特許第6497960号(P6497960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497960
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】盤の自動設計システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
   G06F17/50 652Z
   G06F17/50 660M
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-29181(P2015-29181)
(22)【出願日】2015年2月18日
(65)【公開番号】特開2016-151906(P2016-151906A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小久保 健司
(72)【発明者】
【氏名】若原 慎泰
(72)【発明者】
【氏名】浅野 太郎
【審査官】 田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−324811(JP,A)
【文献】 特開2015−32134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
盤を構成する複数の要素を指定すると、
製品図が自動的に作製される盤の自動設計システムであって、
これらの各要素を指定する各項目を入力する項目入力手段と、
前記の各項目のうち、該盤の設計に不可欠となる必須項目の入力状態を判定する入力判定手段と、
該入力判定手段により未入力判定を受けた必須項目に入力を行う必須項目入力手段と、
前記の項目入力手段を介して指定された盤を構成する複数の要素の組合せの可否を判定する組合せ判定手段を有し、
前記の入力判定手段は、前記の組合せを判定後に、前記の必須項目を決定する
ことを特徴とする盤の自動設計システム。
【請求項2】
前記の必須項目入力手段は、
該入力判定手段により未入力判定を受けた必須項目に自動入力を行う
ことを特徴とする請求項1記載の盤の自動設計システム。
【請求項3】
前記の項目入力手段は、
盤を構成する複数の要素として、盤内に配置される内機を指定するものである
ことを特徴とする請求項2記載の盤の自動設計システム。
【請求項4】
内機が複数の部品から構成されるユニット品名として、
その仕様とともに登録されたユニット品名データベースを有し、
前記の項目入力手段を介して、前記のユニット品名を複数指定すると、
前記の組合せ判定手段が、前記のユニット品名データベースを参照して、
そのユニット品名同士の組合わせの可否を判定する
ことを特徴とする請求項3記載の盤の自動設計システム。
【請求項5】
前記の組合せ判定手段で組合せ不可の判定がなされた際、
前記のユニット品名データベースを参照して、
可能な組み合わせに修正する組合せ修正手段を有する
ことを特徴とする請求項4記載の盤の自動設計システム。
【請求項6】
前記の自動指定された必須項目を、
他の要素と識別可能に表示する識別表示手段を有する
ことを特徴とする請求項2記載の盤の自動設計システム。
【請求項7】
前記の修正されたユニット品名を、
他のユニット品名と識別可能に表示する識別表示手段を有する
ことを特徴とする請求項5記載の盤の自動設計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盤(配電盤、分電盤、端子盤等)の自動設計システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
盤の自動設計システムとして、ユーザが、設計対象盤に必要な複数の基本的な部品を入力するだけで、盤の製品図(外形図、配線図、制御回路図等)を自動的に作成することができる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記の従来技術は、各盤の設計に必須の項目(以下、必須項目という)の何れかが未入力の場合には、製品図の自動作成は行うことができないシステムとなっている。
【0004】
しかし、これらの「必須項目」は、盤の種類によって変化するものであるため、全ての入力項目のうち、何れが「必須項目」に指定されているのかは、不慣れなユーザには分かりにくく、製品図の作成が速やかに行うことができないケースがあるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−22420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は前記の問題を解決し、ユーザの技能に関わりなく、速やかに、盤の製品図を自動作成することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決するために、項目入力手段を介して盤内に配置される内機を指定すると、盤の製品図が自動的に作製される盤の自動設計システムにおいて、前記の内機は、盤を構成する複数の要素からなり、これらの各要素を指定する各項目を入力する項目入力手段と、前記の各項目のうち、該盤の設計に不可欠となる必須項目の入力状態を判定する入力判定手段と、該入力判定手段により未入力判定を受けた必須項目に入力を行う必須項目入力手段と、前記の項目入力手段を介して指定された盤を構成する複数の要素の組合せの可否を判定する組合せ判定手段を有し、前記の入力判定手段は、前記の組合せを判定後に、前記の必須項目を決定するものとする構成を採用した。
