(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
  以下、本発明の実施形態の一例について、図面を用いて説明する。
 
【0019】
  図1は、第1実施形態に係る荷箱1が搭載された状態の最大積載重量が4トンとなる車両DTを示す側面図である。この車両DTは、前後方向(図中では左右方向)を長手方向とする車体枠2にヒンジ2aを介して荷箱1が車両後方に傾動可能(ダンプ可能)に搭載されている。荷箱1の傾動は、車体枠2に設けられて、荷箱1と車体枠2の間に位置するダンプ装置3によって行われる。ダンプ装置3のダンプシリンダを伸長させることで、荷箱1は、ヒンジ2aを中心に一点鎖線で示すように車両後方に向かって傾動する(矢印A1)。
 
【0020】
  荷箱1は、床面部11と、床面部11の前端に立設されたフロントパネル(前壁)12と、床面部11の左右に立設されたサイドゲート13と、床面部11の後端に立設されたテールゲート14とを有する。テールゲート14には、上端に上部ヒンジ140、下端に下部ヒンジ(不図示)が設けられており、これらによってテールゲート14が固縛されて立設された状態が保持されている。なお、荷箱1の傾動状態の際には、下部ヒンジによる固縛が解除され、テールゲート14は、一点鎖線で示すように上部ヒンジ140に支持された状態でその支持点を中心に回動される下開き動作が行われる(矢印A2)。
 
【0021】
  上部ヒンジ140は、テールゲート14の上端部に上ヒンジブラケット1401を介して水平に設けられた上ヒンジシャフト1402と、サイドゲート13の後端上部に設けられて上ヒンジシャフト1402を固縛又は固縛解除可能な固縛金具1403とから構成された既知のものである。詳細図は省略するが、固縛金具1403は、車両後方に向かって開口したU字状の固定溝部を有する受金具と、この受金具とのU字状の固定溝部と同形状で受金具に対して車両幅方向を軸中心方向として回転可能に支持された回転溝部と、この回転溝部を先端に備えて作業者が把持して上下に回動操作可能な操作ハンドルとから構成されている。この操作ハンドルを作業者が操作して回転溝部を回転操作することで、上ヒンジシャフト1402を固縛し、又は固縛解除することができる。なお、上ヒンジシャフト1402は、上述した下開き動作における回動軸(支持点)として機能する。
 
【0022】
  下部ヒンジに関しては、テールゲート14の下部に設けられており、後方から車両DTを見た際のテールゲート14が示された
図2を用いて具体的に説明する。なお、説明の便宜上、テールゲート14と、床面部11から垂設されたテールパネル15とが示されている一方で、サイドゲート13やフロントパネル12等は省略されている。
 
【0023】
  本実施形態に係る下部ヒンジは、
図2(a)のとおり、テールゲート14の下端部において、左右それぞれに第1下部ヒンジ141及び第2下部ヒンジ142が設けられてなる。これらのヒンジ141、142は左右それぞれが同様に設けられているため、車両右側に設けられた各ヒンジ141、142を代表例として説明する。
 
【0024】
  第1下部ヒンジ141は、第2下部ヒンジ142よりも車両中央側に設けられている。この第1下部ヒンジ141は、既知の構成であって、テールゲート14の下端部に左右一対の第1下ブラケット141aを介して水平に固定された第1下ヒンジシャフト141bと、荷箱1の床面部11(
図1参照)の後端裏面側に設けられて第1下ヒンジシャフト141bを係合可能な係合凹部を有する第1ガイドプレート141cと、第1ガイドプレート141cの係合凹部に係合された第1下ヒンジシャフト141bを上から押さえるフック141dとを備えている。なお、テールパネル15の裏面側(車両前方側)には、車両幅方向(図中の左右方向)を長手方向とするヒンジピン(不図示)が、床面部11の後端裏面(下面)に設けられたブラケットと第1ガイドプレート141cとに架設されており、フック141dはこのヒンジピンに対して上下回動可能に設けられている。
 
【0025】
  テールパネル15は、上述のとおり床面部11の後端で垂設されており、図示した位置の第1下ヒンジシャフト141bに対応して開口部15aが設けられている。第1ガイドプレート141c及びフック141dは、この開口部15aを介して車両後方側に突出されている。
 
