(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るシャッター収納部の取付構造の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念について説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、シャッターカーテンを収納するシャッター収納部を建物の壁面に対して取り付けるための取付構造に関するものである。
【0018】
ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「シャッター」とは、防犯や防火のために、建物の開口部に取り付けられる巻上げ戸であり、例えば、窓シャッター、軽量シャッター、重量シャッター等を含む概念である。また、シャッターの開閉方向については、例えば上下方向等が該当する。また、シャッターの駆動方式は任意であり、例えば、「電動式のシャッター」や「手動式のシャッター」として構成することができる。以下、実施の形態では、シャッターが、戸建て住宅の如き建物の壁であって、窓を有する壁に設けられた上下開閉式且つ電動式の窓シャッターである場合について説明する。
【0019】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、各実施の形態の具体的内容について説明する。
【0020】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係るシャッター収納部の取付構造について説明する。この実施の形態1は、後述する変形抑制片を後述する被引掛部の第1突出片に設けた形態である。
【0021】
(構成)
最初に、実施の形態1に係るシャッター収納部の取付構造が適用されるシャッターの構成について説明する。以下の説明では、
図1のX方向をシャッターの左右方向(−X方向をシャッターの左方向、+X方向をシャッターの右方向)、
図1のY方向をシャッターの前後方向(+Y方向をシャッターの前方向(建物の屋外側の方向)、−Y方向をシャッターの後方向(建物の屋内側の方向))、
図1のZ方向をシャッターの上下方向(+Z方向をシャッターの上方向、−Z方向をシャッターの下方向)と称する。
【0022】
図1、
図2に示すように、このシャッター1は、概略的に、枠体10、シャッター収納部20、シャッターカーテン30、開閉機40、及び巻取り軸41を備えて構成されている。ただし、シャッター1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。このシャッター1は、上述のように窓シャッターであって、
図1に示すように、建物の躯体2(例えば、壁等)に形成された開口部3には窓4が設けられており、この開閉式の窓4の屋外側にシャッターカーテン30が設けられている。このため、シャッターカーテン30は、開口部3を、当該開口部3の開口面内ではなく当該開口部3の開口面よりも屋外側において開閉することになるが、このような開閉であっても、開口部3を介した人や物の出入りを制限するための開閉を行う点において同様であるため、「開口部3を開閉する」ものとして説明する。ただし、窓4には公知の開閉式のサッシ窓等を採用することができるので、その説明は省略する。なお、後述するシャッター1を構成する各種部材同士の取付方法(又は接続方法)については任意であるが、例えば、取付側の部材又は取付相手側の部材に形成された取付孔(例えば、リベット孔、ネジ孔、ビス孔等)を介して、取付側の部材を取付相手側の部材に対して固定具(例えば、リベット、取付ネジ、ビス等)によって取り付ける(又は接続する)方法が採用されている。ただし、これに限られず、例えば、取付相手側の部材の一部をかしめることにより、取付側の部材を取付相手側の部材に対して取り付ける(又は接続する)方法が採用されてもよい。
【0023】
(構成−枠体)
枠体10は、建物の躯体2に形成された開口部3に設けられるものである。この枠体10は、複数の枠材を相互に組み合わせることによって構成されている。具体的には、複数の枠材は、左縦枠11、右縦枠12、及び水切り板13から構成されている。そして、これら左縦枠11、右縦枠12、及び水切り板13は、それぞれ開口部3の周縁における建物の躯体2の外面に公知の方法で直接的に固定されている。
【0024】
また、
図1、
図2に示すように、左縦枠11と右縦枠12の各々には、ガイドレール15が設けられている。ガイドレール15は、シャッターカーテン30を開口部3の開閉方向(すなわち、上下方向)に沿って移動するように案内するものである。このガイドレール15は、横断面形状が略コ字状となるように形成された長尺体であり、左縦枠11、右縦枠12の前面(すなわち、建物の躯体2外面)において、当該ガイドレール15の上下方向(長手方向)が左縦枠11と右縦枠12の各々の上下方向(長手方向)に略沿う方向で配置され、左縦枠11、右縦枠12に対して固定具等によって固定されている。
【0025】
(構成−シャッター収納部)
シャッター収納部20は、シャッター1の各部を収納するための中空体であり、建物における開口部3の上端近傍位置に取り付けられている。このシャッター収納部20の内部には、開閉機40と、巻き取り軸41とが収納されている。また、巻き取り軸41にてシャッターカーテン30が巻き取られた状態では、シャッターカーテン30の少なくとも一部も、シャッター収納部20の内部に収納される(なお、
