(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)が、(メタ)アクリロイル基を1個有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物を含有してなることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の粘着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
【0016】
本発明で用いられるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)、多価イソシアネート系化合物(a2)及びポリオール系化合物(a3)を反応させてなるものである。
【0017】
上記水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
これらの中でも、エチレン性不飽和基を1〜3個有する水酸基(メタ)アクリレート系化合物が硬化物の柔軟性を担保できる点と硬化性に優れる点から好ましく、エチレン性不飽和基を1個有する化合物として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和基を2個有する化合物として、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エチレン性不飽和基を3個有する化合物として、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが反応性および汎用性に優れる点で好ましい。
また、これら水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物は1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0019】
本発明においては特に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)として、(メタ)アクリロイル基を1個有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物と、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物とを併用して含有させることが硬化性及びリワーク性の点で好ましい。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとの組み合わせ、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとの組み合わせ、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとの組み合わせ、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートとの組み合わせなどが好適である。
【0020】
上記多価イソシアネート系化合物(a2)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
これらの中でも、ウレタン化反応時の安定性の点から、ジイソシアネート系化合物が好ましく、特に、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ジイソシアネートが好ましく用いられ、更に好ましくは硬化収縮が小さい点でイソホロンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネートが用いられ、殊に好ましくは反応性および汎用性に優れる点で水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが用いられる。
また、多価イソシアネート系化合物は1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
【0022】
上記ポリオール系化合物(a3)としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等が挙げられる。
【0023】
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のアルキレン構造含有ポリエーテル系ポリオールや、これらポリアルキレングリコールのランダム或いはブロック共重合体が挙げられる。
【0024】
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物、環状エステル(ラクトン)の開環重合物、多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物などが挙げられる。
【0025】
前記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレンジオール、1,3−テトラメチレンジオール、2−メチル−1,3−トリメチレンジオール、1,5−ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレンジオール、3−メチル−1,5−ペンタメチレンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
【0026】
前記多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0027】
前記環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
【0028】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物、環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。
【0029】
上記多価アルコールとしては、前記ポリエステル系ポリオールの説明中で例示の多価アルコール等が挙げられ、上記アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
【0030】
なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。
【0031】
ポリオレフィン系ポリオールとしては、飽和炭化水素骨格としてエチレン、プロピレン、ブテン等のホモポリマーまたはコポリマーを有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
【0032】
ポリブタジエン系ポリオールとしては、炭化水素骨格としてブタジエンの共重合体を有し、その分子末端に水酸基を有するものが挙げられる。
ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエンポリオールであってもよい。
【0033】
(メタ)アクリル系ポリオールとしては、(メタ)アクリル酸エステルを重合体又は共重合体の分子内にヒドロキシル基を少なくとも2つ有しているものが挙げられ、かかる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
【0034】
ポリシロキサン系ポリオールとしては、例えば、ジメチルポリシロキサンポリオールやメチルフェニルポリシロキサンポリオール等が挙げられる。
【0035】
これらの中でも
、粘着剤として使用した際の濡れ広がり性、リワーク性等に優れる点で、ポリエーテル系ポリオール
