(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同じ参照符号は、同様の要素を示し、紙面に対する上下左右方向を、本実施形態における装置または部材の上下左右方向として、本文中の説明の際に用いることとする。
【0010】
図1は本発明の第一実施形態に係る搬送装置Aを含むシステムの説明図である。
図1中、矢印X及びYは水平方向であって互いに直交する2方向を示し、矢印Zは垂直方向を示す。システムは、搬送装置Aと作業テーブルPと測定ユニットMUとを備える。搬送装置Aは、作業テーブルPに載置されたワーク保持トレイT内のワークWを同じく作業テーブルP上に載置された機器D1、D2、D3、D4へ搬送して、搭載する装置である。測定ユニットMUは、中央に測定に用いられるカメラ等の光学機器MU1を備え、その外周に照明装置MU2を配置したものを例示するが、この形態に限定されるものではない。
【0011】
作業テーブルPは、作業テーブルPの外部から移送されてきたワーク保持トレイT及び機器D1、D2、D3、D4の作業テーブルP上の位置決めを行う機構(図示省略)を備えている。また、作業テーブルPの下方に配置された測定ユニットMUは、搬送装置Aに保持されるワークWの水平方向位置及び水平方向と平行な面方向の姿勢を測定する。このため、ワーク保持トレイT及び機器D1、D2、D3、D4が載置される作業テーブルPは、作業テーブルPの下方に配置された測定ユニットMUが作業テーブルPの上方に位置するワークWを下方から測定可能なように開口OPを備える。
【0012】
<搬送装置A>
搬送装置Aは、ワークWを保持する四つの保持ユニット10と、保持ユニット10を垂直軸の軸周りに回転させる回転機構20と、保持ユニット10をZ方向である垂直方向に昇降させる昇降機構30と、保持ユニット10を垂直方向と直交するX及びY方向の水平方向に移動させる移動機構40とを備える。移載ユニットは、回転機構20、昇降機構30及び移動機構40を含む。さらに、搬送装置Aは、測定ユニットMUで測定したワークWの姿勢及び保持位置データとワークWが搬送される搬送先の位置情報とを基に、回転機構20、昇降機構30、移動機構40及び後述する負圧発生源50の少なくともいずれか一つの駆動を制御する駆動制御ユニット60を備える(
図5参照)。
【0013】
図2には、保持ユニット10、回転機構20及び昇降機構30の詳細を説明するための拡大図を示す。本実施形態において、搬送装置Aは、一つのワークWを保持する保持ユニット10を四つ備えている。このうち隣接する二つの保持ユニット10、10を一組として、二つの第一支持部材11がそれぞれ二つの保持ユニット10、10を互いに連結する。そして、二つの第一支持部材11が、それぞれ第二支持部材12に接続される。したがって、第二支持部材12には、四つの保持ユニット10が装着されることになる。
【0014】
また、第二支持部材12は、回転機構20の回転体21に接続され、回転機構20によって
図2中矢印W1で示す垂直軸周りに回転可能である。したがって、四つの保持ユニット10は、それぞれ第二支持部材12に接続された状態で、回転機構20によって垂直軸を中心とした円弧を描くように移動可能である。回転機構20の回転体21は、回転駆動源を備える回転駆動部22に接続される。回転駆動源としては、例えば、モータ等の駆動源を挙げることができる。回転駆動部22は、側面視L字型に形成された昇降機構30の昇降体31の水平方向に延びる底板31aの底面に接続される。
【0015】
昇降体31は昇降駆動源を備える昇降駆動部32の内部に構成されたナット部材(図示せず)に接続される。昇降駆動源としては、モータ等の駆動源と昇降駆動部32の内部に構成されたボールねじ機構との組み合わせを挙げることができる。側面視L字型に形成された昇降体31は、水平方向に延びる底板31aと垂直方向に延びる側板31bとを備える。昇降体31の側板31bの側面(昇降駆動部側の面)には、二つのガイド部材31c、31cが配置される。
【0016】
また、昇降体31と対向する昇降駆動部32の側面には、二つのガイド部材31c、31cに対応した二つのレール部材32a、32aが垂直方向並列に配置される。さらに昇降駆動部32の下端には、ボールねじ部を駆動する駆動モータ32bが配置される。したがって、昇降体31は、昇降駆動部32の昇降駆動源が駆動することで内蔵されるナットがボールネジに沿って移動することにより
図2中矢印Z1で示す垂直方向に昇降する。なお、昇降駆動源としては、上記したボールねじ機構に限定されず、例えば、モータ等の駆動源とラック−ピニオン機構等の機構との組み合わせを挙げることができる。
【0017】
昇降体31の底板31aの上面には、例えば、保持ユニット10の後述する保持ノズル100内に負圧を発生させる負圧発生源50が載置される。負圧発生源50としては、バキュームポンプ等を挙げることができるが、これに限定されるものではなく、周知の負圧発生装置であればいずれの構成を採用してもよい。また、工場に既設されている負圧設備から配管等を接続させて保持ノズル100の負圧源として活用してもよい。負圧発生源50からは、四つの保持ユニット10のそれぞれに向けて延びる四本のエアチューブ51、51、51、51が配置されている。エアチューブ51は、その一端が負圧発生源50に接続され、他端が保持ユニット10に接続される。
