(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498003
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】ガスメータ及びガスメータ設置確認システム
(51)【国際特許分類】
G01F 3/22 20060101AFI20190401BHJP
G01F 15/06 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
G01F3/22 C
G01F3/22 D
G01F3/22 B
G01F15/06
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-58235(P2015-58235)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-176853(P2016-176853A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年10月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝信
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−170213(JP,A)
【文献】
特開2000−205921(JP,A)
【文献】
特開2009−168651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00 − 3/38
G01F 15/00 − 15/18
G08C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置角度を測定する角度センサと、ガス圧力を測定する圧力センサと、ガス流量を計測する流量センサと、設置状態を報知する報知部と、外部装置とのデータ通信を行う通信部と、これらを制御する制御部と、を備えたガスメータであって、
前記制御部は、
前記設置角度が正常角度範囲内でかつ該設置角度が所定の時間に亘って変化しない第1条件と、前記ガス圧力が所定の時間に亘って正常圧力範囲内である第2条件と、前記ガス流量が正常流量範囲内である第3条件と、を判定し、
前記第1、第2及び第3条件をすべて満たす場合に、前記設置状態が正常であることを判定して、前記報知部によって前記設置状態を報知し、前記通信部によって前記設置状態を前記外部装置に送信することを特徴とするガスメータ。
【請求項2】
前記制御部によって開閉されるガス遮断弁を備え、
前記制御部は、前記第1条件を満たすまで前記ガス遮断弁を閉じた状態を維持し、前記第1条件を満たしかつ復帰操作が行われた場合に前記ガス遮断弁を開くことを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
【請求項3】
前記制御部は、前記ガス遮断弁が開いた状態のときに前記第2条件及び前記第3条件を判定することを特徴とする請求項2に記載のガスメータ。
【請求項4】
前記角度センサは、加速度センサであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガスメータ。
【請求項5】
前記報知部は、液晶表示装置であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガスメータ。
【請求項6】
前記通信部は、前記外部装置と無線通信を行う無線通信部であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガスメータ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のガスメータと、前記通信部から送信された前記設置状態のデータを受信して保存するサーバと、を備えることを特徴とするガスメータ設置確認システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータ及びガスメータ設置確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスメータは、都市ガスやプロパンガス等の消費量を計測する装置であり、小型のコンピュータを搭載したマイコンメータの普及が進んでいる。マイコンメータは、ガスの消し忘れやガス管の損傷などによるガスの流量異常や地震などを感知してガスを遮断したり、通信回線を通じて自動検針や異常時の自動通報を行ったりする。