特許第6497925号(P6497925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6497925ポンプ装置、船外機のチルト・トリム装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497925
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】ポンプ装置、船外機のチルト・トリム装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20190401BHJP
   B63H 20/08 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   F15B11/02 B
   B63H20/08 510
【請求項の数】3
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-254135(P2014-254135)
(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公開番号】特開2016-114188(P2016-114188A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146010
【氏名又は名称】株式会社ショーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】筒井 隼人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貴彦
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6449641(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0095060(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0145588(US,A1)
【文献】 特開2014−177173(JP,A)
【文献】 特開2003−013906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00−11/22
B63H 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が貯留されるタンクと、
前記作動流体を吐出する第1吐出部と前記作動流体を吐出する第2吐出部とを有する第1ポンプと、
第1室と第2室とに区画されるシリンダの前記第1室と前記第1吐出部とを接続する第1流路と、
前記シリンダの前記第2室と前記第2吐出部とを接続する第2流路と、
前記作動流体を吐出する第3吐出部と前記作動流体を吐出する第4吐出部とを有する第2ポンプと、
前記第3吐出部と前記第1流路とを接続する第3流路と、
前記第4吐出部と前記第2流路とを接続する第4流路と、
前記第3流路に設けられ、前記第3吐出部から前記第1流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第1流路から前記第3吐出部への流れを妨げる第1チェックバルブと、
前記第4流路に設けられ、前記第4吐出部から前記第2流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第2流路から前記第4吐出部への流れを妨げる第2チェックバルブと、
前記第1流路から分岐して、前記タンクに接続される第5流路と、
前記第2流路から分岐して、前記タンクに接続される第6流路と、
前記第5流路に設けられ、前記第6流路の圧力を受けて前記第5流路を開放する第5流路開閉弁と、
前記第6流路に設けられ、前記第5流路の圧力を受けて前記第6流路を開放する第6流路開閉弁と、
を備えるポンプ装置。
【請求項2】
シリンダと、前記シリンダの内部を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに端部が固定され、前記シリンダから延出するピストンロッドとを備えるシリンダ装置と、
作動流体を前記シリンダ装置の内部へ供給することにより前記シリンダ装置を伸縮させるポンプ装置と、
を備え、
前記シリンダ装置は、伸縮に応じて、船体の推進力を発生する船外機本体の前記船体に対する傾斜角度を変更する傾斜角度変更部を備え、
前記ポンプ装置は、
作動流体が貯留されるタンクと、
前記作動流体を吐出する第1吐出部と前記作動流体を吐出する第2吐出部とを有する第1ポンプと、
前記シリンダ装置の前記第1室と前記第1吐出部とを接続する第1流路と、
前記シリンダ装置の前記第2室と前記第2吐出部とを接続する第2流路と、
前記作動流体を吐出する第3吐出部と前記作動流体を吐出する第4吐出部とを有する第2ポンプと、
前記第3吐出部と前記第1流路とを接続する第3流路と、
前記第4吐出部と前記第2流路とを接続する第4流路と、
前記第3流路に設けられ、前記第3吐出部から前記第1流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第1流路から前記第3吐出部への流れを妨げる第1チェックバルブと、
前記第4流路に設けられ、前記第4吐出部から前記第2流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第2流路から前記第4吐出部への流れを妨げる第2チェックバルブと、
前記第1流路から分岐して、前記タンクに接続される第5流路と、
前記第2流路から分岐して、前記タンクに接続される第6流路と、
前記第5流路に設けられ、前記第6流路の圧力を受けて前記第5流路を開放する第5流路開閉弁と、
前記第6流路に設けられ、前記第5流路の圧力を受けて前記第6流路を開放する第6流路開閉弁と、
を備える船外機のチルト・トリム装置。
【請求項3】
シリンダと、前記シリンダの内部を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに端部が固定され、前記シリンダから延出するピストンロッドとを備えるシリンダ装置と、
作動流体を前記シリンダ装置の内部へ供給することにより前記シリンダ装置を伸縮させるポンプ装置と、
を備え、
前記シリンダ装置は、伸縮に応じて、船体の推進力を発生する船外機本体の前記船体に対する傾斜角度を変更する傾斜角度変更部を備え、
前記ポンプ装置は、
作動流体が貯留されるタンクと、
前記作動流体を吐出する第1吐出部と前記作動流体を吐出する第2吐出部とを有する第1ポンプと、
前記シリンダ装置の前記第1室と前記第1吐出部とを接続する第1流路と、
前記シリンダ装置の前記第2室と前記第2吐出部とを接続する第2流路と、
前記作動流体を吐出する第3吐出部と前記作動流体を吐出する第4吐出部とを有する第2ポンプと、
前記第3吐出部と前記第1流路とを接続する第3流路と、
前記第4吐出部と前記第2流路とを接続する第4流路と、
前記第3流路に設けられ、前記第3吐出部から前記第1流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第1流路から前記第3吐出部への流れを妨げる第1チェックバルブと、
前記第4流路に設けられ、前記第4吐出部から前記第2流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第2流路から前記第4吐出部への流れを妨げる第2チェックバルブと、
前記第1流路と前記第2流路とに接続されるとともに前記タンクに接続されたタンク流路に接続され、前記第1流路および前記第2流路のいずれか一方の流路の圧力が所定圧力よりも高い場合には他方の流路を前記タンク流路へ接続する接続弁と、
を備え、
前記第3流路から分岐して前記タンクに至る第3流路分岐路と、
前記第3流路分岐路に設けられ、前記第2室の圧力が所定圧力よりも高い場合に前記第3流路分岐路を開放する第3流路分岐路開閉弁と、
をさらに備える船外機のチルト・トリム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置、船外機のチルト・トリム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、船外機のチルト・トリム角を油圧シリンダで調整する技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載のチルト・トリム装置は、シリンダ内に、ピストンロッドの一端部に固定されたピストンが摺動自在に配設されるとともに、作動油が充填される油圧シリンダ装置と、作動油を貯溜可能とするタンク装置と、タンク装置内の作動油を油圧シリンダ装置内へ給排して、この油圧シリンダ装置を伸縮作動させるポンプ装置とを有し、油圧シリンダ装置の伸縮作動により推進ユニットをチルト・トリムが操作させる。シリンダ装置は、内シリンダ内にピストンが摺動自在に収容されるとともに、作動油が充填される。内シリンダ内は、ピストンにより、ピストンロッドを収容するロッド側室と、ピストンロッドを収容しないピストン側室とに区画される。そして、油圧シリンダ装置のピストン側室又はロッド側室に、ポンプ装置のギアポンプから作動油が給排されることにより、油圧シリンダ装置が伸縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−34293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
