(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、乗員の利便性を向上するために、飲料容器やスマートフォンなどを保持するホルダや芳香剤などの別部材を風向調整装置に着脱することがある。上述のような風向調整装置にこれらのホルダや芳香剤を適用する場合、ホルダや芳香剤などに突設した係止部を風下側から挿入して横ルーバに係合するときに、この係止部が操作ノブの風上側の部材に当接し、さらにこの部材を風下側の部材から離反する風上側へと押し込んで操作ノブを分解させてしまわないようにするために、例えば係止部の爪の大きさを大きくしたり、爪の数を増加させたり、風上側の部材と風下側の部材との係止を接着などにより補強したりする必要がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、別部材を風下側から挿入する際の操作部の破損を抑制できる風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の風向調整装置は、内側を通風路としたケース体と、このケース体に回動可能に軸支され、前記通風路を通過する空気の流れと交差する第1の所定方向に沿って配置されるとともに、前記通風路を通過する空気の流れを制御する第1のフィンと、この第1のフィンに対して前記通風路の風下側にて前記通風路を通過する空気の流れ及び前記第1の所定方向と交差する第2の所定方向に沿って配置され、前記通風路を通過する空気の流れを制御する第2のフィンと、この第2のフィンに沿って前記第2の所定方向に移動可能に取り付けられ、前記第1のフィンと連結されて前記第2の所定方向への移動により前記第1のフィンの回動角度を操作する操作部とを具備し、前記操作部は、前記第2のフィンに対して風上側に配置される第1の部材と、前記第2のフィンに対して風下側に配置され、前記第1の部材に対して係止される第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との少なくともいずれかに設けられ、風下側から進入する別部材を、この別部材が前記第1の部材を風上側に押圧する力を低減する方向へと導くガイド部とを備え
、前記ガイド部は、風下側から風上側へと前記第2の所定方向に拡開状に形成されているものである。
【0008】
請求項2記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、第1のフィンは、風下側に第1の連結部を備え、第1の部材は、前記第1の連結部に対して連結される第2の連結部を風上側に備え、第2のフィンは、第1のフィンの回動方向と交差する方向に回動可能にケース体に軸支されているものである。
【0009】
請求項
3記載の風向調整装置は、請求項1
または2記載の風向調整装置において、ガイド部は、風下側から風上側へと第2のフィンに対して第1の所定方向への突出量が増加するように形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の風向調整装置によれば、操作部を構成する第1の部材と第2の部材との少なくともいずれかに設けたガイド部
を風下側から風上側へと第2の所定方向に拡開状に形成することにより、風下側から進入する別部材を、この別部材が第1の部材を風上側に押圧する力を低減する方向へと導くので、別部材を取り付けるときなどこの別部材を風下側から挿入する際に第1の部材と第2の部材との係止がこの別部材からの押圧力によって外れにく
いとともに、ガイド部によって風下から挿入した別部材を第2の所定方向へと導くことができ、別部材が第1の部材を風上側に押圧する力をより確実に低減でき、操作部の破損を抑制できる。
【0011】
請求項2記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加え、第2のフィンを第1のフィンの回動方向と交差する方向に回動可能とするために、第1のフィンの第1の連結部と連結される第1の部材の第2の連結部を、この第2のフィンの回動方向に突出させる必要がある構成であっても、別部材を風下側から挿入する際にこの別部材が第2の連結部を介して第1の部材を風上側に押圧する力をガイド部によって低減できるので、第1の部材と第2の部材との係止がこの別部材からの押圧力によって外れにくく、操作部の破損を抑制できる。