ガスメータに設置されて地震を検知する装置として、ガスメータ用感震装置が知られている(例えば下記特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたガスメータ用感震装置は、感震装置の水平性確保には限りがあり、ガスメータの設置ばらつき及びガスメータ内に取り付ける感震装置の取り付けのばらつきを最小限にするための管理が必要となることを課題としている。また、ガスメータの初期設置時に問題がないことを確認した後に、外的要因によって設置状態が変化する可能性があること及びガスメータに支障ある振動が加わる場合があることを課題としている。
【0004】
これらの課題を解決するために、特許文献1に記載されたガスメータ用感震装置は、ガスメータのガス流路の開閉を行う遮断弁と、遮断弁の開閉動作を行う駆動手段と、3軸方向の変位を検知できる加速度センサと、ガスメータの設置状態を判定する設置状態判定手段と、設置状態設定スイッチと、地震の判定を行う地震判定手段と、を含んでいる。ガスメータの設置完了時に、設置状態設定スイッチの操作によって、加速度センサは、ガスメータの設置時の3軸方向の変位量を検知する。また、設置状態判定手段は、前記変位量が正常状態と判定する変位量である場合は、前記変位量を設置定数として保存し、駆動手段により遮断弁を開放する。
【0005】
特許文献1に記載されたガスメータ用感震装置は、設置状態判定手段により、ガスメータの設置状態の適否を判定することができる。そのため、ガスメータが異常な状態で設置されることを防止することができるとともに、設置定数を保存することで、設置状態のばらつきに対応して、適切に異常状態を判定することが可能となる。したがって、ガスメータの地震を検知する感震装置が、ガスメータの設置ばらつきや感震装置の取り付けばらつきの影響を受けず、また感震装置の取り付け方向性を限定することなく、適切なガス遮断タイミングで遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−18033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、ガスメータによってガスの流量を正確に測定したり地震を正確に検知したりするためには、ガスメータを水平に近い所定の角度範囲で設置する必要がある。ガスメータの取り付け業務では、作業員がガスメータを目視し又は水準器等の器具を用いて、ガスメータが正常に取り付けられたか否かを確認する設置確認を行っている。
【0008】
特許文献1に記載されたガスメータ用感震装置を備えたガスメータでも、取り付け時に水平に近い所定の角度範囲で取り付けなければ、設置状態判定手段が正常状態と判定せず遮断弁が開放されない。したがって、ガスメータの取り付け時には、ガスメータが正常に取り付けられたか否かの設置確認を作業員が行う必要がある。
【0009】
また、作業員は、ガスメータの正常な取り付けについての設置確認後に、ガスメータが正常に計量を行っているか否かの設置確認を、例えばガスメータの計量表示の目視によって行う必要がある。また、作業員は、ガスメータの正常な取り付け及び計量についての設置確認の結果を、事業所の情報端末に入力する必要がある。このように、従来のガスメータの設置確認は、作業員の確認項目が多く、煩雑で作業時間が長く、ヒューマンエラーが発生しやすいという課題がある。
【0010】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、設置確認が容易で作業時間を短縮することができ、設置確認時のヒューマンエラーを防止することができるガスメータ及びガスメータ設置確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成すべく、本発明のガスメータは、設置角度を測定する角度センサと、ガス圧力を測定する圧力センサと、ガス流量を計測する流量センサと、設置状態を報知する報知部と、外部装置とのデータ通信を行う通信部と、これらを制御する制御部と、を備えたガスメータであって、前記制御部は、前記設置角度が正常角度範囲内でかつ該設置角度が所定の時間に亘って変化しない第1条件と、前記ガス圧力が所定の時間に亘って正常圧力範囲内である第2条件と、前記ガス流量が正常流量範囲である第3条件と、を判定し、前記第1、第2及び第3条件をすべて満たす場合に、前記設置状態が正常であることを判定して、前記報知部によって前記設置状態を報知し、前記通信部によって前記設置状態を前記外部装置に送信することを特徴とする。
