(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材層(104)ならびにキャリア箔(102)およびその上に配置された記録層(101)を組み合わせた少なくとも1つの複合材料を有する層状構成体(200、300)であって、
層状構成体(200、300)は、キャリア箔(102)および記録層(101)を組み合わせた複合材料から脱離可能な黒色層(103)を含み、記録層(101)は、ポリイソシアネート成分、イソシアネート反応性成分、少なくとも1つの書込みモノマーおよび少なくとも1つの光開始剤を含む感光性ポリマー配合物から形成される感光性ポリマーであり、黒色層(103)は、基材層(104)を向いていないキャリア箔(102)の面上にあり、記録層(101)は、基材層(104)を向くキャリア箔(102)の面上にあるか、または、黒色層(103)は、基材層(104)を向いていない記録層(101)の面上にあり、キャリア箔(102)は、基材層(104)を向く記録層(101)の面上にあり、黒色層(103)は、≦0.70の反射測定吸収係数Qを有し、ここで、吸収係数Qは、532nmの波長における透明なガラス側からの照射において、黒色層(103)を有さない同じガラスプレートと比較した、黒色層(103)を有するガラスプレートの反射比率を表すことを特徴とする、層状構成体。
記録層(101)はそこにホログラムを形成するのに適当であり、および/または少なくとも1つのホログラムが記録層(101)に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の層状構成体。
基材層(104)は、>89%のASTM E 1348 D65/10°半球透過率および<0.1%のASTM D 1003ヘイズを有するガラスおよび熱可塑性プラスチックから選択されることを特徴とする、請求項4に記載の層状構成体。
黒色層(103)は、黒色粘着テープ、黒色ラミネート箔、黒色顔料含有ホットメルト接着剤、黒色顔料含有ホットメルト接着剤箔および黒色ラッカーから選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の層状構成体。
ホログラムが製造された後に、記録層(101)およびキャリア箔(102)を組み合わせた複合材料を基材層(104)から分離し、黒色層(103)を外すことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましくは、本発明による層状構成体において、記録層はそこにホログラムを形成するのに適当であり、および/または少なくとも1つのホログラムが記録層において形成され、ここで、ホログラムは特に体積ホログラム、非常に好ましくは透過体積ホログラムである。
【0016】
黒色層は、基材層の一方の側上にあり、キャリア箔および記録層を組み合わせた複合材料は、基材層の他方の側上にあり、記録層は基材層に面し、ここで、こられの層は、黒色層、基材層、記録層およびキャリア箔の順で互いに特に直接重なることがさらに提供され得る。
【0017】
あり得る別のその層状構成体において、黒色層は、基材層から離れた面を向くキャリア箔の面上にあり、記録層は、基材層を向くキャリア箔の面上にあり、ここでこれらの層は、基材層、記録層、キャリア箔および黒色層の順で互いに特に直接重なる。
【0018】
本発明による層状構成体のあり得る更なる別の実施態様において、黒色層は、基材層から離れた面を向く記録層の面上にあり、キャリア箔は、基材層を向く記録層の面上にあり、ここでこれらの層は、基材層、キャリア箔、記録層および黒色層の順で互いに特に直接重なる。
【0019】
本発明による層状構成体のある好ましい実施態様において、基材層は透明であり、>80%、好ましくは>89%のASTM E 1348 D65/10°半球透過率、および<0.5%、好ましくは<0.1%のASTM D 1003ヘイズを有するガラスおよび熱可塑性プラスチックから特に選択される。
【0020】
記録層が体積ホログラフィック記録材料から選択されることがさらに好ましい。これは、例えば、感光性ポリマー、より好ましくはポリイソシアネート成分、イソシアネート反応性成分、少なくとも1つの書込みモノマーおよび少なくとも1つの光開始剤を含む感光性ポリマー組成物から生成される感光性ポリマーである。この種の系は、例えばWO-A 2011/054797およびWO 2011/067057に記載され、それぞれその内容は、本出願において援用される。
【0021】
本発明による層状構成体は黒色層を含む。黒色層は、いくつか例を挙げると、黒色粘着テープ、黒色ラミネート箔、黒色顔料含有ホットメルト接着剤、黒色顔料含有ホットメルト接着剤箔および黒色ラッカーから選択することができる。
【0022】
黒色層は好ましくは光散乱粒子を含まない。可視光の実際の反射だけでなく、同じく露光において誤差をもたらし得る露光中の迷放射線の生成も、結果として大変実質的に防がれるため、これは有利である。
【0023】
本発明による層状構成体のさらに特に好ましい実施態様において、黒色層は、Q≦0.70、好ましくはQ≦0.55、より好ましくはQ≦0.52の反射測定吸収係数を有し、ここで、吸収係数Qは、532nmの波長における透明なガラス側からの照射において、黒色層を有するガラスプレートの、黒色層を有さない同じガラスプレートと比較した反射比率を表す。
【0024】
本発明に関して、キャリア箔は、多様な考えられ得る材料、好ましくは透明な箔から選択され得る。
【0025】
キャリア箔およびそれと独立して黒色粘着テープの箔は、好ましくはポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、水和セルロース、硝酸セルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、三酢酸セルロース(CTA)、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリジシクロペンタジエン、およびその混合物および/またはラミネートに基づく箔から選択することができる。特に好ましいのは、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド、三酢酸セルロースおよびその混合物および/またはラミネートに基づく箔である。好ましいラミネートは、配置A/B、A/B/AおよびA/B/Cのいずれによって構成される二重および三重箔である。特に好ましいのは、PC/PET、PET/PC/PETおよびPC/TPU(TPU=熱可塑性ポリウレタン)である。
【0026】
本発明はさらに、
・基材層を付与する工程、
・キャリア箔上に記録層を適用することによって複合材料を製造する工程
を含む、本発明による層状構成体の製造方法であって、
黒色層は、複合材料から離れた面を向く基材層の表面上に配置され、記録層は、基材層を向くキャリア箔の表面上に配置され、ここで、これらの層は、黒色層、基材層、記録層およびキャリア箔の順で互いに特に直接重なり、または
黒色層は、基材層から離れた面を向くキャリア箔の表面上に配置され、記録層は、基材層を向くキャリア箔の表面上に配置され、ここでこれらの層は、基材層、記録層、キャリア箔および黒色層の順で互いに特に直接重なり、または
黒色層は、基材層から離れた面を向く記録層の表面上にあり、キャリア箔は、基材層を向く記録層の表面上にあり、ここでこれらの層は、基材層、キャリア箔、記録層および黒色層の順で互いに特に直接重なる
ことを特徴とする方法を提供する。
【0027】
本発明による方法の更なる実施態様において、記録層は、少なくともホログラム、特に体積ホログラム、非常に好ましくは、以下で透過ホログラムと略される透過体積ホログラムを製造するために露光される。これに関して、ホログラムが製造された後に、記録層およびキャリア箔を組み合わせた複合材料を基材層から分離し、および/または黒色層を分離することがさらに提供され得る。
【0028】
本発明はさらに、上記の方法によって得ることができる、少なくとも露光ホログラムを含有する記録層およびキャリア箔を組み合わせた複合材料を提供する。
【0029】
本発明による層状構成体は、原理上、記録層として任意の所望のホログラフィック材料を用いることができる。このホログラフィック材料は、例えばハロゲン化銀、二クロム酸ブチレン、任意の所望の感光性ポリマー等であってよい。感光性ポリマーが好ましい。記録層の製造に適当で好ましい感光性ポリマー組成物は、当業者に既知であり、例えばWO-A 2011/054797およびWO 2011/067057に記載されている。記録層を製造するための感光性ポリマー組成物は、ポリイソシアネート成分a)、イソシアネート反応性成分b)、少なくとも1つの書込みモノマーc)および少なくとも1つの光開始剤d)を含む感光性ポリマー生成体であることが好ましい。
【0030】
ポリイソシアネート成分a)は、好ましくは少なくとも2つのNCO基を有する少なくとも1つの有機化合物を含む。ポリイソシアネートとして、当業者にそれ自体既知の任意の化合物、またはその混合物を用いることができる。これらの化合物は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環族系であってよい。ポリイソシアネート成分a)は、モノイソシアネート、すなわちNCO基を有する有機化合物、および/または不飽和基含有ポリイソシアネートを微量含んでもよい。
【0031】
適当なポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートおよびその異性体(TMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、異性体ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよび任意の所望の異性体含有量を有するその混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-および/または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4',4''-トリイソシアネートまたは上記の化合物の任意の所望の混合物である。
【0032】
ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージ-またはトリイソシアネートを用いることが同じく可能である。
【0033】
脂肪族および/または脂環族ジ-またはトリイソシアネートに基づくポリイソシアネートが好ましい。
ポリイソシアネートが二量化またはオリゴマー化脂肪族および/または脂環族ジ-またはトリイソシアネートを含むことが特に好ましい。非常に特に好ましいポリイソシアネートは、HDI、TMDI、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタンまたはその混合物に基づく、イソシアヌレート、ウレトジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオンである。
【0034】
ポリイソシアネート成分a)は、NCO官能性プレポリマーを含んでもよく、またはからなってもよい。プレポリマーは、ウレタン、アロファネート、ビウレットおよび/またはアミド基を有してよい。この種のプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネートa1)とイソシアネート反応性化合物a2)との反応によって得ることができる。
【0035】
有用なポリイソシアネートa1)として、全ての既知の脂肪族、脂環族、芳香族または芳香脂肪族ジ-およびトリイソシアネートが挙げられる。さらに、ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造をそれぞれ個々にまたは任意の所望の互いの混合物で有するモノマージ-および/またはトリイソシアネートのよく知られた高分子量派生物を用いてもよい。
