特許第6498023号(P6498023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498023
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】管検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/954 20060101AFI20190401BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20190401BHJP
   G01N 21/952 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   G01N21/954 Z
   G01N21/84 C
   G01N21/952
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-89008(P2015-89008)
(22)【出願日】2015年4月24日
(65)【公開番号】特開2016-206045(P2016-206045A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 薫
(72)【発明者】
【氏名】岸 正蔵
(72)【発明者】
【氏名】香川 崇哲
(72)【発明者】
【氏名】小丸 維斗
(72)【発明者】
【氏名】上村 正人
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−075169(JP,A)
【文献】 特開2012−163402(JP,A)
【文献】 実開平03−091961(JP,U)
【文献】 特開2010−286110(JP,A)
【文献】 特開2002−368947(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0260705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − 21/958
G01B 11/00 − 11/30
G01B 21/00 − 21/32
F16L 21/00 − 21/08
H04N 5/222− 5/257
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管接合部の検査装置であって、
管の軸心と交差する軸心周りに揺動可能な揺動機構を介してシャフトに着脱自在に連結され、前記管接合部の接合状態を検査する検査部を備え、
前記検査部は底部開口から接近させて前記管接合部を覆うカバー体と、前記カバー体の内部に取り付けられた検査具を備えて構成され、
前記カバー体のうち管の軸心方向に対向する一対の側面に前記管に当接して、その状態で検査可能に位置決めする当接部を備えている管接合部の検査装置。
【請求項2】
前記当接部が前記カバー体に形成された凹部で構成され、前記凹部が管表面に沿う弧状に形成されている請求項1記載の管接合部の検査装置。
【請求項3】
前記当接部に管表面に対する滑り止め部が設けられている請求項1または2記載の管接合部の検査装置。
【請求項4】
前記カバー体が遮光性部材で構成され、前記カバー体の内部に光源が設けられている請求項1からの何れかに記載の管接合部の検査装置。
【請求項5】
前記検査具は管軸に沿う方向に指向された単一または複数のセンサである請求項1からの何れかに記載の管接合部の検査装置。
【請求項6】
前記管接合部が、一方の管の受口に他方の管の挿口が挿入され、前記受口と挿口の間にシール部材が介装されており、前記検査具は管接合部の周囲を他方の管の挿口側から一方の管の受口側に向かって撮影する撮像装置で構成されている請求項記載の管接合部の検査装置。
【請求項7】
前記検査具は管軸と交差する面上で管接合部を指向するように前記管接合部の周方向に配置された複数のセンサで構成されている請求項1からの何れかに記載の管接合部の検査装置。
【請求項8】
前記管接合部が、一方の管の受口に他方の管の挿口が挿入され、前記受口と挿口の間に押輪で押し込まれたシール部材が介装されており、前記検査具は管接合部の受口側フランジと押輪の少なくとも一方に設けられた突起の接触状態を2か所以上撮影する撮像装置である請求項記載の管接合部の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管接合部の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上水道管や下水道管に広くダクタイル鋳鉄管(以下「鉄管」という。)が用いられ、これらの鉄管に所謂プッシュオンタイプの管継手構造が採用されている。管継手構造にはプッシュオンタイプ以外に、メカニカルタイプと呼ばれるものもある。