であることが必要である。
【0036】
本発明においては、ポリオール系化合物(a3)の数平均分子量が1,000〜30,000であることが好ましく、特には1,500〜20,000、更には2,000〜15,000であることが好ましい。かかる数平均分子量が小さすぎると濡れ広がり性が低下する傾向があり、大きすぎると多価イソシアネート系化合物との反応性が低下する傾向にある。
【0037】
なお、上記の数平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による数平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10
7、分離範囲:100〜2×10
7、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
【0038】
本発明において、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、次のようにして製造することができる。
例えば、(1)上記の水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)、多価イソシアネート系化合物(a2)、ポリオール系化合物(a3)を、反応器に一括又は別々に仕込み反応させる方法、(2)ポリオール系化合物(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)とを予め反応させて得られる反応生成物に、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)を反応させる方法などが挙げられるが、反応の安定性や副生成物の低減等の点から(2)の方法が好ましい。
【0039】
ポリオール系化合物(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)との反応には、公知の反応手段を用いることができる。その際、例えば、多価イソシアネート系化合物(a2)中のイソシアネート基:ポリオール系化合物(a3)中の水酸基とのモル比を通常2n:(2n−2)(nは2以上の整数)程度にすることにより、イソシアネート基を残存させた末端イソシアネート基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物を得ることができ、該化合物を得た後、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との付加反応を可能にする。
【0040】
上記ポリオール系化合物(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)とを予め反応させて得られる反応生成物と、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との付加反応にも、公知の反応手段を用いることができる。
【0041】
反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との反応モル比は、例えば、多価イソシアネート系化合物(a2)のイソシアネート基が2個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)が1:2程度であり、多価イソシアネート系化合物(a2)のイソシアネート基が3個で、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)の水酸基が1個である場合は、反応生成物:水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)が1:3程度である。
【0042】
この反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との付加反応においては、反応系の残存イソシアネート基含有率が0.5重量%以下になる時点で反応を終了させることにより、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)が得られる。
【0043】
かかるポリオール系化合物(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との反応においては、反応を促進する目的で触媒を用いることも好ましく、かかる触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、トリメチル錫ヒドロキシド、テトラ−n−ブチル錫等の有機金属化合物、オクテン酸亜鉛、オクテン酸錫、ナフテン酸コバルト、塩化第1錫、塩化第2錫等の金属塩、トリエチルアミン、ベンジルジエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N−エチルモルホリン等のアミン系触媒、硝酸ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、硫化ビスマス等の他、ジブチルビスマスジラウレート、ジオクチルビスマスジラウレート等の有機ビスマス化合物や、2−エチルヘキサン酸ビスマス塩、ナフテン酸ビスマス塩、イソデカン酸ビスマス塩、ネオデカン酸ビスマス塩、ラウリル酸ビスマス塩、マレイン酸ビスマス塩、ステアリン酸ビスマス塩、オレイン酸ビスマス塩、リノール酸ビスマス塩、酢酸ビスマス塩、ビスマスリビスネオデカノエート、ジサリチル酸ビスマス塩、ジ没食子酸ビスマス塩等の有機酸ビスマス塩等のビスマス系触媒、無機ジルコニウム、有機ジルコニウム、ジルコニウム単体等のジルコニウム系触媒、2−エチルヘキサン酸亜鉛/ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等の2種類以上の触媒を併用したものが挙げられ、中でも、ジブチル錫ジラウレート、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセンが好適である。
【0044】
また、ポリオール系化合物(a3)と多価イソシアネート系化合物(a2)との反応、更にその反応生成物と水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(a1)との反応においては、イソシアネート基に対して反応する官能基を有しない有機溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類等の有機溶剤を用いることができる。
【0045】
また、反応温度は、通常30〜90℃、好ましくは40〜80℃であり、反応時間は、通常2〜10時間、好ましくは3〜8時間である。
【0046】
かくして上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)が得られるが、かかるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、上記式(1)で求められるエチレン性不飽和基量(α)が
0.3×10
-4〜5×10
-4(個)であることが必要であり、好ましくは
0.3×10
-4〜4×10
-4(個)であり、特に好ましくは0.3×10
-4〜3.5×10
-4(個)である。かかるエチレン性不飽和基量(α)が低すぎるとリワーク性が低下したり硬化性が低下することとなり、高すぎると濡れ広がり性が低下することとなる。
【0047】
