(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497956
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】消音器及びその製造方法、燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20190401BHJP
H01M 8/04 20160101ALN20190401BHJP
【FI】
G10K11/16 100
G10K11/16 110
!H01M8/04 N
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-24805(P2015-24805)
(22)【出願日】2015年2月10日
(65)【公開番号】特開2016-148743(P2016-148743A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175766
【氏名又は名称】三恵技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】久保田 尚矢
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康史
【審査官】
須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−253493(JP,A)
【文献】
実開平05−070644(JP,U)
【文献】
特開平11−033411(JP,A)
【文献】
特開2010−218753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/16 − 11/172
F24F 1/00 − 1/02
F24F 13/00 − 13/078
F24F 13/08 − 13/32
F01N 1/00 − 1/24
F01N 5/00 − 5/04
F01N 13/00 − 99/00
B01J 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波数の騒音を発生させる気流が生ずる気体供給管路に設けられる消音器であって、
前記気体供給管路の一部を構成する管体を有し、
前記管体の断面視中心から外側に向かって、断面視波形で形成されて湾曲している波状湾曲板部と断面視弧状で形成されて湾曲している弧状湾曲板部とが積層する積層構造体が、前記管体に内装され、
一連の前記波状湾曲板部と一連の前記弧状湾曲板部の全体が一枚板に連続して形成され、
前記一連の波状湾曲板部の波形部が前記一枚板に形成された山部で構成され、
前記一枚板の折返部を起点にし、中心にの字状の部分が形成されるようにして、前記一連の波状湾曲板部と前記一連の弧状湾曲板部とが螺旋状に巻回されていることを特徴とする消音器。
【請求項2】
前記積層構造体の外周面が前記管体の内周面を押圧するようにして前記積層構造体が前記管体に内装され、前記管体内に定置されていることを特徴とする請求項1記載の消音器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の消音器の製造方法であって、
金属平板の一部に波形加工を施して山部で構成される波形部を形成する第1工程と、
前記山部が外側となるように折り返して前記金属平板の平板部に前記波形部を積層する第2工程と、
前記折り返しの折返部を起点とし、中心にの字状の部分が形成されるようにして、積層状態の前記波形部と前記平板部を螺旋状に巻回し、前記波状湾曲板部と前記弧状湾曲板部とが積層する前記積層構造体を形成する第3工程と、
前記積層構造体を前記管体の内周面を押圧するように前記管体に内装する第4工程と
を備えることを特徴とする消音器の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の消音器が、燃料電池に圧縮空気を供給するエアコンプレッサーと燃料電池との間のエア供給管路に設けられることを特徴とする燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムにおけるエアコンプレッサーと燃料電池との間のエア供給管路等に設けられる消音器及びその製造方法、並びに消音器を備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池のアノード電極側に水素ガスを供給し、カソード電極に空気を供給し、水素と圧縮空気中の酸素との電気化学反応による燃料電池システムが電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されている。燃料電池システムでは燃料電池のカソード電極に供給する空気をエアコンプレッサーで圧縮して供給することになるが、この際、エアコンプレッサーと燃料電池との間のエア供給管路において、圧縮空気の大量供給により高周波数の騒音が発生する。