メカニカルタイプの継手は、受口端面外方に配設した押輪によって受口内周面と挿口外周面との間にあるシール材を受口奥方に押し込み、受口内周面と挿口外周面との間の面圧を確保するような構造となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一方の管の端部に形成された受口の内部に他方の管の端部に形成された挿口を挿入し、受口の内周面と挿口の外周面との間でシール部材としてのゴム輪が圧縮されるように介装され、受口の内周溝部に設けられたロックリングと挿口に形成された突部が係合して抜止めされる管継手構造が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、押輪または受口フランジ面の少なくとも一方に突起を設けておき、この突起と他方のフランジまたは押輪とが接触するまで押輪押し込み用ボルトを締め付けることによりシール材が受口内周面と挿口外周面との間に押し込まれ、且つ押輪と受口フランジ面との間隙を一定に管理できる構造が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ゴム輪が適切な姿勢で管が接合されているか否かを判断するために、薄板ゲージを用いて受口の管端からゴム輪との接触位置までの距離を計測したり、専用の接合チェッカを受口の管端からゴム輪との接触位置まで挿入したりといった検査作業が行なわれることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−174906号公報
【特許文献2】特開2010−286110号公報
【特許文献3】特開2012−123589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12に示すように、このようなプッシュオンタイプの継手構造の鉄管は、一方の管2の受口2Aに他方の管3の挿口を預けて、受口2A近傍で受口側の管2にスリングベルトやチェーンで構成される接合器具100を巻き付けるとともに、挿口近傍で挿口側の管3に同じく接合器具101を巻き付け、管2,3の両側で接合器具間に夫々レバーホイスト102,103を装着して手動操作で巻き上げるような作業を経て接合される。
【0008】
そして、接合作業の後に、上述した薄板ゲージや接合チェッカ等の機械式の計測機器を操作してゴム輪が適正に位置決めされているか否かを確認し、その結果を施工管理情報の一部として竣工図等に記録していた。
【0009】
しかし、ゴム輪が適正に位置決めされているか否かを確認するために、管の接合部の周囲に沿って複数個所で計測して、後に竣工図に記録するためにその場でメモ用紙に仮記録する必要があり、この計測作業や記録作業が非常に煩雑であるという問題があった。特に管布設溝の底部に相対する部位を計測する際には、身体を屈めて作業を行なう必要があるため、多大な労力が必要であった。
【0010】
また、メカニカルタイプの継手接合部のシール性を担保するためには、押輪と受口フランジ面との間の間隔や押輪押し込み用ボルトの締め付けトルクを継手の周方向の数か所にわたって管理する必要がある。そこで、特許文献2に記載の様に、押輪または受口フランジ面の少なくとも一方に突起を設けておき、この突起と他方のフランジまたは押輪とが接触するまで押輪押し込み用ボルトを締め付けるだけでよいメカニカルタイプの継手も実用化されている。この継手であれば押輪押し込み用ボルトを締め付け時のトルク管理を省略することができるので継手接合作業が効率的に行える。
【0011】
しかし、このようなメカニカルタイプの継手であっても、継手が適切に接合されたことを検査する必要性、すなわち突起と他方のフランジまたは押輪との接触状態を目視検査する必要性は依然として残っており、管布設溝の底面付近の継手接合箇所について作業者が目視検査するには相変わらず窮屈な姿勢を強いられるという問題があった。
【0012】
そして、上記鉄管以外でも、様々なタイプの管は一般的にパイプスペースなどの狭い場所に配置されることが多く、管の外周に沿って施工状態や損傷状態等を検査する必要がある様々な管の検査作業も同様の問題があった。
【0013】
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、作業者が窮屈な姿勢で計測作業を行なう必要が無く、さらには一度の計測作業で複数の情報を取得可能な管検査装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明による管接合部の検査装置の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、管接合部の検査装置であって、管の軸心と交差する軸心周りに揺動可能な揺動機構を介してシャフトに着脱自在に連結され、前記管接合部の接合状態を検査する検査部を備え、前記検査部は底部開口から接近させて前記管接合部を覆うカバー体と、前記カバー体の内部に取り付けられた検査具を備えて構成され、前記カバー体のうち管の軸心方向に対向する一対の側面に前記管に当接して、その状態で検査可能に位置決めする当接部を備えている点にある。
【0015】
カバー体が管接合部を一方向から覆うように底部開口から管接合部に近接させて、当接部が管表面に当接することにより検査可能な状態に位置決めされ、その状態でカバー体の内部に取り付けられた検査具により管接合部が検査される。
【0016】
そして、作業者が検査装置を操作して、管接合部を適正に検査できる位置に検査部を位置決めする場合に、シャフトの姿勢を細かく調整しなくても揺動機構を介して検査部を揺動操作することにより容易く検査部を適切な位置に配置することができるようになる。