図2では、開口部3を全開した状態において、巻き取り軸41によって巻装されたシャッターカーテン30の外縁を2点鎖線で示す)。このシャッター収納部20は、例えば、折り曲げ成形された複数のスチール製の板状体を固定具によって相互に接続して形成されており、建物の壁面に対して後述する引掛部50及び後述する被引掛部60を用いて取り付けられている。
【0026】
(構成−シャッターカーテン)
シャッターカーテン30は、巻き取り軸41によって巻き取り又は巻き出しされることで、開口部3を全開した状態(以下、「開口部全開状態」と称する)、開口部3を全閉した状態(以下、「開口部全閉状態」と称する)、あるいは半開状態とする遮蔽手段である。
図2に示すように、このシャッターカーテン30は、複数のスラット30aを備えて構成されており、各スラット30aの上下の両端部には嵌合部30bが設けられている。この嵌合部30bは、複数のスラット30aを相互に嵌合接続するために各スラット30aの上下の両端部に設けられたもので、当該両端部を屈曲させることによって形成されている。また、このシャッターカーテン30の左右方向(長手方向)の両端部の各々は、ガイドレール15のコ字状の開放端部を介して当該ガイドレール15の内部に挿入されており、上下方向においてはガイドレール15の内部をスライド移動可能であり、かつ、前後方向においてはガイドレール15の外部に脱落しないように規制されている。また、
図2に示すように、シャッターカーテン30の下端部には、座板31が設けられている。この座板31は、開口部全閉状態において枠体10の水切り板13と近接し、又は接触するように配置されたものであり、シャッターカーテン30の下端部の左右方向の略全長にわたって形成されている。また、座板31の上端部には嵌合部32が設けられており、この嵌合部32をシャッターカーテン30の最下方のスラット30aにおける下端部の嵌合部30bに嵌合させることで、座板31がシャッターカーテン30に取付けられている。
【0027】
(構成−開閉機)
開閉機40は、巻き取り軸41を回転駆動することによって電動でシャッターカーテン30を昇降させる昇降手段であり、操作スイッチ若しくはリモコン(図示せず)を介して操作される。
【0028】
(構成−巻き取り軸)
巻き取り軸41は、シャッターカーテン30を巻き取り又は巻き出すことにより、シャッターカーテン30を昇降させる昇降手段である。この巻き取り軸41は、シャッター収納部20の左右方向(長手方向)に沿って配置されており、この巻き取り軸41にはシャッターカーテン30の上端に連結された連結スラット(図示省略)が接続されていて、この巻き取り軸41を回転させることで、連結スラットを介してシャッターカーテン30を巻き取り又は巻き出すことができる。ただし、この巻き取り軸41は、例えば公知の巻き取り軸等によって構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0029】
(構成−シャッター収納部の取付構造)
次に、シャッター収納部20の取付構造について説明する。実施の形態1に係るシャッター1は、シャッター収納部20を建物の壁面に対して取り付けるための取付構造を備えている。また、
図4から
図6に示すように、この取付構造は、引掛部50と、被引掛部60とを備えている。ただし、引掛部50及び被引掛部60は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。ここで、この取付構造によるシャッター収納部20の取付方法を、以下説明する。具体的には、シャッター収納部20の側部のうち、左右の各側部には、建物の壁面側に位置する側部であって、左右の各側部から左右方向の内側に向けて張り出されるように形成された略矩形板状の側部(以下、「壁面側部21」と称する)が設けられている。そして、この壁面側部21の上端部及び下端部が、引掛部50及び被引掛部60を介して取り付けられている。より具体的には、
図3(a)、(b)に示すように、壁面側部21の上端部が、後述する被引掛部60の被引掛本体片61を介して後述する引掛部50の差込片52に引掛けられ、且つ、壁面側部21に設けられた略板状の張出片22が後述する引掛部50の支持片53に載置されることにより、シャッター収納部20が建物の壁面に対して取り付けられている。なお、この壁面側部21は、任意の方法で製造することができ、例えば、シャッター収納部20における左右の各側部の一部をそれぞれ折り曲げ形成することにより、左右の各側部と一体に形成することができる。また、上記左右の各側部に設けられた壁面側部21の具体的な形状や設置位置については任意であるが、実施の形態1においては、シャッター収納部20の左右方向の中心を通る上下方向に沿った中心軸に対して相互に左右対称となる形状及び設置位置に設定されている。
【0030】
(構成−シャッター収納部の取付構造−引掛部)
引掛部50は、被引掛部60を引掛けるための引掛手段である。
図4、
図6に示すように、この引掛部50は、建物の壁面のうちシャッター収納部20の各壁面側部21と対応する部分にそれぞれ設けられており、引掛本体片51、差込片52(差込部)、及び支持片53を備えている。
【0031】
引掛本体片51は、引掛部50の基本構造体である。この引掛本体片51は、略板状体に形成されており、具体的には、
図3、
