(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497800
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】無線通信システム、端末局装置、情報配信サーバ
(51)【国際特許分類】
H04W 4/90 20180101AFI20190401BHJP
H04W 68/00 20090101ALI20190401BHJP
【FI】
H04W4/90
H04W68/00
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-233831(P2014-233831)
(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公開番号】特開2016-100640(P2016-100640A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】小早川 雅一
【審査官】
青木 健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−200047(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/091596(WO,A1)
【文献】
特表2011−530903(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/083733(WO,A1)
【文献】
特開2011−125002(JP,A)
【文献】
3GPP;TSG Services and System Aspects; ETWS Solution Placeholder(Release8),TR23.828 V1.0.0,2008年 6月,P. 6-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
H04B 7/24 − 7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の情報配信サーバと第2の情報配信サーバと交換局と複数の基地局装置とからなり、電話番号及び契約情報を含む個別情報を有さない若しくは無効となり緊急警報を受信する状況下においてのみ使用するP−TMSI/TMSIを記憶部に記憶した端末局装置で緊急警報を受信可能なように発報する無線通信システムであって、
前記第1の情報配信サーバは、緊急警報情報を配信し、
前記第2の情報配信サーバは、前記第1の情報配信サーバから配信された緊急警報情報を受信し、当該緊急警報情報から配信が必要なエリアを入手し、配信が必要なエリアにある基地局装置を特定し、電話番号及び契約情報を含む個別情報を有さない若しくは無効となった端末局装置に対して緊急情報を配信するか否かを判断し、配信すると判断した場合にはPIと予約済みの前記端末局装置が記憶したものと同じP−TMSI/TMSIと警報種別とを前記交換局を介して配信し、
前記配信が必要なエリア内にある基地局装置は、前記交換局を介して前記第2の情報配信サーバから受信した情報を基に、IMSI=0に対応したPIと予約済みの前記端末局装置が記憶したものと同じP−TMSI/TMSIと警報種別とを用いてページングを行い、端末局装置向けに緊急警報を配信することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信システムを用いて緊急警報を受信する端末局装置であって、
前記基地局装置から配信された信号にIMSI=0から算出されたPIに属するページングが有るか否かを判断してPIに属するページングが有る場合にはP−TMSI/TMSIを受信し、前記受信したIMSI=0に対応したPIと端末局装置内に記憶しているP−TMSI/TMSIとを照合して一致する場合には前記基地局装置から配信される緊急警報を受信し、当該受信した信号に警報種別が有るか否かを判断して警報種別がある場合には受信した緊急警報を記憶部に記憶し、所定時間前に緊急警報を受信しているか否かを判断して所定時間前に緊急警報を受信していない場合にはユーザに緊急警報を通知することを特徴とする端末局装置。
【請求項3】
請求項2記載の端末局装置であって、
前記所定時間前に緊急警報を受信しているか否かを判断して所定時間前に緊急警報を受信している場合には、前に受信した緊急警報の警報種別と同じか否かを判断し、同じではないと判断した場合にはユーザに新たに受信した緊急警報を通知することを特徴とする端末局装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載の端末局装置であって、
