特許第6497900号(P6497900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497900
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20190401BHJP
【FI】
   A63B53/04 A
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2014-235213(P2014-235213)
(22)【出願日】2014年11月20日
(65)【公開番号】特開2015-100704(P2015-100704A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2017年10月31日
(31)【優先権主張番号】61/909,964
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/144,105
(32)【優先日】2013年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502330377
【氏名又は名称】テイラー メイド ゴルフ カンパニー, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ピー・ビーチ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フランシス・ローレンツェン
(72)【発明者】
【氏名】ビング−リング・チャオ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ヴィンセント・グレアニー
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0152000(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッド(100)であって、
クラウン(120)、ソール(130)、及び当該クラウンと当該ソールの間に配置されていてそれらを接続しているスカート(140)、を含むクラブ本体と、
前記クラブ本体に連結された調節可能のヘッドシャフト接続組立体であって、前記ゴルフクラブヘッドが前記ヘッドシャフト接続組立体を介してゴルフクラブシャフトに取付けられたときに形成されるゴルフクラブのロフト角及びライ角の少なくとも一方を調節するよう操作可能の前記ヘッドシャフト接続組立体と、
前記クラブ本体に調節可能に取付け可能の少なくとも一つの外部質量要素(1010)と、
前記クラブ本体の前端へ接続されているフェース部分(110)であって、当該フェース部分は、当該ゴルフクラブヘッドが理想的に位置付けられているときの座標系の原点(205)を画定する幾何学的中心を含んでおり、前記座標系は、
前記原点(205)で前記フェース部分に正接し且つ地平面に平行であるx軸と、
前記地平面に平行して且つ前記x軸に直交して前記原点(205)に交わるy軸と、
前記x軸と前記y軸の両方に直交して前記原点(205)に交わるz軸と、を含んでいる、前記フェース部分(110)と、を備えており、
当該ゴルフクラブヘッドは、前記y軸に沿って測定した前記原点(205)からの距離CGにあり且つ前記z軸に沿って測定した前記原点(205)からの距離CGにある重心CGを画定している、ゴルフクラブヘッドにおいて、
前記ゴルフクラブヘッドは、最小でも1.12のクラウン高さ対フェース高さ比を有しており、
前記ゴルフクラブヘッドは、前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記重心を通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)を有しており、ここに、CG/CGの比は、不等式、
【数1】


を満たしており、
前記フェース部分(110)が前記クラブ本体の前端の近傍で前記クラウン(120)に接続するフェース−クラウン移行部と、前記スカートが前記クラウンに接続するスカート−クラウン移行部とが設けられ、
前記原点(205)を通るy−z平面内において、前記クラウンの高さは前記フェース−クラウン移行部から出発して局部的最高値まで連続的に増大し、
前記原点(205)から距離CG離れた位置で前記原点(205)を通るy−z平面内において、前記クラウンの高さは前記フェース部分(110)の高さより大きく、
前記原点(205)を通るy−z平面内において、トレイリングエッジ(180)の近傍の前記スカート−クラウン移行部は前記原点(205)より下方であり、
前記ゴルフクラブヘッドのCG実効性積(CGeff)が、
【数2】


として定義されており、ここに、CGeffは少なくとも806mmである、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記距離CGは−7.0mm以下である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記クラウン部分は全ての場所で凸状をしている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記ゴルフクラブヘッドの前記本体部分へ接続されている少なくとも1つの質量要素を更に備えている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記CGは、理想アドレス位置で前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールと接触にある平面と定義される地平面から距離Δに位置しており、ここに、Δは最大でも24.6mmである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記CG実効性積(CGeff)が、1031mm未満である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、
前記フェース部分に沿って配置されているリーディングエッジと、
前記クラブ本体に沿って配置されているトレイリングエッジであって、前記リーディングエッジとは当該ゴルフクラブヘッドの互いに反対の端に配置されているトレイリングエッジと、をさらに含み、
当該ゴルフクラブヘッドは、前方質量枠及び後方質量枠によって特徴付けられており、
前記前方質量枠は、前記y軸に平行な約35mmの第1寸法及び前記z軸に平行な約20mmの第2寸法を有し、当該第1寸法及び当該第2寸法はそれにより当該前方質量枠の幾何学的中心を画定しており、
前記後方質量枠は、前記y軸に平行な約35mmの第1寸法及び前記z軸に平行な約30mmの第2寸法を有し、当該第1寸法及び当該第2寸法はそれにより当該後方質量枠の幾何学的中心を画定しており、
前記前方質量枠の最前方端は前記リーディングエッジに正接し、前記後方質量枠の最後方端は前記トレイリングエッジに正接しており、
当該ゴルフクラブヘッドは、前記y軸と前記z軸によって画定されるy−z平面における前記前方質量枠の前記幾何学的中心と前記CGの間のベクトルである第1辺と、前記y−z平面における前記後方質量枠の前記幾何学的中心と前記CGの間のベクトルである第2辺と、前記y−z平面における前記前方質量枠の前記幾何学的中心と前記後方質量枠の前記幾何学的中心の間のベクトルである第3辺と、を含むベクトル三角形を画定している、ゴルフクラブヘッドにおいて、
前記後方質量枠が13.2グラムより大きい質量を画定している、ゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、MOI(慣性モーメント)実効性総和(MOIeff)が、方程式、
【数3】


によって定義されており、
ここに、mは、前記前方質量枠内に画定されている質量であり、
ここに、Lは、前記ベクトル三角形の前記第1辺の長さであり、
ここに、mは、前記後方質量枠内に画定されている質量であり、
ここに、Lは、前記ベクトル三角形の前記第2辺の長さであり、
ここに、MOIeffは、81.5kg・mmより大きい、ゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
請求項8に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、MOIeffは、最小でも128.2kg・mmである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
請求項8に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、MOIeffは、最小でも240.8kg・mmである、ゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
請求項8に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、MOI実効性総和比(RMOI)が、MOIeffの、前記ゴルフクラブヘッドの前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記重心を通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)に対する比として定義されており、ここに、RMOIは0.327より大きい、ゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、RMOIは、最小でも0.453である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
請求項7に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記ゴルフクラブヘッドは、前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記CGを通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)を有しており、ここに、CG/CGの比は、不等式、
【数4】


を満たしている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、
前記フェース部分に沿って配置されているリーディングエッジと、
前記クラブ本体に沿って配置されているトレイリングエッジであって、前記リーディングエッジとは当該ゴルフクラブヘッドの互いに反対の端に配置されているトレイリングエッジと、をさらに含み、
当該ゴルフクラブヘッドは、前方質量枠及び後方質量枠によって特徴付けられており、
前記前方質量枠は、前記y軸に平行な約35mmの第1寸法及び前記z軸に平行な約20mmの第2寸法を有し、当該第1寸法及び当該第2寸法はそれにより当該前方質量枠の幾何学的中心を画定しており、
前記後方質量枠は、前記y軸に平行な約35mmの第1寸法及び前記z軸に平行な約30mmの第2寸法を有し、当該第1寸法及び当該第2寸法はそれにより当該後方質量枠の幾何学的中心を画定しており、
前記前方質量枠の最前方端は前記リーディングエッジに正接し、前記後方質量枠の最後方端は前記トレイリングエッジに正接しており、
当該ゴルフクラブヘッドは、前記y軸と前記z軸によって画定されるy−z平面における前記前方質量枠の前記幾何学的中心と前記CGの間のベクトルである第1辺と、前記y−z平面における前記後方質量枠の前記幾何学的中心と前記CGの間のベクトルである第2辺と、前記y−z平面における前記前方質量枠の前記幾何学的中心と前記後方質量枠の前記幾何学的中心の間のベクトルである第3辺と、を含むベクトル三角形を画定している、ゴルフクラブヘッドにおいて、
ベクトル比が、前記第1辺と前記第2辺の長さの和の前記第3辺の長さに対する比として定義されており、
ここに、前記ベクトル比は1.1281未満である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
請求項14に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記ベクトル三角形は、約591mm以下の面積を有している、ゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
請求項15に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記ベクトル三角形は、456mm以下の面積を有している、ゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
請求項14に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記ベクトル比は、最大でも1.0577である、ゴルフクラブヘッド。
【請求項18】
請求項14に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、MOI(慣性モーメント)実効性総和(MOIeff)が、方程式、
【数5】


によって定義されており、
ここに、mは、前記前方質量枠内に画定されている質量であり、
ここに、Lは、前記ベクトル三角形の前記第1辺の長さであり、
ここに、mは、前記後方質量枠内に画定されている質量であり、
ここに、Lは、前記ベクトル三角形の前記第2辺の長さであり、
ここに、MOIeffは、81.5kg・mmより大きい、ゴルフクラブヘッド。
【請求項19】
請求項18に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、MOI実効性総和比(RMOI)が、MOIeffの、前記ゴルフクラブヘッドの前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記重心(CG)を通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)に対する比として定義されており、ここに、RMOIは0.327より大きい、ゴルフクラブヘッド。
【請求項20】
請求項18に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記ゴルフクラブヘッドの前記CGは、前記y軸に沿って測定した前記中心フェースからの距離CGに位置し且つ前記z軸に沿って測定した前記中心フェースからの距離CGに位置しており、前記ゴルフクラブヘッドは、前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記重心(CG)を通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)を有しており、ここに、CG/CGの比は、不等式、
