(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0013】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を示す図であり、このうち
図1(b)は平面図、
図1(a)は
図1(b)のA−A線に沿った断面図である。
図2は第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100の外部端子の近傍の構造を示す断面図であり、このうち(a)は正極外部端子50の近傍を示し、(b)は負極外部端子60の近傍を示す。
【0014】
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、正極層11と、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質層12と、負極層13と、がこの順に積層されることにより構成された発電素子10を1つ以上含む電池本体1と、金属層31、41を中間層に持つラミネートフィルム(例えば、第1のラミネートフィルム30および第2のラミネートフィルム40)により構成され、電池本体1が封入されている外装体20と、電池本体1の一端側の正極層11の外表面からなる正極端子1aと電気的に接続された正極外部端子50と、電池本体1の他端側の負極層13の外表面からなる負極端子1bと電気的に接続された負極外部端子60と、を備えている。
正極外部端子50と負極外部端子60とのうち少なくとも何れか一方は、その少なくとも一部分がラミネートフィルムに埋め込まれている埋設端子であり、埋設端子が外装体20の外面側に露出している。
【0015】
本実施形態の場合、電池本体1は、発電素子10を1つのみ有している。本実施形態の場合、電池本体1は、例えば、発電素子10のみによって構成されている。
【0016】
発電素子10を構成する正極層11、固体電解質層12および負極層13は、それぞれ粉末材料をプレス成形することなどによって、薄板状に形成されている。
発電素子10は、正極層11、固体電解質層12および負極層13をこの順に積層し、これらをプレス成形などによって互いに一体化することにより、薄板状に形成されている。
発電素子10の平面形状は、任意の形状とすることができる。例えば、円形であっても良いし、その他の形状(例えば矩形状など)であっても良い。一例として、
図1(b)には、発電素子10の平面形状が円形である例を示している。
【0017】
電池本体1は、正極端子1aと負極端子1bとを有している。
正極端子1aは、電池本体1の一端側の正極層11の外表面により構成され、負極端子1bは、電池本体1の他端側の13の外表面により構成されている。
本実施形態のように、電池本体1が1つの発電素子10により構成されている場合、正極端子1aは、発電素子10の一方の面により構成され、負極端子1bは、発電素子10の他方の面により構成されている。
【0018】
外装体20は、金属層を中間層に持つラミネートフィルムにより構成されている。本実施形態の場合、外装体20は、第1のラミネートフィルム30と、第2のラミネートフィルム40と、の2枚のラミネートフィルムにより構成されている。外装体20は、例えば、その内部に電池本体1を真空パックしたものであり、外装体20の内部は陰圧となっている。
第1のラミネートフィルム30は、中間層である金属層31と、金属層31の一方の面を覆う第1樹脂層33と、金属層31の他方の面を覆う第2樹脂層32と、を有する。
同様に、第2のラミネートフィルム40は、中間層である金属層41と、金属層41の一方の面を覆う第1樹脂層43と、金属層41の他方の面を覆う第2樹脂層42と、を有する。
【0019】
第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40とは、例えば、互いに同一の平面形状に形成されており、平面視において互いの外形線が一致するように、互いに重ねて配置されている。
第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40との間に電池本体1が配置された状態で、第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40との周縁部どうしがシール(ヒートシール等)されることにより、第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40との間に電池本体1が封入されている。
なお、第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40とが相互にシールされた部分をシール部2と称する。シール部2においては、第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40とが相互に接合されている。
【0020】
第1のラミネートフィルム30には、当該第1のラミネートフィルム30を厚み方向に貫通する開口30aが形成されている。開口30aは、第1のラミネートフィルム30において、正極端子1aと対向する部位に形成されている。
同様に、第2のラミネートフィルム40には、当該第2のラミネートフィルム40を厚み方向に貫通する開口40aが形成されている。開口40aは、第2のラミネートフィルム40において、負極端子1bと対向する部位に形成されている。
【0021】
正極外部端子50は、その一部分が正極端子1aに対して電気的に接続され、他の一部分が全固体型リチウムイオン二次電池100の外面側に露出している。
同様に、負極外部端子60は、その一部分が負極端子1bに対して電気的に接続され、他の一部分が全固体型リチウムイオン二次電池100の外面側に露出している。
【0022】
本実施形態の場合、正極外部端子50及び負極外部端子60は、それぞれ埋設端子である。
すなわち、正極外部端子50は、その一部分が第1のラミネートフィルム30に埋設されている。正極外部端子50は、第1のラミネートフィルム30の外面側、すなわち外装体20の外面側に露出している。
同様に、負極外部端子60は、その一部分が第2のラミネートフィルム40に埋設されており、第2のラミネートフィルム40の外面側、すなわち外装体20の外面側に露出している。
【0023】
より具体的には、正極外部端子50は、第1のラミネートフィルム30を厚み方向に貫通する開口30aを介して、外装体20の外面側に露出している。
同様に、負極外部端子60は、第2のラミネートフィルム40を厚み方向に貫通する開口40aを介して、外装体20の外面側に露出している。
【0024】
本実施形態の場合、正極外部端子50は、埋設金属箔51と、封止用導電性粘着層52と、封止用金属箔53と、を含んで構成されている。
【0025】
埋設金属箔51は、第1のラミネートフィルム30に沿って、開口30a内に配置されている。
埋設金属箔51の厚さは、第1のラミネートフィルム30の厚さ以下であることが好ましい。ただし、必要に応じて、第1のラミネートフィルム30よりも厚い埋設金属箔51を用いても良い。
【0026】
本実施形態の場合、埋設金属箔51の両面は、第1のラミネートフィルム30の両面とそれぞれ面一となっている。
すなわち、埋設金属箔51の上面は、第1のラミネートフィルム30における開口30aの周囲縁部の上面と面一に配置され、埋設金属箔51の下面は、第1のラミネートフィルム30における開口30aの周囲縁部の下面と面一に配置されている。
【0027】
埋設金属箔51の外周端面は、開口30aの内周壁に対して接していることが好ましいが、埋設金属箔51の外周端面と開口30aの内周壁との間に若干の隙間が存在していても良い。
開口30a及び埋設金属箔51の平面形状は特に限定されない。
