特許第6497986号(P6497986)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6497986オーディオシステム、オーディオ装置、携帯端末装置、及びオーディオ信号制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6497986
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】オーディオシステム、オーディオ装置、携帯端末装置、及びオーディオ信号制御方法
(51)【国際特許分類】
   H03G 3/32 20060101AFI20190401BHJP
   H03G 5/16 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   H03G3/32
   H03G5/16
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-47932(P2015-47932)
(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公開番号】特開2016-15711(P2016-15711A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-119512(P2014-119512)
(32)【優先日】2014年6月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(72)【発明者】
【氏名】高須 康雄
(72)【発明者】
【氏名】福島 浩
【審査官】 石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−024046(JP,A)
【文献】 特開2013−216427(JP,A)
【文献】 特開2000−022470(JP,A)
【文献】 実開平06−041227(JP,U)
【文献】 特表2008−522511(JP,A)
【文献】 特開2007−288713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03G 1/00− 3/34
H03G 5/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ信号を増幅して出力する1又は複数のオーディオ装置及び無線によるネットワーク経由で当該オーディオ装置が出力するオーディオ信号の音量又は音質を設定する携帯端末装置からなるオーディオシステムにおいて、
前記携帯端末装置は、周囲の音波を集音するマイク部と、前記マイク部が集音した音波に基づいて前記オーディオ装置が増幅するオーディオ信号の音量又は音質を設定し、当該設定したオーディオ信号の音量又は音質の情報を前記オーディオ装置に送信する送信部とを備え、
前記オーディオ装置は、オーディオ信号を増幅する増幅部と、前記増幅部によるオーディオ信号の音量又は音質を調整する制御部と、オーディオ信号の音量又は音質の設定の情報を前記携帯端末装置から受信する受信部とを備え、
前記携帯端末装置は、前記オーディオ装置がオーディオを再生していない場合に前記マイク部が集音する周囲の音波及び前記オーディオ装置がオーディオを再生している場合に前記マイク部が集音する周囲の音波に基づいて前記オーディオ装置が増幅するオーディオ信号の音量又は音質を設定し、
前記制御部は、前記受信部が受信した前記オーディオ信号の音量又は音質の設定の情報に基づいてオーディオ信号の音量又は音質を調整するよう前記増幅部を制御することを特徴とするオーディオシステム。
【請求項2】
請求項1記載のオーディオシステムにおいて、
前記携帯端末装置は、前記マイク部が集音した音波に基づいて前記オーディオ装置が出力するオーディオ信号の設定を周囲の一定時間の平均の環境音レベル及び環境音の周波数別のレベル分布に基づいた音量又は音質に設定することを特徴とするオーディオシステム。
【請求項3】
請求項1記載のオーディオシステムにおいて、
前記携帯端末装置は、前記マイク部が集音した音波に基づいて前記オーディオ装置が出力するオーディオ信号の設定を屋外漏洩レベルに基づいた音量に設定することを特徴とするオーディオシステム。
【請求項4】
オーディオ信号を増幅して出力するオーディオ装置において、
オーディオ信号を増幅する増幅部と、前記増幅部によるオーディオ信号の音量又は音質を設定する制御部とを備え、
前記制御部は、前記オーディオ装置がオーディオを再生していない場合に携帯端末装置のマイク部が集音する周囲の音波及び前記オーディオ装置がオーディオを再生している場合に携帯端末装置のマイク部が集音する周囲の音波に基づいてオーディオ信号の音量又は音質を設定する前記携帯端末装置から無線によるネットワーク経由で受信部が受信した前記オーディオ信号の音量又は音質の設定の情報に基づいて、前記オーディオ装置が出力するオーディオ信号の音量又は音質を調整するよう前記増幅部を制御することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項5】
請求項4記載のオーディオ装置において、
前記制御部は、前記マイク部が集音した音波に基づいて前記オーディオ装置が出力するオーディオ信号を周囲の一定時間の平均の環境音レベル及び環境音の周波数別のレベル分布に基づいた音量又は音質に調整するよう前記増幅部を制御することを特徴とするオーディオ装置。
【請求項6】
請求項4記載のオーディオ装置において、