【数6】


を満たしている、ゴルフクラブヘッド。
【請求項21】
請求項20に記載のゴルフクラブヘッドにおいて、前記クラウン部分は全ての場所で凸状をしている、ゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、「ゴルフクラブ(GOLF CLUB)」という名称で2013年11月27日に出願されている米国仮特許出願第61/909,964号に対する優先権を主張し、同仮特許出願をこれにより明確に参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。本願は、「反発係数機構を有するゴルフクラブ(GOLF CLUB WITH COEFFICIENT OF RESTITUTION FEATURE)」という名称で2013年3月15日に出願されている米国特許出願第13/839,727号を参照しており、同特許出願を参考文献としてここにそっくりそのまま、特に重心場所及びその結果として生じるクラブ性能への効果の論考に関連して援用する。本願は、更に、「ゴルフクラブヘッド(GOLF CLUB HEAD)」という名称で2007年9月27日に出願されている米国特許第7,731,603号を参照しており、同特許を参考文献としてここにそっくりそのまま、特に慣性モーメントの論考に関連して援用する。本願は、更に、「ゴルフクラブ(GOLF CLUB)」という名称で2008年12月30日に出願されている米国特許第7,887,431号を参照しており、同特許を参考文献としてここにそっくりそのまま、特にその中に記載されている調節式ロフト技術の論考に関連して援用する。本願は、更に、「高体積空気力学ゴルフクラブヘッド(HIGH VOLUME AERODYNAMIC GOLF CLUB HEAD)」という名称で2012年12月18日に出願されている整理番号第13/718,107号を冠する米国特許への出願を参照しており、同特許出願を参考文献としてここにそっくりそのまま、特に空気力学ゴルフクラブヘッドの論考に関連して援用する。本願は、更に、「複合品及びそれを製作するための方法(COMPOSITE ARTICLES AND METHODS FOR MAKING THE SAME)」という名称で2007年12月19日に出願されている米国特許第7,874,936号を参照しており、同特許を参考文献としてここにそっくりそのまま、特に複合フェース技術の論考に関連して援用する。
【0002】
本開示は、ウッド型式のゴルフクラブに関する。より厳密には、本開示は、低重心を有するウッド型式のゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
「反発係数機構を有するゴルフクラブ」という名称で2013年3月15日に出願されている米国特許出願第13/839,727号―参考文献としてここに援用―に関連して説明されている様に、ゴルフクラブヘッドの重心(CG)をフェースに近接してゴルフクラブヘッドに低く配置することには利点が付随する。一部の特定の型式のヘッドでは、ゴルフクラブヘッドのCGを可能な限り低く配置することが、それがゴルフクラブヘッド内のどこかには関係なく、ともかく最も望ましい設計とされていることがある。しかしながら、多くの状況では、低く且つ前方のCG場所が、先行技術の設計又は低前方CGを持たない同等の設計には見られない幾つかの恩恵を提供することができる。
【0004】
参考までに、本開示内では、「フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッド」と呼ぶのは、ティー有り又はティー無しで使用されることを意図した何らかのウッド型式ゴルフクラブヘッドを意味する。参考までに、「ドライバー型式ゴルフクラブヘッド」は、主にティー有りで使用されることを意図した何らかのウッド型式ゴルフクラブヘッドを意味する。概して、フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、13度又はそれより大きいロフト、より通例では15度又はそれより大きいロフト、を有している。概して、ドライバー型式ゴルフクラブヘッドは、12度又はそれより小さいロフト、より通例では10.5度又はそれより小さいロフトを有している。概して、フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、リーディングエッジからトレイリングエッジまでの長さ73−97mmを有している。様々な定義はフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドをハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドと区別しており、ハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドはフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドと似ている傾向はあるがリーディングエッジからトレイリングエッジまでの長さがより短い。概して、ハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドは、リーディングエッジからトレイリングエッジまでの長さが38−73mmである。ハイブリッド型式ゴルフクラブヘッドは、更に、フェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドとは、重量によって、ライ角によって、体積によって、及び/又はシャフト長さによって、区別されよう。現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、ロフトが16度である。様々な実施形態では、現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、15−19.5度であってもよい。様々な実施形態では、現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、13−17度であってもよい。様々な実施形態では、現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、13−19.5度であってもよい。様々な実施形態では、現開示のフェアウェイウッド型式ゴルフクラブヘッドは、13−26度であってもよい。現開示のドライバー型式ゴルフクラブヘッドは、様々な実施形態では12度又はそれより小さく、或いは様々な実施形態では10.5度又はそれより小さくてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/909,964号
【特許文献2】米国特許出願第13/839,727号
【特許文献3】米国特許第7,731,603号
【特許文献4】米国特許第7,887,431号
【特許文献5】米国特許出願第13/718,107号
【特許文献6】米国特許第7,874,936号
【発明の概要】
【0006】
ゴルフクラブヘッドは、クラウン、ソール、及びクラウンとソールの間に配置されていてそれらを接続しているスカート、を含むクラブ本体と、クラブ本体の前端へ接続されているフェース部分と、を含んでいる。フェース部分は、ゴルフクラブヘッドが理想的に位置付けられているときの座標系の原点を画定する幾何学的中心を含んでおり、座標系は、原点でフェース部分に正接し且つ地平面に平行であるx軸と、地平面に平行して且つx軸に直交して原点に交わるy軸と、x軸とy軸の両方に直交して原点に交わるz軸と、を含んでいる。ゴルフクラブヘッドは、重心CGを画定しており、CGは、y軸に沿って測定した原点からの距離CGにあり且つz軸に沿って測定した原点からの距離CGにある。
【0007】
次に続くの諸図の機構と構成要素は、本開示の一般的原理を際立たせるように描かれている。それら図全体を通じて対応する機構及び構成要素は、整合性及び明解性を期して参照符号を一致させて示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】参考のためのゴルフクラブヘッドのトゥ側面図である。
図1B図1Aのゴルフクラブヘッドのフェース側面図である。
図1C図1Aのゴルフクラブヘッドの斜視図である。
図1D図1Aのゴルフクラブヘッドの上面図である。
図2A】現開示の1つの実施形態によるゴルフクラブヘッドの上面図である。
図2B図2Aのゴルフクラブヘッドのヒール側面図である。
図2C図2Aのゴルフクラブヘッドのトゥ側面図である。
図2D図2Aのゴルフクラブヘッドのソール側面図である。
図3A】現開示の1つの実施形態によるゴルフクラブヘッドの上面図である。
図3B図3Aのゴルフクラブヘッドのヒール側面図である。
図3C図3Aのゴルフクラブヘッドのトゥ側面図である。
図3D図3Aのゴルフクラブヘッドのソール側面図である。
図4A】現開示の1つの実施形態によるゴルフクラブヘッドの図である。
図4B図4Aのゴルフクラブヘッドのヒール側面図である。
図4C図4Aのゴルフクラブヘッドのトゥ側面図である。
図4D図4Aのゴルフクラブヘッドのソール側面図である。
図5】現開示の手順によって分析されたゴルフクラブヘッドの図である。
図6】現開示のゴルフクラブヘッドの特徴を他データ点に比較して表示しているグラフである。
図7】現開示のゴルフクラブヘッドの特徴を他データ点に比較して表示しているグラフである。
図8】現開示のゴルフクラブヘッドの実効性を示しているグラフである。
図9】現開示の少なくとも1つの実施形態による調節式ゴルフクラブ技術の分解斜視図である。
図10】現開示の少なくとも1つの実施形態による複合フェースプレートを含むゴルフクラブヘッドの前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ゴルフクラブ、及びゴルフクラブヘッド、並びに関連の方法、システム、装置、及び各種器械が開示されている。当業者には、開示されているゴルフクラブヘッドは多数の中のほんの幾つかの例としての実施形態に記載されていることが理解されよう。如何なる特定の用語遣いも記述も本開示又はそこから発する何れかの請求の範囲に限定を課すものと考えられてはならない。
【0010】
ウッド型式ゴルフクラブヘッドの低前方重心は、様々な理由のうちの何れかの理由で好都合である。ウッド型式ゴルフクラブヘッドからすれば、高い打ち出しと低いスピンの組合せが特に望ましい。ウッド型式ゴルフクラブヘッドの低前方重心場所は、スピンを減らし打ち出し角度を増加させることによって理想の打ち出し条件を実現するのを支援する。また一方、一部の特定の状況では、低前方重心は、質量の大部分がゴルフクラブヘッドの1つの領域に集中している場合には、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメントを小さくしてしまわないとも限らない。2007年9月27日に出願されている「ゴルフクラブヘッド」という名称の米国特許第7,731,603号に記載されている様に、慣性モーメント増加が、中心を外れて接触した場合のゴルフクラブヘッドの安定性を改善するのに有益なこともある。例えば、ゴルフクラブヘッドの質量の大部分を低前方に配置させると、ゴルフクラブヘッドの重心を移すことができる。また一方で、慣性モーメントは、質量と当該質量部から慣性モーメントの測定される軸までの距離の二乗の関数である。質量部と慣性モーメントの軸の間の距離が変化するにつれ、本体の慣性モーメントは二次式に変化する。但し、質量が1つの場所に集中してしまっていることから、重心は局在する質量部により近くなりがちである。而して、質量が1つの区域に集中しているゴルフクラブヘッドは、場合によっては、著しく低い慣性モーメントを有することになってしまう。
【0011】
著しく低い慣性モーメントは、場合によっては、有害となり得る。特に下手な打撃及び/又は中心外れの打撃に関して、ゴルフクラブヘッドの低い慣性モーメントは、ゴルフクラブヘッドの捩れを生じさせる原因となりかねない。地面に平行に且つフェースに正接である線に平行に重心を通る軸(以後、「重心x軸」)に沿った慣性モーメントに関し、低慣性モーメントは、中心外れの打撃については飛行特性を変えてしまいかねない。現論考では、重心がゴルフクラブヘッドの特に低前方にあるとき、重心より実質的に上の打撃は、比較的大きなモーメントアーム及び捩れの可能性を生じさせる。重心x軸周りのゴルフクラブヘッドの慣性モーメント(以後、「Ixx」)が著しく低いなら、高捩れは、結果的に、エネルギーをゴルフボールへ伝達させて飛距離を生ませるよりもむしろ捩れにエネルギーを失わせてしまうかもしれない。而して、低前方重心は、より良い打ち出し条件を生み出すには有益であっても、実施が貧弱であれば、一部の特定の状況では、著しく寛容性に欠けるゴルフクラブヘッドをもたらすかもしれない。
【0012】
ゴルフクラブヘッドにおける低前方重心場所は好ましい飛行条件をもたらし、というのも低前方重心場所は正接フェース平面に垂直な重心の投影をもたらすからである(ここに参考文献としてそっくりそのまま援用される「ゴルフクラブ」という名称で2013年3月15日に出願されている米国特許出願第13/839,727号に記載されている正接フェース平面及び重心投影の論考を見られたし)。ボールとのインパクト時、重心投影はより高い又はより低いスピン及び打ち出し角度を生じさせる垂直ギア効果を決定付ける。重心をゴルフクラブヘッド低くに移すと、より低い重心投影を得られるが、ゴルフクラブヘッドのロフトのせいで、重心を前方に移しても同様により低い重心投影を提供することができる。低重心と前方重心の組合せは、低重心投影を実現するのに非常に効率的なやり方である。しかしながら、前方重心はIxxを不必要に低くしてしまいかねない。全体としての慣性モーメント―及び特にIxx―への有害影響無しに低CG投影を実現する質量配分が、好ましい飛行条件と中心外れの当たりに対するより大きな寛容性の両方を実現するうえで最も有利ということになろう。重心投影の実効性に対して説明するのに助けとなるパラメータは、CG(中心フェースから後方にy軸に沿って測定した重心の距離)に対するCG(中心フェースからz軸に沿って測定した重心の垂直距離)の比である。CGz/CGy比がより大きな負になるほど、重心投影は典型的にはより低くなり、改善された飛行条件がもたらされることになる。
【0013】
而して、現開示は、中心外れの―特に中心より上の―打撃(より高いIxxを示唆)についてゴルフクラブヘッドの寛容性を実質的に落とすことなくCGz/CGyに対する大きな負数(低CG投影を示唆)の恩恵を有するゴルフクラブヘッドを提供することを目指している。所望の結果を実現するために、Ixx増加を実現する質量の最適配列を促すやり方で重量をゴルフクラブヘッド内に配分させることができるが、但し質量はCGz/CGyについて実質的に大きい負数を促進するように設置される。