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の平均エチレン性不飽和基数(β)は、1.5〜10(個)であることが好ましく、特には2〜8(個)、更には3〜6(個)であることが好ましい。かかる平均エチレン性不飽和基数(β)が少なすぎると被着体を汚染する傾向にあり、多すぎると濡れ広がり性が低下する傾向にある。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の平均エチレン性不飽和基数(β)は、下記式から算出される。
即ち、用いる各水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物についてa、b、c、・・・と付記する場合において、
平均エチレン性不飽和基数(個)=〔(Fa×Ma)+(Fb×Mb)・・・〕×2Ma、Mb、Mc、・・・は、ウレタンに付加する各水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物のモル数/ウレタンに付加する全水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物のモル数である。
Fa、Fb、Fc、・・・は、各水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物のエチレン性不飽和基数(個)である。
なお、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物が、不純分として複数のエチレン性不飽和基を有する水酸基含有化合物を含有している場合には、主たる成分(水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物)のエチレン性不飽和基数をその化合物の不飽和基数とする。
【0048】
更に、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の重量平均分子量(γ)は、5,000〜500,000であることが好ましく、特には8,000〜200,000、更には10,000〜100,000であることが好ましい。かかる重量平均分子量(γ)が小さすぎると濡れ広がり性低下する傾向にあり、大きすぎると粘度が高くなり取り扱いが困難になる傾向がある。
【0049】
なお、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製、「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10
7、分離範囲:100〜2×10
7、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
【0050】
また、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の粘度については、60℃における粘度で、5,000〜1,000,000mPa・sであることが好ましく、特には7,500〜500,000mPa・s、更には10,000〜250,000であることが好ましい。かかる粘度が高すぎると大量の希釈剤を使用しなければならず、作業性が低下する傾向があり、低すぎても塗工性が低下する傾向がある。
なお、粘度の測定法はE型粘度計による。
【0051】
本発明の粘着剤組成物は、上記のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を含有してなるものであるが、更に、活性エネルギー線による硬化を効率的に行なうために光重合開始剤(B)を含有することが好ましい。
【0052】
光重合開始剤(B)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類、等があげられる。なお、これら光重合開始剤(B)は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0053】
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
【0054】
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
【0055】
光重合開始剤(B)の含有量としては、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して、0.1〜40重量部であることが好ましく、特に好ましくは1〜20重量部、殊に好ましくは2〜20重量部である。光重合開始剤(B)の含有量が少なすぎると硬化不良となる傾向があり、多すぎると粘着剤組成物から析出するなど溶液安定性が低下する傾向があったり、脆化や着色の問題が起こりやすい傾向がある。
【0056】
かくして本発明のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、好ましくは更に光重合開始剤(B)を含有する粘着剤組成物が得られるが、必要に応じて更に、エチレン性不飽和モノマー、表面調整剤、重合禁止剤等を配合することができる。
【0057】
上記エチレン性不飽和モノマーとしては、1分子中に1個以上のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和モノマー(ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を除く)であればよく、例えば、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマーが挙げられる。これらエチレン性不飽和モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0058】
本発明において、粘着剤組成物中のウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の含有割合は
80重量%以上であ
り、好ましくは90重量%以上であり、かかる含有割合が少なすぎると濡れ広がり性が低下する傾向がある。
【0059】
重合禁止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノ−t−ブチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール等を挙げることができる。
【0060】
また、本発明の粘着剤組成物には、表面調整剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、安定剤、補強剤、研削剤、無機微粒子、高分子化合物(アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、等)等を配合することも可能である。
【0061】
上記帯電防止剤としては、アルカリ金属塩系の帯電防止剤、オニウム塩系の帯電防止剤がウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)との相溶性の点で好ましく、特に好ましくはカチオンとしてリチウム塩、アンモニウム塩、およびアニオンとしてフルオロアルキルイミド塩を組み合わせた帯電防止剤が帯電防止性能とウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)との相溶性に特に優れる点で好ましい。
【0062】