船舶の船体に対する船外機本体の傾斜角度をシリンダ装置の伸縮にて変更するチルト・トリム装置は、船舶が航走している場合には、船体に対する船外機本体の傾斜角度を微調整し易いように、傾斜角度の変更(シリンダ装置の伸縮)を低速で行えることが望ましい。他方、船舶が停止している場合には、船外機本体を水中から素早く出したり、船外機本体を水中に素早くつけたりすることができるように、傾斜角度の変更(シリンダ装置の伸縮)を高速で行えることが望ましい。すなわち、傾斜角度の変更(シリンダ装置の伸縮)の作動速度を状況に応じて変化させることができることが望ましい。加えて、傾斜角度の変更(シリンダ装置の伸縮)の作動速度を変化させることを簡易な構成かつ高効率で行えることが望ましい。
【0005】
本発明は、簡易な構成かつ高効率でシリンダ装置の伸縮の作動速度を状況に応じて変化させることができるポンプ装置を提供することを目的とする。また、簡易な構成かつ高効率で傾斜角度の変更の作動速度を状況に応じて変化させることができる船外機のチルト・トリム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、作動流体が貯留されるタンクと、前記作動流体を吐出する第1吐出部と前記作動流体を吐出する第2吐出部とを有する第1ポンプと、第1室と第2室とに区画されるシリンダの前記第1室と前記第1吐出部とを接続する第1流路と、前記シリンダの前記第2室と前記第2吐出部とを接続する第2流路と、前記作動流体を吐出する第3吐出部と前記作動流体を吐出する第4吐出部とを有する第2ポンプと、前記第3吐出部と前記第1流路とを接続する第3流路と、前記第4吐出部と前記第2流路とを接続する第4流路と、前記第3流路に設けられ、前記第3吐出部から前記第1流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第1流路から前記第3吐出部への流れを妨げる第1チェックバルブと、前記第4流路に設けられ、前記第4吐出部から前記第2流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第2流路から前記第4吐出部への流れを妨げる第2チェックバルブと、前記第1流路から分岐して、前記タンクに接続される第5流路と、前記第2流路から分岐して、前記タンクに接続される第6流路と、前記第5流路に設けられ、前記第流路の圧力を受けて前記第5流路を開放する第5流路開閉弁と、前記第6流路に設けられ、前記第流路の圧力を受けて前記第6流路を開放する第6流路開閉弁と、を備えるポンプ装置である。
【0010】
また、他の観点から捉えると、本発明は、シリンダと、前記シリンダの内部を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに端部が固定され、前記シリンダから延出するピストンロッドとを備えるシリンダ装置と、作動流体を前記シリンダ装置の内部へ供給することにより前記シリンダ装置を伸縮させるポンプ装置と、を備え、前記シリンダ装置は、伸縮に応じて、船体の推進力を発生する船外機本体の前記船体に対する傾斜角度を変更する傾斜角度変更部を備え、前記ポンプ装置は、作動流体が貯留されるタンクと、前記作動流体を吐出する第1吐出部と前記作動流体を吐出する第2吐出部とを有する第1ポンプと、前記シリンダ装置の前記第1室と前記第1吐出部とを接続する第1流路と、前記シリンダ装置の前記第2室と前記第2吐出部とを接続する第2流路と、前記作動流体を吐出する第3吐出部と前記作動流体を吐出する第4吐出部とを有する第2ポンプと、前記第3吐出部と前記第1流路とを接続する第3流路と、前記第4吐出部と前記第2流路とを接続する第4流路と、前記第3流路に設けられ、前記第3吐出部から前記第1流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第1流路から前記第3吐出部への流れを妨げる第1チェックバルブと、前記第4流路に設けられ、前記第4吐出部から前記第2流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第2流路から前記第4吐出部への流れを妨げる第2チェックバルブと、前記第1流路から分岐して、前記タンクに接続される第5流路と、前記第2流路から分岐して、前記タンクに接続される第6流路と、前記第5流路に設けられ、前記第流路の圧力を受けて前記第5流路を開放する第5流路開閉弁と、前記第6流路に設けられ、前記第流路の圧力を受けて前記第6流路を開放する第6流路開閉弁と、を備える船外機のチルト・トリム装置である。
【0011】
また、他の観点から捉えると、本発明は、シリンダと、前記シリンダの内部を第1室と第2室とに区画するピストンと、前記ピストンに端部が固定され、前記シリンダから延出するピストンロッドとを備えるシリンダ装置と、作動流体を前記シリンダ装置の内部へ供給することにより前記シリンダ装置を伸縮させるポンプ装置と、を備え、前記シリンダ装置は、伸縮に応じて、船体の推進力を発生する船外機本体の前記船体に対する傾斜角度を変更する傾斜角度変更部を備え、前記ポンプ装置は、作動流体が貯留されるタンクと、前記作動流体を吐出する第1吐出部と前記作動流体を吐出する第2吐出部とを有する第1ポンプと、前記シリンダ装置の前記第1室と前記第1吐出部とを接続する第1流路と、前記シリンダ装置の前記第2室と前記第2吐出部とを接続する第2流路と、前記作動流体を吐出する第3吐出部と前記作動流体を吐出する第4吐出部とを有する第2ポンプと、前記第3吐出部と前記第1流路とを接続する第3流路と、前記第4吐出部と前記第2流路とを接続する第4流路と、前記第3流路に設けられ、前記第3吐出部から前記第1流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第1流路から前記第3吐出部への流れを妨げる第1チェックバルブと、前記第4流路に設けられ、前記第4吐出部から前記第2流路への前記作動流体の流れを許容するとともに前記第2流路から前記第4吐出部への流れを妨げる第2チェックバルブと、前記第1流路と前記第2流路とに接続されるとともに前記タンクに接続されたタンク流路に接続され、前記第1流路および前記第2流路のいずれか一方の流路の圧力が所定圧力よりも高い場合には他方の流路を前記タンク流路へ接続する接続弁と、を備え、前記第3流路から分岐して前記タンクに至る第3流路分岐路と、前記第3流路分岐路に設けられ、前記第2室の圧力が所定圧力よりも高い場合に前記第3流路分岐路を開放する第3流路分岐路開閉弁と、をさらに備える船外機のチルト・トリム装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成かつ高効率でシリンダ装置の伸縮の作動速度を状況に応じて変化させることができるポンプ装置を提供することができる。また、簡易な構成かつ高効率で傾斜角度の変更の作動速度を状況に応じて変化させることができる船外機のチルト・トリム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係るチルト・トリム装置が適用される船外機の概略構成図である。
図2】チルト・トリム装置の外観図である。
図3】チルト・トリム装置の部分断面図である。
図4】第1実施形態に係るポンプ装置の油圧回路である。
図5】船舶の停船時に、船体に対する船外機本体の傾斜角度を小さくするべくモータを正転させた場合のオイルの流れを示す図である。
図6】船舶の停船時に、船体に対する船外機本体の傾斜角度を大きくするべくモータを逆転させた場合のオイルの流れを示す図である。
図7】船舶の航走時に、船体に対する船外機本体の傾斜角度を小さくするべくモータを正転させた場合のオイルの流れを示す図である。
図8】船舶の航走時に、船体に対する船外機本体の傾斜角度を大きくするべくモータを逆転させた場合のオイルの流れを示す図である。
図9】第2実施形態に係るポンプ装置の油圧回路である。
図10】船舶の航走時に、船体に対する船外機本体の傾斜角度を大きくするべくモータを逆転させた場合のオイルの流れを示す図である。
図11】第3実施形態に係るポンプ装置の油圧回路である。
図12】船舶の停船時に、船体に対する船外機本体の傾斜角度を小さくするべくモータを正転させた場合のオイルの流れを示す図である。
図13】船舶の停船時に、船体に対する船外機本体の傾斜角度を大きくするべくモータを逆転させた場合のオイルの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るチルト・トリム装置1が適用される船外機10の概略構成図である。
船外機10は、船舶の船体2に対して推進力を発生する船外機本体10aと、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θを調整するチルト・トリム装置1とを備えている。
【0015】
<船外機本体10aの概略構成>
