特許第6497917号(P6497917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497917
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】内視鏡手順のための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
   A61B17/072
【請求項の数】20
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-248847(P2014-248847)
(22)【出願日】2014年12月9日
(65)【公開番号】特開2015-136624(P2015-136624A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2017年12月4日
(31)【優先権主張番号】14/161,092
(32)【優先日】2014年1月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】アーネスト アラーニ
【審査官】 吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−112782(JP,A)
【文献】 特開2013−244401(JP,A)
【文献】 特開平09−164144(JP,A)
【文献】 特開2005−160889(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/007351(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドエフェクターであって、該エンドエフェクターは、
取り付け部分と、
該取り付け部分から遠位方向に延びている第1の顎部材であって、該第1の顎部材は、組織係合表面を含み、レバーアセンブリを支持している、第1の顎部材と、
該取り付け部分から遠位方向に延びている第2の顎部材であって、該第2の顎部材は、駆動梁を支持し、該駆動梁は、接近させられていない状態と接近させられた状態との間での、該第1の顎部材に対する該第2の顎部材の旋回移動を容易にするために、該レバーアセンブリと選択的に係合可能である、第2の顎部材と、
該第2の顎部材に固定されている締め具カートリッジであって、該締め具カートリッジは、該締め具カートリッジの組織係合表面において規定される締め具保持スロットの中に複数の締め具を支持している、締め具カートリッジと
を含み、
該駆動梁は、該レバーアセンブリから係合解除し、該第1の顎部材および該第2の顎部材に沿って遠位方向に並進することにより、該第1の顎部材と該第2の顎部材とを互いに接近させることと、該締め具カートリッジに沿って遠位方向に並進することにより、該複数の締め具を該締め具保持スロットから発射し、該第1の顎部材の該組織係合表面に対して該複数の締め具を形成することとを行うように構成されている、エンドエフェクター。
【請求項2】
前記レバーアセンブリは、レバーを含み、該レバーは、前記第1の顎部材に旋回可能に接続され、拡張位置と後退位置との間を該第1の顎部材に対して旋回移動可能である、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項3】
前記駆動梁は、その中に切欠きを規定し、前記レバーは、前記第1および第2の顎部材が前記接近させられていない状態にあり、該駆動梁が近位位置にあり、該レバーが前記拡張位置にある場合、該切欠きと係合され、該第2の顎部材が該第1の顎部材に対して該接近させられていない状態から前記接近させられた状態に旋回する前、該レバーは、該駆動梁の該切欠きと係合されることにより、該駆動梁の遠位方向の並進を制限する、請求項2に記載のエンドエフェクター。
【請求項4】
前記レバーは、前記第2の顎部材が前記第1の顎部材に対して前記接近させられていない状態から前記接近させられた状態に旋回することに応答して、該レバーが前記拡張位置から前記後退位置に旋回する場合、前記切欠きから係合解除するように構成されている、請求項3に記載のエンドエフェクター。
【請求項5】
前記駆動梁は、前記第1および第2の顎部材が前記接近させられた状態にあり、前記レバーが前記後退位置にある場合、遠位方向に並進可能である、請求項4に記載のエンドエフェクター。
【請求項6】
前記第1の顎部材は、ばねアセンブリを支持し、該ばねアセンブリは、ばねを含み、該ばねは、前記レバーに接触して、前記拡張位置へ該レバーを付勢するように構成されている、請求項2に記載のエンドエフェクター。
【請求項7】
前記第2の顎部材は、駆動ねじを支持し、該駆動ねじは、該駆動ねじが回転する場合に前記駆動梁を並進させるために、該駆動梁と動作可能に関連付けられている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項8】
前記駆動梁は、前記駆動ねじをねじ式に受け取る保持フットを含み、該駆動ねじは、回転可能な駆動部材に連結され、該保持フットの中での該駆動ねじの回転は、前記第1の顎部材に対する前記第2の顎部材の旋回可能な移動と、前記締め具カートリッジを通した該駆動梁の並進とを容易にする、請求項7に記載のエンドエフェクター。
【請求項9】
前記駆動ねじは、その近位端部分から突出しているヘッドを有し、該ヘッドは、それを通して旋回軸を規定し、該旋回軸は、前記エンドエフェクターの近位端部分と遠位端部分との間の該エンドエフェクターの長手方向軸を横断し、前記第2の顎部材は、該旋回軸の周りを前記第1の顎部材に対して旋回するように構成されている、請求項7に記載のエンドエフェクター。
【請求項10】
前記第1の顎部材は、傾斜部を規定し、前記駆動梁は、該第1の顎部材および前記第2の顎部材を前記接近させられた状態に旋回させて、該駆動梁が該第1の顎部材および該第2の顎部材に沿って遠位方向に並進できるようにするために、該傾斜部と係合可能である、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項11】
前記駆動梁は、ナイフを支持し、該ナイフは、該駆動梁が前記締め具カートリッジに沿って並進する場合、組織を切断するように適合されている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項12】
動力式外科手術ステープル留め装置であって、該動力式外科手術ステープル留め装置は、
ハンドルアセンブリと、
該ハンドルアセンブリから遠位方向に延びているシャフトアセンブリと、
該シャフトアセンブリから選択的に取り外し可能なエンドエフェクターと
を含み、該エンドエフェクターは、
組織係合表面を含む第1の顎部材であって、該第1の顎部材は、レバーを支持している、第1の顎部材と、