【0012】
請求項
3記載の風向調整装置によれば、請求項1
または2記載の風向調整装置の効果に加え、風下側から風上側へと第2のフィンに対して第1の所定方向への突出量が増加するように形成したガイド部によって、風下から挿入した別部材を第1の所定方向へと導くことができ、別部材が第1の部材を風上側に押圧する力をガイド部によってより確実に低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の風向調整装置の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図2ないし
図4において、10は風向調整装置で、この風向調整装置10は、ルーバ装置あるいはベンチレータなどとも呼ばれ、例えば自動車の被取付部材である図示しないインストルメントパネルなどに取り付けられ、空調装置に接続されて、車室内に風を吹き出し、空調を行う車両用空調装置を構成している。なお、以下、前後方向、左右方向及び上下方向については、風向調整装置10をインストルメントパネルなどに取り付けた状態での自動車の前後方向、左右方向及び上下方向を基準として説明する。
【0016】
そして、この風向調整装置10は、ケース体15と、このケース体15に回動可能に軸支された第1の風向調整羽根としての第1のフィンである縦ルーバ16と、縦ルーバ16よりも後方の位置でケース体15に配置された第2の風向調整羽根としての第2のフィンである横ルーバ17と、縦ルーバ16及び横ルーバ17のそれぞれの回動角度、すなわち振り角を操作する操作部としての操作ノブ18とを備えている。
【0017】
図2に示すように、ケース体15は、例えば合成樹脂などによって角筒状に形成されたケース体本体21と、このケース体本体21の後端部に取り付けられる意匠部材としての角筒状のフィニッシャ22とを備えている。また、このケース体15の内側は、通風路26となっているとともに、前側が空調装置のエアダクトに接続される接続口27、後側(後端)がフィニッシャ22により区画される吹出口28となっている。さらに、このケース体15(ケース体本体21)の上部及び下部には、縦ルーバ16を軸支するための例えば丸穴状の第1の軸受部31,31が開口されている。そして、このケース体15の左右両側部には、
図3に示すように、横ルーバ17を軸支するための例えば丸穴状の第2の軸受部32,32が開口されている。
【0018】
図2及び
図3に示す縦ルーバ16は、奥ルーバなどとも呼ばれ、通風路26を通過する空気の流れと交差する第1の所定方向である上下方向(垂直方向)D1に沿って配置されている。また、縦ルーバ16は、ケース体15の第1の軸受部31,31に上下方向D1を回転軸として回動可能に軸支されて通風路26内に位置する。すなわち、この縦ルーバ16は、通風路26を通過する空気の流れを制御する矩形板状の第1の羽根部としての第1のフィン本体である縦ルーバ本体35と、この縦ルーバ本体35の長手方向すなわち上下両端部から突設され第1の軸受部31,31に嵌合してケース体15に回動可能に軸支される円柱状の第1の回動軸部36とを備え、ケース体15(ケース体本体21)に対して第2の所定方向である左右方向(水平方向)D2に回動可能となっている。なお、本実施の形態では、縦ルーバ16は、例えば回動軸の上側が前傾するようにケース体15に取り付けられている。また、この縦ルーバ16は、本実施の形態では複数設定され、左右方向D2に互いに離間されて配置されており、第1のリンク37を介して互いに連結されている。したがって、各縦ルーバ16には、縦ルーバ本体35の例えば上端部に、第1の回動軸部36から離間されこの第1の回動軸部36と平行に、第1のリンク37と連結される第1のリンク軸部38が突設されている。さらに、これら縦ルーバ16のいずれか一つ、例えば左右方向D2の中央部に位置する縦ルーバ16には、操作ノブ18の前部と対向する風下側である後端部に、第1の連結部としての扇形ギヤ状の(フィン側)歯合部39が一体的に設けられている。そして、本実施の形態では、例えば全ての縦ルーバ16が第3の方向である風上風下方向すなわち前後方向D3に沿う中立位置から、第1のリンク37により各縦ルーバ16を連動して左右方向D2に回動させて風向の振り角を調整可能に構成されている。