船外機本体10aは、クランク軸(不図示)の軸方向が水面に対して垂直方向(図1では上下方向)に向くように置かれたエンジン(不図示)と、そのクランク軸の下端に回転一体に連結されて鉛直下方に延びるドライブ軸(不図示)とを有する。また、船外機本体10aは、このドライブ軸とべべルギヤ機構を介して連結されたプロペラ軸11と、このプロペラ軸11の後端に装着されたプロペラ12とを有する。
【0016】
また、船外機本体10aは、水面に対して垂直方向(図1では上下方向)に設けられたスイベルシャフト(不図示)と、水面に対して水平方向に設けられた水平軸14と、スイベルシャフトが回動自在に収容されるスイベルケース15とを有している。スイベルケース15は、チルト・トリム装置1の後述するシリンダ装置50のシリンダ51のピン孔53aとピン(不図示)により連結される。
【0017】
<チルト・トリム装置1の概略構成>
図2は、チルト・トリム装置1の外観図である。
図3は、チルト・トリム装置1の部分断面図である。
チルト・トリム装置1は、図2図3に示すように、作動流体の一例であるオイルの供給、排出によって伸縮するシリンダ装置50と、オイルを吐出するポンプ装置100と、ポンプ装置100を駆動するモータ70とを備えている。
【0018】
また、チルト・トリム装置1は、船外機本体10aのスイベルケース15を船体2に接続するスターンブラケット16(図1参照)を備えている。スターンブラケット16は、後述するピストンロッド53のピン孔51bとピン(不図示)により連結される。
【0019】
(シリンダ装置50)
シリンダ装置50は、図3に示すように、軸心CL方向に延びたシリンダ51と、シリンダ51の内部に配置されて、シリンダ51の内部空間を第1室Y1と第2室Y2とに区画するピストン52とを備えている。また、シリンダ装置50は、ピストン52を軸心CL方向の一端部に保持して、ピストン52とともに、シリンダ51に対して軸心CL方向に移動するピストンロッド53を備えている。
以下では、シリンダ51の軸心CL方向における方向を示す場合には、図3中下方を「下方」と称し、図3中上方を「上方」と称する場合もある。
【0020】
シリンダ装置50は、第1室Y1にオイルが供給されると縮み、第2室Y2にオイルが供給されると伸びる。シリンダ装置50は、伸びる場合には第1室Y1からオイルを排出し、縮む場合には第2室Y2からオイルを排出する。
【0021】
シリンダ装置50は、シリンダ51の下方に突出部51aを有しており、突出部51aには、船外機本体10aのスターンブラケット16に接続するためのピン(不図示)が挿入されるピン孔51bが形成されている。また、ピストンロッド53の上端には、船外機本体10aのスイベルケース15に接続するためのピン(不図示)が挿入されるピン孔53aが形成されている。
【0022】
シリンダ51の下方に形成されたピン孔51bを介してシリンダ装置50がスターンブラケット16に連結され、ピストンロッド53に形成されたピン孔53aを介してシリンダ装置50がスイベルケース15に連結された状態で、シリンダ装置50が伸縮することで、スターンブラケット16とスイベルケース15との間の距離が変化する。そして、スターンブラケット16とスイベルケース15との間の距離が変化することで、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θが変化する。つまり、シリンダ51の下方に形成されたピン孔51b、ピストンロッド53に形成されたピン孔53aは、シリンダ装置50の伸縮に応じて、船体2の推進力を発生する船外機本体10aの船体2に対する傾斜角度θを変更する傾斜角度変更部の一例として機能する。
【0023】
(ポンプ装置100)
ポンプ装置100は、作動流体の一例としてのオイルを貯留するタンク180と、タンク180に配置されるとともにタンク180に貯留されたオイルを吐出するポンプ103(図4参照)とを備えている。
【0024】
((タンク180))
タンク180は、図3に示すように、ハウジング181と、ハウジング181とモータ70とによって囲まれた空間であるタンク室182とを有している。
本実施の形態に係るハウジング181は、図3に示すように、上方が開口した有底円筒状であり、シリンダ装置50のシリンダ51と一体的に形成されている。そして、シリンダ51とハウジング181との間には、後述する第1流路111および第2流路112を構成する孔が形成されている。
【0025】
また、ハウジング181の上方には、図3に示すように、上部の開口を液密に塞ぐようにモータ70が固定されている。モータ70は、駆動軸71がタンク室182に配置されたポンプ103(図4参照)に連結されており、回転駆動することによりポンプ103を回転駆動する。
なお、タンク180は、シリンダ装置50のシリンダ51に、ボルトなどの締付部材にて締め付けられていてもよい。
【0026】
〔第1実施形態〕
図4は、第1実施形態に係るポンプ装置100の油圧回路である。
((ポンプ103))
ポンプ103は、図4に示すように、タンク180に貯留されたオイルを吐出する第1吐出部101aとオイルを吐出する第2吐出部101bとを有する第1ポンプ101と、オイルを吐出する第3吐出部102aとオイルを吐出する第4吐出部102bとを有する第2ポンプ102とを備えている。
【0027】
第1ポンプ101および第2ポンプ102は、モータ70により回転駆動される一対のギヤからなるギヤポンプであることを例示することができる。第1ポンプ101および第2ポンプ102は、モータ70が回転駆動すると、一緒に回転する。
ポンプ103は、モータ70が正転すると、第1ポンプ101の第1吐出部101aおよび第2ポンプ102の第3吐出部102aからオイルを吐出する。他方、ポンプ103は、モータ70が逆転すると、第1ポンプ101の第2吐出部101bおよび第2ポンプ102の第4吐出部102bからオイルを吐出する。
【0028】
((ポンプ装置100の流路、弁の配置))
図4に示すように、ポンプ装置100は、シリンダ装置50の第1室Y1と第1ポンプ101の第1吐出部101aとを接続する第1流路111と、シリンダ装置50の第2室Y2と第1ポンプ101の第2吐出部101bとを接続する第2流路112とを備えている。
【0029】
第1流路111は、後述する切替弁150とシリンダ装置50の第1室Y1とを接続するシリンダ側第1流路111aと、切替弁150と第1ポンプ101の第1吐出部101aとを接続するポンプ側第1流路111bとを有する。
第2流路112は、切替弁150とシリンダ装置50の第2室Y2とを接続するシリンダ側第2流路112aと、切替弁150と第1ポンプ101の第2吐出部101bとを接続するポンプ側第2流路112bと、シリンダ側第2流路112aから分岐したシリンダ側第2流路分岐路112cとを有する。
【0030】
また、ポンプ装置100は、シリンダ装置50の第1室Y1と第2ポンプ102の第3吐出部102aとを接続する第3流路113と、シリンダ装置50の第2室Y2と第2ポンプ102の第4吐出部102bとを接続する第4流路114とを備えている。
本実施の形態においては、第3流路113は、第1流路111を介してシリンダ装置50の第1室Y1に接続され、第4流路114は、第2流路112を介してシリンダ装置50の第2室Y2に接続されている。
【0031】
また、ポンプ装置100は、第3流路113に設けられ、第2ポンプ102の第3吐出部102aから第1流路111へのオイルの流れを許容するとともに第1流路111から第3吐出部102aへの流れを妨げる第1チェックバルブ131を備えている。
また、ポンプ装置100は、第4流路114に設けられ、第2ポンプ102の第4吐出部102bから第2流路112へのオイルの流れを許容するとともに第2流路112から第4吐出部102bへの流れを妨げる第2チェックバルブ132を備えている。
【0032】
また、ポンプ装置100は、第3流路113とタンク180とを接続し、タンク180に貯められたオイルを第3吐出部102aまで流通させる第1吸入路121を備えている。
また、ポンプ装置100は、第4流路114とタンク180とを接続し、タンク180に貯められたオイルを第4吐出部102bまで流通させる第2吸入路122とを備えている。
【0033】
また、ポンプ装置100は、第1吸入路121に設けられ、タンク180から第2ポンプ102の第3吐出部102aへのオイルの流れを許容するとともに第3吐出部102aからタンク180への流れを妨げる第3チェックバルブ133を備えている。
また、ポンプ装置100は、第2吸入路122に設けられ、タンク180から第2ポンプ102の第4吐出部102bへのオイルの流れを許容するとともに第4吐出部102bからタンク180への流れを妨げる第4チェックバルブ134を備えている。
【0034】
また、ポンプ装置100は、第1流路111から分岐してタンク180に接続される第5流路115と、第5流路115に設けられ、後述する第6流路116の圧力を受けて第5流路115を開放する第5流路開閉弁141とを備えている。
また、ポンプ装置100は、第2流路112から分岐してタンク180に接続される第6流路116と、第6流路116に設けられ、第5流路115の圧力を受けて第6流路116を開放する第6流路開閉弁142とを備えている。