前記制御部は、前記マイク部が集音した音波に基づいて前記オーディオ装置が出力するオーディオ信号を屋外漏洩レベルに基づいた音量に調整するよう前記増幅部を制御することを特徴とするオーディオ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ信号を増幅して出力するオーディオ装置及び無線によるネットワーク経由で当該オーディオ装置が出力するオーディオ信号の音量又は音質を設定する携帯端末装置からなるオーディオシステム、オーディオ装置、携帯端末装置、及びオーディオ信号制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、無線によるネットワークシステムを用いて、オーディオ信号を再生する再生装置から無線ネットワークによってオーディオ信号を受信し、当該受信したオーディオ信号を増幅して出力するオーディオ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、近年、携帯電話などの携帯端末装置と前述したようなオーディオ装置を無線ネットワークで接続し、携帯端末装置から送信されたオーディオ信号を当該オーディオ装置が受信し、オーディオ信号を増幅してスピーカから出力するオーディオ装置及び携帯端末装置からなるオーディオシステムが知られている。このような従来のオーディオシステムは、携帯端末装置を操作することによって、オーディオ装置が出力するオーディオ信号の曲の選択や音量の調整を遠隔で任意に変更することができる。
【0003】
このような無線ネットワークシステムによってオーディオ信号を送受信するオーディオシステムは、従来のような再生装置とスピーカ装置を信号ケーブルで接続する必要がないため、オーディオ装置の設置場所を固定する必要がなく、ユーザの好む設置位置及び聴取位置に応じて自由にオーディオ装置の設置場所を変化させて、オーディオ装置から離れた場所から携帯端末装置を操作してオーディオ装置から出力するオーディオ信号の曲の選択や音量を任意に設定してオーディオ装置から出力されるオーディオ信号を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−234099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような無線ネットワークを用いてオーディオ信号を送受信するオーディオシステムは、オーディオ装置の設置場所を変化させてオーディオ信号を聴取しようとする場合、オーディオ装置を設置する場所によって周囲の環境音が異なる。例えば、屋内のリビングルームに設置されていたオーディオ装置の設置場所を台所に変更し、台所でユーザがオーディオ信号を聴取したいと所望した場合、それまでリビングルームに設置しておいたときと同じ音量でオーディオ信号を聴取すると、台所の換気扇や冷蔵庫の動作音などの周囲の環境音がリビングルームより増大してしまうため、オーディオ装置をリビングルームに設置しておいたときと同じ音量でオーディオ信号を聴取しても周囲の環境音によってオーディオ信号が聞き辛くなることがある。このような場合、ユーザは、オーディオ装置を設置する場所を変更する毎にオーディオ装置から出力させるオーディオ信号の音量を調整しなければならず、この音量調整作業が非常に煩わしいものとなる。
【0006】
また、これらのオーディオシステムを用いて部屋の中でオーディオ信号を聴取する場合、ユーザが明瞭な音楽の聴取を所望し、時としてオーディオ装置から出力するオーディオ信号の音量を不用意に増大させてしまい、部屋の屋外に大音量のオーディオ信号が騒音として漏れてしまい、近隣の住民に迷惑をかけてしまうことがある。このように、従来のオーディオシステムは、オーディオ装置の設置場所を容易に変更できる反面、設置した部屋の屋外の環境を確認することを忘れてしまい、オーディオ信号が屋外に音漏れしてしまうことが多くなる虞がある。
【0007】
本発明は、オーディオ信号を増幅して出力するオーディオ装置及び無線によるネットワーク経由で当該オーディオ装置が出力するオーディオ信号の音量又は音質を設定する携帯端末装置からなるオーディオシステムにおいて、聴取するオーディオ信号を自動的に適正な音量又は音質に設定することができるオーディオシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、オーディオ信号を増幅して出力する1又は複数のオーディオ装置及び無線によるネットワーク経由で当該オーディオ装置が出力するオーディオ信号の音量又は音質を設定する携帯端末装置からなるオーディオシステムにおいて、前記携帯端末装置は、周囲の音波を集音するマイク部と、前記マイク部が集音した音波に基づいて前記オーディオ装置が増幅するオーディオ信号の音量又は音質を設定し、当該設定したオーディオ信号の音量又は音質の情報を前記オーディオ装置に送信する送信部とを備え、前記オーディオ装置は、オーディオ信号を増幅する増幅部と、前記増幅部によるオーディオ信号の音量又は音質を調整する制御部と、オーディオ信号の音量又は音質の設定の情報を前記携帯端末装置から受信する受信部とを備え、前記携帯端末装置は、前記オーディオ装置がオーディオを再生していない場合に前記マイク部が集音する周囲の音波及び前記オーディオ装置がオーディオを再生している場合に前記マイク部が集音する周囲の音波に基づいて前記オーディオ装置が増幅するオーディオ信号の音量又は音質を設定し、前記制御部は、前記受信部が受信した前記オーディオ信号の音量又は音質の設定の情報に基づいてオーディオ信号の音量又は音質を調整するよう前記増幅部を制御することを特徴とする。
【0009】
