特許第6498026号(P6498026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498026
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】発光材料、発光素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20190401BHJP
   C08G 75/20 20160101ALI20190401BHJP
   C08G 79/04 20060101ALI20190401BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   C09K11/06 680
   C08G75/20
   C08G79/04
   H05B33/14 B
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-96609(P2015-96609)
(22)【出願日】2015年5月11日
(65)【公開番号】特開2016-210910(P2016-210910A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000230593
【氏名又は名称】日本化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】木島 正志
(72)【発明者】
【氏名】耿 忠民
(72)【発明者】
【氏名】佐野 夏博
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−259678(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/064034(WO,A1)
【文献】 特開2001−181619(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/161437(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/073694(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/085982(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/06
C08G 75/20
C08G 79/04
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含み、
前記電子ドナー性単位はπ共役構造をなしており、前記高分子化合物は、下記一般式(10)で表わされることを特徴とする発光材料。
【化1】
(式中、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【請求項2】
電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含み、
前記電子ドナー性単位はπ共役構造をなしており、前記高分子化合物は、下記一般式(11)で表わされることを特徴とする発光材料。
【化2】
(式中、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【請求項3】
電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含み、
前記電子ドナー性単位はπ共役構造をなしており、前記高分子化合物は、下記一般式(12)で表わされることを特徴とする発光材料。
【化3】
(式中、Rは、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数1〜40のアルコキシ基、炭素原子数1〜40のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載の発光材料を含んでなることを特徴とする発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料およびこれを用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
π共役系高分子は、光・電子機能を有し、導電性材料、有機半導体材料、非線形光学材料、発光材料等のエレクトロニクス・オプトエレクトロニクスデバイス用材料等に応用されている。また、π共役系高分子は、柔軟性に優れ、溶液プロセスにより容易に薄膜を形成できることから、素子のフレキシブル化、大画面化等に有用である。
例えば、高分子系の有機ELにおける青色発光素子用材料としては、ポリフルオレンやポリカルバゾールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−339432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポリフルオレンやポリカルバゾールは、純青色発光が難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、純青色発光が可能な発光材料およびこれを用いた発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発光材料は、電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含み、前記電子ドナー性単位はπ共役構造をなしており、前記高分子化合物は、下記一般式(10)で表わされることを特徴とする。
【0007】
【化4】
(式中、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【0008】
本発明の発光材料は、電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含み、前記電子ドナー性単位はπ共役構造をなしており、前記高分子化合物は、下記一般式(11)で表わされることを特徴とする。
【0009】
【化5】
(式中、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【0010】
本発明の発光材料は、電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含み、前記電子ドナー性単位はπ共役構造をなしており、前記高分子化合物は、下記一般式(12)で表わされることを特徴とする。