【0017】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記当接部が前記カバー体に形成された凹部で構成され、前記凹部が管表面に沿う弧状に形成されている点にある。
【0018】
カバー体を管接合部に近接させると、やがて管表面にカバー体に形成された凹部が当接して管接合部と検査具との相対位置が固定されるようになる。このとき弧状に形成された凹部が管表面に沿うようにカバー体が位置決めされるので、当該凹部に対して検査具の相対位置を決めておくことにより、正確に接合部を検査できるようになる。
【0019】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記当接部に管表面に対する滑り止め部が設けられている点にある。
【0020】
当接部に備えた滑り止め部が管表面に当接することにより、管表面とカバー体との滑りが回避されるので、検査具を用いた検査作業中に位置ずれ等が生じることがなく、安定した状態で検査を遂行できる。
【0021】
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、前記カバー体が遮光性部材で構成され、前記カバー体の内部に光源が設けられている点にある。
【0022】
検査具が管接合部を光学的に検査する構成である場合等、外部からの迷光の影響受けて誤検査を招く虞がある場合でも、カバー体が遮光性部材で構成されていれば、検査に有害な迷光が遮断されるようになり、またそのような状態でカバー体の内部に設けられた光源から管接合部が照明されると、安定した環境下で正確な検査情報が得られるようになる。
【0023】
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、前記検査具は管軸に沿う方向に指向された単一または複数のセンサである点にある。
【0024】
管軸に沿う方向に指向されたセンサにより、受口と挿口の間に介装されたシール部材の状態が確認されるので、薄板ゲージを用いて受口の管端からシール部材との接触位置までの距離を計測したり、専用の接合チェッカを受口の管端からシール部材との接触位置まで挿入したりといった煩雑な検査作業が不要になる。
【0025】
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第の特徴構成に加えて、前記管接合部が、一方の管の受口に他方の管の挿口が挿入され、前記受口と挿口の間にシール部材が介装されており、前記検査具は管接合部の周囲を他方の管の挿口側から一方の管の受口側に向かって撮影する撮像装置で構成されている点にある。
【0026】
管接合部の周囲を他方の管の挿口側から一方の管の受口側に向かって撮影する撮像装置により、受口と挿口の間に介装されたシール部材の状態が画像で取得され、当該画像情報により接合状態の良否が判定できるようになる。
【0027】
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、前記検査具は管軸と交差する面上で管接合部を指向するように前記管接合部の周方向に配置された複数のセンサで構成されている点にある。
【0028】
管軸に交差する方向に指向された単一または複数センサにより、接合部の状態が検査される。
【0029】
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第の特徴構成に加えて、前記管接合部が、一方の管の受口に他方の管の挿口が挿入され、前記受口と挿口の間にシール部材が介装されており、前記検査具は管接合部の受口側フランジと押輪の少なくとも一方に設けられた突起の接触状態を2か所以上撮影する撮像装置である点にある。
【0030】
撮像装置により管接合部の受口側フランジと押輪の少なくとも一方に設けられた突起の接触状態が2か所以上撮影されることにより、押輪により押し込まれるシール部材が適切に装着された状態であるか否かがほぼ正確に判別できるようになる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した通り、本発明によれば、作業者が窮屈な姿勢で計測作業を行なう必要が無く、さらには一度の計測作業で複数の情報を取得可能な管検査装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(a)は収縮状態にある管検査装置の正面図、(b)は伸長状態にある管検査装置の正面図、(c)は伸長状態にある管検査装置の側面図
図2】(a),(b)は管検査装置を用いた検査状態の説明図
図3】(a)は直管の管接合部に対して管検査装置を用いた検査状態の説明図、(b)は(a)のB−B線断面の説明図、(c)は(a)のC−C線断面の説明図
図4】(a)は直管用の管検査装置の検査部と連結部の正面側から視た要部斜視図、(b)は同背面側から視た要部斜視図、(c)は直管用の管検査装置の検査部と連結部の接続部の説明図
図5】(a)は管検査装置の通信部の平面図、(b)は同通信部の正面図、(c)は同通信部の側面図
図6】(a)は異形管用の管検査装置の正面側から視た要部斜視図、(b)は同背面側から視た要部斜視図