図1(b)には、開口30a及び埋設金属箔51がそれぞれ矩形状である例を示しているが、開口30a及び埋設金属箔51は、円形等、その他の形状であっても良い。
【0028】
封止用金属箔53は、埋設金属箔51の内側の面(
図1(a)における下面)と、第1のラミネートフィルム30の内側の面(
図1(a)における下面)における開口30aの周囲縁部とに亘って、封止用導電性粘着層52を介して貼り付けられている。これにより、開口30aの内側端部(
図1(a)における下端部)が封止されている。よって、外装体20の内部を容易に陰圧に維持させることができる。
なお、平面視において、封止用金属箔53及び封止用導電性粘着層52の外形線の内側に、埋設金属箔51の外形線が収まっている。
【0029】
封止用金属箔53における埋設金属箔51側とは反対側の面、すなわち
図1(a)における下面は、正極端子1aに対して接触(具体的には、圧接)している。これにより、埋設金属箔51は、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53を介して、正極端子1aに対して電気的に接続されている。
【0030】
なお、封止用金属箔53及び封止用導電性粘着層52の平面形状は、例えば、互いに等しく、且つ、平面視において、互いの外形線が一致している。
封止用金属箔53及び封止用導電性粘着層52の平面形状は、特に限定されない。
図1(b)には、封止用金属箔53と封止用導電性粘着層52の平面形状が円形である例を示している。
なお、封止用金属箔53及び封止用導電性粘着層52の平面寸法は、発電素子10の平面寸法と同等であるか、又は、発電素子10の平面寸法よりも若干大きいことが好ましい。そして、平面視において、封止用金属箔53及び封止用導電性粘着層52の外形線と発電素子10の外形線とが互いに一致しているか、又は、封止用金属箔53及び封止用導電性粘着層52の外形線の内側に発電素子10の外形線が収まっていることが好ましい。
【0031】
負極外部端子60も、正極外部端子50と同様に構成されている。
すなわち、負極外部端子60は、埋設金属箔61と、封止用導電性粘着層62と、封止用金属箔63と、を含んで構成されている。
【0032】
埋設金属箔61は、第2のラミネートフィルム40に沿って、開口40a内に配置されている。
埋設金属箔61の厚さは、第2のラミネートフィルム40の厚さ以下であることが好ましい。ただし、必要に応じて、第2のラミネートフィルム40よりも厚い埋設金属箔61を用いても良い。
【0033】
本実施形態の場合、埋設金属箔61の両面は、第2のラミネートフィルム40の両面とそれぞれ面一となっている。
すなわち、埋設金属箔61の下面は、第2のラミネートフィルム40における開口40aの周囲縁部の下面と面一に配置され、埋設金属箔61の上面は、第2のラミネートフィルム40における開口40aの周囲縁部の上面と面一に配置されている。
【0034】
埋設金属箔61の外周端面は、開口40aの内周壁に対して接していることが好ましいが、埋設金属箔61の外周端面と開口40aの内周壁との間に若干の隙間が存在していても良い。
開口40a及び埋設金属箔61の平面形状は特に限定されず、例えば、矩形状とすることができるが、円形等、その他の形状であっても良い。
【0035】
封止用金属箔63は、埋設金属箔61の内側の面(
図1(a)における上面)と、第2のラミネートフィルム40の内側の面(
図1(a)における上面)における開口40aの周囲縁部とに亘って、封止用導電性粘着層62を介して貼り付けられている。これにより、開口40aの内側端部(
図1(a)における上端部)が封止されている。よって、外装体20の内部を容易に陰圧に維持させることができる。
なお、平面視において、封止用金属箔63及び封止用導電性粘着層62の外形線の内側に、埋設金属箔61の外形線が収まっている。
【0036】
封止用金属箔63における埋設金属箔61側とは反対側の面、すなわち
図1(a)における上面は、負極端子1bに対して接触(具体的には、圧接)している。これにより、埋設金属箔61は、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63を介して、負極端子1bに対して電気的に接続されている。
【0037】
封止用金属箔63及び封止用導電性粘着層62の平面形状は、例えば、互いに等しく、且つ、平面視において、互いの外形線が一致している。
封止用金属箔63及び封止用導電性粘着層62の平面形状は、特に限定されないが、例えば、円形とすることができる。
封止用金属箔63及び封止用導電性粘着層62の平面寸法は、発電素子10の平面寸法と同等であるか、又は、発電素子10の平面寸法よりも若干大きいことが好ましい。そして、平面視において、封止用金属箔63及び封止用導電性粘着層62の外形線と発電素子10の外形線とが互いに一致しているか、又は、封止用金属箔63及び封止用導電性粘着層62の外形線の内側に発電素子10の外形線が収まっていることが好ましい。
【0038】
全固体型リチウムイオン二次電池100において厚みが最大の部分の厚さは、1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることが更に好ましい。
【0039】
ここで、全固体型リチウムイオン二次電池100の各部の好ましい厚み寸法について説明する。
第1のラミネートフィルム30の厚さは、30μm以上150μm以下であることが好ましい。
金属層31の厚さは、10μm以上40μm以下であることが好ましい。
第1樹脂層33の厚さは、10μm以上55μm以下であることが好ましい。
第2樹脂層32の厚さは、10μm以上55μm以下であることが好ましい。
第2のラミネートフィルム40の好ましい厚さは、第1のラミネートフィルム30と同様であり、金属層41、第1樹脂層43、第2樹脂層42の好ましい厚さは、それぞれ、金属層31、第1樹脂層33、第2樹脂層32と同様である。
埋設金属箔51の厚さは30μm以上150μm以下であることが好ましい。
埋設金属箔61の好ましい厚さは、埋設金属箔51と同様である。
封止用導電性粘着層52の厚さは10μm以上35μm以下であることが好ましい。
封止用金属箔53の厚さは5μm以上20μm以下であることが好ましい。
封止用導電性粘着層62、封止用金属箔63の好ましい厚さは、それぞれ、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53と同様である。
発電素子10の厚さは50μm以上410μm以下であることが好ましい。
正極層11の厚さは10μm以上190μm以下であることが好ましい。
固体電解質層12の厚さは30μm以上390μm以下であることが好ましい。
負極層13の厚さは10μm以上190μm以下であることが好ましい。
【0040】
次に、全固体型リチウムイオン二次電池100の各構成要素の材料の例を説明する。
【0041】
正極層11は、正極活物質を含んで構成されており、必要に応じて、導電助剤、固体電解質などを含んでいる。正極活物質は、特に限定されず、一般的に公知のものを用いることができる。正極層11は、一例として、アモルファスLi
6MoS
6の粉末と、アセチレンブラック(AB)の粉末と、Li
11P
3S
12の粉末と、の混合物により構成することができる。
【0042】
負極層13は、負極活物質を含んで構成されており、必要に応じて、導電助剤、固体電解質などを含んでいる。負極活物質は、特に限定されず、一般的に公知のものを用いることができる。負極層13は、一例として、アモルファスLi−Si−P硫化物の粉末により構成することができる。この粉末としては、例えば、Li
22Si
5の粉末と、グラファイトの粉末と、Li