【0036】
ポリイソシアネートa1)として有用な適当なモノマージ-またはトリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネートである。
【0037】
イソシアネート反応性化合物a2)としてOH官能性化合物を用いることが好ましいことがある。ポリオールが特に該当し得る。以下に記載される成分b)のポリオールを、非常に好ましくはイソシアネート反応性化合物a2)として用いてよい。
【0038】
イソシアネート反応性化合物a2)としてアミンを用いることが同じく可能である。適当なアミンの例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、2官能性ポリアミン、例えば特に10000g/モル以下の数平均モル質量を有するJeffamine(登録商標)アミン末端化ポリマー等である。上記のアミンの混合物を同じく用いてよい。
【0039】
イソシアネート反応性化合物a2)が、≧200および≦10000g/モル、より好ましくは≧500および≦8500g/モル、非常に好ましくは≧1000および≦8200g/モルの数平均モル質量を有することも好ましい。
【0040】
ポリイソシアネート成分a)のプレポリマーは、特に遊離モノマーイソシアネートの残存含有量<1重量%、より好ましくは<0.5重量%、非常に好ましくは<0.2重量%を有し得る。
【0041】
ポリイソシアネート成分a)は、上記のポリイソシアネートおよびプレポリマーの混合物を含んでもよい。
【0042】
場合によりポリイソシアネート成分a)がイソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応させたポリイソシアネートを部分的に含んでもよい。α,β-不飽和カルボン酸由来物、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、およびビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、およびジシクロペンタジエニル単位を含み、イソシアネートに対する少なくとも1つの反応性基を有する化合物が、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物としてここで好ましく用いられる。少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有するアクリレートおよびメタクリレートが特に好ましい。
【0043】
ポリイソシアネート成分a)における、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応させたポリイソシアネートの比率は、0重量%〜99重量%、好ましくは0重量%〜50重量%、より好ましくは0重量%〜25重量%、非常に好ましくは0重量%〜15重量%であり得る。
【0044】
場合によりポリイソシアネート成分a)は、完全または部分的に、コーティング技術から既知のブロッキング剤と完全または部分的に反応させたポリイソシアネートを含んでもよい。ブロッキング剤の例として次のものを挙げることができる:アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アセト酢酸アルキル、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えばブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5-ジメチルピラゾール、ε-カプロラクタム、N-tert-ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルまたはその混合物。
【0045】
ポリイソシアネート成分a)が、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂肪族プレポリマー、好ましくは第1級NCO基を有する脂肪族ポリイソシアネートまたは脂肪族プレポリマーを含む、またはからなることが特に好ましい。
【0046】
イソシアネート反応性成分b)は、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの有機化合物(イソシアネート反応性化合物)を含む。本発明に関して、ヒドロキシル、アミノまたはチオール基はイソシアネート反応性基とする。
【0047】
平均で少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2、より好ましくは2〜3個のイソシアネート反応性基を有する任意の系を、イソシアネート反応性成分として用いてよい。
【0048】
適当なイソシアネート反応性化合物の例は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび/またはポリウレタンポリオールである。
【0049】
特に適当なポリエステルポリオールは、例えば、≧2のOH官能価を有する多価アルコールとの反応によって脂肪族、脂環族または芳香族ジ-またはポリカルボン酸またはその無水物から既知の方法において得られるような、直鎖状ポリエステルポリオールまたは分岐状ポリエステルポリオールである。
【0050】
ポリエステルポリオールは、ヒマシ油等の天然原材料に基づいてもよい。ポリエステルポリオールが、ラクトンまたはラクトン混合物、例えばブチロラクトン、ε-カプロラクトンおよび/またはメチル-ε-カプロラクトン等と、例えば上記の種の≧2のOH官能価を有する多価アルコール等のヒドロキシ官能性化合物との付加反応によって好ましく得ることができるような、ラクトンのホモ-またはコポリマーに基づいてもよい。
【0051】
このようなポリエステルポリオールは、好ましくは≧400ないし≦4000g/モル、特に好ましくは≧500ないし≦2000g/モルの数平均モル質量を有する。
【0052】
そのOH官能価は、好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0053】
ポリエステルの生成に特に適当なジ-またはポリカルボン酸または無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o-フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸および酸無水物、例えばo-フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物または任意の所望の互いとのその混合物である。
【0054】
ポリエステルの生成に特に適当なアルコールの例は、エタンジオール、ジ-、トリ-またはテトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジ-、トリ-またはテトラプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4-ジメチロールシクロヘキサン、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたは任意の所望の互いとのその混合物である。
【0055】
適当なポリカーボネートポリオールは、それ自体既知の方法において有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物との反応によって得ることができる。
【0056】
適当な有機カーボネートは、例えばジメチル、ジエチルおよびジフェニルカーボネートである。
【0057】
適当な多価アルコールは、ポリエステルポリオールの部分に関して述べた≧2のOH官能価を有する多価アルコール、好ましくは1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールおよび/または3-メチルペンタンジオールを含む。
【0058】
ポリエステルポリオールは、ポリカーボネートポリオールに転化させてもよい。上記のアルコールをポリカーボネートポリオールに転化させるためにジメチルまたはジエチルカーボネートを用いることが特に好ましい。
【0059】
ポリカーボネートポリオールは、好ましくは≧400および≦4000g/モル、より好ましくは≧500および≦2000g/モルの数平均モル質量を有する。
【0060】
ポリカーボネートポリオールのOH官能価は、好ましくは1.8〜3.2の範囲、より好ましくは1.9〜3.0の範囲である。
【0061】
適当なポリエーテルポリオールは、環状エーテルとOHまたはNH官能性スターター分子との重付加物であり、ここで前記重付加物は場合によりブロック構造を有する。適当な環状エーテルは、例えばスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよびその任意の所望の混合物である。用いることができるスターターは、ポリエステルポリオールに関して述べた≧2のOH官能価を有する多価アルコールおよび第1級または第2級アミンおよびアミノアルコールである。
【0062】
好ましいポリエーテルポリオールは、専らプロピレンオキシドに基づく上記の種のもの、またはプロピレンオキシドと更なる1-アルキレンオキシドとに基づくランダムまたはブロックコポリマーに基づく上記の種のものであり、ここで1-アルキレンオキシドの比率は80重量%以下である。プロピレンオキシドホモポリマーならびにオキシエチレン、オキシプロピレンおよび/もしくはオキシブチレン単位を有するランダムまたはブロックコポリマーが特に好ましく、ここでオキシプロピレン単位の比率は、全てのオキシエチレン、オキシプロピレンおよびオキシブチレン単位の全量に基づいて、≧20重量%、好ましくは≧45重量%を占める。ここで、オキシプロピレンおよびオキシブチレンは、全てそれぞれ直鎖状および分岐状C
3-およびC
4-異性体を含む。
【0063】
ポリエーテルポリオールは、好ましくは≧250および≦10000g/モル、より好ましくは≧500および≦8500g/モル、非常に好ましくは≧600および≦4500g/モルの数平均モル質量を有する。そのOH官能価は、好ましくは1.5〜4.0の範囲、より好ましくは1.8〜3.1の範囲である。
【0064】
さらに好ましいポリエーテルポリオールは、Y(X
i-H)
nタイプ〔式中、i=1〜10、n=2〜8、Xi部分は、それぞれ式(I):
-CH
2-CH(R)-O- (I)
〔式中、Rは、ヘテロ原子によって割り込まれてもよく(例えばエーテル酸素)もしくは置換されてもよいアルキルまたはアリール基、または水素である〕
のオキシアルキレン単位から構成され、Yは内在するスターターである〕
のヒドロキシル官能性マルチブロックコポリマーを含むイソシアネート反応性成分からなる。
【0065】
基Rは、好ましくは水素、メチル、ブチル、ヘキシルまたはオクチル基またはエーテル基を含むアルキル基であってよい。エーテル基を含む好ましいアルキル基は、オキシアルキレン単位に基づくものである。
【0066】
nは、好ましくは2〜6の整数、より好ましくは2または3であり、非常に好ましくは2に等しい。
【0067】
iが1〜6、より好ましくは1〜3の整数であり、非常に好ましくは1に等しいことが同じく好ましい。
【0068】
X
i部分が、X
iおよびY部分の全量に基づいて、>50重量%、より好ましくは≧66重量%であることがさらに好ましい。
【0069】
Y部分の比率が、X
iおよびY部分の全量に基づいて、<50重量%、好ましくは<34重量%である場合も好ましい。
【0070】
マルチブロックコポリマーY(X
i-H)
nは、好ましくは>1200g/モル、より好ましくは>1950g/モル、好ましくは<12000g/モル、より好ましくは<8000g/モルの数平均分子量を有する。
【0071】
X