また、本願発明は、オーディオ信号を増幅して出力するオーディオ装置において、オーディオ信号を増幅する増幅部と、前記増幅部によるオーディオ信号の音量又は音質を設定する制御部とを備え、前記制御部は、前記オーディオ装置がオーディオを再生していない場合に携帯端末装置のマイク部が集音する周囲の音波及び前記オーディオ装置がオーディオを再生している場合に携帯端末装置のマイク部が集音する周囲の音波に基づいてオーディオ信号の音量又は音質を設定する前記携帯端末装置から無線によるネットワーク経由で受信部が受信した前記オーディオ信号の音量又は音質の設定の情報に基づいて、前記オーディオ装置が出力するオーディオ信号の音量又は音質を調整するよう前記増幅部を制御することを特徴とする。


【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オーディオ信号を増幅して出力するオーディオ装置及び無線によるネットワーク経由で当該オーディオ装置が出力するオーディオ信号の音量又は音質を設定する携帯端末装置からなるオーディオシステムにおいて、聴取するオーディオ信号を自動的に適正な音量又は音質に設定することができるオーディオシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例であるオーディオシステムの構成を示すブロック図。
図2】本実施例のオーディオシステムにおいて、屋内にオーディオ装置2が設置され、オーディオ装置2と同じ屋内に居るユーザが携帯端末装置1を保持した状態で操作部14を操作しながらオーディオ装置2から出力されるオーディオ信号を聴取する場合を示す図。
図3】本実施例のオーディオシステムにおいて、図2に示すように屋内にオーディオ装置2が設置され、オーディオ装置2と同じ屋内にユーザが居る状態で、オーディオ装置2から出力するオーディオ信号についての環境音を考慮した音量及び音質自動設定を行う場合の携帯端末装置1及びオーディオ装置2の動作を示すフローチャート図。
図4】本実施例のオーディオシステムにおいて、オーディオ装置2から出力するオーディオ信号についての屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定を行う場合の携帯端末装置1及びオーディオ装置2の動作を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例であるオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
本実施例のオーディオシステムは、オーディオ装置及び携帯端末装置からなり、オーディオ装置は、入力端子や無線によって外部から入力したオーディオ信号を増幅して出力する汎用のオーディオ装置であり、また、携帯端末装置は、スマートフォンや携帯型パーソナルコンピュータ等から成る汎用の携帯端末装置である。
【0016】
先ず、携帯端末装置1の構成について説明する。
図1に示すように、携帯端末装置1は、通信部11、制御部12、オーディオ信号記録部13、操作部14、表示部15及びアプリケーション記録部16を備える。
【0017】
通信部11は、Wi-Fi(ワイファイ、Wireless Fidelity)等の無線通信手段によってオーディオ装置2などの他の装置と相互に情報通信を行う。なお、本実施例においては、装置間の相互情報通信手段としてWi-Fiによる無線通信手段を用いる構成としたが、装置間で情報通信が行える構成であれば、有線通信手段でも構わないし、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信等の様々な無線通信手段を用いても構わない。
【0018】
制御部12は、通信部11、オーディオ信号記録部13、操作部14、表示部15及びアプリケーション記録部16等の携帯端末装置1の全体を制御する。アプリケーション記録部16は、通信部11による通信手段や図示しない信号入力部を介して入力したアプリケーションソフトウェア(Application software)を記録する。
【0019】
表示部15は、アプリケーション記録部16に記録されたアプリーションソフトウェアが起動された場合、起動されたソフトウェアに応じた情報表示や各種選択キーの表示を行う。操作部14は、タッチパネルから成り、各種選択キーがタッチされると、当該選択キーが選択されたことを検知し、各種選択信号を制御部12に出力する。オーディオ信号記録部13は、通信部11による通信手段や図示しない信号入力部を介して入力したオーディオ信号を記録する。
【0020】
マイク部17は、携帯端末装置1の周囲の音波を集音し、集音した音を音信号に変換し、変換した音信号を制御部12に出力する。制御部12は、携帯端末装置1が他の携帯端末装置と電話による通話を行う場合、マイク部17から出力された音信号を通信部11を介して他の携帯端末装置に送信し、また、他の携帯端末装置から通信部11を介して入力した音信号を図示しないスピーカから出力する。
【0021】
次にオーディオ装置2の構成について説明する。
オーディオ装置2は、通信部21、制御部22、入力部23、再生部24、増幅部25、スピーカ26及び操作部27を備える。
通信部21は、Wi-Fi等の無線通信手段によって携帯端末装置1などの他の装置と相互に情報通信を行う。通信部21は、例えば、携帯端末装置1の通信部11から無線通信手段によってオーディオ信号を受信した場合、受信したオーディオ信号を制御部22を介して再生部24に出力する。入力部23は、外部の再生装置と接続し、当該再生装置から出力されたオーディオ信号を入力し、入力したオーディオ信号を制御部22を介して再生部24に出力する。
【0022】
