(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料油が貯蔵された地下タンクに設置された油面計から、前記地下タンクへの燃料油の注入が無い第1の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、取得した値を基に前記第1の期間に生じた第1の増減量を演算する工程と、
前記第1の期間における前記地下タンクと配管で接続された、車両への計量機からの前記燃料油の注出量の合計を演算する工程と、
前記第1の期間における前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量と前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計との差分を演算する工程と、
前記差分が第1の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計より前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、の少なくとも1つにおいて前記燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量より前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計が大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する工程と、
前記油面計を用いて、前記地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ前記計量機からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量を演算する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において前記燃料油の漏洩が生じた可能性が高いと判定する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において水分の混入が生じた可能性が高いと判定する工程と、
を備えたことを特徴とする異常検知方法。
前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量が前記燃料油の減少を示す負の値である場合に、前記地下タンクにおいて前記燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する工程と、
前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量が前記燃料油の増加を示す正の値である場合に、前記地下タンクにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する工程と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の異常検知方法。
燃料油が貯蔵された地下タンクに設置された油面計から、前記地下タンクと配管で接続された計量機からの前記燃料油の供給が無い期間であって前記地下タンクへの燃料油の注入を行う期間を含む第1の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、取得した値を基に前記第1の期間に生じた第1の増減量を演算する工程と、
前記第1の期間における前記地下タンクへと配管を介してタンクローリー車からの燃料油の注入量の合計を演算する工程と、
前記第1の期間における前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量と前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計との差分を演算する工程と、
前記差分が第1の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、の少なくとも1つにおいて前記燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する工程と、
前記油面計を用いて、前記地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ前記計量機からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量を演算する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において前記燃料油の漏洩が生じた可能性が高いと判定する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において水分の混入が生じた可能性が高いと判定する工程と、
を備えたことを特徴とする異常検知方法。
前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量が前記燃料油の減少を示す負の値である場合に、前記地下タンクにおいて前記燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する工程と、
前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量が前記燃料油の増加を示す正の値である場合に、前記地下タンクにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する工程と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の異常検知方法。
燃料油が貯蔵された地下タンクに設置された油面計から、前記地下タンクへの燃料油の注入が無い第1の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記第1の期間に生じた第1の増減量を演算する増減量演算部と、
前記第1の期間における前記地下タンクと配管で接続された計量機からの前記燃料油の注出量を取得し、前記第1の期間における前記燃料油の注出量の合計を演算する総注出量演算部と、
前記第1の期間における前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量と前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計との差分を演算する差分演算部と、
前記差分が第1の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計より前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、の少なくとも1つにおいて前記燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する第1の判定部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量より前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計が大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する第2の判定部と、
前記油面計を用いて、前記地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ前記計量機からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量を演算する増減量演算部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において前記燃料油の漏洩が生じた可能性が高いと判定する第3の判定部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において水分の混入が生じた可能性が高いと判定する第4の判定部と、
を備えたことを特徴とする異常検知装置。
燃料油が貯蔵された地下タンクに設置された油面計から、前記地下タンクと配管で接続された計量機からの前記燃料油の供給が無い期間であって前記地下タンクへの燃料油の注入を行う期間を含む第1の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記第1の期間に生じた第1の増減量を演算する増減量演算部と、
前記第1の期間における前記地下タンクへと配管を介してタンクローリー車からの燃料油の注入量を入力し、前記第1の期間における前記燃料油の注入量の合計を演算する総注入量演算部と、
前記第1の期間における前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量と前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計との差分を演算する差分演算部と、
前記差分が第1の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、の少なくとも1つにおいて前記燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する第1の判定部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記タンクローリー車から前記地下タンクへと燃料油が注入される配管と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する第2の判定部と、