【0018】
再び
図1を参照して、保持ユニット10と回転機構20と負圧発生源50とを支持する昇降機構30は、移動機構40に含まれる第一水平移動機構41に接続され、第一水平移動機構41に沿って水平方向の一方向である
図1中矢印Y1方向に往復移動可能である。そして第一水平移動機構41は、作業テーブルP上のワーク保持トレイTと複数の機器D1、D2、D3、D4との間を移動可能なように、移動機構40に含まれる作業テーブルPの長手方向へ延びる第二水平移動機構42に接続され、第二水平移動機構42に沿って水平方向の他方向である
図1中矢印X1方向に往復移動可能である。なお、昇降機構30を
図1中矢印Y1方向に移動する第一水平移動機構41や、第一水平移動機構41を
図1中矢印X1方向に移動する第二水平移動機構42としては、例えば、モータ等の駆動源と、ボールねじ機構またはラック−ピニオン機構等の機構との組み合わせを挙げることができる。
【0019】
<保持ユニット10>
図3に保持ユニット10の拡大図を示す。保持ユニット10は、四つの保持ノズル100、100、100、100と、保持ノズル100が装着されるノズル支持部材13と、ノズル支持部材13に接続される昇降体14と、昇降体14を昇降するノズル昇降部15とを備える。なお、ノズル昇降機構は、昇降体14及びノズル昇降部15を含む。本実施形態において、四つの保持ノズル100は、それぞれ矩形状の四隅に配置され、ワークWが矩形の場合、それぞれが矩形状のワークWの四隅を保持することにより、保持ユニット10がワークWを安定して保持することができる。
【0020】
ノズル支持部材13は、側面視L字型の昇降体14の水平方向へ延びる底板14aに接続される。また、昇降体14の垂直方向へ延びる側板14bは、ノズル昇降部15に接続される。このとき、ノズル昇降部15の下面から延びるロッド15aが昇降体14の底板14aの上面に接続される。昇降体14とノズル昇降部15とのノズル昇降機構としては、例えば、モータ等の駆動源と、ボールねじ機構または流体を利用したアクチュエータ等の機構との組み合わせからなるスライドガイドを挙げることができる。
【0021】
ノズル昇降部15がロッド15aを垂直方向である
図3中Z2方向へ移動させることで、これに追従した底板14aと側板14bとが共に移動し、昇降体14が垂直方向に移動可能となる。したがって、昇降体14及びノズル支持部材13に接続された保持ノズル100がノズル昇降部15によって垂直方向(
図3中矢印Z2方向)に移動することが可能である。また、ノズル支持部材13の側面には、負圧発生源50に接続されたエアチューブ51が接続される。
【0022】
図4には、四つの保持ノズル100とノズル支持部材13との分解斜視図を示す。保持ノズル100は、ワークWと当接して吸着する吸着部110が一方側に設けられた吸着部材120と、吸着部材120を収容する筒体130と、筒体130とノズル支持部材13とを接続するヘッド140とを備える。ヘッド140は、ノズル支持部材13へ向けて突出し、外周面にネジ山(雄ネジ)が形成されたネジ部141を備える。保持ノズル100は、ノズル支持部材13の下面に開口されたノズル装着部13aに装着される。ノズル装着部13a内にはネジ溝(雌ネジ)が形成されており、ネジ部141をノズル装着部13aのネジ溝に螺着させることで、保持ノズル100がノズル支持部材13に装着される。なお、保持ノズル100のノズル支持部材13に対する装着方法は、上記のものに限定されず、例えば、ネジ溝を設けずに、ヘッド140の突出部分をノズル装着部13aに圧入することで装着してもよい。
【0023】
ノズル支持部材13の側部には、負圧発生源50から延びるエアチューブ51が接続される流体接続部13bが形成される。流体接続部13bは、図示しないノズル支持部材13内部に形成された連通路に接続される。ノズル支持部材13内部に形成された図示しない連通路は、ノズル支持部材13下面に形成された四つのノズル装着部13a、13a、13a、13aと流体接続部13bとを連通する。言い換えると、連通路のエアチューブ51側の開口が流体接続部13b、また、連通路の保持ノズル100側の開口がノズル装着部13aとされる。なお、各ノズル装着部13aへ流体接続部13bから均等に流体の給排気を行うように、例えば、流体接続部13bから各ノズル装着部13aまでの連通路の長さを同じ長さとすることが挙げられる。
【0024】
<駆動制御ユニット60>
図5は本実施形態のシステムの制御を行う駆動制御ユニット60のブロック図である。駆動制御ユニット60は、処理部61と、記憶部62と、インターフェース部63とを備え、これらは互いに不図示のバスにより接続されている。処理部61は、記憶部62に記憶されたプログラムを実行する。処理部61は、例えばCPUである。記憶部62は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等である。インターフェース部63は、処理部61と、外部デバイス(ホストコンピュータ64、センサ(入力デバイス)65、アクチュエータ(出力デバイス)66)との間に設けられ、例えば、通信インターフェースや、I/Oインターフェース等である。