【0026】
  フック141dは、荷箱1が車両後方への傾動(
図1参照)に伴って開閉する自動開閉装置を構成している。この自動開閉装置は、
図2(b)の側面図のとおり、フック141dの基端部に連結ロッド161の一端が連結され、連結ロッド161の他端が略L字状のアーム部材162に連結され、アーム部材162が軸支部163に軸支されて車体枠2に固定されたガイド部164に当接可能に設けられた構成を有する。連結ロッド161には、アーム部材162寄りの部位にスプリングを内蔵した緩衝部165が設けられている。また、連結ロッド161のフック141d寄りの部位には、床面部11の後端裏面側に設けられたブラケット166との間にスプリング167が張設されている。なお、当該ブラケット166には、フック141dの回動軸となる上述したヒンジピンが架設されている。このスプリング167を介して、連結ロッド161は車両後方に向かって牽引されている。つまり、フック141dは、第1下ヒンジシャフト141bから離れる方向に向かって、スプリング167に付勢される。したがって、荷箱1が車両後方に傾動した際には、アーム部材162が図示する状態から軸支部163を中心に車両後方側に揺動して、フック141dが第1下ヒンジシャフト141bから離れて、当該シャフト141bに対する固縛が解除される。一方で、荷箱が図示するように水平状態となる際には、アーム部材163が車両前方側に揺動し、スプリング167の付勢力に抗して連結ロッド161が車両前方側に引っ張られる。その結果、フック141dが第1下ヒンジシャフト141bに対して上から強固に固縛する状態となる。
 
【0027】
  第1下部ヒンジ141に隣接して設けられている第2下部ヒンジ142は、
図2(c)のとおり、テールゲート14の下端部に左右一対で固設された第2下ブラケット1421a、1422aと、第2下ブラケット1421a、1422aのそれぞれの挿通孔1421h、1422hに挿通された第2下ヒンジシャフト142bと、テールパネル15の表面(車両後方側を向いた面)に溶着等で固定されて第2下ヒンジシャフト142bが挿通される左右一対の第2ガイドプレート1421c、1422cとを有している。第2下ヒンジシャフト142bが第2下ブラケット1421a、1422a及び第2ガイドプレート1421c、1422cに挿通される際、第2下ヒンジシャフト142bにはテールゲート14を固縛してテールゲート14の下開き動作を防止する機能が発揮される。また、テールゲート14の上開き動作の際には、テールゲート14が下方落下しない支持機能も発揮される。なお、第2下ヒンジシャフト142bが挿通されないときには、当該シャフト142bは、テールゲート14の下端部かつ両端部に設けられるとともに互いに金属性チェーンで連結された円筒状の鞘部に挿入されて保持される。
 
【0028】
  第2下ヒンジシャフト142bは、先端部(図中の左側端部)1421bが軸部1422bを中心に折り曲げ可能となっており、車両幅方向中央側の第2下ブラケット1421aに挿通した後に、図示のとおり折り曲げることで抜け止め機能を有する。第2下ヒンジシャフト142bのうち、挿通状態で水平姿勢となる部分(以下、単に「シャフト本体部」と記す。)1423bには、先端部1421b側の上部に突出片1424bが設けられ、後端部(図中の右側端部)の上部に略L字状の突出アーム部1425bが設けられている。
 
【0029】
  突出片1424bは、シャフト本体部1423bの一部が切断された
図2(d)の要部斜視図のとおり、その長さ(X軸方向における長さ)が、シャフト本体部1423bの長さよりも短く、略円形断面状のシャフト本体部1423bの外径と比べて小さな幅Dの矩形状断面を有している。
 
【0030】
  車両幅方向中央側の第2ガイドプレート1421cには、車両幅方向外側(図中の右側)の側面部にシャフト本体部1423bが挿通される挿通孔1423hと突出片1424bが挿入される第1凹部1421Uとが上下に連設されてなる。この挿通孔1423hと第1凹部1421Uとで、上記側面部に鉤状の空間が形成されており、第2下ヒンジシャフト142bによって第2下部ヒンジ142がテールゲート14を固縛する機能を発揮する際には、上記鉤状の空間内にシャフト本体部1423b及び突出片1424bが挿入される。
 