駆動梁を支持している第2の顎部材であって、該駆動梁は、接近させられていない状態と接近させられた状態との間での、該第1の顎部材に対する該第2の顎部材の旋回移動を容易にするために、該レバーと選択的に係合可能である、第2の顎部材と、
該第2の顎部材に固定されている締め具カートリッジであって、該締め具カートリッジは、該締め具カートリッジの組織係合表面において規定される締め具保持スロットの中に複数の締め具を支持している、締め具カートリッジと
を含み、該駆動梁は、該レバーから係合解除し、該第1の顎部材および該第2の顎部材に沿って遠位方向に並進することにより、該第1の顎部材と該第2の顎部材とを互いに接近させることと、該締め具カートリッジに沿って遠位方向に並進することにより、該複数の締め具を該締め具保持スロットから発射し、該第1の顎部材の該組織係合表面に対して該複数の締め具を形成することとを行うように構成されている、動力式外科手術ステープル留め装置。
【請求項13】
前記レバーは、前記第1の顎部材に旋回可能に接続され、拡張位置と後退位置との間を該第1の顎部材に対して旋回移動可能である、請求項12に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
【請求項14】
前記駆動梁は、その中に切欠きを規定し、前記レバーは、前記第1および第2の顎部材が前記接近させられていない状態にあり、該駆動梁が近位位置にあり、該レバーが前記拡張位置にある場合、該切欠きと係合され、該第2の顎部材が該第1の顎部材に対して該接近させられていない状態から前記接近させられた状態に旋回する前、該レバーは、該駆動梁の該切欠きと係合されることにより、該駆動梁の遠位方向の並進を制限する、請求項13に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
【請求項15】
前記レバーは、前記第2の顎部材が前記第1の顎部材に対して前記接近させられていない状態から前記接近させられた状態に旋回することに応答して、該レバーが前記拡張位置から前記後退位置に旋回する場合、前記切欠きから係合解除するように構成されている、請求項14に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
【請求項16】
前記駆動梁は、前記第1および第2の顎部材が前記接近させられた状態にあり、前記レバーが前記後退位置にある場合、遠位方向に並進可能である、請求項15に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
【請求項17】
上記第1の顎部材は、板ばねを支持し、該板ばねは、前記レバーに接触して、前記拡張位置へ該レバーを付勢するように構成されている、請求項13に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
【請求項18】
前記第2の顎部材は、駆動ねじを支持し、該駆動ねじは、該駆動ねじが回転する場合に前記駆動梁を並進させるために、該駆動梁と動作可能に関連付けられている、請求項12に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
【請求項19】
前記駆動梁は、前記駆動ねじをねじ式に受け取る保持フットを含み、該駆動ねじは、回転可能な駆動部材に連結され、該保持フットの中での該駆動ねじの回転は、前記第1の顎部材に対する前記第2の顎部材の旋回可能な移動と、前記締め具カートリッジを通した該駆動梁の並進とを容易にする、請求項18に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
【請求項20】
外科手術ステープル留め装置であって、該外科手術ステープル留め装置は、
ハンドルアセンブリと、
該ハンドルアセンブリから遠位方向に延びているシャフトアセンブリと、
該シャフトアセンブリから選択的に取り外し可能なエンドエフェクターと
を含み、該エンドエフェクターは、
レバーを支持している第1の顎部材であって、該レバーは、拡張位置と後退位置との間を該第1の顎部材に対して旋回移動可能であり、該レバーは、該レバーを該拡張位置にばね付勢する板ばねと接触している、第1の顎部材と、
駆動梁を支持している第2の顎部材と
を含み、該駆動梁は、接近させられていない状態と接近させられた状態との間での、該第1の顎部材に対する該第2の顎部材の旋回移動を容易にするために、該レバーと選択的に係合可能である、外科手術ステープル留め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、内視鏡外科手術手順を実施するための外科手術装置、デバイスおよび/またはシステム、ならびにそれらの使用方法に関する。より詳しくは、本開示は、組織を締め付け、切断、および/またはステープル留めするために、取り外し可能な使い捨てローディングユニットおよび/または単回使用ローディングユニットとの使用のために構成されている電気機械式のハンドヘルドの外科手術装置、デバイスおよび/またはシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの外科手術デバイス製造業者が、電気機械式外科手術デバイスを動作させるため、および/または操作するための自社の駆動システムを備えている製品種目を開発している。いくつかの電気機械式外科手術デバイスは、再使用可能なハンドルアセンブリ、および交換可能なローディングユニットまたは単回使用ローディングユニットなどを含み、ローディングユニットは、使用前にハンドルアセンブリに選択的に接続され、次に、処分されるために、またはいくつかの例においては、再使用のために滅菌されるために、使用後にハンドルアセンブリから接続解除される。
【0003】
これらの電気機械式外科手術デバイスの多くは、製造すること、購入することおよび/または動作させることが比較的高価であり得る。製造すること、購入することおよび/または動作させることが比較的安価である電気機械式外科手術デバイスを開発することが、製造業者および最終使用者によって望まれている。
【0004】
従って、開発および製造、貯蔵および輸送が比較的経済的であり、そして最終使用者の観点からは購入および使用が経済的かつ簡便である、電気機械外科手術の装置、デバイスおよび/またはシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示の1つの局面に従って、エンドエフェクターは、取り付け部分と、第1および第2の顎部材とを含み、第1および第2の顎部材は、取り付け部分から遠位方向に延びている。締め具カートリッジは、第2の顎部材に固定されている。締め具カートリッジは、締め具カートリッジの組織係合表面において規定される締め具保持スロットの中に複数の締め具を支持している。
【0006】