第5流路開閉弁141、第6流路開閉弁142については後で詳述する。
【0035】
第5流路115は、第1流路111と第5流路開閉弁141とを接続するポンプ側第5流路115aと、第5流路開閉弁141とタンク180とを接続するタンク側第5流路115bとを有する。
第6流路116は、第2流路112と第6流路開閉弁142とを接続するポンプ側第6流路116aと、第6流路開閉弁142とタンク180とを接続するタンク側第6流路116bとを有する。
【0036】
また、ポンプ装置100は、第1流路111のポンプ側第1流路111bから分岐してタンク180に接続される第7流路117と、第2流路112のポンプ側第2流路112bから分岐してタンク180に接続される第8流路118とを備えている。
【0037】
また、ポンプ装置100は、第7流路117に設けられ、第7流路117のオイルの圧力が予め設定された第7所定圧力よりも高い場合に開き、ポンプ側第1流路111bのオイルを、第7流路117を介してタンクに逃がす第7流路開閉弁143を備えている。第7流路117のオイルの圧力が第7所定圧力よりも高くなる場合としては、シリンダ装置50の第1室Y1にオイルが供給されてシリンダ装置50が伸縮範囲の最小限まで縮んだ後も、ポンプ103の回転が止まらずに、第1流路111にオイルが供給され続ける場合である。
【0038】
また、ポンプ装置100は、第8流路118に設けられ、第8流路118のオイルの圧力が予め設定された第8所定圧力よりも高い場合に開き、ポンプ側第2流路112bのオイルを、第8流路118を介してタンクに逃がす第8流路開閉弁144を備えている。第8流路118のオイルの圧力が第8所定圧力よりも高くなる場合としては、シリンダ装置50の第2室Y2にオイルが供給されてシリンダ装置50が伸縮範囲の最大限まで伸びた後もポンプ103の回転が止まらずに、第2流路112にオイルが供給され続ける場合などである。
【0039】
また、ポンプ装置100は、第3流路113から分岐してタンク180に接続される第3流路分岐路の一例としての第9流路119と、第9流路119に設けられ、第2流路112の圧力を受けて第9流路119を開放する第3流路分岐路開閉弁の一例としての第9流路開閉弁145とを備えている。
第9流路119は、第9流路開閉弁145と第3流路113とを接続するポンプ側第9流路119aと、第9流路開閉弁145とタンク180とを接続するタンク側第9流路119bとを有する。
第9流路開閉弁145については後で詳述する。
【0040】
また、ポンプ装置100は、第4流路114から分岐してタンク180に接続される第10流路120と、第10流路120に設けられ、第10流路120のオイルの圧力が予め設定された第10所定圧力よりも高い場合に開き、第10流路120のオイルをタンク180に逃がす第10流路開閉弁146とを備えている。第10流路120のオイルの圧力が第10所定圧力よりも高くなる場合としては、例えば、以下のような場合がある。すなわち、シリンダ装置50の第2室Y2にオイルが供給されてシリンダ装置50が伸縮範囲の最大限まで伸びた後も第2ポンプ102の回転が止まらずに第10流路120にオイルが供給され続ける場合などである。また、船舶の航走時に、シリンダ装置50の第2室Y2のオイルの圧力が、ポンプ103から吐出されたオイルの圧力に加えて船外機10の推力に応じてピストンロッド53がピストン52を第2室Y2に向けて押す圧力が加わっている場合に、第2ポンプ102から第10流路120にオイルが供給されると第10流路120のオイルの圧力が第10所定圧力よりも高くなる。
【0041】
((切替弁150))
ポンプ装置100は、第1流路111と第2流路112とに接続されて、第1ポンプ101から吐出されたオイルの流れの向きを切り替える切替弁150を備えている。
切替弁150は、第1流路111上に設けられた第1開閉弁160と第2流路112上に設けられた第2開閉弁170とを備えている。
第1開閉弁160は、第1作動弁161と第1逆止弁165とを備えている。
第1作動弁161は、第1弁室162内を摺動するスプール163と、スプール163に内蔵された作動弁ボール164とを備えている。第1弁室162はスプール163によって、第1逆止弁165に通じる側のメイン油室166と反対側のサブ油室167とに区画されている。第1流路111のうち第1ポンプ101から第1開閉弁160に通じるポンプ側第1流路111bは、第1開閉弁160のメイン油室166に接続されている。
【0042】
スプール163は、第1逆止弁165に向かって突出し、第1逆止弁165の側に変位したとき第1逆止弁165を押す突起168を有している。また、スプール163には、メイン油室166とサブ油室167とを通じさせる第1孔(不図示)及びサブ油室167と後述する連通路151とを通じさせる第2孔(不図示)が形成されている。
作動弁ボール164は、メイン油室166の圧力がサブ油室167の圧力より高いときは第1孔を開き、メイン油室166の圧力がサブ油室167の圧力より低いときは第1孔を閉じる。
【0043】
第2開閉弁170は、第1開閉弁160と同様の構成である。すなわち、第2開閉弁170は、第2作動弁171と第2逆止弁175とを備えている。第2作動弁171は、第2弁室172内を摺動し、第2逆止弁175を押す突起178が備えられているとともに第1孔(不図示)及び第2孔(不図示)が形成されたスプール173を備えている。また、第2作動弁171は、スプール173に内蔵されメイン油室176とサブ油室177との圧力の高低関係に応じて第1孔を開閉する作動弁ボール174を備えている。第2弁室172はスプール173によって、第2逆止弁175に通じる側のメイン油室176と反対側のサブ油室177とに区画され、第2流路112のうち第1ポンプ101から第2開閉弁170に通じるポンプ側第2流路112bは、第2開閉弁170のメイン油室176に接続されている。
【0044】
また、切替弁150には、第1開閉弁160のサブ油室167と第2開閉弁170のサブ油室177とを連通する連通路151が形成されている。
【0045】
以上のように構成された切替弁150は、ポンプ103の第1吐出部101aおよび/または第3吐出部102aから吐出されたオイルの圧力で第1流路111を開放して第1吐出部101aおよび/または第3吐出部102aから吐出されたオイルを第1室Y1に導く。また、第1吐出部101aおよび/または第3吐出部102aから吐出されたオイルの圧力で第2流路112を開放してシリンダ51の第2室Y2から排出されたオイルを第2吐出部101bに導く。
【0046】
一方、切替弁150は、ポンプ103の第2吐出部101bおよび/または第4吐出部102bから吐出されたオイルの圧力で第2流路112を開放して第2吐出部101bおよび/または第4吐出部102bから吐出されたオイルを第2室Y2に導く。また、第2吐出部101bおよび/または第4吐出部102bから吐出されたオイルの圧力で第1流路111を開放してシリンダ装置50の第1室Y1から排出されたオイルを第1吐出部101aに導く。
【0047】
((第5流路開閉弁141))
第5流路開閉弁141は、弁室141c内を摺動する作動弁141aと、作動弁141aにばね力を作用させるコイルばね141bとを備えている。
作動弁141aには、ポンプ側第5流路115aとタンク側第5流路115bとを連通する連通路141dが形成されている。
弁室141cは、作動弁141aによってコイルばね141bが配置された側のメイン油室141eと反対側のサブ油室141fとに区画されている。そして、サブ油室141fには、第6流路116のポンプ側第6流路116aが接続されている。
【0048】
以上のように構成された第5流路開閉弁141においては、ポンプ側第6流路116aのオイルの圧力が予め設定された第6所定圧力よりも高い場合には、作動弁141aが、コイルばね141bのばね力に抗してメイン油室141e側へ移動する。そして、作動弁141aに形成された連通路141dがポンプ側第5流路115aとタンク側第5流路115bとを連通させる。このように、第5流路開閉弁141は、ポンプ103から吐出されたオイルをパイロットとして用いて、第5流路115を開放する。
【0049】
他方、ポンプ側第6流路116aのオイルの圧力が第6所定圧力以下である場合には、コイルばね141bのばね力により作動弁141aはサブ油室141f側に留まり、連通路141dはポンプ側第5流路115aとタンク側第5流路115bとを連通させない。これにより、第5流路開閉弁141は、第5流路115を閉じる。
【0050】
なお、第6所定圧力は、第1ポンプ101の第2吐出部101bから吐出されたオイルと第2ポンプ102の第4吐出部102bから吐出されたオイルとがともに切替弁150の第2開閉弁170に至っている場合のポンプ側第6流路116aのオイルの圧力よりもやや低い圧力であることを例示することができる。言い換えれば、第1ポンプ101の第2吐出部101bから吐出されたオイルと第2ポンプ102の第4吐出部102bから吐出されたオイルとがともに切替弁150の第2開閉弁170に至っている場合に第5流路開閉弁141が第5流路115を開放するように第6所定圧力を設定することができる。