【0014】
全般的な参考として、図1A図1Dを参照するとゴルフクラブヘッド100が見られる。ゴルフクラブヘッド100の1つの実施形態が開示されており、図1A図1Dに関連付けて説明されている。図1Aに見られる様に、ゴルフクラブヘッド100は、フェース110、クラウン120、ソール130、スカート140、及びホーゼル150を含んでいる。本開示の解釈上、ゴルフクラブヘッド100のフェース110を含まない大半部分をゴルフクラブ本体と考えることにする。
【0015】
3次元基準座標系200が示されている。座標系200の原点205は、ゴルフクラブヘッド100のフェースの幾何学的中心(CF)に配置されている。ゴルフクラブの打撃フェースの幾何学的中心を測定する方法論については、U.S.G.A.の2005年3月25日付け2.0改訂版「ゴルフクラブヘッドの可撓性を測定するための手順」を見られたし。座標系200は、z軸206、y軸207、及びx軸208を含んでいる(図1Bに示す)。それぞれの軸206、207、208は、互いに他の軸206、207、208に直交である。ゴルフクラブヘッド100は、リーディングエッジ170及びトレイリングエッジ180を含んでいる。本開示の解釈上、リーディングエッジ170は曲線によって画定されており、当該曲線は、y軸207及びz軸206によって形成される平面に平行に取られた何れかの断面についてy軸207に平行に測定して最も前方であるゴルフクラブヘッド100上の点として定義されるそれぞれの最前方点の連なりによって画定されるものである。フェース110は、様々な実施形態では、溝又はスコアラインを含んでいよう。様々な実施形態では、リーディングエッジ170は、更に、そこではゴルフクラブヘッドの当該特定部分の湾曲がロール半径及びバルジ半径から実質的に逸脱しているエッジとすることができる。
【0016】
図1Bを参照して分かる様に、x軸208は地平面(GP)に平行であって、当該平面へゴルフクラブヘッド100は正しく着けられることになる―ゴルフクラブヘッド100の所望配列ではソール130がGPと接触するように配列される。y軸207もGPに平行であり、x軸208に直交である。z軸206は、x軸208、y軸207、及びGPに直交である。ゴルフクラブヘッド100は、トゥ185及びヒール190を含んでいる。ゴルフクラブヘッド100は、ホーゼル150の軸に沿って画定されているシャフト軸(SA)を含んでいる。ゴルフクラブとして組み立てられるとき、ゴルフクラブヘッド100はゴルフクラブシャフト(図示せず)へ接続される。典型的には、ゴルフクラブシャフトは、ホーゼル150に画定されているシャフト孔245の中へ挿入される。よって、ゴルフクラブヘッド100に対するSAの配列は、ゴルフクラブヘッド100がどの様に使用されるかを定義付けることになる。SAは、GPに対して或る角度198に整列されている。角度198は当技術ではゴルフクラブヘッド100のライ角(LA)として知られている。SAとGPの地平面交点(GPIP)が参照用に示されている。様々な実施形態では、GPIPは、ゴルフクラブヘッド100の機構を測定し参照付けることのできる基準点として使用されている。図1Aに関連付けて示されている様に、SAは、原点205から離れて現実施形態の原点とも軸206、207、208の何れとも直接に交わらないように配置されている。様々な実施形態では、SAは、少なくとも1つの軸206、207、208及び/又は原点205と交わるように配列されていてもよい。z軸地平面交点212が、z軸がGPと交わる点として見てとれる。図1Dに見られる上面図はゴルフクラブヘッド100のもう1つの図を示している。シャフト孔245がホーゼル150に画定されているのが見てとれる。
【0017】
図1Aに戻って、クラウン高さ162が示されており、それはz軸206に平行に測定してGPからクラウン120の最も高い点までの高さとして測定されている。ゴルフクラブヘッド100は、更に、z軸206に平行に測定したフェース110の高さである有効フェース高さ163を有している。有効フェース高さ163は、フェース110上の最も高い点からリーディングエッジ170に近接するフェース110上の最も低い点までを測定している。クラウン120とフェース110の間には移行部が存在しており、そのため、フェース110上の最も高い点は実施形態の間で僅かに異なろう。現実施形態では、フェース110上の最も高い点とフェース110上の最も低い点は、フェース110の湾曲が実質的にロール半径から逸れている点である。幾つかの実施形態では、その様な点を特徴付けるずれは曲率半径の10%変化とすることができる。様々な実施形態では、有効フェース高さ163はクラウン高さ162より2−7mm小さくてもよい。様々な実施形態では、有効フェース高さ163はクラウン高さ162より2−12mm小さくてもよい。有効フェース位置高さ164は、z軸206の方向に測定したGPからフェース110上の最も低い点までの高さである。様々な実施形態では、有効フェース位置高さ164は2−6mmであってもよい。様々な実施形態では、有効フェース位置高さ164は0−10mmであってもよい。y軸207の方向に測定したゴルフクラブヘッド100の距離177もまた図1Aを参照して分かる。距離177は、リーディングエッジ170からトレイリングエッジ180までの長さの測定値である。距離177は、様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフトに依存していよう。
【0018】
本開示の解釈上、以上に開示されている諸部分及び参照は、修正のない限り本開示の様々な実施形態を通じて一貫しているものとする。当業者には、1つの実施形態に関連する参照が他の様々な実施形態と共に含まれ得ることが理解されるであろう。
【0019】
図2A図2Dには、現開示の1つの実施形態のゴルフクラブヘッド1000が含まれ、説明されている。ゴルフクラブヘッド1000は、ゴルフクラブヘッド1000のソール130に配置されている質量要素1010を含んでいる。質量要素1010は、現実施形態ではゴルフクラブヘッドの前方/中心に近接して配置されているが、ヒール−トゥ重量として分割されているか又は様々な他の配列にあってもよい。ゴルフクラブヘッド1000の距離177は、現実施形態では、約110.8mmである。様々な実施形態では、距離177は、90mm未満乃至140mm超までばらつきが大きい。ソール機構1020が、ゴルフクラブヘッド1000の本体の延長部分として含まれている。ソール機構1020は、重心をより低くするのを助け慣性モーメント増加をもたらす追加質量の場所を提供している。ソール機構1020は、様々な実施形態では、約5−15立方センチメートルの体積をゴルフクラブヘッド1000へ加増する。現実施形態では、ソール機構1020は、約9.2ccの体積をゴルフクラブヘッド1000へ加増する。
【0020】
図2A図2Dの図(及び現開示の残りの全図)では、ゴルフクラブヘッドは、USGA手順に従って理想的に―具体的には、フェーススクエアを正規アドレス位置に置き、シャフト軸を(x−z平面に平行な)中立位置に整列させ、ライ角を特定の実施形態について指定されているライとは無関係に約60度にした状態で―位置付けられるようにセットアップされている。現実施形態の質量要素1010は33.6グラムであるが、異なる実施形態では異なる質量要素が利用されよう。ソール機構1020は、約20.5グラムの質量を作り出しているが、異なる実施形態では、広範に異なった質量が利用されよう。現実施形態のソール機構1020は全体がチタンであり、様々な実施形態では、鉛、鋼、タングステン、アルミニウム、及び異なる密度の他の各種材料を含め、様々な材料を含んでいよう。当業者には理解される様に、現開示の様々な実施形態の各種質量要素及び質量機構は、上述のものを含む各種材料であってもよく、また各種材料及び構成は、理想的なプレイ条件を実現するように様々な実施形態間で置き換えできるものであってもよい。
【0021】
特に図2Aを参照して、現実施形態のゴルフクラブヘッド1000は、フェース110と、クラウン120及びトゥ185の極一部と接面する接面部分1004と、を含むフェースインサート1002を含んでいる。様々な実施形態では、フェースインサート1002は、様々な形状、サイズ、及び材料であってよい。様々な実施形態では、フェースインサートは、ゴルフクラブヘッド1000のフェース110の諸部分としか接面していないこともあれば、設計に依ってはフェース110の外部の諸部分と接面していることもあろう。現実施形態では、フェースインサートは、「複合品及びそれを製作するための方法」という名称で2007年12月19日に出願されている米国特許第7,874,936号に記載されている複合材料である。各種の金属、複合材料、セラミクス、及び各種有機材料を含め、様々な材料を使用することができよう。現実施形態では、フェースインサート1002は、ゴルフクラブヘッド1000のフェース110の質量を所望に応じて他の部分へ再配置させることができるように、又はゴルフクラブヘッド1000を特に低い質量で作ることができるように、複合材料である。様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000の質量は10−20グラムの質量節減分だけ軽減化される。現実施形態では、金属系フェースインサート1002を有する同じ実施形態の同等のゴルフクラブヘッド1000と比較して10グラムの質量節減分が見られる。先に示唆されている様に、ゴルフクラブヘッド1000の距離177は現実施形態では約110.8mmであるが、様々な実施形態では、本開示の他の箇所に見てとれる様に、変わってもよい。現実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000は、約455−464立方センチメートル(CC)の体積である。y軸207方向に測定した、原点205とリーディングエッジ170の間の距離1055が、現図に見られる。ゴルフクラブヘッド1000について、当該距離は約3.6mmである。
【0022】
特に図2Bを参照して分かる様に、前方質量枠1030及び後方質量枠1040が参照のみを目的に描画されているのが分かる。質量枠1030、1040は、ゴルフクラブヘッド1000の機構ではなく、ゴルフクラブヘッド1000の各種機構を描くうえでの参照のために示されている。図2Bの図はヒール190を示している。而して、図2Bは、y−z平面、即ちy軸207とz軸206によって形成される平面の図を示している。而して、ここに説明されている様々な質量枠1030、1040の距離は、y−z平面へ投影したものとして測定されている。
【0023】
各質量枠1030、1040は、ゴルフクラブヘッド1000と現行の各種ゴルフクラブヘッドの分析及び比較のための定義されている質量割付帯域を表現している。現実施形態では、各質量枠1030、1040は形状が矩形であるが、様々な実施形態では質量定義帯域は様々な形状のものがあろう。
【0024】
前方質量枠1030は、z軸206に平行に測定した第1寸法1032及びy軸207に平行に測定した第2寸法1034を有している。現実施形態では、第1寸法1032はGPから測定されている。現実施形態では、第1寸法1032は質量枠1030の第1側辺1036から第3側辺1038までの距離を測定し、第2寸法1034は質量枠1030の第2側辺1037から第4側辺1039までの距離を測定している。前方質量枠1030は、GPと一致している第1側辺1036を含んでいる。第2側辺1037は、z軸206に平行であり、リーディングエッジ170に正接しており、その結果、前方質量枠1030はゴルフクラブヘッド1000の最も低く最も前方の部分として画定されている領域を包含している。前方質量枠1030は幾何学的中心点1033を含んでいる。前方質量枠1030の幾何学的中心点1033は、第1寸法1032の第1側辺1036及び第3側辺1038から2分の1に位置し且つ第2寸法1034の第2側辺1037及び第4側辺1039から2分の1に位置する点であることが当業者には理解されるはずである。現実施形態では、第1寸法1032は約20mmであり、第2寸法1034は約35mmである。様々な実施形態では、それは、様々なゴルフクラブヘッドの質量配分を異なった幾何学的形状又は異なったサイズの質量割付帯域の観点から特徴付けるための値としてもよく、当業者には、現開示の質量枠1030、1040は、本開示の範囲又は本開示に由来する何れかの特許請求の範囲へ制限を課すものと考えられてはならないことが理解されよう。
【0025】
後方質量枠1040は、z軸206に平行に測定した第1寸法1042及びy軸207に平行に測定した第2寸法1044を有している。現実施形態では、第1寸法1042はGPから測定されている。現実施形態では、第1寸法1042は質量枠1040の第1側辺1046から第3側辺1048までの距離を測定し、第2寸法1044は質量枠1040の第2側辺1047から第4側辺1049までの距離を測定している。後方質量枠1040はGPと一致している第1側辺1046を含んでいる。第4側辺1049はz軸206に平行であり、トレイリングエッジ180に正接しており、その結果、後方質量枠1040はゴルフクラブヘッド1000の最も低く最も後方の部分として画定されている領域を包含している。後方質量枠1040は幾何学的中心点1043を含んでいる。後方質量枠1040の幾何学的中心点1043は、第1寸法1042の第1側辺1046及び第3側辺1048から2分の1に位置し且つ第2寸法1044の第2側辺1047及び第4側辺1049から2分の1に位置する点であることが当業者には理解されるはずである。現実施形態では、第1寸法1042は約30mmであり、第2寸法1044は約35mmである。様々な実施形態では、それは、様々なゴルフクラブヘッドの質量配分を異なった幾何学的形状又は異なったサイズの質量割付帯域の観点から特徴付ける値としてもよく、当業者には、現開示の質量枠1030、1040は、本開示の範囲又は本開示に由来する何れかの特許請求の範囲へ制限を課すものと考えられてはならないことが理解されよう。
【0026】
質量枠1030、1040は、ゴルフクラブヘッド1000の一区域であって、その内部の質量を測定してゴルフクラブヘッド1000の質量配分の実効性の表現とする区域を描いている。前方質量枠1030は、x軸208(図1Dに図示)に平行し且つGPに平行する方向にゴルフクラブヘッド1000を通って投影されていて、前方質量枠1030内部に描画されている全質量を捕捉している。後方質量枠1040は、x軸208(図1Dに図示)に平行し且つGPに平行する方向にゴルフクラブヘッド1000を通って投影されていて、後方質量枠1040内部に描画されている全質量を捕捉している。