また、本発明の粘着剤組成物は、有機溶剤を配合し、粘度を調整して使用することが好ましい。かかる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、トルエン、キシレン等の芳香族類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これら上記の有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
上記の中でもウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)との相溶性の点、乾燥しやすさの点から酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、イソプロピルアルコールが特に好ましい。
【0064】
有機溶剤の配合量については、粘着剤組成物として、通常10〜90重量%、特には20〜85重量%、更には30〜80重量%となるように調整すればよく、低すぎると粘度が低くなり塗工適性が低下する傾向にあり、高すぎると粘度が高くなり作業性が低下する傾向にある。
【0065】
本発明の粘着剤組成物は、通常基材シート等に塗布されて粘着シート(粘着シートとは、特に断りの無い場合には粘着フィルム、粘着テープも含む意味である。)等として実用に供されることが多く、基材シートに塗布後、活性エネルギー線照射によって架橋され粘着剤となり、粘着性が発現させられる。
【0066】
基材シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリピロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)等の樹脂シートや、ガラス板が挙げられる。各種基材シートにはアンカー層やコロナ処理、プラズマ処理などの表面処理をしたものを用いてもよい。
【0067】
基材シートへ塗布するに際して、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、ロール、スピン、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
また、膜厚としては、乾燥後の膜厚が通常1〜300μmとなるような範囲で塗工すればよく、具体的な塗工膜厚としては、好ましくは1〜1,000μm、特に好ましくは10〜300μm、更に好ましくは20〜200μmで塗工すればよい。かかる膜厚が薄すぎると膜厚の制御が困難となる傾向があり、厚すぎると乾燥時間が長くなる傾向にある。
【0068】
溶剤が含有している場合には塗布後乾燥させることとなるが、乾燥条件は、溶剤を揮発させるに足る十分な乾燥温度、乾燥時間を設定すればよく、乾燥温度としては、通常40〜100℃であり、特には50〜90℃であることが好ましい。乾燥時間としては、乾燥時に塗膜中の溶剤を完全に揮発させることが可能な時間、および、生産適正を鑑み、1〜60分であることが好ましい。
【0069】
本発明の粘着剤組成物を基材シートに塗布、乾燥した後は、活性エネルギー線を照射することにより架橋され粘着剤、更には粘着シートとなる。
【0070】
また、本発明の粘着シートを被着体(部材)に貼り合わせるまで、その粘着剤を汚染から保護する目的で、粘着剤の表面にセパレータを積層することができる。セパレータとしては、上記で例示した樹脂シートや、紙、布、不織布等の基材を離型処理したものを使用することができる。
【0071】
上記基材シート上に粘着剤組成物を設けるに当たっては、通常、粘着剤組成物の溶液として、特には溶剤により塗布に適した粘度に調整した後、基材シートに塗布し、乾燥することが行われる。塗布する方法としては、溶液状の粘着剤組成物を基材シートに直接塗工する直接塗工法や、溶液状の粘着剤組成物をセパレータに塗工したのち基材シートと貼り合わせる転写塗工法などが挙げられる。
【0072】
直接塗工法においては、基材シートに粘着剤組成物を塗工し加熱乾燥した後、活性エネルギー線を照射し、その後、セパレータを貼り合わせる方法や、基材シートに粘着剤組成物を塗工し加熱乾燥した後、セパレータを貼り合わせ、その後、活性エネルギー線を照射する方法などが挙げられる。塗工は、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷、ディスペンサーによる印刷塗工等の方法により行われる。
【0073】
一方、転写塗工法においては、セパレータに粘着剤組成物を塗工し加熱乾燥した後、活性エネルギー線を照射し、その後、基材シートを貼り合わせる方法や、セパレータに粘着剤組成物を塗工し加熱乾燥した後、基材シートを貼り合わせ、その後、活性エネルギー線を照射する方法などが挙げられる。塗工方法については、直接塗工と同様の方法が使用できる。
【0074】
上記の活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。なお、電子線照射を行う場合は、光重合開始剤(B)を用いなくても硬化し得る。
【0075】
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、30〜3000mJ/cm
2程度照射すればよい。
紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
【0076】
本発明における粘着剤層の厚みとしては、通常1〜300μmであり、好ましくは5〜150μm、特に好ましくは5〜75μm、更に好ましくは5〜40μmである。かかる厚みが薄すぎると塗工時の異物やロールの凹凸などが塗膜に影響しやすい傾向にあり、厚すぎると硬化収縮によりシートが反りやすい傾向があり、また表面保護用シートとして使用した場合、粘着シートの端面に埃などの異物が付着し外観を損う傾向にある。
【0077】
本発明の粘着剤組成物は、再剥離性を有しているので、金属板、ガラス板、プラスチック板、樹脂塗装面等の表面の保護シートあるいは一時的な固定用シートとしての粘着シート、即ち、表面保護用粘着シートとして広く使用することができる。
【0078】
なお、本発明の粘着シートは、表面保護用粘着シートとしてだけでなく、電子部品固定用シート(テープ)、電子部品ラベル用シート(テープ)として用いることも可能である。
【実施例】
【0079】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
【0080】
(実施例1)
<ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造)>
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート16.1g(0.072モル)、2官能ポリエーテルポリオール(保土谷化学工業(株)製「PTG−2000SN」、水酸基価59.2mgKOH/g、数平均分子量2,000)68.6g(0.036モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.001gを仕込み、60℃で3時間反応させた後、更に2−ヒドロキシエチルアクリレート6.5g(0.056モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価116.1mgKOH/g)8.7g(0.018モル)、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.04gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート(A−1)を得た。