11P
3S
12の粉末と、の混合物が挙げられる。
【0043】
固体電解質層12を構成する固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有するものであれば特に限定されず、一般的に公知のものを用いることができる。固体電解質層12は、一例として、Li
11P
3S
12ガラスの粉末により構成することができる。
【0044】
埋設金属箔51、61を構成する金属は、特に限定されない。埋設金属箔51、61を構成する金属としては、例えば、ステンレス(SUS)、アルミニウム、銅などを用いることができる。これらの中では、十分な強度を確保する観点では、ステンレスが好ましく、良好な電気伝導性を確保する観点では、アルミニウム又は銅が好ましい。
【0045】
封止用金属箔53、63を構成する金属は、特に限定されない。封止用金属箔53、63を構成する金属としては、例えば、ステンレス(SUS)、アルミニウム、銅などを用いることができる。これらの中では、十分な電気伝導性を確保する観点では、アルミニウム又は銅が好ましい。
【0046】
封止用導電性粘着層52、62は、例えば、粘着性樹脂中に、導電性微粒子を分散させることにより構成された粘着フィルムにより構成されている。
導電性微粒子としては、Ni等の金属粒子、非導電性粒子に金属をコーティングしてなる粒子、カーボン粒子などが挙げられる。
粘着性樹脂は、導電性微粒子を分散することができ、且つ、粘着性を示す樹脂(粘着剤)である。このような粘着性樹脂としては、(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂(アクリル系粘着剤)などが挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルの総称であるものとする。
【0047】
第1のラミネートフィルム30及び第2のラミネートフィルム40の中間層である金属層31、金属層41を構成する金属は、特に限定されない。金属層31、金属層41を構成する金属としては、例えば、ステンレス(SUS)、アルミニウム、銅などを用いることができる。これらの中では、十分な強度を確保する観点では、ステンレスが好ましく、良好な電気伝導性を確保する観点では、アルミニウム又は銅が好ましい。
【0048】
第1のラミネートフィルム30及び第2のラミネートフィルム40における内面側(シーラント層)を構成する第1樹脂層33、第1樹脂層43を構成する樹脂材料としては、例えば、ナイロン、又はポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができる。
【0049】
第1のラミネートフィルム30及び第2のラミネートフィルム40における外面側を構成する第2樹脂層32、第2樹脂層42を構成する樹脂材料は、特に限定されないが、例えば、PET、ポリエチレン、ナイロン、又はポリプロピレンを用いることができる。
【0050】
なお、埋設金属箔51が金属層31と導通し、埋設金属箔61が金属層41と導通することが想定される。このため、全固体型リチウムイオン二次電池100の周縁部において金属層31と金属層41との短絡(他の導電体等を介した短絡)が生じてしまうことを抑制するため、全固体型リチウムイオン二次電池100の周縁部に絶縁フィルム等の絶縁性の被覆部材を設ける(例えば貼り付ける)ことも好ましい。
【0051】
次に、本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を製造する方法の例を説明する。
【0052】
全固体型リチウムイオン二次電池100は、発電素子10、第1のラミネートフィルム30、第2のラミネートフィルム40、埋設金属箔51、埋設金属箔61、封止用導電性粘着層52、封止用金属箔53、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63を用いて製造する。
【0053】
発電素子10(本実施形態の場合、電池本体1)は、例えば、次のように作製する。
先ず、固体電解質層12の粉末材料をプレス成形することによって、固体電解質層12を作製する。
次に、負極層13の粉末材料を、先に作製した固体電解質層12に対して積層し、該粉末材料をプレス成形する。これにより、負極層13を固体電解質層12と一体的に作製する。
一方、正極層11の粉末材料をプレス成形することによって、正極層11を作製する。
次に、負極層13と一体化させた固体電解質層12に対して正極層11を重ねて、負極層13、固体電解質層12および正極層11をプレスする。これにより、正極層11を固体電解質層12に対して一体化させる。こうして、正極層11と、固体電解質層12と、負極層13と、がこの順に積層されてなる発電素子10(電池本体1)が得られる。
【0054】
一方、第1のラミネートフィルム30に対し、プレスによる打ち抜き加工等により開口30aを形成した後、開口30a内に埋設金属箔51を配置し、埋設金属箔51の一方の面と、第1のラミネートフィルム30の一方の面における開口30aの周囲縁部とに亘って、封止用導電性粘着層52を介して封止用金属箔53を貼り付ける。
同様に、第2のラミネートフィルム40に開口40aを形成した後、開口40a内に埋設金属箔61を配置し、埋設金属箔61の一方の面と、第2のラミネートフィルム40の一方の面における開口40aの周囲縁部とに亘って、封止用導電性粘着層62を介して封止用金属箔63を貼り付ける。
【0055】
次に、第1のラミネートフィルム30において封止用金属箔53が貼り付けられた側の面と、第2のラミネートフィルム40において封止用金属箔63が貼り付けられた側の面との間に、電池本体1を配置する。このとき、封止用金属箔53と正極端子1aとを相互に対向させるとともに、封止用金属箔63と負極端子1bとを相互に対向させる。そして、第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40との間隙を真空引きしながら、第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40との周縁部どうしをシールし、シール部2を形成する。これにより、第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40との間に電池本体1を封入する。
こうして、
図1に示す構造の全固体型リチウムイオン二次電池100が得られる。
【0056】
ここで、第1のラミネートフィルム30と第2のラミネートフィルム40との間隙を真空引きするため、電池本体1は、外装体20内に真空パックされた状態となる。よって、封止用金属箔53が正極端子1aに対して圧接されるとともに、封止用金属箔63が負極端子1bに対して圧接される。
【0057】
以上のような第1の実施形態によれば、全固体型リチウムイオン二次電池100の正極外部端子50と負極外部端子60とのうち少なくとも何れか一方(例えば、両方)は、その少なくとも一部分がラミネートフィルム(第1のラミネートフィルム30、第2のラミネートフィルム40)に埋め込まれている埋設端子である。
よって、正極外部端子50と負極外部端子60とのうち少なくとも何れか一方の外部端子については、当該外部端子とラミネートフィルムとの重なりによる全固体型リチウムイオン二次電池100の厚み寸法の増大を抑制できる。
具体的には、第1のラミネートフィルム30と正極外部端子50との重なりによる全固体型リチウムイオン二次電池100の厚み寸法の増大を抑制できるとともに、第2のラミネートフィルム40と負極外部端子60との重なりによる全固体型リチウムイオン二次電池100の厚み寸法の増大を抑制できる。
よって、全固体型リチウムイオン二次電池100は、容易に薄型に形成することが可能な構造のものであると言える。