【0012】
本発明のガスメータを設置するには、まず、作業員は、ガスメータの設置角度を調整し、ガスメータの設置角度が、例えば水平に対して±5°以内の正常角度範囲になるように、ガスメータをガス供給配管に取り付ける。ここで、ガスメータの制御部は、角度センサが測定した設置角度を取得し、取得した設置角度が正常角度範囲内でかつ該設置角度が所定の時間に亘って変化しない第1条件を満たすか否かを判定する。
【0013】
なお、ガスメータの設置角度及びその変化を測定する角度センサは、加速度センサであってもよい。例えば、3軸方向の加速度に基づいて傾斜角度を測定する加速度センサを本発明のガスメータの角度センサとして用いることができる。これにより、設置角度及び設置角度が所定の時間に亘って変化しないことを正確に測定することができる。
【0014】
また、ガスメータの制御部は、第1条件を満たすと判定した場合に、第1条件を満たしたことを報知部によって作業員に報知するようにしてもよい。報知部としては、ブザーやスピーカー等の音声発生部、表示ランプや液晶表示装置等の表示部、又はこれらの組み合わせを用いることができる。例えば、報知部が液晶表示装置である場合に、制御部は、液晶表示装置の画面上にガスメータの現在の設置角度を表示する。さらに、制御部は、設置角度が正常角度範囲内でかつ所定の時間に亘って変化しない場合に、液晶表示装置の画面上に第1条件を満たしたことを表示することができる。
【0015】
なお、ガスメータは、制御部によって開閉されるガス遮断弁を備えてもよい。この場合、制御部は、第1条件を満たすまでガス遮断弁を閉じた状態を維持し、第1条件を満たしかつ復帰操作が行われた場合にガス遮断弁を開く。なお、ガスメータの復帰操作は、通常、ガスメータの安全機能が作動してガスの供給が遮断された場合に、ボタン操作等によりユーザーが行う一般的な操作であり、ガス遮断弁によってガスの供給が遮断された状態から、遮断弁を開いてガスを使用可能な状態にするための操作である。
【0016】
ガスメータの制御部は、前記第1条件の判定後に、圧力センサが測定したガス圧力を取得し、取得したガス圧力が所定の時間に亘って正常圧力範囲内である第2条件を満たすか否かを判定する。なお、制御部は、第2条件を満たすと判定した場合に、第2条件を満たしたことを報知部によって作業員に報知するようにしてもよい。例えば、報知部が液晶表示装置である場合に、制御部は、液晶表示装置の画面上にガスメータの現在のガス圧力を表示し、ガス圧力が所定の時間に亘って正常圧力範囲内である場合に第2条件を満たしたことを表示することができる。
【0017】
ガスメータの制御部は、前記第2条件の判定後に、流量センサが測定したガス流量を取得し、取得したガス流量が正常流量範囲である第3条件を満たすか否かを判定する。なお、制御部は、第3条件を満たすと判定した場合に、第3条件を満たしたことを報知部によって作業員に報知するようにしてもよい。例えば、報知部が液晶表示装置である場合に、制御部は、液晶表示装置の画面上にガスメータの現在のガス流量を表示し、ガス流量が0より大である場合に第3条件を満たしたことを表示することができる。
【0018】
なお、ガスメータが前記遮断弁を備える場合、制御部は、ガス遮断弁が開いた状態のときに前記第2条件及び前記第3条件を判定することができる。すなわち、ガスメータの制御部は、前記第1条件を満たしかつ復帰操作が行われた場合にガス遮断弁を開く。これにより、ガス供給配管からガスメータを介して家庭、店舗又は工場等のガス管にガスが供給される。この状態で、ガスメータの制御部が前記第2条件を判定することで、ガスメータが正常に復帰したか否かを判定することができる。さらに、例えば、家庭、店舗又は工場等のガス管に接続されたガス機器を使用した状態で、ガスメータの制御部が前記第3条件を判定することで、ガスメータが正常な設置状態にあるか否かを判定することができる。
【0019】
ガスメータの制御部は、前記第1、第2及び第3条件をすべて満たす場合に、ガスメータの設置状態が正常であることを判定する。そして、制御部は、ガスメータの設置状態が正常であることを判定すると、報知部によって作業員にガスメータの設置状態が正常であることを報知する。また、制御部は、外部装置とのデータ通信を行う通信部によって設置状態が正常であることを外部装置に送信する。
【0020】