【0003】
この高周波数の騒音を低減するための技術として、特許文献1に開示されている消音器がある。この消音器は、エアコンプレッサーから出力される圧縮空気を燃料電池に供給するエア供給路に設けられるもので、筐体の内部に格子状又はハニカム形状の整流板を備え、格子状又はハニカム形状の整流板で圧縮空気の流れを整流化して騒音を低減するものである。この格子状又はハニカム形状の整流板は、圧縮空気の流れに沿った方向に細管を束ねた構造とされ、格子状の細管やハニカム形状の細管を組み合わせて構成される(特許文献1、段落[0022]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−218753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の消音器を製造する場合、複数の格子状の細管又は複数のハニカム形状の細管を形成し、その細管を互いに固定しながら整列配置して組み合わせ、格子状又はハニカム形状の整流板を形成することになる。しかしながら、全体を束ねた状態でエア供給路の形状に適合するように各部分を構成する複数の細管を形成する工程や、形成した細管を互いに固定しながら整列配置する工程には手間がかかるため、斯様な形状の整流板を効率良く製造することは難しい。
【0006】
また、各部分を構成する複数の細管を形成する際のコストや、形成した細管を互いに蝋付け等で固定していく際のコストも高くなり、全体として製造コストが高い消音器になってしまうという問題もある。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、高周波数の騒音を低減することができると共に、優れた製造効率と低い製造コストで製造することができる消音器及びその製造方法、並びに消音器を備える燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の消音器は、高周波数の騒音を発生させる気流が生ずる気体供給管路に設けられる消音器であって、前記気体供給管路の一部を構成する管体を有し、前記管体の断面視中心から外側に向かって、断面視波形で形成されて湾曲している波状湾曲板部と断面視弧状で形成されて湾曲している弧状湾曲板部とが積層する積層構造体が、前記管体に内装され
、一連の前記波状湾曲板部と一連の前記弧状湾曲板部の全体が一枚板に連続して形成され、前記一連の波状湾曲板部の波形部が前記一枚板に形成された山部で構成され、前記一枚板の折返部を起点にし、中心にの字状の部分が形成されるようにして、前記一連の波状湾曲板部と前記一連の弧状湾曲板部とが螺旋状に巻回されていることを特徴とする。
これによれば、波状湾曲板部と弧状湾曲板部との積層構造体に形成される断面視略山形の流路により、高周波数の騒音を発生させる気流を整流し、気体供給管路で発生する高周波数の騒音を低減することができる。また、波状湾曲板部と弧状湾曲板部を積層して管体に内装することで形成することが可能であるから、優れた製造効率と低い製造コストで製造することができる。また、例えば気体供給管路の通常の配管よりもやや大径で短い管体の大きさ等の小型にすることが可能であるから、消音スペースを小スペース化することができる。
また、一連の波状湾曲板部と一連の弧状湾曲板部とを螺旋状に巻回して積層構造体を形成できることから、製造効率をより高めることができる。また、一連の波状湾曲板部と一連の弧状湾曲板部の全体を一枚板に連続して形成することが可能であるから、一枚板をクランプして螺旋状に巻回する等で、製造効率をより一層高めることができる。また、例えば一連の波状湾曲板部と一連の弧状湾曲板部を別部材にして固着する場合に、端部を相互に固着して位置合わせを行う際に、固着部分で生ずる固着不良による歩留まり低下を防止することができると共に、一枚板に連続形成することにより、スポット溶接等で固着部分に生ずる段差を無くし、局所的に内側に突出する突起等のない均質性の高い気体流路を形成することができる等で、高周波数の騒音をより一層低減することができる。