【0011】
【化6】
(式中、Rは、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数1〜40のアルコキシ基、炭素原子数1〜40のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【0012】
本発明の発光素子は、本発明の発光材料を含んでなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、純青色発光が可能な発光材料およびこれを用いた発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例1において、高分子化合物の溶液および高分子化合物からなる薄膜の光の吸収スペクトルと高分子化合物の溶液および高分子化合物からなる薄膜の蛍光発光スペクトルを示す図である。
図2】実施例3において、高分子化合物の溶液および高分子化合物からなる薄膜の光の吸収スペクトルと高分子化合物の溶液および高分子化合物からなる薄膜の蛍光発光スペクトルとを示す図である。
図3】実施例4において、高分子化合物の溶液および高分子化合物からなる薄膜の光の吸収スペクトルと高分子化合物の溶液および高分子化合物からなる薄膜の蛍光発光スペクトルとを示す図である。
図4】実施例5において、高分子化合物の溶液および高分子化合物からなる薄膜の光の吸収スペクトルと高分子化合物の溶液および高分子化合物からなる薄膜の蛍光発光スペクトルとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の発光材料、発光素子の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0029】
[発光材料]
本実施形態の発光材料は、電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含む。本実施形態の発光材料において、電子ドナー性単位はπ共役構造をなしている。
高分子化合物は、下記一般式(1)で表わされる。
【0030】
【化13】
(式中、A、Aは、電子ドナー性単位、Bは、電子アクセプター性単位を表わす。A、Aは同一であっても、異なっていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【0031】
電子ドナー性単位は、下記式(2)〜(5)で表わされることが好ましい。
【0032】
【化14】
【0033】
【化15】
(式中、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のチオアルキル基、ハロゲン原子またはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。)
【0034】
【化16】
(式中、Rは、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数1〜40のアルコキシ基、炭素原子数1〜40のチオアルキル基、ハロゲン原子またはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。)
【0035】
【化17】
(式中、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のチオアルキル基、ハロゲン原子またはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。)
【0036】
のアルキル基としては、直鎖または分岐状のアルキル基のいずれでもよい。具体的には、Rのアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘネイコシル、n−ドコシル、n−トリコシル、n−テトラコシル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、1−エチルプロピル、1−(n−プロピル)プロピル、1−メチルブチル、1−エチルブチル、1−プロピルブチル、1−(n−ブチル)ブチル、1−メチルペンチル、1−エチルペンチル、1−(n−プロピル)ペンチル、1−(n−ペンチル)ペンチル、1−メチルヘキシル、1−エチルヘキシル、1−(n−プロピル)ヘキシル、1−(n−ブチル)ヘキシル、1−(n−ペンチル)ヘキシル、1−(n−ヘキシル)ヘキシル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘプチル、1−(n−プロピル)ヘプチル、1−(n−ブチル)ヘプチル、1−(n−ペンチル)ヘプチル、1−(n−ヘプチル)ヘプチル、1−メチルオクチル、1−エチルオクチル、1−(n−プロピル)オクチル、1−(n−ブチル)オクチル、1−(n−ペンチル)オクチル、1−(n−ヘキシル)オクチル、1−(n−ヘプチル)オクチル、1−(n−オクチル)オクチル、1− オクチルノニル、1−エチルノニル、1−(n−プロピル)ノニル、1−(n−ブチル)ノニル、1−(n−ペンチル)ノニル、1−(n−ヘキシル)ノニル、1−(n−ヘプチル)ノニル、1−(n−オクチル)ノニル、1−(n−ノニル)ノニル、1−メチルデシル、2−メチルブチル、2−エチルブチル、2−(n−プロピル)ペンチル、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−(n−プロピル)ヘキシル、2−(n−ブチル)ヘキシル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−(n−プロピル)ヘキシル、2−(n−ブチル)ヘプチル、2−(n−ペンチル)ヘプチル、2−メチルオクチル、2−エチルオクチル、2−(n−プロピル)オクチル、2−(n−ブチル)オクチル、2−(n−ペンチル)オクチル、2−(n−ヘキシル)オクチル、2−メチルノニル、2−エチルノニル、2−(n−プロピル)ノニル、2−(n−ブチル)ノニル、2−(n−ペンチル)ノニル、2−(n−ヘキシル)ノニル、2−(n−ヘプチル)ノニル、2−(n−ヘプチル)デシル、2−(n−ヘプチル)ウンデシル、2−(n−ヘプチル)ドデシル、2−メチルデシル、2,3−ジメチルブチル、2,3,3−トリメチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルペンチル、3―エチルペンチル、4−メチルペンチル、4−エチルヘキシル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2,3,3,4−テトラメチルペンチル、3−メチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、3−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、4−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、3,7−ジメチルオクチル、6−メチルオクチル等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、1− オクチルノニル基、2−エチルヘキシル基、2−(n−ヘプチル)ウンデシル基等が好ましい。