別の局面において、外科手術ステープル留め装置は、ハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリから遠位方向に延びているシャフトアセンブリと、シャフトアセンブリから選択的に取り外し可能なエンドエフェクターとを含む。実施形態において、外科手術ステープル留め装置は、動力を供給される。
【0007】
第1の顎部材は、組織係合表面を含み、レバーアセンブリを支持し得る。第2の顎部材は、駆動梁を支持し得、この駆動梁は、接近させられていない状態と接近させられた状態との間での、第1の顎部材に対する第2の顎部材の旋回移動を容易にするために、レバーアセンブリと選択的に係合可能である。第1の顎部材は、傾斜部(ramp)を規定し得る。駆動梁は、第1の顎部材および第2の顎部材を接近させられた状態に旋回させて、駆動梁が第1および第2の顎部材に沿って遠位方向に並進できるようにするために、傾斜部と係合可能であり得る。
【0008】
駆動梁は、レバーアセンブリから係合解除し、第1の顎部材および第2の顎部材に沿って遠位方向に並進することにより、第1の顎部材と第2の顎部材とを互いに接近させることと、締め具カートリッジに沿って遠位方向に並進することにより、複数の締め具を締め具保持スロットから発射し、第1の顎部材の組織係合表面に対して複数の締め具を形成することとを行うように構成され得る。駆動梁は、その中に切欠きを規定し得、ナイフを支持し得、このナイフは、駆動梁が締め具カートリッジに沿って並進する場合、組織を切断するように適合されている。
【0009】
レバーアセンブリは、レバーを含み得、このレバーは、第1の顎部材に旋回可能に接続され、拡張位置と後退位置との間を第1の顎部材に対して旋回移動可能である。レバーは、第1および第2の顎部材が接近させられていない状態にあり、駆動梁が近位位置にあり、レバーが拡張位置にある場合、駆動梁の切欠きと係合され得る。第2の顎部材が第1の顎部材に対して接近させられていない状態から接近させられた状態に旋回する前、レバーは、駆動梁の切欠きと係合されることにより、駆動梁の遠位方向の並進を制限し得る。レバーは、第2の顎部材が第1の顎部材に対して接近させられていない状態から接近させられた状態に旋回することに応答して、レバーが拡張位置から後退位置に旋回する場合、切欠きから係合解除するように構成され得る。駆動梁は、第1および第2の顎部材が接近させられた状態にあり、レバーが後退位置にある場合、遠位方向に並進可能であり得る。
【0010】
ばねアセンブリは、第1の顎部材によって支持され得る。ばねアセンブリは、ばねを含み得、このばねは、レバーに接触して、拡張位置へレバーを付勢するように構成されている。ばねは、板ばねであり得る。
【0011】
駆動ねじは、第2の顎部材によって支持され得、駆動ねじが回転する場合に駆動梁を並進させるために、駆動梁と動作可能に関連付けられている。駆動梁は、駆動ねじをねじ式に受け取る保持フットを含み得る。駆動ねじは、回転可能な駆動部材に連結され得、保持フットの中での駆動ねじの回転は、第1の顎部材に対する第2の顎部材の旋回可能な移動と、締め具カートリッジを通した駆動梁の並進とを容易にする。駆動ねじは、その近位端部分から突出しているヘッドを有し得る。ヘッドは、それを通して旋回軸を規定し得、この旋回軸は、エンドエフェクターの近位端部分と遠位端部分との間のエンドエフェクターの長手方向軸を横断する。第2の顎部材は、旋回軸の周りを第1の顎部材に対して旋回するように構成され得る。
【0012】
他の局面、特徴、および利点は、続く記載、図面、および特許請求の範囲から明らかである。
【0013】
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
エンドエフェクターであって、該エンドエフェクターは、
取り付け部分と、
該取り付け部分から遠位方向に延びている第1の顎部材であって、該第1の顎部材は、組織係合表面を含み、レバーアセンブリを支持している、第1の顎部材と、
該取り付け部分から遠位方向に延びている第2の顎部材であって、該第2の顎部材は、駆動梁を支持し、該駆動梁は、接近させられていない状態と接近させられた状態との間での、該第1の顎部材に対する該第2の顎部材の旋回移動を容易にするために、該レバーアセンブリと選択的に係合可能である、第2の顎部材と、
該第2の顎部材に固定されている締め具カートリッジであって、該締め具カートリッジは、該締め具カートリッジの組織係合表面において規定される締め具保持スロットの中に複数の締め具を支持している、締め具カートリッジと
を含み、
該駆動梁は、該レバーアセンブリから係合解除し、該第1の顎部材および該第2の顎部材に沿って遠位方向に並進することにより、該第1の顎部材と該第2の顎部材とを互いに接近させることと、該締め具カートリッジに沿って遠位方向に並進することにより、該複数の締め具を該締め具保持スロットから発射し、該第1の顎部材の該組織係合表面に対して該複数の締め具を形成することとを行うように構成されている、エンドエフェクター。
(項目2)
上記レバーアセンブリは、レバーを含み、該レバーは、上記第1の顎部材に旋回可能に接続され、拡張位置と後退位置との間を該第1の顎部材に対して旋回移動可能である、上記項目に記載のエンドエフェクター。
(項目3)
上記駆動梁は、その中に切欠きを規定し、上記レバーは、上記第1および第2の顎部材が上記接近させられていない状態にあり、該駆動梁が近位位置にあり、該レバーが上記拡張位置にある場合、該切欠きと係合され、該第2の顎部材が該第1の顎部材に対して該接近させられていない状態から上記接近させられた状態に旋回する前、該レバーは、該駆動梁の該切欠きと係合されることにより、該駆動梁の遠位方向の並進を制限する、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目4)
上記レバーは、上記第2の顎部材が上記第1の顎部材に対して上記接近させられていない状態から上記接近させられた状態に旋回することに応答して、該レバーが上記拡張位置から上記後退位置に旋回する場合、上記切欠きから係合解除するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目5)
上記駆動梁は、上記第1および第2の顎部材が上記接近させられた状態にあり、上記レバーが上記後退位置にある場合、遠位方向に並進可能である、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目6)
上記第1の顎部材は、ばねアセンブリを支持し、該ばねアセンブリは、ばねを含み、該ばねは、上記レバーに接触して、上記拡張位置へ該レバーを付勢するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目7)
上記第2の顎部材は、駆動ねじを支持し、該駆動ねじは、該駆動ねじが回転する場合に上記駆動梁を並進させるために、該駆動梁と動作可能に関連付けられている、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目8)