前記油面計を用いて、前記地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ前記計量機からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量を演算する増減量演算部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において前記燃料油の漏洩が生じた可能性が高いと判定する第3の判定部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において水分の混入が生じた可能性が高いと判定する第4の判定部と、
を備えたことを特徴とする異常検知装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の一態様は、燃料油の漏洩等の異常を検知すると共に、異常が発生した可能性がある個所を判定することが可能な方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の異常検知方法は、
燃料油が貯蔵された地下タンクに設置された油面計から、地下タンクへの燃料油の注入が無い第1の期間に生じた地下タンクの燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、取得した値を基に第1の期間に生じた第1の増減量を演算する工程と、
第1の期間における地下タンクと配管で接続された、車両への計量機からの燃料油の注出量の合計を演算する工程と、
第1の期間における地下タンクの燃料油の第1の増減量と計量機からの燃料油の注出量の合計との差分を演算する工程と、
差分が第1の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、計量機からの燃料油の注出量の合計より地下タンクの燃料油の第1の増減量が大きい場合に、地下タンクと、配管と、の少なくとも1つにおいて燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する工程と、
差分が許容誤差範囲内を超える場合であって、地下タンクの燃料油の第1の増減量より計量機からの燃料油の注出量の合計が大きい場合に、地下タンクと、配管と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する工程と、
前記油面計を用いて、前記地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ前記計量
機からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量を演算する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において前記燃料油の漏洩が生じた可能性が高いと判定する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において水分の混入が生じた可能性が高いと判定する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、油面計を用いて、地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ計量器からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた地下タンクの燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、地下タンクの燃料油の第2の増減量を演算する工程と、
第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、地下タンクの燃料油の第2の増減量が燃料油の減少を示す負の値である場合に、地下タンクにおいて燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する工程と、
第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、地下タンクの燃料油の第2の増減量が燃料油の増加を示す正の値である場合に、地下タンクにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する工程と、
をさらに備えると好適である。
【0010】
また、本発明の他の態様の異常検知方法は、
燃料油が貯蔵された地下タンクに設置された油面計から、地下タンクと配管で接続された計量機からの燃料油の供給が無い期間であって地下タンクへの燃料油の注入を行う期間を含む第1の期間に生じた地下タンクの燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、取得した値を基に第1の期間に生じた第1の増減量を演算する工程と、
第1の期間における地下タンクへと配管を介してタンクローリー車からの燃料油の注入量の合計を演算する工程と、
第1の期間における地下タンクの燃料油の第1の増減量とタンクローリー車からの燃料油の注入量の合計との差分を演算する工程と、
差分が第1の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、タンクローリー車からの燃料油の注入量の合計が地下タンクの燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、地下タンクと、配管と、の少なくとも1つにおいて前記燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する工程と、
差分が許容誤差範囲内を超える場合であって、地下タンクの燃料油の第1の増減量がタンクローリー車からの燃料油の注入量の合計よりも大きい場合に、地下タンクと、配管と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する工程と、
前記油面計を用いて、前記地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ前記計量
機からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量を演算する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において前記燃料油の漏洩が生じた可能性が高いと判定する工程と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において水分の混入が生じた可能性が高いと判定する工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、油面計を用いて、地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ計量器からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた地下タンクの燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、地下タンクの燃料油の第2の増減量を演算する工程と、
第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、地下タンクの燃料油の第2の増減量が燃料油の減少を示す負の値である場合に、地下タンクにおいて燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する工程と、
第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、地下タンクの燃料油の第2の増減量が燃料油の増加を示す正の値である場合に、地下タンクにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する工程と、
をさらに備えると好適である。
【0012】
本発明の一態様の異常検知装置は、
燃料油が貯蔵された地下タンクに設置された油面計から、地下タンクへの燃料油の注入が無い第1の期間に生じた地下タンクの燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、第1の期間に生じた第1の増減量を演算する増減量演算部と、
第1の期間における地下タンクと配管で接続された計量機からの燃料油の注出量を取得し、第1の期間における燃料油の注出量の合計を演算する総注出量演算部と、
第1の期間における地下タンクの燃料油の第1の増減量と計量機からの燃料油の注出量の合計との差分を演算する差分演算部と、
差分が第1の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、計量機からの燃料油の注出量の合計より地下タンクの燃料油の第1の増減量が大きい場合に、地下タンクと、配管と、の少なくとも1つにおいて燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する第1の判定部と、
差分が許容誤差範囲内を超える場合であって、地下タンクの燃料油の第1の増減量より計量機からの燃料油の注出量の合計が大きい場合に、地下タンクと、配管と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する第2の判定部と、
前記油面計を用いて、前記地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ前記計量
機からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量を演算する増減量演算部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において前記燃料油の漏洩が生じた可能性が高いと判定する第3の判定部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記計量機からの前記燃料油の注出量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において水分の混入が生じた可能性が高いと判定する第4の判定部と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の他の態様の異常検知装置は、
燃料油が貯蔵された地下タンクに設置された油面計から、地下タンクと配管で接続された計量機からの燃料油の供給が無い期間であって地下タンクへの燃料油の注入を行う期間を含む第1の期間に生じた地下タンクの燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、第1の期間に生じた第1の増減量を演算する増減量演算部と、
第1の期間における地下タンクへと配管を介してタンクローリー車からの燃料油の注入量を入力し、第1の期間における燃料油の注入量の合計を演算する総注入量演算部と、
第1の期間における地下タンクの燃料油の第1の増減量とタンクローリー車からの燃料油の注入量の合計との差分を演算する差分演算部と、
差分が第1の期間に生じる許容誤差範囲内を超える場合であって、タンクローリー車からの燃料油の注入量の合計が地下タンクの燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、地下タンクと、配管と、の少なくとも1つにおいて燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する第1の判定部と、
差分が許容誤差範囲内を超える場合であって、地下タンクの燃料油の第1の増減量がタンクローリー車からの燃料油の注入量の合計よりも大きい場合に、地下タンクと、配管と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する第2の判定部と、
前記油面計を用いて、前記地下タンクへの燃料油の注入が無く、かつ前記計量
機からの燃料油の供給もない第2の期間に生じた前記地下タンクの前記燃料油の油面位置或いは変位量を取得し、前記地下タンクの前記燃料油の第2の増減量を演算する増減量演算部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計が前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において前記燃料油の漏洩が生じた可能性が高いと判定する第3の判定部と、
前記差分が前記許容誤差範囲内を超える場合、かつ、前記第2の増減量が第2の期間に生じる許容誤差範囲内である場合であって、前記地下タンクの前記燃料油の第1の増減量が前記タンクローリー車からの前記燃料油の注入量の合計よりも大きい場合に、前記地下タンクと、前記配管と、のうち、前記配管において水分の混入が生じた可能性が高いと判定する第4の判定部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、燃料油の漏洩等の異常を検知すると共に、異常が発生した可能性がある個所を判定できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における異常検知システムの構成を示す構成図の一例である。
図1において、異常検知システム100は、POS(Point of Sales)管理装置120、貯蔵タンク102(地下タンク)、計量機(給油器)104、配管112、及び配管114が配置される。貯蔵タンク102、配管112、及び配管114は、地下に埋設される。配管112は、貯蔵タンク102と計量機104とを接続する。また、配管114は、一端側が貯蔵タンク102に接続されると共に他端側が地上において端部がタンクローリー車116からの燃料油の注入を受ける配管注入口116に接続される。なお、
図1に示すように、POS管理装置120にはインターネット等の外部通信回線を介してデータ管理装置500が通信可能に配置されていても良い。異常検知システム100は、ガソリンスタンドに代表される給油所に設置される。給油所には、ガソリン、軽油、及び灯油等の燃料油を一般車両300に販売するガソリンスタンド(GS)(或いはSS:サービスステーション)の他に、運送事業者等が自己の事業に使用する車両(タクシー、バス、或いはトラック等)に燃料油を供給する給油場所も含まれる。ここで言う燃料油には、その他、液化状の天然ガス、及び液化状の水素等も含まれてもよい。
【0017】
タンクローリー車106が給油所に到来すると、タンクローリー車106の配管は配管注入口116に接続される。その後、タンクローリー車106によって運ばれてきた燃料油は、配管114内を流れて貯蔵タンク102内に注入される。その際、タンクローリー車106からの注入量の情報は、POS管理装置120に送信される。例えば、無線通信を介して通信される。或いは、通信手段が搭載されていない場合にはPOS管理装置120に直接入力されても構わない。注入量の情報は、タンクローリー車106に搭載された計量器で測定した値を用いても良いし、計量器が無い場合には搭載量(貯蔵量)が予め定まっている場合には、かかる定まった量を用いても良い。タンクローリー車106からの注入(荷卸し)は、例えば、給油所の営業時間外の夜間或いは休業日に行われる。
【0018】
配管114の地下途中には配管131が分岐される。地下の配管131は地上の排出口130に接続される。貯蔵タンク102或いは配管114内で燃料油が気化したガスによって貯蔵タンク102内の圧力が所定の値を超えた場合に、圧力調整のために気化したガスは、配管131を介して放出弁130から大気中に放出される。かかる放出ガス量(ベーパー放出量)は、図示しない計測器で計測されると好適である。計測器によって放出ガス量が計測される場合にはベーパー放出量(ベーパー量)の情報は、POS管理装置120に送信される。例えば、無線通信或いは有線のローカルエリアネットワーク(LAN)を介して通信される。或いは計測されずにPOS管理装置120内で所定の計算式によって演算により求めてもよい。
【0019】
地上に配置された計量機104は、配管112を介して貯蔵タンク102内に貯蔵された燃料油を車両に注出(給油)する。例えば、計量機104内に配置された図示しないポンプによって貯蔵タンク102内に貯蔵された燃料油を移送させる。そして、計量しながら車両に給油する。
図1では、1つの計量機104が示されているが、これに限るものではなく、複数の計量機104が同じ給油所内に配置されても構わない。そして、各計量機104はそれぞれ対応する配管112によって貯蔵タンク102と接続すればよい。計量機104によって車両に給油された注出量の情報は、POS管理装置120に送信される。例えば、無線通信或いは有線のローカルエリアネットワーク(LAN)を介して通信される。
【0020】
また、貯蔵タンク102内には、油面計108が配置(設置)される。油面計108は貯蔵タンク102内に貯蔵された燃料油の油面の位置(或いは変位)を測定する。油面計108によって測定されたデータは、制御回路110に出力される。
図1では、制御回路110が地下に配置されているがこれに限るものではなく、地上に配置されても構わない。制御回路110は、測定された燃料油の油面の位置(或いは変位)の情報をPOS管理装置120に送信する。例えば、無線通信或いは有線のローカルエリアネットワーク(LAN)を介して通信される。
【0021】
図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。異常検知システム100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
【0022】
ここで、
図1に示す構成では、貯蔵タンク102(B部)、配管112(C部)、及び配管114(A部)からの燃料油の漏洩、或いは水(例えば地下水)の混入の可能性がある。しかしながら、上述したように、従来の手法では、漏洩或いは水混入といった異常の可能性の検知はできても、かかる異常がどこで発生したのかを把握することが困難であった。そこで、実施の形態1では、タンクローリー車106から貯蔵タンク102への注入量、貯蔵タンク102内に貯蔵される燃料油の増減量、及び計量機104から車両への注出量を、測定或いは集計演算する期間をそれぞれ条件設定することで、漏洩或いは水混入の可能性の検知およびその発生箇所を判定する。
【0023】
図2は、実施の形態1におけるPOS管理装置120の内部構成を示す図である。
図2において、POS管理装置120(異常検知装置の一例)内には、通信制御部10、メモリ11、決算処理部12、磁気ディスク装置等の記憶装置21,23,25,42、注出量POSデータ受信部20、注入量POSデータ受信部22、油面位置データ受信部24、期間設定部30、増減量演算部32、注出量演算部34、差分演算部36、ベーパー量演算部38、許容値演算部40、注入量演算部44、差分演算部46、判定結果出力部48、判定部50〜59,62〜64,67〜68,71〜76,79〜81,84〜85、及び、特定部60,61,65,66,69,70,77,78,82,83,86,87が配置されている。決算処理部12、注出量POSデータ受信部20、注入量POSデータ受信部22、油面位置データ受信部24、期間設定部30、増減量演算部32、注出量演算部34、差分演算部36、ベーパー量演算部38、許容値演算部40、注入量演算部44、差分演算部46、判定結果出力部48、判定部50〜59,62〜64,67〜68,71〜76,79〜81,84〜85、及び、特定部60,61,65,66,69,70,77,78,82,83,86,87といった各機能は、プログラムといったソフトウェアで構成されても良い。或いは、電子回路等のハードウェアで構成されてもよい。或いは、これらの組み合わせであってもよい。POS管理装置120内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度メモリ11に記憶される。また、POS管理装置120には、図示しないキーボード乃至マウス等の入力機器、及び、モニタ乃至プリンタ等の出力機器といった周辺機器が接続されていても構わない。