【0058】
ここで、本実施形態のような薄型の全固体型リチウムイオン二次電池100は、スマートホンやタブレット、家電リモコンなどの各種の通信端末機器に容易に搭載できる他、スマートキーやICカードのような極めて薄型の通信端末機器にも搭載可能となることが期待できる。
スマートキーやICカードの大きさは、JIS規格のカードサイズが一つの目安となり、当該規格によるサイズは、75.6mm(横)×54mm(縦)×0.76mm(厚さ)である。このため、全固体型リチウムイオン二次電池100の厚さは、例えば、0.5mm以下とすることにより、スマートキーやICカードのような極めて薄型の通信端末機器にも搭載可能となることが期待できる。
【0059】
また、埋設端子は、ラミネートフィルム(第1のラミネートフィルム30、第2のラミネートフィルム40)を厚み方向に貫通する開口30a、40aを介して、外装体20の外面側に露出している。よって、埋設端子の一部分(例えば、埋設金属箔51、61)を開口30a、40a内に挿入する工程などを行うことによって、容易に
埋設端子を形成することができる。
特に、埋設端子が、開口30a、40a内に配置された埋設金属箔51、61を含む場合、全固体型リチウムイオン二次電池100を容易に製造することができる。
【0060】
〔第2の実施形態〕
次に、
図3を用いて、第2の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、正極外部端子50及び負極外部端子60の構造が上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違しているが、その他の構造については、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0061】
図3(a)に示すように、本実施形態の場合、正極外部端子50は、第2封止用導電性粘着層54と、第2封止用金属箔55と、を含んで構成されている。
そして、埋設金属箔51の外側の面(
図3(a)における上側の面)と、第1のラミネートフィルム30の外側の面(
図3(a)における上側の面)における開口30aの周囲縁部とに亘って、第2封止用導電性粘着層54を介して第2封止用金属箔55が貼り付けられている。これにより、開口30aの外側端部(
図3(a)における上端部)が封止されている。
第2封止用導電性粘着層54及び第2封止用金属箔55は、それぞれ、第1の実施形態における封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53と同様のものである。平面視において、第2封止用金属箔55及び第2封止用導電性粘着層54の外形線の内側に、埋設金属箔51の外形線が収まっている。
本実施形態の場合、全固体型リチウムイオン二次電池100は、例えば、上記の第1の実施形態における封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53を有しておらず、埋設金属箔51は、発電素子10の正極端子1aに対して圧接されている。
【0062】
また、
図3(b)に示すように、本実施形態の場合、負極外部端子60は、第2封止用導電性粘着層64と、第2封止用金属箔65と、を含んで構成されている。
そして、埋設金属箔61の外側の面(
図3(b)における下側の面)と、第2のラミネートフィルム40の外側の面(
図3(b)における下側の面)における開口40aの周囲縁部とに亘って、第2封止用導電性粘着層64を介して第2封止用金属箔65が貼り付けられている。これにより、開口40aの外側端部(
図3(b)における下端部)が封止されている。
第2封止用導電性粘着層64及び第2封止用金属箔65は、それぞれ、第1の実施形態における封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63と同様のものである。平面視において、第2封止用金属箔55及び第2封止用導電性粘着層54の外形線の内側に、埋設金属箔51の外形線が収まっている。
本実施形態の場合、全固体型リチウムイオン二次電池100は、例えば、上記の第1の実施形態における封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63を有しておらず、埋設金属箔61は、発電素子10の負極端子1bに対して圧接されている。
【0063】
以上のような第2の実施形態によっても、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
〔第3の実施形態〕
次に、
図4を用いて、第3の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0065】
図4(a)に示すように、本実施形態の場合、正極外部端子50は、拘束用導電性粘着層56と拘束用金属箔57とを更に備えている。
正極端子1a(
図4(a)における正極層11の上面)に、拘束用導電性粘着層56を介して拘束用金属箔57が貼り付けられていることにより、正極端子1a、ひいては、正極層11が、拘束用金属箔57によって拘束されている。
拘束用導電性粘着層56及び拘束用金属箔57は、粉末材料からなる正極層11の崩壊を抑制する支持体として機能する。このため、正極層11の崩壊が抑制されている。
拘束用金属箔57は、封止用金属箔53に接している。すなわち、
図4(a)において、拘束用金属箔57の上面と封止用金属箔53の下面とが相互に接触(例えば、圧接)している。
【0066】
本実施形態の場合、正極端子1aと封止用金属箔53との間に、拘束用導電性粘着層56及び拘束用金属箔57が介在している。このため、埋設金属箔51は、封止用導電性粘着層52、封止用金属箔53、拘束用金属箔57及び拘束用導電性粘着層56をこの順に介して、正極端子1aに対して電気的に接続されている。
【0067】
拘束用導電性粘着層56及び拘束用金属箔57は、それぞれ、第1の実施形態における封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53と同様のものである。
なお、平面視において、拘束用導電性粘着層56及び拘束用金属箔57の外形線は、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53の外形線の内側に収まっていても良いし、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53の外形線と重なっていても良い。
【0068】
また、
図4(b)に示すように、本実施形態の場合、負極外部端子60は、拘束用導電性粘着層66と拘束用金属箔67とを更に備えている。
負極端子1b(
図4(b)における負極層13の下面)に、拘束用導電性粘着層66を介して拘束用金属箔67が貼り付けられていることにより、負極端子1b、ひいては、負極層13が、拘束用金属箔67によって拘束されている。
すなわち、拘束用導電性粘着層66及び拘束用金属箔67は、粉末材料からなる負極層13の崩壊を抑制する支持体として機能する。このため、負極層13の崩壊が抑制されている。
そして、拘束用金属箔67が封止用金属箔63に接している。すなわち、
図4(b)において、拘束用金属箔67の上面と封止用金属箔63の下面とが相互に接触(例えば、圧接)している。
【0069】
本実施形態の場合、負極端子1bと封止用金属箔63との間に、拘束用導電性粘着層66及び拘束用金属箔67が介在している。このため、埋設金属箔61は、封止用導電性粘着層62、封止用金属箔63、拘束用金属箔67及び拘束用導電性粘着層66をこの順に介して、負極端子1bに対して電気的に接続されている。
【0070】