【0031】
  また、突出アーム部1425bは、
図2(d)から分かるように、突出片1424bに対してシャフト本体部1423bの周方向にわずかに離れた位置に設けられている。また、突出アーム部1425bは、当該離れた位置からシャフト本体部1423bの断面径方向(突出片1424bの突出方向とは異なる方向)に沿って突出しており、その先端部がシャフト本体部1423bの長手方向で車両幅方向中央側(X軸の負方向側)に折り曲げ加工されてなる。なお、車両幅方向外側の第2下ブラケット1422aには、車両幅方向外側(図中の右側)の側面部に突出アーム部1425bの先端部が挿入される断面略台形状の第2凹部1422Uが設けられている。第2凹部1422Uの凹部内は、突出アーム部1425bの先端部の外形状とほぼ同じ大きさ又は僅かに大きい程度で、当該先端部が挿入された際にその外面がこの第2凹部1422Uの内面に当接するように設定されている。
 
【0032】
  次に、第2下ヒンジシャフト142bが第2ガイドプレート1421cに対して挿通状態とする構成及び、第2下部ヒンジ142が機能する状態について、
図3を用いて説明する。
 
【0033】
  図3(a)には、第2下ヒンジシャフト142bが挿通孔1423h及び凹部1421Uに挿入された状態が示されている。図示のとおり、挿通孔1423hは略円形状を有し、第1凹部1421Uは略扇形状を有している。
 
【0034】
  シャフト本体部1423bは、第1凹部1421Uと連設されている部分を除き、挿通孔1423hの内周面と当接した状態となっており、挿通孔1423hに対して係止された状態となっている。
 
【0035】
  突出片1424bは、第1凹部1421Uの内周面のうち車両前方側に傾斜した第1傾斜面14211Uに当接した状態となっており、第1凹部1424bにおける領域の一部分を占有している。
 
【0036】
  また、車両幅方向外側の第2下ブラケット1422aに設けられた第2凹部1422Uには、上述のとおり、突出アーム部1425bが当接されており、この突出アーム部1425bはこの挿入状態とされることで、第2下ブラケット1422aに対して係止された状態、具体的には嵌合された状態となっている。
 
【0037】
  第2下ヒンジシャフト142bが上述のように挿通された状態のテールゲート14を、
図3(b)のように矢印A31に沿って第2下ヒンジシャフト142bを回動軸として上開きすると、突出アーム部1425bは、第2下ブラケット1422aに対して係止(嵌合)された状態なので、テールゲート14(第2下ブラケット1422a)の回動に伴って第2下ヒンジシャフト142bを軸中心として回動する。このとき、第2下ヒンジシャフト142b自体もその中心軸を中心にして回転する。
 
【0038】
  突出片1424bは、第2下ヒンジシャフト142bの回転動作に伴って矢印A4に沿って回動し、第1凹部1421Uのうち車両後方側に傾斜した第2傾斜面14212Uに当接する。第2ガイドプレート1421cはテールパネル15に溶着されているので、テールゲート14の回動動作が行われても第2ガイドプレート1421cは動かない。そのため、突出片1424bは、第2傾斜面14212Uに当接すると、第2傾斜面14212Uに矢印A4方向の回動動作が規制された状態で係止される。つまり、第2傾斜面14212Uが、突出片1424bが設けられている第2下ヒンジシャフト142bの部位の回転動作(突出片1424bの回動動作)を規制する回転規制部として機能する。
 
【0039】
  したがって、第2下ヒンジシャフト142bが第2下ブラケット1421a、1422aに挿通されると、第2下ヒンジシャフト142bにおける第1の係止部として突出片1424bが第1凹部1421Uに係止された状態、特に、テールゲート14が上開きされる際にその回動動作が規制された係止状態となる。また、第2下ヒンジシャフト142bにおける第2の係止部として突出アーム部1425bも、第2下ヒンジシャフト142bが第2下ブラケット1421a、1422aに挿通されると、第2凹部1422Uに係止された状態、特に嵌合状態となってテールゲート14の回動動作と連動して回動される状態となる。つまり、テールパネル15に設けられた第2ガイドプレート1421cの第1凹部1421Uは第1の被係止部として、テールゲート14の下端部に設けられた第2下ブラケット1422aの第2凹部1422Uは第2の係止部として機能する。
 
【0040】
  そして、さらにテールゲート14の上開き動作を継続すると、第2下ヒンジシャフト142bのうち突出アーム部1425bが設けられている側では、継続して回転動作が行われる一方で、突出片1424bが設けられている側では、第2傾斜面14212Uに回転動作が規制されて回転しない。よって、第2下ヒンジシャフト142bが捻られた状態となり、当該シャフト142bには矢印A32に沿ってテールゲート14を回動させる方向に付勢する付勢力が発生する。
 