図4に示すように、引掛本体片51の左右方向の長さ(幅)が壁面側部21の左右方向の長さ(幅)よりも若干長くなるように形成されていると共に、シャッター収納部20の上下方向の略全長にわたって形成されている。また、
図2、
図6に示すように、この引掛本体片51は、建物の壁面における開口部3よりも上方部分において、この上方部分と壁面側部21との相互間に挟持されるように設けられており、引掛本体片51に形成された複数の取付孔51aを介して固定具によって建物の壁面に接続されている。
【0032】
差込片52は、後述する第1突出片62の差込孔64に対して当該差込孔64の上方から下方に向けて差し込まれることにより、被引掛部60を引掛部50に引掛けることを可能にするものである。
図4、
図6に示すように、この差込片52は、引掛本体片51の上端部に設けられており、左右方向に直交する断面の形状がフック状であって、差込片52の先端部(差込片52の下端部)が差込片52の基部(差込片52の上端部)よりも建物の屋外側に位置する形状に形成された板状体にて形成されている。具体的には、
図3、
図4に示すように、差込片52の左右方向の長さ(幅)が引掛本体片51の左右方向の長さ(幅)よりも短く、差込片52の上下方向の長さ(高さ)が引掛本体片51の上下方向の長さ(高さ)よりも短く、且つ、差込片52の前後方向の長さ(厚さ)が引掛本体片51の前後方向の長さ(厚さ)と略同一となるように形成されている。
【0033】
また、差込片52の具体的な構成については任意であるが、実施の形態1においては、差込片52を後述する差込孔64に対して容易に差し込むことができるように形成されている。具体的には、
図4、
図6に示すように、差込片52のうち後述する差込孔64に挿通される部分52a(以下、「挿通部分52a」と称する)の先端部(挿通部分52aの下端部)が当該挿通部分52aの基部(挿通部分52aの上端部)よりも建物の屋外側に位置するように、挿通部分52aが屈曲されて形成されている。また、挿通部分52aの左右方向の長さ(幅)が、当該挿通部分52aの基部(挿通部分52aの上端部)から当該挿通部分52aの先端部(挿通部分52aの上端部)に至るにしたがって短くなるように形成されている。このような構成により、差込片52を後述する差込孔64に対して容易に差し込むことができるので、シャッター収納部20の取り付けを効率良く行うことが可能となる。
【0034】
支持片53は、シャッター収納部20を支持するためのものである。この支持片53は、略板状体に形成されており、具体的には、
図2、
図3に示すように、支持片53の左右方向の長さ(幅)が壁面側部21の張出片22の左右方向の長さ(幅)よりも長く、且つ、支持片53の前後方向の長さ(奥行き)が張出片22の前後方向の長さ(奥行き)と略同一の長さとなるように形成されている(なお、支持片53の左右方向の長さ(幅)については、これに限られず、例えば、張出片22の左右方向の長さ(幅)よりも短く、又は同一となるように形成されてもよい)。また、
図2、
図3に示すように、この支持片53は、建物の屋外側に向けて張り出すように設けられており、具体的には、壁面側部21の張出片22と対向すると共に、支持片53の先端部(支持片53の上端部)が支持片53の基部(支持片53の下端部)よりも上方に位置するように傾斜して設けられている(なお、壁面側部21の張出片22も、支持片53と同様に傾斜して設けられている)。これにより、支持片53が略水平に設けられている場合に比べて、シャッター収納部20を引掛部50から脱落させないように安定して支持することが可能となる。また、この支持片53には取付孔53aが形成されており、壁面側部21の張出片22に形成された取付孔23及び取付孔53aを介して、張出片22を支持片53に対して固定具によって接続することにより、シャッター収納部20を一層安定して支持することが可能となる。
【0035】
また、このような構成された引掛部50は、任意の方法で製造することができ、例えば、鋼製の板状体(具体的には、スチール製の板状体、ステンレス製の板状体等)を折り曲げ成形することによって、引掛本体片51、差込片52、及び支持片53を一体に成形し、この折り曲げ成形の前後のいずれかの時点で、複数の取付孔51aと取付孔53aとを打ち抜き形成することにより、引掛部50を製造することができる。
【0036】
(構成−シャッター収納部の取付構造−被引掛部)
被引掛部60は、引掛部50によって引掛けられる被引掛手段である。
図5、
図6に示すように、この被引掛部60は、左右方向に直交する断面の形状が略コ字状となる板状体であり、具体的には、シャッター収納部20の壁面側部21と対向する被引掛本体片61と、被引掛本体片61の上端部から建物の屋外側に向けて突出する第1突出片62(突出部)と、被引掛本体片61の下端部から建物の屋外側に向けて突出する第2突出片63とを有しており、シャッター収納部20の左右方向(長手方向)の全長にわたって形成されている。また、この被引掛部60は、壁面側部21の上端側に設けられており(