拘束用導電性粘着層66及び拘束用金属箔67は、それぞれ、第1の実施形態における封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63と同様のものである。
なお、平面視において、拘束用導電性粘着層66及び拘束用金属箔67の外形線は、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63の外形線の内側に収まっていても良いし、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63の外形線と重なっていても良い。
【0071】
以上のような第3の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他、正極層11及び負極層13の崩壊を抑制することができる、という効果が得られる。
【0072】
〔第4の実施形態〕
次に、
図5を用いて、第4の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0073】
図5(a)に示すように、本実施形態の場合、正極外部端子50は、埋設金属箔51を備えていない代わりに、端子構成シート58を備えている。
端子構成シート58は、端子構成用金属箔581と、端子構成用金属箔581の一方の面に形成された端子構成用導電性粘着層582と、を有する。
端子構成シート58は、第1のラミネートフィルム30の外側の面(
図5(a)における上面)における開口30aの周囲縁部に貼り付けられた第1部分58aと、開口30aを介して正極端子1aに対して電気的に接続された第2部分58bと、を含んでいる。
端子構成シート58によって開口30aの外側端部が封止されている。
第2部分58bは、端子構成シート58の中央部により構成されている。第1部分58aは、端子構成シート58の周縁部により構成され、第2部分58bの周囲を囲んでいる。
【0074】
第2部分58bの内側の面(
図5(a)における下面)と、第1のラミネートフィルム30の内側の面(
図5(a)における下面)における開口30aの周囲縁部とに亘って、封止用導電性粘着層52を介して封止用金属箔53が貼り付けられている。これにより、開口30aの内側端部が封止されている。
第2部分58bは、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53を介して、正極端子1aに対して電気的に接続されている。
【0075】
端子構成シート58の厚さは、第1のラミネートフィルム30の厚さよりも薄いことが好ましく、これにより、全固体型リチウムイオン二次電池100をより薄型化することができる。
【0076】
端子構成シート58は、第1のラミネートフィルム30における開口30aの内周面に貼り付けられた第3部分58cを更に含んでいても良い。この場合、第3部分58cは、第2部分58bの周囲を囲んでおり、第1部分58aは、第3部分58cの周囲を囲んでいる。
【0077】
端子構成用導電性粘着層582及び端子構成用金属箔581は、それぞれ、第1の実施形態における封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53と同様のものである。
なお、端子構成用金属箔581は、十分な強度を得る観点から、ステンレス箔により構成されていることが好ましい。
【0078】
図5(b)に示すように、本実施形態の場合、負極外部端子60は、埋設金属箔61を備えていない代わりに、端子構成シート68を備えている。
端子構成シート68は、端子構成用金属箔681と、端子構成用金属箔681の一方の面に形成された端子構成用導電性粘着層682と、を有する。
端子構成シート68は、第2のラミネートフィルム40の外側の面(
図5(b)における下面)における開口40aの周囲縁部に貼り付けられた第1部分68aと、開口40aを介して負極端子1bに対して電気的に接続された第2部分68bと、を含んでいる。
端子構成シート68によって開口40aの外側端部が封止されている。
第2部分68bは、端子構成シート68の中央部により構成されている。第1部分68aは、端子構成シート68の周縁部により構成され、第2部分68bの周囲を囲んでいる。
【0079】
第2部分68bの内側の面(
図5(b)における上面)と、第2のラミネートフィルム40の内側の面(
図5(b)における上面)における開口40aの周囲縁部とに亘って、封止用導電性粘着層62を介して封止用金属箔63が貼り付けられている。これにより、開口40aの内側端部が封止されている。
第2部分68bは、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63を介して、負極端子1bに対して電気的に接続されている。
【0080】
端子構成シート68の厚さは、第2のラミネートフィルム40の厚さよりも薄いことが好ましく、これにより、全固体型リチウムイオン二次電池100をより薄型化することができる。
【0081】
端子構成シート68は、第2のラミネートフィルム40における開口40aの内周面に貼り付けられた第3部分68cを更に含んでいても良い。この場合、第3部分68cは、第2部分68bの周囲を囲んでおり、第1部分68aは、第3部分68cの周囲を囲んでいる。
【0082】
端子構成用導電性粘着層682及び端子構成用金属箔681は、それぞれ、第1の実施形態における封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63と同様のものである。
なお、端子構成用金属箔681は、十分な強度を得る観点から、ステンレス箔により構成されていることが好ましい。
【0083】
以上のような第4の実施形態によっても、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
〔第5の実施形態〕
次に、
図6を用いて、第5の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第4の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第4の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0085】
図6(a)に示すように、本実施形態の場合、正極外部端子50は、拘束用導電性粘着層56と拘束用金属箔57とを更に備えている。正極端子1aに、拘束用導電性粘着層56を介して拘束用金属箔57が貼り付けられていることにより、正極端子1a、ひいては正極層11が拘束用金属箔57に拘束されている。
また、
図6(b)に示すように、負極外部端子60は、拘束用導電性粘着層66と拘束用金属箔67とを更に備えている。負極端子1bに、拘束用導電性粘着層66を介して拘束用金属箔67が貼り付けられていることにより、負極端子1b、ひいては負極層13が拘束用金属箔67に拘束されている。
拘束用導電性粘着層56、拘束用金属箔57、拘束用導電性粘着層66及び拘束用金属箔67については、第3の実施形態で説明したとおりである。
【0086】
以上のような第5の実施形態によれば、上記の第4の実施形態と同様の効果が得られる他、正極層11及び負極層13の崩壊を抑制することができる、という効果が得られる。
【0087】
〔第6の実施形態〕
次に、
図7を用いて、第6の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0088】
上記の第1の実施形態では、埋設金属箔51の厚さが第1のラミネートフィルム30の厚さと等しい例を説明したが、本実施形態の場合、埋設金属箔51の厚さが第1のラミネートフィルム30の厚さよりも薄い。そして、埋設金属箔51の両面が開口30a内に収まっている。
