(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
車両用加熱装置100は、HEV(Hybrid Electric Vehicle:ハイブリッド車両)やEV(Electric Vehicle:電動車両)などに搭載される車両用空調装置(暖房装置)に用いられるものである。
【0011】
図1及び
図2を参照して、車両用加熱装置100が適用される電気回路10について説明する。
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る車両用加熱装置100の電気回路図である。
図2は、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31を温水タンク40に設置したときの車両用加熱装置100の構成を説明する断面図である。
【0013】
電気回路10は、直流電源(図示省略)と、第1電気ヒータ30と、第2電気ヒータ31と、短絡回路11と、スイッチ50と、ヒューズ60と、コンデンサ70と、IGBT80と、を備える。
【0014】
直流電源は、HEVやEVなどに搭載される強電バッテリである。直流電源は、例えば、最小定格電圧200Vから最大定格電圧400Vまでの電圧範囲で使用される。直流電源からの電流は、入力端子10aから電気回路10を通じて第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31に供給され、出力端子10bへと流れる。
【0015】
第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31は、電気回路10中に直列に接続される。第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31は、通電することによって発熱するシーズヒータ又はPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータである。第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31は、
図2に示すように、温水タンク40内にそれぞれ収装され、車両の暖房装置に用いられる冷媒を加熱する。
【0016】
図2に示すように、温水タンク40は、冷媒が供給される供給通路41aと、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31によって加熱された冷媒を排出する排出通路41bと、を備える。温水タンク40を流通する冷媒は、例えば不凍液等の冷却水である。
【0017】
短絡回路11は、
図1に示すように、電気回路10中で第1電気ヒータ30と並列に接続される。短絡回路11は、具体的には、電気回路10の電流の流れ方向において、ヒューズ60の下流かつ第1電気ヒータ30の上流に一端11aが接続され、第1電気ヒータ30の下流かつ第2電気ヒータ31の上流に他端11bが接続される。短絡回路11は、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31と比べて抵抗の小さな導体である。
【0018】
スイッチ50は、短絡回路11中に設けられる。スイッチ50は、第1電気ヒータ30によって加熱され所定温度以上になった場合に短絡回路11を通電状態に切り替えるノーマルオープン型の熱応動スイッチである。スイッチ50は、所定温度未満の場合には短絡回路11を短絡させない。スイッチ50は、温度に応じて変形する図示しないバイメタル等の熱変形部材と、当該熱変形部材の変形により開閉する接点部51と、により構成される。
図2に示すように、スイッチ50は、温水タンク40の外壁部41に取り付けられる。スイッチ50は、温水タンク40の内部で端部が第1電気ヒータ30に当接する位置に配置される。このような位置にスイッチ50が配置されることによって、第1電気ヒータ30の熱は、スイッチ50の端部を介して、スイッチ50の内部にある熱変形部材へと伝わる。スイッチ50は、第1電気ヒータ30の温度に応じて内部の熱変形部材が変形することで接点部51の開閉状態が切り替わる。熱応動でスイッチ50の接点部51の開閉状態が切り替わってスイッチ50がオンになると、短絡回路11が接続状態となって瞬間的に大きな短絡電流が発生する。短絡回路11の抵抗は極めて小さいので、短絡回路11が短絡すると、ヒューズ60には、通常動作時に第1電気ヒータ30に流れる電流と比較して極めて大きな電流が流れる。
【0019】
ヒューズ60は、
図1に示すように、入力端子10aの下流かつ短絡回路の一端11aの上流に接続される。ヒューズ60には、低い短絡電流でも短い時間で溶断できる速断型ヒューズが用いられる。ヒューズ60は、例えば、30A以上の電流が流れることによって溶断される。ヒューズ60の溶断によって、電気回路10が断線した状態となり、第1電気ヒータ30への電力供給が遮断される。
【0020】
過渡電流回路12は、短絡回路11のスイッチ50の下流に一端12aが接続され、電気回路10の第2電気ヒータ31の下流かつIGBT80の上流に他端12bが接続される。過渡電流回路12は、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31と比べて抵抗の小さな導体である。
【0021】