【0008】
請求項2記載の発明のように、前記の必須項目入力手段は、該入力判定手段により未入力判定を受けた必須項目に自動入力を行うものであることが好ましい。
【0009】
請求項3記載の発明のように、前記の項目入力手段は、盤を構成する複数の要素として、盤内に配置される内機を指定するものであることが好ましい。
【0010】
請求項4記載の発明のように、複数の部品から構成されるユニット品名が、その仕様とともに登録されたユニット品名データベースを有し、前記の項目入力手段を介して、前記のユニット品名を複数指定すると、前記の組合せ判定手段が、前記のユニット品名データベースを参照して、そのユニット品名同士の組合わせの可否を判定するものとすることが好ましい。
【0011】
請求項5記載の発明のように、前記の組合せ判定手段で組合せ不可の判定がなされた際、前記のユニット品名データベースを参照して、可能な組み合わせに修正する組合せ修正手段を有するものとすることが好ましい。
【0012】
請求項6記載の発明のように、前記の自動指定された必須項目を、他の要素と識別可能に表示したり、請求項7記載の発明のように、前記の修正されたユニット品名を、他のユニット品名と識別可能に表示する識別表示手段を有するものとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、項目入力手段を介して盤内に配置される内機を指定すると、盤の製品図が自動的に作製される盤の自動設計システムにおいて、前記の内機は、盤を構成する複数の要素からなり、これらの各要素を指定する各項目を入力する項目入力手段と、前記の各項目のうち、該盤の設計に不可欠となる必須項目の入力状態を判定する入力判定手段と、該入力判定手段により未入力判定を受けた必須項目に入力を行う必須項目入力手段を有するものとする構成を採用しているため、内機の指定時に、何れが「必須項目」に指定されているのか分からない場合であっても、必須項目の入力漏れを回避することができ、ユーザの技能に関わりなく、速やかに、盤の製品図を自動作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態で設計された配電盤の概略図である。
図2】ユニット品名データベースの説明図である。
図3】本実施形態のシステムのフロー図である。
図4】本実施形態のシステムの入力画面の説明図である。
図5】他の実施形態のシステムのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。本実施形態では、例えば図1に示すような、ユニット化された配電盤1の内機2(ユニット品名)を指定して配電盤を作製する「配電盤の自動設計システム」として、本発明を説明する。
【0016】
図2に示すように、ユニット品名は、そのユニットを構成する要素(「相線式」「分岐タイプ」「配置パターン(「レイアウト」および「入出線位置」)」「主幹容量」「分岐数」等)と共に、ユニット品名データベースに、登録されている。ユニット品名を指定すると、配電盤の基本構成が定まるが、更に、要素を個別に指定して、カスタマイズした所望の配電盤を作製することができる。
【0017】
前記の「入出線位置」としては、そのユニットの配線方向が、「上または下または上下」および「専用または推奨」の組み合わせで表現されている。例えば、図2において、ユニット品名AAでは、上方向からの配線が推奨され、場合によっては、下方向からの配線も可能であるが、ユニット品名BBでは、上方向からの配線に限定されている。
【0018】
以下、図3のフローに従って、配電盤の製品図を作製する本実施形態のシステムを詳細に説明する。
【0019】
(ST1)
ユーザがシステムにログインすると、図4の入力画面が表示される。図4の各項目のうち「管理番号(1)」は、予め、自動付与されている。なお、本発明は、「項目入力手段を介して盤内に配置される内機を指定すると、盤の製品図が自動的に作製される盤の自動設計システム」であり、本実施形態は、この入力画面を「項目入力手段」とするものである。
【0020】
ユーザは、前記の入力画面で、「盤名称(2)」を入力する。続いて、「ユニット品名」が分かる場合には、「ユニット品名(3)」を入力し、「ユニット品名」が分からない場合には、「相線式(4)」「分岐タイプ(5)」「配置パターン(6)」「主幹容量(7)」「分岐数(8)」の各欄に入力を行う。なお、入力方法は、希望の仕様の記入あるいは予め登録された選択肢からの選択等、任意の方法で行うことができる。
【0021】
その他、必要に応じて、内機ユニットのオプション欄(「非常回路(9)」「二次送回路(10)」「タイムスイッチ(11)」「自動点滅回路(12)」)を入力する。
【0022】
配電盤内に2つのユニットを配置する場合には、上記同様に、「ユニット品名2」が分かる場合には、「ユニット品名2(13)」を入力し、「ユニット品名2」が分からない場合には、「相線式(14)」「分岐タイプ(15)」「配置パターン(16)」「主幹容量(17)」「分岐数(18)」の各欄に入力を行う。その他、必要に応じて、内機ユニットのオプション欄(「非常回路(19)」「二次送回路(20)」「タイムスイッチ(21)」「自動点滅回路(22)」)を入力する。
【0023】
その後、更に、必要に応じて、盤内オプション(23)〜(29)を入力する。
【0024】
上記の各項目の入力を行うと、各ユニットを構成する機器の詳細データが、「展開部(30)」に表示される。ここで、ユーザは、「展開部(30)」に表示された機器を変更することもできる。
