(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワーク上のサーバを参照し、前記データ変換部又は前記電文変換部における変換処理のソフトウェアをネットワーク上のサーバから自動的に取得して携帯端末装置の機能を自動的にアップデートする自動アップデート処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態による、汎用の携帯端末装置を用いたガスメータの出力解析技術について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態によるガスメータの出力解析システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
図1に示すガスメータの出力解析システムAは、ガスメータ1と、ガスメータ1に対して信号出力の指示を行う設定器11(例えばパーソナルコンピュータ11)と、の構成に加えて、ガスメータ1からの出力信号電圧を読み取る汎用の携帯端末装置、例えば、スマートフォン21とを有している。
【0016】
さらに、スマートフォン21は、インターネットや電話網などのネットワークNT経由で、ガスメータ1の全体を管理する管理サーバ31と接続することができるように構成されている。管理サーバ31には、ネットワークNT接続によりスマートフォン21と通信するための通信部31aと、スマートフォン21から送られるデータ等を解析するデータ解析部31bとが設けられている。管理サーバ31は、ガス会社などに設けられている。
【0017】
図2は、ガスメータ1の一構成例を示す機能ブロック図である。
ガスメータ1は、ガスGを供給するガス供給路50に設置されている。このガス供給路50は、たとえば、ガス供給源であるガスステーションから需要先に配設されている。したがって、ガスメータ1は、ガス器具52−1、52−2、…の上流側に設置され、使用ガス量の計測、感震遮断および自動復帰等を行う。ガス器具52−1、52−2等は、ガスコンロ、燃料電池、暖房機などのガスを燃料とするガス機器である。
【0018】
ガスメータ1には、遮断弁54、圧力センサ56および計量部58が含まれる。遮断弁54は、情報処理部(CPU)60により制御され、情報処理部60による自動閉弁制御によりガス供給を遮断する機能と、自動開弁制御によりガス供給を復帰させる機能とを備える。
【0019】
圧力センサ56は、ガス供給路50の下流側のガス漏れ感知手段の一例である。この圧力センサ56はガス供給路50に作用するガス圧を検出し、遮断弁54の閉弁時、遮断弁54より下流側のガス供給路50のガス圧を検出する。つまり、圧力センサ56は、遮断弁54の閉弁時、下流側のガス漏れを圧力値の低下により検出する。計量部58は、ガス供給路50の下流側に流れるガス流量を計量する。
【0020】
情報処理部60は制御手段の一例である。この情報処理部60にはたとえば、マイクロコンピュータが用いられる。
【0021】
この情報処理部60には、感震部62、信号入出力部64、表示部66および記憶部68が接続されている。感震部62は、地震などによる震動を検知する。
【0022】
表示部66は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)で構成され、情報表示を行う。
【0023】
記憶部68は記録媒体で構成され、ガスメータ1の動作状態を表す状態情報を記憶する。この記憶部68には、遮断・復帰情報やユーザ情報が格納されている。
【0024】
情報処理部60、信号入出力部64および記憶部68は、本実施の形態によるガスメータの制御装置の一例である。情報処理部60には、プロセッサが設置されている。このプロセッサは、記憶部68にあるOS(Operating System)や、制御プログラムを実行する。この制御プログラムには、感震遮断プログラム、自動復帰制御プログラムなどの各種のプログラムが含まれる。
【0025】
プロセッサには、バスを介してROM(Read-Only Memory)、NVM(Non Volatile Memory)、RAM(Random-Access Memory)、I/Oが接続されている。ROM4には、既述のOSや制御プログラムが格納されている。
【0026】
NVMは、EEPROM(Electronically Erasable and Programable Read Only Memory)などの不揮発性メモリで構成される。このNVMには、設定情報などの各種の制御情報が格納され、制御情報テーブル、履歴情報テーブルが設定されている。制御情報テーブルには遮断情報、遮断原因、故障情報、復帰完了情報等が含まれる。遮断情報は遮断の有無を表す。遮断原因は、遮断中であれば、その原因を表す情報が含まれる。履歴情報テーブルには、過去の遮断、その復帰などの履歴情報が含まれる。RAMは、情報の入出力、演算などの情報処理のワークエリアに用いられる。
【0027】
信号入出力部64は、設定器11やスマートフォン21などと、入出力端子71(71a,71b)を介して、例えば有線での通信を行うこともできる。
【0028】
<スマートフォン21>