【0027】
現実施形態では、前方質量枠1030は55.2グラムを包含し、後方質量枠1040は30.1グラムを包含しているが、異なる実施形態は様々な質量要素を含んでいよう。ゴルフクラブヘッド1000の追加の質量は、質量枠1030、1040の外部の125.2グラムである。
【0028】
ゴルフクラブヘッド1000の重心(CG)が、ゴルフクラブヘッド1000に注記されているのが分かる。クラブヘッド全体のCGは、示されているクラブヘッドの、クラブ本体へ取り付けられている若しくはそれ以外に接続或いは付着されている何れの重り又は付属物も含めた全構成要素を含んでいる。CGは、z軸206に平行に測定した地平面からの距離1051に位置している。距離1051は、様々な実施形態ではΔとも命名されており、現開示全体を通じてその様に称されていよう。CGは、z軸206に平行に測定した原点205からの距離1052に位置している。距離1052は、様々な実施形態では、CGとも命名されており、現開示全体を通じてその様に称されていよう。CGは、原点205が0.0mmの点を画定している状態で、上方を正、下方を負として測定される。現実施形態では、CG場所は−8.8mmであり、つまりはCGが地平面に垂直に測定して中心フェースより下8.8mmに位置していることを意味する。CGは、y軸207に平行に測定した原点205からの距離1053に位置している。距離1053は、様々な実施形態では、CGとも命名されており、現開示全体を通じてその様に称されていよう。現実施形態では、距離1051は24.2mmであり、距離1052は−8.8mmであり、距離1053は33.3mmである。
【0029】
第1ベクトル距離1057が、y−z平面に測定した、前方質量枠1030の幾何学的中心点1033からCGまでの距離を画定している。現実施形態では、第1ベクトル距離1057は約24.5mmである。第2ベクトル距離1058が、y−z平面に測定した、CGから後方質量枠1040の幾何学的中心点1043までの距離を画定している。現実施形態では、第2ベクトル距離1058は約56.2mmである。第3ベクトル距離1059が、y−z平面に測定した、前方質量枠1030の幾何学的中心点1033から後方質量枠1040の幾何学的中心点1043までの距離を画定している。現実施形態では、第3ベクトル距離1059は約76.3mmである。
【0030】
見て取れる様に、CGと幾何学的中心点1033と幾何学的中心点1043の場所は、様々な機構の関係性を説明するベクトル三角形1050を形成している。ベクトル三角形1050は、参照用であり、ゴルフクラブヘッド1000の物理的機構として見られるわけではない。本開示の後段でより詳細に論じられている様に、ベクトル三角形1050は、現開示のゴルフクラブヘッドの性能特性の改善における特定の設計の実効性を求めるために利用されている。ベクトル三角形1050は、距離1057に対応する第1辺1087、距離1058に対応する第2辺1088、及び第3距離1059に対応する第3辺1089を含んでいる。
【0031】
正接フェース平面TFPもまた図2Bに見てとれる。TFPは、フェース110に原点205(CF)で正接する平面である。TFP235は、フェース110がロール半径及びバルジ半径で湾曲しているとしても、フェース110にとっての平面を近似している。TFPは、z軸206に対して角度213を成している。現実施形態での角度213は、当業者なら理解される様にゴルフクラブヘッドのロフト角と同じである。シャフト平面z軸209が見られ、(現図からすれば)SAと一致している。様々な実施形態では、シャフト平面z軸209は、SAの、y−z平面への投影である。現実施形態について、SAは、x−z平面―x軸208とz軸206によって形成される平面―に平行な平面内にすっぽり入っている。而して、現実施形態では、シャフト平面z軸209は、z軸206に平行である。幾つかの実施形態では、SAは、x軸208とz軸206によって形成される平面に平行な平面にはないであろう。
【0032】
CG投影線1062が、CGのCG投影点1064でのTFPへの投影を示している。CG投影点1064は、90°でTFPへ投影したCGの場所を記述している。而して、CG投影点1064は、原点205での中心フェース(CF)に対比させたCGの記述を可能にしている。現実施形態のCG投影点1064は、CF205からオフセットしている。CG投影点1064のCF205からのオフセットは、様々な実施形態ではTFPに沿って測定されることもあれば、様々な実施形態ではz軸に平行に測定されることもある。現実施形態では、CG投影点1064のCF205からのオフセット距離は約−2.3mmであり、CGが中心フェースより下約2.3mmに投影されることを意味する。
【0033】
様々な実施形態では、ここに開示されている機構の寸法及び場所は、設計の目標を実現する際の重量配分の実効性を定義するのに助けとなるように、様々な比、面積、及び寸法の関係性―とりわけゴルフクラブヘッド1000の様々な他の寸法との兼ね合い―を定義するのに使用することができるであろう。
【0034】
CGは、CGz軸806、CGy軸807、及びCGx軸808(図2Aに図示)を含むCG座標系の原点を画定している。CGz軸806はz軸206に平行であり、CGy軸807はy軸207に平行であり、CGx軸808はx軸208に平行である。「ゴルフクラブヘッド」という名称で2007年9月27日に出願されている米国特許第7,731,603号に関連して記載されている様に、任意のゴルフクラブヘッドの慣性モーメント(MOI)が、特にここに画定されているCG軸に関して、CG周りに測定されている。IxxはCGx軸808周りの慣性モーメントであり、IyyはCGy軸807周りの慣性モーメントであり、Izzは、CGz軸806周りの慣性モーメントである。
【0035】
本開示の他の箇所で説明されている様に、著しく低いMOIは、中心外れの当たりについて不安定を生じさせる原因となりかねない。とはいえ、MOIは、典型的には、特定の質量に対し、当該質量部の長さ及び大きさ(magnitude)を使用して釣り合わせることができる。1つの例が以下の方程式、即ち、
【0036】
【数1】
【0037】
に見られ、ここに、Iは慣性モーメントであり、mは質量であり、Lは回転軸から当該質量部までの距離である(αは比例関係を指示)。而して、慣性モーメントは距離の二乗で変化し質量部の大きさに関しては線形にしか変化しないので、回転軸から質量部までの距離は質量部の大きさよりも重要性が大きい。
【0038】
ゴルフクラブヘッド1000の現実施形態では、複数の質量要素―質量要素1010及びソール機構1020を含む―を含ませることにより、質量を重心から遠く配置させることができるようになる。結果として、ゴルフクラブヘッド1000の慣性モーメントは、同様のCG場所を有する幾つかの同等のクラブよりも高くなる。現実施形態でのIxxは約283kg−mmである。現実施形態でのIzzは約380kg−mmである。
【0039】
多くの先行技術の設計のゴルフクラブヘッドでは、MOIを増加させるための主要なメカニズムは、ゴルフクラブヘッド質量の大部分を可能な限りトレイリングエッジ180寄りに移すことであった。その様な設計は、典型的には、高いMOIを実現したが、CGのTFPへの投影は著しく高く、低CGの恩恵を打ち消すことによってゴルフクラブヘッドの性能を低下させた。
【0040】
質量枠1030、1040の大きさは、ゴルフクラブヘッド1000での慣性モーメント増加の実効性の幾らかの説明を提供する。ベクトル三角形1050は、ゴルフクラブヘッド1000の低CGを維持しながらにMOIを増加させることの実効性についての説明を提供する。追加的に、ゴルフクラブヘッド1000は、質量枠1030、1040内の質量(それぞれ55.2g及び30.1g)をゴルフクラブヘッド1000の質量枠の外部の質量(125.2g)と比較した比を使用して特徴付けることができる。先に説明されている様に、低CGは、TFPへの低CG投影という恩恵を提供する。而して、低MOIの負の影響を被ることなくMOIを増加させるには、複数の質量部をゴルフクラブヘッド1000に低く配置させれば低CGの性能利得を可能にしながらに高い安定性を現出させることができる。
【0041】
ゴルフクラブヘッド1000でのCG場所を低くしながらにMOIを増加させることの実効性を定量化する1つの方法は、ベクトル三角形1050の面積を求める、というものである。ベクトル三角形1050の面積は、次の方程式、即ち、
【0042】
【数2】
【0043】
を用いて見いだされ、ここに、
【0044】
【数3】
【0045】
である。
【0046】
面積計算を利用すると、ベクトル三角形1050のAは約456mmである。
【0047】
ゴルフクラブヘッド1000でのCG場所を低くしながらにMOIを増加させることの実効性を定量化する1つの方法は、ベクトル三角形1050の様々な辺1087、1088、1089の比を提供する、というものである。様々な実施形態では、ベクトル比は、ベクトル三角形1050の第1辺1087と第2辺1088の距離の和をベクトル三角形1050の第3辺1089と比較した比として求められる。ベクトル三角形1050に関し、先に指摘されている様に、それら辺は、第1距離1057、第2距離1058、及び第3距離1059になっている。定位は、第1辺1087と第2辺1088が共に第3辺1089より上に定位している。殆どの実施形態では、ベクトル三角形1050の1つの辺は、他の2つの辺より大きいであろう。殆どの実施形態では、ベクトル三角形1050の最大辺は第3辺1089ということになる。殆どの実施形態では、ベクトル比は、2つの小辺の和を大辺と比較した比を取ることによって求められる。幾つかの実施形態では、第3辺1089が他の2つの辺の一方より小さいということがあり得るが、その様な実施形態は、ドライバー型式ゴルフクラブヘッドにとっては稀であろう。ベクトル比は、以下の式、即ち、
【0048】
【数4】
【0049】
を用いて見いだされ、ここに、VRはベクトル比であり、aは第1辺1087を特徴付ける第1距離1057であり、bは第2辺1088を特徴付ける第2距離1058であり、cは第3辺1089を特徴付ける第3距離1059である。全ての実施形態では、ベクトル比は最小でも1となるはずであり、というのも、数学的解が1より小さければ三角形が形成されていると示唆しないことになってしまうからである。現実施形態では、ベクトル比は、約(24.5+56.2)/76.3=1.0577である。
【0050】
様々な実施形態では、最大辺は第3辺でないこともある。その様な実施形態でも、低CG高MOIに対するベクトル比の関係を維持するために、第3距離1059がなお以上の方程式の要素cとして利用されるものとする。様々な実施形態では、ベクトル三角形は、等辺(全辺が等距離)のこともあれば二等辺(2辺が等距離)のこともある。等辺三角形の場合には、ベクトル比は2.0000となるであろう。
【0051】
様々な実施形態では、CG場所の実効性は、CGの観点から、またCGのCGに対する関係の観点から、特徴付けられていている。様々な実施形態では、CG場所の実効性は、Δの観点から、またCGに対する関係から、特徴付けられている。様々な実施形態では、CGをMOIと組み合わせて性能を特徴付けている。様々な実施形態では、CGとCGをMOIと組み合わせて性能を特徴付けている。ここに開示されている様々な関係性は現開示の更なる図を参照してより詳細に説明されているが、何らの特定の表現も開示の範囲へ制限を課すものと考えられてはならないことが当業者には理解されるであろう。
【0052】
様々な実施形態では、質量枠内部に配置されている質量の慣性モーメント寄与は、ここに説明されている様に或る程度定量化することができる。ゴルフクラブヘッドの質量枠内に配置されている質量の慣性モーメントへの寄与を特徴付けるために、MOI実効性総和(以後MOIeff)が、質量枠1030、1040の各枠内の質量及びCGと各幾何学的中心1033、1043の間の長さを利用して、以下の方程式、即ち、
【0053】
【数5】
【0054】
を用いて計算され、ここに、mは、(質量枠1030、1040の様な)特定の質量枠n内の質量であり、Lは、CGと質量枠nの間の距離(それぞれ距離1057、距離1058)である。現実施形態では、MOIeff=(55.2グラム)×(24.5mm)+(30.1グラム)×(56.2mm)?128,200g・mm=128.2kg・mmである。これは、質量枠内部の質量によって提供される慣性モーメントの厳密な数ではないが、実際に、質量枠の領域中の質量がゴルフクラブヘッド1000の様なゴルフクラブヘッドのMOIにどう影響するかの比較のための根拠を提供する。
【0055】
様々な実施形態では、MOI実効性総和比(RMOI)は、MOIeffのy−z平面内のゴルフクラブヘッド全体のMOI(Ixx)に対する比として有用であろう。現実施形態では、RMOI=MOIeff/Ixx=128.2kg・mm/283kg・mm?0.453である。
【0056】
見てとれる様に、ゴルフクラブヘッド1000及び現開示の他のゴルフクラブヘッドは、ロフトスリーブ1072を含む調節式ロフトスリーブを含んでいる。調節式ロフトの技術は、参考文献としてここにそっくりそのまま援用される「ゴルフクラブ」という名称で2008年12月30日に出願されている米国特許第7,887,431号に関連して、またその様な出願への優先権を主張する追加の出願の中に、更に詳細に記載されている。とはいえ、様々な実施形態では、調節式ロフトは、現開示の機能発揮にとって必須というわけではない。
【0057】
ここに説明されている機構に加え、図2A図2Dの実施形態は、更に、「高体積空気力学ゴルフクラブヘッド」という名称で2012年12月18日に出願されている整理番号第13/718,107号を冠する米国特許への出願としての出願に従って記載されている空気力学的形状を含んでいる。本発明の空気力学的態様を改善するにあたり、様々な要因が本開示の範囲を修正することなしに修正されてもよい。様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000の体積は430cc乃至500ccとすることができる。現実施形態では、ゴルフクラブのクラウン上には、反転、陥凹、又は凹形状要素は何もなく、而してクラウンはその本体に亘って凸状を保っているが、クラウンの曲率は様々な実施形態では可変であってもよい。
【0058】