ここで、外部装置としては、ガスメータの通信部とデータ通信可能な装置、例えば、作業員の携帯情報端末や、WEB上のサーバ等を想定することができる。なお、ガスメータの通信部は、外部装置と無線通信を行う無線通信部であることが好ましいが、外部装置と有線通信を行う有線通信部であってもよい。通信部が無線通信部である場合には、ガスメータに通信部のための信号線を接続する必要がなく、ガスメータの設置を容易にすることができる。
【0021】
前記したように、本発明のガスメータは、制御部によって前記第1、第2及び第3条件を判定し、前記第1、第2及び第3条件をすべて満たす場合に、制御部が正常な設置状態であることを判定して作業員に報知する。そのため、作業員がこれらの条件を判定する必要がなく、ガスメータの取り付け時の作業員の負担を軽減することができる。
【0022】
さらに、本発明のガスメータの制御部は、ガスメータが正常な設置状態であることを判定すると、通信部によって設置状態を外部装置に送信する。これにより、ガスメータの正常な取り付け及び計量についての設置確認の結果がガスメータの通信部から外部装置に自動送信され、作業員が設置確認の結果を事業所のコンピュータ端末等に入力する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から理解できるように、本発明によれば、設置確認が容易で作業時間を短縮することができ、設置確認時のヒューマンエラーを防止することができるガスメータを提供することができる。また、本発明のガスメータと、ガスメータの通信部から送信された設置状態のデータを受信して保存するサーバとを備えるガスメータ設置確認システムを構築することで、本発明のガスメータの効果をより効果的に享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係るガスメータ及びその設置確認システムの概略構成図。
【
図2】
図1に示すガスメータの制御部による判定を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明のガスメータ及びガスメータ設置確認システムを説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るガスメータ10及びガスメータ設置確認システム100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のガスメータ10は、設置角度を測定する角度センサ11と、ガス圧力を測定する圧力センサ12と、ガス流量を計測する流量センサ13と、設置状態を報知する報知部14と、外部装置とのデータ通信を行う通信部15と、これらを制御する制御部16と、を備える。また、本実施形態のガスメータ設置確認システム100は、ガスメータ10と、前記通信部15から送信された前記設置状態のデータを受信して保存するサーバ20と、を備える。
【0027】
角度センサ11は、ガスメータ10の設置角度及びその時間による変化を測定することができるものであれば特に限定されず、例えば、膜スプリングマス容量式又は液封入容量式の傾斜角センサ、加速度センサ、角速度センサ等を用いることができる。なお、角度センサ11は、加速度センサであることが好ましい。加速度センサを用いることで、角度センサ11の小型化が可能であり、ガスメータ10の設置角度及びその時間による変化を正確に測定することができる。
【0028】
圧力センサ12は、ガスメータ10においてガス圧力を測定することができるものであれば特に限定されず、例えば、マノメータ等を用いることができる。流量センサ13は、ガスメータ10においてガス流量を計測することができるものであれば特に限定されず、例えば、膜式流量計であればリードスイッチやMRセンサ等の磁気スイッチ等、超音波式流量計であれば超音波センサ等を用いることができる。
【0029】
報知部14は、作業員にガスメータ10の設置状態を報知することができるものであれば特に限定されず、例えば、ブザーやスピーカー等の音声発生部、LED等の表示ランプや液晶表示装置等の表示部、又はこれらの組み合わせを用いることができる。作業員に対して報知可能な情報量の観点から、報知部14は、液晶表示装置であることが好ましい。
【0030】
通信部15は、制御部16の制御の下で、後述するガスメータ10の設置状態を外部装置であるサーバ20に送信する。通信部15は、サーバ20との有線通信を行う有線通信部であってもよいが、サーバ20との無線通信を行う無線通信部であることが好ましい。
【0031】