ユーザに緊急警報を通知する手段として、緊急警報を表示する表示装置もしくは音声出力する音声出力装置を備えることを特徴とする端末局装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、緊急地震速報、津波情報等の緊急警報を発信する全国瞬時警報システム(Jアラート)等がある。
緊急警報を配信する手段としては、テレビ、ラジオ、携帯電話等があり、いずれもサービス提供エリアが非常に広いので、緊急警報を配信する仕組みとして適している。
携帯電話は、携帯電話システムを運用する無線通信事業者が契約ユーザへのサービスの一つとして、緊急地震や津波警報の情報提供を行っている。
【0003】
次に、緊急警報を受信可能な端末局である携帯電話、無線通信モジュール等の無線移動局装置(以下、移動局と称する)の内部構成と移動局を含むシステム構成を
図1、
図2で説明する。
図1は無線移動局装置を含む無線通信システム構成を説明するための図である。
図1の無線通信システムは、移動局1001−1,1001−2と、基地局装置1002−1,1002−2(以下、基地局と称する)と、交換局1003と、情報配信サーバ1004、公衆網1005、情報発信サーバ1006により構成され、移動局1001−1,1001−2は、基地局1002−1,1002−2との間で電波を媒体として、音声やパケットデータ等の通信を行う。
【0004】
地震、津波などの緊急警報は日本において気象庁が中心となり提供している。
緊急警報が発令された場合、情報発信元の情報発信サーバ1006から公衆網1005を介して通信事業者網内の情報配信サーバ1004に伝えられ、それから交換局1003、基地局1002−1,1002−2を経て携帯電話、無線通信モジュール等の移動局1001−1,1001−2へ配信される。
【0005】
図2は無線移動局装置を説明するためのブロック図である。
基地局1002−1,1002−2から送信された電波は無線送受信部2001で受信され、ベースバンド信号処理部2002で信号に変換される。変換された信号データはアプリケーション(AP)部2003及び呼処理制御部2004に送られ、その属性に応じてLCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置2005,スピーカ等の音声出力部2006に送られる。マイクなどの音声入力装置2007及びテンキー等の他入力装置2008から入力されたデータはAP部2003,呼処理制御部2004により信号変換されベースバンド信号処理部2002で変換され無線送受信部2001で電波として基地局1002に送信される。各種の制御信号を移動局1001が受信した場合はAP部2003,呼処理制御部2004内で処理された後、表示装置2005,音声入力装置2006,音声出力装置2007,他入力装置2008を経由せずベースバンド信号処理部2002,無線送受信部2001を介して基地局1002−1,1002−2へ送信される場合もある。
【0006】
緊急警報配信の実現方法は、携帯電話システムに関する周知の仕様である3GPP(Third Generation Partnership Project)等に規定されている。
携帯電話向けの緊急警報の配信について、3GPPで規定している無線通信システム仕様であるUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)をベースに説明する。
【0007】
実現手段は、「ページング」と呼ばれる特定の移動局に音声着信やSMS(Short Message Service)の着信があることを伝える際の仕組みと同様の方法を利用している。
通信事業者網はUMTSの規定においてページングを行う際に使用するパラメータである「通信事業者網内の移動局を一意に特定できる移動機識別子(International Mobile Subscriber Identity:以下、IMSIと称する)」「通信事業者網内の移動局を一意に特定できる一時的移動機識別子(Packet-Temporary Mobile Subscriber Identity や Temporary Mobile Subscriber Identity:以下、P−TMSI/TMSIと称する)」と、「移動局が属しているページングを受信するための識別子(Paging Indicator:以下、PI)と称する」と移動局の位置(当該移動局がどの基地局と通信可能な場所にいるか)を把握している。(
図6参照)
【0008】
IMSIは、移動局が具備している記憶媒体もしくは通信事業者から配布される電話番号等の契約情報が保存されているICカード(以下、UIM(User Identity Module)カードと称する)に含まれる固有の識別子である。