上記駆動梁は、上記駆動ねじをねじ式に受け取る保持フットを含み、該駆動ねじは、回転可能な駆動部材に連結され、該保持フットの中での該駆動ねじの回転は、上記第1の顎部材に対する上記第2の顎部材の旋回可能な移動と、上記締め具カートリッジを通した該駆動梁の並進とを容易にする、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目9)
上記駆動ねじは、その近位端部分から突出しているヘッドを有し、該ヘッドは、それを通して旋回軸を規定し、該旋回軸は、上記エンドエフェクターの近位端部分と遠位端部分との間の該エンドエフェクターの長手方向軸を横断し、上記第2の顎部材は、該旋回軸の周りを上記第1の顎部材に対して旋回するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目10)
上記第1の顎部材は、傾斜部を規定し、上記駆動梁は、該第1の顎部材および上記第2の顎部材を上記接近させられた状態に旋回させて、該駆動梁が該第1の顎部材および該第2の顎部材に沿って遠位方向に並進できるようにするために、該傾斜部と係合可能である、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目11)
上記駆動梁は、ナイフを支持し、該ナイフは、該駆動梁が上記締め具カートリッジに沿って並進する場合、組織を切断するように適合されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載のエンドエフェクター。
(項目12)
動力式外科手術ステープル留め装置であって、該動力式外科手術ステープル留め装置は、
ハンドルアセンブリと、
該ハンドルアセンブリから遠位方向に延びているシャフトアセンブリと、
該シャフトアセンブリから選択的に取り外し可能なエンドエフェクターと
を含み、該エンドエフェクターは、
組織係合表面を含む第1の顎部材であって、該第1の顎部材は、レバーを支持している、第1の顎部材と、
駆動梁を支持している第2の顎部材であって、該駆動梁は、接近させられていない状態と接近させられた状態との間での、該第1の顎部材に対する該第2の顎部材の旋回移動を容易にするために、該レバーと選択的に係合可能である、第2の顎部材と、
該第2の顎部材に固定されている締め具カートリッジであって、該締め具カートリッジは、該締め具カートリッジの組織係合表面において規定される締め具保持スロットの中に複数の締め具を支持している、締め具カートリッジと
を含み、該駆動梁は、該レバーから係合解除し、該第1の顎部材および該第2の顎部材に沿って遠位方向に並進することにより、該第1の顎部材と該第2の顎部材とを互いに接近させることと、該締め具カートリッジに沿って遠位方向に並進することにより、該複数の締め具を該締め具保持スロットから発射し、該第1の顎部材の該組織係合表面に対して該複数の締め具を形成することとを行うように構成されている、動力式外科手術ステープル留め装置。
(項目13)
上記レバーは、上記第1の顎部材に旋回可能に接続され、拡張位置と後退位置との間を該第1の顎部材に対して旋回移動可能である、上記項目のうちのいずれか一項に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
(項目14)
上記駆動梁は、その中に切欠きを規定し、上記レバーは、上記第1および第2の顎部材が上記接近させられていない状態にあり、該駆動梁が近位位置にあり、該レバーが上記拡張位置にある場合、該切欠きと係合され、該第2の顎部材が該第1の顎部材に対して該接近させられていない状態から上記接近させられた状態に旋回する前、該レバーは、該駆動梁の該切欠きと係合されることにより、該駆動梁の遠位方向の並進を制限する、上記項目のうちのいずれか一項に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
(項目15)
上記レバーは、上記第2の顎部材が上記第1の顎部材に対して上記接近させられていない状態から上記接近させられた状態に旋回することに応答して、該レバーが上記拡張位置から上記後退位置に旋回する場合、上記切欠きから係合解除するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
(項目16)
上記駆動梁は、上記第1および第2の顎部材が上記接近させられた状態にあり、上記レバーが上記後退位置にある場合、遠位方向に並進可能である、上記項目のうちのいずれか一項に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
(項目17)
上記第1の顎部材は、板ばねを支持し、該板ばねは、上記レバーに接触して、上記拡張位置へ該レバーを付勢するように構成されている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
(項目18)
上記第2の顎部材は、駆動ねじを支持し、該駆動ねじは、該駆動ねじが回転する場合に上記駆動梁を並進させるために、該駆動梁と動作可能に関連付けられている、上記項目のうちのいずれか一項に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
(項目19)
上記駆動梁は、上記駆動ねじをねじ式に受け取る保持フットを含み、該駆動ねじは、回転可能な駆動部材に連結され、該保持フットの中での該駆動ねじの回転は、上記第1の顎部材に対する上記第2の顎部材の旋回可能な移動と、上記締め具カートリッジを通した該駆動梁の並進とを容易にする、上記項目のうちのいずれか一項に記載の動力式外科手術ステープル留め装置。
(項目20)
外科手術ステープル留め装置であって、該外科手術ステープル留め装置は、
ハンドルアセンブリと、
該ハンドルアセンブリから遠位方向に延びているシャフトアセンブリと、
該シャフトアセンブリから選択的に取り外し可能なエンドエフェクターと
を含み、該エンドエフェクターは、
レバーを支持している第1の顎部材であって、該レバーは、拡張位置と後退位置との間を該第1の顎部材に対して旋回移動可能であり、該レバーは、該レバーを該拡張位置にばね付勢する板ばねと接触している、第1の顎部材と、
駆動梁を支持している第2の顎部材と
を含み、該駆動梁は、接近させられていない状態と接近させられた状態との間での、該第1の顎部材に対する該第2の顎部材の旋回移動を容易にするために、該レバーと選択的に係合可能である、外科手術ステープル留め装置。
【0014】
(摘要)
外科手術ステープル留め装置は、ハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリから遠位方向に延びているシャフトアセンブリと、シャフトアセンブリから選択的に取り外し可能なエンドエフェクターとを含む。エンドエフェクターは、第1の顎部材と第2の顎部材とを含む。第1の顎部材は、レバーを支持し、このレバーは、拡張位置と後退位置との間を第1の顎部材に対して旋回移動可能である。レバーは、レバーを拡張位置にばね付勢する板ばねと接触している。第2の顎部材は、駆動梁を支持し、この駆動梁は、接近させられていない状態と接近させられた状態との間での、第1の顎部材に対する第2の顎部材の旋回可能な移動を容易にするために、レバーと選択的に係合可能である。