図6では、壁面側部21の上端部に設けられており)、具体的には、被引掛本体片61が壁面側部21と当接すると共に、第1突出片62がシャッター収納部20の上側部と当接するように設けられている。なお、シャッター収納部20の上側部のうち後述する差込孔64に対応する部分には切欠部(図示省略)が形成されているので、この切欠部を介して引掛部50の差込片52を後述する差込孔64に差し込むことができる。そして、この被引掛部60は、被引掛本体片61に形成された複数の取付孔61a及び壁面側部21に形成された複数の取付孔(図示省略)を介して壁面側部21に対して固定具66によって接続されていると共に、第1突出片62に形成された複数の取付孔62a及びシャッター収納部20の上側部に形成された複数の取付孔(図示省略)を介してシャッター収納部20の上側部に対して固定具67によって接続されている。
【0037】
また、この第1突出片62には、差込孔64と、変形抑制片65とが設けられている。
【0038】
差込孔64は、引掛部50の差込片52が差し込まれる開口である。
図5に示すように、この差込孔64は、第1突出片62における左端部の近傍部分及び右端部の近傍部分であって、シャッター収納部20の各壁面側部21に設けられた引掛部50の差込片52に対応する部分にそれぞれ形成されており、具体的には、
図3、
図5に示すように、差込孔64の左右方向の長さ(幅)が差込片52の左右方向の長さ(幅)よりも長くなるように形成されていると共に、第1突出片62の前後方向の全長にわたって形成されている(なお、差込孔64の前後方向の長さ(奥行き)については、これに限られず、例えば、第1突出片62の前後方向の長さ(奥行き)よりも短くなるように形成されてもよい)。このように形成された差込孔64に差込片52が差し込まれることにより、シャッター収納部20の壁面側部21の上端部を、被引掛本体片61を介して差込片52に引掛けることが可能となる。
【0039】
変形抑制片65は、引掛部50の差込片52の変形を抑制するための変形抑制手段である。ここで、変形抑制片65が設けられた理由は以下の通りである。すなわち、第1突出片62の構成として、変形抑制片65を設けることなく、単に差込孔64だけを設けることも考えられる。しかしながら、このような場合には、差込片52が差込孔64に差し込まれている状態(以下、「差込状態」と称する)においてシャッター収納部20の周辺で火災が発生した場合に、差込片52が火災の熱によって変形しやすくなることから、シャッター収納部20の自重により、差込片52の先端部が建物の壁面から離れるように差込片52が変形することに伴って、シャッター収納部20(特に、壁面側部21)が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜しやすくなることが想定される。これにより、例えば、シャッター収納部20と建物の壁面との相互間に生じた隙間を介して火炎等が流入又は流出したり、当該隙間の大きさが上記炉内貫通が生じる程度の大きさになるという可能性があった。そこで、このような問題を解消するために、変形抑制片65が設けられている。
図5、
図6に示すように、この変形抑制片65は、第1突出片62に設けられており、略板状体にて形成され、第1突出片62の左右方向の全長にわたって形成されている。
【0040】
ここで、この変形抑制片65の設置位置及び形状については、差込状態において上記火災が発生した場合に、変形抑制片65と差込片52とが当接することで、壁面側部21が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜するように差込片52が上記火災の熱によって変形することを抑制することができる限り、任意に設定することができる。実施の形態1では、変形抑制片65の設置位置については、変形抑制片65が、第1突出片62のうち差込孔64よりも当該第1突出片62の先端部側(
図6では、第1突出片62における建物の屋外側の端部)において下方に向けて張り出すように設けられており、具体的には、
図6に示すように、変形抑制片65が上下方向に略沿うように設けられている。この第1突出片62の前後方向の長さ(奥行き)は、第1突出片62の製造性を確保しながら、差込片52の挿通部分52aが差込孔64に差し込み易く、且つ、差込状態において上記火災が発生した場合に差込片52の変形が比較的小さい段階で挿通部分52aを変形抑制片65に当接させることができるように、可能な限り短い長さに設定されることが望ましい。また、変形抑制片65の上下方向の長さ(高さ)については、差込状態において上記火災が発生した場合に、差込片52の変形が比較的小さい段階において、挿通部分52aの先端部(挿通部分52aの下端部)が変形抑制片65の先端部(変形抑制片65の下端部)と当接し、且つ、挿通部分52aの基部(挿通部分52aの上端部)が被引掛本体片61と当接することにより、引掛部50を被引掛部60に対して強固に引掛けることができるように、可能な限り長い長さに設定されている。具体的には、上記火災の熱による差込片52の変形を抑制するために必要な当該長さが、差込片52の形状(例えば、挿通部分52aの上下方向の長さ(高さ)及び屈曲角度等)に応じて異なり得ることから、実験結果等に基づいて設定されており、より具体的には、
図5から