iブロックは、専ら同一のオキシアルキレン繰り返し単位からなるホモポリマーであってよい。これは、種々のオキシアルキレン単位からランダム状に構成されてもよく、または同じく種々のオキシアルキレン単位からブロック状に構成されてもよい。
【0072】
好ましいX
i部分は、専らプロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドと更なる1-アルキレンオキシドとのランダムもしくはブロック状の混合物に基づき、ここで更なる1-アルキレンオキシドの比率は好ましくは>80重量%でない。
【0073】
特に好ましいX
i部分は、プロピレンオキシドホモポリマー、ならびにオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン単位を含むランダムまたはブロックコポリマーである。この場合、オキシプロピレン単位の比率は、全てのオキシエチレンおよびオキシプロピレン単位の全量を基準として、非常に特に好ましくは≧20重量%、さらになお好ましくは≧40重量%である。
【0074】
X
iブロックを、上記のアルキレンオキシドの開環重合によって、n価(n-tuply)のヒドロキシル-またはアミノ-官能性スターターY(H)
nに付加させてよい。
【0075】
Y(H)
nスターターは、環状エーテルに基づくジ-および/もしくはより多価のヒドロキシル官能性ポリマー構造、または2および/もしくはより多価のヒドロキシル官能性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂および/もしくはポリウレタン構造単位または対応する合成物(ハイブリッド)からなってよい。
【0076】
適当なY(H)
nスターターの例は、上記のポリエステル、ポリカーボネートおよびポリエーテルポリオールである。
【0077】
ポリエステルポリオールは、好ましくは200〜2000g/モル、より好ましくは400〜1400g/モルの数平均モル質量を有する。
【0078】
ポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜2000g/モル、より好ましくは500〜1400g/モル、非常に好ましくは650〜1000g/モルの数平均モル質量を有する。
【0079】
ポリエーテルポリオールは、好ましくは200〜2000g/モル、より好ましくは400〜1400g/モル、非常に好ましくは650〜1000g/モルの数平均モル質量を有する。
【0080】
特に好ましいY(H)
nスターターは、特にテトラヒドロフランの2官能性ポリマー、特に2官能性脂肪族ポリカーボネートポリオールおよびポリエステルポリオールならびにε-カプロラクトンのポリマーであり、特に<3100g/モル、好ましくは≧500g/モルおよび≦2100g/モルの数平均モル質量を有する。
【0081】
適当なポリエーテルおよびそれの製造方法の更なる例はEP 2172503 A1に記載され、これに関するその開示内容は、ここで援用される。
【0082】
更なる好ましい実施態様において、書込みモノマーc)は、少なくとも1つの単-および/または多官能性書込みモノマーを含み、ここで、特に単-および多官能性アクリレート型の書込みモノマーに関し得る。書込みモノマーが少なくとも1つの単官能性ウレタン(メタ)アクリレートおよび多官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むことが特に好ましいことがある。
【0083】
アクリレート型の書込みモノマーは、特に一般式(II):
【化1】
〔式中、それぞれの場合、tは≧1および≦4であり、R
1は、直鎖状、分岐状、環状または複素環式の非置換または場合によりヘテロ原子置換の有機基であり、および/またはR
2は、水素、直鎖状、分岐状、環状または複素環式の非置換または場合によりさらにヘテロ原子置換の有機基である〕の化合物であってよい。R
2が水素またはメチルであり、および/またはR
1が直鎖状、分岐状、環状もしくは複素環式の非置換または場合によりヘテロ原子置換の有機基であることが特に好ましい。
【0084】
更なる不飽和化合物、例えばα,β-不飽和カルボン酸由来物、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、またはビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル含有化合物ならびにオレフィン性不飽和化合物、例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、オレフィン、例えば1-オクテンおよび/または1-デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸等を添加することが同じくあり得る。しかし、アクリレートおよびメタクリレートが好ましい。
【0085】
一般に、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルが、それぞれアクリレートおよびメタクリレートとして指定される。用いることができるアクリレートおよびメタクリレートの例は、使用できるアクリレートおよびメタクリレートをいくつか選ぶのみであるが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p-クロロフェニルアクリレート、p-クロロフェニルメタクリレート、p-ブロモフェニルアクリレート、p-ブロモフェニルメタクリレート、2,4,6-トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6-トリクロロフェニルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、1,4-ビス(2-チオナフチル)-2-ブチルアクリレート、1,4-ビス(2-チオナフチル)-2-ブチルメタクリレート、プロパン-2,2-ジイルビス[(2,6-ジブロモ-4,1-フェニレン)オキシ(2-{[3,3,3-トリス(4-クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン-3,1-ジイル)オキシエタン-2,1-ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレートおよびそのエトキシ化類似化合物、N-カルバゾリルアクリレートである。
【0086】
当然に、ウレタンアクリレートを用いてもよい。ウレタンアクリレートは、少なくとも1つのウレタン結合をさらに有する少なくとも1つのアクリル酸エステル基を有する化合物を意味すると理解される。このような化合物は、ヒドロキシル官能性アクリル酸エステルをイソシアネート官能性化合物と反応させることによって得ることができることが知られている。
【0087】
このために用いることができるイソシアネート官能性化合物の例は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環族のジ-、トリ-またはポリイソシアネートである。このようなジ-、トリ-またはポリイソシアネートの混合物を用いることもできる。適当なジ-、トリ-またはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンならびに任意の所望の異性体含有量を有するその混合物、イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、m-メチルチオフェニルイソシアネート、トリフェニルメタン4,4',4''-トリイソシアネートおよびトリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートまたはウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンもしくはイミノオキサジアジンジオン構造を有するその由来物およびその混合物である。芳香族または芳香脂肪族ジ-、トリ-またはポリイソシアネートが好ましい。
【0088】
ウレタンアクリレートの調製のために適当なヒドロキシル官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Dow、Schwalbach、独国)等、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシ化、プロポキシル化またはアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはその工業的混合物等のヒドロキシル官能性モノ-、ジ-またはテトラアクリレート等の化合物である。2-ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートおよびポリ(ε-カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0089】
さらに、アクリレートおよび/またはメタクリレート基を含むイソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物を、単独または上記のモノマー化合物と組み合わせる場合が適当である。ヒドロキシル基を含み、20〜300mg KOH/gのOH含有量を有するそれ自体既知のエポキシ(メタ)アクリレートまたはヒドロキシル基を含み、20〜300mg KOH/gのOH含有量を有するポリウレタン(メタ)アクリレートまたは20〜300mg KOH/gのOH含有量を有するアクリレート化ポリアクリレートおよびその互いとの混合物およびヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとの混合物およびポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物またはポリエステル(メタ)アクリレートとのヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステル混合物を、同じく用いることができる。
【0090】
好ましいのは、特にトリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェートおよびm-メチルチオフェニルイソシアネートとアルコール官能性アクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等との反応から得ることができるウレタンアクリレートである。
【0091】
特に好ましいのは、HDIに基づくイソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンおよび/または他のオリゴマーと併せた、200〜4000g/モルの数平均モル質量を有する官能価1.8〜3.1のポリエーテルポリオールへのブチロラクトン、e-カプロラクトンおよび/またはメチルε-カプロラクトンの付加生成物からなるマトリックスポリマーの調製における成分a)およびb)の組み合わせである。非常に特に好ましいのは、HDIに基づくオリゴマー、イソシアヌレートおよび/またはイミノオキサジアジンジオンと併せた、1.9〜2.2の官能価および500〜2000g/モル(特に600〜1400g/モル)の数平均モル質量を有するポリ(テトラヒドロフラン)へのe-カプロラクトンの付加生成物であり、その全体の数平均モル質量は800〜4500g/モル、特に1000〜3000g/モルの範囲である。
【0092】
更なる好ましい実施態様において、感光性ポリマー組成物は添加剤としてウレタンをさらに含み、ここでウレタンは、特に少なくとも1つのフッ素原子で置換されてよい。
【0093】
ウレタンは、好ましくは一般式(III):
【化2】
〔式中、mは≧1および≦8であり、R
3は、直鎖状、分岐状、環状または複素環式の非置換または場合によりヘテロ原子置換の有機基であり、および/またはR
4およびR