【0009】
本発明の消音器は、
前記積層構造体の外周面が前記管体の内周面を押圧するようにして前記積層構造体が前記管体に内装され、前記管体内に定置されていることを特徴とする。
これによれば、別途に定置具を設けたり或いは溶接等による固定部を設けずとも、積層構造体を管体に安定して定置することが可能となる。
【0010】
本発明の消音器の製造方法は、本発明の消音器を製造する方法であって、金属平板の一部に波形加工を施して山部で構成される波形部を形成する第1工程と、前記山部が外側となるように折り返して前記金属平板の平板部に前記波形部を積層する第2工程と、前記折り返しの折返部を起点とし
、中心にの字状の部分が形成されるようにして、積層状態の前記波形部と前記平板部を螺旋状に巻回し、前記波状湾曲板部と前記弧状湾曲板部とが積層する
前記積層構造体を形成する第3工程と、前記積層構造体を前記管体の内周面を押圧するように前記管体に内装する第4工程とを備えることを特徴とする。
これによれば、金属平板への波形部の形成、山部を外側にしての折り返し、螺旋状の巻回で積層構造体の形成、管体への内装、という非常に簡単なプロセスで消音器を製造することができ、非常に高い効率性で消音器を製造することができる。また、管体に内装された積層構造体は、螺旋状に巻回された積層構造体の管体内周面を押圧する力のみなど、非常に簡単な構造で管体内に定置できることから、かかる点からも製造効率を向上することができる。
【0011】
本発明の燃料電池システムは、本発明の消音器が、燃料電池に圧縮空気を供給するエアコンプレッサーと燃料電池との間のエア供給管路に設けられることを特徴とする。
これによれば、優れた製造効率と低い製造コストで製造できる消音器で、燃料電池システムにおけるエアコンプレッサーと燃料電池との間のエア供給管路で生ずる高周波数の騒音を低減することができる。従って、燃料電池システムを搭載する電気自動車やハイブリッド自動車では、高周波数騒音の低減により車内の乗り心地を改善することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高周波数の騒音を低減することができると共に、優れた製造効率と低い製造コストで製造することができる消音器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は本発明の実施形態の消音器を備える気体供給管路の一部を示す正面図、(b)はその縦断面図。
【
図3】実施形態の消音器における積層構造体の一部を示す部分断面図。
【
図4】実施形態の消音器における積層構造体の中心付近の一部を示す部分断面図。
【
図5】金属平板に波形部を形成した状態を示す部分断面図。
【
図6】金属平板の平板部に波形部を折り返した状態を示す部分断面図。
【
図7】実施形態の消音器の使用例である燃料電池システムの要部を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態の消音器及びその製造方法〕
本実施形態の消音器1は、高周波数の騒音を発生させる気流が生ずる気体供給管路に設けられるものであり、
図1では、気体供給経路を構成する連結管11a及びスリーブ継手12aと、スリーブ継手12b及び連結管11bとの間に設けられている。スリーブ継手12a、12bは異径管を接続可能に略中間領域にテーパ部121a、121bが形成されているものであり、スリーブ継手12aの大径管部122aとスリーブ継手12bの大径管部122bとに、消音器1の管体2の端部がそれぞれ内挿されて溶接等で固定されている。
【0015】
スリーブ継手12a、12bの小径管部123a、123bには、それぞれ連結管11aの一方の端部と連結管11bの一方の端部が内挿されて溶接等で固定されている。連結管11aの他方の端部には、例えば燃料電池システムのエアコンプレッサーに接続されている配管が連結され、又、連結管11bの他方の端部には、例えば燃料電池のカソード電極側に接続されている配管が連結され、連結管11a、スリーブ継手12a、消音器1、スリーブ継手12b、連結管11bの順に圧縮空気等の気体が流れるように構成される。
【0016】
気体供給経路の一部を構成する消音器1の管体2は、連結管11a、11bよりも大径になっており、積層構造体3が内装されている。積層構造体3は、
図2〜