操作部27は、ユーザからオーディオ信号の再生開始、再生停止、音量調整、音質調整等の各種操作指示を受け付け、受け付けた操作指示の内容を制御部22に出力する。制御部22は、通信部21、入力部23、再生部24、増幅部25及び操作部27等のオーディオ装置2の全体を制御する。再生部24は、制御部22の制御により、通信部21又は入力部23から入力されたオーディオ信号を再生する。増幅部25は、再生部24が再生したオーディオ信号を制御部22から指示された音量及び音質で増幅し、増幅したオーディオ信号をスピーカ26に出力する。スピーカ26は、増幅部25から出力されたオーディオ信号を音波として出力する。
【0023】
次に、図1に示す携帯端末装置1とオーディオ装置2が無線通信手段によって接続されている状態において、携帯端末装置1によってオーディオ装置2の動作を制御する場合の構成について説明する。
【0024】
先ず、アプリケーション記録部16にオーディオ装置2の操作に関するアプリケーションソフトウェアを予め記録した状態で、アプリケーション記録部16に記録されているオーディオ装置2の操作に関するアプリケーションソフトウェアを起動する。制御部12は、アプリケーション記録部16に記録されているオーディオ装置2の操作に関するアプリケーションソフトウェアが起動することにより、表示部15がオーディオ装置2の操作に関する操作キーを表示するように表示部15を制御すると共に、操作部14によるオーディオ装置2の操作に関する指示を受け付けるように操作部14を制御する。制御部12は、操作部14からオーディオ装置2によるオーディオ信号の曲の選択、再生開始、再生停止、オーディオ信号の音量及び音質の変更等の各種指示信号が操作部14の操作により入力されると、入力した各種指示信号を通信部11及び通信部21を介してオーディオ装置2の制御部22に送信する。オーディオ装置2の制御部22は、制御部12から送信された各種指示信号に応じて、通信部21又は入力部23から入力したオーディオ信号の曲の選択、再生開始及び再生停止を行うように再生部24を制御し、また、スピーカ26に出力するオーディオ信号の増幅値及び音質を調整するよう増幅部25を制御する。
【0025】
以上のように本実施例のオーディオシステムは、携帯端末装置1の操作部14を操作することによって、オーディオ装置2から出力するオーディオ信号の曲の選択、再生開始、再生停止、音量及び音質の調整を遠隔操作することができる。
【0026】
図2は、本実施例のオーディオシステムにおいて、屋内にオーディオ装置2が設置され、オーディオ装置2と同じ屋内に居るユーザが携帯端末装置1を保持した状態で操作部14を操作しながらオーディオ装置2から出力されるオーディオ信号を聴取する場合を示す図である。
【0027】
図3は、本実施例のオーディオシステムにおいて、図2に示すように屋内にオーディオ装置2が設置され、オーディオ装置2と同じ屋内にユーザが居る状態で、オーディオ装置2から出力するオーディオ信号についての環境音を考慮した音量及び音質自動設定を行う場合の携帯端末装置1及びオーディオ装置2の動作を示すフローチャート図である。
なお、本実施例においては、携帯端末装置1のアプリケーション記録部16に「環境音を考慮した音量及び音質自動設定に関するアプリケーションソフトウェア」が予め記録されているものとする。
【0028】
先ず、携帯端末装置1によって、アプリケーション記録部16に記録されている「環境音を考慮した音量及び音質自動設定に関するアプリケーションソフトウェア」を起動すると、制御部12は、通信部11及び通信部21による無線通信を介してオーディオ装置2の制御部22にアクセスし、オーディオ装置2がオーディオ信号を再生しているか否かを判断する(ステップS1)。ステップS1において、オーディオ装置2がオーディオ信号を再生していないと判断した場合、制御部12は、先ず、マイク部17が集音した音信号に基づいて、携帯端末装置1の周囲の一定時間の平均の環境音レベルと、環境音の周波数別のレベル分布をそれぞれ「環境音聴取レベル」及び「環境音の周波数別のレベル分布」として検出する(ステップS2)。なお、「環境音の周波数別のレベル分布」とは、例えば、交通機関等から発せられた極低周波域に集中するノイズのレベル分布や、換気扇の風切り音のように特定周波数や高周波域に偏在する環境音のレベル分布である。
【0029】
次に、制御部12は、検出した「環境音聴取レベル」及び「環境音の周波数別のレベル分布」に基づいて、オーディオ装置2の制御部22が調整した増幅部25の音量レベル及び周波数別のレベル分布(周波数特性)を、「環境音レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」に設定するよう制御部22を制御する(ステップS3)。
【0030】
「環境音レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」の設定としては、例えば、音量の設定として、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルを、検出した「環境音聴取レベル」より30dB大きい増幅値となるよう自動的に設定変更の制御を行う。この場合、例えば、「環境音聴取レベル」が10dBである場合、制御部12は、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルが40dBとなるよう制御部22を制御し、また、「環境音聴取レベル」が30dBである場合、制御部12は、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルが60dBとなるよう制御部22を制御する。
【0031】