図7に示すように、差込片52の上下方向の長さ(高さ)よりも短い長さであって、上記火災が発生した場合にのみ、変形抑制片65が挿通部分52aと当接することが可能な長さに設定されている。なお、この変形抑制片65の上下方向の長さ(高さ)については、これに限られず、差込片52の上下方向の長さ(高さ)よりも長い長さ、又は略同一の長さに設定されてもよい。この場合には、差込状態において上記火災が発生した場合に、挿通部分52aの先端部(挿通部分52aの下端部)が変形抑制片65の先端部(変形抑制片65の下端部)又は変形抑制片65における建物の屋内側の側面と当接し、且つ、挿通部分52aの基部(挿通部分52aの上端部)が被引掛本体片61と当接することとなる。また、変形抑制片65の前後方向の長さ(厚さ)については、差込状態において上記火災が発生した場合に、変形抑制片65と挿通部分52aとの当接後に、変形抑制片65が挿通部分52aによって押圧されることに耐え得ることが可能な長さに設定されている。具体的には、この挿通部分52aによって押圧されることに耐え得るために必要な当該長さが、変形抑制片65の材質に応じて異なり得ることから、実験結果等に基づいて設定されており、より具体的には、
図5、
図6に示すように、第1突出片62の上下方向の長さ(厚さ)と略同一の長さに設定されている。
【0041】
また、このように構成された被引掛部60は、任意の方法で製造することができ、例えば、鋼製の板状体を折り曲げ成形することによって、被引掛本体片61、第1突出片62、第2突出片63、及び変形抑制片65を一体に成形し、この折り曲げ成形の前後のいずれかの時点で、複数の差込孔64、複数の取付孔61a、及び複数の取付孔62aを打ち抜き形成することにより、被引掛部60を製造することができる。
【0042】
以上のような取付構造により、差込状態において上記火災が発生した場合に、変形抑制片65と差込片52とが当接することで、壁面側部21が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜するように、差込片52が上記火災の熱によって変形することを抑制することができ、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜することを抑制することが可能となる。また、特に、変形抑制片65が、第1突出片62のうち差込孔64よりも当該第1突出片62の先端部側において、下方に向けて張り出すように設けられているので、差込状態において上記火災が発生した場合に、変形抑制片65が下方に向けて張り出されていない場合に比べて、差込片52の変形が比較的小さい段階で差込片52を変形抑制片65に当接させることができ、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜することを一層抑制することが可能となる。
【0043】
このように構成されたシャッター収納部20の取付構造の作用は、以下の通りである。まず、
図7に示すように、シャッター収納部20の周辺のうち建物の屋外側で火災が発生した場合に、当該火災の熱によって引掛部50が加熱されることで、シャッター収納部20の自重により、差込片52の先端部(差込片52の下端部)が建物の壁面から離れるように差込片52が変形する。この場合において、この差込片52の変形に伴って、シャッター収納部20(特に、壁面側部21)が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜しようとすると、差込片52における挿通部分52aの先端部(挿通部分52aの下端部)が変形抑制片65の先端部(変形抑制片65の下端部)又は変形抑制片65における建物の屋内側の側面と当接し、且つ、この挿通部分52aの基部(挿通部分52aの上端部)が被引掛本体片61と当接することにより、差込片52の変形が抑制される。これにより、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜することを抑制することができるので、例えば、シャッター収納部20と建物の壁面との相互間に生じた隙間を介して火炎等が流入又は流出したり、当該隙間の大きさが上記炉内貫通が生じる程度の大きさになることを防止できる。
【0044】
(構成−座板の構成の詳細)
次に、シャッターカーテン30の座板31の構成の詳細について説明する。ただし、座板31は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。実施の形態1においては、
図8に示すように、座板31は、座板本体片70、取付片71、72、及び把持片73を備えて構成されている。ここで、座板本体片70は、座板31の基本構造体であり、シャッターカーテン30の左右方向の全長にわたって形成されており、上下方向に略沿うように設けられている。取付片71、72は、後述する施錠装置80を挟持することで座板31に取り付けるためのものであり、座板本体片70から建物の屋内側(後方)に向けて張り出すようにそれぞれ形成されている。把持片73は、ユーザが建物の屋内側からシャッターカーテン30を手動で昇降する際に、シャッターカーテン30を把持するためのものであり、本体片から建物の屋内側に向けて張り出すように形成されている。
【0045】
また、この座板31には、施錠装置80が設けられている。施錠装置80は、シャッターカーテン30を施錠するための施錠手段である。
図2、
図8に示すように、この施錠装置80は、取付片71、72によって座板31に対して取り付けられており、中空箱状の筐体に、左右方向に沿って配置された一対のラッチバー81と、一対のラッチバー81の各々の左右方向の外端に設けられたラッチ82と、操作レバー83とを備えて構成されている。そして、ユーザが操作レバー83を介して所定操作を行うことにより、ラッチ82をガイドレール15の内部のラッチ受け部(図示省略)に係止させることで、シャッターカーテン30を施錠することができる。