【0051】
((第6流路開閉弁142))
第6流路開閉弁142は、弁室142c内を摺動する作動弁142aと、作動弁142aにばね力を作用させるコイルばね142bとを備えている。
作動弁142aには、ポンプ側第6流路116aとタンク側第6流路116bとを連通する連通路142dが形成されている。
弁室142cは、作動弁142aによってコイルばね142bが配置された側のメイン油室142eと反対側のサブ油室142fとに区画されている。そして、サブ油室142fには、第5流路115のポンプ側第5流路115aが接続されている。
【0052】
以上のように構成された第6流路開閉弁142においては、ポンプ側第5流路115aのオイルの圧力が予め設定された第5所定圧力よりも高い場合には、作動弁142aが、コイルばね142bのばね力に抗してメイン油室142e側へ移動する。そして、作動弁142aに形成された連通路142dがポンプ側第6流路116aとタンク側第6流路116bとを連通させる。このように、第6流路開閉弁142は、ポンプ103から吐出されたオイルをパイロットとして用いて、第6流路116を開放する。
【0053】
他方、ポンプ側第5流路115aのオイルの圧力が第5所定圧力以下である場合には、コイルばね142bのばね力により作動弁142aはサブ油室142f側に留まり、連通路142dはポンプ側第6流路116aとタンク側第6流路116bとを連通させない。これにより、第6流路開閉弁142は、第6流路116を閉じる。
【0054】
なお、第5所定圧力は、第1ポンプ101の第1吐出部101aから吐出されたオイルと第2ポンプ102の第3吐出部102aから吐出されたオイルとがともに切替弁150の第1開閉弁160に至っている場合のポンプ側第5流路115aのオイルの圧力よりもやや低い圧力であることを例示することができる。言い換えれば、第1ポンプ101の第1吐出部101aから吐出されたオイルと第2ポンプ102の第3吐出部102aから吐出されたオイルとがともに切替弁150の第1開閉弁160に至っている場合に第6流路開閉弁142が第6流路116を開放するように第5所定圧力を設定することができる。
【0055】
((第9流路開閉弁145))
第9流路開閉弁145は、弁室145c内を摺動する作動弁145aと、逆止弁145bとを備えている。
弁室145cは、作動弁145aによって逆止弁145bに通じる側のメイン油室145dと反対側のサブ油室145eとに区画されている。メイン油室145dには、第9流路119のうち第2ポンプ102の第3吐出部102aから第9流路開閉弁145に通じるポンプ側第9流路119aが接続され、サブ油室145eには、第2流路112のシリンダ側第2流路112aから分岐したシリンダ側第2流路分岐路112cが接続されている。
作動弁145aは、逆止弁145bに向かって突出し、逆止弁145bの側に変位したとき逆止弁145bを押す突起145fを有している。
【0056】
以上のように構成された第9流路開閉弁145においては、シリンダ側第2流路112a(シリンダ側第2流路分岐路112c)のオイルの圧力が予め設定された第2所定圧力よりも高い場合には作動弁145aが逆止弁145b側へ移動して作動弁145aの突起145fが逆止弁145bを押し、第9流路119を開放する。
他方、シリンダ側第2流路112a(シリンダ側第2流路分岐路112c)のオイルの圧力が第2所定圧力以下である場合には、作動弁145aは逆止弁145b側へ移動せず、突起145fは逆止弁145bを押さない。そのため、第9流路119は、逆止弁145bにて閉ざされている。
【0057】
なお、第9流路開閉弁145が第9流路119を開放する第2所定圧力は、航走時に、船外機本体10aが推力を受けることに起因してピストンロッド53が縮む方向に力を受け、その力により第2室Y2のオイルが受ける圧力であることを例示することができる。言い換えれば、船舶が航走している場合には第9流路開閉弁145が第9流路119を開放し、船舶が停止している場合には第9流路開閉弁145が第9流路119を開放しないように第2所定圧力を設定するとよい。かかる場合、第9流路開閉弁145は、航走時に船外機本体10aに作用する推力を受けて高圧化した第2室Y2の圧力をパイロット圧として、第9流路119を開放する。
【0058】
<第1実施形態に係るポンプ装置100を有するチルト・トリム装置1の作用・効果>
以下に、図面を用いて、第1実施形態に係るポンプ装置100を有するチルト・トリム装置1の作用及び効果について説明する。
(停船時)
図5は、船舶の停船時に、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θを小さくするべくモータ70を正転させた場合のオイルの流れを示す図である。
モータ70が正転すると、第1ポンプ101の第1吐出部101aから吐出されたオイルは、第1流路111のポンプ側第1流路111bに送出され、切替弁150の第1開閉弁160のメイン油室166へ流入する。また、第2ポンプ102の第3吐出部102aから吐出されたオイルは、第3流路113を介して第1流路111のポンプ側第1流路111bに送出され、第1開閉弁160のメイン油室166へ流入する。そして、メイン油室166の圧力が高くなることで第1逆止弁165が開き、オイルは、第1流路111のシリンダ側第1流路111aに流れる。そして、シリンダ側第1流路111aに流れたオイルは、シリンダ装置50の第1室Y1に流入し、ピストン52を第2室Y2に向けて押す。
【0059】
また、第1開閉弁160のメイン油室166に流入したオイルは、第1作動弁161のスプール163内の作動弁ボール164を開いてサブ油室167に流入する。そして、サブ油室167に流入したオイルは、連通路151を通じて第2開閉弁170のサブ油室177に到達する。第2作動弁171の作動弁ボール174は閉じているため、サブ油室177のオイルは、スプール173をメイン油室176側に押圧する。
【0060】
第2作動弁171がメイン油室176側に移動することで、第2逆止弁175が押されて開き、第2流路112のうち第2開閉弁170からシリンダ装置50の第2室Y2に通じるシリンダ側第2流路112aとポンプ側第2流路112bとが連通する。これにより、ピストン52によって押された側の第2室Y2のオイルは、第2流路112のシリンダ側第2流路112aに排出され、第2流路112のポンプ側第2流路112bを通って第1ポンプ101に戻る。なお、第4流路114には第2チェックバルブ132が設けられているので、第2流路112から第2ポンプ102の第4吐出部102bへのオイルの流れは妨げられる。
【0061】
また、切替弁150の第1開閉弁160のメイン油室166には、第1ポンプ101および第2ポンプ102から吐出されたオイルが流入するため、メイン油室166に接続された第5流路115のオイルの圧力は第5所定圧力よりも高い。そのため、第6流路開閉弁142は、第6流路116を開放する。その結果、第2室Y2から第2流路112のシリンダ側第2流路112aに排出されたオイルは、切替弁150の第2開閉弁170のメイン油室176、第6流路116を介してタンク180に排出される。
【0062】
つまり、第1ポンプ101および第2ポンプ102から吐出されたオイルが第1室Y1に流入したこと及びピストンロッド53が第1室Y1に進入したことにより第2室Y2から第2流路112のシリンダ側第2流路112aにオイルが排出される。そのシリンダ側第2流路112aに排出されたオイルの内、第1ポンプ101の第2吐出部101bに戻る分以外の過剰なオイルが、第6流路116を介してタンク180に排出される。
【0063】
このように、本実施の形態に係るポンプ装置100においては、停船時にモータ70が正転させられると、第1ポンプ101と第2ポンプ102の2つのポンプから吐出されたオイルがシリンダ装置50の第1室Y1に流入する。そのため、シリンダ装置50は、第1室Y1に流入した2つのポンプから吐出されたオイルがピストン52を第2室Y2に向けて押すため、早期に縮む。その結果、本実施の形態に係るチルト・トリム装置1は、停船時に傾斜角度θを迅速に小さくすることができる。従って、使用者は、停船時に、船外機本体10aを水中に素早くつけることができ、船舶を素早く移動させることができる。
【0064】
図6は、船舶の停船時に、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θを大きくするべくモータ70を逆転させた場合のオイルの流れを示す図である。
モータ70が逆転すると、第1ポンプ101の第2吐出部101bから吐出されたオイルは、第2流路112のポンプ側第2流路112bに送出され、切替弁150の第2開閉弁170のメイン油室176へ流入する。また、第2ポンプ102の第4吐出部102bから吐出されたオイルは、第4流路114を介して第2流路112のポンプ側第2流路112bに送出され、第2開閉弁170のメイン油室176へ流入する。そして、メイン油室176の圧力が高くなることで第2逆止弁175が開き、オイルは、第2流路112のシリンダ側第2流路112aに流れる。そして、シリンダ側第2流路112aに流れたオイルは、シリンダ装置50の第2室Y2に流入し、ピストン52を第1室Y1に向けて押す。