【0081】
得られたウレタンアクリレート(A−1)の平均エチレン性不飽和基数(β)は3個で、重量平均分子量(γ)は8,900であり、エチレン性不飽和基量(α)は3.4×10
-4(個)であった。
ここで、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の不飽和基数として、2−ヒドロキシエチルアクリレートは1、ペンタエリスリトールトリアクリレートは3とした。なお、ペンタエリスリトールトリアクリレートは、4官能(水酸基非含有)36モル%、3官能(水酸基含有)41モル%、2官能(水酸基含有)5モル%、その他18モル%から構成されるものであった。
【0082】
得られたウレタンアクリレート(A−1)100部に、光重合開始剤(B)として(1−ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルメタノン(「Irgacure184」BASF社製)を4部配合して粘着剤組成物を得、更に、酢酸エチルにて25℃における粘度が500〜10000mPa・sになるように希釈して粘着剤組成物溶液を調製した。
【0083】
更に、得られた粘着剤組成物溶液を50μmの易接着ポリエチレンテレフタレートシートに、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、90℃で3分間乾燥した後、形成された粘着剤組成物層にポリエステル系離型シートを貼り合わせ、高圧水銀ランプ(80W1灯)を用いて、紫外線照射(積算露光量:800mJ/cm
2(400mJ/cm
2×2パス))し、粘着剤層(厚み25μm)が形成された表面保護用粘着シートを得た。
得られた表面保護用粘着シートについて、以下の評価を行った。
【0084】
(ゲル分率)
得られた表面保護用粘着シートを40mm×40mmに切断した後、離型シートを剥がし粘着剤層側を50×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合してから、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、トルエン250gの入った密封容器にて23℃×24時間浸漬した際の粘着剤層の重量変化にてゲル分率(%)の測定を行った。
【0085】
(リワーク性)
得られた表面保護用粘着シートを2.5cm×10cmに切り取り、次いで離型シートを剥がしてから、23℃×50%RHの条件下でガラス板に2kgのゴムローラーで1往復して貼合し、30分間放置した後、剥離強度(180度ピール強度で、引っ張り速度は300mm/分で行った。)を測定することにより、リワーク性を評価した。なお、評価基準は下記の通りである。
○・・・0.5N/25mm未満
△・・・0.5N/25mm以上1N/25mm未満
×・・・1N/25mm以上
【0086】
(濡れ広がり性)
得られた表面保護用粘着シートを、10cm×10cmの正方形に切り取り、次いで離型シートを剥がし、表面保護用粘着シートの両端を手で持ちながら露出した粘着剤層の中心部をガラス板に接触させた後、手を放し自重で粘着剤層全体がガラス板に貼着するまでの秒数を測定することにより、濡れ広がり性を評価した。なお、測定は2回行い、所要時間はその平均値とし、評価基準は下記の通りである。
◎・・・3秒未満
○・・・3秒以上5秒未満
△・・・5秒以上10秒未満
×・・・10秒後でも粘着剤層全体がほとんどガラス板に密着していないもの
【0087】
(耐汚染性)
得られた表面保護用粘着シートを2.5cm×10cmに切り取り、次いで離型シートを剥がしてから、ガラス板に2kgのローラーで1往復して貼合し、70℃で5日間放置した後、表面保護用粘着シートを剥がした時のガラス板の状態を目視にて下記の基準にて評価した。
○・・・糊の残渣・貼り跡が見られない。
△・・・糊の残渣がないが貼り跡が見られる。
×・・・糊の残渣が残っている。
【0088】
(実施例2)
<ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造)>
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート10.0g(0.045モル)、2官能ポリエーテルポリオール(保土谷化学工業(株)製「PTG−L3500」、水酸基価31.5mgKOH/g、数平均分子量3,500)80.4g(0.023モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.001gを仕込み、60℃で3時間反応させた後、更に2−ヒドロキシエチルアクリレート4.1g(0.035モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価116.1mgKOH/g)5.5g(0.011モル)、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.04gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート(A−2)を得た。
【0089】
得られたウレタンアクリレート(A−2)の平均エチレン性不飽和基数(β)は3個で、重量平均分子量(γ)は23,000であり、エチレン性不飽和基量(α)は1.3×10
-4(個)であった。
ここで、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の不飽和基数として、実施例1と同様、2−ヒドロキシエチルアクリレートは1、ペンタエリスリトールトリアクリレートは3とした。
【0090】
得られたウレタンアクリレート(A−2)を用いて、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得、更に粘着剤組成物溶液を調製し、そして、粘着剤層が形成された表面保護用粘着シートを得た。
得られた表面保護用粘着シートについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0091】
(実施例3)
<ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造)>
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート3.2g(0.014モル)、2官能ポリエーテルポリオール(保土谷化学工業(株)製「PTG−10000」、水酸基価10.8mgKOH/g、数平均分子量10,000)73.8g(0.0071モル)、酢酸エチル20g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.001gを仕込み、60℃で3時間反応させた後、更に2−ヒドロキシエチルアクリレート1.3g(0.011モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価116.1mgKOH/g)1.7g(0.0035モル)、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.03gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート(A−3)を得た。
【0092】
得られたウレタンアクリレート(A−3)の平均エチレン性不飽和基数(β)は3個で、重量平均分子量(γ)は84,000であり、エチレン性不飽和基量(α)は0.36×10
