることが知られている。このような配置によって、処置の間で器具の殺菌及び/又は消毒の必要性が低減又は排除される。
【発明の概要】
【0004】
本開示に係る気管内挿管装置用シースは、ハンドルに連結される近位端とは反対側の湾曲可能な遠位端を有する細長の連結式アームを受ける長手方向管路と、挿管チューブを解放可能に保持するためにC字状の輪郭を描くように管路の壁部から延びる一対のリップによって、管路に隣接して規定される開口チャネルと、を規定する細長の弾性部を備える。当該シースは、弾性部の遠位端から延びる剛性部をさらに備える。
【0005】
特定の実施形態において、複数の弾性クリップが、開口チャネルの長さに沿って互いに離れた関係性で配置されることによって、チャネルにおける挿管チューブの保持力を高める。
【0006】
特定の実施形態において、例えば弾性部の遠位端等の一方のリップの一部に沿って間隙が規定されることによって、チャネル内でチューブを挟持し保持力を高めつつ、連結式アームの遠位端が湾曲される。
【0007】
各種実施形態のこれらの特徴、利点、及び目的、並びに、その他の特徴、利点、及び目的については、以下の明細書及び特許請求の範囲を参照して、より良好に理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示に係る気管内挿管装置用シースの概略図である。
【
図2】
図2は、
図1の線II−IIに沿ったシースの断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の線III−IIIに沿ったシースの断面図である。
【
図4A】
図4Aは、シースと共に使用可能な気管内挿管装置の側面図である。
【
図4B】
図4Bは、
図1のシースが装置の連結式アーム上に配置され、押圧位置のレバーによって連結式アームが略湾曲形状に屈曲した状態における、
図4Aの気管内挿管装置の側面図である。
【
図4C】
図4Cは、解放位置のレバーによって連結式アームが略直線形状(非湾曲形状)に伸びた状態における、
図4Bの気管内挿管装置の側面図である。
【
図5】
図5は、気管内挿管装置の連結式アームの連結式部材の詳細を示す概略図である。
【
図6】
図6は、装置の映像表示部を示す、
図4Aの気管内挿管装置の概略図である。
【
図7】
図7は、
図1の線VII−VIIに沿ったシースの断面図である。
【
図8】
図8は、カメラ用の透明窓を示す、シースの遠位端の概略図である。
【
図9】
図9は、装置の連結式アームが湾曲したときに、シースの剛性部の縁部と開口チャネルのリップとの間において挟持される挿管チューブを備える気管内挿管装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
連結式気管内挿管装置用の単回使用使い捨てシース10を
図1において示す。シース10は、その長さの大部分を構成する比較的柔軟な弾性部12と、シースの遠位端に位置する比較的硬い剛性部14と、を備える。弾性部及び剛性部は、共に及び個々に、長手方向管路20を規定し、管路20は、ハンドルに取り付けられるように構成される端部とは反対側の湾曲可能な遠位端を有する、挿管装置の関節アーム又は連結式アームを受けるようなサイズ及び形状を有する。
【0010】
ここにおいて開示されるシースは、「単回使用使い捨てシース」として説明されるが、このような表現は、シースの構造よりも、シースの実用的かつ意図的な用途をより記述的に説明するものであると理解される。特に、用語「単回使用」は、1回の挿管処置の後で経済的に廃棄可能な完成品に経済的且つ容易に成型可能である安価な材料でシースが形成されることを意味することを意図している。
【0011】
シース10の比較的柔軟な弾性部12は、シースの比較的硬い剛性部14に比べて、より柔らかく柔軟である。弾性部12は、シリコーンゴム等の弾性樹脂で形成可能であり、70未満、60未満、又は50未満のショアA硬度を有してもよい。シース10の弾性部12の好適なショアA硬度は、約10〜約70、約20〜60、又は約30〜約50であってもよい。
【0012】
シース10の比較的硬い剛性部14は、シースの比較的柔軟な弾性部12に比べて、より硬く柔軟性が低い。比較的硬い剛性部14は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、又はアクリルポリマー(例えば、ポリメタクリル酸メチル)等の、比較的硬い熱可塑性材料で形成可能であり、少なくとも60、少なくとも70、又は少なくとも80のショアD硬度を有してもよい。シース10の比較的硬い剛性部12の硬度は、約60のショアD〜約150のロックウェルR、約70のショアD〜約150のロックウェルR、又は約80のショアD〜約150のロックウェルRであってもよい。