【0065】
また、第2開閉弁170のメイン油室176に流入したオイルは、第2作動弁171のスプール173内の作動弁ボール174を開いてサブ油室177に流入する。そして、サブ油室177に流入したオイルは、連通路151を通じて第1開閉弁160のサブ油室167に到達する。第1作動弁161の作動弁ボール164は閉じているため、サブ油室167のオイルは、スプール163をメイン油室166側に押圧する。
【0066】
第1作動弁161がメイン油室166側に移動することで、第1逆止弁165が押されて開き、第1流路111のうち第1開閉弁160からシリンダ装置50の第1室Y1に通じるシリンダ側第1流路111aとポンプ側第1流路111bとが連通する。これにより、ピストン52によって押された側の第1室Y1のオイルは、第1流路111のシリンダ側第1流路111aに排出され、第1流路111のポンプ側第1流路111bを通って第1ポンプ101に戻る。なお、第3流路113には第1チェックバルブ131が設けられているので、第1流路111から第2ポンプ102の第3吐出部102aへのオイルの流れは妨げられる。
【0067】
また、切替弁150の第2開閉弁170のメイン油室176には、第1ポンプ101および第2ポンプ102から吐出されたオイルが流入するため、メイン油室176に接続された第6流路116のオイルの圧力は第6所定圧力よりも高い。そのため、第5流路開閉弁141は、第5流路115を開放する。その結果、第1室Y1から第1流路111のシリンダ側第1流路111aに排出されたオイルは、切替弁150の第1開閉弁160のメイン油室166、第5流路115を介してタンク180に排出される。
【0068】
つまり、第1ポンプ101および第2ポンプ102から吐出され第2室Y2に流入したオイル量の内、ピストンロッド53が第1室Y1から退出した分のオイル量を除いたオイル量が第1室Y1から第1流路111のシリンダ側第1流路111aに排出される。そのシリンダ側第1流路111aに排出されたオイルの内、第1ポンプ101の第1吐出部101aに戻る分以外の過剰なオイルが、第5流路115を介してタンク180に排出される。
【0069】
このように、本実施の形態に係るポンプ装置100においては、停船時にモータ70が逆転させられると、第1ポンプ101と第2ポンプ102の2つのポンプから吐出されたオイルがシリンダ装置50の第2室Y2に流入する。そのため、シリンダ装置50は、第2室Y2に流入した2つのポンプから吐出されたオイルがピストン52を第1室Y1に向けて押すため、早期に伸びる。その結果、本実施の形態に係るチルト・トリム装置1は、停船時に傾斜角度θを迅速に大きくすることができる。従って、使用者は、停船時に、船外機10を水中から素早く出すことができ、船舶を素早く接岸させることができる。
【0070】
(航走時)
図7は、船舶の航走時に、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θを小さくするべくモータ70を正転させた場合のオイルの流れを示す図である。
モータ70が正転すると、第1ポンプ101の第1吐出部101aから吐出されたオイルは、第1流路111のポンプ側第1流路111bに送出され、切替弁150の第1開閉弁160のメイン油室166へ流入する。そして、メイン油室166の圧力が高くなることで第1逆止弁165が開き、オイルは、第1流路111のシリンダ側第1流路111aに流れる。そして、シリンダ側第1流路111aに流れたオイルは、シリンダ装置50の第1室Y1に流入し、ピストン52を第2室Y2に向けて押す。また、船舶が航走時である場合には、シリンダ装置50が、船外機10の推力に応じて、ピストンロッド53の軸方向に縮もうとする方向の力を受けるため、第2室Y2のオイルは、ピストン52により押されて、船外機10の推力相当分、圧力が高くなる。つまり、第2室Y2のオイルの圧力は、第1ポンプ101から吐出されたオイルが第1室Y1に流入してピストン52を押すことに加えて、船外機10の推力に応じてピストンロッド53がピストン52を第2室Y2に向けて押すことにより高くなる。
【0071】
また、第1開閉弁160のメイン油室166に流入したオイルは、第1作動弁161のスプール163内の作動弁ボール164を開いてサブ油室167に流入し、連通路151を通じて第2開閉弁170のサブ油室177に到達する。第2作動弁171の作動弁ボール174は閉じているため、サブ油室177のオイルは、スプール173をメイン油室176側に押圧する。第2作動弁171がメイン油室176側に移動することで、第2逆止弁175が押されて開き、第2流路112のシリンダ側第2流路112aとポンプ側第2流路112bとが連通する。これにより、ピストン52によって押された側の第2室Y2のオイルは、第2流路112を通って第1ポンプ101に戻る。なお、第4流路114には第2チェックバルブ132が設けられているので、第2流路112から第2ポンプ102の第4吐出部102bへのオイルの流れは妨げられる。
【0072】
また、船舶が航走時である場合、第9流路開閉弁145においては、シリンダ側第2流路112aのオイルの圧力が第2所定圧力よりも高いため、作動弁145aが逆止弁145b側へ移動し、第9流路119が開放する。それゆえ、第2ポンプ102の第3吐出部102aから吐出されたオイルは、第9流路119を介してタンク180へ排出される。つまり、第9流路開閉弁145は、航走時に船外機本体10aに作用する推力を受けて高圧化した第2室Y2の圧力をパイロット圧として第9流路119を開放し、第2ポンプ102から吐出されたオイルをタンク180に戻して、第2ポンプ102を無能化(無効化、不作動化)させる。
【0073】
このように、本実施の形態に係るポンプ装置100においては、航走時にモータ70が正転させられると、第1ポンプ101から吐出されたオイルのみがシリンダ装置50の第1室Y1に流入する。それゆえ、停船時にモータ70が正転させられる場合と比べて、第1室Y1のオイルの流量が少ないため、シリンダ装置50はゆっくりと縮む。その結果、本実施の形態に係るチルト・トリム装置1は、航走時には傾斜角度θをゆっくりと小さくすることができる。従って、使用者は、航走時に傾斜角度θを容易に微調整することができる。
【0074】
図8は、船舶の航走時に、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θを大きくするべくモータ70を逆転させた場合のオイルの流れを示す図である。
モータ70が逆転すると、第1ポンプ101の第2吐出部101bから吐出されたオイルは、第2流路112のポンプ側第2流路112bに送出され、切替弁150の第2開閉弁170のメイン油室176へ流入する。そして、メイン油室176の圧力が高くなることで第2逆止弁175が開き、オイルは、第2流路112のうち第2開閉弁170からシリンダ装置50の第2室Y2に通じるシリンダ側第2流路112aに流れる。そして、シリンダ側第2流路112aに流れたオイルは、シリンダ装置50の第2室Y2に流入し、ピストン52を第1室Y1に向けて押す。また、船舶が航走時である場合には、シリンダ装置50が、船外機10の推力に応じて、ピストンロッド53の軸方向に縮もうとする方向の力を受けるため、第2室Y2のオイルは、ピストン52により押されて、船外機10の推力相当分、圧力が高くなる。つまり、第2室Y2のオイルの圧力は、第1ポンプ101から吐出されたオイルの圧力に加えて、船外機10の推力に応じてピストンロッド53がピストン52を第2室Y2に向けて押すことにより高くなる。
【0075】
また、第2開閉弁170のメイン油室176に流入したオイルは、第2作動弁171のスプール173内の作動弁ボール174を開いてサブ油室177に流入し、連通路151を通じて第1開閉弁160のサブ油室167に到達する。第1作動弁161の作動弁ボール164は閉じているため、サブ油室167のオイルは、スプール163をメイン油室166側に押圧する。第1作動弁161がメイン油室166側に移動することで、第1逆止弁165が押されて開き、第1流路111のシリンダ側第1流路111aとポンプ側第1流路111bとが連通する。これにより、第1室Y1のオイルは、第1流路111を通って第1ポンプ101に戻る。なお、第3流路113には第1チェックバルブ131が設けられているので、第1流路111から第2ポンプ102の第3吐出部102aへのオイルの流れは妨げられる。
【0076】
また、船舶が航走時である場合、第10流路120のオイルの圧力が第10所定圧力よりも高いため、第10流路開閉弁146が開放する。それゆえ、第2ポンプ102の第4吐出部102bから吐出されたオイルは、第10流路120を介してタンク180へ排出される。
【0077】
このように、航走時にモータ70を逆転させると、第1ポンプ101から吐出されたオイルのみがシリンダ装置50の第2室Y2に流入する。それゆえ、停船時にモータ70を逆転させる場合と比べて、第2室Y2のオイルの流量が少ないため、シリンダ装置50はゆっくりと伸びる。その結果、本実施の形態に係るチルト・トリム装置1は、航走時には傾斜角度θをゆっくりと大きくすることができる。従って、使用者は、航走時に傾斜角度θを容易に微調整することができる。