【0037】
のアルコキシ基としては、直鎖または分岐状のアルコキシ基のいずれでもよい。具体的には、Rのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−(n−ヘプチル)ウンデシルオキシ基等が挙げられる。
【0038】
のアルキル基またはRのアルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子と置換可能なハロゲン原子としては、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等が挙げられる。
のアルキル基またはRのアルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子と置換可能なフェニル基は、1つまたは2つ以上の水素原子が、直鎖または分岐状のアルキル基と置換されていてもよく、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等のハロゲン原子と置換されていてもよい。
【0039】
のハロゲンとしては、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等が挙げられる。
【0040】
のアリール基としては、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するナフチル基、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するヘテロ環基が挙げられる。
【0041】
上記一般式(3)において、Rは、オクチルが好ましい。
【0042】
のアルキル基としては、直鎖または分岐状のアルキル基のいずれでもよい。具体的には、Rのアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘネイコシル、n−ドコシル、n−トリコシル、n−テトラコシル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、1−エチルプロピル、1−(n−プロピル)プロピル、1−メチルブチル、1−エチルブチル、1−プロピルブチル、1−(n−ブチル)ブチル、1−メチルペンチル、1−エチルペンチル、1−(n−プロピル)ペンチル、1−(n−ペンチル)ペンチル、1−メチルヘキシル、1−エチルヘキシル、1−(n−プロピル)ヘキシル、1−(n−ブチル)ヘキシル、1−(n−ペンチル)ヘキシル、1−(n−ヘキシル)ヘキシル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘプチル、1−(n−プロピル)ヘプチル、1−(n−ブチル)ヘプチル、1−(n−ペンチル)ヘプチル、1−(n−ヘプチル)ヘプチル、1−メチルオクチル、1−エチルオクチル、1−(n−プロピル)オクチル、1−(n−ブチル)オクチル、1−(n−ペンチル)オクチル、1−(n−ヘキシル)オクチル、1−(n−ヘプチル)オクチル、1−(n−オクチル)オクチル、1− オクチルノニル、1−エチルノニル、1−(n−プロピル)ノニル、1−(n−ブチル)ノニル、1−(n−ペンチル)ノニル、1−(n−ヘキシル)ノニル、1−(n−ヘプチル)ノニル、1−(n−オクチル)ノニル、1−(n−ノニル)ノニル、1−メチルデシル、2−メチルブチル、2−エチルブチル、2−(n−プロピル)ペンチル、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−(n−プロピル)ヘキシル、2−(n−ブチル)ヘキシル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−(n−プロピル)ヘキシル、2−(n−ブチル)ヘプチル、2−(n−ペンチル)ヘプチル、2−メチルオクチル、2−エチルオクチル、2−(n−プロピル)オクチル、2−(n−ブチル)オクチル、2−(n−ペンチル)オクチル、2−(n−ヘキシル)オクチル、2−メチルノニル、2−エチルノニル、2−(n−プロピル)ノニル、2−(n−ブチル)ノニル、2−(n−ペンチル)ノニル、2−(n−ヘキシル)ノニル、2−(n−ヘプチル)ノニル、2−(n−ヘプチル)デシル、2−(n−ヘプチル)ウンデシル、2−(n−ヘプチル)ドデシル、2−メチルデシル、2,3−ジメチルブチル、2,3,3−トリメチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルペンチル、3―エチルペンチル、4−メチルペンチル、4−エチルヘキシル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2,3,3,4−テトラメチルペンチル、3−メチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、3−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、4−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、3,7−ジメチルオクチル、6−メチルオクチル等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、1− オクチルノニル基、2−エチルヘキシル基、2−(n−ヘプチル)ウンデシル基等が好ましい。
【0043】