図3は、携帯端末装置の一例であるスマートフォン21の一構成例を示す機能ブロック図である。スマートフォン21には通信機能を持つ情報処理手段としてコンピュータが用いられる。
【0029】
スマートフォン21は、システム制御部81と、記憶部83と、無線通信部85と、タッチパネル(入力部)91と、表示部93と、入出力部(入力部)101と、サブの記憶部103とを有している。
【0030】
システム制御部81は、例えばプロセッサで構成され、通信機能、情報処理機能、情報蓄積機能および表示機能を司る。
【0031】
システム制御部81には、無線通信部85、タッチパネル91、表示部93、記憶部83が接続されている。無線通信部85は、アンテナ87を備える。この無線通信部85では、例えば基地局との無線通信を行い、
図1に示す管理サーバ31ともネットワークNT経由で無線接続される。
【0032】
より詳細には、システム制御部81は、後述するデータ変換部81a、電文変換部81bを有し、また、第2の実施の形態で説明する自動アップデート処理部81c、メール送受信部81dを有してもよい。
【0033】
タッチパネル91はタッチ等による入力部である。このタッチパネル91は、表示部93の表示画面に設置されている。
【0034】
表示部93には、たとえば、LCDが用いられる。この表示部93には復帰ボタンのほか、文字情報や図形情報などの各種の情報が表示される。
【0035】
記憶部83には、プログラム記憶部83−1、データ記憶部83−2およびRAM83−3が含まれる。プログラム記憶部83−1には、システム制御部81であるマイクロコンピュータで実行されるプログラムが格納される。このプログラムにはOS(Operating System)、スマートフォン21とガスメータ1との情報の授受を行うプログラム、管理サーバ31との間で情報の授受を行うプログラムなど、各種のアプリケーションプログラムが格納される。データ記憶部83−2は、各種データの記憶に用いられる。RAM83−3は、情報の入出力、演算などの情報処理のワークエリアに用いられる。
【0036】
ここでは、後述するような、データ変換用のアプリケーションもインストールされている。
【0037】
入出力部(入力部)101は、ケーブル55を介して信号入出力端子105(105a、105b)と接続されている。
【0038】
図4は、ガスメータ1とスマートフォン21との接続の一構成例を示す図である。
図4に示すように、例えば、ガスメータ1の入出力端子71a、71bは、ケーブル75a、75bによりA/D変換器15の入力端子に接続され、A/D変換器15の出力端子は、スマートフォンの入出力インターフェース(端子)105と接続される。この接続は、インターフェース15bにおけるUSB接続でも良い。
【0039】
尚、ガスメータ1の出力データは、例えば、遮断履歴、現在圧力値、アラーム情報、各種設定値などである。
【0040】
図5は、A/D変換器15によるA/D変換処理の原理と、それに基づくスマートフォン21における信号変換処理のイメージを示す図である。左図に示すように、測定値に対して例えば2つの閾値を設定し、この閾値に基づいて、閾値以下であるか閾値以上であるかにより、アナログ信号を“0”と“1”とのデジタル信号にA/D変換する(中図)。
このデジタル信号を、スマートフォン21で読み取る。
【0041】
図6は、上記のデータ変換処理を、より詳細な処理信号で示す図である。
図6(a)は、ガスメータ1からの出力信号の一例を示す図である。横軸は時間、縦軸は電圧であり、図に示すように、ガスメータ1からの出力信号であるアナログ信号を、A/D変換器15によりA/D変換し、
図6(b)に示すようなデジタル信号がスマートフォン21に入力される。
【0042】
次いで、スマートフォン21にインストールされているデータ変換用のアプリケーションを用いて、
図6(b)に示すスマートフォン21への入力データを、一定時間tごとに区切り、その信号値の平均値をしきい値(判定値)と比較し、判定値よりも小さければ“0”に変換し、判定値よりも大きければ“1”に変換することで、バイナリ変換(2進数への変換)を行う(
図6(c))。
【0043】
次に、バイナリ変換した“0”、“1”のデータを、所定のコード、例えばアスキーコードを用いて英数字等に変換する。変換後のデータは、例えば、「D01 00000123」である。この変換後のデータは、「指標値(D01)は00000123です。すなわち、メータに表示されている体積は、123リットルです。」という意味であることを、
図8に示すような対応表を参照して解釈文として求める(データ解析部31b、解釈文作成部)。この対応表は、
図8に示すように、変換後のデータを解釈するための対応表である。数字(01、02、…)121と、対応する解釈内容122とが対応付けされている。データ解析部はスマートフォン21内に設けても良いが、管理サーバ31に設けても良い。
【0044】
図7は、設定器11と、ガスメータ1と、A/D変換器15と、スマートフォン21と、管理サーバ31とにおけるデータのやり取り等を示すタイミングチャート図である。
【0045】
まず、設定器11が、ガスメータ1に対して、信号出力要求T1を行う。すると、ガスメータ1は、T1に対する返信として信号を出力する(T2:
図6(a))。
【0046】