また、例えば、「環境音レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」の音質の設定として、検出した「環境音の周波数別のレベル分布」において、特定の周波数帯域のレベルが高い場合、制御部12は、増幅部25が増幅するオーディオ信号のうち、環境音の周波数帯域でレベルが高かった周波数帯域の出力レベルが増大するよう制御部22を制御する。なお、このように、出力するオーディオ信号のうち、環境音の周波数帯域でレベルが高かった帯域と同じ周波数帯域の出力レベルを増大することにより、特定の帯域に偏在する環境音にオーディオ信号がマスキングされてしまうことを防止し、環境音が偏在する帯域にのみ周波数特性等の音質補正を施すことで最小限の総音量変化で効果的な雑音対聴取音の比を確保することができる。ステップS3において、「環境音レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」の設定後、ステップS1に戻る。
【0032】
このように、ステップS3による「環境音レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」の設定により、例えば、環境音聴取レベルが大きい場合は、環境音聴取レベルに応じてオーディオ信号の増幅値を増大させ、反対に環境音聴取レベルが小さい場合は、環境音聴取レベルに応じてオーディオ信号の増幅値を減少させることにより、周囲の環境音によってオーディオ信号が聞き辛くなることを防止することができる。また、検出した「環境音の周波数別のレベル分布」において、特定の周波数帯域のレベルが高い場合、増幅部25が増幅するオーディオ信号のうち、環境音の周波数帯域でレベルが高かった周波数帯域の出力レベルを増大することにより、例えば、家の周囲をトラックや電車が通過した際に一時的に振動や騒音による低周波数域の騒音でオーディオ信号の低音部分がマスキングされてしまい、オーディオ信号のベース音などが聞こえにくくなり、低音が不足しているようにユーザが感じてしまうのを補正することができるため、ユーザは、大きな音量変化を感じることなく快適な音楽聴取を続けることができるようになる。
【0033】
ステップS1において、オーディオ装置2がオーディオ信号を再生していると判断した場合、制御部12は、先ず、マイク部17が集音した音信号に基づいて、携帯端末装置1の周囲の一定時間の平均の音レベルと、音の周波数別のレベル分布をそれぞれ「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」及び「環境音を含む周波数別のレベル分布」として検出する(ステップS4)。次に、制御部12は、ステップS2における「環境音聴取レベル」及び「環境音の周波数別のレベル分布」が検出済みであるか否かを判断し(ステップS5)、検出していないと判断した場合は、ステップS1に戻る。
【0034】
ステップS5において、ステップS2における「環境音聴取レベル」及び「環境音の周波数別のレベル分布」が検出済みであると判断した場合、制御部12は、検出した「環境音聴取レベル」、「環境音の周波数別のレベル分布」、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」及び「環境音を含む周波数別のレベル分布」に基づいて、オーディオ装置2の制御部22が調整した増幅部25の音量レベル及び周波数別のレベル分布(周波数特性)を、「環境音及び環境音を含むオーディオ聴取レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」に設定するよう制御部22を制御する(ステップS6)。
【0035】
「環境音及び環境音を含むオーディオ聴取レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」の設定としては、例えば、音量の設定として、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」と「環境音聴取レベル」との差が25dBより大きい場合は、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルを、検出した「環境音聴取レベル」より30dB大きい増幅値となるよう自動的に設定変更の制御を行い、一方、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」と「環境音聴取レベル」との差が25dBより小さい場合は、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルを、検出した「環境音聴取レベル」より35dB大きい増幅値となるよう自動的に設定変更の制御を行う。この場合、例えば、「環境音聴取レベル」が10dBであって、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」が40dBであり「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」と「環境音聴取レベル」との差が25dBより大きい場合は、制御部12は、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルが「環境音聴取レベル」より30dB大きい増幅値である40dBとなるよう制御部22を制御し、一方、「環境音聴取レベル」が10dBであって、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」が30dBであり「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」と「環境音聴取レベル」との差が25dBより小さい場合は、制御部12は、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルが「環境音聴取レベル」より35dB大きい増幅値である45dBとなるよう制御部22を制御する。