のアルコキシ基としては、直鎖または分岐状のアルコキシ基のいずれでもよい。具体的には、Rのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−(n−ヘプチル)ウンデシルオキシ基等が挙げられる。
【0044】
のアルキル基またはRのアルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子と置換可能なハロゲン原子としては、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等が挙げられる。
のアルキル基またはRのアルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子と置換可能なフェニル基は、1つまたは2つ以上の水素原子が、直鎖または分岐状のアルキル基と置換されていてもよく、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等のハロゲン原子と置換されていてもよい。
【0045】
のハロゲンとしては、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等が挙げられる。
【0046】
のアリール基としては、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するナフチル基、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するヘテロ環基が挙げられる。
【0047】
上記一般式(4)において、Rは、2−(n−ヘプチル)ウンデシルが好ましい。
【0048】
のアルキル基としては、直鎖または分岐状のアルキル基のいずれでもよい。具体的には、Rのアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘネイコシル、n−ドコシル、n−トリコシル、n−テトラコシル、1−メチルエチル、1−メチルプロピル、1−エチルプロピル、1−(n−プロピル)プロピル、1−メチルブチル、1−エチルブチル、1−プロピルブチル、1−(n−ブチル)ブチル、1−メチルペンチル、1−エチルペンチル、1−(n−プロピル)ペンチル、1−(n−ペンチル)ペンチル、1−メチルヘキシル、1−エチルヘキシル、1−(n−プロピル)ヘキシル、1−(n−ブチル)ヘキシル、1−(n−ペンチル)ヘキシル、1−(n−ヘキシル)ヘキシル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘプチル、1−(n−プロピル)ヘプチル、1−(n−ブチル)ヘプチル、1−(n−ペンチル)ヘプチル、1−(n−ヘプチル)ヘプチル、1−メチルオクチル、1−エチルオクチル、1−(n−プロピル)オクチル、1−(n−ブチル)オクチル、1−(n−ペンチル)オクチル、1−(n−ヘキシル)オクチル、1−(n−ヘプチル)オクチル、1−(n−オクチル)オクチル、1− オクチルノニル、1−エチルノニル、1−(n−プロピル)ノニル、1−(n−ブチル)ノニル、1−(n−ペンチル)ノニル、1−(n−ヘキシル)ノニル、1−(n−ヘプチル)ノニル、1−(n−オクチル)ノニル、1−(n−ノニル)ノニル、1−メチルデシル、2−メチルブチル、2−エチルブチル、2−(n−プロピル)ペンチル、2−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、2−(n−プロピル)ヘキシル、2−(n−ブチル)ヘキシル、2−メチルヘプチル、2−エチルヘプチル、2−(n−プロピル)ヘキシル、2−(n−ブチル)ヘプチル、2−(n−ペンチル)ヘプチル、2−メチルオクチル、2−エチルオクチル、2−(n−プロピル)オクチル、2−(n−ブチル)オクチル、2−(n−ペンチル)オクチル、2−(n−ヘキシル)オクチル、2−メチルノニル、2−エチルノニル、2−(n−プロピル)ノニル、2−(n−ブチル)ノニル、2−(n−ペンチル)ノニル、2−(n−ヘキシル)ノニル、2−(n−ヘプチル)ノニル、2−(n−ヘプチル)デシル、2−(n−ヘプチル)ウンデシル、2−(n−ヘプチル)ドデシル、2−メチルデシル、2,3−ジメチルブチル、2,3,3−トリメチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルペンチル、3―エチルペンチル、4−メチルペンチル、4−エチルヘキシル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,4,4−トリメチルペンチル、2,3,3,4−テトラメチルペンチル、3−メチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、3−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、4−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、3,7−ジメチルオクチル、6−メチルオクチル等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、1− オクチルノニル基、2−エチルヘキシル基、2−(n−ヘプチル)ウンデシル基等が好ましい。
【0049】
のアルコキシ基としては、直鎖または分岐状のアルコキシ基のいずれでもよい。具体的には、Rのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−(n−ヘプチル)ウンデシルオキシ基等が挙げられる。
【0050】
のアルキル基またはRのアルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子と置換可能なハロゲン原子としては、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等が挙げられる。
のアルキル基またはRのアルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子と置換可能なフェニル基は、1つまたは2つ以上の水素原子が、直鎖または分岐状のアルキル基と置換されていてもよく、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等のハロゲン原子と置換されていてもよい。
【0051】