コンデンサ70は、過渡電流回路12中に設けられる。すなわち、コンデンサ70は、第2電気ヒータ31と並列に、かつ、短絡回路11と直列に接続される。コンデンサ70には、例えば、自動車用の1μFのアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、セラミックコンデンサ等が用いられる。
【0022】
IGBT80は、電気回路10に設けられ第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31の温度の上昇に応じて電気回路10の電流を遮断するトランジスタとして機能する。
【0023】
電圧センサ91は、電気回路10の短絡回路11の一端11aの上流と、IGBT80の下流と、に接続され、直流電源の電源電圧として電圧E(V)を測定する。
【0024】
電流センサ92は、電気回路10のIGBT80の下流に直列に接続され、負荷電流として電流I(A)を測定する。
【0025】
コントローラ90は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などによって構成され、ROMに記憶されたプログラムをCPUによって読み出すことで、車両用加熱装置100のIGBTドライブ回路、電源回路、通信回路等を制御する。電圧センサ91及び電流センサ92の測定値は、コントローラ90に送られる。
【0026】
コントローラ90は、通常動作時には、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号によってIGBT80をスイッチング動作させて、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31に流れる電流を制御する。コントローラ90は、直流電源から供給される電圧Eが異常電圧になった場合に、IGBT80のスイッチング動作を停止させ、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31への電力供給を遮断する。
【0027】
図3を参照して、コントローラ90が実行する電力供給遮断制御について説明する。
【0028】
ステップS101では、コントローラ90は、電圧センサ91からの出力信号によって電気回路10の電圧Eを検出する。
【0029】
ステップS102では、コントローラ90は、電圧Eが定格最大電圧を超えているか否かを判定する。コントローラ90は、電圧Eが定格最大電圧を超えている場合にはステップS103に処理を進め、電圧Eが定格最大電圧を超えていない場合にはステップS104に処理を進める。
【0030】
ステップS103では、コントローラ90は、電気回路10で異常電圧が発生したと判定し、IGBT80のスイッチング動作を停止させる。電圧Eが定格最大電圧を超える過電圧になっている場合にIGBT80のスイッチング動作が停止されるので、電気回路10は遮断状態となり、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31の異常過熱が抑制される。コントローラ90は、過電圧が発生したことを記録し、過電圧状態であることを車両側のコントローラ(車両のECU)に報知する。コントローラ90は、ステップS103の処理を終えると、電力供給遮断制御を終了する。なお、IGBT80のスイッチング動作が停止されることで電気回路10が遮断状態となった場合には、ヒューズ60は溶断されない。
【0031】
ステップS104では、コントローラ90は、電圧Eが定格最小電圧未満であるか否かを判定する。コントローラ90は、電圧Eが定格最小電圧未満である場合にはステップS105に処理を進め、電圧Eが定格最小電圧未満ではない場合にはステップS106に処理を進める。
【0032】
ステップS105では、コントローラ90は、電気回路10で異常電圧が発生したと判定し、IGBT80のスイッチング動作を停止させる。電圧Eが定格最小電圧未満の低電圧になっている場合にIGBT80のスイッチング動作が停止されるので、電気回路10は遮断状態となる。コントローラ90は、低電圧が発生したことを記録し、低電圧状態であることを車両側のコントローラ(車両のECU)に報知する。コントローラ90は、ステップS105の処理を終えると、電力供給遮断制御を終了する。なお、低電圧が発生したと判定され電気回路10が遮断状態となった場合には、過電圧が発生したと判定されたステップS103の処理と同様に、ヒューズ60は溶断されない。
【0033】
ステップS106では、コントローラ90は、電流センサ92からの出力信号によって電気回路10の電流Iを検出する。コントローラ90の処理は、ステップS107に進む。
【0034】
ステップS107では、コントローラ90は、電流Iが0より大きいか否かを判定する。コントローラ90は、電流Iが0より大きい場合には電気回路10に電流が流れていると判定してステップS108に処理を進め、電流Iが0である場合には電気回路10に電流が流れていないので待機するためにステップS101に処理を戻す。
【0035】
ステップS108では、コントローラ90は、電圧Eと電流Iとに基づいて消費電力Pを算出する(P=E×I)。このように、実際の消費電力Pを算出することで、ヒータ抵抗RHの製造ばらつきに依らず、ヒータ消費電力を知ることができ、車両の電力制限要求に対応することができる。
【0036】