その際、同じ出力信号をA/D変換器15も受け取り(T3)、A/D変換器15でA/D変換を行う(T4)。
【0047】
A/D変換されたデジタル信号が送信されてスマートフォン21に入力され(T5:
図6(b))る。次いで、スマートフォン21において、
図3のデータ変換部81aによりデータ変換1処理が行われ(T6:
図6(c))、次いで、電文変換部81bにより、アスキーコードを用いて英数字等にデータ変換2処理することで、電文を作成する(T7)。
【0048】
この電文を管理サーバ31にメール添付などで、
図3のメール送受信部81dにより送信しても良い(T8)。あるいは、スマートフォン21において、
図8のテーブルを参照して、解釈文を作成し(T9)、管理サーバ31にメール添付により送信しても良い(T10)。
【0049】
メール送信T8、又は、T10に応じて、管理サーバ31からスマートフォン21に対して、メール返信が行われる(T11)。
【0050】
図9は、スマートフォン21の表示部93における表示例を示す図である。
図9(a)は、
図7の処理T7で作成された電文の表示例を示す図である。表示部93には、ガスメータのIDとともに、電文の出力データ93−1が表示される。
【0051】
図9(b)は、
図7の処理T9で作成された解釈文の表示例を示す図である。表示部93には、スマートフォン21又は管理サーバ31のデータ解析部31bにおいて電文を解釈して得られた解釈文93−2がガスメータのIDとともに表示されている。この表示により、ユーザは、スマートフォン21を用いて不具合の状態などを知ることができる。
【0052】
また、管理サーバ31などで詳細に解析したい場合には、メール機能を用いることで、簡単にデータのやり取りを行うことができる。
【0053】
以下には、その他の取得情報の表示例を例示的に示す。
表示例1)ガス遮断情報:このガスメータ1のガス遮断情報は、ガス遮断状態であることを表す情報である。
表示例2)遮断原因:この遮断原因はガス遮断に至った原因情報である。たとえば、震度5以上の感震の場合などである。
表示例3)エリア情報:このエリア情報は、ガス供給のエリア内でガス供給を停止しているか否かの情報が含まれる。このエリア内のガス供給が停止していなければ、つまり、ガス供給中であるので、ガスメータ1の復帰が可能である。
表示例4)復帰方法:この復帰方法は復帰の操作手順などを表す情報である。この操作手順はたとえば、「全てのガス栓を閉めてから復帰ボタンを押す」など、操作手段およびその操作順序を表す情報である。
表示例5)復帰ボタン情報:復帰操作に用いる操作ボタンを表す情報である。
尚、これらは例示であり、ガスメータの機能に合わせて種々の情報を得ることができる。
【0054】
スマートフォン21は、ガス遮断の有無を表す情報、ガス遮断の遮断原因を表す情報、故障していない場合の復帰可能情報、故障中のガス会社への通報情報、復帰完了情報を受けることができる。
【0055】
尚、スマートフォン21は、ガスメータ1に対し、遮断の有無、遮断原因、故障か否か、復帰不能かなどの情報を要求する。復帰可能であれば、復帰命令を発するようにしても良い。
【0056】
以上に説明したように、本実施の形態によれば、汎用の携帯端末装置を用いてガスメータの出力解析を行うことができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、ガスメータの仕様に応じて、スマートフォン21のデータ変換部81aや電文変換部81bにおける変換処理を行うソフトウェア(プログラム)のアップデートを行う自動アップデート処理部81cを有する。
【0058】
すなわち、自動アップデート処理部81cは、管理サーバ31にアップデート情報がある場合には、定期的に又は随時、データ変換部81aや電文変換部81bにおける変換処理のソフトウェアの更新版を取得しアップデートする(
図7、T0)。この際、管理サーバ31に問い合わせて、アップデート用データを取得するようにしても良い。
【0059】
本実施の形態によればスマートフォン21における自動アップデートを行うことができるため、最新のガスメータ1にも対応することができるという利点がある。
【0060】
(第3の実施の形態)
図10は、本発明の第2の実施の形態によるガスメータの出力解析システムの一構成例を示す機能ブロック図である。
図10に示すシステムと、
図1に示すシステムとは、
図10では、ガスメータ1と設定器11、スマートフォン21との間に、無線機111を設けた点で異なる。
【0061】
無線機111とガスメータ1とは、有線で接続しても良い。本実施の形態によれば、ガスメータ1とスマートフォン21とを無線で遠隔通信するようにしたため、ガスメータ1の設置場所まで出向かずに、ガスメータ1の出力解析を行うことができる。
【0062】
スマートフォン21のソフトウェアの自動アップデートは、管理サーバ31により遠隔で行うことができる。
【0063】
尚、これらのシステム構成は、当業者の知識に基づいて適宜、設計変更することができる。
【0064】
上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0065】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。