図2Cを参照して分かる様に、有効フェース高さ163及びクラウン高さ162が示されている。有効フェース高さ163は、現実施形態では、56.5mmである。フェース高さ165が示されており、現実施形態では約59.1mmである。フェース高さ165は、有効フェース高さ163と有効フェース位置高さ164の組合せである。クラウン高さ162は、現実施形態では、約69.4mmである。見てとれる様に、クラウン高さ162のフェース高さ165に対する比は69.4/59.1即ち約1.17である。様々な実施形態では、当該比は変わることもあり、「高体積空気力学ゴルフクラブヘッド」という名称で2012年12月18日に出願されている整理番号第13/718,107号を冠する米国特許への出願によって報告され詳述されている。図2Cの図は、トゥ側面図から見た前方質量枠1030及び後方質量枠1040の投影を含んでいる。質量枠1030、1040のゴルフクラブ1000の外部にはみ出す部分は、図2Cの図からは除去されていることに留意されたい。
【0059】
特に図2Dを参照して分かる様に、質量要素1010がリーディングエッジ170に近接して且つy軸207に近接して見られる。現実施形態では、質量要素1010は、約30mmの直径1012を有する円形をしている。質量要素1010の中心点1014は、x軸208(図2Aを見られたし)に平行する方向に測定したy軸207からの距離1016に位置している。現実施形態の質量要素1010は、タングステン材料であり、約35グラムの重さがあるが、様々な実施形態では、様々なサイズ、材料、及び重量が見いだされるであろう。質量要素1010の中心点1014は、y軸207に平行に測定したリーディングエッジ170からの距離1018に位置している。現実施形態では、距離1016は3.2mmであり、距離1018は32.6mmである。
【0060】
現実施形態のソール機構1020は、x軸208に平行する方向に測定して約36.6mmの幅1022を有するものとして示されている。ソール機構1020は、y軸207に平行にソール機構1020の最もフェース寄りの点1026からトレイリングエッジ180に一致するトレイリングエッジ点1028までを測定して約74.5mmの長さ1024を有している。ソール機構1020は、長さ1024に沿って何らかの輪郭及び変化を有してはいるが、ソール機構1020はほぼ一定した幅1022を保っている。現実施形態では、トレイリングエッジ点1028は、x軸208に平行する方向に沿って測定してソール機構1020の中心に近接している。ソール機構1020の第1中心点1029が、最もフェース寄りの点1026に近接して位置しており、ソール機構1020のその最もフェース寄りの部分に当該ソール機構の略中心を識別している。現実施形態では、第1中心点1029は質量要素1010内に位置してはいるが、第1中心点1029はソール機構1020の機構である。ソール機構流れ方向1025が、第1中心点1029をトレイリングエッジ点1028とつなぐことによって示されている。ソール機構流れ方向1025は、ソール機構1020が、どの様にゴルフクラブヘッド1000のソール130に沿って連続するように延びているかを表している。現実施形態では、ソール機構流れ方向1025は、y軸207に対して約11°の角度1031に配列されている。現実施形態では、角度1031は、ゴルフスイング中のソール機構1020のゴルフクラブヘッド1000周りの空気流れとの相互作用による潜在的な空気流れ抗力を最小化するゴルフクラブヘッド1000のアプローチ角度の配列に係り選定されている。
【0061】
図2Dの図は、前方質量枠1030の境界1003と後方質量枠1040の境界1004をそれぞれ表示している。境界1003、1004は、GP(図2Bに関連して図示)から或る特定の高さでゴルフクラブヘッド1000を通って投影した質量枠1030、1040の相互作用を表示している。ゴルフクラブヘッド1000の様々な表面は、様々な湾曲―例えばスカート140に沿って―を含んでいるので、境界1003、1004は、図2Bの図以外の図では、湾曲に沿っている様に見える。而して、図2Dの図はゴルフクラブヘッド1000の質量枠1030、1040内に収まっている諸部分のマッピングを提供している。
【0062】
別の実施形態のゴルフクラブヘッド2000が図3A図3Dに関連付けて見られる。特に図3Aを参照して分かる様に、ゴルフクラブヘッド2000は、延長トレイリングエッジ部分2025を含んでいる。延長トレイリングエッジ部分2025は、トレイリングエッジ180を延ばし、トレイリングエッジ180のy軸207に近接する部分として画定されているトレイリングエッジの中央部分へ鋭形を生じさせている。ゴルフクラブヘッド2000は、クラウン120の最も高いクラウン点2029に近接する部分からトレイリングエッジ180までの移行部を提供する凹部分2027を含んでいる。現実施形態では、距離177は約125.1mmである。クラウン120は、凹部分2027の領域では形状が凹状である。様々な実施形態では、凹部分2027は、トレイリングエッジ180まで延びていることもあれば、トレイリングエッジ180の手前で直線部分又は凸部分へと移行していることもあろう。現実施形態では、ゴルフクラブヘッド2000は、約458ccの体積である。y軸207の方向に測定した原点205とリーディングエッジ170の間の距離2055が現図に見られる。ゴルフクラブヘッド2000について、当該距離は約3.5mmである。
【0063】
図3Bを参照して分かる様に、ゴルフクラブヘッド2000は、第1質量要素2010及び第2質量要素2020を含んでいる。現実施形態では、第1質量要素2010は約16グラムであり、第2質量要素2020は約41.5グラムであるが、様々な実施形態では様々な修正が見いだされるであろう。質量要素2020は、ゴルフクラブヘッド200のソール130からGP方向へ突き出しているソール130も含めた部分であるソール機構2021に収納されている。ゴルフクラブヘッド2000は、ゴルフクラブヘッド1000に関して使用されたのと同じ手順に従って画定されている同じ質量枠1030、1040を使用して特徴付けられる。現実施形態では、質量枠1030、1040は、寸法自体は同じままであるが、ゴルフクラブヘッド1000のそれらとは距離を違えて離隔されている。
【0064】
現実施形態では、前方質量枠1030は46.8グラムを包含し、後方質量枠1040は48.9グラムを包含しているが、異なる実施形態は様々な質量要素を含んでいよう。ゴルフクラブヘッド2000の追加の質量は、質量枠1030、1040の外部の114.2グラムである。
【0065】
ゴルフクラブヘッド2000の重心(CG)が、ゴルフクラブヘッド2000に注記されているのが分かる。クラブヘッド全体のCGは、示されているクラブヘッドの、クラブ本体へ取り付けられている若しくはそれ以外に接続或いは付着されている何れの重り又は付属物も含めた全構成要素を含んでいる。CGは、z軸206に平行に測定した地平面からの距離2051に位置している。距離2051は、様々な実施形態ではΔとも命名されており、現開示全体を通じてその様に称されていよう。CGは、z軸206に平行に測定した原点205からの距離2052(CG)に位置している。現実施形態では、CG場所は−7.6mmであり、つまりはCGが地平面に垂直に測定して中心フェースより下7.6mmに位置していることを意味する。CGは、y軸207に平行に測定した原点205からの距離2053(CG)に位置している。現実施形態では、距離2051は24.6mmであり、距離2052は−7.6mmであり、距離2053は41.9mmである。
【0066】
第1ベクトル距離2057が、y−z平面に測定した、前方質量枠1030の幾何学的中心点1033からCGまでの距離を画定している。現実施形態では、第1ベクトル距離2057は約31.6mmである。第2ベクトル距離2058が、y−z平面に測定した、CGから後方質量枠1040の幾何学的中心点1043までの距離を画定している。現実施形態では、第2ベクトル距離2058は約63.0mmである。第3ベクトル距離2059が、y−z平面に測定した、前方質量枠1030の幾何学的中心点1033から後方質量枠1040の幾何学的中心点1043までの距離を画定している。現実施形態では、第3ベクトル距離2059は約90.4mmである。
【0067】
見て取れる様に、CGと幾何学的中心点1033と幾何学的中心点1043の場所は、様々な機構の関係性を説明するベクトル三角形2050を形成している。ベクトル三角形2050は、参照用であり、ゴルフクラブヘッド2000の物理的機構として見られるわけではない。ベクトル三角形2050は、距離2057に対応する第1辺2087、距離2058に対応する第2辺2088、及び第3距離2059に対応する第3辺2089を含んでいる。面積A及びベクトル比VRの計算について、上述の計算では、距離2057がaに使用され、距離2058がbに使用され、距離2059がcに使用される。ベクトル三角形2050のAは590.75mmである。ベクトル三角形2050のVRは1.0465である。
【0068】
CG投影線2062が、CGのCG投影点2064でのTFPへの投影を示している。CG投影点2064は、原点205での中心フェース(CF)に対比させたCGの記述を可能にしている。現実施形態のCG投影点2064は、CF205からオフセットしている。現実施形態では、CG投影点2064のCF205からのオフセット距離は約0.2mmであり、CGが中心フェースより上約0.2mmに投影されることを意味する。
【0069】
現実施形態では、MOIeff=(46.8グラム)×(31.6mm)+(48.9グラム)×(63.0mm)?240,800g・mm=240.8kg・mmである。これは、質量枠内部の質量によって提供される慣性モーメントの厳密な数ではないが、実際に、質量枠の領域中の質量がゴルフクラブヘッド2000の様なゴルフクラブヘッドのMOIにどう影響するかの比較のための根拠を提供する。現実施形態では、RMOI=MOIeff/Ixx=240.8kg・mm/412kg・mm?0.585である。
【0070】
ゴルフクラブヘッド2000―図3Cを参照して分かる―は、現実施形態では約58.7mmのフェース高さ165を含んでいる。クラウン高さ162は現実施形態では約69.4mmである。クラウン高さ162のフェース高さ165に対する比は、69.4/58.7即ち約1.18である。
【0071】
特に図3Dを参照して分かる様に、第1質量要素2010がリーディングエッジ170に近接して且つy軸207に近接して見られる。現実施形態では、第1質量要素2010は、約30mmの直径2012を有する円形をしている。第1質量要素2010の中心点2014は、x軸208(図2Aを見られたし)に平行する方向に測定したy軸207からの距離2016に位置している。第1質量要素2010の中心点2014は、y軸207に平行に測定したリーディングエッジ170からの距離2018に位置している。現実施形態では、距離2016は10.6mmであり、距離2018は約25mmである。
【0072】
現実施形態の第2質量要素2020も切頭側辺を有する略円形をしている。第2質量要素2020は、第2質量要素2020の円形部分に中心点2024と約25mmの直径2023を有している。第2質量要素2020の中心点2024は、x軸208(図3Aを見られたし)に平行する方向に測定したy軸207からの距離2036に位置している。第2質量要素2020の中心点2024は、y軸207に平行に測定したリーディングエッジ170からの距離2019に位置している。現実施形態では、距離2036は約5mmであり、距離2019は104.7mmである。
【0073】
ソール機構2030は、第2質量要素2020を収納しており、ソール機構2030の最もフェース寄りの点2026からトレイリングエッジ180に一致するトレイリングエッジ点2028までをy軸207に平行に測定した長さ2024を有している。現実施形態では、長さ2024は約85.6mmである。
【0074】
ソール機構2030は、長さ2024に沿って何らかの変化を有してはいるが、ソール機構2030は約31.8mmのほぼ一定した幅2022を保っている。現実施形態では、トレイリングエッジ点2028は、x軸208に平行する方向に沿って測定してソール機構2030の中心に近接している。ソール機構2030の第1中心点2039が、最もフェース寄りの点2026に近接して位置しており、ソール機構2030のその最もフェース寄りの部分に当該ソール機構の略中心を識別している。現実施形態では、第1中心点2039は、ゴルフクラブヘッド2000とは対照的に質量要素2010の外部に位置している。ソール機構流れ方向2041が、第1中心点2039をトレイリングエッジ点2028とつなぐことによって示されている。ソール機構流れ方向2041は、ソール機構2030が、どの様にゴルフクラブヘッド1000のソール130に沿って連続するように延びているかを表している。現実施形態では、ソール機構流れ方向2041は、y軸207に対して約9°の角度2031に配列されている。現実施形態では、角度2031は、ゴルフスイング中のソール機構2030のゴルフクラブヘッド2000周りの空気流れとの相互作用による潜在的な空気流れ抗力を最小化するゴルフクラブヘッド2000のアプローチ角度の配列に係り選定されている。
【0075】
図3Dの図は、前方質量枠1030の境界1003と後方質量枠1040の境界1004をそれぞれ表示している。境界1003、1004は、GP(図3Bに関連して図示)から或る特定の高さでゴルフクラブヘッド2000を通って投影した質量枠1030、1040の相互作用を表示している。ゴルフクラブヘッド1000の様々な表面は、様々な湾曲―例えばスカート140に沿って―を含んでいるので、境界1003、1004は、図3Bの図以外の図では、湾曲に沿っている様に見える。而して、図3Dの図はゴルフクラブヘッド2000の質量枠1030、1040内に収まっている諸部分のマッピングを提供している。
【0076】
別の実施形態のゴルフクラブヘッド3000が図4A図4Dを参照して見られる。ゴルフクラブヘッド3000は質量要素3020を含んでいる。現実施形態のゴルフクラブヘッド3000の特性及び測定値は、本開示の他の箇所で概説されているUSGA手順に関して記載されているものとして示されている定位にて測定されていることを指摘しておく。様々な測定値は、ゴルフクラブヘッド3000について、異なった定位では異なっていることもあり、当業者には、USGA手順によるゴルフクラブヘッドの定位角度は、ゴルフクラブヘッド3000の特定の設計に基づく理想的な定位角度とは相違するものであることが理解されるはずである。従って、一部の特定の測定値は理想的な測定定位とは僅かにばらつくこともある。しかしながら、現開示の全てのゴルフクラブヘッドは、ここに説明されている標準手順に従って分析され測定されている。現実施形態では、定位のばらつきは、例えばCG場所の測定では、2mm未満と勘案している。而して、一部の特定の状況での測定値のばらつきは無視できるほどである。
【0077】