【0024】
また、配管112,114の状態、例えば、圧力状態(配管状態)の情報が外部から入力され、記憶装置42に格納されている。
【0025】
なお、
図2では、POS管理装置120内に、期間設定部30、増減量演算部32、注出量演算部34、差分演算部36、ベーパー量演算部38、許容値演算部40、注入量演算部44、差分演算部46、判定結果出力部48、及び判定部50〜87が配置されているが、これに限るものではなく、インターネットを介して給油所の外部に設置されたデータ管理装置500(異常検知装置の他の一例)内に配置されても良い。
【0026】
計量機104から車両300への燃料油の給油が行われると、計量機104からは注出量POSデータがPOS管理装置120に送信される。給油を受けたユーザが、クレジットカードにより給油代金を支払う場合、決済処理部12は、カード情報に含まれるユーザ識別情報と支払処理情報とを用いて、供給されたガソリン等の動力源に対する代金の支払処理を行う。注出量POSデータには、ユーザ識別情報(個人情報)、給油場所(GS名等)、注出量、給油料金、支払処理に関する支払処理情報(決済情報)、計量機104の識別情報(支払処理装置識別情報)、及び、給油(或いは支払処理)を行った日時である給油時刻情報等の取引データが含まれる。ユーザが現金にて代金の支払を行う場合には、ユーザ識別情報及び支払処理情報は含まれないことになる。注出量POSデータ受信部20は、計量機104による給油処理の都度、通信制御部10を介して、計量機104から注出量POSデータを受信する。受信された注出量POSデータは、記憶装置21に格納される。
【0027】
また、タンクローリー車106から貯蔵タンク102への燃料油の注入が行われると、その都度、タンクローリー車106からは注入量POSデータがPOS管理装置120に送信される。注入量POSデータ受信部22は、通信制御部10を介して、タンクローリー車106から注入量POSデータを受信する。タンクローリー車106に計量器或いは通信機能が無い場合には、注入量POSデータ受信部22は、キーボード等を介して直接注入量POSデータの入力を受ける。受信された、或いは直接入力された注入量POSデータは、記憶装置23に格納される。注入量POSデータには、タンクローリー運転者の識別情報(個人情報)、給油場所(GS名等)、注入量、給油料金、タンクローリー車106の識別情報、及び、注入を行った日時である注入時刻情報等の取引データが含まれる。
【0028】
また、所定のサンプリング周期毎に油面計108によって貯蔵タンク102内の燃料油の油面の高さ位置(或いは変位)が測定される。サンプリング周期は、実質的に常時測定になる程度の周期であっても良いし、数秒、数分、或いは1時間毎であってもよい。或いは後述する設定時間の開始時刻と終了時刻で測定されても良い。測定結果となる油面位置データは、測定の都度、制御回路110を介して、POS管理装置120に送信される。制御回路110は、油面の高さ位置データに測定日時を付加した油面位置データを作成して、POS管理装置120に送信する。油面位置データ受信部24は、通信制御部10を介して、油面計108(制御回路110)からの油面位置データを受信する。油面位置データには、油面位置(或いは変位)、及び測定日時等の測定データが含まれる。受信された油面位置データは、記憶装置25に格納される。
【0029】
図3は、実施の形態1における設定期間の一例を示す図である。
図3において、横軸は時刻を示している。ここでは、一例として、2日分(前日と当日)の時刻を示している。
図3の例では、営業日は毎日、営業開始時刻の6時から営業終了時刻の20時までを燃料油を販売する営業時間とする例を示している。そして、タンクローリー車106からの燃料油の注入を営業時間が終了した、例えば、22時頃に実施する場合を示している。かかる時間割では、営業時間は、車両300への燃料油の給油は行われるが、タンクローリー車106からの燃料油の注入が無い時間帯となる。実施の形態1では、車両300への燃料の給油は行われるが、タンクローリー車106からの燃料油の注入が無い時間帯を設定時間1(第1の期間の一例)とする。
【0030】
また、営業時間が終了した20時から翌日の6時までは営業時間外となるが、その内、タンクローリー車106からの燃料油の注入を行う22時頃を含む例えば数時間は、計量機104からの燃料油の給油(供給)が無い期間であって貯蔵タンク102への燃料油の注入を行う期間を含む時間帯となる。実施の形態1では、計量機104からの燃料油の給油(供給)が無い期間であって貯蔵タンク102への燃料油の注入を行う期間を含む時間帯を設定時間2(第1の期間の他の一例)とする。また、営業時間内にタンクローリー車106からの燃料油の注入が有った場合は、タンクローリー車106からの燃料油の注入が有るまでの時間を設定時間1、タンクローリー車106からの燃料油の注入時間を設定時間2とすればよい。尚、タンクローリー車106からの燃料油の注入と同時に計量機104からの燃料油の注出(給油)が有った場合はいずれの時間にも含まない。
【0031】
また、設定時間2終了後の翌日営業開始時刻までは、貯蔵タンク102への燃料油の注入が無く、かつ計量機104から車両への燃料油の供給もない時間帯となる。実施の形態1では、貯蔵タンク102への燃料油の注入が無く、かつ計量機104から車両への燃料油の供給もない時間帯を設定時間3(第2の期間の一例)とする。なお、休業日も貯蔵タンク102への燃料油の注入が無く、かつ計量機104から車両への燃料油の供給もない時間帯なので設定時間3に含めても構わない。実施の形態1では、かかる設定時間1〜3での注入、給油、及び/或いはタンク増減量のデータを単独、或いは組み合わせて判定に用いることで漏洩或いは水混入の可能性の検知およびその発生箇所を判定する。
【0032】
図4は、実施の形態1における異常検知方法の一例の要部工程を示す図である。
図4において、実施の形態1における異常検知方法は、期間設定(設定1)工程(S102)と、タンク増減量ΔB演算工程(S104)と、総注出量ΣC演算工程(S106)と、差分演算工程(S108)と、ベーパー量D1’演算工程(S110)と、許容値D1演算工程(S112)と、判定工程(S114)と、判定工程(S116)と、判定工程(S118)と、判定工程(S119)と、いう一連の工程を実施する。
図4で示す各工程は、設定時間1での工程を示している。
【0033】
期間設定(設定1)工程(S102)として、期間設定部30は、貯蔵タンク102への燃料油の注入が無い設定時間1(第1の期間の一例)を設定する。
【0034】
タンク増減量ΔB演算工程(S104)として、増減量演算部32は、燃料油が貯蔵された貯蔵タンク102に設置された油面計108を用いて、貯蔵タンク102への燃料油の注入が無い設定時間1に生じた貯蔵タンク102の燃料油の油面位置或いは変位量を取得(入手)し、設定時間1における貯蔵タンク102の燃料油の増減量(第1の増減量の一例)を演算する。具体的には、増減量演算部32は、設定時間1の開示時刻或いはその直近に得られた油面位置データと、設定時間1の終了時刻或いはその直近に得られた油面位置データとを記憶装置25から読み出し、油面位置の変化から得られる貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBを演算する。貯蔵タンク102内の燃料油が増加していれば、増減量ΔBは正の値を示す。減少していれば負の値を示す。変位量の場合は、設定時間1における変位量を取得すればよい。
【0035】
総注出量ΣC演算工程(S106)として、注出量演算部34(総注出量演算部の一例)は、設定時間1における貯蔵タンク102と配管112で接続された計量機104からの燃料油の注出量(給油量)を入力し、設定時間1における燃料油の注出量の合計を演算する。具体的には、注出量演算部34は、設定時間1の開示時刻から終了時刻までの間に給油された注出量POSデータを記憶装置21から読み出し、設定時間1の開示時刻から終了時刻までの間に給油された注出量の合計(総注出量)ΣCを演算する。総注出量ΣCは、正の値を示す。
【0036】
差分演算工程(S108)として、差分演算部36は、設定時間1における貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBと計量機104からの燃料油の注出量の合計(総注出量)ΣCとの差分(|ΔB|−ΣC)を演算する。ここでは、増減量ΔBは負の値の場合もあるので、絶対値を用いると良い。
【0037】
ベーパー量D1’演算工程(S110)として、ベーパー量演算部38は、設定時間1における貯蔵タンク102の燃料油の気化放出量(ベーパー量D1’)を演算する。ベーパー量D1’の演算は、経験値或いは実験値から得られる計算式を用いて計算すればよい。例えば、時間に依存した関数として演算できる。
【0038】
許容値D1演算工程(S112)として、許容値演算部40は、演算されたベーパー量D1’の誤差分を考慮した、設定時間1に生じる許容誤差D1を演算する。例えば、ベーパー量D1’に誤差分を加算した値を許容誤差D1とすればよい。
【0039】