【0019】
ここで、
図3に示すように、第1のリンク37は、全ての縦ルーバ16の第1のリンク軸部38を回動可能に連結するもので、左右方向D2を長手方向とする細長い棒状に形成され、第1のリンク軸部38を回動可能に受ける円孔状の第1のリンク軸受部37aが長手方向に互いに離間されて開口されている。そして、この第1のリンク37により、左右方向D2の中央部に位置する縦ルーバ16の回動に連動して他の縦ルーバ16が互いに略平行に左右方向D2に回動可能となっている。
【0020】
一方、
図3に示す横ルーバ17は、手前ルーバなどとも呼ばれ、通風路26内にて縦ルーバ16の風下側である後側に、通風路26を通過する空気の流れ及び上下方向D1(
図2)と交差(直交)する左右方向(水平方向)D2に沿って配置されている。したがって、自動車の乗員から見て、横ルーバ17が手前側、すなわち車室側に位置して吹出口28に露出し、縦ルーバ16が奥側、すなわち車体側に位置して、車室内の乗員から見て横ルーバ17の背後に位置している。この横ルーバ17は、ケース体15の第2の軸受部32,32に左右方向D2を回転軸として回動可能に軸支されて通風路26内に位置する。すなわち、この横ルーバ17は、通風路26を通過する空気の流れを制御する細長板状の第2の羽根部としての第2のフィン本体である横ルーバ本体41と、この横ルーバ本体41の長手方向すなわち左右両端部から突設され第2の軸受部32,32に嵌合してケース体15に回動可能に軸支される円柱状の第2の回動軸部42とを備え、ケース体15(ケース体本体21)に対して上下方向(垂直方向)D1(
図2)に回動可能となっている。また、この横ルーバ17は、本実施の形態では複数設定され、上下方向D1に互いに離間されて配置されており(
図2)、第2のリンク43を介して互いに連結されている。したがって、各横ルーバ17には、横ルーバ本体41の一端部に、第2の回動軸部42から離間されこの第2の回動軸部42と平行に、第2のリンク43と連結される第2のリンク軸部44が突設されている。
図2に示すように、本実施の形態では、これら横ルーバ17は、例えば上から下へと、徐々に後側にずれるように、換言すれば、吹出口28の開口面方向に略平行となるように配置されている。さらに、これら横ルーバ17のいずれか一つ、例えば上下方向D1の中央部に位置する横ルーバ17には、
図1に示すように、操作ノブ18が横ルーバ17(横ルーバ本体41)の長手方向である左右方向D2に沿って摺動(スライド)可能に取り付けられている。そして、本実施の形態では、
図2に示すように例えば全ての横ルーバ17が前後方向D3に沿う中立位置から、第2のリンク43(
図3)により各横ルーバ17を連動して上下方向D1に回動させて風向の振り角を調整可能に構成されている。
【0021】
ここで、
図3に示す第2のリンク43は、全ての横ルーバ17の第2のリンク軸部44を回動可能に連結するもので、上下方向D1(
図2)を長手方向とする細長い棒状に形成され、第2のリンク軸部44を回動可能に受ける円孔状の第2のリンク軸受部43aが長手方向に互いに離間されて開口されている。そして、この第2のリンク43により、上下方向D1(
図2)の中央部に位置する横ルーバ17の回動に連動して他の横ルーバ17が互いに略平行に上下方向D1(
図2)に回動可能となっている。
【0022】
そして、
図1ないし