5は、それぞれ独立して水素であり、一方、好ましくはR
3、R
4およびR
5の少なくとも1つは、少なくとも1つのフッ素原子で置換され、より好ましくはR
3は少なくとも1つのフッ素原子を有する有機基である〕であってよい。R
5が、非置換または場合により例えばフッ素等のヘテロ原子で置換された、直鎖状、分岐状、環状または複素環式の有機基であることが特に好ましい。
【0094】
用いられる光開始剤d)は、化学線によって活性化可能であり、適切な基の重合を誘起することができる一般的な化合物である。
【0095】
適当な光開始剤d)は、化学線によって活性化可能であり、適切な基の重合を誘起することができる一般的な化合物である。光開始剤は、単分子の開始剤(タイプI)および2分子の開始剤(タイプII)に区別することができる。これらは、その化学的性質によって、フリーラジカル、アニオン性、カチオン性または混合型の重合用の光開始剤にさらに区別される;ここには幅広い従来技術がある。
【0096】
フリーラジカル光重合用のタイプIの光開始剤(ノリッシュタイプI)は、放射線において単分子結合の回裂によってフリーラジカルを生成する。
【0097】
タイプIの光開始剤の例は、トリアジン、例えばトリス(トリクロロメチル)トリアジン、オキシム、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、α,α-ジアルコキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸エステル、ビスイミダゾール、アロイルホスフィンオキシド、例えば2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、スルホニウムおよびヨードニウム塩である。
【0098】
フリーラジカル重合用のタイプIIの光開始剤(ノリッシュタイプII)は放射線において2分子反応を行い、ここでは、光開始剤は励起状態において第2の分子、補助開始剤と反応し、電子もしくはプロトン移動または直接の水素引抜きによって、重合を誘起するフリーラジカルを生成する。
【0099】
タイプIIの光開始剤の例は、キノン、例えばカンファーキノン等、芳香族ケト化合物、例えば第3級アミンと組み合わせたベンゾフェノン、第3級アミンと組み合わせた、アルキルベンゾフェノン、ハロゲン化ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロン、メチルp-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、チオキサントン、ケトクマリン、α-アミノアルキルフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノンおよびカチオン性色素、例えばメチレンブルーである。
【0100】
タイプIおよびタイプIIの光開始剤は、UVおよび短波可視領域に対して用いられ、一方、主にタイプIIの光開始剤は、比較的長波の可視スペクトルに対して用いられる。
【0101】
アンモニウムアルキルアリールボレートおよび1以上の色素の混合物からなるEP 0223587 Aに記載されている光開始剤系は、フリーラジカル重合用のタイプIIの光開始剤として有用でもある。適当なアンモニウムアルキルアリールボレートの例は、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(4-tert-ブチル)フェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3-フルオロフェニル)ヘキシルボレート、テトラメチルアンモニウムトリフェニルベンジルボレート、テトラ(n-ヘキシル)アンモニウム(sec-ブチル)トリフェニルボレート、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムジペンチルジフェニルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ヘキシルボレートである(Cunninghamら、RadTech'98 North America UV/EB Conference Proceedings、Chicago、Apr. 第19〜22頁、1998年)。
【0102】
アニオン重合に対して用いられる光開始剤d)は、一般にタイプI系であり、第1列の遷移金属錯体由来である。ここで挙げることができる例は、クロム塩、例えばtrans-Cr(NH
3)
2(NCS)
4-(Kutalら、Macromolecules 1991年、24、6872)またはフェロセニル化合物(Yamaguchiら、Macromolecules 2000年、33、1152)である。
【0103】
アニオン重合用の更なる選択肢は、例えばクリスタルバイオレットロイコニトリルまたはマラカイトグリーンロイコニトリル等の色素の使用であり、これらは光分解を通してシアノアクリレートを重合させることができる(Neckersら、Macromolecules 2000年、33、7761)。発色団は、生成ポリマーに組み込まれ、これらを内在的に着色する。
【0104】
カチオン重合に対して有用な光開始剤は、本質的に3つの種からなる:アリールジアゾニウム塩、オニウム塩(ここで具体的には:ヨードニウム、スルホニウムおよびセレノニウム塩)および有機金属化合物。フェニルジアゾニウム塩は、放射線において、水素共与体の存在下だけでなく不存在下においても、重合を開始するカチオンを生成することができる。系全体の効率は、ジアゾニウム化合物に対して用いられる対イオンの性質によって決定される。あまり反応性でないが、相当費用のかかるSbF
6-、AsF
6-またはPF
6-が挙げられる。これらの化合物は一般に、露光後に放出される窒素が表面品質を低下させるため(ピンホール)、コーティング薄膜における使用にはあまり適当でない(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering、2001年、84、139)。
【0105】
オニウム塩、具体的にはスルホニウムおよびヨードニウム塩は、非常に幅広く用いられ、多様な形状で商業的に利用可能である。これらの化合物の光化学は、継続した開発の主題である。励起時のヨードニウム塩がまずホモリシス分解し、それによって1つのフリーラジカルおよび、水素引抜きによって最終的にプロトンを放出しそれによりカチオン重合を開始するカチオンに遷移する1つのフリーラジカルカチオンを生成する(Dektarら、J. Org. Chem. 1990年、55、639;J. Org. Chem.、1991年、56、1838)。このメカニズムにより、ヨードニウム塩が同じくフリーラジカル光重合に用いられることが可能となる。対イオンの選択はここではまた非常に重要である。SbF
6-、AsF
6-またはPF
6-を用いることが同じく好ましい。この構造的種類は、芳香族における置換の選択に関して他の点でかなり自由であり、適当なシントンの有用性によって本質的に決定される。ホスホニウム塩はノリッシュタイプIIメカニズムによって分解する化合物である(Crivelloら、Macromolecules、2000年、33、825)。対イオンの選択は、これがポリマーの硬化速度において反映されるため、ホスホニウム塩において非常に重要でもある。最も良好な結果は、一般にSbF
6-塩において達成される。
【0106】
ヨードニウムおよびホスホニウム塩の固有吸収が<300nmであるため、これらの化合物は近UVまたは短波可視光を用いた光重合に対して適切には感光性であるはずである。これは、より長い波長において吸収する芳香族、例えばアントラセンおよび由来物(Guら、Am. Chem. Soc. Polymer Preprints、2000年、41(2)、1266)またはフェノチアジンおよび/またはその由来物(Huaら、Macromolecules 2001年、34、2488-2494頁)を用いることによって達成される。
【0107】
これらの増感剤または光開始剤の混合物を使用することが有利なことがある。用いられる放射線源に応じて、光開始剤の種類および濃度を、当業者に既知の方法で適合させなければならない。更なる詳細は、例えばP. K. T. Oldring(編集)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings、Inks & Paints、第3版、1991年、SITA Technology、London、第61〜328頁に記載されている。
【0108】
好ましい光開始剤d)は、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3-フルオロフェニル)ヘキシルボレート([191726-69-9]、CGI 7460、BASF SE(Basle、スイス)製の製品)およびテトラブチルアンモニウムトリス(3-クロロ-4-メチルフェニル)ヘキシルボレート([1147315-11-4]、CGI 909、BASF SE(Basle、スイス)製の製品)と式(I)の色素との混合物である。
【0109】
カチオン性色素の例は、アストラゾンオレンジG、ベーシックブルー3、ベーシックオレンジ22、ベーシックレッド13、ベーシックバイオレッド7、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アジュールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレッド、エチルバイオレッドおよびチオニンである。
【0110】
本発明の感光性ポリマー組成物が式F
+An
-のカチオン性色素を含むことが特に好ましい。
【0111】
式F
+のカチオン性色素は、好ましくは次の種のカチオン性色素である:アクリジン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェナジン色素、フェノキサジン色素、フェノチアジン色素、トリ(ヘタ)アリールメタン色素−特にジアミノ-およびトリアミノ(ヘタ)アリールメタン色素、モノ-、ジ-およびトリメチンシアニン色素、ヘミシアニン色素、外部カチオン性メロシアニン色素、外部カチオン性ニュートロシアニン色素、ヌルメチン色素−特にナフトラクタム色素、ストレプトシアニン色素。このような色素は、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Azine Dyes、Wiley-VCH Verlag、2008年におけるH. Berneth、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Methine Dyes and Pigments、Wiley-VCH Verlag、2008年におけるH. Berneth、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、Triarylmethane and Diarylmethane Dyes、Wiley-VCH Verlag、2000年におけるT. Gessner、U. Mayerに記載されている。
【0112】
An
-は、アニオンを表すものと理解される。好ましいアニオンAn
-は、特にC
8〜C
25-アルカンスルホネート、好ましくはC
13〜C
25-アルカンスルホネート、C
3〜C
18-ペルフルオロアルカンスルホネート、少なくとも3個の水素原子をアルキル鎖中に有するC
4〜C
18-ペルフルオロアルカンスルホネート、C
9〜C
25-アルカノエート、C
9〜C
25-アルケノエート、C
8〜C
25-アルキルサルフェート、好ましくはC
13〜C
25-アルキルサルフェート、C
8〜C
25-アルケニルサルフェート、好ましくはC
13〜C
25-アルケニルサルフェート、C
3〜C
18-ペルフルオロアルキルサルフェート、少なくとも3個の水素原子をアルキル鎖中に有するC