【0025】
「展開部(30)」の表示を確認後、決定ボタン押圧により入力データを確定する。
【0026】
(ST2)
上記のようにして、入力データが確定されると、続いて、組合せ判定手段による組合せ判定が行われる。組合せ判定手段が、前記のユニット品名データベースを参照して、ユニット同士の組合せの可否や、各欄の入力項目同士の組合せの可否を判定し、組み合わせ不可の場合には、エラー判定を行なう。具体的には、ユニット品名1で指定したユニットの配線方向が、「上(専用)」であり、ユニット品名2で指定したユニットの配線方向が、「下(専用)」である場合には、エラー判定がなされる。
【0027】
前記のエラー判定がなされた場合、エラー要因となった指定項目が識別し易いように、例えば点滅表示される。
【0028】
図3のフローに従う本実施形態は、この点滅表示を受けて、ユーザが修正を行うことを前提としているが、その他の実施形態として、図5のフローに示すように、ユーザが、前記の点滅表示箇所を選択すると、(ST2´)において、組合せ修正手段が、ユニット品名データベースを参照して、エラー要因となった指定項目を自動修正するシステムとすることもできる。この場合、自動修正されたデータは、識別表示手段により、他の項目と区別可能(例えば、表示色の変更等)に表示される。
【0029】
例えば、図4の入力画面において、「ユニット品名1(3)」に「BB」、「ユニット品名2(13)」に「DD」を入力し、盤内オプションの「入出線位置(26)」に「上入線」を入力し、入力データの確定を行った場合、図2のユニット品名データベース(「BB:上入線(専用)」「DD:下入線(専用)」)を参照すると、前記の入力データに基づく製品作成は不可のため、組合せ判定手段がエラー判定を行う。ここで、ユーザが、点滅表示箇所を選択すると、組合せ修正手段が、図2のユニット品名データベースを参照して、「ユニット品名2(13)」に、前記「DD」と同様のレイアウトパターン(「パターン4」)で、かつ、「上入線(推奨)」である「FF」を自動入力する。
【0030】
また、例えば、図4の入力画面において、「ユニット品名1(3)」に「AA」、「ユニット品名2(13)」に「BB」を入力し、盤内オプションの「入出線位置(26)」に「下入線」を入力し、入力データの確定を行った場合、図2のユニット品名データベース(「AA:上入線(推奨)」「BB:上入線(専用)」)を参照すると、前記の入力データに基づく製品作成は不可のため、組合せ判定手段がエラー判定を行う。ここで、ユーザが、点滅表示箇所を選択すると、組合せ修正手段が、図2のユニット品名データベースを参照して、「入出線位置(26)」を、AA、BBの共通の「上入線」に自動修正する。
【0031】
(ST3、ST4)
ST2で、組合せ可能の判定がなされると、続いて、入力判定手段が「必須項目の決定、および、必須項目の入力判定」を行う。必須項目は、ユニットの組み合わせにより変動する。例えば、ユニット品名が、単独で指定された場合には、必須項目は「なし」との決定がなされ、ユニット品名が、2つ指定された場合には、「入出線位置」が必須項目として決定される。また、ユニット品名が、2つ指定され、更に、内機ユニットのオプション欄から「自動点滅回路」が指定された場合には、「入出線位置」と「アースバー」が必須項目として決定される。必須項目が決定された後、その必須項目が入力されているか否かを判定する入力判定が行われる。
【0032】
例えば、図4の入力画面において、「ユニット品名1(3)」に「AA」、「ユニット品名2(13)」に「BB」を入力し、入力データの確定を行った場合、「入出線位置」が必須項目として決定され、「入出線位置」が入力されているか否かを判定する入力判定が行われる。
【0033】
(ST5)
必須項目が未入力の場合には、必須項目入力手段が、未入力判定を受けた必須項目を自動指定する。その際、必須項目入力手段は、入力済みの全データと図2のユニット品名データベースを参照して、自動指定するデータを決定する。
【0034】
自動指定されたデータは、識別表示手段により、他の項目と区別可能(例えば、表示色の変更等)に表示される。
【0035】
例えば、図4の入力画面において、「ユニット品名1(3)」に「AA」、「ユニット品名2(13)」に「BB」を入力し、入力データの確定を行い、「入出線位置」が必須項目として決定され、「入出線位置」が入力されていない場合、「AA」、「BB」の双方に対応可能な「上入線」が自動指定される。なお、双方に対応できるデータがない場合は、エラー判定が行われる。
【0036】
(ST6)
必須項目が入力済の場合には、標準対応判定手段が、標準対応判定を行う。具体的には、標準対応判定手段が、標準品データベースを参照して、上記の各工程を経て指定された製品が、「標準品」として標準品データベースに登録されているか否かを判定する。
【0037】
標準品データベースに登録されている場合には、標準品データベース登録されている既存の図面を直ちに出力する。それ以外の場合には、特注品として、作図が行われたのち、出力される。
【0038】
上記実施形態では、「配電盤の自動設計システム」として、本発明を説明したが、その他、ラックキャビネットにユニットを組み込むために仕様する「ラックキャビネットの自動設計システム」に応用することもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 配電盤
2 内機
図1
図2
図3
図4
図5