制御部16は、例えばCPU等の演算装置やメモリ等の記憶装置を含む小型のコンピュータによって構成され、前記角度センサ11、圧力センサ12、流量センサ13、報知部14、及び通信部15を制御する。制御部16は、第1条件、第2条件及び第3条件の三つの条件に基づいてガスメータ10の設置状態が正常であることを判定し、当該設置状態を報知部14によって作業員に報知するとともに通信部15によって外部装置であるサーバ20に送信する。そのために、制御部16には、各種の基準データ及びプログラムが保存されている。
【0032】
具体的には、制御部16には、第1条件を判定するための基準データとして、ガスメータ10の正常な設置角度の範囲である正常角度範囲と、設置角度の変化の有無の判定基準となる所定の時間が保存されている。正常角度範囲は、例えば、水平に対して±5°以内に設定することができ、設置角度の変化の有無の判定基準となる所定の時間は、例えば、3分に設定することができる。また、制御部16には、角度センサ11が取得したガスメータ10の設置角度が正常角度範囲内でかつ該設置角度が所定の時間に亘って変化しない第1条件を満たすか否かを判定するためのプログラムが保存されている。
【0033】
また、制御部16には、第2条件を判定するための基準データとして、正常なガス圧力の範囲である正常圧力範囲と、正常圧力範囲を維持すべき所定の時間が保存されている。正常圧力範囲は、例えば、50Pa以上かつ80Pa以下に設定することができ、正常圧力範囲を維持すべき所定の時間は、例えば、3分に設定することができる。また、制御部16には、圧力センサ12が取得したガス圧力が所定の時間に亘って正常圧力範囲内である第2条件を満たすか否かを判定するためのプログラムが保存されている。
【0034】
また、制御部16には、第3条件を判定するための基準データとして、正常なガス流量の範囲である正常流量範囲が保存されている。正常流量範囲は、例えば、0より大、すなわち圧力センサ12の分解能以上とすることができる。また、制御部16には、流量センサ13が取得したガス流量が正常流量範囲である第3条件を満たすか否かを判定するためのプログラムが保存されている。
【0035】
また、制御部16には、前記第1、第2及び第3条件をすべて満たす場合に、ガスメータ10の設置状態が正常であることを判定して、報知部14によって設置状態を報知し、通信部15によって設置状態を前記外部装置に送信するためのプログラムが保存されている。さらに、制御部16には、第1条件、第2条件、及び第3条件のそれぞれを満たしたことを報知部14である液晶表示装置の画面上に表示するためのプログラムを保存することができる。
【0036】
サーバ20は、ガスメータ10の外部装置であり、ガスメータ10とともにガスメータ設置確認システム100を構成している。サーバ20は、ガスメータ10の通信部15から送信されたデータを受信する通信部21と、通信部21によって受信されたデータを保存する記憶部22と、通信部21及び記憶部22を制御する制御部23とを備えている。サーバ20の通信部21は、複数のガスメータ10の通信部15から送信された設置状態に関するデータを受信する。制御部23は、例えば、CPU等の演算部を含み、記憶部22に保存されたプログラムに基づいて、受信したガスメータ10毎の設置状態のデータを記憶部22に保存し、データを更新する。
【0037】
以下、本実施形態のガスメータ10及びガスメータ設置確認システム100の作用について、
図2を参照して説明する。
図2は、ガスメータ10の取り付け時の制御部16による制御を示すフロー図である。
【0038】
本実施形態のガスメータ10の取り付け作業を行う作業員は、ガスメータ10の取り付けに際し、ガスメータ10の設置角度が、例えば水平に対して±5°以内の正常角度範囲になるように、ガスメータ10をガス供給配管等に取り付けて制御部16による制御を開始する(ステップS0)。制御部16は、保存されたプログラムに基づいて、角度センサ11が測定した設置角度を取得し、取得した設置角度が正常角度範囲内でかつ該設置角度が所定の時間に亘って変化しない第1条件を満たすか否かを判定する(ステップS1)。
【0039】
第1条件を満たす場合、制御部16は、第1条件に対するフラグ1をONにして(ステップS2)、第2条件の判定に移行する(ステップS3)。このとき、制御部16は、報知部14である液晶表示装置の画面上にガスメータ10の現在の設置角度を表示し、設置角度が正常角度範囲内でかつ所定の時間に亘って変化しない場合に、液晶表示装置の画面上に第1条件を満たしたことを表示して作業員に報知することができる。これにより、ガスメータ10の取り付け作業及び設置確認作業を容易にすることができる。