4〜C
18-ペルフルオロアルキルサルフェート、少なくとも4当量のエチレンオキシドおよび/または当量4のプロピレンオキシドに基づくポリエーテルサルフェート、ビス-C
4〜C
25-アルキルスルホスクシナート、ビス-C
5〜C
7-シクロアルキルスルホスクシナート、ビス-C
3〜C
8-アルケニルスルホスクシナート、ビス-C
7〜C
11-アラルキルスルホスクシナート、少なくとも8個のフッ素原子によって置換されたビス-C
2〜C
10-アルキルスルホスクシナート、C
8〜C
25-アルキルスルホアセテート、ハロゲン、C
4〜C
25-アルキル、ペルフルオロ-C
1〜C
8-アルキルおよび/またはC
1〜C
12-アルコキシカルボニルの基からの少なくとも1つの基によって置換されたベンゼンスルホネート、場合によりニトロ-、シアノ-、ヒドロキシル-、C
1〜C
25-アルキル-、C
1〜C
12-アルコキシ-、アミノ-、C
1〜C
12-アルコキシカルボニル-または塩素置換ナフタレン-またはビフェニルスルホネート、場合によりニトロ-、シアノ-、ヒドロキシル-、C
1〜C
25-アルキル-、C
1〜C
12-アルコキシ-、C
1〜C
12-アルコキシカルボニル-または塩素置換ベンゼン-、ナフタレン-またはビフェニルジスルホネート、ジニトロ-、C
6〜C
25-アルキル-、C
4〜C
12-アルコキシカルボニル-、ベンゾイル-、クロロベンゾイル-またはトルオイル置換ベンゾエート、ナフタレンジカルボン酸のアニオン、ジフェニルエーテルジスルホネート、スルホネート化またはサルフェート化の、場合により脂肪族C
1〜C
8-アルコールまたはグリセロールのモノ-またはポリ不飽和C
8〜C
25-脂肪酸エステル、ビス(スルホ-C
2〜C
6-アルキル)C
3〜C
12アルカンジカルボン酸エステル、ビス(スルホ-C
2〜C
6-アルキル)イタコン酸エステル、C
3〜C
12-アルカンジカルボン酸エステル、ビス(スルホ-C
2〜C
6-アルキル)イタコン酸エステル、(スルホ-C
2〜C
6-アルキル)C
6〜C
18-アルカンカルボン酸エステル、(スルホ-C
2〜C
6-アルキル)アクリル酸またはメタクリル酸エステル、場合により12個以下のハロゲン基によって置換されたトリスカテコールホスフェート、テトラフェニルボレート、シアノトリフェニルボレート、テトラフェノキシボレート、そのフェニルまたはフェノキシ部分がハロゲン、C
1〜C
4-アルキルおよび/またはC
1〜C
4-アルコキシ置換されていてよいC
4〜C
12-アルキルトリフェニルボレート、C
4〜C
12-アルキルトリナフチルボレート、テトラ-C
1〜C
20-アルコキシボレート、7,8-または7,9-ジカルバニドウンデカボレート(1-)または(2-)の群からのアニオンであって、ここで、場合によりBおよび/またはC原子、ドデカヒドロジカルバドデカボレート(2-)またはB-C
1〜C
12-アルキル-C-フェニル-ドデカヒドロジカルバドデカボレート(1-)において1または2つのC
1〜C
12-アルキルまたはフェニル基によって置換されてよく、ここで、ナフタレンジスルホネート等の多価アニオンにおけるAn
-は、このアニオンの1当量を表し、アルカンおよびアルキル基は、分岐状であってよく、および/またはハロゲン、シアノ、メトキシ、エトキシ、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル置換されてよい。
【0113】
特に好ましいアニオンは、sec-C
11〜C
18-アルカンスルホネート、C
13〜C
25-アルキルサルフェート、分岐状のC
8〜C
25-アルキルサルフェート、場合により分岐状のビス-C
6〜C
25-アルキルスルホスクシナート、sec-またはtert-C
4〜C
25-アルキルベンゼンスルホネート、スルホネート化またはサルフェート化の、脂肪族C
1〜C
8-アルコールまたはグリセロールの場合によりモノ不飽和またはポリ不飽和のC
8〜C
25-脂肪酸エステル、ビス(スルホ-C
2〜C
6-アルキル)C
3〜C
12-アルカンジカルボン酸エステル、(スルホ-C
2〜C
6-アルキル)C
6〜C
18-アルカンカルボン酸エステル、12個以下のハロゲン基によって置換されたトリスカテコールホスフェート、シアノトリフェニルボレート、テトラフェノキシボレート、ブチルトリフェニルボレートである。
【0114】
色素のアニオンAn
-が1〜30の範囲、より好ましくは1〜12の範囲、さらにより好ましくは1〜6.5の範囲のAClogPを有することがまた好ましい。AClogPは、J. Comput. Aid. Mol. Des. 2005、19、453;Virtual Computational Chemistry Laboratory、http://www.vcclab.orgにおいて記載されるように算出される。
【0115】
光開始剤が、色素と少なくとも色素に合わせた補助開始剤との組み合わせを含むことが非常に特に好ましく、ここで、この吸収スペクトルは400〜800nmのスペクトル領域を部分的に少なくともカバーする。
【0116】
感光性ポリマー組成物が、青、緑および赤から選択されるレーザー光色に適当な少なくとも1つの光開始剤を含むことがまた好ましい。
【0117】
感光性ポリマー組成物が、青、緑および赤から選択される2以上のレーザー光色それぞれに適当な光開始剤を含むことがさらにまた好ましい。
【0118】
最後に、感光性ポリマー組成物が、青、緑および赤の全てのレーザー光色それぞれに適当な光開始剤を含むことが非常に特に好ましい。
【0119】
記録層は、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは5μm〜30μm、非常に好ましくは10μm〜25μmの層厚みを有してよい。
【0120】
本発明の好ましい実施態様において、記録層はキャリア層上にあってよい。
【0121】
キャリア層は、例えば15〜375μm、好ましくは23μm〜175μm、より好ましくは36μm〜125μmの厚みであってよい。
【0122】
黒色層は、本発明に対して必須である構成体の成分である。例えば、黒色粘着テープおよび黒色ラッカーは、黒色逆側ラミネーションに有用である。吸収係数Qが≦0.70、好ましくはQが≦0.55、より好ましくはQが≦0.52である黒色層を用いることが好ましい。吸収係数Qは、532nmの波長において、黒色層を有さない同じガラスプレートと比較した、黒色層を有するガラスプレートの反射比率を表す。
【0123】
適当な黒色層の例は、黒色キャリア箔および/または黒色粘着剤層を有する粘着テープ;黒色箔;および黒色ラッカーである。粘着テープのための黒色キャリア箔は、原理上、これが顔料によって黒色化される場合、キャリア層に関して上記したのと同一の材料からなるのが適当である。キャリア箔が23μm〜175μm、より好ましくは36μm〜80μmの層厚みを有することが好ましい。ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、PETおよび1-オレフィンの箔コポリマーが材料として特に好ましい。
【0124】
接着剤は、原理上、感圧接着剤(PSA、PSAテープ)において一般に用いられる任意の接着剤であってよい。感圧接着剤(PSA)は、主に、基材と接触した場合、わずかに押しつけられた時にそこへの接着性を発揮する粘着性材料である。接着方法は、接着剤を一般に剥離ライナー、剥離紙または(箔)キャリア等のキャリア材料に適用することとは一時的に無関係である。それにもかかわらず感圧接着剤を昇温下において加工することが方法条件において望ましいことがある。更なる情報はMueller/Rath、Formulierung von Kleb- und Dichtrohstoffen、2009年、ISBN:978-3-86630-862-6、パートII、第3章にある。
【0125】
これらは好ましくはシリコーン系、アクリレート系(修飾アクリレートに基づくものを含む)およびゴム系接着剤である。アクリレートおよびゴム系接着剤が特に好ましい。
【0126】
シリコーン系接着剤は、シリコーン基を含む、または専らこれからなる結合単位を有する。シリコーンは、骨格中にSi-O結合のみを有する有機ケイ素化合物である。シリコーンは、ポリエーテルまたはポリエステルまたは他のポリマー単位を有する(ブロックまたはグラフト)コポリマーの形状でよく用いられる(修飾シリコーン)。修飾は、ケイ素原子上の有機側鎖基を通してされる。更なる情報はMueller/Rath、Formulierung von Kleb- und Dichtrohstoffen、2009年、ISBN:978-3-86630-862-6、パートIII、第3.2.3章にある。
【0127】
合成ゴムは、ポリ(イソプレン)だけでなく、アクリロニトリルおよび由来物、ブタジエン、スチレン、イソブテン等を更なるモノマーとして含む、またはからなるコポリマーも含む。一般的なコポリマーは、ブタジエン-ニトリルゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)およびイソプレン-イソブチレンゴム(IIR)である。更なる情報はMueller/Rath、Formulierung von Kleb- und Dichtrohstoffen、2009年、ISBN:978-3-86630-862-6、パートII、第1.1.2.3および1.2.2章にある。
【0128】
アクリレート系感圧接着剤は、分子量分布が広く、ガラス転移温度は低い、よく溶解性のフリーラジカル的に重合させたアクリル酸およびメタクリル酸のエステルである。4〜12個の炭素原子のアルコールと、特によく用いられるブチルアクリレートおよび2-エチルヘキシルアクリレートとのエステルを用いることが好ましい。場合によっては、例えばスチレン、酢酸ビニル等のコモノマーを用いてよい。得られるアクリレートポリマーを熱的にまたはUV照射を通してさらに後架橋するのが好ましいことがある。
【0129】
さらに、粘着テープに代えて、黒色顔料含有ホットメルト接着剤またはホットメルト接着剤箔を用いてよい。ホットメルト接着剤は、ガラス転移温度または結晶点が室温より高い非晶質または部分的に結晶性のポリマーである。この温度領域を超えて加熱する際、液化が(場合によりゆっくりと)生じて、接着接合を達成するのに適当な粘度特性がもたらされる。次に、冷却の際に再結晶/凝固が生じる。原理上、ガラス転移温度が室温未満である高分子量ポリマーは、このようにホットメルト接着剤として機能することもできる。この種のポリマーは、例えば分散体または物質溶液(physical solution)の乾燥によって得ることができる。更なる情報はMueller/Rath、Formulierung von Kleb- und Dichtrohstoffen、2009年、ISBN:978-3-86630-862-6、第1.1.2.3および1.3.1章にある。
【0130】
好ましいホットメルト接着剤は、ポリオレフィン系接着剤、熱可塑性ポリウレタンからなるか、またはポリエステル系である。ポリエステル系ホットメルト接着剤は、有意な重量比率>30%、好ましくは>50%でポリエステル単位からなる。熱可塑性ポリウレタンおよびポリエステル系ホットメルト接着剤を用いることが好ましい。融解範囲が150℃未満、より好ましくは120℃未満のものを用いることが特に好ましい。
【0131】
接着剤の黒色の着色は、好ましくはカーボンブラックを用いて達成される。しかし、当業者に既知である任意の他の形式の着色も適当である。
【0132】
適当な黒色ラッカーは、原理上、適当な顔料によって色を付けることができる任意のラッカーを含む。上記の顔料に加えて、木炭もしくは獣炭または鉄黒もしくはマンガン黒等の黒色顔料もこの目的のために考えられる。鉄化合物またはカーボンブラックに基づく黒色顔料が特に適当である。
【0133】