図3に示す操作ノブ18は、車両の乗員などの使用者が風向を変える際に摘んで操作するための摘み部であり、本実施の形態では、第1の部材としての前側部材46と、第2の部材としての後側部材47とを備え、これら前側部材46と後側部材47とにより、中央部に位置する横ルーバ17(横ルーバ本体41)を風上側と風下側とから(前側と後側とから)挟み込むことで横ルーバ17(横ルーバ本体41)に一体的に取り付けられ、この横ルーバ17(横ルーバ本体41)に沿って左右方向D2に摺動(スライド)可能となっている。また、前側部材46の風上側である前部、すなわち後側部材47と反対側には、第2の連結部としてのラックギヤ状の(操作部側)歯合部48が左右方向D2に沿って設けられ、この歯合部48が縦ルーバ16の歯合部39と歯合されて連結されていることで、操作ノブ18の左右方向D2への操作に縦ルーバ16の回動を連動させるようになっている。さらに、この操作ノブ18には、前側部材46と後側部材47との少なくともいずれか、本実施の形態では後側部材47に、ガイド部49が一体に設けられている。
【0023】
前側部材46は、後側部材47を横ルーバ17に係止するための係止部材とも呼び得るもので、第1の部材本体としての前側部材本体51と、この前側部材本体51に設けられ後側部材47を係止するための第1の係止部としての係止受部52とを備えている。そして、この前側部材46の前部には、歯合部48が前側部材本体51と一体に設けられている。
【0024】
前側部材本体51は、上下方向D1に沿って、左右方向D2に長手状に形成されている。この前側部材本体51は、上部が後側部材47の上部と略面一となっているとともに、下部が後側部材47に対して下方に円弧状に突出している。
【0025】
係止受部52は、前側部材本体51の後部、すなわち後側部材47と対向する位置に設けられている。この係止受部52は、例えば開口部であり、前後方向D3に沿って開口方向を有するように、すなわち後側部材47に対向して開口している。
【0026】
歯合部48は、前側部材本体51の前部に、この前側部材本体51に沿って設けられている。すなわち、この歯合部48は、上部が後側部材47の上部と略面一となっているとともに、下部が後側部材47に対して下方、すなわち操作ノブ18の厚さ方向に円弧状に突出している。この歯合部48及び前側部材本体51は、横ルーバ17の回動軸となる第2の回動軸部42を中心とする円弧に沿って湾曲しており、操作ノブ18が取り付けられている横ルーバ17が上下方向D1に回動したときに、歯合部48が歯合部39との歯合を維持するようになっている。
【0027】
また、後側部材47は、操作部本体(操作ノブ本体)とも呼び得るもので、操作ノブ18を操作する際に使用者(乗員)によって摘まれる部分である。この後側部材47は、第2の部材本体としての後側部材本体55と、この後側部材本体55に設けられ後側部材47を前側部材46に係止するための第2の係止部としての係止爪部56(
図1(b))とを備えている。さらに、この後側部材47の内部には、横ルーバ17の後部を適切な摺動抵抗で押圧する押圧部材57(
図1(c))が取り付けられている。
【0028】
後側部材本体55は、横ルーバ17の上部に位置する第1の側板部としての上板部61と、横ルーバ17の下部に位置する第2の側板部としての下板部62と、これら上板部61と下板部62とを後端部で互いに連結する操作連結部としての後板部63とを備える、断面コ字状に形成されている。したがって、この後側部材本体55の内部には、後側部材47(後側部材本体55)との間に、横ルーバ17を収容する収容空間部65が区画されている。
【0029】
上板部61及び下板部62の各前端部は、それぞれ横ルーバ17(横ルーバ本体41)の風上側である前端部と略等しい位置まで延びている。また、下板部62には、横ルーバ17(横ルーバ本体41)に対する後側部材47(操作ノブ18)の位置を前方向に規制する規制部67が前側部材46(前側部材本体51)に対向する前端部の収容空間部65側である上側の位置にて前後方向D3に切り欠き形成されて段差状に形成されている。さらに、この下板部62の前端部、すなわち前側部材46に対向する位置には、ガイド部49が下方に向けて突設されている。
【0030】
図1(b)に示す係止爪部56は、上板部61及び下板部62の前端部から前方にさらに突出し、上下方向に爪状に折り返されて形成されており、前側部材46の係止受部52に挿入されてこの係止受部52に対して係合されるようになっている。したがって、この係止爪部56は、係止受部52に対して、風上側である前方に向かって押し込むことで係止される。すなわち、後側部材47は、前側部材46に対して、後方(風下側)から前方(風上側)に押し込まれて取り付けられている。換言すれば、前側部材46と後側部材47とは、係止受部52と係止爪部56とにより互いに前後方向D3、すなわち横ルーバ17を風上側と風下側とから挟む方向に係止されている。