判定工程(S114)として、判定部50は、差分(|ΔB|−ΣC)の絶対値が設定時間1に生じる許容誤差D1以下かどうかを判定する。言い換えれば、差分(|ΔB|−ΣC)が設定時間1に生じる許容誤差D1の範囲内かどうかを判定する。差分(|ΔB|−ΣC)が設定時間1に生じる許容誤差D1以下の場合には、判定結果出力部48は、通信制御部10を介して、正常(漏洩、水混入なし)であることを示す情報(結果)を出力し、終了する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。差分(|ΔB|−ΣC)が設定時間1に生じる許容誤差D1以下でない場合、言い換えれば、差分が設定時間1に生じる許容誤差D1範囲よりも大きい場合、判定工程(S116)に進む。
【0040】
判定工程(S116)として、判定部51は、設定時間1における貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBの絶対値|ΔB|よりも、設定時間1における計量機104からの燃料油の総注出量ΣCの方が大きいかどうかを判定する。|ΔB|<ΣCの場合は判定工程(S11
9)に進む。|ΔB|>ΣCの場合は判定工程(S11
8)に進む。
【0041】
判定工程(S118)として、判定部52は、差分が設定時間1に生じる許容誤差D1範囲よりも大きい場合であって、計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣC
より貯蔵タンク102の燃料油の増減量(の絶対値)|ΔB|
が大きい場合に、貯蔵タンク102と、貯蔵タンク102と計量機104とを接続する配管112と、の少なくとも1つにおいて燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する。
【0042】
判定工程(S119)として、判定部53は、差分が設定時間1に生じる許容誤差D1範囲よりも大きい場合であって、貯蔵タンク102の燃料油の増減量(の絶対値)|ΔB|
より計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣC
が大きい場合に、貯蔵タンク102と、貯蔵タンク102と計量機104とを接続する配管112と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する。
【0043】
判定結果出力部48は、判定工程(S118)或いは判定工程(S119)での判定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0044】
以上により、燃料油の漏洩等の異常を検知すると共に、異常が発生した可能性がある個所を貯蔵タンク102と配管112の少なくとも1つの可能性があると判定できる。実施の形態1では、ここで終了しても良いが、さらに、異常発生の可能性が高い箇所を絞り込む。
【0045】
図5は、実施の形態1における異常検知方法の他の一例の要部工程を示す図である。
図5において、実施の形態1における異常検知方法は、期間設定(設定3)工程(S302)と、タンク増減量ΔB演算工程(S304)と、ベーパー量D3’演算工程(S310)と、許容誤差範囲D3演算工程(S312)と、判定工程(S314)と、判定工程(S316)と、判定工程(S318)と、判定工程(S319)と、いう一連の工程を実施する。
図5で示す各工程は、設定時間3での工程を示している。
【0046】
期間設定(設定3)工程(S302)として、期間設定部30は、貯蔵タンク102への燃料油の注入が無く、かつ計量機104から車両への燃料油の供給もない設定時間3(第2の期間の一例)を設定する。
【0047】
タンク増減量ΔB演算工程(S304)として、増減量演算部32は、油面計108を用いて、貯蔵タンク102への燃料油の注入が無く、かつ計量器104からの燃料油の供給もない設定時間3に生じた貯蔵タンク102の燃料油の油面位置或いは変位を入力し、貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔB(第2の増減量)を演算する。具体的には、増減量演算部32は、設定時間3の開示時刻或いはその直近に得られた油面位置データと、設定時間3の終了時刻或いはその直近に得られた油面位置データとを記憶装置25から読み出し、油面位置の変化から得られる貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBを演算する。貯蔵タンク102内の燃料油が増加していれば、増減量ΔBは正の値を示す。減少していれば負の値を示す。
【0048】
ベーパー量D3’演算工程(S310)として、ベーパー量演算部38は、設定時間3における貯蔵タンク102の燃料油の気化放出量(ベーパー量D3’)を演算する。ベーパー量D3’の演算は、経験値或いは実験値から得られる計算式を用いて計算すればよい。例えば、時間に依存した関数として演算できる。
【0049】
許容値D3演算工程(S312)として、許容値演算部40は、演算されたベーパー量D3’の誤差分を考慮した、設定時間3に生じる許容誤差範囲D3を演算する。例えば、ベーパー量D3’に誤差分を減算した値と加算した値とを含むその間の範囲を許容誤差範囲D3とすればよい。
【0050】
判定工程(S314)として、判定部54は、設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3の範囲内かどうかを判定する。設定時間3に生じたΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3の範囲内でなければ、判定工程(S316)に進む。ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3の範囲内であれば、単独での判定は不能となる。但し、後述するように、設定時間1或いは設定時間2でのフローとの組み合わせにより、さらに詳細判定ができる。
【0051】
判定工程(S316)として、判定部55は、設定時間3に生じた増減量ΔBが燃料油の減少を示す負の値であるかどうかを判定する。負である場合には判定工程(S318)に進む。負でない場合には判定工程(S319)に進む。
【0052】
判定工程(S318)として、判定部56は、設定時間3に生じた増減量ΔB(第2の増減量)が設定時間3に生じる許容誤差範囲D3内で無い場合であって、貯蔵タンク102の燃料油の設定時間3に生じた増減量ΔBが燃料油の減少を示す負の値である場合に、貯蔵タンク102において燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する。
【0053】
判定工程(S319)として、判定部57は、設定時間3に生じた増減量ΔB(第2の増減量)が設定時間3に生じる許容誤差範囲D3内で無い場合であって、貯蔵タンク102の燃料油の設定時間3に生じた増減量ΔBが燃料油の増加を示す正の値である場合に、貯蔵タンク102において水分の混入が生じたものと判定する。
【0054】
判定結果出力部48は、判定工程(S318)或いは判定工程(S319)での判定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0055】
以上により、一定の条件下で燃料油の漏洩等の異常を検知すると共に、異常が発生した可能性がある個所を貯蔵タンク102の可能性があると判定できる。上述した
図4に示した判定結果と組み合わせることで、異常が発生した可能性がある個所を絞り込むことができる。但し、
図4と
図5の判定結果からは、可能性がある箇所が得られるが、その可能性のレベルが不定である。そこで、実施の形態1では、さらに、設定時間1,3の判定フローの組み合わせにより、異常が発生した可能性のレベルがより高い箇所を判定する。
【0056】
図6は、実施の形態1における異常検知方法の一例の補足工程の一部を示す図である。
図6において、実施の形態1における異常検知方法は、
図4で示した各工程に引き続き、さらに、期間設定(設定3)工程(S302)と、タンク増減量ΔB演算工程(S304)と、ベーパー量D3’演算工程(S310)と、許容誤差範囲D3演算工程(S312)と、判定工程(S314)と、判定工程(S320)と、判定工程(S321)と、特定工程(S322)と、特定工程(S324)と、いう一連の工程を実施する。
図6で示す各工程は、設定時間1,3の組み合わせでの工程を示している。
【0057】
期間設定(設定3)工程(S302)と、タンク増減量ΔB演算工程(S304)と、ベーパー量D3’演算工程(S310)と、許容誤差範囲D3演算工程(S312)と、判定工程(S314)と、の各工程の内容は上述した内容と同様である。判定工程(S314)において、設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3の範囲内の場合に判定工程(S320)と、判定工程(S321)とに進む。設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3の範囲内でない場合に判定工程(S330)に進む。
【0058】
判定工程(S320)として、判定部58は、設定時間1での演算の結果、計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣC
より貯蔵タンク102の燃料油の増減量(の絶対値)|ΔB|
が大きい場合に、貯蔵タンク102と計量機104とを接続する配管112において燃料油の漏洩が生じた可能性が高い(レベル大である)と判定する。
【0059】
判定工程(S321)として、判定部59は、設定時間1での演算の結果、貯蔵タンク102の燃料油の増減量(の絶対値)|ΔB|
より計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣC
が大きい場合に、貯蔵タンク102と計量機104とを接続する配管112において水分の混入が生じた可能性が高い(レベル大である)と判定する。
【0060】