図4に示すように、管体2の断面視中心から外側に向かって、断面視波形で形成されて湾曲している波状湾曲板部4と、断面視弧状で形成されて湾曲している弧状湾曲板部5とが積層するようにして形成され、断面視略山形の直線状に延びる流路31が多数形成されている。図示例では波状湾曲板部4の山部41のピッチと高さが略同一となるようにして形成されている。
【0017】
本実施形態における積層構造体3では、管体2に内装されている波状湾曲板部4が一連で形成されていると共に、管体2に内装されている弧状湾曲板部5が一連で形成され、更に、この一連の波状湾曲板部4と一連の弧状湾曲板部5の全体が一枚板に連続して形成されている。そして、一枚板の折返部6を起点にし、中心に「の」字状の部分が形成されるようにして、一連の波状湾曲板部4と一連の弧状湾曲板部5とが螺旋状に巻回されて積層状態にされている。
【0018】
螺旋状に巻回された積層構造体3は、その外周面で管体2の内周面を押圧するようにして管体2に内装され、螺旋状に巻き付けられた状態と解くように働く復元力、山部41の弾性復帰による積層構造体3の管体2の内周面に対する略均等な押圧により、積層構造体3は管体2内で定置される。この押圧による定置により、別途に定置具を設けたり或いは溶接等による固定部を設けずとも、積層構造体3を管体2に安定して定置することが可能となる。
【0019】
尚、管体2に内装された積層構造体3の定置の安定性をより高めるために、例えば積層構造体3の上流側と下流側にそれぞれ固定棒を設け、積層構造体3の中心部に挿通したクロスバーの両端を各固定棒に固定し、この両端固定部で積層構造体3の気体が流れる方向の両端を抑える定置具、或いは積層構造体3の気体が流れる方向の両端を抑えるように管体2の内周面に突出して設けられる突部等を補助定置具として設けてもよく、又、積層構造体3は管体2の内周面に対する押圧が弱い場合には、これらの定置具や突部等で積層構造体3を管体2内に定置するようにしてもよい。
【0020】
本実施形態の消音器1を製造する際には、先ず、
図5に示すように、金属平板7の一部に波形加工を施して山部41で構成される波形部8を形成する。次いで、
図6に示すように、山部41が外側となるように折り返して金属平板7の平板部9に波形部8を積層し、波形部8の山部41が片面側で並列して突出した形状にする。
【0021】
その後、折り返しによる折返部6を起点として積層状態の波形部8と平板部9を螺旋状に巻回していき、波状湾曲板部4と弧状湾曲板部5とが積層する積層構造体3を形成する(
図2〜
図4参照)。そして、積層構造体3を管体2の内周面を押圧するように管体2に内装して消音器1が得られる(
図1、
図2参照)。完成した消音器1は、スリーブ継手12a、12b等に溶接等で固定されて気体供給経路の一部を構成する。
【0022】
本実施形態の消音器1は、例えば
図7の燃料電池システム20に使用される。燃料電池システム20は、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載されるものであり、燃料電池21のアノード電極側に水素タンク22から水素ガスが供給され、燃料電池21のカソード電極側に吸気された空気がエアコンプレッサー23で圧縮されて供給される。そして、燃料電池21に圧縮空気を供給するエアコンプレッサー23と燃料電池21との間のエア供給管路24に消音器1が設けられる。
【0023】
本実施形態の消音器1によれば、波状湾曲板部4と弧状湾曲板部5との積層構造体5に形成される断面視略山形の流路31により、高周波数の騒音を発生させる気流を整流し、気体供給管路で発生する高周波数の騒音を低減することができる。更に、波状湾曲板部4の山部41のピッチと高さが略同一で形成することにより、より一層均質性の高い気体流路を形成することができ、高周波騒音の低減のレベルと安定性を一層高めることができる。また、連結管11a、11bよりもやや大径で短尺の管体2の大きさで済み、小型の消音器1であることから、消音スペースを小スペース化することができる。
【0024】
また、波状湾曲板部4と弧状湾曲板部5を積層して管体2に内装することで形成することが可能であるから、優れた製造効率と低い製造コストで製造することができる。特に本実施形態では、一連の波状湾曲板部4と一連の弧状湾曲板部5の全体を一枚板に連続して形成することにより、一枚板をクランプして螺旋状に巻回する等で、極めて高い製造効率で製造することができる。また、特に上記実施形態の製造プロセス、即ち金属平板7への波形部8の形成、山部41を外側にしての折り返し、螺旋状の巻回で積層構造体3の形成、管体2への内装の製造プロセスを用いる場合には、非常に簡単なプロセスで消音器1を製造することができ、極めて高い効率性で消音器を製造することができる。