ステップS109では、コントローラ90は、短絡判定制御を実行する。例えば、IGBT80の短絡故障等によりスイッチング動作を停止できなくなった場合には、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31が異常過熱するおそれがある。したがって、車両用加熱装置100は、熱応動によってオンになるスイッチ50によって、短絡回路11を短絡させ、短絡電流によってヒューズ60を溶断させることで、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31への電力供給を遮断する。コントローラ90は、このようなスイッチ50の動作によって、短絡回路11が短絡した否かを判定する短絡判定制御を実行する。
【0037】
図4は、コントローラ90が実行する短絡判定制御のフローチャートである。
【0038】
ステップS201では、コントローラ90は、ヒータ抵抗RHを算出する。ヒータ抵抗RHは、電圧EからIGBT80のコレクタエミッタ飽和電圧Eceを減算した値を電流Iで除算することにより算出される(RH=(E−Vce)/I)。なお、電気回路10自体の抵抗は、電圧EやIGBT80のコレクタエミッタ飽和電圧Eceと比較して無視できるほど小さいので、ヒータ抵抗RHの算出式から除かれる。
【0039】
ステップS202では、コントローラ90は、ヒータ抵抗RHが第2電気ヒータ抵抗Rh2以下であるか否かを判定する。ヒータ抵抗RHは、スイッチ50がオンになる短絡回路11が短絡すると小さくなるので(RH≦Rh2)、スイッチ50がオン状態であることが分かる。コントローラ90は、ヒータ抵抗RHが第2電気ヒータ抵抗Rh2以下である場合にはステップS203に処理を進め、ヒータ抵抗RHが第2電気ヒータ抵抗Rh2より大きい場合にはステップS204に処理を進める。
【0040】
短絡電流が発生した場合には、コンデンサ70に一時的に大きな過渡電流が流れ込む。また、第1電気ヒータ30には短絡電流が流れない一方で、第2電気ヒータ31には短絡電流が流れるので、第1電気ヒータ30の発熱量よりも第2電気ヒータ31の発熱量の方が大きくなる。このため、第2電気ヒータ31のシース管の外径D2は、
図2に示すように、熱交換面積を増やして放熱性を高くするために、第1電気ヒータ30のシース管の外径D1よりも大きい(D2>D1)。換言すれば、第1電気ヒータ30の発熱密度が、第2電気ヒータ31よりも相対的に高くなるようにしている。
【0041】
第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31が空焚きになった場合には、放熱性の良い第2電気ヒータ31よりも第1電気ヒータ30の方がヒータ表面の温度が早く上昇する。このため、スイッチ50は、第1電気ヒータ30に取り付けられることにより、最も高温になる位置の温度をセンシングすることができる。
【0042】
ステップS203では、コントローラ90は、スイッチ50がオンになったことを記録する。また、コントローラ90は、フェールフラグを記憶して、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31への電力供給が遮断されて停止状態になったことを車両側のコントローラ(車両のECU)に報知する。コントローラ90は、ステップS203の処理を終えると短絡判定制御を終了する。
【0043】
ステップS204では、コントローラ90は、ヒータ抵抗RHが第1電気ヒータ抵抗Rh1と第2電気ヒータ抵抗Rh2とを加算した値に近似しているか否かを判定する。スイッチ50がオフ状態であり、短絡回路11が遮断状態である場合には、ヒータ抵抗RHは、第1電気ヒータ抵抗Rh1と第2電気ヒータ抵抗Rh2とを加算した値に近似した値になる(RH≒Rh1+Rh2)。ここで、ヒータ抵抗RHが第1電気ヒータ抵抗Rh1と第2電気ヒータ抵抗Rh2とを加算した値から近似した値の分ずれるのは、電気回路10の回線抵抗やIGBT80の抵抗等の影響を考慮したためである。
【0044】
コントローラ90は、ヒータ抵抗RHが第1電気ヒータ抵抗Rh1と第2電気ヒータ抵抗Rh2とを加算した値に近似している場合には短絡回路11で短絡が発生していないと判定して短絡判定制御を終了する。他方で、コントローラ90は、ヒータ抵抗RHが第1電気ヒータ抵抗Rh1と第2電気ヒータ抵抗Rh2とを加算した値に近似していない場合にはステップS205に処理を進める。
【0045】
ステップS205では、コントローラ90は、エラー処理を実行する。コントローラ90は、ステップS205の処理を終えると短絡判定制御を終了する。
【0046】
以上のように、スイッチ50は、IGBT80の短絡故障等によって第1電気ヒータ30が異常過熱した場合に、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31への供給電力を遮断する機械的なスイッチとして、コントローラ90が操作するIGBT80とは別に機能する。コントローラ90は、スイッチ50がオン状態に切り替わったときに、短絡が発生したと判定する短絡判定手段として機能する。
【0047】
上記した本発明の実施形態に係る車両用加熱装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0048】