【0013】
長手方向管路20は、
図2の例示的な実施形態において示すように、正方形の断面形状又は輪郭を有する。しかしながら、その他の断面形状を使用してもよい。管路20は、通常、第1壁部24と、その反対側の第2壁部26と、対向する壁部28、30と、によって規定され、壁部28、30は、壁部24と壁部26との間において延び、挿管装置の連結式アーム上にシースが配置されているときに挿管処置中の体液の侵入を防止する密閉構造を規定する。挿管処置中に患者の気管内に位置する、管路20の遠位端には、透明な光学窓32が設けられてもよく、光学窓32は、チューブの遠位端を封止可能に閉じることによって、体液の管路20への侵入を防止しつつ、窓32に隣接する、挿管装置の連結式アームの遠位端に位置するカメラ又は撮像装置等を介して、挿管処置中に患者の気管内における装置の位置の画像を目視可能とする。
【0014】
開口保持チャネル33が、一対の保持リップ34、36によって管路20に隣接して規定され、保持リップ34、36は、壁部26の対向端部から離れるように垂直に延び、互いに向かって湾曲することにより、挿管処置中に挿管チューブを保持するようにC字状の輪郭を描く。チャネル開口部33は、リップ34、36が伸長状態(即ち、リップ34、36が、屈曲又は変形せず、むしろいずれの力も加えられていない自然な配置又は形状にある状態)にあるときに挿管チューブの外径よりも小さい距離分(又は間隙分)だけ保持リップ34、36の端部38、40が互いに離れている状態で、所定の外径を有する挿管チューブを収容可能なサイズを有する。
【0015】
挿管処置の準備中及び実行中における、保持チャネルの弾性を維持又は向上するために、保持チャネルの長さに沿ってC字状の弾性クリップ40を複数設けてもよい。C字状クリップは、互いに離れて配置されることによって、挿管チューブがより容易に挿入可能であり、挿管チューブが気管内に良好に位置すると当該チューブを容易に解放可能な部分をクリップ40の間に設けることが可能である。シース10の部分12を構成する軟質ゴム材料内に、クリップ40を全体的又は部分的に埋め込み可能である(
図7参照)。あるいは、クリップ40は、リップ34、36及び/又は壁部26に対して接着により接合可能であるか、クリップから突出し、リップ34、36を介してスロットに係合するタブ等によってリップ34、36に対して機械的に取り付け可能である。クリップ40は、弾性又は非弾性の可塑性材料で形成可能である。クリップ40は、リップ34、36に比べて低い柔軟性を有してもよい。クリップ40の好適な材料の例には、金属(例えば、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、ニッケル合金等)又は熱可塑性エラストマが含まれる。
【0016】
シース10の比較的硬い剛性部14は、
図2に例示されるものと略同一な断面形状を有する、シースの弾性部12の遠位端のすぐ近隣に第1の部分37を有する。剛性部14の上壁12Aから略遠位方向に一体的に突出するのは、舌挙上部42であり、舌挙上部42は、気管内チューブが患者の気管内に挿入されるときに患者の喉頭蓋を持ち上げるために、気管内挿管中に使用可能である。
【0017】
シース10の弾性部12の遠位端において規定されているのは、リップ34における切り欠き部又は間隙46である。弾性部12の遠位端部の断面輪郭を
図3において示す。このような切り欠き部において、リップ34は、存在していない。間隙46は、通常、弾性部12の全長のほんのわずかな部分のみ(例えば、25%未満、20%未満、15%未満、又は10%未満)に亘って延びる。
【0018】
図4A及び
図4Bにおいて示すのは、グリップ54、56を有するハンドル部52と、枢動ピン60を介してハンドル部52に対して枢動可能に接続されるレバー58と、を備える挿管装置50の側面図である。例示的な実施形態において、取り外し可能なモジュール61は、アクチュエータハウジング62を備え、アクチュエータハウジング62は、関節アーム66の長手方向に往復移動可能なバネ装填部材64(
図5参照)に対してレバー58を動作可能に接続するアクチュエータ組立体を収容する。
【0019】
図5に示すように、関節アーム66は、一端をアーム66の本体部76にヒンジで連結され、他端を末端部材78にヒンジで連結される1つのリンク機構74と共に、2つの関節又は連結部70、72を備え、末端部材78は、剛性部14の第1の部分37に一致し、第1の部分37によって規定される内部容積を実質的に満たすようなサイズ及び形状を有する。これによって、シース10の弾性部12の遠位端は、バネ装填部材64の作動時に、ヒンジ70、72の周りのリンク機構74及び末端部材78の回転移動に合わせて屈曲する。より多くの連結部を設け、アーム66を湾曲させるためのより優れた能力を得るために、リンク機構74と同様の付加的なリンク機構が、必要に応じて使用可能である。