【0036】
また、例えば、「環境音及び環境音を含むオーディオ聴取レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」の音質の設定として、検出した「環境音の周波数別のレベル分布」と「環境音を含む周波数別のレベル分布」において、「環境音の周波数別のレベル分布」と「環境音を含む周波数別のレベル分布」のうち、特定の周波数帯域のレベルの差が大きい場合、制御部12は、増幅部25が増幅するオーディオ信号のうち、特定の周波数帯域のレベルの差が大きい周波数帯域の出力レベルが増大するよう制御部22を制御する。なお、このように、出力するオーディオ信号のうち、特定の周波数帯域のレベルの差が大きかった帯域と同じ周波数帯域の出力レベルを増大することにより、特定の帯域に偏在する環境音にオーディオ信号がマスキングされてしまうことを更に防止することができる。
【0037】
このように、ステップS6による「環境音及び環境音を含むオーディオ聴取レベル及び周波数別のレベル分布を考慮した音量及び音質」の設定により、例えば、ステップS3において、増幅部25によるオーディオ信号の増幅値及び音質を環境音聴取レベル及び周波数帯域別のレベル分布に応じて変化させたにも拘わらず、オーディオ装置2と携帯端末装置1を保持したユーザとの距離が長い場合や、オーディオ装置2と携帯端末装置1を保持したユーザとの間に障害物が存在し、ユーザに到達するオーディオ信号の音量が小さい場合や音質が変化した場合でも、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」と「環境音聴取レベル」との差が予め定めた値より小さい場合、つまり、ユーザに到達するオーディオ信号が想定より小さい場合は、環境音聴取レベルに応じて増大させるオーディオ信号の増幅値を更に大きくし、また、「環境音の周波数別のレベル分布」と「環境音を含む周波数別のレベル分布」のうち、レベルの差が大きい特定の周波数帯域の出力レベルを増大することにより、オーディオ装置2と携帯端末装置1を保持したユーザとの距離や障害物によってオーディオ信号が聞き辛くなったり、音質が変化してしまうことを防止することができる。
【0038】
以上のように本実施例のオーディオシステムは、ユーザが携帯端末装置1を保持した状態で、アプリケーション記録部16に記録されている「環境音を考慮した音量及び音質自動設定に関するアプリケーションソフトウェア」を起動することにより、ユーザが保持した携帯端末装置1のマイク部17によってユーザの周囲の「環境音聴取レベル」、「環境音の周波数別のレベル分布」、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」及び「環境音を含む周波数別のレベル分布」を検出して増幅部25によるオーディオ信号の音量及び音質を適正化することができるので、ユーザが手動で音量及び音質を調整する必要がないため、オーディオ装置2の設置位置を変化させた場合でもオーディオ装置2が出力するオーディオ信号の音量及び音質を自動的に適正な音量及び音質にすることができる。
【0039】
図4は、本実施例のオーディオシステムにおいて、オーディオ装置2から出力するオーディオ信号についての屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定を行う場合の携帯端末装置1及びオーディオ装置2の動作を示すフローチャート図である。
なお、本実施例においては、携帯端末装置1のアプリケーション記録部16に「屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定に関するアプリケーションソフトウェア」が予め記録されているものとする。
【0040】
先ず、図2に示すように携帯端末装置1を保持したユーザ30がオーディオ装置2を設置した屋内50に居る状態から、屋外51に移動した状態で、携帯端末装置1によって、アプリケーション記録部16に記録されている「屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定に関するアプリケーションソフトウェア」を起動すると(ステップS8)、制御部12は、通信部11及び通信部21による無線通信を介してオーディオ装置2の制御部22にアクセスし、オーディオ装置2がオーディオ信号を再生しているか否かを判断する(ステップS9)。ステップS9において、オーディオ装置2がオーディオ信号を再生していないと判断した場合、制御部12は、先ず、マイク部17が集音した音信号に基づいて、携帯端末装置1の周囲の一定時間の平均の環境音レベルを「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」として検出し(ステップS10)、ステップS9に戻る。
【0041】
ステップS9において、オーディオ装置2がオーディオ信号を再生していると判断した場合、制御部12は、先ず、マイク部17が集音した音信号に基づいて、携帯端末装置1の周囲の一定時間の平均の環境音レベルを「オーディオを再生中の屋外レベル」として検出する(ステップS11)。次に、制御部12は、ステップS10における「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」が検出済みであるか否かを判断し(ステップS12)、検出していないと判断した場合は、ステップS9に戻る。
【0042】