車両用加熱装置100は、直列に接続される第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31と、第1電気ヒータ30と並列に接続され第1電気ヒータ30の上流と下流とを短絡させる短絡回路11と、短絡回路11内に設けられ、第1電気ヒータ30が所定温度以上になった場合に、短絡回路11を通電状態に切り替えるスイッチ50と、第1電気ヒータ30に直列に接続され、短絡回路11が通電状態になると溶断されるヒューズ60と、第2電気ヒータ31と並列に、かつ、短絡回路11と直列に接続されるコンデンサ70と、を備える。
【0049】
車両用加熱装置100によれば、第1電気ヒータ30が所定温度以上になった場合には、第1電気ヒータ30と並列に接続される短絡回路11が、第1電気ヒータ30の上流と下流とを短絡させる。その際、コンデンサ70が、第2電気ヒータ31と並列に、かつ、短絡回路11と直列に接続されているので、一時的に大きな過渡電流がコンデンサ70に流れ込む。したがって、コンデンサ70に流れ込む大きな過渡電流によってヒューズ60を素早く溶断させることで早急に電流を遮断することができる。
【0050】
ここで、単に早くヒューズ60を溶断させればよいのであれば、第1電気ヒータ30の上流と第2電気ヒータ31の下流とを短絡させることが考えられる。電気回路10に第1電気ヒータ抵抗Rh1と第2電気ヒータ抵抗Rh2とがかからなくなることで、大きな短絡電流が発生し、ヒューズ60が直ちに溶断されるためである。しかしながら、第1電気ヒータ30の上流と第2電気ヒータ31の下流とを短絡させた場合には、ヒューズ60を溶断するのに過大な短絡電流が電気回路10を流れるので、過大な短絡電流が生じる。
【0051】
そこで、車両用加熱装置100では、第1電気ヒータ30の上流と下流とを短絡させた際に、第2電気ヒータ31の第2電気ヒータ抵抗Rh2を電気回路10の抵抗として用いることで、過大な短絡電流が発生しないようにしている。このため、車両用加熱装置100では、過大な短絡電流を回避でき、かつ、上述のコンデンサ70流れ込む大きな過渡電流によってヒューズ60を素早く溶断させることができる。
【0052】
車両用加熱装置100では、第1電気ヒータ30の第1電気ヒータ抵抗Rh1は、第2電気ヒータ31の第2電気ヒータ抵抗Rh2よりも大きい(Rh1>Rh2)。
【0053】
車両用加熱装置100によれば、第1電気ヒータ30の方が第2電気ヒータ31よりも発熱密度を大きくしているので、空焚き時に、第1電気ヒータ30の方が第2電気ヒータ31よりも高温になる。このため、スイッチ50で第1電気ヒータ30の温度をセンシングすることにより、空焚き時に最も高温になる位置の温度を計測することができる。
【0054】
車両用加熱装置100では、コントローラ90は、短絡回路11が短絡したことを検出する短絡判定手段として機能する。コントローラ90は、検出した電流及び電圧から算出した第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31の合計の抵抗であるヒータ抵抗RHが所定値の第2電気ヒータ抵抗Rh2以下になった場合に、短絡回路11が短絡したと判定する。
【0055】
車両用加熱装置100によれば、ヒータ抵抗RHは、短絡回路11が接続状態になると第1電気ヒータ抵抗Rh1の影響を無視できるほど極めて小さくなるので、第2ヒータ抵抗Rh2以下になる。このため、コントローラ90が第2ヒータ抵抗Rh2以下になった場合に短絡回路11が短絡したと判定することで、スイッチ50が作動したことを知ることができる。
【0056】
なお、車両用加熱装置100では、コントローラ90は、ヒータ抵抗RHの代わりに、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31に通電する電流が所定値以上になった場合に短絡回路11が短絡したと判定してもよい。所定値には、例えば、短絡回路11が接続状態になったときに電気回路10を流れる電流値が設定される。このような車両用加熱装置100によっても、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31に通電する電流が所定値以上になった場合に短絡回路11が短絡したと判定することで、スイッチ50が作動したことを知ることができる。
【0057】
車両用加熱装置100では、スイッチ50は、温度に応じて変形する熱変形部材と、熱変形部材の変形により開閉する接点部と、を有する。熱変形部材は、第1電気ヒータ30の熱が伝わる位置に配置される。
【0058】
車両用加熱装置100によれば、第1電気ヒータ30が過熱した際の熱が、スイッチ50の熱変形部材に伝わるので、熱変形部材は第1電気ヒータ30の温度に応じて変形する。このため、第1電気ヒータ30が異常過熱した場合には、熱変形部材の変形によってスイッチ50の接点部が閉じられてオンになるので、短絡回路11を短絡状態にして、ヒューズ60を溶断することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0060】
例えば、上記実施形態の電気ヒータは、第1電気ヒータ30及び第2電気ヒータ31の二つであったが、三つ以上の電気ヒータを備える車両用加熱装置にも適用してもよい。また、一つの電気ヒータのシース管の途中に、短絡回路11の他端11bを配線することで疑似的に複数の電気ヒータを備える態様にしてもよい。