図7】(a)は異形管の管接合部に対して管検査装置を用いた検査状態の説明図、(b)は(a)のD−D線断面図、(c)は検査具である撮像装置による管接合部の撮影状態の説明図
図8】(a)は異形管の管接合部に対して管検査装置を用いた検査状態の説明図、(b)は同平面図、(c)は(b)のE−E線断面図
図9】(a)は直管の管接合に用いるシール部材の断面図、(b)は検査具である撮像装置による適正な管接合部の撮影状態の説明図、(c)は撮像装置による不適正な管接合部の撮影状態の説明図、(d)は撮像装置で撮影された適切に接合された管接合部の画像の説明図、(e)は撮像装置で撮影された不適切に接合された管接合部の画像の説明図
図10】(a)は検査具である撮像装置による異形管の管接合部に対する撮影状態の説明図、(b)は撮像装置で撮影された適正な管接合部の画像の説明図、(c)は撮像装置で撮影された不適正な管接合部の画像の説明図
図11】(a)は管情報を示すラベルの説明図、(b),(c)は異形管の管接合部の接合構造の説明図
図12】直管の接合作業の説明図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、鉄管を用いた上水道管の管接合部を検査する場合を例に、本発明による管検査装置を説明する。
【0034】
図12に示すように、所謂プッシュオンタイプの管継手構造を備えた直管では、一方の管2の受口2Aに他方の管3の挿口を預けて、受口2A近傍で受口側の管2にスリングベルトやチェーンで構成される接合器具100を巻き付けるとともに、挿口近傍で挿口側の管3に同じく接合器具101を巻き付け、管2,3の両側で接合器具間に夫々レバーホイスト102,103を装着して手動操作で巻き上げる、という接合作業が行なわれる。
【0035】
図9(a)には、配管の接合部に用いられるゴム製のシール部材4が示されている。当該シール部材4は、受口の内周に形成された溝に嵌込み固定されるヒール部4aと、受口側の管内周面と挿口側の管外周面との間で圧接されるバルブ部4bを備えて構成され、ヒール部4aのうち受口側の管端側を臨む立上り面に着色マーカ部材4cが設けられている。
【0036】
図9(b),(c)には、管2,3の接合部の要部断面が示されている。一方の管2の端部に形成された受口2Aの内部に他方の管3の端部に形成された挿口3Aが挿入され、受口2Aの内周面と挿口3Aの外周面との間でシール部材4が圧縮されるように介装され、ロックリング5aと挿口3Aに形成された突部3aが係合して抜止めされる。図中、5bはロックリング心出し用部材である。
【0037】
図9(b)はシール部材4が適正に装着された例であり、受口2A内周部に形成されたシール部材収容凹部2Bにヒール部4aが嵌め込まれ、シール部材収容凹部2Bに連接されたシール部材圧縮凸部2Cと挿口側の管3の外周面との間でバルブ部4bが圧縮されている。
【0038】
図9(c)はシール部材4が不適正に装着された例であり、バルブ部4bが管3によって奥側に引き込まれ、ヒール部4aがシール部材収容凹部2Bから離脱した状態が示されている。このような不適切な接合状態ではシール機能が損なわれるため、再度接合作業を行なう必要がある。
【0039】
図11(b),(c)には、異形管の管継手構造が示されている。一方の管2の受口2Aに他方の管3の挿口3Aを挿入した後に、押輪5を用いて挿口3Aと受口2Aの隙間にシール部材4を挿入するように構成されている。
【0040】
受口2A側のフランジ部2Dに形成された締付孔2Eと環状の押輪5の周方向複数個所に形成された締付孔5Aとを、締付用部材であるT頭ボルト6Aとナット6Bを介して締め付けることにより押輪5がフランジ部2D側に引き込まれ、押輪5の先端突部5Bでシール部材4が押込み挿入される。
【0041】
押輪5のうち締付孔5Aが形成された部位の近傍にはフランジ部2Dに対向する突起5Cが形成され、当該突起5Cがフランジ部2Dの端面に当接するまでT頭ボルト5が締め付けられるとシール部材4が適正位置に押込み挿入される。尚、押輪5に形成する突起5Cに代えて、フランジ部2Dの端面に押輪5の端面と接当する突起が形成されていてもよい。
【0042】
締付孔5Aは押輪5の周方向に沿って均等な位置に複数個所設けられ、フランジ部2Dに形成された締付孔2Eは同じく周方向に沿って均等位置に複数個所設けられている。押輪5の周方向の位置調整が容易に行なえるように、締付孔2Eは締付孔5Aの1/2のピッチで締付孔5Aの2倍の数だけ設けられている。
【0043】
例えば、押輪5に形成される締付孔5Aが中心角180°ピッチで2つ設けられる場合にはフランジ部2Dに形成される締付孔2Eは中心角90°ピッチで4つ設けられ、押輪5に形成される締付孔5Aが中心角120°ピッチで3つ設けられる場合にはフランジ部2Dに形成される締付孔2Eは中心角60°ピッチで6つ設けられる。
【0044】
各締付孔5Aの近傍に形成された突起5Cが全てフランジ部2Dの端面に当接するようにT頭ボルト6Aを締め付けることにより管の接合作業が終了する。
【0045】
図1(a),(b),(c)には、上述した管継手構造を備えた管接合部の検査装置Aが示されている。検査装置Aは、管接合部の接合状態を検査する検査部10と、少なくとも検査部10による検査結果を外部に送信する通信部50と、検査部10と通信部50とを連結する連結部30と、バッテリ40とを備えている。