【0015】
本明細書中に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を例示し、上に与えられた本開示の概略的な説明および下に与えられる実施形態(複数可)の詳細な説明と一緒に、本開示の原理を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の原理に従う電気機械式外科手術システムの斜視図である。
図2図2は、部品が分離されている、図1の電気機械式外科手術システムの斜視図である。
図3図3は、図1および図2の電気機械式外科手術システムのエンドエフェクターの正面斜視図である。
図4図4は、図3のエンドエフェクターの後方斜視図である。
図5図5は、部品が分離されている、図3および図4のエンドエフェクターの斜視図である。
図6図6は、図4の6−6を通って得られる場合の図3図5のエンドエフェクターの側面断面斜視図であり、接近させられていない状態にあるエンドエフェクターを示している。
図7図7は、図6に示される指示された詳細部の領域の拡大された図である。
図8図8は、エンドエフェクターの側面断面図であり、部分的に前進させられた位置にあるその駆動梁を示している。
図9図9は、図8に示される指示された詳細部の領域の拡大された図である。
図10図10は、接近させられた状態にあるエンドエフェクターの側面断面図であり、その駆動梁が部分的に前進させられた位置で示されている。
図11図11は、図10に示される指示された詳細部の領域の拡大された図である。
図12図12は、エンドエフェクターの拡大された部分的な断面図であり、部分的に前進させられた駆動梁を示している。
図13図13は、接近させられた状態にあるエンドエフェクターの側面断面図であり、その駆動梁が遠位方向に前進させられた位置で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施形態の詳細な説明
本開示の電気機械式外科手術のシステム、装置および/またはデバイスの実施形態が、図面を参照して詳細に記載され、図面において、類似の参照数字は、数枚の図の各々における、同一の要素または対応する要素を表す。本明細書中で用いられる場合、用語「遠位」は、電気機械式外科手術のシステム、装置および/またはデバイス、あるいはその構成要素の、ユーザーからより遠い部分を指し、用語「近位」は、電気機械式外科手術のシステム、装置および/またはデバイス、あるいはその構成要素の、ユーザーにより近い部分を指す。
【0018】
最初に図1および図2を参照すると、電気機械式ハンドヘルド動力式外科手術システムが示され、全体的に10と表される。電気機械式外科手術システム10は、電気機械式ハンドヘルド動力式外科手術器具100の形態での外科手術装置またはデバイスを含み、この外科手術装置またはデバイスは、外科手術装置またはデバイスへのシャフトアセンブリ200を介した複数の異なるエンドエフェクター400の選択的な取り付けのために構成され、シャフトアセンブリ200およびエンドエフェクター400は、各々、電気機械式ハンドヘルド動力式外科手術器具100による作動および操作のために構成されている。特に、外科手術器具100は、シャフトアセンブリ200の関節運動アセンブリ300との選択的な接続のために構成され、次に、シャフトアセンブリ200が、関節運動アセンブリ300を介した複数の異なるエンドエフェクター400のうちの任意の1つとの選択的な接続のために構成される。
【0019】
例示的な電気機械式ハンドヘルド動力式外科手術器具(それらの構成要素は、本明細書中に記載される動力式外科手術システム10の1つ以上の構成要素と組み合わせ可能であり、および/または置換可能である)の構築および動作の詳細な説明について、米国特許出願公開第2009/0101692号、米国特許出願公開第2011/0121049号、および米国特許出願公開第2013/0098966号が参照され得、これらの各々の内容全体は、これにより本明細書中で参考として援用される。
【0020】
一般に、図1および図2に例示されるように、外科手術器具100は、器具ハウジング102を含み、この器具ハウジング102は、下方ハウジング部分104と、下方ハウジング部分104から延び、および/または下方ハウジング部分104において支持されている中間ハウジング部分106と、中間ハウジング部分106から延び、および/または中間ハウジング部分106において支持されている上方ハウジング部分108とを有する。外科手術器具100は、外科手術システムの特定の機能を制御すること、データを収集すること、および他の機能を実施するすることを行うためのコントローラー(示されない)を有する。器具ハウジング102は、その中に空洞(示されない)を規定し、この空洞の中に回路基板(示されない)および駆動機構(示されない)が置かれている。
【0021】
回路基板は、下にさらに詳細に明記されるように、外科手術器具100の様々な動作を制御するように構成されている。本開示に従って、器具ハウジング102は、ハウジングを提供し、このハウジングの中に充電可能な電池(示されない)が取り外し可能に置かれている。電池は、外科手術器具100の電気的構成要素の任意のものに電力を供給するように構成されている。
【0022】
器具ハウジング102の上方ハウジング部分108は、ノーズまたは接続部分108aを有し、このノーズまたは接続部分108aは、シャフトアセンブリ200のトランスミッションハウジング202の対応するシャフト連結アセンブリ204を受け入れるように構成されている。図2に見られるように、外科手術器具100の上方ハウジング部分108の接続部分108aは、円筒形凹部108bを規定し、この円筒形凹部108bは、シャフトアセンブリ200が外科手術器具100に嵌合する場合に、シャフトアセンブリ200のトランスミッションハウジング202のシャフト連結アセンブリ204を受け取る。外科手術器具100の接続部分108aは、少なくとも1つの回転可能な駆動部材を有する。いくつかの実施形態において、接続部分108aは、複数の回転可能な駆動部材またはコネクター(示されない)を収容し、複数の駆動部材の各駆動部材は、器具ハウジング102内に収容されている駆動機構(示されない)によって、独立しておよび/または依存して作動可能、かつ回転可能であり得る。
【0023】