ここで、配管112(C部)内の圧力は、計量機104内の図示しないポンプによって燃料油を吸い上げるために配管内部の圧力が低く、通常は負圧状態になっている。かかる配管条件の情報は記憶装置42に格納されている。そこで、実施の形態1では、さらに、かかる配管条件を加味して異常内容とその発生箇所を特定する。
【0061】
特定工程(S322)として、特定部60は、記憶装置42から配管112(C部)の配管条件を読み出し、判定工程(S320)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S320)の判定結果の真偽を特定する。配管112(C部)の配管条件として、配管112(C部)は負圧配管であることが挙げられる。よって、燃料油の漏洩の可能性は限りなく低い。よって、判定工程(S320)の判定結果は間違いであり、かかる結果を引き起こした計量機104を点検すべきと特定する。
【0062】
特定工程(S324)として、特定部61は、記憶装置42から配管112(C部)の配管条件を読み出し、判定工程(S321)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S321)の判定結果の真偽を特定する。配管112(C部)は負圧配管である。よって、水分の混入が生じた可能性は限りなく高い。よって、特定部61は、貯蔵タンク102と計量機104とを接続する配管112において水分の混入が生じたものと特定する。
【0063】
判定結果出力部48は、特定工程(S322)或いは特定工程(S324)での特定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0064】
図7は、実施の形態1における異常検知方法の一例の補足工程の他の一部を示す図である。
図7において、実施の形態1における異常検知方法は、
図6の判定工程(S314)に引き続き、さらに、判定工程(S330)と、判定工程(S332)と、判定工程(S334)と、特定工程(S342)と、特定工程(S344)と、いう一連の工程を実施する。
【0065】
判定工程(S330)として、判定部62は、設定時間3に生じた増減量ΔB(第2の増減量)が設定時間3に生じる許容誤差範囲D3よりも小さいかどうかを判定する。すなわち、設定時間3に生じた増減量ΔBが、許容誤差範囲D3の最小値よりも小さいかどうかを判定する。増減量ΔBが負である場合も含まれる。設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3よりも小さい場合に、判定工程(S332)と、判定工程(S334)とに進む。設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3よりも小さくない場合に、後述する判定工程(S352)と、判定工程(S354)とに進む。
【0066】
判定工程(S332)として、判定部63は、設定時間1での演算の結果、計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣC
より貯蔵タンク102の燃料油の増減量(の絶対値)|ΔB|
が大きい場合に、貯蔵タンク102において燃料油の漏洩が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定する。
【0067】
判定工程(S334)として、判定部64は、設定時間1での演算の結果、貯蔵タンク102の燃料油の増減量(の絶対値)|ΔB|
より計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣC
が大きい場合に、貯蔵タンク102において燃料油の漏洩が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定すると共に、配管112において水分の混入が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定する。
【0068】
ここで、上述したように、実施の形態1では、さらに、配管条件を加味して異常内容とその発生箇所を特定する。
【0069】
特定工程(S342)として、特定部65は、記憶装置42から配管112(C部)の配管条件を読み出し、判定工程(S332)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S332)の判定結果の真偽を特定する。判定工程(S332)の判定結果は、配管ではなく貯蔵タンク102での漏洩である。そのため、配管条件の影響を受けない。よって、特定部65は、貯蔵タンク102において燃料油の漏洩が生じたものと特定する。
【0070】
特定工程(S344)として、特定部66は、記憶装置42から配管112(C部)の配管条件を読み出し、判定工程(S334)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S334)の判定結果の真偽を特定する。配管112(C部)は負圧配管である。よって、配管内部に水分の混入が生じた可能性は限りなく高い。よって、特定部66は、貯蔵タンク102において燃料油の漏洩が生じたものと特定すると共に、配管112において水分の混入が生じたものと特定する。
【0071】
判定結果出力部48は、特定工程(S342)或いは特定工程(S344)での特定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0072】
図8は、実施の形態1における異常検知方法の一例の補足工程の他の一部を示す図である。
図8において、実施の形態1における異常検知方法は、
図7の判定工程(S330)に引き続き、さらに、判定工程(S352)と、判定工程(S354)と、特定工程(S362)と、特定工程(S364)と、いう一連の工程を実施する。
図8では、設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3よりも小さくない場合、既に許容誤差範囲D3内から外れているので、特に、許容誤差範囲D3より大きい場合を示している。言い換えれば、設定時間3に生じた増減量ΔBが許容誤差範囲D3の最大値よりも大きい場合を示している。
【0073】
判定工程(S352)として、判定部67は、設定時間1での演算の結果、計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣC
より貯蔵タンク102の燃料油の増減量(の絶対値)|ΔB|
が大きい場合に、配管112(C部)において燃料油の漏洩が生じた可能性が高い(レベル大である)と判定すると共に、貯蔵タンク102(B部)において水分の混入が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定する。
【0074】
判定工程(S354)として、判定部68は、設定時間1での演算の結果、貯蔵タンク102の燃料油の増減量(の絶対値)|ΔB|
より計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣC
が大きい場合に、貯蔵タンク102において水分の混入が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定する。
【0075】
ここで、上述したように、実施の形態1では、さらに、配管条件を加味して異常内容とその発生箇所を特定する。
【0076】
特定工程(S362)として、特定部69は、記憶装置42から配管112(C部)の配管条件を読み出し、判定工程(S352)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S352)の判定結果の真偽を特定する。配管112(C部)は負圧配管である。よって、燃料油の漏洩が生じた可能性は限りなく低い。よって、特定部69は、貯蔵タンク102(B部)において水分の混入が生じたものと特定する。
【0077】
特定工程(S364)として、特定部70は、記憶装置42から配管112(C部)の配管条件を読み出し、判定工程(S354)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S354)の判定結果の真偽を特定する。配管112(C部)は負圧配管である。判定工程(S354)の判定結果は、配管ではなく貯蔵タンク102での水分の混入である。そのため、配管条件の影響を受けない。よって、特定部66は、貯蔵タンク102において水分の混入が生じたものと特定する。
【0078】
判定結果出力部48は、特定工程(S362)或いは特定工程(S364)での特定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0079】
以上のように、設定時間1,3の条件下での判定フローを組み合わせることで、さらに、異常が発生した可能性のレベルがより高い箇所を判定できる。また、配管条件を加味することで、可能性ではなく、実質的に実際の現象と言えるレベルまで高めて、異常が発生した箇所を特定(或いは信憑度合の大小を判定)できる。
【0080】
図9は、実施の形態1における異常検知方法の他の一例の要部工程を示す図である。
図9において、実施の形態1における異常検知方法は、期間設定(設定2)工程(S202)と、タンク増減量ΔB演算工程(S204)と、総注入量ΣA演算工程(S206)と、差分演算工程(S208)と、ベーパー量D2’演算工程(S210)と、許容値D2演算工程(S212)と、判定工程(S214)と、判定工程(S216)と、判定工程(S218)と、判定工程(S219)と、いう一連の工程を実施する。
図9で示す各工程は、設定時間2での工程を示している。
【0081】
期間設定(設定2)工程(S202)として、期間設定部30は、計量機104からの燃料油の給油(供給)が無い期間であって貯蔵タンク102への燃料油の注入を行う期間を含む設定時間2(第1の期間の他の一例)を設定する。