【0046】
ここで、
図8に示すように、取付片71、72によって形成される空間(以下、「収容空間」と称する)の前後方向の長さ(奥行き)がラッチ82の前後方向の長さ(奥行き)よりも長く設定されている場合(又は、収容空間の上下方向の長さ(高さ)がラッチ82の上下方向の長さ(高さ)よりも長く設定されて場合)には、収容空間とラッチ82との相互間に隙間が生じることとなる。これにより、施錠装置80の操作時においてラッチバー81が左右方向に向けて移動する際には、ラッチバー81が前後方向(又は上下方向)にばたつきやすくなることから、ラッチバー81と取付片71、72との接触による接触音が生じやすくなる可能性があった。そこで、このような問題を解消するために、実施の形態1においては、ラッチバー81における移動時のばたつきを抑制するための抑制部材84が設けられている。
図9(a)に示すように、この抑制部材84は、左右方向に直交する断面の形状が略コ字状となる板状体であり、具体的には、取付片71側に位置する第1抑制片84aと、取付片72側に位置する第2抑制片84bと、第1抑制片84a及び第2抑制片84bとの相互間に位置する第3抑制片84cとを有している。また、これら第1抑制片84a及び第2抑制片84bの各々の先端部には、抑制部材84が取付片71、72から脱落することを防止するための脱落防止部84dが設けられており、この脱落防止部84dが上下方向の外側に向けて張り出すように配置されている。そして、
図8、
図9(b)、(c)に示すように、施錠装置80が座板31に取り付けられている状態において、ラッチバー81が座板本体片70に密着するように、第1抑制片84a及び第2抑制片84bの各々の先端部によってラッチバー81が押圧され、且つ、第1抑制片84a及び第2抑制片84bが取付片71、72によって挟み込まれるように、抑制部材84が座板31に設置されることで、ラッチバー81が座板31に密着した状態を維持できる。このような抑制部材84により、施錠装置80の操作時においてラッチバー81を左右方向に向けて移動させた場合には、ラッチバー81が前後方向(又は上下方向)にばたつくことを抑制できるので、上記接触音の発生を低減することが可能となる。なお、この抑制部材84の設置数については任意であるが、例えば、上記接触音の発生を低減しながら、ラッチバー81の左右方向の移動を妨げることを抑制可能な設置数に設定されることが望ましい。また、このように構成された抑制部材84は任意の材質で製造することができ、例えば、
図9(b)、(c)に示すように、取付片71、72間の間隔に応じて第1抑制片84aと第2抑制片84bとの相互間の間隔が調整できるように、弾性変形可能な材質(例えば、ゴム等の樹脂材等)で製造することができる。
【0047】
(効果)
このように実施の形態1によれば、第1突出片62が変形抑制片65を備え、変形抑制片65により、差込状態においてシャッター収納部20の周辺で火災が発生した場合に、当該変形抑制片65と差込片52とが当接することで、壁面側部21が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜するように当該差込片52が火災の熱によって変形することを抑制可能としたので、差込状態において上記火災が発生した場合に、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜することを抑制することが可能となる。よって、例えば、シャッター収納部20と建物の壁面との相互間に生じた隙間を介して火炎等が流入又は流出したり、当該隙間の大きさが上記炉内貫通が生じる程度の大きさになることを防止できる。
【0048】
また、変形抑制片65を、第1突出片62のうち差込孔64よりも当該第1突出片62の先端部側において下方に向けて張り出すように設けたので、差込状態において上記火災が発生した場合に、変形抑制片65が下方に向けて張り出されていない場合に比べて、差込片52の変形が比較的小さい段階で差込片52を変形抑制片65に当接させることができ、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜することを一層抑制することが可能となる。
【0049】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2に係るシャッター収納部の取付構造について説明する。この実施の形態2は、実施の形態1の変形抑制片の設置方法とは異なる形態であって、変形抑制片を被引掛部の第1突出片に設けた形態である。ただし、この実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0050】
(構成)
まず、実施の形態2に係るシャッターの構成について説明する。実施の形態2に係るシャッター1については、実施の形態1に係るシャッター1とほぼ同様に構成されている。ただし、シャッター収納部20の取付構造の構成については、下記に示す工夫が施されている。
【0051】
(構成−シャッター収納部の取付構造)
次に、シャッター収納部20の取付構造について説明する。実施の形態2に係るシャッター収納部20の取付構造は、実施の形態1に係るシャッター収納部20の取付構造と同様に、引掛部50と、被引掛部60とを備えている。ここで、被引掛部60の変形抑制片65の設置位置については、実施の形態2においては、実施の形態1に係る変形抑制片65よりも、引掛部50の差込片52の変形が小さい段階で差込片52を変形抑制片65に当接させることができるように設定されている。具体的には、