【0046】
連結部30は筒状の内側シャフトと外側シャフトの二重構造となる2本のシャフト31,32で構成され、外側シャフトに対して内側シャフトが進出または引退することにより検査部10と通信部50との離隔距離が調整可能に構成されている。
【0047】
一対の外側シャフトの上端部に内側シャフトの進出または引退を許否するネジ式の固定部35Aが設けられ、当該ネジを緩めることで外側シャフトに対する内側シャフトの進出または引退が許容され、当該ネジを締め付けることにより内側シャフトが固定される。当該固定部と2本の内側シャフトで検査部10と通信部50との離隔距離を調整する伸縮機構35が構成される。
【0048】
図1(a),(b),(c)及び図5(a),(b),(c)に示すように、通信部50には、筐体55に収容された制御部56と、筐体55の上部に設置された送受信用のアンテナ60と、表示部70と、GPS操作部52と、二次元コードリーダ54を備えている。GPS操作部52及び二次元コードリーダ54はそれぞれ筐体55の左右側部に取り付けられた収容部51,53に収容されている。
【0049】
表示部70は液晶タッチパネル式の表示部であり、作業者がその時の姿勢により操作しやすい角度に調整するために、横軸心P2周りに揺動自在に筐体51に取り付けられている。
【0050】
アンテナ60及び制御部56はGPS受信装置としても機能し、GPS操作部52を介した操作に基づいて当該検査装置Aの位置情報が受信され、当該位置情報から管接合部の位置情報が生成されるように構成されている。
【0051】
また、受口側の管表面には管の種別等を記した管情報ラベルLが添付され(図11(a)参照)、管情報ラベルLに記された情報を上述の二次元コードリーダ54で読み取ることにより管の種別等の属性情報が制御部に取り込まれるように構成されている。本実施形態では管情報ラベルLに二次元コード情報であるQRコード(登録商標)が記されているが、管の属性情報を示すために用いるコード情報はQRコード(登録商標)に限るものではない。
【0052】
左右の収容部51,53は掌で把持可能なサイズに形成され、作業者が当該収容部51,53の外側を把持することにより検査装置Aを持ち運びできるように構成されている。つまり、左右の収容部51,53は検査装置Aを持ち運ぶための把持部として機能する。
【0053】
バッテリ40は、検査部10及び/または通信部50に電力を供給するために設けられ、連結部30のうち検査部側10に取り付けられている。検査部10が管布設溝内部に位置し通信部50が検査部10の上方に位置するように、把持部を把持しながら管検査装置Aの姿勢を調整する作業者にとって、重量のあるバッテリ40を検査部10側に配置して重心を下げることにより容易にバランスを取ることができるように構成されている。
【0054】
検査部10の上部には揺動機構20が設けられ、検査部10が連結部30であるシャフト31,32に対して横軸心P1周りに揺動可能に構成されている。
【0055】
管布設溝の外部である地上から作業者が管検査装置Aを操作して、管接合部を適正に検査できる位置に検査部10を位置決めする必要がある。そのような場合に、検査部10が揺動機構20を介して連結部30に連結されていれば、連結部30の姿勢を細かく調整しなくても容易く検査部10を適切な位置に配置することができるようになる。さらに、管接合部が管布設溝の深さ方向に傾斜している場合、検査部10は傾斜して検査を行うこととなるが、この様な場合でも、揺動機構20を有することで、連結部30の真上にGPS受信装置を配置することができるため、連結部の正しい位置情報を得ることが可能となる。
【0056】
また、揺動機構20には検査部10の揺動角度を固定するロック機構が組み込まれている。ロック機構によってシャフト31,32に対する検査部10の揺動角度が固定されるので、管接合部を適正に検査できる位置に検査部10を位置決めした後にその姿勢を保持することができ、その後の検査時に安定姿勢で正確な検査情報が得られるようになる。
【0057】
ロック機構として横軸心P1周りに一方向に所定角度ピッチで回動を許容するとともに、反対方向への回動を阻止するラチェット機構が好適に用いられる。一方向へ最大角度回動するとラチェット機構による係止状態が解除されるように構成されている。検査部10を管接合部に押し当てることによりシャフト31,32に対して検査部10が揺動し、その姿勢が保持される。
【0058】
図2(a),(b)、図3(a),(b),(c)及び図4(a),(b)に示すように、検査部10は、管敷設溝Dに敷設された管の接合部に管表面の一方向である上方から近接して当該管接合部を覆う金属製のカバー体11と、カバー体11の内部に取り付けられた検査具12,13を備えている。
【0059】
カバー体11の内部に検査具12,13を取り付けることで、管布設溝Dの汚れ等が検査具12,13に付着する事を防止し検査を適切に行うことができる。そのため、図2,3,4に示すように、カバー体11が管接合部の全体を覆うことが好ましいが、これに限られるものではなく、カバー体11は管接合部の一部を覆うものであってもよい。また、カバー体11は金属製に限られるものでは無く、樹脂製のものを用いてもよい。