ラッカーは一般に、当業者に既知の任意の技術を用いて適用することができる。ブレード塗工、スクリーン印刷およびスプレー法が好ましく、ブレード塗工またはスプレー法が特に好ましい。
【0134】
黒色層が基材層の直上にない本発明による層状構成体の構造において、黒色箔は、黒色層として用いることもでき、ここでは、キャリア層上に感光性ポリマーまたは感光性ポリマー組成物を適用後、これを記録層の他のフリーな側に直接適用することができる。
【0135】
顔料によって黒色化されている限り、キャリア層に関して上述したような、同一の材料が原理上このために有用である。特に適当であるのは、黒色ポリエチレン、ポリプロピレン、PET箔およびオレフィン系(より好ましくは1-オレフィン系)コポリマーの箔である。
【0136】
基材の直上に、またはそれを再度容易に分離できるように記録層またはキャリア層上のいずれかに、黒色層を適用することが特に有利である。この例は、剥離性ラミネート箔、剥離性黒色ラッカーまたは容易かつ後残りなく分離可能な接着剤である。
【0137】
特に適当な材料はさらに、その接着剤またはラッカー層が空気含有物なく透明な基材プレートに接着し、微粒子崩壊がなく、または散乱粒子を全く含まないものを含む。
【0138】
用いられる基材層は、原理上、任意の平面状かつ透明な材料であってよい。>80%、好ましくは>89%のASTM E 1348 D65/10°半球透過率、および<0.5%、好ましくは<0.1%のヘイズを有する、透明なプラスチックおよびガラス基材が好ましい。ガラス基材が特に好ましい。ガラス基材は、より好ましくは厚み2mm〜25mmの平面状の平らなガラスである。
【0139】
本発明の層状構成体は、粒子およびむらのないように生成されるべきである。従って、全ての操作をほこりのない清浄な空気中、またはクリーンルームにおいて行うことが特に有利である。
【0140】
例えば器具洗浄機、洗浄液、水または溶媒を用いて基材層用の材料を洗浄することが同じく好ましい。最終の洗浄工程において完全な脱イオン水または蒸留水を用いて基材層の材料をすすぎ、圧縮空気または抜けのない布を用いてほこりなく乾燥する場合が特に好ましい。
【0141】
記録層をキャリア箔と組み合わせた、上記のようにキャリア箔上に感光性ポリマー組成物を適用することによって得ることができる層状複合材料を用いることによって、本発明の層状構成体を製造することがさらに好ましい。例えば、層状複合材料を、記録層、キャリア箔層および基材層からこの層の順で直接生成することができる。異なる層順を選択する場合、キャリア箔上に記録層を適用した直後に黒色層を適用することが特に好ましいことがある。
【0142】
記録層およびキャリア箔ならびに、所望によりさらに基材層上の黒色層の層状複合材料の製造を、好ましくはラミネーションによって行う。原理上、全ての形式のラミネーターがこのために適当であり、当業者に既知の手動ローラー(manual roller)からラミネーション機に及ぶ。ローラーおよび/またはフラットベッドラミネーターを用いるのが好ましい。フラットベッドラミネーター、特に1〜6barの間の作動圧力下の加圧ロールを有するものを用いるのが特に好ましい。
【0143】
例えば、黒色接着剤層または黒色ラッカーを黒色層として用いる場合、記録層およびキャリア箔の層状複合材料を適用する前に、黒色層および基材層の複合材料を製造することが好ましい。
【0144】
上記のラミネーション方法は、接着剤層の適用に同じく適当である。ここでローラーおよび/またはフラットベッドラミネーターの使用も好ましい。特に好ましくはフラットベッドラミネーターを用いる。接着剤層の性質に応じて、ホットラミネーション可能なラミネーター、例えば加熱可能な加圧ロールを有するラミネーターを用いること、および昇温下においてラミネーションを行うことが有利なこともある。
【0145】
黒色ラッカーは、当業者に既知の任意の特定の通常のコーティングまたは印刷方法、特にブレード塗工、キャスティング、スロットダイ、印刷、スクリーン印刷、スプレーまたはインクジェット法を用いて、黒色層として適当に適用することができる。ボックス型ブレード塗工、スパイラル型ブレード塗工、スクリーン印刷およびスプレー法が好ましい。黒色層として用いる黒色ラッカーをスプレー法によって適用することが非常に特に好ましい。適当なフィルターによって組成物を予めろ過し、それにより粒子を除去することがさらに好ましい。清浄空気/雰囲気を用いたスプレーキャビンにおける使用が同じく好ましい。
【0146】
本発明は、ここで実施例および
図1〜8を参照してより具体的に説明され、ここで
図1は、本発明の層状構成体の第1の実施態様を示し、
図2は、本発明の層状構成体の第2の実施態様を示し、
図3は、本発明の層状構成体の第3の実施態様を示し、
図4は、感光性ポリマーフィルムの製造のための箔コーティング機器の概略的配置を示し、
図5は、λ=633nm(ヘリウムネオンレーザー)におけるホログラフィック媒体テスター(HMT)の配置を示す:M=鏡、S=シール、SF=空間フィルター、CL=コリメータレンズ、λ/2=λ/2プレート、PBS=偏光ビームスプリッター、D=検出器、I=絞り、α0=-16.8°、β0=36.8°は試料外(媒体の外)で測定されたコヒーレントビームの入射角である。RD=回転ステージの基準方向、
図6は、回転角Ωに対して丸としてプロットされた測定回折効率η、および実線としてKogelnik理論に合わせたもの、ならびに右側のy軸において黒色層のない送信電力を示し、
図7は、黒色層を用いた際の
図6の測定曲線を示し、ならびに
図8は、試料の構成および用いた試料の位置を示す。
【0147】
図1〜3はそれぞれ、記録層101、箔の形状の透明なキャリア層102、箔キャリアおよび基材層104を有する黒色接着剤層の形状の黒色層103をそれぞれ特徴とする本発明の層状構成体100、200、300の異なる実施態様を示す。
【実施例】
【0148】
感光性ポリマー層のために用いられる材料:
成分A:
Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)製の製品、その調製は以下に記載される。
成分B1(ホスホロチオイルトリス(オキシ-4,1-フェニレンイミノカルボニルオキシエタン-2,1-ジイル)トリアクリレート):
Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)製の製品、その調製は以下に記載される。
成分B2(2-({[3-(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)エチルプロプ-2-エノアート):
Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の製品、その調製は以下に記載される。
成分C(ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル)(2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジイル)ビスカルバメート):
Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の製品、その調製は以下に記載される。
成分D:
Fascat 4102 0.07%、ウレタン化触媒、ブチル錫トリス(2-エチルヘキサノエート)、Arkema GmbH(Duesseldorf、独国)製の製品。
BYK(登録商標)310:
BYK-Chemie GmbH(Wesel、独国)製のシリコーン系表面添加剤、キシレン中25%溶液
成分E:
0.26%ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシナートとしてC. I. Basic Blue 3、0.13%ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシナートとしてSafranine O、およびCGI 909 (BASF SE(Basle、スイス)製の実験生成物)1.5%を有する0.13%ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシナートとしてAstrazon Orange G、溶液として、5.8%の酢酸エチルに溶解。百分率は媒体の全組成物に基づく。色素の調製はPCT/EP 2011/069389から知られる。
成分F:
酢酸エチル(CAS番号141-78-6)。
成分G:
Desmodur(登録商標)N 3900、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の市販製品、ヘキサンジイソシアネート系ポリイソシアネート、イミノオキサジアジンジオンの比率30%以上、NCO含有量:23.5%。
キャリア基材:
キャリア箔1は、Hostaphan(登録商標)RNK 36μm、Mitsubishi Polyester Film GmbH(Wiesbaden、独国)の製品である。
キャリア箔2は、Transphan(登録商標)OG 622 SL(60μm)、LOFO High Tech Film GmbH(Weil am Rhein、独国)製の製品である。
キャリア箔3は、Tacphan(登録商標)915 GL(50μm)、LOFO High Tech Film GmbH(Weil am Rhein、独国)製の製品である。
【0149】
感光性ポリマー組成物のために用いられる更なる材料の生成方法:
成分Aの調製:
1Lフラスコ中に、0.18gの錫オクトアート、374.8gのε-カプロラクトンおよび374.8gの2官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(OHの当量500g/モル)をまず充填し、120℃に加熱し、固体含有量(非揮発製成分に起因する比率)が99.5重量%以上まで、この温度に維持した。この後、冷却して、ワックス状の固体として生成物を得た。
【0150】
成分B1(ホスホロチオイルトリス(オキシ-4,1-フェニレンイミノカルボニルオキシエタン-2,1-ジイル)トリアクリレート)の調製:
500mL丸底フラスコ中に、0.1gの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.05gのジブチル錫ジラウレート(Desmorapid(登録商標)Z、Bayer MaterialScience AG、Leverkusen、独国)および213.07gの27%濃度溶液の酢酸エチル中トリス(p-イソシアナトフェニル)チオホスフェート(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)製の製品)をまず充填し、60℃に加熱した。その後、42.37gの2-ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで、混合物を60℃でさらに維持した。この後、冷却および減圧下での酢酸エチルの完全除去を行い、部分的に結晶性の固体として生成物を得た。
【0151】
成分B2(2-({[3-(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)エチルプロプ-2-エノアート)の調製:
100mL丸底フラスコ中に、0.02gの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、0.01gのDesmorapid(登録商標)Z、および11.7gの3-(メチルチオ)フェニルイソシアネートをまず充填し、60℃まで加熱した。その後、8.2gの2-ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで、混合物を60℃でさらに維持した。この後、冷却して、淡黄色の液体として生成物を得た。
【0152】