【0041】
  上述した付勢力が第2下ヒンジシャフト142bに発生すると、上開きが完了して略鉛直下方に下垂状態となるテールゲート14を起立状態まで持ち上げる作業の負荷が軽減され、テールゲート14の重量は約70kgであるため、上記持ち上げる作業の困難性を解消する点でその効果は大きい。
 
【0042】
  また、付勢力は突出片1424bの回動動作が第2傾斜面14212Uによって規制される位置から生じる。そのため、
図3(c)で示すように、下垂状態のテールゲート14を矢印A321に沿って水平状態に近くなるまでの持ち上げる動作(第1持ち上げ動作)と、この水平状態に近くなってから矢印A322に沿って突出片1424bの回動動作の規制が解除される位置まで持ち上げる動作(第2持ち上げ動作)と、この回動動作の規制解除位置からテールゲート14が起立状態となるまで矢印A323に沿って持ち上げる動作(第3持ち上げ動作)のうち、第1持ち上げ動作及び第2持ち上げ動作における作業負荷が上記付勢力によって軽減される。本実施形態に係る車両DTなどでは、第2下ヒンジシャフト142bの設置高さが作業者の腰高さと同程度の位置となる。そこで、第1持ち上げ動作が低姿勢で行われるため、特に作業者の持ち上げ作業の負荷が大きくなるが、この動作時に上記付勢力が発生することでその効果は顕著となる。同様に、腰高さ位置から高位置までの第2持ち上げ動作においても、作業者の負荷が大きい。作業者によっては、第1持ち上げ動作から第2持ち上げ動作に切り替わる際にテールゲート14が反転するため、テールゲート14を持ち直すことがある。そのため、第2持ち上げ動作から改めて持ち上げ作業の負荷が生じることとなり、上記付勢力によるその負荷軽減効果は顕著となる。なお、第3持ち上げ動作が行われる範囲では、上記付勢力は発生しないが、作業者がテールゲート14を手で支える状態を比較的変更することなく、第2持ち上げ動作と第3持ち上げ動作が連続的に実施される点から、第2持ち上げ動作を利用して簡易に第3動作を行うことができる。
 
【0043】
  さらに、第2下ヒンジシャフト142bが付勢力を生じる構成としつつ、第3持ち上げ動作の範囲で付勢力が生じない構成とすることで、テールゲート14の上開き動作の際に効果が生じる。
 
【0044】
  テールゲート14を上開きする際、最初に作業者は起立状態のテールゲート14の上端部を手で持って車両後方に向かってテールゲート14を下方回動させる。高位置のテールゲート14を引き倒す上開き動作の開始時において、突出片1424bの回動動作が規制されないので、作業者の上開き動作の負荷増加を防止できる。そして、突出片1424bの回動動作が規制された後の動作、例えば作業者が鉛直下方にテールゲート14を押し下げる動作や、腰高さよりも下方にテールゲート14を回動させる動作に関しては、テールゲート14の上端部位置が低くなっていること及びテールゲート14が傾斜姿勢となっていることから、第2下ヒンジシャフト142bに生じる捻り力に抗しながらであっても作業者の負荷が比較的小さくなるので、簡易に上開き動作を行うことができる。
 
【0045】
  また、テールゲート14の起立状態から下垂状態までの回動動作に伴う第2下ヒンジシャフト142bの回転動作において、捻り力が生じる範囲を限定することで、第2下ヒンジシャフト142bに生じるせん断力を抑制するとともに、第2下ヒンジシャフト142bの長尺化及び拡径化を防止できる。
 
【0046】
  なお、本実施形態では第1凹部1421Uが突出片1424bよりも大きくなるように設けられているが、その大きさは、作業者がテールゲート14を持ち上げる際の作業負荷や第2下ヒンジシャフト142bの大きさや耐久性に基づいて適宜変更可能である。さらには、第1凹部1421Uの大きさを突出片142bと同じ大きさとし、突出片142bが第1凹部1421Uに嵌合される構成としても良い。また、突出片142bの形状に関しても、捻り力を生じ易い構成等から適宜異なる形状としても良い。
 
【0047】
  以上の付勢力を生じる第2下ヒンジシャフト142bを備える構成に関しては、上開き及び下開きの両動作が可能なテールゲート14が設けられた荷箱1において、次の効果も奏する。
 