【0060】
また、検査具12,13がカバー体11に取り付けられていることによって、検査具12,13を設置するための追加の部材が不要となり、部材の簡素化が可能となっている。
【0061】
カバー体11は一枚の上面及び4枚の側面で構成され底部が開口した略直方体形状に構成され、管の軸心方向に対向する一対の側面には、管との当接部となるアーチ状の凹部11A,11Bが形成されている。
【0062】
カバー体11を底部開口から管接合部に接近させて凹部12A,12Bを管に当接させることにより検査部10の管接合部に対する位置決めが行なわれる。プッシュオンタイプの管継手構造の管接合部では、管接合部で受口側の管の管径が挿口側の管の管径よりも大きくなる為、凹部11Aが挿口側の管表面に当接し、他方の凹部11Bが受口側の管表面に適切に当接するように、それぞれの凹部11A,11Bの横幅及び頂部曲線部の曲率が調整されている(図4(a),(b)参照)。
【0063】
カバー体11を管接合部に近接させて、凹部11A,11Bの頂部を管表面に当接させることにより検査可能な状態に位置決めされ、その状態でカバー体11の内部に取り付けられた検査具12により管接合部が検査される。
【0064】
当接部となる凹部11A,11Bが管表面に沿うように弧状に形成されていることにより、円筒形の管の中心と、凹部の中心がそろい易くなるため好ましいが、凹部の形状は弧状に形成されている必要は必ずしもなく、少なくともカバー体11と管接合部との相対的な位置関係が一定に維持されるような凹部であればよい。例えば少なくとも2点で管表面と当接する三角形状の凹部であってもよいし、2点以上の複数個所で管表面と当接する多角形状の凹部であってもよい。
【0065】
凹部11A,11Bが管表面に沿うようにカバー体11が位置決めされるので、当該凹部11A,11Bに対して検査具の相対位置を決めておくことにより、常に検査部10と管接合部との相対的な位置関係が定まった状態で管接合部を検査できるようになる。尚、管表面に沿うようにカバー体11が位置決めされるのであれば、カバー体11に当接部を設けることなくカバー体11とは別部材で当接部を構成してもよい。
【0066】
凹部11A,11Bのうち管表面との当接部に管表面に対する滑り止め部が設けられていると、管表面とカバー体11とが当接したときの滑りが回避されるので、検査具12,13を用いた検査作業中に位置ずれ等が生じることがなく、従って安定した状態で検査を遂行できる。滑り止め部を構成する素材としてゴム部材等を用いることができ、凹部11A,11Bの全域或いは少なくとも管との当接部にゴム部材を配置することが好ましい。
【0067】
検査具12はカバー体11の内壁側に固定され、管接合部の管軸に沿う方向に指向された3つの撮像装置で構成されている。3つの撮像装置12は管接合部の周囲を挿口側の管から受口側の管に向かって撮影するように約120°の中心角で均等に配置されている(図3(a),(b),(c)参照)。
【0068】
管接合部の周囲を他方の管の挿口側から一方の管の受口側に向かって撮影する撮像装置12により、受口と挿口の間に介装されたシール部材の状態が画像で取得され、当該画像情報により接合状態の良否が判定できるようになる。
【0069】
図9(d),(e)には、3台の撮像装置による撮影画像が示されている。それぞれの撮像装置12により正面視で管端部の約1/3の領域が撮影され、各画像を合成することにより管端部のほぼ全周の画像が得られる。それぞれ隣接する撮影範囲が一部重複するように画角が設定されていると、全領域を確実に評価できるようになるのでより好ましい。
【0070】
図9(d)はシール部材4が適正に装着された状態が示され、受口2Aの内周にヒール部4aが一様に撮影されている。図9(e)はシール部材4が不適正に装着された状態が示され、受口2Aの内周にヒール部4aのみならずマーカ部材4cに対応する画像が現れている。
【0071】
マーカ部材4cがシール部材4の色とは異なる着色部材で構成されているので、撮像装置12で撮影された画像に着色部材を示す画素領域が認められると、接合状態が不適正であると判断できる。
【0072】
さらにカバー体11が遮光性部材で構成され、カバー体11の内部に撮像装置12の視野方向に照明光を照射する3つの光源が設けられている。撮像装置12による撮影時に有害となる外部からの迷光がカバー体11により遮蔽され、しかも各光源により管接合部が適切に照明される安定した環境下で正確な検査情報が得られるようになる。また、カバー体11により撮像装置12等が保護されるため、雨天であっても電気的に短絡して故障するようなリスクが低減される。
【0073】
尚、撮像装置12の数は3台に限るものではなく、3台以上の複数台であってもよいし、1台の撮像装置を管外周に沿って移動させて撮像するような移動機構を設けてもよい。
【0074】
検査具12,13は撮像装置である必要はなく、管軸に沿う方向に指向された単一または複数のセンサで構成されていればよい。例えば、管接合部に検査用の光を放射し、管接合部からの反射光を検出する光センサで構成してもよい。例えば、マーカ部材4cが光反射部材で構成され、マーカ部材4c以外が光非反射部材で構成されたシール部材4を用いて、光センサによりマーカ部材4cからの反射光が検知されると接合不良であると判断できるように構成してもよい。