【0025】
センサ65には、例えば、ノズル支持部材13が取り付けられた昇降体14、回転体21、昇降機構30の昇降体31、第一水平移動機構41に移動される昇降機構30、第二水平移動機構42に移動される第一水平移動機構41等の位置を検出するセンサ、測定ユニットMUのカメラの撮像素子等が含まれる。アクチュエータ66には、回転機構20、昇降機構30、移動機構40、負圧発生源50の駆動源等が含まれる。駆動制御ユニット60はホストコンピュータ64の指示により、搬送装置Aを制御する。以下、制御例について説明する。
【0026】
<搬送装置Aの動作>
図1を参照して、搬送装置Aの動作について説明する。作業テーブルPは、第二水平移動機構42に沿うように配置されており、その一方端部側(
図1中左方向端部側)に複数の未搭載のワークWを保持するワーク保持トレイTが配置され、ワーク保持トレイTから離れるように他方端部側(
図1中右方向端部側)に向かって複数の機器D1、D2、D3、D4(本実施形態では四つの機器)が配置される。
【0027】
搬送装置AがワークWをワーク保持トレイTから機器D1、D2、D3、D4へ移載する際には、まず、駆動制御ユニット60が昇降機構30及び移動機構40を用いて、ワーク保持トレイTの上方に保持ユニット10(
図1中二点鎖線で示される保持ユニット10、回転機構20、昇降機構30、及び負圧発生源50)を移動させる。そして、駆動制御ユニット60が昇降機構30及びノズル昇降機構を用いて、保持ユニット10を下降させてワーク保持トレイT上に載置されたワークWの一部に対して接近させ、後述する保持ノズル100の吸着動作により対象となるワークWを保持ユニット10に吸着させる。ワークWを吸着した保持ユニット10は、ノズル昇降機構及び昇降機構30により上昇される。
【0028】
次いで、駆動制御ユニット60が、移動機構40を駆動制御し、ワークWを保持した保持ユニット10を測定ユニットMUの上方へと移動させる。測定ユニットMUの上方にワークWが到達した後、駆動制御ユニット60は、測定ユニットMUに、ワークWを下方から撮影させる。駆動制御ユニット60は、ワークWの水平回転方向の姿勢及びX−Y方向の位置情報を、測定ユニットMUの撮像素子によって取得する。なお測定ユニットMUとしては、可視光線、赤外線、紫外線等を検出できる光学センサを採用でき、撮像素子としてCCD、CMOSセンサ等から構成されるものを採用してもよい。
【0029】
そして、駆動制御ユニット60は、測定ユニットMUによって測定を終えたワークWを保持する保持ユニット10を、回転機構20、昇降機構30及び移動機構40に、目標とする所定の機器D1まで移送させる。例えば、機器D1の所定箇所にワークWを載置する場合には、
図1に実線で示すように、駆動制御ユニット60は、ワークWを保持した保持ユニット10を機器D1の上方へ移動させる。このとき、駆動制御ユニット60は、測定ユニットMUで測定したワークWのデータとワークWが搬送される搬送先の位置情報とに基づき、回転機構20、昇降機構30及び移動機構40の駆動を制御している。こうすることで、ワークWを移載先に精度よく正しい姿勢で確実に位置づけることができる。
【0030】
次に、駆動制御ユニット60は、保持ユニット10にワークWを所定の機器D1に移載させる。このとき、駆動制御ユニット60は、保持ユニット10にワーク保持トレイTからワークWを吸着保持した手順と逆の手順を行わせる。この後、駆動制御ユニット60は、この作業を他の機器D2、D3、D4に対しても同様に行う。駆動制御ユニット60は、四つの保持ユニット10が保持している四つのワークWを作業テーブルP上の四つの機器D1、D2、D3、D4のそれぞれに対して移載させる作業を完了させたら、保持ユニット10を再びワーク保持トレイT上へと移動させる。
【0031】
次いで、駆動制御ユニット60は、保持ユニット10に、新たなワークWを吸着保持させる。このとき作業テーブルP上にあったワークWを搭載済みの機器D1、D2、D3、D4は、ワークWを未搭載の機器と交換され、このワークWを未搭載の機器は新たなワークWを吸着保持した保持ユニット10が到着するまで待機される。そして、上記したと同様に駆動制御ユニット60は、保持ユニット10を新たに作業テーブルP上に配置された機器へ移動させ、それぞれの機器にワークWを搭載させる。
【0032】
<保持ノズル100>
次に
図6を参照して保持ノズル100の詳細について説明する。また、
図7から
図10を参照して他の実施形態における保持ノズルの詳細について説明する。なお、
図6から
図9においては共通して、それぞれの図の(A)にワーク未吸着時の保持ノズルの断面図を示し、それぞれの図の(B)にワークW吸着時の保持ノズルの断面図を示す。
図6には、第一実施形態における保持ノズル100の断面図を示す。
図7には、第二実施形態における保持ノズル200の断面図を示す。
図8には、第三実施形態における保持ノズル300の断面図を示す。