【0048】
  第1下部ヒンジ141によって、テールゲート14は上記両動作が可能とされているが、第1下部ヒンジ141は連結ロッド161(
図2(b)参照)に連結された構成となっており、テールゲート14の上開き時には、第1下部ヒンジ141におけるフック141dが連結ロッド161等の牽引力も付加されて第1下ヒンジシャフト141bを強固に押圧されており、その押圧力に抗してテールゲート14の持ち上げ作業を行う必要がある。そのため、上述したテールゲート14の重量等に基づく持ち上げ作業の負荷だけでなく、こうした押圧力に対する負荷を軽減する点でも第2下ヒンジシャフト142bによる付勢力の効果は顕著となる。
 
【0049】
  次に、上述した実施形態と異なる実施形態について
図4を用いて説明する。なお、第1実施形態と異なる部分を中心に説明するものとし、同じ部材に関しては同じ符号を用いて説明する。
 
【0050】
  第2実施形態では、
図4(a)の要部斜視図で示す第2下ヒンジシャフト242bが用いられている。第2下ヒンジシャフト242bは、その先部2421bが第1実施形態のように折れ曲がる構成ではなく、断面略円形状のシャフト本体部2422bに対して、その端面24221bから第2下ヒンジシャフト242bの長手方向(X方向)に沿って断面略矩形状の突出片2423bが突出してなる構成を有している。突出片2423bの略矩形状断面は、長さがシャフト本体部2422bの外径と略同じ大きさで、幅が当該外径の1/4程度の大きさとなっている。
 
【0051】
  第2ガイドプレート2421cには、
図4(b)のように、第2下ヒンジシャフト242bの先部2421bが挿入される第1凹部2421Uが設けられている。第1凹部2421Uは、車両幅方向外側の端面から略円筒状の円筒凹部24211Uと、当該凹部24211Uに連設されて断面が円筒凹部24211Uより小さな矩形状の矩形凹部24212Uとを有する。円筒凹部24211Uは、第2下ヒンジシャフト242bの先部2421bのうちのシャフト本体部2422bが嵌合可能で、矩形凹部24212Uは、突出片2423bが嵌合可能な形状となっている。嵌合可能な状態とすることで、第2下ヒンジシャフト242bの抜け止め効果を奏する。
 
【0052】
  さらに第3実施形態では、
図4(c)のように、1つの第2下ブラケット342aと、左右一対の第2ガイドプレート1421c、1422cとに、第2下ヒンジシャフト142bが挿通されてなる構成を備えている。本実施形態でも、第2下ヒンジシャフトの一端側では第2ガイドプレート1421cに係止され、他端側では第2下ブラケット342aに係止されるので同等の効果を得ることができる。
 
【0053】
  第1〜第3実施形態に係る第2下ヒンジシャフト142b、242bは、そのシャフト本体部1423b、2422bが同一径の略円柱状となる形状を有する構成であったが、テールゲート14に係る上記捻り力がさらに生じ易い構成として他の実施形態としても良い。
  先ず、第4実施形態に係る第2下部ヒンジ442について、
図5を用いて説明する。
 
【0054】
  図5(a)は、第2下部ヒンジ442の一部切り欠き拡大図が示されている。第1実施形態と同様にして、第2下ヒンジシャフト442bが、第2下ブラケット4421a、4422a及び第2ガイドプレート4421c、4422cに挿通されている。なお、第1実施形態と比較して、主に第2下部ヒンジ442が異なるため、この異なる部分を中心に説明する。
 
【0055】
  第2下ヒンジシャフト442bは、第2ガイドプレート4421cに挿通された第1シャフト部4421bと、第2ガイドプレート4421cに一部が挿入されて第2下ブラケット4421aにも挿通されている第2シャフト部4422bと、左右の第2下ブラケット4421a、4422aに挟まれた領域に位置する第3シャフト部4423bと、第2下ブラケット4422a及び第2ガイドプレート4422cに挿通された第4シャフト部4424bと、第2下ブラケット4422aの第2凹部4424Uに係止される突出アーム部4425bと、これら4421b〜4425bに対して貫通された軸ピン部4426bとを有している。なお、第1シャフト部4421bは、その先端部44211bが第2ガイドプレート4421cから水平方向(図中の左側)に突出した状態で設けられている。
 