のハロゲンとしては、ヨウ素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、フッ素(F)等が挙げられる。
【0052】
のアリール基としては、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するナフチル基、0または1つ以上のアルキル基またはアルコキシ基を有するヘテロ環基が挙げられる。
【0053】
上記一般式(5)において、Rは、1−(n−デシル)ウンデシルが好ましい。
【0054】
電子アクセプター性単位は、下記式(6)〜(9)で表わされることが好ましい。
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
としては、水素原子、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数1〜40のアルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基等が挙げられる。
【0058】
【化20】
【0059】
としては、水素原子、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数1〜40のアルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基等が挙げられる。
【0060】
【化21】
【0061】
としては、水素原子、炭素原子数1〜40のアルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0062】
上記一般式(1)で表される高分子化合物は、ポリマーまたはオリゴマーのいずれであってもよい。
【0063】
上記一般式(1)で表される高分子化合物は、数平均分子量が1,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましい。数平均分子量が5,000〜200,000の範囲内であることがより好ましく、10,000〜100,000の範囲内であることがさらに好ましい。すなわち、上記一般式(1)で表される高分子化合物は、ポリマーまたはオリゴマーである。
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
GPCの測定条件は、以下の通りである。
カラム:昭和電工社製、溶離液:クロロホルム系溶剤(商品名:ナラカイ)
上記一般式(1)で表される高分子化合物の数平均分子量が100,000を超えると、溶媒への溶解性が低下する場合がある。一方、上記一般式(1)で表される高分子化合物の数平均分子量が5,000未満では、スピンコートでポリマー薄膜素子の作製時におけるポリマー薄膜の成膜性がよくなく、均一な薄膜を作製することが難しくなる。
【0064】
高分子化合物としては、具体的に、下記一般式(10)で表わされるものが挙げられる。
【0065】
【化22】
(式中、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【0066】
上記一般式(10)において、Rは、上記のRと同様である。
上記一般式(10)において、Rは、オクチルが好ましい。
上記一般式(10)において、nは、10〜500であることが好ましい。
【0067】
高分子化合物は、具体的に、下記一般式(11)で表わされるものが挙げられる。
【0068】
【化23】
(式中、Rは、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、炭素原子数1〜20のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【0069】
上記一般式(11)において、Rは、上記のRと同様である。
上記一般式(11)において、Rは、オクチルが好ましい。
上記一般式(11)において、nは、10〜500であることが好ましい。
【0070】
高分子化合物は、具体的に、下記一般式(12)で表わされるものが挙げられる。
【0071】
【化24】
(式中、Rは、炭素原子数1〜40のアルキル基、炭素原子数1〜40のアルコキシ基、炭素原子数1〜40のチオアルキル基、ハロゲンまたはアリール基を表わす。前記アルキル基、前記アルコキシ基中の1つまたは2つ以上の水素原子は任意にハロゲン原子、フェニル基に置換されていてもよい。nは、1〜5000を表わす。)
【0072】
上記一般式(12)において、Rは、上記のRと同様である。
上記一般式(12)において、Rは、2−(n−ヘプチル)ウンデシルが好ましい。
上記一般式(12)において、nは、10〜500であることが好ましい。
【0073】
本実施形態の発光材料は、上述の高分子化合物以外にも、その発光を損なわない範囲で、蛍光体(蛍光色素)を含んでいてもよい。
蛍光色素としては、[2−[(E)−4−(ジメチルアミノ)スチリル]−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン]マロノニトリル(DCM)、ルブレン、ジメチルキナクリドン、クマリンジメチルキナクリドン、Alq、ペリレン系色素等が挙げられる。
【0074】
本実施形態の発光材料は、電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含み、電子ドナー性単位はπ共役構造をなしているため、量子効率に優れ、純青色発光が可能となる。また、本実施形態の発光材料は、電子ドナー性単位の構造から推定される発光波長とほぼ同等の波長の光を発光することができる。また、本実施形態の発光材料は、上記のような構造を有しているから、EL発光や電気化学的発光をすると考えられる。
【0075】
[発光素子]
本実施形態の発光素子は、本実施形態の発光材料を含んでなる。具体的には、本実施形態の発光素子は、例えば、溶媒に本実施形態の発光材料を溶解して、発光材料の溶液を調製し、その溶液を各種の基材上に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥することにより得られる。
【0076】
基材としては、例えば、ガラス、セラミックス、シリコン、シリコンカーバイド、カーボン、樹脂等からなるものが挙げられる。
【0077】
発光材料を溶解する溶媒としは、例えば、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0078】