【0078】
以上説明したように、第1実施形態に係るポンプ装置100を有するチルト・トリム装置1によれば、使用者は、船舶の停船時に船外機本体10aを持ち上げて船外機本体10aを水面から出したり、船舶の停船時に水面から出た状態の船外機本体10aを下ろして水面に戻したりする、所謂チルト動作を、高速で行うことができる。また、使用者は、船舶の航走中に船外機本体10aの傾斜角度θを調整する、所謂トリム動作を、低速で行うことができ、傾斜角度θの微調整を容易に行うことができる。言い換えれば、チルト・トリム装置1は、傾斜角度θの作動速度を状況に応じて変化させることができる。
【0079】
なお、上述した実施形態において、ポンプ装置100は、第6流路116の圧力を受けて第5流路115を開放する第5流路開閉弁141と、第5流路115の圧力を受けて第6流路116を開放する第6流路開閉弁142とを備えているが、特にかかる態様に限定されない。これら第5流路開閉弁141,第6流路開閉弁142の代わりに、第5流路115,第6流路116のオイルの圧力が予め設定された所定圧力よりも高い場合に開き、第5流路115,第6流路116のオイルをタンク180に逃がす周知のリリーフバルブを用いてもよい。また、これら第5流路開閉弁141,第6流路開閉弁142の代わりに、第5流路115,第6流路116の開閉を切り替える周知の切替弁(電磁弁)を用いてもよい。
【0080】
ただし、第5流路開閉弁141は第6流路116の圧力を受けて第5流路115を開放し、第6流路開閉弁142は第5流路115の圧力を受けて第6流路116を開放するので、リリーフバルブを用いる場合よりも作動効率が高い。すなわち、リリーフバルブを用いる場合においては、リリーフバルブに抗して、第5流路115,第6流路116を開放するため、リリーフバルブに抗する分だけ損失が生じるが、第5流路開閉弁141,第6流路開閉弁142は、損失なく第5流路115,第6流路116を開放することができるので、作動効率を高めることができる。また、第5流路開閉弁141,第6流路開閉弁142を用いることで、切替弁(電磁弁)を用いる場合よりも省電力化を図ることができるとともに、機構を簡略化でき低廉化を図ることができる。
つまり、本実施形態に係るポンプ装置100は、簡易な構成かつ高効率でシリンダ装置50の伸縮の作動速度を状況に応じて変化させることができる。また、本実施形態に係るチルト・トリム装置1は、簡易な構成かつ高効率で傾斜角度θの変更の作動速度を状況に応じて変化させることができる。
【0081】
また、上述した実施形態において、ポンプ装置100は、第2流路112の圧力を受けて第9流路119を開放する第9流路開閉弁145を備えているが、特にかかる態様に限定されない。この第9流路開閉弁145の代わりに、第9流路119のオイルの圧力が予め設定された所定圧力よりも高い場合に開き、第9流路119のオイルをタンク180に逃がす周知のリリーフバルブを用いてもよい。また、この第9流路開閉弁145の代わりに、第9流路119の開閉を切り替える周知の切替弁(電磁弁)を用いてもよい。かかる場合には、船舶の停船時には、船舶の航走時よりも多くのポンプから吐出されたオイルを、第1室Y1,第2室Y2に供給するべく第9流路119を閉じ、船舶の航走時には、第2ポンプ102の作動を無能化(無効化)するべく第9流路119を開くように設定するとよい。
【0082】
ただし、第9流路開閉弁145は第2流路112の圧力を受けて第9流路119を開放するので、リリーフバルブを用いる場合よりも作動効率が高い。すなわち、リリーフバルブを用いる場合においては、リリーフバルブに抗して、第9流路119を開放するため、リリーフバルブに抗する分だけ損失が生じるが、第9流路開閉弁145は、損失なく第9流路119を開放することができるので、作動効率を高めることができる。また、第9流路開閉弁145を用いることで、切替弁(電磁弁)を用いる場合よりも省電力化を図ることができるとともに、機構を簡略化でき低廉化を図ることができる。
つまり、本実施形態に係るポンプ装置100は、簡易な構成かつ高効率でシリンダ装置50の伸縮の作動速度を状況に応じて変化させることができる。また、本実施形態に係るチルト・トリム装置1は、簡易な構成かつ高効率で傾斜角度θの変更の作動速度を状況に応じて変化させることができる。
【0083】
また、上述した実施形態において、ポンプ装置100のポンプ103は、第1ポンプ101と第2ポンプ102とが一体的に回転するが、第1ポンプ101と第2ポンプ102とは別体で、それぞれ独立して作動可能としてもよい。かかる構成においても、船舶の停船時には第1ポンプ101と第2ポンプ102とを作動させてオイルを第1室Y1,第2室Y2に供給し、船舶の航走時には第1ポンプ101および第2ポンプ102のいずれか一方のポンプを作動させてオイルを第1室Y1,第2室Y2に供給するとよい。これにより、チルト・トリム装置1は、停船時には傾斜角度θを素早く変更することができるとともに航走時には傾斜角度θをゆっくりと変更することができる。
【0084】
また、上述した実施形態において、ポンプ装置100のポンプ103は、第1ポンプ101と第2ポンプ102の2つのポンプを備えているが、特に2つに限定されない。ポンプ103は、3つ以上のポンプを備えていてもよい。3つ以上のポンプを備える場合においても、船舶の停船時には、船舶の航走時よりも多くのポンプから吐出されたオイルを、第1室Y1,第2室Y2に供給することで、チルト・トリム装置1は、停船時には傾斜角度θを素早く変更することができるとともに航走時には傾斜角度θをゆっくりと変更することができる。
【0085】
〔第2実施形態〕
図9は、第2実施形態に係るポンプ装置200の油圧回路である。
第2実施形態に係るポンプ装置200は、第4流路114から分岐してタンク180に接続される第4流路分岐路の一例としての第10流路220に設けられ、第2流路112の圧力を受けて第10流路220を開放する第4流路分岐路開閉弁の一例としての第10流路開閉弁246を備える点が第1実施形態に係るポンプ装置100と異なる。また、第10流路220は、第10流路開閉弁246と第4流路114とを接続するポンプ側第10流路220aと、第10流路開閉弁246とタンク180とを接続するタンク側第10流路220bとを有する点が第1実施形態に係るポンプ装置100と異なる。以下では、異なる点を中心に説明する。
【0086】
((第10流路開閉弁246))
第10流路開閉弁246は、弁室246c内を摺動する作動弁246aと、逆止弁246bとを備えている。
弁室246cは、作動弁246aによって逆止弁246bに通じる側のメイン油室246dと反対側のサブ油室246eとに区画されている。メイン油室246dには、第10流路220のうち第2ポンプ102の第4吐出部102bから第10流路開閉弁246に通じるポンプ側第10流路220aが接続され、サブ油室246eには、第2流路112のシリンダ側第2流路分岐路112cが接続されている。
作動弁246aは、逆止弁246bに向かって突出し、逆止弁246bの側に変位したとき逆止弁246bを押す突起246fを有している。
【0087】
以上のように構成された第10流路開閉弁246においては、シリンダ側第2流路112aのオイルの圧力が予め設定された第22所定圧力よりも高い場合には作動弁246aが逆止弁246b側へ移動して作動弁246aの突起246fが逆止弁246bを押し、第10流路220を開放する。
他方、シリンダ側第2流路112aのオイルの圧力が第22所定圧力以下である場合には、作動弁246aは逆止弁246b側へ移動せず、突起246fは逆止弁246bを押さない。そのため、第10流路220は、逆止弁246bにて閉ざされている。
【0088】
なお、第10流路開閉弁246が第10流路220を開放する第22所定圧力は、航走時に、船外機本体10aが推力を受けることに起因してピストンロッド53が縮む方向に力を受け、その力により第2室Y2のオイルが受ける圧力であることを例示することができる。言い換えれば、船舶が航走している場合には第10流路開閉弁246が第10流路220を開放し、船舶が停止している場合には第10流路開閉弁246が第10流路220を開放しないように第22所定圧力を設定するとよい。かかる場合、第10流路開閉弁246は、航走時に船外機本体10aに作用する推力を受けて高圧化した第2室Y2の圧力をパイロット圧として、第10流路220を開放する。
【0089】
<第2実施形態に係るポンプ装置200を有するチルト・トリム装置1の作用・効果>
以下に、図面を用いて、第2実施形態に係るポンプ装置200を有するチルト・トリム装置1の作用及び効果について、第1実施形態に係るポンプ装置100を有するチルト・トリム装置1の作用・効果と異なる点について説明する。
【0090】
(航走時)
図10は、船舶の航走時に、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θを大きくするべくモータ70を逆転させた場合のオイルの流れを示す図である。