【0056】
  P−P線断面図となる
図5(b)からも分かるように、第1シャフト部4421bは角筒状の部材となっており、第2シャフト部4422bは円筒状の部材となっている。第2シャフト部4422bは、第1シャフト部4421bよりも大きな断面積を有するととともに、第1シャフト部4421bに連設されている。なお、第2ガイドプレート4421cにおいて、第2下ヒンジシャフト442bが挿通される挿通孔は、第1シャフト部4421bが挿通されて断面略矩形状の第1挿通孔4421hと、第2シャフト部4422bが挿通されて断面略円形状の第2挿通孔4422hとが連設されてなる。
図5(a)に示すとおり、第1シャフト部4421bは第1挿通孔4421hの内周面に当接し、第2シャフト部4422bは第2挿通孔4422hの内周面に当接している。また、第2下ヒンジブラケット4421aには、第2挿通孔4422hと同形状の第3挿通孔4423hが設けられており、第2シャフト部4422bは第2下ヒンジブラケット4421aにも同様に当接した状態となっている。
 
【0057】
  上述のとおり、第1シャフト部4421bが第2シャフト部4422bよりも細径化された状態で第2ガイドプレート4421cに挿通されるので、第2シャフト部4422bの先端面(図中の左側端面)が第1挿通孔4421hと第2挿通孔4422hの連設部分(拡径部分)に当接し、第2下ヒンジシャフト442bの図中左側への挿通動作を規制し、
図5(a)で示された状態にすることができる。
 
【0058】
  また、先端部44211bのうち、第2ガイドプレート4421cと隣接する部位には、その略矩形状の外表面に沿った環状の溝部44212bが設けられている。一方で、第2ガイドプレート4421cの車両幅方向中央側の側面には、軸支ピン4421dを介して係止ブラケット442dが上下回動可能に設けられており、当該係止ブラケット442dが上記溝部44212bに係止されることで、第2下ヒンジシャフト442bの左右への移動が規制されて、抜け止め防止機能を発揮する。
 
【0059】
  第3シャフト部4423bは、左右の第2下ブラケット4421a、4422aで挟まれた領域に入る円筒形状となっており、第2挿通孔4422hの内周面と略同じ大きさ又は僅かに小さい大きさの外径を有している。
 
【0060】
  第4シャフト部4424bは、第2下ブラケット4422a及び第2ガイドプレート4422cの両方に挿通される略円筒形状となっている。第2下ブラケット4422aの第4挿通孔4424hと第2ガイドプレート4422cの第5挿通孔4425hは、第3挿通孔4423hと同形状となっており、両挿通孔4424h、4425hの内周面に挿通された第4シャフト部4424bが当接するように設けられている。
 
【0061】
  第2下ヒンジシャフト442bにおける各部位4421b〜4424bは、
図5(a)のとおり、細径化された第1シャフト部4421bを除いた部位4422b〜424bが隣接配置されて外観形状が略円柱状となっている。
  突出アーム部4425bは、第1実施形態に係る突出アーム部1425bの形状及び機能を有している。
 
【0062】
  軸ピン部4426bは、先端部44211bからの突出先部44261bが当該先端部44211bに対して溶着されている。また、突出アーム部4425bから突出する突出後部44262bも当該突出アーム部4425bに対して溶着されている。なお、第2シャフト部4422b、第3シャフト部4423b、及び第4シャフト部4424bには溶着されていない。
 
【0063】
  第2下ヒンジシャフト442bが上記挿通状態で、
図5(a)におけるQ−Q線断面図となる
図5(c)に示されるとおり、テールゲート14が上開きされる(矢印A31)と、第2凹部4424Uに係止された突出アーム部4425bも連動して回動する。このとき、突出アーム部4425bに溶着された軸ピン部4426bも矢印A4方向に沿って回転する。
 
【0064】
  一方で、軸ピン部4426bが溶着されている第1シャフト部4421b側では、第1シャフト部4421bが断面略矩形状を有するとともに第1挿通孔4421hも同様の断面略矩形状を有することで、互いに当接状態、具体的には嵌合された状態となっている。そこで、第2ガイドプレート4421cに挿通されている部分では、軸ピン部4426bが上記上開き動作に追従した回転動作が、第1シャフト部4421bと第1挿通孔4421hとの当接状態(嵌合状態)に基づく係止によって規制されている。
 