図9には、第四実施形態における保持ノズル400の断面図を示す。
図10には、第五実施形態における保持ノズル500の断面図を示す。
【0033】
<第一実施形態>
図6に示す保持ノズル100は、ワークWを負圧によって吸着する吸着部110と、吸着部材120と、支持部材101と、付勢部材150とを備える。支持部材101は、内部に吸着部材120を摺動自在(進退移動自在)に収容する筒体130と、筒体130の一方部に設けられ、ノズル支持部材13及びエアチューブ51を介して負圧発生源50に接続される接続通路145を備えるヘッド140とを備える。
【0034】
<吸着部110>
吸着部(ノズル先端部材)110は、吸着部材120に接続される内部開口111aを備えた筒体部111と、筒体部111から縮径して吸着部110の先端へと延びる傾斜部112と、傾斜部の端部である吸着部110の先端にワークWと接触する平坦面である接触部113とを備える。また、吸着部110は、端部(後端側:
図6(A)及び
図6(B)中では上端側)に平坦面である着座部115を備える。さらに、吸着部110の内部には、保持ノズル100の長手方向に延びる第一流体通路114が形成される。また、吸着部110は、ワークWに直接接触するためワークWを傷つけない材質、例えば、ゴム等の樹脂で形成される。
【0035】
<吸着部材120>
吸着部材120の一方側(前端側:
図6(A)及び
図6(B)中では下端側)に、前述した吸着部110が設けられる。また、吸着部材120の他方側(後端側:
図6(A)及び
図6(B)中では上端側)は、筒体130の内部に形成された摺動部131及び収容部134に収容される。吸着部材120は、筒体130に対して、進退移動自在に支持される。吸着部材120の内部には、第二流体通路125が形成される。この第二流体通路125は、前述した吸着部110の第一流体通路114と連通され、これにより、収容部134は、吸着部110の先端周辺の外部雰囲気と連通される。
【0036】
また、吸着部材120は、筒状部材で構成され、吸着部110が接続される小径筒部120aと、小径筒部120aよりも大径で、一部が筒体130の摺動部131に収容される第一大径筒部120bと、第一大径筒部120bよりも大径で、後述する第一及び第二の当接部121、122を備える第二大径筒部120cとを備える。第二大径筒部120cは、収容部134に収容される。小径筒部120aは、第一筒部120bより小径の外周面を備え、小径筒部120aが筒体部111の内部開口111aに挿入される。このとき、小径筒部120aと第一大径筒部120bとの段差部126が吸着部110の着座部115に着座されることで、吸着部110と吸着部材120の軸方向における相対位置が規定される。この挿入の態様としては、例えば圧入や嵌入が挙げられ、また、このとき、接着剤による固定を行ってもよい。
【0037】
筒部120b(の外周面)は、筒体130の内周面(摺動部131)に摺動自在に接続される。吸着部材120の外周と筒体130の内周との間には、吸着部材120が摺動可能な程度の隙間が設けられている。なお、後述する保持ノズル100の動作時、この隙間から流入出するエアーの流量よりも、負圧発生源50によって吸引され、第一流体通路114、第二流体通路125を流れるエアーの流量、または吸引保持を解除(ブロー)する際のエアーの流量の方が大きいので、この隙間による吸着保持や解除への影響は少ない。なお、吸着部材120の進退方向は、垂直軸と平行である。
【0038】
第二大径筒部120cは、第一大径筒部120bより大径の外周面を備え、第一大径筒部120bとの接続箇所になる段部に第一の当接部121を有し、第一の当接部121と軸方向反対側の端部に第二の当接部122を有する。第1の当接部121及び第2の当接部122は、それぞれ後述する第1及び第2の停止部132、142と当接する。また、第二大径筒部120cの内部には、後述する付勢部材150を収容する有底の窪みである第一収容部(収容部の一方部分)124が形成される。また、第二大径筒部120cは、吸着部材120の第一大径筒部120bの端部からヘッド140側へ延び、第一収容部124の周壁を形成する第二の当接部122を備える周壁部122aを備え、第一収容部124の円形の底部となる端面123と周壁部122aとによって、付勢部材150の一方の端部が収容される空間が形成される。また、第一収容部124の円形の底部となる端部123の直径は、付勢部材150の直径と同程度とすることで、第一収容部124の底部が付勢部材150を安定して保持することができる。
【0039】
第二流体通路125は、第一収容部124の底部に臨んで開口され、収容部134と吸着部110の第一流体通路114とを連通する。したがって、第二流体通路125は、吸着部材120の内部に一方の端部から他方の端部に亘って貫通して設けられ、言い換えると、小径筒部120aから第一大径筒部120b及び第二大径筒部120cの一部の内部を貫通して形成される。
【0040】
<筒体130>
支持部材101を構成する筒体130は、その内部に内径が段差状に拡径される貫通孔部を備え、前端側(
図6(A)及び