添加剤C(ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチル)(2,2,4-トリメチルヘキサン-1,6-ジイル)ビスカルバメート)の調製:
2000mL丸底フラスコ中に、0.02gのDesmorapid(登録商標)Zおよび3.60gの2,4,4-トリメチルヘキサン1,6-ジイソシアネート(TMDI)をまず充填し、70℃に加熱した。この後、11.39gの2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプタン-1-オールを滴下し、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで、混合物を70℃でさらに維持した。この後、冷却して無色のオイルとして生成物を得た。
【0153】
ホログラフィック媒体の製造
本発明のおよび本発明でない感光性ポリマー組成物からの、フィルム形状のホログラフィック媒体について、連続的製造をここで説明する。
【0154】
図4に記載される箔コーティング機器を製造に用いた。
【0155】
図4は、用いたコーティング機器の概略的配置を示す。個々の部品は、
図4において次の引用符号を有する:
1 ストック貯蔵容器
2 計量添加手段
3 減圧脱気手段
4 フィルター
5 静的ミキサー
6 コーティング手段
7 循環空気乾燥機
8 キャリア箔
9 カバー層
【0156】
感光性ポリマー組成物を製造するため、攪拌された容器中の304.3gの成分A(ポリオール)を徐々に、138gの成分B1および138gの成分B2の書込みモノマー混合物、191gの添加剤C、0.60gの成分D、2.55gのBYK(登録商標)310および101gの成分Fと混合した。次に、66.5gの成分Eを暗がりで混合物に添加して混合し、その結果、透明な溶液が得られた。必要であれば、この組成物を一時的に60℃に加熱して、用いた材料の溶解を早めた。この混合物を、コーティング機器の2つのストック貯蔵容器1の一方に導入した。成分G(ポリイソシアネート)を第2のストック貯蔵容器1に導入した。次に、両成分をそれぞれ、計量添加手段2を通して942.2(成分A〜F)対57.8(成分G)の比率で、減圧脱気手段3に運び、脱気した。次にこれらをそれぞれ、そこからフィルター4を通じて静的ミキサー5に通し、そこでこれらの成分を共に混合して感光性ポリマー組成物を生成した。次に、得られた液体物質を、暗がりでコーティング手段6に供給した。
【0157】
この場合におけるコーティング手段6は従来のスロットダイであった。しかし、またはドクターブレードを用いることもできる。コーティング手段6を用いて、感光性ポリマー組成物を、20℃の加工温度でキャリア箔1、2または3上に適用し、循環空気乾燥機7において80℃の架橋温度で5.8分間乾燥した。これによりフィルム形状の媒体が得られ、次にこれをカバー層9として40μm厚のポリエチレン箔を用いてカバーし、巻き上げた。
【0158】
フィルムに対して得られた層厚みは18μmであった。
【0159】
黒色層のために用いられる材料
黒色層1は、SK 5545 AD 68 S2、Bischof + Klein GmbH & Co. KG(Lengerich、独国)製の製品、黒色ポリプロピレン箔上のアクリレート接着剤の接着剤箔である。吸収係数Q=0.519。
黒色層2は、Dupli-Colorプラチナ、MOTIP DUPLI GmbH(Hassmersheim、独国)製の製品、アクリル酸系スプレーラッカーであり、80μmの層厚みで適用。吸収係数Q=0.503。ラッカー層の層厚み45μm。
黒色層3は、Dupli-Color Quality Paintジェット黒色マット、MOTIP DUPLI GmbH(Hassmersheim、独国)製の製品、耐候性合成樹脂スプレーラッカーであり、80μm層厚みで適用。吸収係数Q=0.510。ラッカー層の層厚み35μm。
黒色層4は、Marabu Buntlack Colorspray Professional、シルクマット、Marabu GmbH & Co. KG(Tamm、独国)製の製品、合成樹脂スプレーラッカーであり、80μm層厚みで適用。吸収係数Q=0.497。ラッカー層の層厚み50μm。
黒色層5は、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の製品であり、その調製は以下に記載される。吸収係数Q=0.501。ラッカー層の層厚み30μm。
黒色層6は、Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の製品であり、その調製は以下に記載される。吸収係数Q=0.507。ラッカー層の層厚み40μm。
黒色層7は、3M Deutschland GmbH(Neuss、独国)製の製品コードScotch、Vinyl Electrical Tape 22を有する粘着テープである。吸収係数Q=0.507。
黒色層8は、nolax AG(Sempach-Station、スイス)製の製品コードn-10-129を有する粘着テープである(タイプ:黒色ポリカーボネートキャリア箔を有するゴム系感圧粘着テープ)。吸収係数Q=0.549。
黒色層9は、3M Deutschland GmbH(Neuss、独国)製の製品コードScotchcal 70を有する粘着テープである(タイプ:黒色キャリア箔を有するアクリレート系感圧粘着テープ)。吸収係数Q=0.508。
黒色層10は、AF Adhaesive Formteile GmbH(Pfinztal、独国)製の製品コードAF 24.449を有する粘着テープである(タイプ:黒色キャリア箔を有するシリコーン系感圧粘着テープ)。吸収係数Q=0.650。
黒色層11は、AF Adhaesive Formteile GmbH(Pfinztal、独国)製の製品コードAF 01.9473を有する粘着テープである(タイプ:黒色キャリア箔を有するアクリレート系感圧粘着テープ)。吸収係数Q=0.510。
黒色層12は、Huntsman Advanced Materials(欧州)BVBA(Everberg、ベルギー)製のAraldite 2026 A製品(ポリウレタンに基づく2成分液体接着剤)およびBayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)製の製品Makrofol DE 1-4、黒色を用い、その調製は以下に記載される。吸収係数Q=0.514。硬化接着剤層の層厚み40μm。
【0160】
黒色層5の製造:
まず冷却器を備えたグラインド容器に室温で29.06gのDesmophen A160(Nuplex Resins GmbH(Bitterfeld-Wolfen、独国)製の製品、ソルベントナフサ中60%溶液)を充填し、次に0.20gのBYK(登録商標)141(BYK-Chemie GmbH(Wesel、独国)製の製品)および12.0gのSolvesso 100(Azelis Deutschland GmbH(Sankt Augustin、独国)製の製品)を充填する。この後、26.32gのBayferrox 318 M(LANXESS Deutschland GmbH(Leverkusen、独国)製の製品、CAS番号1317-61-9)および18gのMicro-Talc(Mondo Minerals BV(Amsterdam、オランダ)製の製品、CAS番号14807-96-6)を少しずつ添加する前に、1.0gのCAB-O-SIL(登録商標)TS-720シリカ(Cabot Rheinfelden GmbH & Co. KG(Rheinfelden、独国)製の製品)を手動で攪拌する。次にラッカー混合物を約17.3gの2.6〜3mmガラスビーズ(Sigmund Lindner GmbH(Warmensteinach、独国)製の製品)と混合し、溶解機においてプラスチックディスクを用いて2400rpmで30分間錬磨(grind)する。温度を最大+40℃とするために水冷を施し、次にふるい除去および室温で1日間温置試験を行う。
【0161】
黒色層6の製造:
まずグラインド容器に室温で305.50gのBayhydrol UH 2593/1(Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の製品、脂肪族、脂肪酸修飾アニオン性ポリウレタン分散体)および105.50gのBayhydrol UH 240(Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の製品、脂肪族、アニオン性ポリエステル-ポリウレタン分散体)を充填する。800〜1000rpmで攪拌する溶解機ディスクを用いた攪拌下において(発泡を避けなければならない)、均質になるまでバインダーを1分間混合し、次に1.00gのBYK(登録商標)022(BYK-Chemie GmbH(Wesel、独国)製の製品)、1.00gのBYK(登録商標)028(BYK-Chemie GmbH(Wesel、独国)製の製品)、3.00gのBYK(登録商標)346(BYK-Chemie GmbH(Wesel、独国)製の製品)および3.75gのW 250大豆レシチン(Lubrizol Deutschland GmbH(Ritterhude、独国)製の製品)と連続して混合し、ここでは、各添加後に5分間攪拌する。その後、1.50gのBorchi Gel 0625(OMG Borchers GmbH(Langenfeld、独国)製の製品)を添加し、10分間攪拌する。最後に、この後に75.00gのブチルグリコール(Brenntag GmbH(Muelheim/Ruhr、独国)製の製品、完全脱イオン水中50%溶解)、および53.65gの水性顔料ペーストブラック(10.4重量%のSetaqua B E 270、Nuplex Resins GmbH(Bitterfeld-Wolfen、独国)製の製品および41.6重量%の完全脱イオン水からなり、32.0重量%のBorchi Gel 0851、OMG Borchers GmbH(Langenfeld、独国)製の製品および16.0重量%のColour Black FW 200、Degussa AG(Frankfurt/Main、独国)製の製品と混合した)の添加を行う。この2つを素早く連続して添加し、次にバッチ全体をさらに10分間攪拌する。
【0162】
実施例の構成体1の製造:
1.ガラスプレートの予洗浄:
サイズに関して可能であれば、実験室器具洗浄機において標準サイクル+乾燥サイクルでガラスプレートを予洗浄する。そうでなければ、スポンジ、洗浄液および水を用いてガラスを手で洗浄し、完全脱イオン水を用いてきれいにすすぎ、圧縮空気を用いて吹き飛ばし乾燥し、また清浄な薄紙を用いて再度乾燥する。大きなガラスプレートは、ラック上に置いた後に洗浄する場合に、より扱い易い。
【0163】
2.黒色背面(backing)の適用
a)黒色層1の適用
200mm×100mm以下のガラスプレートは、GSH 380ローラーラミネーターにおいて、ローラーの間に粘着テープを挿入し次に個々のガラスプレートにおいて押し付けることによって、ローラーからそこに適用した粘着テープを有する。次にテープを有するガラスプレートを、カッター刃を用いて切断する。領域全体が粘着テープと接触するのを達成するために、プラスチックスパチュラまたはドクターブレードを用いて、手で箔を個々の試料のガラス上に押しつけ、必要であれば閉じ込められた空気を絞り出す。
【0164】
b)黒色層2〜4の適用
ラッカー処理するガラスプレートのガラス表面を、アセトンを用いて脱脂後、黒色スプレーラッカーを、予め降ったスプレー缶から6回十字に通して直接適用し、室温で1日間乾燥する。ラッカー処理されていない逆側を、クレープ粘着テープを用いて全体を覆う。
【0165】
c)黒色層5および6の適用