【0040】
一方、第1条件を満たさない場合、制御部16は、第1条件に対するフラグ1をONにすることなく、第2条件の判定に移行する(ステップS3)。ガスメータ10が制御部16によって開閉される遮断弁を有する場合には、制御部16は、第1条件を満たしてフラグ1がONになるまでガス遮断弁を閉じた状態を維持し、第1条件を満たしてフラグ1がONになり、かつ作業員によって復帰操作が行われた場合にガス遮断弁を開く。
【0041】
次に、制御部16は、第2条件の判定を行う(ステップS3)。具体的には、制御部16は、保存されたプログラムに基づいて、圧力センサ12が測定したガス圧力を取得し、取得したガス圧力が所定の時間に亘って正常圧力範囲内である第2条件を満たすか否かを判定する。これにより、制御部16は、ガスメータ10が正常に復帰したか否かを判定する。ガスメータ10が正常に復帰し、第2条件を満たす場合、制御部16は、第2条件に対するフラグ2をONにして(ステップS4)、第3条件の判定に移行する(ステップS5)。
【0042】
このとき、制御部16は、報知部14である液晶表示装置の画面上にガスメータ10の現在のガス圧力を表示し、ガス圧力が所定の時間に亘って正常圧力範囲内である場合に、液晶表示装置の画面上に第2条件を満たしたことを表示して作業員に報知することができる。これにより、ガスメータ10の設置確認作業を容易にすることができる。一方、ガスメータ10が正常に復帰せず、第2条件を満たさない場合、制御部16は、第2条件に対するフラグ2をONにすることなく、第3条件の判定に移行する(ステップS5)。
【0043】
次に、制御部16は、第3条件の判定を行う(ステップS5)。具体的には、制御部16は、保存されたプログラムに基づいて、流量センサ13が測定したガス流量を取得し、取得したガス流量が正常流量範囲である第3条件を満たすか否かを判定する。第3条件を満たす場合、制御部16は、第3条件に対するフラグ3をONにして(ステップS6)、ガスメータ10の設置状態が正常か否かの判定に移行する(ステップS7)。
【0044】
このとき、制御部16は、報知部14である液晶表示装置の画面上にガスメータ10の現在のガス流量を表示し、ガス流量が正常流量範囲内である場合に、液晶表示装置の画面上に第3条件を満たしたことを表示して作業員に報知することができる。これにより、ガスメータ10の設置確認作業を容易にすることができる。一方、例えば流量センサ13からの入力がなく、第3条件を満たさない場合、制御部16は、第3条件に対するフラグ3をONにすることなく、ガスメータ10の設置状態が正常か否かの判定に移行する(ステップS7)。
【0045】
次に、制御部16は、ガスメータ10の設置状態が正常か否かの判定を行う(ステップS7)。具体的には、制御部16は、保存されたプログラムに基づいて、フラグ1から3がすべてONであるか否か、すなわち、第1、第2及び第3条件をすべて満たすか否かを判定する。第1、第2及び第3条件をすべて満たす場合に、制御部16は、ガスメータ10の設置状態が正常であると判定して、報知部14である液晶表示装置の画面上にガスメータ10の設置状態が正常であることを表示して、作業員に報知する(ステップS8)。
【0046】
報知部14による設置状態の報知後、制御部16は、保存されたプログラムに基づいて、例えば、30分程度の所定の時間が経過した後、通信部15によって設置状態を外部装置であるサーバ20に送信する(ステップS9)。なお、制御部16は、圧力センサ12から取得した圧力情報、例えば、ガスメータ10復帰後の静圧、積算確認時の動圧等を、設置状態とともに通信部15によってサーバ20に送信するようにしてもよい。これにより、ガスメータ10の設置個所のガスの供給圧力値の記録が可能になり、このデータを活用して供給約款の条件を満足するか否かを判定することができ、設置個所の健全性確認が可能になる。
【0047】
サーバ20は、記憶部22に保存されたプログラムに基づいて、制御部23の制御の下、ガスメータ10の通信部15から送信されたガスメータ10の設置状態及び圧力情報等のデータを通信部21によって受信し、受信したデータを記憶部22に保存し、当該ガスメータ10のデータを更新する。(ステップ10)。
【0048】