【0065】
  つまり、第1シャフト部4421bが、第1の係止部として第1被係止部となる第1挿通孔4421hに係止され、突出アーム部4425bが第2の係止部として第2被係止部となる第2凹部4424Uに係止されている。したがって、テールゲート14が上開きされると、第1シャフト部4421b側で回転動作が規制された状態と、第4シャフト部4424b側で回転動作が許容された状態とによって、軸ピン部4426bに捻り力が生じる。
 
【0066】
  本実施形態に係る第2下ヒンジシャフト442bは、細径化された長尺の軸ピン部4426bを有し、第2下ブラケット4421a、4422a及び第2ガイドプレート4421c、4422cの挿通部分には軸ピン部4426bに周設された第1シャフト部44212b、第2シャフト部4422b、及び第4シャフト部4424bを有している。そのため、第2下ヒンジ442は、テールゲート14を支える支持力を備えるとともに、軸ピン部4426bによって別途捻り力が生じて、テールゲート14を持ち上げる作業者の負荷軽減に大きく貢献できる。つまり、第2下ヒンジシャフト442b自体の外径が大きくても、捻り力を生じる軸ピン部4426bは細径化されているので、テールゲート14の支持力と、テールゲート14を持ち上げるための付勢力に関して、大きな効果を奏することができる。
 
【0067】
  さらに、本実施形態では、軸ピン部4426bに周設された部材として第3シャフト部4423bが別途設けられている。そのため、第3シャフト部4426bが第1シャフト部4421bなどよりも軽量な部材(例えば、木材、アルミニウム等)からなる構成とすることで、第2下ヒンジシャフト442bの軽量化を実現できる。また、第2シャフト部4422b及び第4シャフト部4424bが軸ピン部4426bに対して位置決めされた構成として第3シャフト部4423bが短い構成又は省略された構成としても良い。
 
【0068】
  次に、第2下部ヒンジにおいて、テールゲート14側に係止される第2の係止部が第4実施形態と異なる第5実施形態について、
図6を用いて説明する。なお、本実施形態では、第4実施形態と異なる部分を中心に説明する。
 
【0069】
  図6(a)に示すとおり、本実施形態に係る第2下部ヒンジ542は、軸ピン部5426bの突出後部54262bに溶着されて下垂状態で設けられたレバー部54251bと、車両幅方向外側の第2下ブラケット5422aの外側面に設けられた水平方向に突出した突出ピン部54252bとを備えている。
 
【0070】
  突出ピン部54252bは、
図6(b)に示すようにテールゲート14が上開きすると、レバー部54241bに係止する突出長さを有している。実線部分から一点鎖線部分で示すように、レバー部54241bに係止した状態でテールゲート14の上開き動作が継続されると、第4実施形態と同様に軸ピン部5426bに捻り力が生じる。したがって、その捻り力が生じた分だけ、テールゲート14を持ち上げる際の作業者の負荷軽減を実現できる。なお、本実施形態では、レバー部54252bが、起立状態のテールゲート14よりも車両後方側に突出しないように設けられているが、車両後方側への突出が許容される場合には、レバー部54252bが水平状態又は上側に傾斜した状態で設けられて、軸ピン部5426bが大きな捻り力を生じる構成にしても構わない。
 
【0071】
  第1〜第5実施形態に係る第2下部ヒンジのほかにも、図示は省略するが、水平方向と巻回軸として密に巻回されてなるバネ部材が、第2下ヒンジシャフトとして第2下ブラケット及び第2ガイドプレートの挿通孔に挿通される構成としても良い。なお、このとき、テールゲート14の支持力を高めるために、ガイド部材として長尺状の軸芯部が設けられた構成とすることが好ましい。さらには、第4実施形態又は第5実施形態に係る軸ピン部4426b、5426bの代わりに、上記バネ部材(又はガイド部材となる軸芯部が設けられたバネ部材)が設けられた構成とすることもできる。
 
【0072】
  以上、各実施形態に係る第2下部ヒンジ142は、テールゲート14を持ち上げる際に付勢力を発生することが可能となるものであるが、その第2下部ヒンジ142の数は
図2(a)に示すようにテールゲート14の左右それぞれ1個ずつに限定するものではなく、1個でも3個以上でも良い。また、設置箇所も、左右端部でなく中央部分でも良い。また、各実施形態に係る第2下部ヒンジは、最大積載重量が他の大きさのものにも適用可能である。