上記のラッカー組成物を、ポリマービーカーに置き、9.07gのDesmodur(登録商標)N 75 MPA/キシレン(Bayer MaterialScience AG(Leverkusen、独国)の製品)と混合し、次に、均一になるまで木製スパチュラを用いて約1分間攪拌し、240μmの高速フィルターを通してスプレーガンに導入する。
【0166】
ラッカー処理するガラスプレートのガラス表面を、アセトンを用いて脱脂後、黒色スプレーラッカーを、5barおよび1.4mmノズルで1.5回十字に通して手動スプレーガンを用いて適用し、室温で1日間乾燥する。ラッカー処理されていない逆側を、クレープ粘着テープを用いて全体を覆う。
【0167】
3.(黒色化した逆側の)ガラスプレート上への感光性ポリマーのラミネート
既に他方の側上に黒色層を有するガラスプレートを、ラミネートする表面を上に向けて置く。ラミネーション前に、その表面を、フィルター処理したEtOH、PAグレードを用いてスプレー処理し、抜けのない布を円状に動かして拭く。その直後に、ガラスプレートのリムを超えて約1〜2cm突き出るようなサイズの予め生成した感光性ポリマー片を剥がし、ラミネーション手動ローラーを用いて穏やかな圧力および流れるような動きでガラスプレート上にラミネートする。突出した端部を除去するため、カッター刃およびガラスプレートよりも各端部において約6mm小さい調製テンプレートの中心配置を用いて、ガラスを横切り、過剰分を切り取る。予め作成した試料を遮光する方法でアルミニウムバッグに充填し、シールする。
【0168】
測定方法:
黒色層における反射率の測定
ガラスキャリアおよび黒色層の層状パッケージの透過率および反射スペクトルを、ETA-Optik分光計およびETA-RT CD測定システム(STEAG製)を用いて測定した。測定中、黒色層は、光源から離れた面を向くガラスキャリア側上であった。リファレンスとして、黒色ガラスキャリアも測定した。試料の反射率およびリファレンスの反射率をそれぞれ、532nmにおけるスペクトルから取り出した。評価のため、試料の反射率およびリファレンスの反射率の間に係数(割合)を作成した。この値は吸収係数Qという。
【0169】
黒色層の層厚みの測定
黒色層の厚みを、Mitutoyo Corporation(Kanagawa、Japan)製のマイクロメーター測定機器を用いて測定した。まず未塗工の基材を、複数点で厚み測定し、次に、塗工後に、黒色層と共に基材を厚み測定した。2つの値の間の差異を用いて黒色層の厚みを決定する。
【0170】
感光性ポリマーの乾燥層厚みの測定
物理的層厚みを、市販の白色光干渉計、例えばIngenieursbuero Fuchs製のFTM-Lite NIR層厚み測定器を用いて測定した。
【0171】
層厚みの測定は、原理上、薄層における干渉現象に依存した。光学的厚さの異なる2つの境界表面において反射された光波が重なった。反射された成分ビームの乱されていない重なりは、次に白色連続ラジエーター(例えばハロゲンランプ)のスペクトルにおいて周期的な明部および暗部をもたらした。この重なりは、当業者の間では干渉として知られている。干渉スペクトルを測定し、数学的に分析した。
【0172】
固体含有量
約1gの試料を、仕上げ未処理の缶蓋において適用し、ペーパークリップを用いて完全に分布させた。缶蓋およびペーパークリップは事前に秤量した。ペーパークリップを加えた試料および缶蓋を、125℃で1時間オーブン乾燥した。固体含有量は:
(最終の重量−風袋)*100/(元の重量−風袋)
で与えられる。
【0173】
粘度
報告された粘度は、DIN EN ISO 2431および/またはDIN 53211によるDIN 4mmによる流出カップ(DIN4カップ)を用いて測定した。
【0174】
イソシアネート含有量(NCO含有量)
報告されたNCO価(イソシアネート含有量)は、DIN EN ISO 11909によって測定した。
【0175】
全透過率およびヘイズ値の測定
測定は、全透過率を決定するために、Hunter Lab, FMS Jansen GmbH & Co. KG(Murnau am Staffelsee、独国)製のHunter Ultrascan Pro積分球分光計において標準規格ASTM E 1348/ISO 13468に従って行った。全透過率は360nm〜840nmの間の平均透過率を指し、ここではそれぞれ1シングル測定を5nm毎に行う。測定は、D65光源および10°の観測角を使用する。測定範囲は、測定を比色定量のために850nmに対して行う場合だけは除いて、350nm〜1100nmである。校正のために空気中の測定を用い、この測定の透過率を100%に設定する。
【0176】
ヘイズは、ASTM D 1003規格に従って測定する。
【0177】
透過モードにおける2ビーム干渉によるホログラフィック媒体のホログラフィック特性DEおよびΔnの測定、および黒色背面の有効性の評価
次に、「ホログラフィック媒体の製造」部分において記載されたように得られた媒体を、そのホログラフィック特性について、
図5のような測定構成を用いて次にようにテストした:
ヘリウムネオンレーザー(Melles Griot 25-LHP-928-249、放射波長633nm)のビームを、空間フィルター(SF)およびコリメータレンズ(CL)を用いて、平行な均一のビームに変換した。シグナルおよびリファレンスビームの最終断面を、虹彩絞り(I)によって確立する。虹彩絞りの開きの直径は0.4cmである。偏光依存性ビームスプリッター(PBS)は、レーザービームを2つのコヒーレント同偏光ビームに分ける。λ/2プレートを通して、リファレンスビームの出力を0.5mWに調整し、シグナルビームの出力を0.5mWに調整した。出力は、試料を分離した半導体検出器(D)を用いて測定した。リファレンスビームの入射角(α
0)は−26.8°であり、シグナルビームの入射角(β
0)は26.8°である。角度は、ビーム方向に垂直な試料から始めて測定する。従って、
図5によれば、α
0は負号を有し、β
0は正号を有する。試料(媒体)の場所において、2つの重なり合うビームの干渉場は、試料において2つのビーム入射の角ディセレクタに平行である明および暗ストライプの格子を生成した(透過ホログラム)。格子周期とも言われるストライプ間隔Λは、媒体において〜702nmである(媒体の屈折率は〜1.504と想定される)。
【0178】
図5は、媒体の回折効率(DE)を測定するために用いられるホログラフィック実験構成を示す。
【0179】
ホログラムは、次のように媒体に書き込まれた:
・両シャッター(S)を露光時間tの間、開ける。
・その後、シャッター(S)を閉じ、媒体は、まだ重合していない書込みモノマーの拡散を5分間可能とされる。
【0180】
記録されたホログラムを、ここで次のように読み込んだ。シグナルビームのシャッターを閉じたままにした。リファレンスビームのシャッターを開けた。リファレンスビームの虹彩絞りを、直径<1mmまで閉じた。これにより、ビームが常に媒体の全回転角(Ω)に対して予め記録されたホログラム中に完全にあることが確実となった。コンピュータ制御下において、ここで回転板は0.05°の角度ステップ幅でΩ
minからΩ
maxの角度範囲をカバーした。Ωは、回転板のリファレンス方向に垂直な試料から測定する。回転板のリファレンス方向(Ω=0)は、ホログラムの記録に際、リファレンスビームの入射角およびシグナルビームの入射角が同じ大きさを有する場合、すなわちα
0=−26.8°およびβ
0=26.8°である場合に得られる。一般に、次が、対称な透過ホログラム(α
0=−β
0)の記録中の干渉場に当てはまる:
【数1】
【0181】
θ
0は、媒体外の実験室系における半角である。この場合、θ
0=−26.8°。アプローチした角回転角Ωにおいて、ゼロ次において透過されるビームの出力は、対応する検出器Dによって測定され、一次において回折されるビームの出力は、検出器Dによって測定された。回折効率は、係数:
【数2】
:としてアプローチした各角度Ωにおいて得られた。
【0182】
P
Dは、回折されるビームの検出器における出力であり、P
Tは、透過されるビームの検出器における出力である。
【0183】
上記の方法によって、ブラッグ曲線(これは、記録されたホログラムの回転角Ωの機能としての回折効率ηを説明する)を測定し、コンピュータに保存した。さらに、ゼロ次において透過した強度も回転角Ωに対してプロットし、コンピュータに保存した。
【0184】
ホログラムの中心回折効率(DE=η
0)をΩ=0において決定した。
【0185】
次に、感光性ポリマー層の屈折率差Δnおよび厚みdを、結合波理論を用いて、測定したブラッグ曲線にフィットさせた(参照;H. Kogelnik、The Bell System Technical Journal、第48巻、1969年11月、第9号第2909〜2947頁)。評価方法をここに記載する:
Kogelnikによれば、次が、透過ホログラムのブラッグ曲線η(Ω)に当てはまる:
【数3】
式中:
【数4】
【数5】
【数6】
【0186】
ホログラムを読み込む際(「再生」)、上記に類似するように、次が当てはまる:
【数7】
【0187】
ブラッグの条件下において、「位相緩和」DP=0。従って:
【数8】
【0188】
νは格子厚みであり、ξは記録された屈折率格子の離調パラメーターである。nは、感光性ポリマーの平均屈折率であり、1.504に設定した。λは、真空におけるレーザー光の波長である。
【0189】
そして中心回折効率(DE=η
0)は、ξ=0に対して:
【数9】
として得られる。
【0190】
回折効率の測定データおよび理論的ブラッグ曲線を、
図6に示されるように、回転角Ωに対してプロットする。
【0191】
DEは既知であるので、Kogelnikによる理論的ブラッグ曲線の形状は、感光性ポリマー層の厚みdのみによって決定される。次に、DEの測定および理論が常に合うように、DEを通して、与えられた厚みdに対してΔnを補正する。その後、理論的ブラッグ曲線の第1の2次極小の角度位置および第1の2次極大の高さが、測定したブラッグ曲線の第1の2次極小の角度位置および第1の2次極大の高さに合うまで、dを調整する。
【0192】
図6は、実線としての結合波理論によるブラッグ曲線ηおよび測定した回折効率(丸い記号)、ならびに回転角Ωに対してプロットした透過した光の強度を示し、この場合では黒色層を用いなかった。
図7は、黒色層を用いて、
図6と同じ描写を示す。
【0193】
図8は、本発明の層状構成体100および比較例の黒色層を有さない構成体400の場合において用いられる試料構成および試料位置を示す。本発明の層状構成体100および比較例の構成体は、キャリア箔102上に感光性ポリマー層101を含み、キャリア箔102の表面において入射光ビームに対して向いている。感光性ポリマーフィルム(感光性ポリマー層を適用した基材)は、1mm厚のガラスプレート104上にラミネートされている。本発明の層状構成体100においてはさらに、黒色層103が、入射光ビームから離れて面するガラスプレート104の側上にラミネートされる。この構成体は、上記のホログラムの書込みに用いられる。ホログラムを読み込むために、黒色層103を分離するか、または露光した感光性ポリマーフィルムを、黒色層103を有さないガラス基材上に再ラミネートする。
【0194】
黒色層を用いない場合、回折効率および透過強度は、回転角Ωに応じて強い変調を示し、ホログラムの明るさ変動として観測者はそれを認識する。黒色層を用いる場合、変調が完全に消失し、観測者はホログラムに対して均一な明るさを認識する。
【0195】
ある組成物に対して、入射光ビームΔnの平均エネルギー量がホログラムの書込みの際に飽和値に移行するのを確保するために、場合により、様々な露光時間tの間、様々な媒体においてこの手順を複数回繰り返した。平均エネルギー量Eは、角度α
0およびβ
0を割り当てられた2成分ビームの出力(P
r=0.50mWを有するリファレンスビームおよびP
s=0.50mWを有するシグナルビーム)、露光時間tおよび絞りの直径(0.4cm)から次のように計算する:
【数10】