なお、ここで云うUIMカードとは、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)携帯電話でSIM(Subscriber Identity Module)カードを拡張したものであるため、SIMカード等を含むものとする。
【0009】
P−TMSI/TMSIは、移動局が通信事業者網から与えられる識別子で、通信事業者網と移動局の間で無線通信し、当該移動局が通信事業者と契約していることが確認された後に割り当てられる識別子で、IMSIと1対1の関係にある。
PIは、通信事業者網配下の移動局を複数にグループ分けするために使用される、IMSIから算出することが可能なグループ識別子である。移動局は自身が属するPIでページングが行われているか定期的にチェックしている。
移動局の位置は、通信事業者網がP−TMSI/TMSIを割り当てる際に無線通信した基地局の位置を基に管理可能となる。
警報情報は、配信される警報の種類を示す。
【0010】
音声やSMSの着信等、特定の移動局に特定の通知をする際、通信事業者網は対象移動局が在圏している基地局をP−TMSIから特定し、特定基地局配下に在圏している移動局に対してPI、IMSI、P−TMSI/TMSI、理由情報を含めたページングを行う。
【0011】
移動局は自身が持つPIのページングを検出した場合、同時に配信されているIMSI、P−TMSI/TMSIをチェックする。
ページング情報に含まれるIMSI、P−TMSI/TMSIが、移動局が持つそれと一致した場合、ページングに含まれる理由情報に基づき音声やSMSの着信などの処理を開始する。
また、携帯電話システムが緊急警報を配信する際は、緊急警報を配信する地域に存在する基地局配下に在圏している全ての移動局に対してPI、警報種別を含めたページングを行う。
移動局は自身が持つPIのページングを検出した場合、ページングに含まれる警報情報を参照し、緊急警報をユーザに通知するための処理を開始する。
また、UMTS仕様上、音声やSMSの着信と緊急警報配信はページング情報に同時に含めることが可能なので、仕様上は同時配信が可能である。
【0012】
先行技術としては、中継局からの送信信号を受信する複数の無線情報端末装置からなり、中央処理装置の記憶部は、前もって定められた地区毎に上記複数の中継局お上記IPアドレスを有する複数の携帯電話基地局を登録したデータテーブルを記憶し、災害発生時に上記中央処理装置はデータテーブルに基づいて緊急防災情報を上記複数の中継局および複数の携帯電話基地局に送信する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006−287771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、緊急警報などの通信事業者が配信する情報を、個別情報を有さない無線端末局装置でも受信可能な無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の無線通信システムは、基地局装置と端末局装置と情報配信サーバを有する無線通信システムであって、情報配信サーバは受信した緊急警報情報を基地局装置に配信し、基地局装置は配信された緊急警報情報の内容に基づいて個別情報を有さない端末局装置に緊急警報を配信することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の無線通信システムは、上述の無線通信システムであって、個別情報を有さない端末局装置に特定の移動局識別子を用いて緊急警報を配信することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の端末局装置は、無線送受信部と主制御部を有する個別情報を有さない端末局装置であって、主制御部は無線送受信部で受信した緊急警報情報に基づいて緊急警報を発報または表示することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の端末局装置は、上述の端末局装置であって、緊急警報情報に付加された特定の移動局識別子を用いて緊急警報を受信することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の情報配信サーバは、緊急情報を受信して基地局装置に配信する情報配信サーバであって、個別情報を有さない端末局装置に緊急警報を配信するための緊急警報情報を前記基地局に配信することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の情報配信サーバは、上述の情報配信サーバであって、緊急警報情報は特定の移動局識別子を付加していることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の無線通信システムは