【0020】
図5から分かるように、アーム66の本体部76の遠位端には、隣り合って配置され、それぞれが軸82の周りに回転可能な2つのプーリ80、81が設けられる。リンク機構74は、隣り合って配置され、それぞれが軸84の周りに回転可能な2つのプーリ82、83をさらに備える。第1制御ワイヤ86は、部材64に対して固定され、プーリ80に巻き付けられ、次にプーリ82に巻き付けられ、そして末端部材78に対して連結される。第2制御ワイヤ88は、部材64に対して固定され、プーリ81に巻き付けられ、次にプーリ83に巻き付けられ、そして末端部材78に対して連結される。シース10がアーム66上に位置するときに、アーム66の作動時、並びに、シース10の屈曲時においてワイヤ86、88の移動及び位置を制御するために、ガイド90、91が設けられてもよい。プーリ80、81、82、83を使用することによって、1つ又は複数の制御ワイヤが1つ又は複数のリンク機構におけるガイド孔を単に貫通する配置と比較して、アーム66の遠位端の屈曲時に制御ワイヤと1つ又は複数のリンク機構との間の摩擦が低減する。また、プーリによって、感度(即ち、レバー58の操作によってアーム66の遠位端の屈曲を正確に制御する能力)を犠牲にすることなく機械的利点及び円滑な動作を得ることが可能である。必要に応じて、1本の制御ワイヤと共に、1つのプーリセット(一方のプーリはリンク機構74上に、別のプーリは末端部材78上に設けられる)を使用可能である。しかしながら、2本の制御ワイヤ及び2つのプーリセットを使用することによって、アーム66の連結式部材に対して、より良好なバランスでより円滑に力を加えることが可能である。
【0021】
図6に示すように、装置52は、映像表示スクリーン93を有する映像表示装置92を備えてもよく、映像表示スクリーン93が、末端部材78の遠位端に位置するカメラ95に対して接続されることによって、医療専門家が気管内挿管処置中に患者の喉及び気管の内部を確認することが可能となる。
【0022】
図4Cに示すように、レバー58は、往復移動部材200に対して直接取り付け可能であり、制御ワイヤ86、88が往復移動部材200に対して取り付けられることによって、レバー58がグリップ56に向かって押されるときに、往復移動部材200が、取り付けられたワイヤ86、88に沿って近位方向に引っ張られ、連結式部材74、78が、
図4Bに示すようにアーム66の遠位端を湾曲させる。
【0023】
挿管処置中に、シース10は、
図4Bに示すようにアーム66上に位置する。従って、気管内チューブ110は、
図9に示すように開口チャネル33内に位置する。装置の湾曲可能な遠位端がより直線状(湾曲が弱い)の伸長位置で、装置の遠位端が患者の口に挿入される。レバー58は、必要に応じて挿入中に操作されることにより、アーム66及び弾性シース10の遠位端を湾曲させ、装置が患者の喉の中を通って気管まで安全に進むことが可能となる。装置の遠位端が湾曲したときには、チューブ110の表面が、間隙46から露出する、シース10の比較的硬い剛性部14の縁部112に係合する。また、チューブ110の反対側の面は、リップ36の内面に係合する。従って、レバー58に対して圧力がかけられることによって、アーム66及びシース10の遠位端が屈曲するときには、縁部112とリップ36との間の隙間が減少し、チューブ110が、チャネル33において挟持され、より堅く保持されるようになる。レバー58が離されたときに、制御ワイヤ86、88にかかる応力が放出されることにより、アーム66の遠位端は、アーム66の遠位端がより直線状(湾曲が弱い)となる通常の向き(伸長状態)に戻る。これにより、縁部112とリップ36との間においてチューブ110に対して加えられる挟持力又は圧縮力が放出され、装置(即ち、ハンドル部52、探り針61、及びシース10)が患者の喉から引き出されつつ、チューブ110が患者に酸素を供給するためにそのまま留まることが可能となる。
【0024】
従って、間隙46によって、アーム66の屈曲時又は連結時に強いチューブ保持力が得られ、チューブ110が間隙46の縁部120、122において挟持及び固定され、アーム66が直線状態又は伸長状態であるときには、装置からのチューブの取り外しが容易となる。
【0025】
上記の記述は、単に好適な実施形態であるものとみなされる。これらの実施形態に対する修正は、当業者及び例示的な実施形態を作成又は利用する者にとって明らかである。従って、上述の実施形態は、単に例示であり、均等論を含む特許法の原則に従って解釈されるように、以下の請求項で定義される、本開示の範囲を限定するものではない。