【0031】
図1(c)に示す押圧部材57は、例えばゴムあるいはエラストマなどの弾性部材により形成されており。後側部材本体55の内部の収容空間部65の後端部に収容され、横ルーバ17(横ルーバ本体41)の後端部に当接している。
【0032】
そして、ガイド部49は、
図1(a)、
図1(c)及び
図1(d)に示すように、本実施の形態では複数、例えば3つのガイド部本体としての第1ないし第3のリブ71,72,73により構成されている。
【0033】
第1のリブ71は、ガイド部49の後端部を構成するものであり、横ルーバ17の厚さ方向に見て、後側から前側へと、徐々に横ルーバ17に対する突出量が増加する(下方に突出する)とともに、徐々に左右方向D2に拡開するV字状に形成され、前端側が第3のリブ73と連続している。
【0034】
第2のリブ72は、第1のリブ71の前方に離間されて位置するもので、横ルーバ17の厚さ方向に見て、後側から前側へと、徐々に横ルーバ17に対する突出量が増加する(下方に突出する)とともに、徐々に左右方向D2に拡開するV字状に形成され、前端側が第3のリブ73と連続している。この第2のリブ72は、第1のリブ71に対して略平行に形成されている。
【0035】
第3のリブ73は、ガイド部49の前端部を構成するものであり、第1及び第2のリブ71,72の前端部の位置に、左右方向D2に沿って直線長手状に形成されている。
【0036】
さらに、これら第1ないし第3のリブ71,72,73の下端部は、風下側である後側から風上側である前側へと徐々に下方に傾斜する所定の傾斜面Pに沿って傾斜して略面一となっている。したがって、第3のリブ73は、第1及び第2のリブ71,72よりも横ルーバ17の厚さ方向に見て横ルーバ17に対する突出量が大きい。さらに、第3のリブ73は、後側部材47の前端部に位置し、前側部材46の下部と略面一となっている。換言すれば、前側部材46は、後側部材47の前端部よりも下方に突出しないように構成されている。
【0037】
そして、
図2に示すように、風向調整装置10は、空調装置から供給された空調風が接続口27からケース体15の内部の通風路26へと導入され、この通風路26を通過して吹出口28から乗員側、すなわち車室内に吹き出される。このとき、
図3に示す操作ノブ18を横ルーバ17に沿って左右方向D2に操作すると、操作ノブ18の歯合部48と歯合部39が歯合する左右方向D2の中央部の縦ルーバ16が左右方向D2に回動するとともに、この縦ルーバ16と第1のリンク37を介して連結されている他の縦ルーバ16が、互い略平行を保ちつつ連動して左右方向D2に回動し、吹出口28から吹き出される空調風の風向を左右方向に調整する。また、
図2に示す操作ノブ18を横ルーバ17とともに上下方向D1に操作すると、この横ルーバ17が上下方向D1に回動するとともに、この横ルーバ17と第2のリンク43(
図3)を介して連結されている他の横ルーバ17が、互い荷平衡を保ちつつ連動して上下方向D1に回動し、吹出口28から吹き出される空調風の風向を上下方向に調整する。
【0038】
また、例えばドリンクホルダなどの別部材76(
図4)を風向調整装置10に取り付ける際には、
図1(c)及び
図1(d)に示すように、この別部材76に突設された係合部76aを例えば吹出口28(
図2)から風向調整装置10(
図2)内へと風上側である前側に向かって挿入し、横ルーバ17などに係止する。このとき、風向調整装置10(
図2)内へと挿入された別部材76の係合部76aは、操作ノブ18のガイド部49に当接すると、傾斜面Pに沿って横ルーバ17から離間する下方へ(
図1(c))、あるいは第1及び第2のリブ71,72に沿って左右方向D2へ(
図1(d))と挿入方向が導かれる、換言すれば挿入方向が前側部材46と後側部材47との係止方向である前後方向D3に対して下方や側方に逸らされることで、前側部材46を前方、すなわち後側部材47から離反する方向へと押圧する力が抑制され、前側部材46と後側部材47との係止受部52と係止爪部56とによる係止の解除、すなわち操作ノブ18の破損(分解)を抑制する。