、基地局装置と端末局装置と情報配信サーバを有する無線通信システムであって、端末局装置と情報配信サーバは通信事業者網内の移動局を一意に特定できる一時的移動機識別子を複数の移動局装置で共有できる固定値として予め記憶し、情報配信サーバは緊急警報情報を受信すると当該緊急警報情報から配信エリアとなる基地局装置を特定すると共に前記受信した緊急警報情報を個別情報を有さない端末局装置に配信するか否かを判断し、配信すると判断した場合には予め通信事業者網内の移動局を一意に特定できる一時的移動機識別子を複数の移動局装置で共有できる固定値で配信し、基地局装置は情報配信サーバからの緊急警報情報を無線信号を用いて移動局装置に配信し、予め通信事業者網内の移動局を一意に特定できる一時的移動機識別子を複数の移動局装置で共有できる固定値として記憶した移動局装置は基地局装置からの緊急警報情報を受信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、端末装置が緊急警報などの事業者が配信する情報を受信できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】無線移動局装置を含む無線通信システム構成を説明するための図である。
【
図2】無線移動局装置を説明するためのブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例である無線通信システムの緊急警報配信時の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例である無線移動局装置の緊急警報受信時の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施例である無線移動局装置の仕様のパラメータを説明するための図である。
【
図6】従来の無線移動局装置の仕様のパラメータを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は、無線移動局装置を含む無線通信システム構成を説明するための図である。
図1において、本一実施例に係る無線通信システムは、端末局装置である無線移動局装置(以下、移動局と称する)1001−1,1001−2と、基地局装置(以下、基地局と称する)1002−1,1002−2と、交換局1003と、情報配信サーバ1004と、公衆網1005と、情報発信サーバ1006により構成されており、移動局1001−1,1001−2は、基地局1002−1,1002−2との間で電波を媒体として、音声やパケットデータ等の通信を行う。本例では、基地局1002は、複数の周波数のうち1つの周波数を用いて、基地局1002−1,1002−2がどの事業者に属するか等の情報を含む報知情報を、移動局1001−1,1001−2(移動局を代表する場合は1001とする)に対して常時送信している。
なお、情報発信サーバ1006は、緊急警報が発令された場合の情報発信元である。
【0025】
図2は、無線移動局装置を説明するためのブロック図である。
本例の移動局1001は、移動通信システムにおける移動局であって、無線送受信部2001と、ベースバンド信号処理部2002と、主制御部2010と、記憶部2020、表示装置2005と、音声入力装置2006と、音声出力装置2007と、他入力装置2008とを備えている。
また、移動局1001がデータ通信を主目的として他の電子機器等に設置して、当該電子機器と公衆網に接続されたネットワーク側の機器(図示せず)と通信を行うための無線通信モジュールとして機能する場合には、表示装置2005と、音声入力装置2006と、音声出力装置2007と、他入力装置2008は必ずしも必要とはせず、設置される電子機器等とのインタフェースのみであってもよく、表示装置2005と、音声入力装置2006と、音声出力装置2007と、他入力装置2008が設置される電子機器等に設けられる場合があっても良い。
【0026】
主制御部2010は、機能として、アプリケーション部(AP部)2003と、呼処理制御部(呼制御部)2004を備えている。また、主制御部2010は、無線送受信部2001、ベースバンド信号処理部2002、表示装置2005、音声入力装置2006、音声出力装置2007、他入力装置2008を統括制御する。
記憶部2020は、周波数、基地局種別、通信事業者、通信方式、関連タイマ情報等を記憶するテーブルを有している。
【0027】
無線送受信部2001は、基地局1002と移動局1001の間で無線通信される信号を送受信するものであって、無線周波数帯域の信号とベースバンド帯域の信号との帯域変換を行う。ベースバンド信号処理部2002は、無線送受信部2001によりベースバンド帯域に変換された信号のベースバンド受信処理記無線送受信部2001を介し基地局に対してデータを送信するためのベースバンド送信処理、無線送受信部2001で受信した受信信号の処理を行う。