図6(B)中では下端側)から順に、内部に吸着部材120を収容する第一の空間を形成する摺動部131と、摺動部131より大径の第二の空間を形成する内周壁134aと、内周壁134aより大径の第三の空間を形成する被接続部133とを備える。収容部134は、筒体130の内周壁134aとヘッド140(の内周壁)とで囲まれた領域で形成される。また、収容部134に収容された付勢部材150は、吸着部材120を進退移動の前進方向側に付勢する。摺動部131と内周壁134aと被接続部133とでそれぞれ形成される内部空間は互いに連通し、筒体130を貫通する通路を形成する。また、摺動部131と内周壁134aとの接続箇所である段部には、第一の停止部132が形成される。第一の停止部132は、内周壁134aの周方向に沿って連続して円環状に配置される態様や、内周壁134aの周方向に沿って非連続に配置される態様が例示される。なお、第一の停止部132が周方向に沿って非連続に配置されるとは、第一の停止部132の周方向の一部が軸方向の前端側(
図6(A)及び
図6(B)中では下端側)へ窪むことで、第一の停止部132の上端面が周方向に沿って非連続に配置される態様のことを含む。
【0041】
筒体130は、その外周面の一部、例えば、摺動部131の中途部から筒体130の端部(
図6(A)及び
図6(B)中では下端部)に亘る部分に、徐々に縮径するテーパ部を備える。筒体130の被接続部133には、後述するヘッド140の接続部146が接続される。また、筒体130の被接続部133には、被接続部133と連続して形成され、ヘッド140の装着位置を規定する規定部133a’が形成される。
【0042】
<ヘッド140>
支持部材101を構成するヘッド140は、軸方向における一端部(後端部:
図6(A)及び
図6(B)中では上端部)がノズル支持部材13に接続され、軸方向における他端部(前端部:
図6(A)及び
図6(B)中では下端部)が筒体130に接続される。ヘッド140の軸方向における一端部には、ノズル支持部材13のノズル装着部13aに接続されるネジ部141が形成される。本実施形態においては、上記したように、ネジ部141のネジ溝が、ノズル支持部材13のノズル装着部13a内に螺着されることで、ヘッド140がノズル支持部材13に装着される。また、ネジ部141の他端部側には、ヘッド140の軸を中心として放射方向に延びる延設面141a’が形成され、更に延設端部から他端部側に延び、ネジ部141より大径の外周部141aを備える。外周部141aには、筒体130の規定部133a’に当接する当接部140a’が形成され、当接部140a’から外周部141aより小径で後述する接続部146を備える。
【0043】
ヘッド140の軸方向における他端部(
図6中下側端部)には、付勢部材150を収容する有蓋の窪みである第二収容部(収容部の他方部分)144が形成される。つまり、ヘッド140は、吸着部材120の他方側の端部と対向する内側縁部から吸着部材120側へ延び、接続部146および第二の停止部142を備え、第二収容部144の周壁を形成する周壁部142aが設けられ、第二収容部144の円形の蓋部となる内方端面143と周壁部142aとによって、付勢部材150の他方の端部が収容される空間を形成する。また、第二収容部144の円形の蓋部となる内方端面143の直径は、付勢部材150の直径と同程度とすることで、第二収容部144の蓋部が付勢部材150を安定して保持することができる。
【0044】
また、ヘッド140の外周で、ヘッド140の吸着部材120側の端部には、筒体130の一方部である被接続部133と接続される接続部146が形成される。本実施形態では、接続部146は、被接続部133に圧入されて、筒体130とヘッド140とが一体化される。筒体130とヘッド140とが接続され一体化される際には、当接部140a’と規定部133a’とが当接することでお互いの軸方向の位置が規定され、吸着部材120が筒体130の収容部134で移動する距離C2および収容部134の軸方向の空間が規定される。また、当接部140a’と規定部133a’とが当接することで接続部におけるシール状態(密接状態)を形成する。なお、筒体130とヘッド140との接続は、接続部146及び被接続部133にネジ溝を形成して、これらを螺合させて接続してもよい。接続部146の吸着部材120側端面には、第二の停止部142が形成される。第二の停止部142は、吸着部材120の第二の当接部122が当接可能なように、第二の当接部122と対向して配置される。
【0045】
なお、ヘッド140には、第二収容部144に臨んで開口する接続通路145を備える。保持ノズル100におけるヘッド140をノズル支持部材13に取り付けることで、この接続通路145が、ノズル支持部材13の連通路と連通される。以上のように、筒体130とヘッド140とを含む支持部材101は、吸着部材120の進退移動の前進限界及び後退限界を規定する第1の停止部132及び第2の停止部142をそれぞれ備える。筒体130は、筒体130の内部に第1の停止部132を備え、ヘッド140は、筒体130の内部に位置する前端部に第2の停止部142を備える。
【0046】
<付勢部材150>