図10、
図11に示すように、変形抑制片65が、第1突出片62のうち差込孔64よりも当該第1突出片62の先端部側(
図10では、第1突出片62における建物の屋外側の端部)において、下方に向けて張り出すように設けられ、且つ、変形抑制片65の先端部(変形抑制片65の下端部)が当該変形抑制片65の基部(変形抑制片65の上端部)よりも建物の壁面側(建物の屋内側)に位置するように、当該変形抑制片65が傾斜するように設けられている。また、変形抑制片65の傾斜角度については、上記火災が発生した場合にのみ、変形抑制片65が差込片52の挿通部分52aと当接することが可能である限り、任意に設定することができる。実施の形態2においては、変形抑制片65によって差込片52の差込孔64への差し込みが阻害されることを回避しながら、差込状態において上記火災が発生した場合に、挿通部分52aの先端部(挿通部分52aの下端部)又は挿通部分52aにおける建物の屋外側の側面が変形抑制片65の先端部(変形抑制片65の下端部)と当接し、且つ、挿通部分52aの基部(挿通部分52aの上端部)が被引掛本体片61と当接することにより、引掛部50を被引掛部60に対して強固に引掛けることができるように、可能な限り急な角度に設定されている。具体的には、上記火災の熱による差込片52の変形を抑制するために必要な当該傾斜角度が、差込片52の形状(例えば、挿通部分52aの上下方向の長さ(高さ)及び屈曲角度等)に応じて異なり得ることから、実験結果等に基づいて設定されている。また、変形抑制片65の前後方向の長さについては、変形抑制片65の先端部(変形抑制片65の下端部)と被引掛本体片61との隙間の寸法が、挿通部分52aが当該隙間を通ることができる限り、できるだけ小さい寸法となるように設定することが好ましい。
【0052】
このような取付構造により、差込状態において上記火災が発生した場合に、実施の形態1に係る変形抑制片65よりも、差込片52の変形が小さい段階で差込片52を変形抑制片65に当接させることができるので、実施の形態1に係る取付構造に比べて、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜することを一層抑制することが可能となる。
【0053】
(効果)
このように実施の形態2によれば、変形抑制片65の先端部が当該変形抑制片65の基部よりも建物の壁面側に位置するように、当該変形抑制片65を傾斜させたので、差込状態において上記火災が発生した場合に、変形抑制片65を上下方向に沿うように設けた場合に比べて、差込片52の変形が小さい段階で差込片52を変形抑制片65に当接させることができ、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜することをさらに一層抑制することが可能となる。
【0054】
〔実施の形態3〕
次に、実施の形態3に係るシャッター収納部の取付構造について説明する。この実施の形態3は、変形抑制片を被引掛部の第1突出片及び引掛部の差込片に設けた形態である。ただし、この実施の形態3の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0055】
(構成)
まず、実施の形態3に係るシャッターの構成について説明する。実施の形態3に係るシャッター1については、実施の形態1に係るシャッター1とほぼ同様に構成されている。ただし、シャッター収納部20の取付構造の構成については、下記に示す工夫が施されている。
【0056】
(構成−シャッター収納部の取付構造)
次に、シャッター収納部20の取付構造について説明する。実施の形態3に係るシャッター収納部20の取付構造は、実施の形態1に係るシャッター収納部20の取付構造と同様に、引掛部50と、被引掛部60とを備えている。
【0057】
(構成−シャッター収納部の取付構造−被引掛部)
被引掛部60は、
図12、
図14に示すように、壁面側部21の上端側に設けられており(
図14では、壁面側部21の上端部に設けられており)、被引掛本体片61、第1突出片62、及び第2突出片63を有している。また、この第1突出片62には、差込孔64、及び第1変形抑制片101が設けられている。
【0058】
差込孔64は、第1突出片62における左端部の近傍部分及び右端部の近傍部分にそれぞれ形成されており、具体的には、
図12に示すように、差込孔64の左右方向の長さ(幅)が差込片52の左右方向の長さ(幅)よりも長くなるように形成されていると共に、差込孔64の前後方向の長さ(奥行き)が第1突出片62の前後方向の長さ(奥行き)よりも短くなるように形成されている。
【0059】
第1変形抑制片101は、引掛部50の差込片52の変形を抑制するための第1変形抑制手段である。
図12に示すように、この第1変形抑制片101は、略板状体にて形成されており、第1突出片62のうち各差込孔64の近傍部分にそれぞれ設けられている。ここで、第1変形抑制片101の設置位置及び形状については、差込状態において上記火災が発生した場合に、第1変形抑制片101と後述する第2変形抑制片102とが当接することで、壁面側部21が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜するように、差込片52が上記火災の熱によって変形することを抑制することができる限り、任意に設定することができる。実施の形態3では、第1変形抑制片101の設置位置については、第1突出片62のうち差込孔64よりも当該第1突出片62の先端部側(