船舶が航走時である場合、第10流路開閉弁246においては、シリンダ側第2流路112aのオイルの圧力が第22所定圧力よりも高いため、作動弁246aが逆止弁246b側へ移動し、第10流路220が開放する。それゆえ、第2ポンプ102の第4吐出部102bから吐出されたオイルは、第10流路220を介してタンク180へ排出される。
【0091】
これにより、本実施の形態に係るポンプ装置200においても、航走時にモータ70が逆転させられると、第1ポンプ101から吐出されたオイルのみがシリンダ装置50の第2室Y2に流入する。それゆえ、停船時にモータ70が逆転させられる場合と比べて、第2室Y2のオイルの流量が少ないため、シリンダ装置50はゆっくりと伸びる。その結果、本実施の形態に係るチルト・トリム装置1は、航走時には傾斜角度θをゆっくりと大きくすることができる。従って、使用者は、航走時に傾斜角度θを容易に微調整することができる。
【0092】
また、第2実施形態に係るポンプ装置200は、第10流路開閉弁246が第2流路112の圧力を受けて第10流路220を開放するので、第1実施形態に係るポンプ装置100よりも作動効率が高い。すなわち、第1実施形態に係るポンプ装置100においては、第10流路開閉弁146に抗して、第10流路120のオイルをタンク180に戻すため、第10流路開閉弁146に抗する分だけ損失が生じる。これに対して、第2実施形態に係るポンプ装置200は、損失なく第10流路20のオイルをタンク180に戻すことができるので、作動効率を高めることができる。
【0093】
〔第3実施形態〕
図11は、第3実施形態に係るポンプ装置300の油圧回路である。
第3実施形態に係るポンプ装置300は、第1流路分岐路315を介して第1流路111と、第2流路分岐路316を介して第2流路112とに接続されるとともにタンク180に接続されたタンク流路185に接続され、第1流路111および第2流路112のいずれか一方の流路の圧力が予め定められた接続圧力よりも高い場合には他方の流路をタンク流路185へ接続する接続弁340を備える点が第1実施形態に係るポンプ装置100と異なる。以下では、異なる点を中心に説明する。
【0094】
接続弁340は、弁室341内を摺動する作動弁342と、作動弁342の移動方向における一方側に配置されてばね力を作用させる第1コイルばね343と、作動弁342の移動方向における他方側に配置されてばね力を作用させる第2コイルばね344とを備えている。
作動弁342には、第1流路分岐路315とタンク流路185とを連通する第1流路連通路345と、第2流路分岐路316とタンク流路185とを連通する第2流路連通路346とが形成されている。
【0095】
弁室341は、作動弁342によって第1コイルばね343が配置された側の第1油室347と第2コイルばね344が配置された側の第2油室348とに区画されている。そして、第1油室347には、第2流路分岐路316が接続され、第2油室348には、第1流路分岐路315が接続されている。
【0096】
以上のように構成された接続弁340においては、第2流路分岐路316のオイルの圧力が上述した接続圧力よりも高い場合には、作動弁342が、第2コイルばね344のばね力に抗して第2油室348側へ移動する。そして、作動弁342に形成された第1流路連通路345が第1流路分岐路315とタンク流路185とを連通させる。このようにして、接続弁340は、第1流路分岐路315とタンク流路185とを接続する。
【0097】
他方、第1流路分岐路315のオイルの圧力が上述した接続圧力よりも高い場合には、作動弁342が、第1コイルばね343のばね力に抗して第1油室347側へ移動する。そして、作動弁342に形成された第2流路連通路346が第2流路分岐路316とタンク流路185とを連通させる。このようにして、接続弁340は、第2流路分岐路316とタンク流路185とを接続する。
【0098】
なお、接続圧力は、例えば、第1ポンプ101の第1吐出部101aから吐出されたオイルと第2ポンプ102の第3吐出部102aから吐出されたオイルとがともに切替弁150の第1開閉弁160に至っている場合の第1流路分岐路315のオイルの圧力よりもやや低い圧力であることを例示することができる。また、接続圧力は、第1ポンプ101の第2吐出部101bから吐出されたオイルと第2ポンプ102の第4吐出部102bから吐出されたオイルとがともに切替弁150の第2開閉弁170に至っている場合の第2流路分岐路316のオイルの圧力よりもやや低い圧力であることを例示することができる。
【0099】
言い換えれば、第1ポンプ101の第2吐出部101bから吐出されたオイルと第2ポンプ102の第4吐出部102bから吐出されたオイルとがともに切替弁150の第2開閉弁170に至っている場合に接続弁340が第1流路分岐路315とタンク流路185とを接続し、第2吐出部101bから吐出されたオイルのみが第2開閉弁170に至っている場合には接続弁340が第1流路分岐路315とタンク流路185を接続しないように接続圧力を設定するとよい。また、第1ポンプ101の第1吐出部101aから吐出されたオイルと第2ポンプ102の第3吐出部102aから吐出されたオイルとがともに切替弁150の第1開閉弁160に至っている場合に接続弁340が第2流路分岐路316とタンク流路185とを接続し、第吐出部101から吐出されたオイルのみが第開閉弁10に至っている場合には接続弁340が第2流路分岐路316とタンク流路185とを接続しないように接続圧力を設定するとよい。
【0100】
<第3実施形態に係るポンプ装置300を有するチルト・トリム装置1の作用・効果>
以下に、図面を用いて、第3実施形態に係るポンプ装置300を有するチルト・トリム装置1の作用及び効果について、第1実施形態に係るポンプ装置100を有するチルト・トリム装置1の作用・効果と異なる点について説明する。
【0101】
(停船時)
図12は、船舶の停船時に、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θを小さくするべくモータ70を正転させた場合のオイルの流れを示す図である。
切替弁150の第1開閉弁160のメイン油室166には、第1ポンプ101および第2ポンプ102から吐出されたオイルが流入するため、メイン油室166に接続された第1流路分岐路315のオイルの圧力は接続圧力よりも高い。そのため、接続弁340は、第2流路分岐路316とタンク流路185とを接続する。その結果、第2室Y2から第2流路112のシリンダ側第2流路112aに排出されたオイルは、切替弁150の第2開閉弁170のメイン油室176、第2流路分岐路316、タンク流路185を介してタンク180に排出される。
【0102】
図13は、船舶の停船時に、船体2に対する船外機本体10aの傾斜角度θを大きくするべくモータ70を逆転させた場合のオイルの流れを示す図である。
切替弁150の第2開閉弁170のメイン油室176には、第1ポンプ101および第2ポンプ102から吐出されたオイルが流入するため、メイン油室176に接続された第2流路分岐路316のオイルの圧力は接続圧力よりも高い。そのため、接続弁340は、第1流路分岐路315とタンク流路185とを接続する。その結果、第1室Y1から第1流路11のシリンダ側第1流路111aに排出されたオイルは、切替弁150の第1開閉弁160のメイン油室166、第1流路分岐路315、タンク流路185を介してタンク180に排出される。
【0103】
これらのように、第3実施形態に係るポンプ装置300においても、停船時にモータ70が回転(正転または逆転)させられると、第1ポンプ101と第2ポンプ102の2つのポンプから吐出されたオイルがシリンダ装置50の第1室Y1または第2室Y2に流入する。そのため、シリンダ装置50は、第1室Y1または第2室Y2に流入した2つのポンプから吐出されたオイルがピストン52を押すため、早期に伸縮する。その結果、第3実施形態に係るポンプ装置300を有するチルト・トリム装置1は、停船時に傾斜角度θを迅速に変更することができる。従って、使用者は、停船時に、船外機を素早く水中から出したり水中につけたりすることができ、船舶を素早く接岸させたり移動させたりすることができる。
【0104】
また、第3実施形態に係るポンプ装置300においては、接続弁340が、第1流路分岐路315とタンク流路185とを接続したり第2流路分岐路316とタンク流路185とを接続したりする。それゆえ、第3実施形態に係るポンプ装置300は、第1流路分岐路315とタンク流路185とを接続する弁と、第2流路分岐路316とタンク流路185とを接続する弁とを別々に設けるよりも簡易な構成である。
【0105】
なお、第2実施形態に係るポンプ装置200の第10流路開閉弁246と第3実施形態に係るポンプ装置300の接続弁340とをともに備えていてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…チルト・トリム装置、10…船外機、10a…船外機本体、50…シリンダ装置、70…モータ、100,200,300…ポンプ装置、101…第1ポンプ、102…第2ポンプ、103…ポンプ、141…第5流路開閉弁、142…第6流路開閉弁、145…第9流路開閉弁、246…第10流路開閉弁、340…接続弁
図1
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図13