器具ハウジング102の上方ハウジング部分108は、ハウジングを提供し、このハウジングの中に駆動機構(示されない)が置かれている。駆動機構は、外科手術器具100の様々な動作を実施するために、シャフトおよび/または歯車構成要素を駆動するように構成されている。特に、駆動機構は、エンドエフェクター400をシャフトアセンブリ200に対して選択的に移動させること、アンビルアセンブリ200および/またはエンドエフェクター400を長手方向軸「X1」(図1および図2を参照のこと)の周りに器具ハウジング102に対して回転させること、エンドエフェクター400の上顎部材またはアンビルアセンブリ410を、エンドエフェクター400の下顎部材またはカートリッジアセンブリ420に対して移動させること、シャフトアセンブリ200を関節運動および/または回転させること、ならびに/あるいはエンドエフェクター400のカートリッジアセンブリ420内の締め具カートリッジ420aを発射させることを行うために、シャフトおよび/または歯車構成要素を駆動するように構成される。
【0024】
本開示に従って、駆動機構は、選択機歯車箱アセンブリ(示されない)と、選択機歯車箱アセンブリの近位に位置する機能選択モジュール(示されない)とを含み得、この機能選択モジュールは、選択機歯車箱アセンブリ内の歯車要素を、第2のモーター(示されない)との係合へ選択的に移動させるように機能する。駆動機構は、所与の時間において、外科手術器具100の駆動部材またはコネクターのうちの1つを選択的に駆動するように構成され得る。
【0025】
図1および図2に例示されるように、器具ハウジング102は、指で作動させられる1対の制御ボタン124、126、および/または揺動デバイス(複数可)130(1つのみの揺動デバイスが示されている)を支持している。制御ボタン124、126および揺動デバイス(複数可)130の各々は、それぞれの磁石(示されない)を含み、磁石は、操作者の作動によって移動させられる。さらに、器具ハウジング102中に収容されている回路基板(示されない)は、制御ボタン124、126および揺動デバイス(複数可)130の各々に対して、それぞれのホール効果スイッチ(示されない)を含み、ホール効果スイッチは、制御ボタン124、126および揺動デバイス(複数可)130における磁石の移動によって作動させられる。制御ボタン124、126に対応するホール効果スイッチ(示されない)の作動は、エンドエフェクター400を開/閉すること、および/またはエンドエフェクター400内のステープル留め/切断カートリッジを発射することを行うための適切な信号を、回路基板が、駆動機構の機能選択モジュールおよび入力駆動構成要素に提供することを生じさせる。
【0026】
同様に、揺動デバイス130に対応するホール効果スイッチの作動は、エンドエフェクター400をシャフトアセンブリ200に対して回転させること、またはエンドエフェクター400およびシャフトアセンブリ200を外科手術器具100の器具ハウジング102に対して回転させることを行うための適切な信号を、回路基板が、駆動機構の機能選択モジュールおよび入力駆動構成要素に提供することを生じさせる。特に、第1の方向への揺動デバイス130の移動は、エンドエフェクター400および/またはシャフトアセンブリ200を器具ハウジング102に対して第1の方向に回転させ、一方で、逆の(例えば、第2の)方向への揺動デバイス130の移動は、エンドエフェクター400および/またはシャフトアセンブリ200を器具ハウジング102に対して逆の(例えば、第2の)方向に回転させる。
【0027】
次に図3図13に目を向けると、エンドエフェクター400が示され、記載される。エンドエフェクター400は、複数の線形の列の締め具「F」(例えば、ステープル(図5を参照のこと))を適用するように構成され、適合されている。特定の実施形態において、締め具は、様々なサイズの締め具であり、特定の実施形態において、締め具は、様々な長さまたは列(例えば、長さにおいて約30mm、約45mm、および約60mm)を有する。
【0028】
図3および図4に見られるように、エンドエフェクター400は、取り付け部分430を含み、この取り付け部分430は、顎アセンブリ415に連結されている。取り付け部分430の近位端部分は、シャフトアセンブリ200(例えば、関節運動アセンブリ300)の遠位端部分への選択的な接続のために構成されており、この遠位端部分は、そこに形成されている相補的な構造を有する。顎アセンブリ415は、取り付け部分430に接続され、取り付け部分430から遠位方向に延びている。顎アセンブリ415は、より詳細に下で議論されるように、下顎部材420と上顎部材410とを含み、この下顎部材420は、その中に締め具カートリッジ420aを選択的に支持するように構成されており、下顎部材420および上顎部材410の各々は、上顎部材410と下顎部材420との間の相対的な移動を可能にする取り付け部分430に固定されている。顎アセンブリ415は、接近させられた状態と接近させられていない状態との間で上顎部材410および下顎部材420を方向付けるために、旋回移動可能である。
【0029】
図5を参照すると、上顎部材410は、当業者によって認識されるように、締め具形成表面411を有するアンビル本体410aを含み、このアンビル本体410aは、複数のステープル形成ポケット(示されない)を含み、複数のステープル形成ポケットは、長手方向に延びている列で配置されており、エンドエフェクター400の発射時に締め具を形成するように構成されている。アンビル本体410aは、板ばねアセンブリ412およびレバーアセンブリ414を支持しており、板ばねアセンブリ412およびレバーアセンブリ414は、本体410aのチャンバー410b内に支持されている。板ばねアセンブリ412およびレバーアセンブリ414は、カバー410cによってチャンバー410b内に閉じ込められており、このカバー410cは、本体410aから選択的に取り外し可能である。板ばねアセンブリ412およびレバーアセンブリ414は、一緒に、より詳細に本明細書中に記載されるように、顎アセンブリ415を接近させられていない状態に付勢するように機能し、接近させられた状態と接近させられていない状態との間での顎アセンブリ415の旋回可能な移動を可能にする。
【0030】
板ばねアセンブリ412は、板ばね412aを含み、この板ばね412aは、板ばね412aの第1の端において、取り付けプレート412bおよび締め具412cによって本体410aに取り付けられている。板ばね412aは、板ばね412aの第2の端における係合先端412dまで延びており、この係合先端412dは、任意の適切な構成(例えば、曲線スクープ)を有し得る。
【0031】
レバーアセンブリ414は、レバー414aを含み、このレバー414aは、その一端におけるピンチャネル414cと、その反対の端における遠位先端414bとを規定する。レバー414は、ピン414dによって、アンビル本体410aに旋回可能に取り付けられ、このピン414dは、レバー414aのピンチャネル414c、およびアンビル本体410a中に規定されるピンチャネル410dを通して受け取られる。