特に図4Aを参照して分かる様に、ゴルフクラブヘッド3000は、延長トレイリングエッジ部分3025を含んでいる。延長トレイリングエッジ部分3025は、トレイリングエッジ180を延ばし、トレイリングエッジ180のy軸207に近接する部分として画定されているトレイリングエッジ180の中央部分へ鋭形を生じさせている。ゴルフクラブヘッド3000は、現実施形態では(ゴルフクラブヘッド2000の場合の様に)凹部は一切含んでいないが、本開示は凸形状のゴルフクラブヘッドに限定されるものではないことが当業者には理解されるであろう。現実施形態では、距離177は約124.3mmである。様々な実施形態では、凹部分2027は、トレイリングエッジ180まで延びていることもあれば、トレイリングエッジ180の手前で直線部分又は凸部分へと移行していることもあろう。現実施形態では、ゴルフクラブヘッド4000は、約469ccの体積である。y軸207の方向に測定した原点205とリーディングエッジ170の間の距離3055が現図に見られる。ゴルフクラブヘッド3000について、当該距離は約3.4mmである。
【0078】
図4Bを参照して分かる様に、ゴルフクラブヘッド3000は、現実施形態では外在である質量要素3020を含んでいる。様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッド3000は、各種内在質量要素並びに追加の外在質量要素を含んでいてもよく、又は各種外在質量要素を所望に応じて内在質量要素と置き換えていてもよい。現実施形態では、質量要素3020は約58.0グラムであるが、様々な実施形態では様々な質量であってもよい。質量要素3020は、延長トレイリングエッジ部分3025に収納されている。ゴルフクラブヘッド3000は、ゴルフクラブヘッド1000に関して使用されたのと同じ手順に従って画定されている同じ質量枠1030、1040を使用して特徴付けられる。現実施形態では、質量枠1030、1040は、寸法自体は同じままであるが、ゴルフクラブヘッド1000、2000のそれらとは距離を違えて離隔されている。
【0079】
現実施形態では、前方質量枠1030は48.9グラムを包含し、後方質量枠1040は74.0グラムを包含しているが、異なる実施形態は様々な質量要素を含んでいよう。ゴルフクラブヘッド3000の追加の質量は、質量枠1030、1040の外部の87.9グラムである。
【0080】
ゴルフクラブヘッド3000の重心(CG)が、ゴルフクラブヘッド3000に注記されているのが分かる。クラブヘッド全体のCGは、示されているクラブヘッドの、クラブ本体へ取り付けられている若しくはそれ以外に接続或いは付着されている何れの重り又は付属物も含めた全構成要素を含んでいる。CGは、z軸206に平行に測定した地平面からの距離3051に位置している。距離3051は、様々な実施形態ではΔとも命名されており、現開示全体を通じてその様に称されていよう。CGは、z軸206に平行に測定した原点205からの距離3052(CG)に位置している。現実施形態では、CG場所は−3.3mmであり、つまりはCGが地平面に垂直に測定して中心フェースより下3.3mmに位置していることを意味する。CGは、y軸207に平行に測定した原点205からの距離3053(CG)に位置している。現実施形態では、距離3051は18.7mmであり、距離3052は−13.3(CG)mmであり、距離3053は52.8mmである。
【0081】
第1ベクトル距離3057が、y−z平面に測定した、前方質量枠1030の幾何学的中心点1033からCGまでの距離を画定している。現実施形態では、第1ベクトル距離3057は約39.7mmである。第2ベクトル距離3058が、y−z平面に測定した、CGから後方質量枠1040の幾何学的中心点1043までの距離を画定している。現実施形態では、第2ベクトル距離3058は約51.0mmである。第3ベクトル距離3059が、y−z平面に測定した、前方質量枠1030の幾何学的中心点1033から後方質量枠1040の幾何学的中心点1043までの距離を画定している。現実施形態では、第3ベクトル距離3059は約89.6mmである。
【0082】
見て取れる様に、CGと幾何学的中心点1033と幾何学的中心点1043の場所は、様々な機構の関係性を説明するベクトル三角形3050を形成している。ベクトル三角形3050は、参照用であり、ゴルフクラブヘッド3000の物理的機構として見られるわけではない。ベクトル三角形3050は、距離3057に対応する第1辺3087、距離3058に対応する第2辺3088、及び第3距離3059に対応する第3辺3089を含んでいる。面積A及びベクトル比VRの計算について、上述の計算では、距離3057がaに使用され、距離3058がbに使用され、距離3059がcに使用される。ベクトル三角形3050のAは312.94mmである。ベクトル三角形3050のVRは1.0123である。
【0083】
CG投影線3062が、CGのCG投影点3064でのTFPへの投影を示している。CG投影点3064は、原点205での中心フェース(CF)に対比させたCGの記述を可能にしている。現実施形態のCG投影点3064は、CF205からオフセットしている。現実施形態では、CG投影点3064のCF205からのオフセット距離は約−3.3mmであり、CGが中心フェースより下約3.3mmに投影されることを意味する。
【0084】
現実施形態では、MOIeff=(48.9グラム)×(39.7mm)+(74.0グラム)×(51.0mm)?269,500g・mm=269.5kg・mmである。これは、質量枠内部の質量によって提供される慣性モーメントの厳密な数ではないが、実際に、質量枠の領域中の質量がゴルフクラブヘッド3000の様なゴルフクラブヘッドのMOIにどう影響するかの比較のための根拠を提供する。現実施形態では、RMOI=MOIeff/Ixx=269.5kg・mm/507kg・mm?0.532である。
【0085】
ゴルフクラブヘッド3000―図4Cを参照して分かる―は、現実施形態では約56.6mmのフェース高さ165を含んでいる。クラウン高さ162は現実施形態では約68.3mmである。クラウン高さ162のフェース高さ165に対する比は、68.3/56.6即ち約1.21である。有効フェース高さ163は約53.3mmである。
【0086】
特に図4Dを参照して分かる様に、第1質量要素2010がリーディングエッジ170に近接して且つy軸207に近接して見られる。
【0087】
現実施形態の質量要素3020は、切頭側辺を有する略円形をしている。質量要素3020は、質量要素3020の円形部分に中心点3024と約25mmの直径3023を有している。現実施形態の中心点3024は、直径3023の中間点に位置しており、切頭側辺のせいで質量要素3020の幾何学的中心とは同じになっていない。様々な実施形態では、質量要素3020の幾何学的中心が中心点3024と一致していることもある。質量要素3020の中心点3024は、x軸208(図4Aを見られたし)に平行する方向に測定したy軸207からの距離3036に位置している。質量要素3020の中心点3024は、y軸207に平行に測定したリーディングエッジ170からの距離3019に位置している。現実施形態では、距離3036は2.3mmであり、距離3019は110.2mmである。現実施形態の質量要素3020は、部分的にトレイリングエッジ180と同一空間を占め、トレイリングエッジ180を形成している。
【0088】
図4Dの図は、前方質量枠1030の境界1003と後方質量枠1040の境界1004をそれぞれ表示している。境界1003、1004は、GP(図3Bに関連して図示)から或る特定の高さでゴルフクラブヘッド2000を通って投影した質量枠1030、1040の相互作用を表示している。現実施形態では、境界1003、1004は、ソール130が現実施形態では実質的に平坦であるために平坦な様に見える。而して、図4Dの図はゴルフクラブヘッド3000の質量枠1030、1040内に収まっている諸部分のマッピングを提供している。
【0089】
比較のために、図5はゴルフクラブヘッド4000を示している。ゴルフクラブヘッド4000は、製品型番テイラーメイドR1(TaylorMadeR1)ゴルフクラブヘッドである。本開示の様々なゴルフクラブヘッド1000、2000、3000の、質量枠1030、1040、慣性モーメント、並びにその他各種機構についての比較が、より従来式のゴルフクラブヘッド設計を代表するゴルフクラブヘッド4000に対してなされている。ゴルフクラブヘッド4000は、約427ccの体積である。
【0090】
ゴルフクラブヘッド4000は、現実施形態では、外在である質量要素4020を含んでいる。ゴルフクラブヘッド4000は、更に、ゴルフクラブヘッド4000のトゥ部分185に配置されている質量要素(図示せず)を含んでいる。質量要素4020は、1.3グラムであり、トゥ部分185の質量要素は、約10グラムである。
【0091】
ゴルフクラブヘッド4000は、ゴルフクラブヘッド1000に関して使用されたのと同じ手順に従って画定されている同じ質量枠1030、1040を使用して特徴付けられる。現実施形態では、質量枠1030、1040は、寸法自体は同じままであるが、ゴルフクラブヘッド1000、2000、3000のそれらとは距離を違えて離隔されている。
【0092】
現実施形態では、前方質量枠1030は36.5グラムを包含し、後方質量枠1040は13.2グラムを包含している。ゴルフクラブヘッド4000の追加の質量は、質量枠1030、1040の外部の157.7グラムである。
【0093】
ゴルフクラブヘッド4000の重心(CG)が、ゴルフクラブヘッド4000に注記されているのが分かる。クラブヘッド全体のCGは、示されているクラブヘッドの、クラブ本体へ取り付けられている若しくはそれ以外に接続或いは付着されている何れの重り又は付属物も含めた全構成要素を含んでいる。CGは、z軸206に平行に測定した地平面からの距離4051に位置している。距離4051は、様々な実施形態ではΔとも命名されており、現開示全体を通じてその様に称されていよう。CGは、z軸206に平行に測定した原点205からの距離4052(CG)に位置している。現実施形態では、CG場所は−1.9mmであり、つまりはCGが地平面に垂直に測定して中心フェースより下1.9mmに位置していることを意味する。CGは、y軸207に平行に測定した原点205からの距離4053(CG)に位置している。現実施形態では、距離4051は29.7mmであり、距離4052は−1.9mmであり、距離4053は31.6mmである。
【0094】
第1ベクトル距離4057が、y−z平面に測定した、前方質量枠1030の幾何学的中心点1033からCGまでの距離を画定している。現実施形態では、第1ベクトル距離4057は約26.1mmである。第2ベクトル距離4058が、y−z平面に測定した、CGから後方質量枠1040の幾何学的中心点1043までの距離を画定している。現実施形態では、第2ベクトル距離4058は約65.5mmである。第3ベクトル距離4059が、y−z平面に測定した、前方質量枠1030の幾何学的中心点1033から後方質量枠1040の幾何学的中心点1043までの距離を画定している。現実施形態では、第3ベクトル距離4059は約81.2mmである。ゴルフクラブヘッド4000の有効フェース高さ163(図示せず)は約54.0mmである。y軸207方向に測定した、リーディングエッジ170から中心フェース205までの距離は、3.0mmである。
【0095】
見て取れる様に、CGと幾何学的中心点1033と幾何学的中心点1043の場所は、様々な機構の関係性を説明するベクトル三角形4050を形成している。ベクトル三角形4050は、参照用であり、ゴルフクラブヘッド4000の物理的機構として見られるわけではない。ベクトル三角形4050は、距離4057に対応する第1辺4087、距離4058に対応する第2辺4088、及び第3距離4059に対応する第3辺4089を含んでいる。面積A及びベクトル比VRの計算について、上述の計算では、距離4057がaに使用され、距離4058がbに使用され、距離4059がcに使用される。ベクトル三角形4050のAは752.47mmである。ベクトル三角形4050のVRは1.1281である。
【0096】
CG投影線4062が、CGのCG投影点4064でのTFPへの投影を示している。CG投影点4064は、原点205での中心フェース(CF)に対比させたCGの記述を可能にしている。現実施形態のCG投影点4064は、CF205からオフセットしている。現実施形態では、CG投影点4064のCF205からのオフセット距離は約4.4mmであり、CGが中心フェースより上約4.4mmに投影されることを意味する。
【0097】
比較として、ゴルフクラブヘッド4000については、MOIeff=(36.5グラム)×(26.1mm)+(13.2グラム)×(65.5mm)?81,500g・mm=81.5kg・mmである。これは、質量枠内部の質量によって提供される慣性モーメントの厳密な数ではないが、実際に、質量枠の領域中の質量がゴルフクラブヘッド4000の様なゴルフクラブヘッドのMOIにどう影響するかの比較のための根拠を提供する。現実施形態では、RMOI=MOIeff/Ixx=81.5kg・mm/249kg・mm?0.327である。
【0098】
図6図7のグラフについては、CGは、y軸方向への座標系の原点からの重心の距離であり、特定のゴルフクラブヘッド1000、2000、3000、4000に関して本開示の他の箇所で指摘されている様に、ヘッドがアドレス位置にあるときの中心フェースからクラブの後部へ向かってx軸及びz軸に直交に地平面に平行に測定された距離である。図6図7に示されているデータ点は、ゴルフクラブヘッド1000に類似の実施形態(実施形態1と表記)、ゴルフクラブヘッド2000に類似の実施形態(実施形態2と表記)、ゴルフクラブヘッド3000に類似の実施形態(実施形態3と表記)、及び現開示の範囲の内にないゴルフクラブヘッドに関しての他データ点、を含んでいる。見てとれる様に、ゴルフクラブヘッド1000、2000、3000の特定の実施形態がプロットされ(特定のデータ点を表す点線の外枠と共に含まれ)ている。実施形態1、実施形態2、及び実施形態3の各種バージョンに係る差異は、質量の位置付けを改変することによって各実施形態内のCG位置を改変している。例えば、実施形態3に関し、点3−1はゴルフクラブヘッド3000の前部分に配置させた質量を含んでおり、点3−2はゴルフクラブヘッド3000に沿って様々な場所に配分させた質量を含んでおり、点3−3は主としてゴルフクラブヘッド3000の後方に配置させた質量を含んでいる。点2−1、点2−2、及び点2−3は、それぞれ、点3−1、点3−2、及び点3−3と同様に、実施形態2の変型を特徴付けている。