【0025】
また、例えば一連の波状湾曲板部4と一連の弧状湾曲板部5を別部材にして固着する場合に、端部を相互に固着して位置合わせを行う際に、固着部分で生ずる固着不良による歩留まり低下を生ずるが、一連の波状湾曲板部4と一連の弧状湾曲板部5の全体を一枚板に連続して形成することにより、斯様な歩留まり低下を防止することができる。また、一連の波状湾曲板部4と一連の弧状湾曲板部5を別部材にして固着する場合等では、スポット溶接等で固着部分に段差を生ずるが、一枚板に連続形成することにより、斯様な段差を無くし、局所的に内側に突出する突起等のない均質性の高い気体流路を形成することができる等で、高周波数の騒音をより一層低減することができる。
【0026】
また、管体2に内装された積層構造体3を、螺旋状に巻回された積層構造体3の管体2の内周面を押圧する力のみで定置する場合には、非常に簡単な構造で管体内に定置できることから、かかる点でも製造効率を向上することができる。
【0027】
また、本実施形態の消音器1を、燃料電池システムのエアコンプレッサー23と燃料電池21との間のエア供給管路24に設ける場合には、通常は圧縮空気の大量供給、気流の乱れで高周波数の大きな騒音が発生するエア供給管路24において、高周波数の騒音を飛躍的に低減することができる。
【0028】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明や実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものである。そして、下記変形例も包含する。
【0029】
例えば本発明の消音器は、一連の波状湾曲板部と一連の弧状湾曲板部の全体を一枚板で連続形成して螺旋状に巻回される積層構造体を有するものに限定されず、一連の波状湾曲板部を一枚板とし、一連の弧状湾曲板部を一枚板とし、この2枚の板を螺旋状に巻回して積層構造体を構成するものも包含する。この2枚板の積層構造体の場合には、積層構造体の中心部において一連の波状湾曲板部の板材の端部と、一連の弧状湾曲板部の板材の端部を蝋付け等で固着することが好ましい。
【0030】
更に、本発明の消音器における積層構造体には、管体の断面視中心から外側に向かって、断面視波形で形成されて湾曲している波状湾曲板部と断面視弧状で形成されて湾曲している弧状湾曲板部とが積層されているものが全て含まれ、例えば断面視波形で形成されて山部が長手方向に延びる断面波状円筒と、断面視弧状で形成されている円筒とを一つ置きに順次外挿し、複数の径が異なる断面波状円筒と通常の円筒とで本発明における積層構造体を形成することも可能である。
【0031】
また、本発明の消音器は、燃料電池システムの燃料電池に圧縮空気を供給するエアコンプレッサーと燃料電池との間のエア供給管路に設ける用途に限定されず、高周波数の騒音を発生させる気流が生ずる気体供給管路を有する適宜の装置或いはシステムに設置することが可能である。
【0032】
また、本発明の消音器の積層構造体における積層構造体の長さ、波状湾曲板部の板厚、弧状湾曲板部の板厚、波状湾曲板部の山部のピッチと高さは、対象とする高周波数騒音の消音効果を最大化する観点から調整設定することが可能であり、例えば3kHz〜12kHzの高周波数の騒音を生ずる気流の乱れを整流化して、この周波数帯の高周波数騒音を低減する場合には、積層構造体の長さを20〜500mm、波状湾曲板部の板厚と弧状湾曲板部の板厚を0.05〜0.3mm、波状湾曲板部の山部のピッチを1.0mm〜5.0mm、山部の高さを0.5mm〜2.5mmとすると良好である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される燃料電池システムのエア供給管路に設けられる消音器等として利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…消音器 2…管体 3…積層構造体 31…流路 4…波状湾曲板部 41…山部 5…弧状湾曲板部 6…折返部 7…金属平板 8…波形部 9…平板部 11a、11b…連結管 12a、12b…スリーブ継手 121a、121b…テーパ部 122a、122b…大径管部 123a、123b…小径管部 20…燃料電池システム 21…燃料電池 22…水素タンク 23…エアコンプレッサー 24…エア供給管路