【0082】
タンク増減量ΔB演算工程(S204)として、増減量演算部32は、燃料油が貯蔵された貯蔵タンク102に設置された油面計108を用いて、貯蔵タンク102と配管112で接続された計量機104からの燃料油の抽出が無い期間であって貯蔵タンク102への燃料油の注入を行う期間を含む設定時間2(第1の期間の他の一例)に生じた貯蔵タンク102の燃料油の油面位置或いは変位量を入力し、貯蔵タンク102の燃料油の増減量(第1の増減量の他の一例)を演算する。具体的には、増減量演算部32は、設定時間2の開示時刻或いはその直近に得られた油面位置データと、設定時間2の終了時刻或いはその直近に得られた油面位置データとを記憶装置25から読み出し、油面位置の変化から得られる貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBを演算する。貯蔵タンク102内の燃料油が増加していれば、増減量ΔBは正の値を示す。減少していれば負の値を示す。
【0083】
総注入量ΣA演算工程(S206)として、注入量演算部44(総注入量演算部の一例)は、設定時間2(第1の期間の他の一例)における貯蔵タンク102へと配管114(A部)を介してタンクローリー車106からの燃料油の注入量を入力し、設定時間2における燃料油の注入量の合計を演算する。具体的には、注入量演算部44は、設定時間2の開示時刻から終了時刻までの間に給油された注入量POSデータを記憶装置23から読み出し、設定時間2の開示時刻から終了時刻までの間に給油された注入量の合計(総注入量)ΣAを演算する。総注入量ΣAは、正の値を示す。
【0084】
差分演算工程(S208)として、差分演算部46は、設定時間2における貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔB(第1の増減量の他の一例)とタンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計(総注入量)ΣAとの差分(ΔB−ΣA)を演算する。ここでは、増減量ΔBは正の値になると思われるので、絶対値を用いなくても良い。用いても良い。
【0085】
ベーパー量D2’演算工程(S210)として、ベーパー量演算部38は、設定時間2における貯蔵タンク102の燃料油の気化放出量(ベーパー量D1’)を演算する。ベーパー量D2’の演算は、経験値或いは実験値から得られる計算式を用いて計算すればよい。例えば、時間に依存した関数として演算できる。
【0086】
許容値D2演算工程(S212)として、許容値演算部40は、演算されたベーパー量D2’の誤差分を考慮した、設定時間2に生じる許容誤差D2を演算する。例えば、ベーパー量D2’に誤差分を加算した値を許容誤差D2とすればよい。
【0087】
判定工程(S214)として、判定部71は、差分(ΔB−ΣA)の絶対値が設定時間2に生じる許容誤差D2以下かどうかを判定する。言い換えれば、差分(ΔB−ΣA)が設定時間2に生じる許容誤差D2の範囲内かどうかを判定する。差分(ΔB−ΣA)が設定時間2に生じる許容誤差D2以下の場合には、判定結果出力部48は、通信制御部10を介して、正常(漏洩、水混入なし)であることを示す情報(結果)を出力し、終了する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。差分(|ΔB|−ΣA)が設定時間2に生じる許容誤差D2以下でない場合、言い換えれば、差分が設定時間2に生じる許容誤差D2範囲よりも大きい場合、判定工程(S216)に進む。
【0088】
判定工程(S216)として、判定部72は、設定時間2における貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBよりも、設定時間2におけるタンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計(総注入量)ΣAの方が大きいかどうかを判定する。ΔB<ΣAの場合は判定工程(S218)に進む。ΔB>ΣAの場合は判定工程(S219)に進む。
【0089】
判定工程(S218)として、判定部73は、差分(ΔB−ΣA)の絶対値が設定時間2に生じる許容誤差D2範囲よりも大きい場合であって、タンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計ΣAが貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBよりも大きい場合に、貯蔵タンク102と、タンクローリー車106から貯蔵タンク102へと燃料油が注入される配管114と、の少なくとも1つにおいて燃料油の漏洩が生じた可能性があると判定する。
【0090】
判定工程(S219)として、判定部74は、差分(ΔB−ΣA)の絶対値が設定時間2に生じる許容誤差D2範囲よりも大きい場合であって、貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBがタンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計ΣAよりも大きい場合に、貯蔵タンク102と、タンクローリー車106から貯蔵タンク102へと燃料油が注入される配管114と、の少なくとも1つにおいて水分の混入が生じた可能性があると判定する。
【0091】
判定結果出力部48は、判定工程(S218)或いは判定工程(S219)での判定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0092】
以上により、燃料油の漏洩等の異常を検知すると共に、異常が発生した可能性がある個所を貯蔵タンク102と配管114の少なくとも1つの可能性があると判定できる。実施の形態1では、ここで終了しても良いが、さらに、異常発生の可能性が高い箇所を絞り込む。
【0093】
さらに、
図5において説明した設定時間3における各工程を実施することにより、一定の条件下で燃料油の漏洩等の異常を検知すると共に、異常が発生した可能性がある個所を貯蔵タンク102の可能性があると判定できる。上述した
図9に示した判定結果と組み合わせることで、異常が発生した可能性がある個所を絞り込むことができる。但し、
図9と
図5の判定結果からは、可能性がある箇所が得られるが、その可能性のレベルが不定である。そこで、実施の形態1では、さらに、設定時間2,3の判定フローの組み合わせにより、異常が発生した可能性のレベルがより高い箇所を判定する。
【0094】
図10は、実施の形態1における異常検知方法の他の一例の補足工程の一部を示す図である。
図10において、実施の形態1における異常検知方法は、
図9で示した各工程に引き続き、さらに、期間設定(設定3)工程(S302)と、タンク増減量ΔB演算工程(S304)と、ベーパー量D3’演算工程(S310)と、許容誤差範囲D3演算工程(S312)と、判定工程(S314)と、判定工程(S416)と、判定工程(S418)と、特定工程(S422)と、特定工程(S424)と、いう一連の工程を実施する。
図10で示す各工程は、設定時間2,3の組み合わせでの工程を示している。
【0095】
期間設定(設定3)工程(S302)と、タンク増減量ΔB演算工程(S304)と、ベーパー量D3’演算工程(S310)と、許容誤差範囲D3演算工程(S312)と、判定工程(S314)と、の各工程の内容は上述した内容と同様である。判定工程(S314)において、設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3の範囲内の場合に判定工程(S416)と、判定工程(S418)とに進む。設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3の範囲内でない場合に後述する判定工程(S430)に進む。
【0096】
判定工程(S416)として、判定部75は、設定時間2での演算の結果、タンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計ΣAが貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBよりも大きい場合に、配管114(A部)において燃料油の漏洩が生じた可能性が高い(レベル大である)と判定する。
【0097】
判定工程(S418)として、判定部76は、設定時間2での演算の結果、貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBが計量機104からの燃料油の注出量の合計ΣCよりも大きい場合に、配管114(A部)において水分の混入が生じた可能性が高い(レベル大である)と判定する。
【0098】
ここで、配管114(A部)内の圧力は、タンクローリー車106から燃料油を注入時に、燃料油の重力によって加圧されて配管内の圧力が高く、正圧状態になっている。かかる配管条件の情報は記憶装置42に格納されている。そこで、実施の形態1では、さらに、かかる配管条件を加味して異常内容とその発生箇所を特定する。
【0099】
特定工程(S422)として、特定部77は、記憶装置42から配管114(A部)の配管条件を読み出し、判定工程(S416)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S416)の判定結果の真偽を特定する。配管114(A部)の配管条件として、配管114(A部)は正圧配管であることが挙げられる。よって、燃料油の漏洩の可能性は限りなく高い。特定部77は、配管114(A部)において燃料油の漏洩が生じたものと特定する。
【0100】