【0075】
上述した検査具12によって得られた検査情報である画像情報は通信部50に備えた制御部56に伝送され、表示部70に写真画像として表示される。表示部70に表示された写真画像を目視確認した作業者によって管継手部に異常がなく適切に接合されたか否かが確認可能に構成されている。
【0076】
管接合部に異常があると、再度接合作業が行なわれ、異常がなければ、表示部70に表示される送信ボタンの操作に従って、GPS受信装置で受信された位置情報から生成された当該管接合部の位置情報、二次元コードリーダ54で読み込まれた管の種別等の属性情報、及び検査具12で撮影された接合部の画像情報とが外部のデータ管理サーバに無線送信される。
【0077】
図4(a),(b)に示したカバー体11のサイズや凹部11A,11Bのサイズは検査対象となる管径に対応しているため、管径が大きく異なるとその管径に見合ったサイズのカバー体11を備えた検査部10に交換する必要がある。
【0078】
また、図6(a),(b)に示すような異形管に対応した検査部10に交換する必要もある。尚、異形管に対応した検査部10は一対の凹部11A,11Bの形状が等しい形状に構成されている。しかし、凹部の形状は、接合する管の組合せによっては、必ずしも両者が同じである必要はなく、適宜の形状としてもよい。
【0079】
そのため、図4(a),(c)に示すように、管検査装置Aは、検査部10と連結部30との間で着脱機構を介して着脱自在に連結されている。サイズが異なり或いは形状が異なる管接合部に応じて適切に検査できるように検査部10が複数準備されている場合に、着脱機構を介して連結部30から検査部10を離脱し、新たな検査部10を装着することで連結部30及び通信部50を共用可能に構成されている。
【0080】
揺動機構20の上部に備えた支軸21とシャフト31,32とを連結する筒状部材33とによって着脱機構が構成されている。筒状部材33の内側上部に形成された雌ネジ部とシャフト31,32の外側上部に形成された雄ネジ部とが螺合し、筒状部材33の下端部と支軸21に形成された係合突起とが係合することにより、支軸21とシャフト31,32とが連結され、螺合状態を解消することにより支軸21からシャフト31,32が離脱するように構成されている。
【0081】
さらに、検査部10と通信部50とを接続する信号線S及びバッテリからの給電線が連結部30であるシャフト31,32に内装され、相互に信号の授受が可能に構成されている。支軸21とシャフト31,32の双方の端部にそれら信号線S及び給電線を連結するコネクタCNが内装され、上述の着脱機構により支軸21からシャフト31,32が離脱する際にコネクタCNが外れるように構成されている。
【0082】
検査部10と通信部とを接続する信号線Sが連結部30に内装されていると、作業時に障害物等と接触した場合でも連結部30で信号線Sが保護されるので信号線Sが破断するような虞がなく、また美観も損なわれることもない。
【0083】
図7(a),(b),(c)には、平面視で管敷設溝Dに屈曲配置された異形管が示されている。当該異形管の継手構造は図11(b),(c)で説明したものと同じである。
【0084】
上方から管接合に向けて上方から検査部10を近接させて、カバー体11に形成した当接部を管表面に当接した状態で、カバー体11の内壁に固定された検査具13で管の接合状態が検査可能に構成されている。検査具13は管軸と交差する面上でカバー体11の上部から管接合部を指向するように管接合部の周方向に複数配置されている。上述と同様に検査具13は撮像装置で構成されている。
【0085】
図8(a),(b),(c)には、管敷設溝Dから一方の異形管が上方に立ち上がるような姿勢になるような管接合部を検査する例が示されている。当該異形管の継手構造も図11(b),(c)で説明したものと同じである。
【0086】
このような管接合部であっても、シャフト31,32を略鉛直姿勢に維持しつつ揺動機構20を介して検査部10を揺動させることにより、適切な姿勢で管接合部の接合状態を検査することができるようになる。
【0087】
図10(a),(b),(c)に示すように、撮像装置13によって押輪5に設けられた突起5Cと受口側のフランジ部2Dとの接触状態を示す画像が撮影される。撮像装置13は管接合部の管表面外側から周方向に沿って少なくとも180°の範囲で接触状態が検査されるように配置されている。管接合部の外周の半分つまり管軸心を中心に180°の範囲に存在する突起5C(図10(a)に示す押輪5の周部に施されたハッチング部位に突起が形成されている。)とフランジ部2Dとの接触状態によって管接合部の接合状態が適正であるか否かが判断される。
【0088】
図10(b)では、管軸心を中心に180°の範囲に存在する2か所の突起5C(図10(a)に示す押輪5の締付孔5Aの近傍のハッチング部位2か所にのみ突起が形成されている。)とフランジ部2Dとの接触状態が良好で、従って管接合部の接合状態が適正であると判断される。
【0089】