本実施形態の発光素子は、本実施形態の発光材料を含んでなるので、有機ELの発光材料、有機薄膜太陽電池の活性材料として好適に用いられる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0080】
[実施例1]
「高分子化合物の合成」
下記反応式(13)に従って、化合物(1−C)を合成した。次に、下記反応式(14)に従って、この化合物(1−C)から高分子化合物(1−D)を合成した。
【0081】
【化25】
【0082】
【化26】
【0083】
7−ブロモ−9,9−ビス(2−エチルヘキシル)−9H−フルオレン−2−イルボリック酸エステル(1−A)0.519mgと、ジ(4−ブロモフェニル)スルホン(1−B)0.141gと、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)を、トルエン2.5mL、エタノール1mLおよび2mol/Lの炭酸ナトリウム(NaCO)水溶液1.5mLの混合溶液に添加し、懸濁液を調製した。
次いで、窒素雰囲気下、この懸濁液を90℃にて24時間撹拌して、溶液(a−1)を調製した。
次いで、この溶液(a−1)の温度を室温まで下げた後、溶液(a−1)にジクロロメタンを加えて、有機層をジエチルエーテルで抽出した。
次いで、抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄し、さらに、無水硫酸ナトリウムで乾燥させてから溶媒を留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物(1−C)を得た。収量0.318g(収率79.5%)。
【0084】
窒素雰囲気下、ニッケル錯体(Ni(cod))の溶液0.165gと、2,2’−ビピリジン0.105gと、1,5−シクロオクタジエン0.15gとを、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)2mLに溶解し、80℃にて30分間撹拌して、溶液(b−1)を調製した。
化合物(1−C)0.318gを、テトラヒドロフラン(THF)2mLに溶解した溶液(c−1)を、溶液(b−1)に添加し、80℃で72時間攪拌し、溶液(d−1)を調製した。
この溶液(d−1)の温度を室温まで下げた後、得られた高分子化合物(1−D)を、メタノールと塩酸の混合溶液から沈殿させ、メタノールとアンモニアの混合溶液から再沈殿させ、高分子化合物(1−D)を得た。収量0.227g(収率83%)。
【0085】
「評価」
得られた高分子化合物(1−D)を、クロロホルムに溶解して、高分子化合物(1−D)の溶液(i−1)を調製した。この溶液(i−1)について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この溶液(i−1)について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
また、石英ガラス基板上に、溶液(i−1)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を25℃で1時間乾燥して、石英ガラス基板上に高分子化合物(1−D)からなる薄膜を形成した。この薄膜について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この薄膜について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
以上の結果を図1に示す。
図1の結果から、高分子化合物(1−D)の溶液(i−1)の光の吸収ピークは365nm、高分子化合物(1−D)からなる薄膜の光の吸収ピークは368nmであり、高分子化合物(1−D)の溶液(i−1)と高分子化合物(1−D)からなる薄膜の光の吸収特性にはほとんど差異がないことが分かった。
また、高分子化合物(1−D)の溶液(i−1)の蛍光発光ピークは415nm、高分子化合物(1−D)からなる薄膜の蛍光発光ピークは420nmであり、高分子化合物(1−D)の溶液(i−1)と高分子化合物(1−D)からなる薄膜の蛍光発光特性にはほとんど差異がないことが分かった。
【0086】
[実施例2]
「高分子化合物の合成」
下記反応式(15)に従って、化合物(2−B)を合成した。次に、下記反応式(16)に従って、この化合物(2−B)から高分子化合物(2−D)を合成した。
【0087】
【化27】
【0088】
【化28】
【0089】
アルゴンガス雰囲気下、よく乾燥した50mLのフラスコ中に、アルキル化したジブロモカルバゾール(2−A)を加え、乾燥したTHF(25mL)に溶解し、−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)3.1mL(4.0mmol)を滴下して加えた。
反応物を、−78℃で1時間反応させ、その溶液に、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン1.2mL(5.6mmol)を素早く加えた。
さらに、−78℃で1時間反応させた後、反応液を室温まで放置してそのまま16時間反応させた。
反応混合物を水に加え、ジクロロメタンで3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒をエバポレーターで蒸発させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(2−B)を得た。収量0.72g(収率65%)。
化合物(2−B)0.346g(0.516mmol)と、 化合物(2−C)0.194g(0.516mmol)とを、トルエン4.2mLに溶解し、KCO水溶液(2M、1.2mL)を加え分散させた。
その混合液をアルゴンで2回脱気した後、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)30mgを加えた。
その後、アルゴン雰囲気下、その混合液を攪拌しながら3日間還流下で反応させ、室温に放置した。
得られた高分子化合物をメタノール/塩酸中に加え、沈殿させた。さらに、少量のクロロホルムを加えて、沈殿した高分子化合物を溶解し、メタノール/アンモニア水混合溶液、さらに、同様にしてアセトンから再沈殿を行い、精製した。
沈殿生成物を、ろ過により集め、真空乾燥し、高分子化合物(2−D)を得た。収量0.228g(収率70%)。