【0099】
点1−1、点1−2、及び点1−3は、実施形態1の変型を特徴付けている。具体的には、点1−1、点1−2、及び点1−3は、クラブヘッドの低前方部分に質量を有する実施形態1の3通りの変型を表しているのに対し、特定の実施形態1000はクラブヘッドの低後方部分に質量を有している。変型それぞれにつきクラブヘッド質量が相違するために各変型のCG値は相違するのに対し、各変型のMOI値はヘッドの形状が大凡同じであるために大凡同じである。
【0100】
見てとれる様に、現開示のデータ点は、他データ点には見つけられないCGとCGとMOIの組合せを有している。特に図7を参照して、境界線が、本開示のゴルフクラブヘッド1000、2000、3000(及びそれら各々の変型、点1−1変型を除く)を他データ点から区別しているのが分かる。境界線は、本開示のゴルフクラブヘッド1000、2000、3000が、総じて、CG/CG<0.000222×Ixx−0.272の比を含んでいることを指し示している。ゴルフクラブヘッド1000、2000、3000の個々の種類は異なった曲線をなぞっており、上に表示されている不等式は現開示の殆どの実施形態を網羅する比を指し示すことを意図したものである。
【0101】
図8によって描かれている様に、CG/CGは、CGがゴルフクラブヘッドのフェースへどれほど低く投影されるかの測度を提供する。CG/CGは様々な数があり得るが、図8の図表は、同じゴルフクラブヘッド幾何学形状(ゴルフクラブヘッド2000に類似の実施形態2のそれ)で1つの質量部を有する場合と複数の質量部を有する場合を表示している。現図の実施形態では、複数の質量部は、リーディングエッジ170に近接して配置されている1つとトレイリングエッジ180に近接して配置されている1つの2つの質量部を含んでいるが、様々な実施形態は、質量部の様々な配列を含んでいよう。単一質量部については、異なるMOIを実現するべく単一質量部をゴルフクラブヘッド全体を通じて極めて前方寄りから極めて後方寄りまで変化させた。分割質量部に関しては、2つの質量部をゴルフクラブヘッドの周辺に設置し、質量部の量を前方に全質量を配した場合から後方に全質量を配した場合まで変化させた。その様な実験に関しては、単一質量部でもCG/CG又はMOIの一方に沿って同様の特性を実現させる能力がありそうである。見てとれる様に、単一質量部の曲線と分割質量部の曲線は、それらの端で互いに接近している。これは、分割質量部の実施形態の間では質量のバランスが一端又は他端にいくほどより激しく不均衡になることでゴルフクラブヘッドの質量配分が単一質量のそれに近似するからである。
【0102】
しかしながら、複数質量部実施形態に関しては、より高いMOIがより低いCG/CGと一体に実現され得ることに注目することが重要である。別の言い方をすれば、単一質量部の試みは、同じCG/CG比を現出させることができるかもしれないが、単一質量部を有するゴルフクラブヘッドのMOIは、複数質量部を有するゴルフクラブヘッドのMOIより低くなりそうである。更にまた別な言い方をすれば、同じMOIについては、ゴルフクラブヘッドの複数質量部実施形態の方がより低いCG/CG比を実現することができそうである。事実上、結果は、比較的高いMOIを維持しながらにCG投影をゴルフクラブヘッドのより低い所に移すことができる、というものである。この差の実効性は、各ゴルフクラブヘッドの特定の幾何学形状及び利用されている質量部によって決まってくる。
【0103】
CGが判れば、ゴルフクラブヘッド空間に対してのCGの場所を記述するのにCG実効性積の使用が可能になる。CG実効性積は、CGをゴルフクラブヘッドの低く前方に配置させることの実効性の測度である。CG実効性積(CGeff)は、次式、即ち、
【0104】
【数6】
【0105】
を用いて計算され、現開示では、距離の二乗(mm)の単位で測定されている。
【0106】
この式では、CGeffが小さいほど、クラブヘッドの質量を低く前方に再配置した場合の実効性は高い。この測度は、ゴルフクラブヘッド内のCG場所を、CGをフェースへ投影すること無しに、適確に記述する。而して、異なったロフト、異なったフェース高さ、及び異なったCF場所、を有しているゴルフクラブヘッド同士の比較が可能になる。ゴルフクラブヘッド1000について、CGは33.3mmであり、Δは24.2mmである。而して、ゴルフクラブヘッド1000のCGeffは約806mmである。ゴルフクラブヘッド2000について、CGは41.9mmであり、Δは24.6mmである。而して、ゴルフクラブヘッド2000のCGeffは約1031mmである。ゴルフクラブヘッド3000について、CGは約52.8mmであり、Δは18.7mmである。而して、ゴルフクラブヘッド3000のCGeffは約987mmである。比較としてのゴルフクラブヘッド4000について、CGは31.6mmであり、Δは29.7mmである。而して、CGeffは約938.52mmである。
【0107】
以上に簡単に説明されている様に、ロフトの調節式ロフト技術は、参考文献としてここにそっくりそのまま援用される「ゴルフクラブ」という名称で2008年12月30日に出願されている米国特許第7,887,431号に関連してより詳細に記載されている。ロフトスリーブ1072の説明図が図9を参照して見られる。
【0108】
図9は、スリーブ3204内にスリーブ孔3245(図2Bに示す)を持つフェルール3202を有する脱着式シャフトシステムを描いている。シャフト(図示せず)はスリーブ孔の中へ挿入され、スリーブ3204へ機械的に固定又は結合されてゴルフクラブへと組み立てられる。スリーブ3204は、更に、スリーブ3204の遠位先端の回転防止部分3244と、例としてのクラブヘッド3500に画定されているソール開口部3212の中へ挿入されるねじ3210を係合させるねじの切られた孔3206と、を含んでおり、ここに説明されている技術は現開示のゴルフクラブヘッドの様々な実施形態に組み入れることができるものである。1つの実施形態では、ソール開口部3212は、ソールの非アンダーカット部分に直接隣接している。スリーブ3204の回転防止部分3244は、例としてのゴルフクラブヘッド3500のホーゼル3150内に結合又は溶接されている回転防止カラー3208と係合する。
【0109】
図9に示されている技術は、ロフト角、ライ角、又はフェース角を、互いに組み合わせても、又は互いから独立させても、調節できるようにした、調節式ロフト角、ライ角、又はフェース角システムを含んでいる。例えば、スリーブ3204の第1部分3243、スリーブ孔3242、及びシャフトは、一体で、組立体の長手方向軸3246を画定している。スリーブ3204は、シャフトを、長手方向軸3248からオフセット角3250だけオフセットした長手方向軸3246に沿って支持するのに実効性を発揮する。長手方向軸3248はホーゼル150の軸と整列させることを意図している。スリーブ3204は、0度から4度の間で増分0.25度とされる単一のオフセット角3250を提供することができる。例えば、オフセット角は、1.0度、1.25度、1.5度、1.75度、2.0度、又は2.25度、とすることができる。スリーブ3204は、ゴルフクラブヘッド3500のロフト角、ライ角、又はフェース角に様々な調節を施すべく回転させることができる。当業者には、現ゴルフクラブヘッド3500に関して説明されているシステムは、現開示のゴルフクラブヘッド(1000、2000、3000)の様々な実施形態と共に実施できることが理解されるであろう。
【0110】
様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッド1000、2000、3000は、「複合品及びそれを製作するための方法」という名称で2007年12月19日に出願されている米国特許第7,874,936号に関連して説明されている様に、所望に応じ、複合フェースプレート、チタンカバーを有する複合フェースプレート、又はチタンフェースを含んでいてもよい。様々な実施形態では、他の材料が、使用されていてもよく、本開示の一般的範囲内に含まれるものとされることが当業者には理解されるであろう。
【0111】
1つの例示としての複合フェースプレートが含まれており、図10を参照して説明されている。例示としてのゴルフクラブヘッド4500は、複合フェースプレートであるフェース110を含んでいる。複合フェースプレートは、打撃部分4710と、当該複合フェースプレートの一部分をゴルフクラブヘッド4500のクラウン120に含ませるのを可能にする部分的クラウン部分4720と、を含んでいる。その様な配列は、様々な実施形態では、ゴルフクラブヘッド4500の質量を10−15グラムだけ軽減化することができる。様々な実施形態では、複合フェースプレートは、ゴルフクラブヘッド4500のクラウン120に沿って諸部分を含んでいる必要はない。様々な実施形態では、フェース110は、様々な材料及び様々な配列であり、実施形態はどれ1つとして現開示の範囲へ制限を課すものと考えられてはならない。
【0112】
指摘しておくべきこととして、他にもあろうが中でもとりわけ、原文の「can」、「could」、「might」、又は「may」の対訳である「〜できる」、「〜できよう」、「〜し得る」、「〜てもよい」の様な条件語句は、他に特に指定のない限り、又は用いられている文脈内で別様に理解されない限り、概して、或る特定の実施形態が或る特定の機構、要素、及び/又は工程を含んでおり、一方、他の実施形態はそれら特定の機構、要素、及び/又は工程を含んでいない、ということを伝えることを意図している。而して、その様な条件語句は、概して、機構、要素、及び/又は工程が何らかのやり方で1つ又はそれ以上の特定の実施形態にとって必須であるということを示唆するものでもなければ、1つ又はそれ以上の特定の実施形態が、ユーザー入力又はユーザープロンプティング有り又は無しに、これらの機構、要素、及び/又は工程を何れかの特定の実施形態に含めるかどうか又は何れかの特定の実施形態で遂行させるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含んでいることを示唆するものでもない。
【0113】
以上に記載されている実施形態は実施形の考えられ得る例にすぎず、単に本開示の原理の明快な理解のために示されていることを強調しておきたい。流れ線図中の何れかのプロセス記述又はブロックは、プロセス中の特定の論理機能又は工程を実施するための1つ又はそれ以上の実行可能な命令を含んでいるコードのモジュール、セグメント、又は部分を表しているものと理解されるべきであり、本開示の技術分野の当業者であれば理解される様に、機能が、一切含まれていない又は実行されない代わりの実施形態、機能が、関与する機能性に依存して、実質的に同時又は逆順を含め、示されている又は論じられている順序から脱して実行される代わりの実施形も含まれる。以上に記載の(単数又は複数の)実施形態には、本開示の精神及び原理から実質的に逸脱することなく、多くの変型及び修正がなされる余地がある。また、本開示の範囲は、以上に論じられている全ての要素、機構、又は態様のありとあらゆる組合せ及び部分的組合せを網羅するものとする。全てのその様な修正及び変型は、ここに、本開示の範囲内として含まれるものとし、要素又は工程の個別の態様又は組合せに対する全ての考えられ得る請求は本開示によって支持されるものとする。以下は、本発明の出願時の各種形態である。
(形態1) ゴルフクラブヘッドであって、
クラウン、ソール、及び当該クラウンと当該ソールの間に配置されていてそれらを接続しているスカート、を含むクラブ本体と、
前記クラブ本体の前端へ接続されているフェース部分であって、当該フェース部分は、当該ゴルフクラブヘッドが理想的に位置付けられているときの座標系の原点を画定する幾何学的中心を含んでおり、前記座標系は、
前記原点で前記フェース部分に正接し且つ地平面に平行であるx軸と、
前記地平面に平行して且つ前記x軸に直交して前記原点に交わるy軸と、
前記x軸と前記y軸の両方に直交して前記原点に交わるz軸と、を含んでいる、フェース部分と、を備えており、
当該ゴルフクラブヘッドは、前記y軸に沿って測定した前記原点からの距離CGにあり且つ前記z軸に沿って測定した前記原点からの距離CGにある重心CGを画定している、ゴルフクラブヘッドにおいて、
前記ゴルフクラブヘッドは、最小でも1.12のクラウン高さ対フェース高さ比を有しており、
前記ゴルフクラブヘッドは、前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記重心を通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)を有しており、ここに、CG/CGの比は、不等式、
【数1】


を満たしている、ゴルフクラブヘッド。
(形態2) 前記距離CGは−7.0mm以下である、形態1に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態3) 前記クラウン部分は全ての場所で凸状をしている、形態1に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態4) 前記ゴルフクラブヘッドの前記本体部分へ接続されている少なくとも1つの質量要素を更に備えている、形態1に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態5) 前記CGは、理想アドレス位置で前記ゴルフクラブヘッドの前記ソールと接触にある平面と定義される地平面から距離Δに位置しており、ここに、Δは最大でも24.6mmである、形態1に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態6) CG実効性積(CGeff)が、
【数2】


として定義されており、ここに、CGeffは1031mm未満である、形態5に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態7) ゴルフクラブヘッドであって、
クラウン、ソール、及び当該クラウンと当該ソールの間に配置されていてそれらを接続しているスカート、を含むクラブ本体と、
前記クラブ本体の前端へ接続されているフェース部分であって、当該フェース部分は、当該ゴルフクラブヘッドが理想的に位置付けられているときの座標系の原点を画定する幾何学的中心を含んでおり、前記座標系は、 前記原点で前記フェース部分に正接し且つ地平面に平行であるx軸と、
前記地平面に平行して且つ前記x軸に直交して前記原点に交わるy軸と、
前記x軸と前記y軸の両方に直交して前記原点に交わるz軸と、を含んでいる、フェース部分と、
前記フェース部分に沿って配置されているリーディングエッジと、