【0028】
表示装置2005は、LCD等により構成され、受信したデータや入力データ等を表示する。音声入力装置2006は、マイクロフォン等により構成され、音声等の入力を受け付ける。音声出力装置2007は、スピーカ等により構成され、受信した音声信号等を音として出力する。他入力装置2008は、テンキーを含むキー等により構成され、キー入力等を受け付ける。
【0029】
アプリケーション部2003は、移動局1001が実行する通信アプリケーションに伴うデータの送受信処理を行う。
呼処理制御部2012は、移動局1001の呼処理を制御するものであって、ベースバンド信号処理部2002でベースバンド処理された受信信号データを音声出力装置2007への出力や、音声入力装置2006から入力された音声データを、ベースバンド信号処理部2002でベースバンド処理して、無線送受信部2001を介して送信する。
【0030】
次に、本発明の一実施例である無線通信システムの動作について説明する。
緊急警報を移動局が受信する方法について説明する。
本発明の一実施例に適用するシステムは、 電話番号及び契約情報を含む個別情報を有さない若しくは無効となった移動局が対象である。
【0031】
まず、緊急警報配信時の際に使用するパラメータについて、
図5を用いて説明する。
図5は本発明の一実施例である無線移動局装置の仕様のパラメータを説明するための図である。
本発明を適用する通信事業者網は、本発明の一実施例を適用した移動局への緊急警報配信用に特定のP−TMSI/TMSIをシステム予約し、本用途以外の通常運用には使用しない。これにより本発明を適用しない移動局と適用する移動局のシステム上の混在を可能にする。
また、移動局は、P−TMSI/TMSIを移動局内の不揮発領域(記憶部2020)などに記憶し、本発明を適用する状況下においてのみ利用する。
【0032】
通信事業者網は、緊急警報を受信する上で配信する移動局は特定せず、配信エリア、すなわち配信する基地局を指定するのみのである。
そのため、移動機局の位置情報と関連するP−TMSI/TMSIを、移動局内の不揮発領域などに記憶し、緊急警報配信時に使用することで移動機の位置情報を通信事業者網が把握していなくても実現可能である。
【0033】
本発明の一実施例を適用する移動局はUIMカードを具備しないのでIMSIが特定できない。UMTS上ではIMSIが不明の場合、移動局はIMSI=0として扱うよう規定している。
なお、本発明を適用した移動局においても従来仕様のままIMSI=0として扱うことを利用して、本発明を適用することを可能とする。
【0034】
緊急警報配信する場合、情報配信サーバ1004はIMSI=0から算出されるPIを緊急警報配信に使用する。
本発明を適用した移動局において、従来仕様のままIMSI=0としてPIを算出し、任意の基地局配下に在圏している時はPIを定期的にチェックすることで、既存システムの変更なく本発明を適用することが可能となる。
【0035】
次に、本発明の一実施例である無線通信システムの緊急警報配信時の動作について
図1と
図3を用いて説明する。
図3は、本発明の一実施例である無線通信システムの緊急警報配信時の動作を説明するためのフローチャートである。
図1の情報発信サーバ1006は、地震や津波等の緊急警報を受信すると、公衆網1005を介して緊急警報情報を配信する。
【0036】
情報配信サーバ1004は、情報発信サーバ1006から配信された緊急警報情報を受信し(S301)、S302の処理に進む。
情報配信サーバ1004は、情報発信サーバ1006から受信した緊急警報情報から配信が必要なエリアを入手し(S302)し、S303の処理に進む。
情報配信サーバ1004は、配信が必要なエリアにある基地局を特定し(S303)、S304の処理に進む。
【0037】
情報配信サーバ1004は、電話番号及び契約情報を含む個別情報を有さない移動局に対して緊急警報を配信するか否かを判定し、大津波等で災害が想定される場合(YES)にはS305の処理に進み、小地震等の場合(NO)にはS307の処理に進む。
情報配信サーバ1004は、S305の処理で、配信エリアにある交換局1003にPI、予約済みのP−TMSI/TMSI、警報種別を配信し、S306の処理に進む。
配信エリア内にある基地局1002は、S306の処理で、移動局向けにIMSI=0に対応したPI、本発明用に予約しているP−TMSI/TMSI、警報種別を用いてページング後、緊急警報を配信して、処理を終了する。
【0038】
情報配信サーバ1004は、S307の処理で、配信エリアにある交換局1003にPI、警報種別、通常運用範囲内のP−TMSI/TMSIを配信し、S308の処理に進む。