一方、ガスメータ10の制御部16は、ガスメータ10の設置状態の判定(ステップS7)において、フラグ1から3の少なくとも一つがOFFである場合、すなわち、第1、第2及び第3条件の少なくとも一つを満たしていない場合に、ガスメータ10の設置状態が異常であると判定する。このとき、ガスメータ10の制御部16は、報知部14である液晶表示装置の画面上にガスメータ10の設置状態が異常であること、どの条件を満たしていないか等を表示して作業員に報知してもよい。作業員は、制御部16による設置状態の異常判定を受けて、満たしていない条件を満たすべく、ガスメータ10の設置状態の再調整を行う(ステップS0)。
【0049】
前述のように、本実施形態のガスメータ10の制御部16は、ガスメータ10の設置角度が正常角度範囲内でかつ該設置角度が所定の時間に亘って変化しない第1条件と、ガス圧力が所定の時間に亘って正常圧力範囲内である第2条件と、ガス流量が正常流量範囲内である第3条件と、を判定する。そして、ガスメータ10の制御部16は、第1、第2及び第3条件をすべて満たす場合に、設置状態が正常であることを判定して、報知部14によって設置状態を報知し、通信部15によって設置状態を外部装置であるサーバ20に送信する。
【0050】
すなわち、本実施形態のガスメータ10及びガスメータ設置確認システム100によれば、ガスメータ10自身が、制御部16によって設置状態、及び設置後のガスの積算状態の正常性を判断し、判断結果に関する情報を報知部14である液晶表示装置に表示することができる。そのため、ガスメータ10の取り付け作業を行う作業員は、報知部14による情報の報知によってガスメータ10の設置が正常か否かの設置確認を容易かつ確実に行うことでき、作業時間を短縮することができる。
【0051】
また、本実施形態のガスメータ10及びガスメータ設置確認システム100によれば、ガスメータ10自身が、制御部16によって設置状態、及び設置後のガスの積算状態の正常性を判断し、判断結果に関する情報をガスメータ10の設置状態として、通信部15によって外部装置であるサーバ20に送信することができる。そのため、ガスメータ10の設置状態に関する情報のサーバ20への登録を自動化することができ、作業員による作業時間を短縮することができ、確認忘れや確認ミス等のヒューマンエラーの発生を防止することができる。
【0052】
また、本実施形態のガスメータ10は、制御部16によって開閉されるガス遮断弁を備え、ガスメータ10の制御部16は、前記第1条件を満たすまでガス遮断弁を閉じた状態を維持し、第1条件を満たしかつ復帰操作が行われた場合にガス遮断弁を開く。これにより、ガスメータ10の設置角度が正常角度範囲内でかつ該設置角度が所定の時間に亘って変化しない第1条件を満たすまで、遮断弁によってガスを遮断し、安全性を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態のガスメータ10の制御部16は、前記ガス遮断弁が開いた状態のときに前記第2条件及び前記第3条件を判定してもよい。これにより、ガスメータ10において、第1条件を満たさない状態で、第2条件及び第3条件の判定が行われるのを防止することができる。したがって、ガスメータ10の取り付け作業のやり直しを回避して作業員による作業時間を短縮することができる。
【0054】
また、ガスメータ10の角度センサ11が加速度センサである場合には、設置角度及び設置角度が所定の時間に亘って変化しないことを正確に測定することができる。また、ガスメータ10の報知部14が液晶表示装置である場合には、制御部16は、液晶表示装置の画面上に、ガスメータ10の現在の設置角度、ガスメータ10の現在のガス圧力、ガスメータ10の現在のガス流量、及び第1、第2及び第3条件の各条件を満たしたか否か等、様々な情報を表示して、作業員に視覚的に報知することができる。また、ガスメータ10の通信部15が外部装置と無線通信を行う無線通信部である場合には、ガスメータ10に通信部15のための信号線を接続する必要がなく、ガスメータ10の設置を容易にすることができる。
【0055】
以上、図面を用いて本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0056】
10 ガスメータ
11 角度センサ(加速度センサ)
12 圧力センサ
13 流量センサ
14 報知部(液晶表示装置)
15 通信部(無線通信部)
16 制御部
20 サーバ(外部装置)
100 ガスメータ設置確認システム
S1 第1条件
S3 第2条件
S5 第3条件