付勢部材150は、一方の端部が吸着部材120の第一収容部124に収容され、他方の端部がヘッド140の第二収容部144に収容されるコイルバネである。またこのとき、付勢部材150は、一方の端面が吸着部材120の他方側の端部の端面123に、他方の端面がヘッド140の内方端部の内方端面143に当接される。本実施形態において、付勢部材150としてコイルバネを例示したが、これに限定されず、例えば、スポンジ状で、内部に多孔質部を有し、圧縮後復元可能な樹脂材料で形成したものを採用してもよい。
【0047】
<吸着動作>
図6(A)及び
図6(B)を参照して、保持ノズル100のワークWを吸着保持する際の動作について説明する。
図6(A)は、ワークWを非吸着時で保持ノズル100内に負圧を発生していない状態を示す。ワークWを非吸着時、保持ノズル100の第一の停止部132と第一の当接部121とは互いに当接するが、第二の停止部142と第二の当接部122とは互いに当接しない。このとき、付勢部材150の長さ(全長)C1は、第一収容部124の底部となる端面123と第二収容部144の蓋部となる内方端面143との間の距離となる。また、吸着時に吸着部材120が筒体130に対して移動する距離C2は、この未吸着時における第二の当接部122と第二の停止部142との間の離間距離となる。ここで、移動距離C2と全長C1との比が、例えば1/5〜1/10と非常に小さくなるように、保持ノズル100は設計される。
【0048】
図6(B)は、ワークWを吸着させた時であり、保持ノズル100内に負圧を発生させた状態を示す。
図6(A)に示すワークWの非吸着の状態から
図6(B)に示す吸着の状態へ移行するには、上記した駆動制御ユニット60が、保持ユニット10をワークWに対して接近させ、保持ノズル100と吸着部110の接触部113をワークWの表面に当接させる。
【0049】
次いで、駆動制御ユニット60が負圧発生源50を駆動させ、
図6(B)の流体通路内に矢印F1で示すように、保持ノズル100内部の空気をヘッド140の接続通路145を介して保持ノズル100の外部へ排出する。このとき、ワークWが吸着部110の接触部113に当接され、第一流体通路114の一方の開口がワークWでふさがれた状態となるので、付勢部材150が含まれる収容部134が負圧となる。すると、保持ノズル100内の負圧により、付勢部材150の付勢力に抗して、吸着部材120が、ヘッド140側へ移動させられる。
【0050】
このとき、吸着部材120のヘッド140側への移動は、第2の当接部122が第2の停止部142に当接することで停止されるので、ワークWに当接する際の吸着部110における接触部113の軸方向の位置が規定される。したがって、ワークWを吸着保持した際の吸着部110の保持位置の精度が向上する。吸着部材120を軸方向に固定する機構として、支持部材101の収容空間134に第2の当接部122及び第2の停止部142を設けたことから、この機構を保持ノズル100内部に収容することができ、保持ノズル100が動作する際に発生した塵埃が周囲、特にワークWに影響を及ぼすおそれはない。なお、このとき上記したように、第一大径筒部120bと吸着部材120との摺動部分の隙間は、保持ノズル100内の負圧に影響がないほど小さく設定されている。
【0051】
したがって、保持ノズル100の内部が負圧になると、吸着部材120が移動されると共に、第一の停止部132と第一の当接部121とが互いに離れ、第二の停止部142と第二の当接部122とが互いに当接した状態となり、保持ノズル100は
図6(B)に示す吸着の状態となる。また、第一及び第二の当接部121、122と、第一及び第二の停止部132、142とを保持ノズル100の内部に配置したことにより、保持ノズル100が動作する際に発生した塵埃が周囲、特にワークWに影響を及ぼすおそれはない。
【0052】
以上のように、吸着部材120の移動後、第2の当接部122が第2の停止部142に当接することで吸着部材120の軸方向位置が規定され、ワークWを吸着したときにおける測定ユニットMU、例えばカメラによる、ワークWの撮影位置(撮影深度)が精度よく常に一定に維持される。また、負圧発生源50を停止して、保持ノズル100内に空気が流入されると、保持ノズル100の内部空間の負圧が低下し、付勢部材150の付勢力により吸着部材120が下方に移動する。このときも、保持ノズル100の第一の停止部132と第一の当接部121とが互いに当接し、非吸着時の吸着部材120の軸方向位置を規定することができる。
【0053】
さらに上記保持ノズル100は、付勢部材150を全長C1にわたって収容し、かつ、ワークWの吸着時に吸着部材120を移動させる距離C2を全長C1に比べて非常に小さくしている。このため、ワークWの吸着時において、付勢部材150をその全長C1に対して圧縮させる割合が小さくなることから、付勢部材150の製造誤差にかかわらず、均質な付勢力を付与することができる。つまり、付勢部材150の伸長時と収縮時との付勢力差を一定の範囲内になるようにしている。そのため、保持ノズル100によるワークWの取り出し、および、ワークWの載置の際に発生する保持ノズル100の接触部113とワークWとの衝撃(ワークWに付与されるストレス)を小さくすることができる。
【0054】