-4(個)であった。
ここで、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の不飽和基数として、実施例1と同様、2−ヒドロキシエチルアクリレートは1、ペンタエリスリトールトリアクリレートは3とした。
【0093】
得られたウレタンアクリレート(A−3)を用いて、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得、更に粘着剤組成物溶液を調製し、そして、粘着剤層が形成された表面保護用粘着シートを得た。
得られた表面保護用粘着シートについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0094】
(実施例4)
<ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造)>
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート17.2g(0.077モル)、2官能ポリエーテルポリオール(保土谷化学工業(株)製「PTG−2000SN」、水酸基価59.2mgKOH/g、数平均分子量2,000)73.5g(0.039モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.001gを仕込み、60℃で3時間反応させた後、更に2−ヒドロキシエチルアクリレート9.2g(0.079モル)、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.04gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート(A−4)を得た。
【0095】
得られたウレタンアクリレート(A−4)の平均エチレン性不飽和基数(β)は2個で、重量平均分子量(γ)は13,000であり、エチレン性不飽和基量(α)は1.5×10
-4(個)であった。
ここで、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の不飽和基数として、実施例1と同様、2−ヒドロキシエチルアクリレートは1とした。
【0096】
得られたウレタンアクリレート(A−4)を用いて、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得、更に粘着剤組成物溶液を調製し、そして、粘着剤層が形成された表面保護用粘着シートを得た。
得られた表面保護用粘着シートについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0097】
(実施例5)
<ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)の製造)>
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート15.1g(0.068モル)、2官能ポリエーテルポリオール(保土谷化学工業(株)製「PTG−2000SN」、水酸基価59.2mgKOH/g、数平均分子量2,000)64.4g(0.034モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.001gを仕込み、60℃で3時間反応させた後、更に2−ヒドロキシエチルアクリレート4.1g(0.035モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価116.1mgKOH/g)16.4g(0.034モル)、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.04gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート(A−5)を得た。
【0098】
得られたウレタンアクリレート(A−5)の平均エチレン性不飽和基数(β)は4個で、重量平均分子量(γ)は10,000であり、エチレン性不飽和基量(α)は4.0×10
-4(個)であった。
ここで、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の不飽和基数として、実施例1と同様、2−ヒドロキシエチルアクリレートは1、ペンタエリスリトールトリアクリレートは3とした。
【0099】
得られたウレタンアクリレート(A−5)を用いて、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得、更に粘着剤組成物溶液を調製し、そして、粘着剤層が形成された表面保護用粘着シートを得た。
得られた表面保護用粘着シートについて、実施例1と同様の評価を行った。
【0100】
(比較例1)
<ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A')の製造)>
温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート29.0g(0.13モル)、2官能ポリエーテルポリオール(保土谷化学工業(株)製「PTG−650SN」、水酸基価167.7mgKOH/g、数平均分子量650)43.6g(0.065モル)、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.001gを仕込み、60℃で3時間反応させた後、更に2−ヒドロキシエチルアクリレート11.7g(0.10モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(水酸基価116.1mgKOH/g)15.7g(0.032モル)、重合禁止剤として2,6−ジ−tert−ブチルクレゾール0.04gを仕込み、60℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート(A'−1)を得た。
【0101】
得られたウレタンアクリレート(A'−1)の平均エチレン性不飽和基数(β)は3個で、重量平均分子量(γ)は3,300であり、エチレン性不飽和基量(α)は9.1×10
-4(個)であった。
ここで、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物の不飽和基数として、実施例1と同様、2−ヒドロキシエチルアクリレートは1、ペンタエリスリトールトリアクリレートは3とした。
【0102】
得られたウレタンアクリレート(A'−1)を用いて、実施例1と同様にして、粘着剤組成物を得、更に粘着剤組成物溶液を調製し、そして、粘着剤層が形成された表面保護用粘着シートを得た。
得られた表面保護用粘着シートについて、実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
上記評価結果から分かるように、エチレン性不飽和基量(α)が所定範囲内であるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を主成分として含有してなる粘着剤組成物を用いた粘着シートはリワーク性、濡れ広がり性、耐汚染性のいずれにおいても優れた効果を有するものであり、表面保護用粘着シートとして非常に有用である。
一方、エチレン性不飽和基量(α)が所定範囲から外れるウレタン(メタ)アクリレート系化合物を含有してなる粘着剤組成物を用いた粘着シートでは、濡れ広がり性に劣るものであり、実用面においてまだまだ満足のいくものではなかった。