配信エリア内にある基地局1002は、S308の処理で、移動局向けにIMSI=0に対応したPI、警報種別、必要に応じて通常運用範囲内のP−TMSI/TMSIを用いてページング後、緊急警報を配信して、処理を終了する。
【0039】
なお、ページング情報としてIMSIを指定することはシステム上可能であるがIMSIは移動局のUIMカード内に保存される値でもあり、通信事業者網側で完全に管理はできないので、本発明の一実施例に関してはP−TMSI/TMSIのみをシステム予約対象とする。
【0040】
次に、本発明の一実施例である無線移動局装置の緊急警報受信時の動作について
図2と
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の一実施例である無線移動局装置の緊急警報受信時の動作を説明するためのフローチャートである。
移動局1001の主制御部2010は、IMSI=0から算出されたPIに属するページングがあるか否かを判定し(S401)、PIに属するページングがある場合(YES)にはS402の処理に進み、PIに属するページングがない場合(NO)にはS401の処理に戻る。
S402の処理では、P−TMSI/TMSIを受信してS403の処理に進む。
【0041】
S403の処理では、IMSI=0に対応したPIと移動局内に保持しているP−TMSI/TMSIとを照合して、一致する場合(YES)にはS404の処理に進み、一致しない場合(NO)にはS405の処理に進む。
S405の処理では、受信したページングを破棄し、ユーザに通知しないで処理を終了する。
S404の処理では、基地局1002から配信される緊急警報を受信して、S406の処理に進む。
【0042】
S406の処理では、緊急種別があるか否かを判定し、緊急種別がある場合(YES)にはS407の処理に進み、緊急種別がない場合(NO)にはS408の処理に進む。
S408の処理では、受信したページングを破棄し、ユーザに通知しないで処理を終了する。
S407の処理では、受信した緊急警報を記憶部2020等で一時記憶してS409の処理に進む。
【0043】
S409の処理では、所定時間前(例えば、5分前)に緊急警報を受信しているか否かを判定し、所定時間前に緊急警報を受信している場合(YES)にはS412の処理に進み、所定時間前に緊急警報を受信していない場合(NO)にはS410の処理に進む。
S410の処理では、ユーザに緊急警報を通知し、S411の処理に進む。
なお、ユーザに緊急警報を通知する手段としては、表示装置2005に緊急警報の表示、音声出力装置2007から発報音または緊急警報の音声出力等である。
S411の処理では、受信した緊急警報を所定時間(例えば、10分間)保持して処理を終了する。
【0044】
S412の処理では、受信した緊急警報は前に受信した緊急警報と同じか否かを判定し、同じ緊急警報の場合(YES)にはS413の処理に進み、異なる緊急警報の場合(NO9にはS410の処理に進む。
なお、例えば、最初に地震警報を受信し、一定時間経過前に津波警報が配信された場合、警報種別が変わったので別の新たな緊急警報として扱う。
S413の処理では、受信したページングを破棄し、ユーザに通知しないで処理を終了する。
【0045】
なお、通常運用時は緊急警報配信時、P−TMSI/TMSIを同時配信しない、もしくはシステム予約していない通常利用可能な範囲のP−TMSI/TMSIを使用するので、この制御により契約ユーザにのみ緊急警報を配信するか、もしくは非契約ユーザ(電話番号及び契約情報を含む個別情報を有さない若しくは無効となった移動局)を対象に含めて配信するかを通信事業者側が選択することが可能となる。
例えば、最初に地震警報を受信し、一定時間経過前に津波警報が配信された場合、警報種別が変わったので別の新たな緊急警報として扱う。
【0046】
本発明の実施形態である無線通信システムは、端末装置が緊急警報などの事業者が配信する情報を受信できる。
【0047】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された無線通信システムに限定されるものではなく、上記以外の無線通信システムに広く適用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1001−1,1001−2…移動局、1002−1,1002−2…基地局、1003…交換局 、1004 …情報配信サーバ、1005…公衆網(網)、1006…情報発信サーバ、2001…無線送受信部、2002… ベースバンド信号処理部、2003…アプリケーション部、2004…呼処理制御部、2005…表示装置、2006…音声出力部装置、2007…音声入力装置、2008…他入力装置、2020…記憶部。