【0032】
アンビル本体410aは、アンビル本体410aの近位端において、複数のボアを規定し、駆動アセンブリ416を受け取る駆動ボア410eと、1対のプランジャーアセンブリ418を受け取る1対のプランジャーボア410fと、電気的接触部材417を受け取る電気的接触ボア410gとを含み、この電気的接触部材417は、エンドエフェクター400がシャフトアセンブリ200に固定されている場合、器具ハウジング102と電気的に連通するように機能する。駆動アセンブリ416は、駆動部材416aと、駆動部材416aに連結されている歯車部材416bと、駆動部材416aおよび歯車部材416bを支持している取り付けプレート416cとを含む。1対のプランジャーアセンブリ418の各プランジャーアセンブリは、ばね418bを受け取るプランジャー418aを含み、このばね418bは、カートリッジアセンブリ420への締め具カートリッジ420aの固定を容易にするために、プランジャー418aを遠位方向にばね付勢するように機能する。プランジャー418aは、ピンスロット418cを規定し、このピンスロット418cは、アンビル本体410a内に規定されるピンチャネル410h内にピン418dが受け取られた場合、ピン418dを受け取って、各プランジャーアセンブリを1対のプランジャーボア410fのそれぞれの1つの中に固定する。
【0033】
下顎部材420は、締め具カートリッジ420aを選択的に受け取るように構成され、適合されている。締め具カートリッジ420aは、組織係合表面423aを含み、この組織係合表面423aは、複数の列の締め具保持スロット423bを規定し、複数の列の締め具保持スロット423bは、複数の締め具「F」(および示されていないが、当業者によって認識され得る複数のステープルプッシャー)を支持するように適合されている。締め具カートリッジ420aは、長手方向に延びているナイフスロット423cも含み、この長手方向に延びているナイフスロット423cは、締め具保持スロット423bの列の対の間に配置され、駆動梁426が、長手方向に延びているナイフスロット423cを通って軸方向に並進することを可能にするように適合されている。
【0034】
下顎部材420は、チャネルの形態での取り付け部材420bを含み、この取り付け部材420bは、締め具カートリッジ420aおよび基材部材420cを支持し、この基材部材420cは、取り付け部材420bに連結可能である。取り付け部材420bは、1対のウイング421aを有する取り付け本体421を含み、この1対のウイング421aは、取り付け本体421から近位方向に延びている。1対のウイング421aは、それを通して締め具チャネル421bを規定し、この締め具チャネル421bは、締め具440を受け取るような寸法にされており、締め具440は、上顎部材410を下顎部材420に固定するために、上顎部材410中に規定される1対の通路410iの中へ前進させられる。スロット421cおよびねじ通路421dは、取り付け本体421のプレート421eの中に規定され、このプレート421eは、1対のウイング421aに隣接して位置決めされている。
【0035】
作動そり422は、当業者が認識するように、下顎部材420によって支持されており、締め具カートリッジ420aを通って前進して、締め具カートリッジ420a内に支持されている複数の締め具を発射するように適合されている。下顎部材420は、その中に駆動ねじ424を回転可能に支持し、この駆動ねじ424は、下顎部材420の長さ全体を実質的に延びている。駆動ねじ424は、駆動梁426とねじ式に係合され、駆動梁426は、より詳細に下に記載されるように、駆動ねじ424の回転に応答して、下顎部材420において、近位位置と遠位位置との間で軸方向にスライド可能に支持されている。駆動ねじ424は、多面ヘッド424aと、それらの間に環状チャネル424cを規定する1対の保持部材424bと、遠位方向に延びているねじ式シャフト424dとを含む。駆動ねじ424は、ねじ通路421dを通って延び、ブラケット428(ブラケット428は、それを通してU字形のチャネル428aを規定する)は、ブラケット428がスロット421cの中に受け取られて、環状チャネル424c内に位置決めされた場合に、駆動ねじ424を取り付け部材420bに固定する。ブラケット428および取り付け部材420bは、駆動ねじ424が回転することを可能にしながら、駆動ねじ424を下顎部材420中に軸方向および側方に固定するように協働する。
【0036】
駆動梁426は、実質的にI字形の断面プロフィールを有し、この断面プロフィールは、駆動梁426が締め具カートリッジ420aにおけるナイフスロット423cを通って移動する場合に、下顎部材420と上顎部材410とを次第に接近させるように構成されている。駆動梁426は、作動そり422を下顎部材420を通して軸方向に変位させるように機能し、内部がねじ式のボア426fを有する保持フット426aと、保持フット426a上に支持されている垂直に向けられている支持支柱426bと、支持支柱426bの上に形成されている側方に突出している部材426cとを含む。側方に突出している部材426cは、その上方表面に形成されている切欠き426dを規定する。垂直に向けられている支持支柱426bは、そこにナイフ426eを支持し、このナイフ426eは、組織を切断するように適合されている。
【0037】
図5は、取り付け部分430が上顎部材410の近位端部分に固定されていることを例示している。取り付け部分430は、第1の部材432と、第2の部材434と、第3の部材436とを含み、第1の部材432、第2の部材434、および第3の部材436は、一緒に連結され、ばねアセンブリ438を支持する。ばねアセンブリ438は、プランジャー438aと、ばね438bとを含む。
【0038】
次に図6および図7を参照すると、エンドエフェクター400は、エンドエフェクター400を通して規定される長手方向軸「X2」に対して、上顎部材410が下顎部材420から間隔が空けられている最初の状態および/または接近させられていない状態で示されている。接近させられていない状態において、下顎部材420は、上顎部材410に対して鋭角(例えば、15度)で位置決めされており、駆動ねじ424は、取り付け部分430に対して鋭角で配置されており、駆動ねじ424のヘッド424aは、駆動部材416aによって規定されるボア416d内で、鋭角で支持されている。
【0039】
図7に示されるように、エンドエフェクター400が接近させられていない状態にある場合、板ばね412aの係合先端412dとの接触を通して、板ばねアセンブリ412によってレバー414aに適用されるばね付勢力に起因して、レバー414aは、拡張位置に配置されている。駆動梁426は、最近位位置に配置されており、板ばねアセンブリ412の板ばね412aは、曲げられていない状態で配置されている。レバー414aの拡張位置において、レバー414aの遠位先端414bは、駆動梁426の側方に突出している部材426cの切欠き426dの中に配置されている。