前記クラブ本体に沿って配置されているトレイリングエッジであって、前記リーディングエッジとは当該ゴルフクラブヘッドの互いに反対の端に配置されているトレイリングエッジと、を備えており、
当該ゴルフクラブヘッドは、重心(CG)を画定しており、
当該ゴルフクラブヘッドは、前方質量枠及び後方質量枠によって特徴付けられており、
前記前方質量枠は、前記y軸に平行な約35mmの第1寸法及び前記z軸に平行な約20mmの第2寸法を有し、当該第1寸法及び当該第2寸法はそれにより当該前方質量枠の幾何学的中心を画定しており、
前記後方質量枠は、前記y軸に平行な約35mmの第1寸法及び前記z軸に平行な約30mmの第2寸法を有し、当該第1寸法及び当該第2寸法はそれにより当該後方質量枠の幾何学的中心を画定しており、
前記前方質量枠の最前方端は前記リーディングエッジに正接し、前記後方質量枠の最後方端は前記トレイリングエッジに正接しており、
当該ゴルフクラブヘッドは、前記y軸と前記z軸によって画定されるy−z平面における前記前方質量枠の前記幾何学的中心と前記CGの間のベクトルである第1辺と、前記y−z平面における前記後方質量枠の前記幾何学的中心と前記CGの間のベクトルである第2辺と、前記y−z平面における前記前方質量枠の前記幾何学的中心と前記後方質量枠の前記幾何学的中心の間のベクトルである第3辺と、を含むベクトル三角形を画定している、ゴルフクラブヘッドにおいて、
前記後方質量枠が13.2グラムより大きい質量を画定している、ゴルフクラブヘッド。
(形態8) MOI(慣性モーメント)実効性総和(MOIeff)が、方程式、
【数3】


によって定義されており、
ここに、mは、前記前方質量枠内に画定されている質量であり、
ここに、Lは、前記ベクトル三角形の前記第1辺の長さであり、
ここに、mは、前記後方質量枠内に画定されている質量であり、
ここに、Lは、前記ベクトル三角形の前記第2辺の長さであり、
ここに、MOIeffは、81.5kg・mmより大きい、形態7に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態9) MOIeffは、最小でも128.2kg・mmである、形態8に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態10) MOIeffは、最小でも240.8kg・mmである、形態8に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態11) MOI実効性総和比(RMOI)が、MOIeffの、前記ゴルフクラブヘッドの前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記重心を通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)に対する比として定義されており、ここに、RMOIは0.327より大きい、形態8に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態12) RMOIは、最小でも0.453である、形態11に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態13) 前記ゴルフクラブヘッドは、前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記CGを通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)を有しており、ここに、CG/CGの比は、不等式、
【数4】


を満たしている、形態7に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態14) ゴルフクラブヘッドであって、
クラウン、ソール、及び当該クラウンと当該ソールの間に配置されていてそれらを接続しているスカート、を含むクラブ本体と、
前記クラブ本体の前端へ接続されているフェース部分であって、当該フェース部分は、当該ゴルフクラブヘッドが理想的に位置付けられているときの座標系の原点を画定する幾何学的中心を含んでおり、前記座標系は、
前記原点で前記フェース部分に正接し且つ地平面に平行であるx軸と、
前記地平面に平行して且つ前記x軸に直交して前記原点に交わるy軸と、
前記x軸と前記y軸の両方に直交して前記原点に交わるz軸と、を含んでいる、フェース部分と、
前記フェース部分に沿って配置されているリーディングエッジと、
前記クラブ本体に沿って配置されているトレイリングエッジであって、前記リーディングエッジとは当該ゴルフクラブヘッドの互いに反対の端に配置されているトレイリングエッジと、を備えており、
当該ゴルフクラブヘッドは、重心(CG)を画定しており、
当該ゴルフクラブヘッドは、前方質量枠及び後方質量枠によって特徴付けられており、
前記前方質量枠は、前記y軸に平行な約35mmの第1寸法及び前記z軸に平行な約20mmの第2寸法を有し、当該第1寸法及び当該第2寸法はそれにより当該前方質量枠の幾何学的中心を画定しており、
前記後方質量枠は、前記y軸に平行な約35mmの第1寸法及び前記z軸に平行な約30mmの第2寸法を有し、当該第1寸法及び当該第2寸法はそれにより当該後方質量枠の幾何学的中心を画定しており、
前記前方質量枠の最前方端は前記リーディングエッジに正接し、前記後方質量枠の最後方端は前記トレイリングエッジに正接しており、
当該ゴルフクラブヘッドは、前記y軸と前記z軸によって画定されるy−z平面における前記前方質量枠の前記幾何学的中心と前記CGの間のベクトルである第1辺と、前記y−z平面における前記後方質量枠の前記幾何学的中心と前記CGの間のベクトルである第2辺と、前記y−z平面における前記前方質量枠の前記幾何学的中心と前記後方質量枠の前記幾何学的中心の間のベクトルである第3辺と、を含むベクトル三角形を画定している、ゴルフクラブヘッドにおいて、
ベクトル比が、前記第1辺と前記第2辺の長さの和の前記第3辺の長さに対する比として定義されており、
ここに、前記ベクトル比は1.1281未満である、ゴルフクラブヘッド。
(形態15) 前記ベクトル三角形は、約591mm以下の面積を有している、形態14に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態16) 前記ベクトル三角形は、456mm以下の面積を有している、形態15に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態17) 前記ベクトル比は、最大でも1.0577である、形態14に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態18) MOI(慣性モーメント)実効性総和(MOIeff)が、方程式、
【数5】


によって定義されており、
ここに、mは、前記前方質量枠内に画定されている質量であり、
ここに、Lは、前記ベクトル三角形の前記第1辺の長さであり、
ここに、mは、前記後方質量枠内に画定されている質量であり、
ここに、Lは、前記ベクトル三角形の前記第2辺の長さであり、
ここに、MOIeffは、81.5kg・mmより大きい、形態14に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態19) MOI実効性総和比(RMOI)が、MOIeffの、前記ゴルフクラブヘッドの前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記重心(CG)を通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)に対する比として定義されており、ここに、RMOIは0.327より大きい、形態18に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態20) 前記ゴルフクラブヘッドの前記CGは、前記y軸に沿って測定した前記中心フェースからの距離CGに位置し且つ前記z軸に沿って測定した前記中心フェースからの距離CGに位置しており、前記ゴルフクラブヘッドは、前記x軸に平行であり且つ当該ゴルフクラブヘッドの前記重心(CG)を通るCGx軸周りの慣性モーメント(Ixx)を有しており、ここに、CG/CGの比は、不等式、
【数6】


を満たしている、形態18に記載のゴルフクラブヘッド。
(形態21) 前記クラウン部分は全ての場所で凸状をしている、形態20に記載のゴルフクラブヘッド。
【符号の説明】
【0114】
100 ゴルフクラブヘッド
110 フェース
120 クラウン
130 ソール
140 スカート
150 ホーゼル
162 クラウン高さ
163 有効フェース高さ
164 有効フェース位置高さ
165 フェース高さ
170 リーディングエッジ
177 ゴルフクラブヘッドの長さ
180 トレイリングエッジ
185 トゥ
190 ヒール
198 GPに対する角度、ライ角(LA)
200 3次元基準座標系
205 原点
206 z軸
207 y軸
208 x軸
209 シャフト平面z軸
212 z軸地平面交点
213 正接フェース平面のz軸に対する角度、ロフト角
235 正接フェース平面(TFP)
245 シャフト孔
806 CGz軸
807 CGy軸
808 CGx軸
1000 ゴルフクラブヘッド
1002 フェースインサート
1003 前方質量枠の境界
1004 後方質量枠の境界
1004 フェースインサートの接面部分(図2A
1010 質量要素
1012 質量要素の円の直径
1014 円の中心点
1016 中心点のx軸に平行する方向に測定したy軸からの距離
1018 中心点のy軸に平行に測定したリーディングエッジからの距離
1020 ソール機構
1022 ソール機構の幅
1024 ソール機構の長さ
1025 ソール機構流れ方向
1026 ソール機構の最もフェース寄りの点
1028 ソール機構のトレイリングエッジ点
1029 ソール機構の第1中心点
1030 前方質量枠
1031 ソール機構流れ方向のy軸に対する配置角度
1032 前方質量枠の第1寸法
1033 前方質量枠の幾何学的中心点
1034 前方質量枠の第2寸法
1036 前方質量枠の第1側辺
1037 前方質量枠の第2側辺
1038 前方質量枠の第3側辺
1039 前方質量枠の第4側辺
1040 後方質量枠
1042 後方質量枠の第1寸法
1043 後方質量枠の幾何学的中心点
1044 後方質量枠の第2寸法
1046 後方質量枠の第1側辺
1047 後方質量枠の第2側辺
1048 後方質量枠の第3側辺
1049 後方質量枠の第4側辺
1050 ベクトル三角形
1051 CGのz軸に平行に測定した地平面からの距離
1052 CGのz軸に平行に測定した原点からの距離
1053 CGのy軸に平行に測定した原点からの距離
1055 y軸方向に測定した原点とリーディングエッジの間の距離
1057 第1ベクトル距離
1058 第2ベクトル距離
1059 第3ベクトル距離
1062 CG投影線
1064 CG投影点
1072 ロフトスリーブ
1087 ベクトル三角形の第1辺
1088 ベクトル三角形の第2辺
1089 ベクトル三角形の第3辺
2000 ゴルフクラブヘッド
2010 第1質量要素
2012 第1質量要素の直径
2014 第1質量要素の中心点
2016 第1質量要素の中心点のx軸に平行する方向に測定したy軸からの距離
2018 第1質量要素の中心点のy軸に平行に測定したリーディングエッジからの距離
2019 第2質量要素の中心点のy軸に平行に測定したリーディングエッジからの距離
2020 第2質量要素
2022 ソール機構の幅
2023 第2質量要素の直径
2024 第2質量要素の中心点
2024 ソール機構の長さ
2025 延長トレイリングエッジ部分
2026 ソール機構の最もフェース寄りの点
2027 クラウンの凹部分
2028 ソール機構のトレイリングエッジ点
2029 クラウンの最も高いクラウン点
2030 ソール機構
2031 ソール機構流れ方向のy軸に対する角度
2036 第2質量要素の中心点のx軸に平行する方向に測定したy軸からの距離
2039 ソール機構の第1中心点
2041 ソール機構流れ方向
2050 ベクトル三角形
2051 CGのz軸に平行に測定した地平面からの距離
2052 CGのz軸に平行に測定した原点からの距離
2053 CGのy軸に平行に測定した原点からの距離
2055 y軸の方向に測定した原点とリーディングエッジの間の距離
2057 第1ベクトル距離
2058 第2ベクトル距離
2059 第3ベクトル距離
2062 CG投影線
2064 CG投影点
2087 ベクトル三角形の第1辺
2088 ベクトル三角形の第2辺
2089 ベクトル三角形の第3辺
3000 ゴルフクラブヘッド
3019 質量要素の中心点のy軸に平行に測定したリーディングエッジからの距離
3020 質量要素
3023 質量要素の直径
3024 質量要素の中心点
3025 延長トレイリングエッジ部分
3036 質量要素の中心点のx軸に平行する方向に測定したy軸からの距離
3050 ベクトル三角形
3051 CGのz軸に平行に測定した地平面からの距離
3052 CGのz軸に平行に測定した原点からの距離
3053 CGのy軸に平行に測定した原点からの距離
3055 y軸の方向に測定した原点とリーディングエッジの間の距離
3057 第1ベクトル距離
3058 第2ベクトル距離
3059 第3ベクトル距離
3062 CG投影線
3064 CG投影点
3087 ベクトル三角形の第1辺
3088 ベクトル三角形の第2辺
3089 ベクトル三角形の第3辺
3150 ホーゼル
3202 フェルール
3204 スリーブ
3206 ねじの切られた孔
3208 回転防止カラー
3210 ねじ
3212 ソール開口部
3242 スリーブ孔
3243 スリーブの第1部分
3244 回転防止部分
3245 スリーブ孔
3246 組立体の長手方向軸
3248 長手方向軸
3250 オフセット角度
3500 クラブヘッド
4000 ゴルフクラブヘッド
4020 質量要素
4050 ベクトル三角形
4051 CGのz軸に平行に測定した地平面からの距離
4052 CGのz軸に平行に測定した原点からの距離
4053 CGのy軸に平行に測定した原点からの距離
4057 第1ベクトル距離
4058 第2ベクトル距離
4059 第3ベクトル距離
4062 CG投影線
4064 CG投影点
4087 ベクトル三角形の第1辺
4088 ベクトル三角形の第2辺
4089 ベクトル三角形の第3辺
4500 ゴルフクラブヘッド
4710 打撃部分
4720 部分的クラウン部分
CF フェースの幾何学的中心
GP 地平面
SA シャフト軸
GPIP SAとGPの地平面交点
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10