特定工程(S424)として、特定部78は、記憶装置42から配管114(A部)の配管条件を読み出し、判定工程(S418)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S418)の判定結果の真偽を特定する。配管114(A部)は正圧配管である。よって、水分の混入が生じた可能性は限りなく低い。よって、よって、判定工程(S418)の判定結果は間違いであり、かかる結果を引き起こしたタンクローリー車106からの注入量を点検すべきと特定する。
【0101】
判定結果出力部48は、特定工程(S422)或いは特定工程(S424)での特定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0102】
図11は、実施の形態1における異常検知方法の他の一例の補足工程の他の一部を示す図である。
図11において、実施の形態1における異常検知方法は、
図10の判定工程(S314)に引き続き、さらに、判定工程(S430)と、判定工程(S432)と、判定工程(S434)と、特定工程(S442)と、特定工程(S444)と、いう一連の工程を実施する。
【0103】
判定工程(S430)として、判定部79は、設定時間3に生じた増減量ΔB(第2の増減量)が設定時間3に生じる許容誤差範囲D3よりも小さいかどうかを判定する。すなわち、設定時間3に生じた増減量ΔBが、許容誤差範囲D3の最小値よりも小さいかどうかを判定する。増減量ΔBが負である場合も含まれる。設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3よりも小さい場合に、判定工程(S432)と、判定工程(S434)とに進む。設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3よりも小さくない場合に、後述する判定工程(S452)と、判定工程(S454)とに進む。
【0104】
判定工程(S432)として、判定部80は、設定時間2での演算の結果、タンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計ΣAが貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBよりも大きい場合に、貯蔵タンク102(B部)において燃料油の漏洩が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定する。
【0105】
判定工程(S434)として、判定部81は、設定時間2での演算の結果、貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBがタンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計ΣAよりも大きい場合に、貯蔵タンク102において燃料油の漏洩が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定すると共に、配管114(A部)において水分の混入が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定する。
【0106】
ここで、上述したように、実施の形態1では、さらに、配管条件を加味して異常内容とその発生箇所を特定する。
【0107】
特定工程(S442)として、特定部82は、記憶装置42から配管114(A部)の配管条件を読み出し、判定工程(S432)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S432)の判定結果の真偽を特定する。判定工程(S432)の判定結果は、配管ではなく貯蔵タンク102での漏洩である。そのため、配管条件の影響を受けない。よって、特定部82は、貯蔵タンク102において燃料油の漏洩が生じたものと特定する。
【0108】
特定工程(S444)として、特定部83は、記憶装置42から配管114(A部)の配管条件を読み出し、判定工程(S434)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S434)の判定結果の真偽を特定(或いは信憑度合の大小を判定)する。配管114(A部)は正圧配管である。よって、水分の混入が生じた可能性は限りなく低い。よって、特定部83は、判定工程(S418)の判定結果の一部である貯蔵タンク102において燃料油の漏洩が生じたものと特定すると共に、判定工程(S418)の判定結果の残部である配管114(A部)において水分の混入が生じる可能性は間違いであり、かかる結果を引き起こしたタンクローリー車106からの注入量を点検すべきと特定する。
【0109】
判定結果出力部48は、特定工程(S442)或いは特定工程(S444)での特定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0110】
図12は、実施の形態1における異常検知方法の他の一例の補足工程の他の一部を示す図である。
図12において、実施の形態1における異常検知方法は、
図11の判定工程(S430)に引き続き、さらに、判定工程(S452)と、判定工程(S454)と、特定工程(S462)と、特定工程(S464)と、いう一連の工程を実施する。
図12では、設定時間3に生じた増減量ΔBが設定時間3に生じる許容誤差範囲D3よりも小さくない場合、既に許容誤差範囲D3内から外れているので、特に、許容誤差範囲D3より大きい場合を示している。言い換えれば、設定時間3に生じた増減量ΔBが許容誤差範囲D3の最大値よりも大きい場合を示している。
【0111】
判定工程(S452)として、判定部84は、設定時間2での演算の結果、タンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計ΣAが貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBよりも大きい場合に、配管114(A部)において燃料油の漏洩が生じた可能性が高い(レベル大である)と判定すると共に、貯蔵タンク102(B部)において水分の混入が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定する。
【0112】
判定工程(S454)として、判定部85は、設定時間2での演算の結果、貯蔵タンク102の燃料油の増減量ΔBがタンクローリー車106からの燃料油の注入量の合計ΣAよりも大きい場合に、貯蔵タンク102において水分の混入が生じた可能性が高い(信憑性大である)と判定する。
【0113】
ここで、上述したように、実施の形態1では、さらに、配管条件を加味して異常内容とその発生箇所を特定する。
【0114】
特定工程(S462)として、特定部86は、記憶装置42から配管114(A部)の配管条件を読み出し、判定工程(S452)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S452)の判定結果の真偽を特定する。配管114(A部)は負圧配管である。よって、燃料油の漏洩が生じた可能性は限りなく高い。よって、特定部86は、配管114(A部)において燃料油の漏洩が生じたものと特定すると共に、貯蔵タンク102(B部)において水分の混入が生じたものと特定する。
【0115】
特定工程(S464)として、特定部87は、記憶装置42から配管114(A部)の配管条件を読み出し、判定工程(S454)の判定結果に対してかかる配管条件を加味して判定工程(S454)の判定結果の真偽を特定する。配管114(A部)は正圧配管である。判定工程(S454)の判定結果は、配管ではなく貯蔵タンク102での水分の混入である。そのため、配管条件の影響を受けない。よって、特定部87は、貯蔵タンク102において水分の混入が生じたものと特定する。
【0116】
判定結果出力部48は、特定工程(S462)或いは特定工程(S464)での特定結果を、通信制御部10を介して出力する。或いは、図示しないモニタ等に出力してもよい。或いは、図示しないプリンタによって紙等の媒体に印刷してもよい。
【0117】
以上のように、設定時間2,3の条件下での判定フローを組み合わせることで、さらに、異常が発生した可能性のレベルがより高い箇所を判定できる。また、配管条件を加味することで、可能性ではなく、実質的に実際の現象と言えるレベルまで高めて、異常が発生した箇所を特定(或いは信憑度合の大小を判定)できる。
【0118】
以上のように、それぞれの条件下での設定時間を設定して、各設定時間での判定を行うと共に、さらに組み合わせることで異常が発生した可能性のレベルがより高い箇所を判定できる。また、各設定時間1〜3は数時間単位が望ましい。各設定時間1〜3は24時間よりも長くしない。また、日を跨っても構わない。各設定時間1〜3を、短くし過ぎないことで燃料油の漏洩や水の混入の量が増え、判定しやすくできる。さらに、各設定時間1〜3を長くしすぎないことで漏洩等の異常事態の発見の遅れを無くすことができる。
【0119】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した例では、設定時間1を1日の営業開始時刻から営業終了時刻としたが、これに限るものではない。営業時間の中での数時間程度であってもよい。
さらに、上述した実施例では、ベーパー量D1’を考慮して測定する工程で説明したが、ベーパー量が微量であることより、最初から考慮しない工程で判定する事も可能である。その場合は、ベーパー量D1’他をゼロとして、各工程に照らして対応する事で同様に判定できる。
【0120】
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
【0121】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての異常検知方法及び異常検知装置は、本発明の範囲に包含される。