ステップS12において、ステップS10における「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」が検出済みであると判断した場合、制御部12は、検出した「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」と「オーディオを再生中の屋外レベル」に基づいて、オーディオ装置2の制御部22が調整した増幅部25の音量レベルを、「屋外漏洩レベルを考慮した音量レベル」に設定するよう制御部22を制御する(ステップS13)。「屋外漏洩レベルを考慮した音量レベル」の設定としては、例えば、「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」と「オーディオを再生中の屋外レベル」との差が10dBより小さい場合は、設定した増幅部25の増幅値を維持し、一方、「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」と「オーディオを再生中の屋外レベル」との差が10dBより大きい場合は、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルを、当該差が10dBより小さくなるよう自動的に設定変更の制御を行う。この場合、例えば、「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」が10dBであって、「オーディオを再生中の屋外レベル」が18dBであって、そのレベルの差が10dBより小さい場合は、制御部12は、設定した増幅部25の増幅値を維持し、一方、「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」が10dBであって、「オーディオを再生中の屋外レベル」が30dBであって、そのレベルの差が10dBより大きい場合は、制御部12は、増幅部25が増幅するオーディオ信号の増幅レベルを、当該差が10dBより小さくなるよう自動的に設定変更の制御を行う。
【0043】
このように、ステップS13による「屋外漏洩レベルを考慮した音量レベル」の設定により、例えば、屋内で出力したオーディオ信号が屋外に大音量で漏れてしまい、オーディオ信号を再生していない状態での屋外の環境音レベルとオーディオ信号を屋内で再生した状態での屋外の環境音レベルの差が10dBより大きくなった場合は、自動的にオーディオ信号を再生していない状態での屋外の環境音レベルとオーディオ信号を屋内で再生した状態での屋外の環境音レベルの差が10dBより小さくなるようにオーディオ信号の音量を調整することにより、部屋の屋外に大音量のオーディオ信号が騒音として漏れてしまい、近隣の住民に迷惑をかけてしまうことを防止することができる。
【0044】
以上のように本実施例のオーディオシステムは、ユーザが携帯端末装置1を保持した状態で、アプリケーション記録部16に記録されている「屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定に関するアプリケーションソフトウェア」を起動することにより、「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」と「オーディオを再生中の屋外レベル」を検出し、屋外の近隣に迷惑をかけない音量レベルまでオーディオ信号の増幅部25による増幅値を下げるように自動的に調整することにより、近隣への騒音を防止した適正な音量にすることができる。
【0045】
本実施例のオーディオシステムは、環境音の測定及びオーディオ信号の出力測定をスマートフォンや携帯型パーソナルコンピュータ等から成る汎用の携帯端末装置で行うため、音響測定に必要な測定用マイクを用意する必要がなく、また、ユーザが手軽に携帯端末装置1を持ち歩いて環境音の測定及びオーディオ信号の出力測定を行うことができるため、本実施例の構成を安価かつ容易に実現することができる。
【0046】
本実施例のオーディオシステムは、図3で説明した、環境音を考慮した音量及び音質自動設定と、図4で説明した、屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定の2つの音量自動設定を行う構成としたが、どちらか一方のみの自動設定でも構わないし、その他、様々な周囲の環境に応じた自動設定を行う構成としても良い。例えば、ユーザが携帯端末装置1を保持した状態でオーディオ装置2から出力するオーディオ信号を楽しみながらオーディオ装置2の前方でダンスなどを行い、ユーザの位置や向く方向が変化する場合、オーディオ装置2から出力されるオーディオ信号の一定時間毎の聴取レベルの変化を携帯端末装置1のマイク部17によって測定し、測定した聴取レベルの変化に応じて増幅部25によるオーディオ信号の増幅値を変化させるような構成としても良い。これにより、ユーザの位置や向く方向が変化しても、ユーザは、オーディオ装置2から出力されるオーディオ信号が聞こえ辛くなることがなく、快適にオーディオ信号を楽しむことができる。
【0047】
本実施例のオーディオシステムは、図3で説明した、環境音を考慮した音量及び音質自動設定において、「環境音聴取レベル」、「環境音の周波数別のレベル分布」、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」及び「環境音を含む周波数別のレベル分布」を検出して、オーディオ装置2から出力するオーディオ信号の音量及び音質を自動設定する構成としたが、例えば、「環境音聴取レベル」及び「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」のみを検出してオーディオ装置2から出力するオーディオ信号の音量のみを自動設定する構成としても良いし、また、「環境音の周波数別のレベル分布」又は「環境音を含む周波数別のレベル分布」のみを検出してオーディオ装置2から出力するオーディオ信号の音質のみを自動設定する構成としても良い。