これに伴い、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53において、開口30aと対応する部分は、開口30a内に入り込んでいる。
そして、正極端子1aと封止用金属箔53との間には、空隙70が形成されている。
【0089】
本実施形態の場合、正極外部端子50は、第2の実施形態で説明した第2封止用導電性粘着層54及び第2封止用金属箔55も有している。
そして、第2封止用導電性粘着層54及び第2封止用金属箔55において、開口30aと対応する部分は、開口30a内に入り込んでいる。
【0090】
同様に、埋設金属箔61の厚さが第2のラミネートフィルム40の厚さよりも薄い。そして、埋設金属箔61の両面が開口40a内に収まっている。
これに伴い、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63において、開口40aと対応する部分は、開口40a内に入り込んでいる。
そして、負極端子1bと封止用金属箔63との間には、空隙70が形成されている。
【0091】
本実施形態の場合、負極外部端子60は、第2の実施形態で説明した第2封止用導電性粘着層64及び第2封止用金属箔65も有している。
そして、第2封止用導電性粘着層64及び第2封止用金属箔65において、開口40aと対応する部分は、開口40a内に入り込んでいる。
【0092】
以上のような第6の実施形態によっても、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0093】
〔第7の実施形態〕
次に、
図8を用いて、第7の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第7の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第7の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0094】
本実施形態の場合、正極外部端子50は、拘束用導電性粘着層56と拘束用金属箔57とを更に備えている。
そして、拘束用金属箔57と封止用金属箔53との間には、空隙70が形成されている。
【0095】
同様に、負極外部端子60は、拘束用導電性粘着層66と拘束用金属箔67とを更に備えている。
そして、拘束用金属箔67と封止用金属箔63との間には、空隙70が形成されている。
【0096】
拘束用導電性粘着層56、拘束用金属箔57、拘束用導電性粘着層66及び拘束用金属箔67については、第3の実施形態で説明したとおりである。
【0097】
以上のような第7の実施形態によれば、上記の第6の実施形態と同様の効果が得られる他、正極層11及び負極層13の崩壊を抑制することができる、という効果が得られる。
【0098】
〔第8の実施形態〕
次に、
図9を用いて、第8の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0099】
本実施形態の場合、正極外部端子50は、第1のラミネートフィルム30の金属層31と、封止用導電性粘着層52と、封止用金属箔53と、により構成されている。
すなわち、金属層31の一部分が、埋設端子である正極外部端子50を構成している。
【0100】
第1のラミネートフィルム30の第1樹脂層33には、第1開口33aが形成されている。金属層31の一部分は、第1開口33aを介して、正極端子1aに対して電気的に接続されている。
上述のように、外装体20の内部は陰圧とされるため、
図9(a)に示すように、金属層31は、正極端子1a側に引き寄せられて、封止用導電性粘着層52に対して密着している。
【0101】
また、第1のラミネートフィルム30の第2樹脂層32には、第2開口32aが形成されている。これにより、金属層31の一部分は、第2開口32aを介して外装体20の外面側に露出している。
【0102】
本実施形態の場合、第1開口33aと第2開口32aとは、平面視において互いに重なる位置に配置されている。より具体的には、例えば、平面視において、第1開口33aの外形線と第2開口32aの外形線とが互いに一致している。
【0103】
金属層31は、ステンレス箔により構成されていることが好ましく、このようにすることにより、金属層31の十分な強度が得られる。
【0104】
本実施形態の場合、正極外部端子50は、第1の実施形態と同様に、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53を有している。
そして、金属層31において第1開口33aに位置する部分の内側の面と、第1のラミネートフィルム30の内側の面における第1開口33aの周囲縁部とに亘って、封止用導電性粘着層52を介して封止用金属箔53が貼り付けられていることにより、第1開口33aの内側端部が封止されている。
そして、金属層31において第1開口33aに位置する部分は、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53を介して、正極端子1aに対して電気的に接続されている。
【0105】
本実施形態の場合、負極外部端子60は、第2のラミネートフィルム40の金属層41と、封止用導電性粘着層62と、封止用金属箔63と、により構成されている。
すなわち、金属層41の一部分が、埋設端子である負極外部端子60を構成している。
【0106】
第2のラミネートフィルム40の第1樹脂層43には、第1開口43aが形成されている。金属層41の一部分は、第1開口43aを介して、負極端子1bに対して電気的に接続されている。
上述のように、外装体20の内部は陰圧とされるため、
図9(b)に示すように、金属層41は、負極端子1b側に引き寄せられて、封止用導電性粘着層62に対して密着している。
【0107】
また、第2のラミネートフィルム40の第2樹脂層42には、第2開口42aが形成されている。これにより、金属層41の一部分は、第2開口42aを介して外装体20の外面側に露出している。
【0108】
本実施形態の場合、第1開口43aと第2開口42aとは、平面視において互いに重なる位置に配置されている。より具体的には、例えば、平面視において、第1開口43aの外形線と第2開口42aの外形線とが互いに一致している。
【0109】
金属層41は、ステンレス箔により構成されていることが好ましく、このようにすることにより、金属層41の十分な強度が得られる。
【0110】
本実施形態の場合、負極外部端子60は、第1の実施形態と同様に、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63を有している。
そして、金属層41において第1開口43aに位置する部分の内側の面と、第2のラミネートフィルム40の内側の面における第1開口43aの周囲縁部とに亘って、封止用導電性粘着層62を介して封止用金属箔63が貼り付けられていることにより、第1開口43aの内側端部が封止されている。
そして、金属層41において第1開口43aに位置する部分は、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63を介して、負極端子1bに対して電気的に接続されている。
【0111】
なお、第1のラミネートフィルム30に第1開口33a及び第2開口32aを形成する方法は、特に限定されない。例えば、予め第1開口33aが形成された第1樹脂層33と、予め第2開口32aが形成された第2樹脂層32と、を金属層31に対して積層し貼り付けることによって、第1開口33a及び第2開口32aを有する第1のラミネートフィルム30を得ることができる。或いは、第1のラミネートフィルム30に対してドライエッチングを施すことによって、第1開口33a及び第2開口32aを形成しても良い。