図10(c)では、管軸心を中心に180°の範囲に存在する2か所の突起5C(同じく、図10(a)に示す押輪5の締付孔5Aの近傍のハッチング部位2か所にのみ突起が形成されている。)とフランジ部2Dとの接触状態が一方は良好であるが、他方は接触していないため、管接合部の接合状態が不適正であると判断される。
【0090】
図10(d)では、管軸心を中心に180°の範囲に存在する3か所の突起5C(図10(a)に示す押輪5の締付孔5Aの近傍のハッチング部位2か所と、一対の締付孔5Aの間であって押輪5の外周側のハッチング部位2か所に形成され、検査具13によって3か所の突起5Cが確認可能になる。)とフランジ部2Dとの接触状態が良好で、従って管接合部の接合状態が適正であると判断される。接触状態の検査は、少なくとも2箇所が接触状態にあることを確認できればよいが、突起の大きさによっては3箇所以上の接触状態が確認できることが望ましい。
【0091】
上述した検査具13によって得られた検査情報である画像情報は通信部50に備えた制御部56に伝送され、表示部70に写真画像として表示される。表示部70に表示された写真画像を目視確認した作業者によって管継手部に異常がなく適切に接合されたか否かが確認可能に構成されている。
【0092】
管接合部に異常があると、再度接合作業が行なわれ、異常がなければ、表示部70に表示される送信ボタンの操作に従って、GPS受信装置で受信された位置情報から生成された当該管接合部の位置情報、二次元コードリーダ54で読み込まれた管の種別等の属性情報、及び検査具13で撮影された接合部の画像情報とが外部のデータ管理サーバに無線送信される。
【0093】
本実施形態では、押輪5に設けられた突起5Cと受口側のフランジ部2Dとの接触状態が確認される例を説明したが、受口側のフランジ部2Dに突起が形成され、当該突起と押輪5の対向面が接触するような構成が採用されていてもよい。何れの場合も撮像装置13によって当該突起の接触状態が画像で確認される。
【0094】
上述した実施形態では管軸心から左右斜め上方に一対の撮像装置13が配置された例を説明したが、撮像装置13の数及び配置はこのような例に限るものではない。例えば、管接合部の直上部、左右下部の3か所に夫々撮像装置13を備えて、管接合部の周囲から複数個所の突起5Cと受口側のフランジ部2Dの接触状態を撮影可能に構成してもよい。
【0095】
また、検査具13は突起5Cと受口側のフランジ部2Dの接触状態を撮影する撮像装置に限るものではなく、当該接触状態を検知可能な任意のセンサを採用することができる。
【0096】
以下、別実施形態を説明する。
図3(b)ではカバー体11の内部に視方向が異なる撮像装置12,13を備えた例を説明したが、管軸心に沿った方向に指向する撮像装置12のみ備えた構成であってもよい。
【0097】
また、管の外表面を指向する撮像装置13により管接合部が傾斜することなく直線状に接合されているか否かを確認するように構成してもよい。例えば、挿口側の管軸心に垂直な仮想平面と挿口側の外周面との交線に白線を塗装し、受口側の管端部と白線とが平行姿勢になっているか否かを画像で確認するように構成してもよい。平行であれば管接合部が傾斜することなく直線状に接合されていると判断できる。また、画像上で両者の傾斜角度を求めることにより管接合部の傾斜度合いが許容範囲であるか否かを判断できるようになる。そして、これらの情報をも通信部50から外部に送信することにより、さらに詳細な管理が可能になる。
【0098】
上述した実施形態では管検査装置Aを移動または運搬する場合に、左右の収容部51,53を把持して持ち上げる必要があるが、検査部10に着脱可能な車輪を設けて、移動時に路面を走行可能に構成してもよい。例えば揺動部20の揺動軸を延長して揺動軸に車輪を装着するように構成することができる。
【0099】
また、揺動部20の揺動軸が水平姿勢であるか否かを検知する水準器を設けて、当該水準器により揺動軸が水平姿勢であると検知された場合に撮像装置12,13による撮影動作を可能にし、揺動軸が傾斜姿勢である場合に撮像装置12,13による撮影動作を禁止する保護機構を備えてもよい。
【0100】
また、上述した実施形態では管継手構造として、プッシュオンタイプと、押輪を用いたメカニカルタイプの継手の形態を用いて説明したが、これらに限られるものではなく、フランジ同士が接合されるフランジ継手などであってもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では管検査装置として、管接合部の検査機能のみを有する構成を用いて説明したが、これに限られるものではなく、管継手の接合機能を備えた検査装置であってもよい。
【0102】
以上説明した管検査装置は本発明の一具体例に過ぎず、該記載により本発明の範囲が限定されるものではなく、管検査装置の各部の具体的な形状、サイズ、材料等は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0103】
2,3:管
10:検査部
11:カバー体
11A,11B:凹部
12,13:検査具(撮像装置)
20:揺動部
30:連結部
40:バッテリ
50:通信部
A:管検査装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12