【0090】
「評価」
得られた高分子化合物(2−D)を、クロロホルムに溶解して、高分子化合物(2−D)の溶液(j−1)を調製した。この溶液(j−1)について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この溶液(j−1)について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
また、石英ガラス基板上に、溶液(j−1)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を25℃で1時間乾燥して、石英ガラス基板上に高分子化合物(2−D)からなる薄膜を形成した。この薄膜について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この薄膜について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
高分子化合物(2−D)の溶液(j−1)の光の吸収ピークは272nm、348nm、高分子化合物(2−D)からなる薄膜の光の吸収ピークは270nm、351nmであり、高分子化合物(2−D)の溶液(j−1)と高分子化合物(2−D)からなる薄膜の光の吸収特性にはほとんど差異がないことが分かった。
また、高分子化合物(2−D)の溶液(j−1)の蛍光発光ピークは434nm、高分子化合物(2−D)からなる薄膜の蛍光発光ピークは446nmであり、高分子化合物(2−D)の溶液(j−1)と高分子化合物(2−D)からなる薄膜の蛍光発光特性にはほとんど差異がないことが分かった。
【0091】
[実施例3]
「高分子化合物の合成」
下記反応式(17)に従って、化合物(3−B)を合成した。次に、下記反応式(18)に従って、この化合物(3−B)から高分子化合物(3−D)を合成した。
【0092】
【化29】
【0093】
【化30】
【0094】
1,4−ジブロモベンゼン(3−A)3.54g(15mmol)の無水THF(120mL)溶液に、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)9mL(15mmol)を−78℃で滴下して2時間反応させた後、 ジクロロフェニルホスフィン1mL(7.4mmol)を加えた。
−78℃で1時間反応させた後、反応液を室温まで放置してそのまま15時間反応させた。
反応後、反応混合物にメタノール5mLを加え、反応停止させた。
その反応混合物に水を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
溶媒を完全に蒸発させた後、30%過酸化水素30mLとCHCl60mLを加え、室温で15時間反応させた。有機層を、分液ロートを用いて水、飽和食塩水で洗浄した後、乾燥した。
カラムクロマトグラフィーで精製して、化合物(ビス(ブロモフェニル)フェニルホスフィンオキシド)(3−B)を得た。収量2.50g(収率77%)。
化合物(3−B)0.218g(0.5mmol)と、 化合物(3−C)0.265g(0.5mmol)とを、トルエン4.2mLに溶解し、KCO水溶液(2M、1.2mL)を加え分散させた。
その混合液をアルゴンで2回脱気した後、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)28.8mgを加えた。
その後、その混合液を室温に放置した。
得られた高分子化合物をメタノール/塩酸中に加え、沈殿させた。さらに、アセトンを加えて、沈殿した高分子化合物を溶解し、アセトンから再沈殿させた。その後、得られた高分子化合物をクロロホルムに溶解して濃縮した後、メタノール中に加えて沈殿させて精製した。
沈殿生成物を、ろ過により集め、真空乾燥し、高分子化合物(3−D)を得た。収量0.258g(収率79%)。
【0095】
「評価」
得られた高分子化合物(3−D)を、クロロホルムに溶解して、高分子化合物(3−D)の溶液(k−1)を調製した。この溶液(k−1)について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この溶液(k−1)について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
また、石英ガラス基板上に、溶液(k−1)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を25℃で1時間乾燥して、石英ガラス基板上に高分子化合物(3−D)からなる薄膜を形成した。この薄膜について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この薄膜について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
以上の結果を図2に示す。
高分子化合物(3−D)の溶液(k−1)の光の吸収ピークは339nm、高分子化合物(3−D)からなる薄膜の光の吸収ピークは344nmであり、高分子化合物(3−D)の溶液(k−1)と高分子化合物(3−D)からなる薄膜の光の吸収特性にはほとんど差異がないことが分かった。
また、高分子化合物(3−D)の溶液(k−1)の蛍光発光ピークは380nm、高分子化合物(3−D)からなる薄膜の蛍光発光ピークは404nmであり、高分子化合物(3−D)の溶液(k−1)と高分子化合物(3−D)からなる薄膜の蛍光発光特性にはほとんど差異がないことが分かった。
【0096】
[実施例4]
「高分子化合物の合成」
下記反応式(19)に従って、化合物(4−B)を合成した。次に、下記反応式(20)に従って、この化合物(4−B)から高分子化合物(4−D)を合成した。
【0097】
【化31】
【0098】
【化32】
【0099】
加熱して乾燥した50mLのフラスコ中に、N位をアルキル化したカルバゾール(4−A)1g(1.56mmol)を加え、乾燥THF(41mL)に溶解し、−78℃に冷却した後、n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)2mL(3.12mmol)を滴下して加えた。
反応物を、−78℃で1時間反応させ、その溶液に、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボラン1.02mL(4.2mmol)を素早く加えた。