【0039】
このように、操作ノブ18を構成する前側部材46と後側部材47との少なくともいずれか、本実施の形態では後側部材47に設けたガイド部49により、風下側から進入する別部材76(係合部76a)を、この別部材76(係合部76a)が前側部材46を風上側に押圧する力を低減する方向へと導くので、ドリンクホルダや芳香剤などの別部材76を風向調整装置10に取り付けるときなど、この別部材76(係合部76a)を風下側から挿入する際に前側部材46と後側部材47との係止がこの別部材76(係合部76a)からの押圧力によって外れにくく、操作ノブ18の破損を抑制できる。
【0040】
特に、横ルーバ17を縦ルーバ16の回動方向と交差する方向に回動可能とするために、縦ルーバ16の歯合部39と連結される操作ノブ18の前側部材46に一体に設けた歯合部48を、この横ルーバ17の回動方向である上下方向D1(下方)に突出させる必要がある構成であっても、別部材76(係合部76a)を風下側から挿入する際にこの別部材76(係合部76a)が歯合部48を介して前側部材46を風上側に押圧する力をガイド部49によって低減できるので、前側部材46と後側部材47との係止がこの別部材76(係合部76a)からの押圧力によって外れにくく、操作ノブ18の破損をより確実に抑制できる。
【0041】
また、風下側から風上側へと左右方向D2に拡開状に形成したガイド部49(リブ71,72)によって、風下から挿入した別部材76(係合部76a)を、前側部材46と後側部材47との係止方向である前後方向D3に対して交差(直交)する左右方向D2へと導くことができ、別部材76(係合部76a)が前側部材46を風上側に押圧する力をガイド部49によってより確実に低減できる。
【0042】
さらに、風下側から風上側へと横ルーバ17に対して上下方向D1(下方)への突出量が増加するように形成したガイド部49(リブ71,72,73)によって、風下から挿入した別部材76(係合部76a)を、前側部材46と後側部材47との係止方向である前後方向D3に対して交差(直交)する上下方向D1(下方)へと導くことができ、別部材76(係合部76a)が前側部材46を風上側に押圧する力をガイド部49によってより確実に低減できる。
【0043】
そして、別部材76の取り付けに対して操作ノブ18を破損から保護できるので、操作ノブ18の破損による特に縦ルーバ16の操作機能の喪失に起因して風向調整不能になることを防止できる。
【0044】
なお、上記の第1の実施の形態において、ガイド部49は、前側部材46に設けることもできる。例えば、
図5に示す第2の実施の形態のように、前側部材本体51の後部に、後側部材47(下板部62)と連続するようにガイド部49を突設してもよい。すなわち、このガイド部49は、後側部材47の下板部62に重ねられて前後方向D3に沿って延びており、風下側である後側から風上側である前側へと、徐々に横ルーバ17に対する突出量が増加する(下方に突出する)とともに、徐々に左右方向D2に拡開するV字状に形成されている。この結果、上記の第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、このガイド部49を乗り越えた別部材76の係合部76aが、ガイド部49を反力によって上方へと、すなわち前側部材46の一部を後側部材47に対して押し付ける方向(ガイド部49を別部材76の係合部76aと後側部材47とで挟み込む方向)へと押圧するので、前側部材46と後側部材47とをより強固に係止させた状態とすることができる。
【0045】
また、上記の各実施の形態において、横ルーバ17は、操作ノブ18で直接回動させる構成の他に、例えばケース体15に操作可能に取り付けられたダイヤルなどの操作手段に連結された別途の連結手段などを用いて回動させることもできる。
【0046】
さらに、ガイド部49は、横ルーバ17の回動範囲に応じた歯合部48の突出量に対応して、操作ノブ18の上部に設けてもよいし、操作ノブ18の上下双方に設けてもよい。