第1開口43a及び第2開口42aを有する第2のラミネートフィルム40を得る方法も同様である。
【0112】
以上のような第8の実施形態によれば、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる他、以下の効果が得られる。
すなわち、第1のラミネートフィルム30、第2のラミネートフィルム40の一部分が正極外部端子50、負極外部端子60を構成しているため、全固体型リチウムイオン二次電池100の部品点数を削減することができる。
【0113】
〔第9の実施形態〕
次に、
図10を用いて、第9の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第8の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第8の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0114】
本実施形態の場合、正極外部端子50は、封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53を有していない。
そして、金属層31の一部分は、第1開口33aを介して、正極端子1aに対して電気的に接続されている。
【0115】
同様に、負極外部端子60は、封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63を有していない。
そして、金属層41の一部分は、第1開口43aを介して、負極端子1bに対して電気的に接続されている。
【0116】
なお、金属層31、41は、第2の実施形態における第2封止用金属箔55及び第2封止用導電性粘着層54や、第2封止用金属箔65及び第2封止用導電性粘着層64のように、ラミネートフィルムの開口を封止する機能を持つ。
【0117】
以上のような第9の実施形態によれば、上記の第8の実施形態と同様の効果が得られる他、以下の効果が得られる。
すなわち、正極外部端子50が封止用導電性粘着層52及び封止用金属箔53を有していないとともに、負極外部端子60が封止用導電性粘着層62及び封止用金属箔63を有していないため、全固体型リチウムイオン二次電池100を更に薄型化することができる。
【0118】
〔第10の実施形態〕
次に、
図11を用いて、第10の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第1の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0119】
上記においては、正極外部端子50と負極外部端子60とが、全固体型リチウムイオン二次電池100における互いに反対側の面に露出している例を説明した。
これに対し、本実施形態の場合、正極外部端子50と負極外部端子60とが、全固体型リチウムイオン二次電池100における同一の面(例えば、
図11(a)における下面)に露出している。
すなわち、例えば、第2のラミネートフィルム40には、2つの開口40b、40cが互いに離間して形成されており、一方の開口40bを介して負極外部端子60が外装体20の外面側に露出しているとともに、他方の開口40cを介して正極外部端子50が外装体20の外面側に露出している。
一方の開口40bには、負極外部端子60を構成する埋設金属箔61が配置され、他方の開口40cには、正極外部端子50を構成する埋設金属箔51が配置されている。
【0120】
本実施形態の場合、全固体型リチウムイオン二次電池100は、2つの発電素子10を備え、これら発電素子10が互いに上下反転して、互いに同一面上に配置されている。そして、これら2つの発電素子10は互いに直列に接続されて、電池本体1を構成している。
例えば、2つの発電素子10間に亘って、接続用導電性粘着層82を介して接続用金属箔81が貼り付けられていることにより、2つの発電素子10が直列接続されている。
【0121】
電池本体1の正極端子1aは、一方(
図11において右側)の発電素子10の正極層11の外表面(
図11における下面)により構成されている。電池本体1の負極端子1bは、他方(
図11において左側)の発電素子10の負極層13の外表面(
図11(a)における下面)により構成されている。
正極端子1aには、封止用金属箔53及び封止用導電性粘着層52を介して埋設金属箔51が電気的に接続され、負極端子1bには、封止用金属箔63及び封止用導電性粘着層62を介して埋設金属箔61が電気的に接続されている。
【0122】
なお、本実施形態の場合、2つの発電素子10どうしの接触(短絡)を抑制するため、これら発電素子10どうしの間に絶縁性の仕切り部材(不図示)を配置することも好ましい。
【0123】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0124】
本発明者が、本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を実際に作製し、その性能について評価したところ、電圧3V、容量1.8mAh、平面積7.6cm
2、厚さ0.48mm、エネルギー密度15Wh/Lであった。
【0125】
なお、相互に直列接続される複数の発電素子10を交互に上下反転して同一面上に配置することにより、3つ以上の発電素子10により電池本体1を構成することも可能である。
また、複数の発電素子10を、互いに上下反転させず、互いに同じ向きで、互いに同一面上に配置し、それら複数の発電素子10の正極層11に対して共通に接続する正極集電体を設けるとともに、負極層13に対して共通に接続する負極集電体を設けることにより、複数の発電素子10を並列に接続することも可能である。
【0126】
〔第11の実施形態〕
次に、
図12を用いて、第11の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100を説明する。
本実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100は、以下に説明する点で、上記の第9の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と相違し、その他の点については、上記の第9の実施形態に係る全固体型リチウムイオン二次電池100と同様に構成されている。
【0127】
上記の第9の実施形態では、平面視において第1開口43aと重なる位置に配置された第2開口42aを介して、負極外部端子60を構成する金属層41が外装体20の外面側に露出している例を説明した。
これに対し、本実施形態の場合、第2開口42aは、被覆層90により埋められている。そして、第2樹脂層42において第2開口42aとは離間した位置に形成された第3開口42bを介して、負極外部端子60を構成する金属層41が外装体20外面側に露出している。
このような構成とすることにより、負極外部端子60において外装体20の外面側に露出する部分の配置は、自由に設定することができ、例えば、シール部2に配置することも可能である。
【0128】
また、図示は省略するが、同様に、正極外部端子50において外装体20の外面側に露出する部分の配置についても、自由に設定することができる。
【0129】
なお、上記の各実施形態で説明した正極外部端子50の構成には、他の実施形態で説明した正極外部端子50の構成を任意に組み合わせる(付加する)ことができる。同様に、上記の各実施形態で説明した負極外部端子60の構成には、他の実施形態で説明した負極外部端子60の構成を任意に組み合わせる(付加する)ことができる。