【0048】
本実施例のオーディオシステムは、図3で説明した、環境音を考慮した音量及び音質自動設定と、図4で説明した、屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定の2つの自動設定を行う構成としたが、このような自動設定の構成に限らず、例えば、複数のオーディオ装置を部屋の周囲に設置して、複数のオーディオ装置のスピーカから出力されるマルチチャンネルのサラウンドオーディオ信号を聴取する場合、携帯端末装置1のマイク部17によって各オーディオ装置のスピーカから出力されるオーディオ信号の音量レベルや、オーディオ信号の到達時間を算出し、算出した値に基づいて、各オーディオ装置から出力させるオーディオ信号の音量レベルや各オーディオ装置から出力するオーディオ信号の遅延時間を例えば最小2乗法などのアルゴリズムによって検出し、補正値を自動的に設定する構成としても良い。これにより、複数のオーディオ装置によってマルチチャンネルのサラウンドオーディオ信号を聴取する場合に、わざわざ音場測定用のマイクを用意しなくても、各オーディオ装置のスピーカから出力させるオーディオ信号の音量レベルや各オーディオ装置のスピーカから出力するオーディオ信号がユーザに到達するまでの遅延時間を自動的に補正するような設定をすることができる。
【0049】
本実施例のオーディオシステムは、図2で示したような1つのオーディオ装置2に限らず、例えば、2つのオーディオ装置を部屋の周囲に設置して、携帯端末装置1のマイク部17によって、あらゆる周囲の環境を検出し、2つのオーディオ装置のスピーカによって出力するステレオオーディオ信号の音質又は音量を自動設定する構成としても良いし、また、2つ又は3つ以上のオーディオ装置を部屋の周囲に設置して、2つ又は3つ以上のオーディオ装置のスピーカからそれぞれ出力されるモノラルオーディオ信号や、2つ又は3つ以上のオーディオ装置のスピーカからそれぞれ出力される個別のオーディオ信号の音質又は音量を自動設定する構成としても良い。
【0050】
本実施例のオーディオシステムは、環境音を考慮した音量及び音質自動設定を行う場合、「環境音聴取レベル」、「環境音の周波数別のレベル分布」、「環境音を含むオーディオ信号聴取レベル」及び「環境音を含む周波数別のレベル分布」を検出し、また、屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定を行う場合、「オーディオを再生していない場合の屋外レベル」と「オーディオを再生中の屋外レベル」を検出する構成としたが、これらの検出に限らず、あらゆる聴取レベルの検出や、特定の周波数域帯域のみのレベル分布を検出するなど、どのような音量又は周波数帯域の検出を行う構成としても良い。
【0051】
本実施例のオーディオシステムは、「環境音を考慮した音量及び音質自動設定に関するアプリケーションソフトウェア」及び「屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定に関するアプリケーションソフトウェア」を携帯端末装置1のアプリケーション記録部16に記録する構成としたが、例えば、これらのアプリケーションソフトウェアをオーディオ装置2に記録する構成とし、携帯端末装置1による音響の測定結果に応じて、オーディオ装置2側で音量及び音質を調整する構成としても良いし、また、携帯端末装置1又はオーディオ装置2と情報通信が可能な他の装置に予め記録されているソフトウェアを読み出して音量及び音質制御を行う構成としても良い。

【0052】
本実施例のオーディオシステムは、環境音を考慮した音量及び音質自動設定及び屋外漏洩レベルを考慮した音量自動設定を行う場合、ユーザがアプリケーションソフトを起動させる構成としたが、ユーザがアプリケーションソフトを起動しなくても、例えば、携帯端末装置1に備えるGPS(Global Positioning System)等によって携帯端末装置1を持ったユーザが屋内にいるのか屋外にいるのかを判別し、判別した結果に応じて自動的にアプリケーションソフトを起動してオーディオ信号の音量及び音質制御を行う構成としても良い。
【0053】
本実施例のオーディオシステムは、Wi-Fiの無線通信手段によって携帯端末装置1とオーディオ装置2が相互に情報通信を行う構成としたが、Wi-Fiの無線通信手段以外にも、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等の様々な無線又は有線情報通信手段を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、オーディオ信号を増幅して出力するオーディオ装置及び無線によるネットワーク経由で当該オーディオ装置が出力するオーディオ信号の音量又は音質を設定する携帯端末装置からなるオーディオシステム、オーディオ装置、携帯端末装置、及びオーディオ信号制御方法に有用に用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 携帯端末装置、11 通信部、12 制御部、13 オーディオ信号記録部、
14 操作部、15 表示部、16 アプリケーション記録部、
17 マイク部、
2 オーディオ装置、21 通信部、22 制御部、23 入力部、
24 再生部、25 増幅部、26 スピーカ、27 操作部、
30 ユーザ、50 屋内、51 屋外
図1
図2
図3
図4