<第二実施形態>
図7(A)及び
図7(B)に第二実施形態に係る保持ノズル200を示す。本実施形態は、上記した第一実施形態に係る保持ノズル100と、吸着部材120の第一収容部124及び第二当接部122、ヘッド140の第二収容部144、接続部146、第二停止部142が異なる点で相違する。なお、その他の構成で同様の要素を採用している部材について、
図7(A)及び
図7(B)において、第一実施形態で用いた参照符号と同一の参照符号を付している。
【0055】
本実施形態の保持ノズル200は、第一実施形態の第一収容部124を形成する第二大径筒部120cの一部(周壁部122a)に代えて、第二の当接部202を備え周方向に120度の等間隔で配置された三つの第一棒状部材201、201、201を採用している。三つの第一棒状部材201、201、201は、吸着部材120の端面123に立設され、吸着部材120の軸を中心とした放射状に配置され、三つの第一棒状部材201、201、201によって囲まれたその内部に付勢部材150(の一部:端部)を収容する。三つの第一棒状部材201、201、201で形成された円の直径は、付勢部材150の端部の直径と略等しくしている。また、第一棒状部材201のヘッド140側端部を第二の当接部202とする。
【0056】
また、本実施形態の保持ノズル200は、第一実施形態の第二収容部144を形成する接続部146の周壁部142aに代えて、吸着部材120側に延びて形成される周壁の高さが低い周壁部142a’を備える。また、第二の停止部142に代えて、第二の停止部204を備え周方向に120度の等間隔で配置された三つの第二棒状部材203、203、203を採用している。三つの第二棒状部材203、203、203は、ヘッド140に立設され、放射状に配置され、三つの第一棒状部材203、203、203によって囲まれたその内部に付勢部材150を収容する。三つの第二棒状部材203、203、203で形成された円の直径は、付勢部材150の端部の直径と略等しくしている。また、第二棒状部材203の吸着部材120側端部を第二の停止部204とする。
【0057】
保持ノズル200の吸着動作は、上記した第一実施形態に係る保持ノズル100の吸着動作と同様である。
図7(B)に示すように、ワークWの吸着保持が完了した状態で、第一棒状部材201の第二の当接部202と第二棒状部材203の第二の停止部204とが当接して、吸着部材120の保持位置が規定される。
【0058】
本実施形態によれば、保持ノズル200の内部に配置される部品の質量を減らすことができ、保持ノズル200を軽量にすることができる。また、吸着部材120及びヘッド140に第一収容部124及び第二収容部144を形成することがないので、各部品を加工する工数を減らすことができる。なお、第一棒状部材201および第二棒状部材203は、それぞれが構成される端面123および内方端面143に設けたネジ溝に螺合させて構成される。または、端面123および内方端面143に穴を形成し、第一棒状部材201および第二棒状部材203のぞれぞれの一方端部を圧入させて構成してもよい。
【0059】
<第三実施形態>
図8(A)及び
図8(B)に第三実施形態に係る保持ノズル300を示す。本実施形態は、上記した第一実施形態に係る保持ノズル100と、吸着部材120の第一収容部124、ヘッド140の第二収容部144内に追加で流体通路の延長部を配置した点で相違する。なお、その他の構成で同様の要素を採用している部材について、
図8(A)及び
図8(B)において、第一実施形態で用いた参照符号と同一の参照符号を付している。
【0060】
本実施形態の保持ノズル300は、第一収容部124の端面123に、第二流体通路125を軸方向に延長する第一延長部301が形成される。第一延長部301は、第二大径筒部120cのヘッド140側端面に形成された第二の当接部122よりも軸方向において吸着部材120の内方にとどまる長さに形成されている。つまり、第一延長部301は、第二の当接部122を越えて吸着部材120の外方に飛び出すことはない。また、付勢部材150は、第一収容部124内であって、第一延長部301の外周面側に配置される。こうすることで、付勢部材150をより安定して第一収容部124内に保持することができる。
【0061】
また、本実施形態の保持ノズル300は、第二収容部144の端面143に、接続通路145を軸方向に延長する第二延長部302が形成される。第二延長部302は、ヘッド140の接続部146の吸着部材120側端面に形成された第二の停止部142よりも軸方向においてヘッド140の内方にとどまる長さに形成されている。つまり、第二延長部302は、第二の停止部142を越えてヘッド140部材の外方に飛び出すことはない。また、付勢部材150は、第二収容部144内であって、第二延長部302の外周面側に配置される。こうすることで、付勢部材150をより安定して第二収容部144内に保持することができる。
【0062】
保持ノズル300の吸着動作は、上記した第一実施形態に係る保持ノズル100の吸着動作と同様である。
図8(B)に示すように、ワークWの吸着保持が完了した状態で、第二の当接部と第二の停止部142とが当接して、吸着部材120の保持位置が規定される。