また、上記の各実施形態では、正極外部端子50と負極外部端子60が互いに同様の構造となっている例を説明したが、正極外部端子50の構造と負極外部端子60の構造とが互いに異なっていても良い。例えば、正極外部端子50についは、上記の何れか1つの実施形態の構造となっていて、負極外部端子60については、他の実施形態の構造となっていても良い。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 正極層と、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質層と、負極層と、がこの順に積層されることにより構成された発電素子を1つ以上含む電池本体と、
金属層を中間層に持つラミネートフィルムにより構成され、前記電池本体が封入されている外装体と、
前記電池本体の一端側の前記正極層の外表面からなる正極端子と電気的に接続された正極外部端子と、
前記電池本体の他端側の前記負極層の外表面からなる負極端子と電気的に接続された負極外部端子と、
を備え、
前記正極外部端子と前記負極外部端子とのうち少なくとも何れか一方は、その少なくとも一部分が前記ラミネートフィルムに埋め込まれている埋設端子であり、
前記埋設端子が前記外装体の外面側に露出している全固体型リチウムイオン二次電池。
2. 前記埋設端子は、前記ラミネートフィルムを厚み方向に貫通する開口を介して、前記外装体の外面側に露出している1.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
3. 前記埋設端子は、前記ラミネートフィルムに沿って前記開口内に配置された埋設金属箔を含む2.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
4. 前記埋設端子は、封止用導電性粘着層と、封止用金属箔と、を含み、
前記埋設金属箔の内側の面と、前記ラミネートフィルムの内側の面における前記開口の周囲縁部とに亘って、前記封止用導電性粘着層を介して前記封止用金属箔が貼り付けられていることにより、前記開口の内側端部が封止され、
前記埋設金属箔は、前記封止用導電性粘着層及び前記封止用金属箔を介して、前記正極端子又は前記負極端子に対して電気的に接続されている3.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
5. 前記埋設端子は、拘束用導電性粘着層と、拘束用金属箔と、を含み、
前記正極端子又は前記負極端子に対し、前記拘束用導電性粘着層を介して前記拘束用金属箔が貼り付けられていることにより、前記正極端子又は前記負極端子が前記拘束用金属箔に拘束され、
前記拘束用金属箔が前記封止用金属箔に接している4.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
6. 前記埋設端子は、第2封止用導電性粘着層と、第2封止用金属箔と、を含み、
前記埋設金属箔の外側の面と、前記ラミネートフィルムの外側の面における前記開口の周囲縁部とに亘って、前記第2封止用導電性粘着層を介して前記第2封止用金属箔が貼り付けられていることにより、前記開口の外側端部が封止されている3.乃至5.の何れか一つに記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
7. 前記埋設端子は、端子構成用金属箔と、前記端子構成用金属箔の一方の面に形成された端子構成用導電性粘着層と、を有する端子構成シートを含み、
前記端子構成シートは、前記ラミネートフィルムの外側の面における前記開口の周囲縁部に貼り付けられた第1部分と、前記開口を介して前記正極端子又は前記負極端子に対して電気的に接続された第2部分と、を含む2.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
8. 前記埋設端子は、封止用導電性粘着層と、封止用金属箔と、を含み、
前記第2部分の内側の面と、前記ラミネートフィルムの内側の面における前記開口の周囲縁部とに亘って、前記封止用導電性粘着層を介して前記封止用金属箔が貼り付けられていることにより、前記開口の内側端部が封止され、
前記第2部分は、前記封止用導電性粘着層及び前記封止用金属箔を介して、前記正極端子又は前記負極端子に対して電気的に接続されている7.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
9. 前記埋設端子は、拘束用導電性粘着層と、拘束用金属箔と、を含み、
前記正極端子又は前記負極端子に、前記拘束用導電性粘着層を介して前記拘束用金属箔が貼り付けられていることにより、前記正極端子又は前記負極端子が前記拘束用金属箔に拘束されている8.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
10. 前記ラミネートフィルムは、前記金属層の一方の面を覆う第1樹脂層と、前記金属層の他方の面を覆う第2樹脂層と、を有し、
前記金属層の一部分は、前記埋設端子を構成しているとともに、前記第1樹脂層に形成された第1開口を介して前記正極端子又は前記負極端子に対して電気的に接続され、且つ、前記第2樹脂層に形成された第2開口を介して前記外装体の外面側に露出している1.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
11. 前記外装体は、第1の前記ラミネートフィルムと、第2の前記ラミネートフィルムと、を備え、
前記第1のラミネートフィルムと前記第2のラミネートフィルムとの周縁部どうしがシールされることにより、前記第1のラミネートフィルムと前記第2のラミネートフィルムとの間に前記電池本体が封入されており、
前記第1のラミネートフィルム及び前記第2のラミネートフィルムの各々は、前記金属層の一方の面を覆う第1樹脂層と、前記金属層の他方の面を覆う第2樹脂層と、を有し、
前記第1のラミネートフィルムの前記金属層の一部分は、前記埋設端子を構成しているとともに、前記第1のラミネートフィルムの前記第1樹脂層に形成された第1開口を介して前記正極端子に対して電気的に接続され、且つ、前記第1のラミネートフィルムの前記第2樹脂層に形成された第2開口を介して前記外装体の外面側に露出しており、
前記第2のラミネートフィルムの前記金属層の一部分は、前記埋設端子を構成しているとともに、前記第2のラミネートフィルムの前記第1樹脂層に形成された第1開口を介して前記負極端子に対して電気的に接続され、且つ、前記第2のラミネートフィルムの前記第2樹脂層に形成された第2開口を介して前記外装体の外面側に露出している1.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
12. 前記埋設端子は、封止用導電性粘着層と、封止用金属箔と、を含み、
前記金属層において前記第1開口に位置する部分の内側の面と、前記ラミネートフィルムの内側の面における前記第1開口の周囲縁部とに亘って、前記封止用導電性粘着層を介して前記封止用金属箔が貼り付けられていることにより、前記第1開口の内側端部が封止され、
前記金属層において前記第1開口に位置する部分は、前記封止用導電性粘着層及び前記封止用金属箔を介して、前記正極端子又は前記負極端子に対して電気的に接続されている10.又は11.に記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
13. 前記金属層は、ステンレス箔により構成されている10.乃至12.の何れか一つに記載の全固体型リチウムイオン二次電池。
14. 当該全固体型リチウムイオン二次電池において厚みが最大の部分の厚さが1.0mm以下である1.乃至13.の何れか一つに記載の全固体型リチウムイオン二次電池。