さらに、−78℃で1時間反応させた後、反応液を室温まで放置してそのまま16時間反応させた。
反応混合物を水に加え、ジクロロメタンで3回抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
溶媒を除き、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物(4−B)を得た。収量0.588g(収率55%)。
化合物(4−B)0.2g(0.27mmol)と、 化合物(4−C)0.102g(0.27mmol)とを、トルエン2.5mLに溶解し、KCO水溶液(2M、0.7mL)を加え分散させた。
その混合液をアルゴンで2回脱気した後、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)16mgを加えた。
その後、アルゴン雰囲気下、その混合液を攪拌しながら3日間還流下で反応させ、室温に放置した。
得られた高分子化合物をメタノール/塩酸中に加え、沈殿させた。さらに、アセトンを加えて、沈殿した高分子化合物を溶解し、アセトンから再沈殿させた。その後、得られた高分子化合物をクロロホルムに溶解して濃縮した後、メタノール中に加えて沈殿させて精製した。
沈殿生成物を、ろ過により集め、真空乾燥し、高分子化合物(4−D)を得た。収量0.148g(収率78%)。
【0100】
「評価」
得られた高分子化合物(4−D)を、クロロホルムに溶解して、高分子化合物(4−D)の溶液(l−1)を調製した。この溶液(l−1)について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この溶液(l−1)について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
また、石英ガラス基板上に、溶液(l−1)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を25℃で1時間乾燥して、石英ガラス基板上に高分子化合物(4−D)からなる薄膜を形成した。この薄膜について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この薄膜について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
以上の結果を図3に示す。
高分子化合物(4−D)の溶液(l−1)の光の吸収ピークは325nm、高分子化合物(4−D)からなる薄膜の光の吸収ピークは326nmであり、高分子化合物(4−D)の溶液(l−1)と高分子化合物(4−D)からなる薄膜の光の吸収特性にはほとんど差異がないことが分かった。
また、高分子化合物(4−D)の溶液(l−1)の蛍光発光ピークは447nm、高分子化合物(4−D)からなる薄膜の蛍光発光ピークは449nmであり、高分子化合物(4−D)の溶液(l−1)と高分子化合物(4−D)からなる薄膜の蛍光発光特性にはほとんど差異がないことが分かった。
【0101】
[実施例5]
「高分子化合物の合成」
上記反応式(19)に従って、化合物(4−B)を合成した。次に、下記反応式(21)に従って、この化合物(4−B)から高分子化合物(5−D)を合成した。
【0102】
【化33】
【0103】
化合物(4−B)0.2g(0.27mmol)と、 化合物(5−C)0.118g(0.27mmol)とを、トルエン2.5mLに溶解し、KCO水溶液(2M、0.7mL)を加え分散させた。
その混合液をアルゴンで2回脱気した後、触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh)16mgを加えた。
その後、アルゴン雰囲気下、その混合液を攪拌しながら3日間還流下で反応させ、室温に放置した。
得られた高分子化合物をメタノール/塩酸中に加え、沈殿させた。さらに、アセトンを加えて、沈殿した高分子化合物を溶解し、アセトンから再沈殿させた。その後、得られた高分子化合物をクロロホルムに溶解して濃縮した後、メタノール中に加えて沈殿させて精製した。
沈殿生成物を、ろ過により集め、真空乾燥し、高分子化合物(5−D)を得た。収量0.148g(収率78%)。
【0104】
「評価」
得られた高分子化合物(5−D)を、クロロホルムに溶解して、高分子化合物(5−D)の溶液(m−1)を調製した。この溶液(m−1)について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この溶液(m−1)について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
また、石英ガラス基板上に、溶液(m−1)を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を25℃で1時間乾燥して、石英ガラス基板上に高分子化合物(5−D)からなる薄膜を形成した。この薄膜について、Shimadzu UV−1800 Spectrophotometerにより、光の吸収スペクトルを測定した。
また、この薄膜について、日立ハイテクノロジーズ社製の分光蛍光光度計 F−4500により、蛍光発光スペクトルを測定した。
以上の結果を図4に示す。
高分子化合物(5−D)の溶液(m−1)の光の吸収ピークは318nm、高分子化合物(5−D)からなる薄膜の光の吸収ピークは320nmであり、高分子化合物(5−D)の溶液(m−1)と高分子化合物(5−D)からなる薄膜の光の吸収特性にはほとんど差異がないことが分かった。
また、高分子化合物(5−D)の溶液(m−1)の蛍光発光ピークは437nm、高分子化合物(5−D)からなる薄膜の蛍光発光ピークは439nmであり、高分子化合物(5−D)の溶液(m−1)と高分子化合物(5−D)からなる薄膜の蛍光発光特性にはほとんど差異がないことが分かった。
【0105】
以上の結果から、高分子化合物(1−D)〜(5−D)は、波長310nm〜450nmの光、すなわち、青色領域の光を発光することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の発光材料は、電子ドナー性単位が電子アクセプター性単位を介して結合してなる高分子化合物を含み、電子ドナー性単位はπ共役構造をなしているため、量子効率に優れ、純青色発光が可能となるから、例えば、有機ELの発光材料等に適用することができる。
図1
図2
図3
図4