【0040】
図8および図9を参照すると、駆動部材416aの回転は、駆動ねじ424のヘッド424aを回転させ、このヘッド424aは、駆動ねじ424に回転を伝える。1対の保持部材424bは、駆動部材416aが駆動ねじ424に回転移動を伝える場合、駆動ねじ424を長手方向に固定されている状態に維持する。駆動ねじ424が駆動梁426の保持フット426aとねじ式に係合されている状態で、駆動ねじ424の回転移動は、矢印「A」によって示されるように、駆動梁426を遠位方向に並進させる。この点において、レバー414aの遠位先端414bは、駆動梁426の切欠き側壁426gを係合し、駆動梁426の遠位方向の並進を防止し、下顎部材420が、上顎部材410に対して、矢印「B」によって示される方向に旋回軸「P」の周りを旋回することをもたらし、この旋回軸「P」は、駆動ねじ424のヘッド424aを横方向に通って規定される。下顎部材420が上顎部材410に向かって旋回し、上顎部材410と下顎部材420とを閉じる場合、および/または接近させる場合、駆動梁426は、レバー414aの底部表面を係合し、その結果、レバー414aは、板ばねアセンブリ412の係合先端412dを通してレバー414aの頂部表面に適用されるばね付勢力に対抗して、矢印「B」によって示される方向に上顎部材410に向かって反時計回り(エンドエフェクター400の反対側から見られると時計回りではあるが、図9に例示されるように)に旋回する。上顎部材410の方へのレバー414aの旋回移動に応答して、板ばね412aは、曲げられた状態へ矢印「B」によって示される方向に曲がり始め、その結果、板ばね412aは、上顎部材410に向かって締め具412cに対して時計回り(エンドエフェクター400の反対側から見られると反時計回りではあるが、図9に例示されるように)に旋回する。
【0041】
図10および図11に見られるように、駆動ねじ424のさらなる回転移動は、レバー414aを旋回させ、その結果、レバー414aの遠位先端414bは、切欠き426aから分離し、レバー414aが後退位置に向かって旋回することを可能にし、上顎部材410および下顎部材420が接近させられた状態に位置決めされるまで、下顎部材420が、矢印「C」によって示されるように、上顎部材410に向かって引き続き旋回することを可能にする。レバー414aの遠位先端414bと駆動梁426の切欠き426aとが分離すると、駆動ねじ424の引き続きの回転移動は、レバー414aの下の駆動梁426を、レバー414aまたはレバーアセンブリ414の底部表面に沿って、矢印「A」によって示されるように遠位方向に並進させる。駆動梁426の遠位方向の並進は、レバー414aを、遠位先端414bが板ばね412a沿いの点412eにおいて板ばね412aの底部表面を係合している後退位置に駆動し、係合先端412dをレバー414aの頂部表面から分離させる。
【0042】
図12および図13を参照すると、上顎部材410および下顎部材420が接近させられた状態にある場合、下顎部材420は、上顎部材410と平行に位置決めされており、駆動ねじ424のヘッド424aは、駆動ねじ424が上顎部材410に対して平行であるように、駆動部材416aのボア416d内に支持されている。接近させられた状態において、駆動ねじ424の引き続きの回転は、矢印「A」によって示されるように、エンドエフェクター400の遠位端部分に向かって、エンドエフェクター400を通して駆動梁426を遠位方向に並進させる。レバーアセンブリ414を越えて遠位方向に駆動梁426を並進させると、板ばねアセンブリ412は、レバーアセンブリ414を拡張位置に押し付ける。駆動ねじ424の引き続きの回転は、締め具カートリッジ420a内に貯蔵されている複数の締め具を組織に固定するために発射する作動そり422を、締め具カートリッジ420aを通して前進させる。
【0043】
次に、駆動ねじ424は、逆の方向に回転させられて、最近位位置へ駆動梁426を近位方向に後退させ得る。より詳しくは、駆動梁426は、駆動梁426がレバーアセンブリ414を係合するまで近位方向に後退させられ、レバーアセンブリ414は、板ばねアセンブリ412のばね付勢下で、上顎部材410および下顎部材420を離れるように押し付け、その結果、上顎部材410および下顎部材420は、図6に示されるような最初の状態または接近させられていない状態で配置される。次に、締め具カートリッジ420aは、所望される場合、除去、処分、および/または交換され得、上に記載されるエンドエフェクター400の動作は、下顎部材420中に装填される新しい発射されていない締め具カートリッジ420aを用いて、必要に応じて繰り返され得る。
【0044】
実施形態において、エンドエフェクター400は、1つ以上のコンピューターまたはマイクロチップ(示されない)を支持し、1つ以上のコンピューターまたはマイクロチップは、信号または識別コードを、外科手術器具100のコントローラーおよび/または回路基板に電気的に通信する。信号または識別コードは、締め具カートリッジ420aまたはその部分が、少なくとも部分的に発射されているかどうかなどを示し得る。チップは、特定の仕様(例えば、カートリッジサイズ、ステープル配置、ステープル長、締め付け距離)を記憶し得る。チップは、空のエンドエフェクターまたは以前に使用されたエンドエフェクターの再使用を防止するために、エンドエフェクターが使用されたことを示すコードを記憶し得る。チップは、エンドエフェクターに対して独特な識別コードを記憶し得る。チップ上の情報は、改ざんを防止するために暗号化され得る。1つ以上のコンピューターまたはマイクロチップを支持している例示的なエンドエフェクターの詳細な議論について、2013年8月16日に出願された米国特許出願第13/968,563号(H−US−03833)が参照され得、その内容全体は、本明細書中で参考として援用される。
【0045】
本明細書中に特に記載され、添付の図面に示される構造および方法が、非限定的な例示的実施形態であること、ならびに記載、開示、および図面が、単に特定の実施形態の例証であると解釈されるべきであることを当業者は理解する。従って、本開示は、記載される正確な実施形態に限定されないこと、ならびに様々な他の変化および改変が、本開示の範囲または趣旨から外れることなく、当業者によって達成され得ることが理解されるべきである。さらに、特定の実施形態に関して示されるか、または記載される要素および特徴が、本開示の範囲から外れることなく、特定の他の実施形態の要素および特徴と組み合わせられ得、そのような改変およびバリエーションはまた、本開示の範囲内に含まれる。従って、本開示の主題は、特に示され、記載されたことによって限定されない。
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