【0063】
本実施形態によれば、付勢部材150を収容する第一収容部124及び第二収容部144に通路部分を形成することで、保持ノズル300(収容部134)の内部空間の容積を小さくすることができる。こうすることで、吸着動作時に保持ノズル内から排出される空気の量を減少させることができ、吸着動作を迅速に行わせることができる。
【0064】
<第四実施形態>
図9(A)及び
図9(B)に第四実施形態に係る保持ノズル400を示す。本実施形態は、上記した第一実施形態に係る保持ノズル100と、吸着部材120の第一収容部124及び第二当接部122、ヘッド140の第二収容部144、接続部146、第二停止部142が異なる点で相違する。なお、その他の構成で同様の要素を採用している部材について、
図9(A)及び
図9(B)において、第一実施形態で用いた参照符号と同一の参照符号を付している。
【0065】
本実施形態の保持ノズル400は、第一実施形態の第一収容部124を形成する第二大径筒部120cの一部(周壁122a)に代えて、第二大径筒部120cの端面123に立設され、第二流体通路125を軸方向に延長する第三延長部401を備える。また、第三延長部401のヘッド140側端面には、第二の当接部402が形成される。したがって、第三延長部401の軸方向長さは、第一実施形態における第一収容部124の窪みの深さ(周壁部122aの高さ)と等しく設定される。付勢部材150は、付勢部材150の端部内径と略等しい外径で形成された第三延長部401の外周面側に配置される。こうすることで、付勢部材150を安定して吸着部材120に保持することができる。
【0066】
また、本実施形態の保持ノズル400は、第一実施形態の第二収容部144を形成する接続部146の周壁部142aおよび第二の停止部142に代えて、吸着部材120側に延びて形成される周壁の高さが低い周壁部142a’を備える。また、ヘッド140の内方端面143に立設され、接続通路145を軸方向に延長する第四延長部403を備えている。また、第四延長部403の吸着部材120側端面には、第二の停止部404が形成される。したがって、第四延長部403の軸方向長さは、第一実施形態における第二収容部144の窪みの深さ(周壁部142aの高さ)と等しく設定される。付勢部材150は、付勢部材150の端部内径と略等しい外径で形成された第四延長部403の外周面側に配置される。こうすることで、付勢部材150を安定してヘッド140に保持することができる。
【0067】
保持ノズル400の吸着動作は、上記した第一実施形態に係る保持ノズル100の吸着動作と同様である。
図9(B)に示すように、ワークWの吸着保持が完了した状態で、第三延長部401の第二の当接部402と第四延長部403の第二の停止部404とが当接して、吸着部材120の保持位置が規定される。
【0068】
本実施形態によれば、第三延長部401と第四延長部403とが、吸着動作時に接続され、迅速に第二流体通路125と接続通路145とを連結するので、吸着動作を迅速に行わせることができる。また、第三延長部401と第四延長部403とが、付勢部材150を保持する機能を有することで、部品点数を増加させることがなく、軽量化に寄与できると共に、吸着動作を迅速に行わせることができる。
【0069】
<第五実施形態>
図10に第五実施形態に係る保持ノズル500を示す。
図10は、ワークWを未吸着時で保持ノズル500に負圧を発生していない状態を示す。本実施形態は、上記した第一実施形態に係る保持ノズル100と、筒体130の外周面形状が異なる点で相違する。なお、その他の構成で同様の要素を採用している部材について、
図10において、第一実施形態で用いた参照符号と同一の参照符号を付している。
【0070】
本実施形態の保持ノズル500は、筒部120bの摺動部131に対応する外周面であって、吸着部110側の外周面が断面視において緩やかな円弧を描く形状の湾曲面501となっている。こうすることで、上記した測定ユニットMUが、保持ノズル500を吸着部110側(
図10中下側)から照明等を当てた際に、湾曲部501の外周面に投射された光の反射を拡散させることができる。こうすることで、測定ユニットMUが計測したワークWの画像の輪郭を明瞭にし、計測誤差を減少させることができる。
【0071】
なお、上記第二実施形態から第五実施形態として示す保持ノズルは、第一実施形態において説明した搬送装置Aに適用される。また、本実施形態においては、一つの保持ユニット10に対して4つの保持ノズルを備える構成を例示したが、保持ノズルの数および/または配置は、上記のものに限定されず、適宜設定される。例えば、3つの保持ノズルをワークWの任意の三カ所を保持するように三角形状に配置することで少ない数で安定してワークWを保持することができる。また、ワークWのサイズが接触部113より若干大きいくらいのサイズであれば、一つの保持ノズルによりワークWの保持を行ってもよい。また、長尺のワークWであれば、ワークW両端部を保持するように二つの保持ノズルを配置することができる。また、第二実施形態で用いた吸着部材120と第一実施形態の吸着部材120とをお互いに入れ替えて採用してもよい。