図12では、第1突出片62における建物の屋外側の端部)に設けられており、具体的には、
図12、
図14に示すように、第1変形抑制片101が略水平に設けられている。また、第1変形抑制片101の左右方向の長さ(幅)及び前後方向の長さ(奥行き)については、差込状態において上記火災が発生した場合に、第1変形抑制片101が後述する第2変形抑制片102と確実に当接することが可能な長さに設定されている。具体的には、第1変形抑制片101と後述する第2変形抑制片102とを当接させるために必要な当該長さが、第2変形抑制片102の形状に応じて異なり得ることから、実験結果等に基づいて設定されており、より具体的には、
図12に示すように、第1変形抑制片101の左右方向の長さ(幅)が差込孔64の左右方向の長さ(幅)と略同一となり、第1変形抑制片101の前後方向の長さ(奥行き)が差込孔64の前後方向の長さ(奥行き)よりも短くなるように設定されている(なお、第1変形抑制片101の前後方向の長さ(奥行き)については、これに限られず、例えば、差込孔64の前後方向の長さ(奥行き)よりも長く、又は同一となるように設定されてもよい)。また、第1変形抑制片101の上下方向の長さ(厚さ)については、差込状態において上記火災が発生した場合に、第1変形抑制片101と後述する第2変形抑制片102との当接後に、第1変形抑制片101が後述する第2変形抑制片102によって押圧されることに耐え得ることが可能な長さに設定されている。具体的には、後述する第2変形抑制片102によって押圧されることに耐え得るために必要な当該長さが、第1変形抑制片101の材質に応じて異なり得ることから、実験結果等に基づいて設定されており、より具体的には、
図12に示すように、第1突出片62の上下方向の長さ(厚さ)と略同一に設定されている。
【0060】
また、このように構成された被引掛部60は、任意の方法で製造することができ、例えば、鋼製の板状体を折り曲げ成形することによって、被引掛本体片61、第1突出片62、及び第2突出片63を一体に成形し、この折り曲げ成形の前後のいずれかの時点で、複数の取付孔61a、及び複数の取付孔62aを打ち抜き形成すると共に、複数の差込孔64を打ち抜き形成することで複数の第1変形抑制片101を形成することにより、被引掛部60を製造することができる。
【0061】
(構成−シャッター収納部の取付構造−引掛部)
引掛部50は、
図14に示すように、建物の壁面のうちシャッター収納部20の各壁面側部21と対応する部分にそれぞれ設けられており、引掛本体片51、差込片52、及び支持片53を備えている。また、この差込片52には、第2変形抑制片102が設けられている。
【0062】
第2変形抑制片102は、差込片52の変形を抑制するための第2変形抑制手段である。
図13に示すように、この第2変形抑制片102は、略板状体であり、差込片52における挿通部分52aの先端部(
図13では、挿通部分52aにおける建物の屋外側の端部)に設けられている。ここで、この第2変形抑制片102の設置位置及び形状については、差込状態において上記火災が発生した場合に、第1変形抑制片101と第2変形抑制片102とが当接することで、壁面側部21が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜するように差込片52が上記火災の熱によって変形することを抑制することができる限り、任意に設定することができる。実施の形態3において、第2変形抑制片102の設置位置については、第2変形抑制片102が、挿通部分52aから上方に向けて張り出すように設けられており、具体的には、
図13、
図14に示すように、第2変形抑制片102の先端部(第2変形抑制片102の上端部)が当該第2変形抑制片102の基部(第2変形抑制片102の下端部)よりも建物の屋外側に位置するように、当該第2変形抑制片102が設けられている。また、第2変形抑制片102の前後方向の長さ(奥行き)については、第2変形抑制片102によって差込片52の差込孔64への差し込みが阻害されることを回避しながら、差込状態において上記火災が発生した場合に、差込片52の変形が比較的小さい段階において、第2変形抑制片102の先端部(第2変形抑制片102の上端部)が第1変形抑制片101の先端部(第1変形抑制片101の下端部)と当接し、且つ、挿通部分52aの基部(挿通部分52aの上端部)が被引掛本体片61と当接することにより、引掛部50を被引掛部60に対して強固に引掛けることができるように、可能な限り長い長さに設定されている。具体的には、上記火災の熱による差込片52の変形を抑制するために必要な当該長さが、差込片52の形状(例えば、挿通部分52aの屈曲角度等)に応じて異なり得ることから、実験結果等に基づいて設定されており、より具体的には、
図13、
図14に示すように、差込孔64の前後方向の長さ(奥行き)よりも短い長さであって、上記火災が発生した場合にのみ、第2変形抑制片102が第1変形抑制片101と当接することが可能な長さに設定されている。また、第2変形抑制片102の上下方向の長さ(厚さ)については、差込状態において上記火災が発生したことで、第2変形抑制片102が第1変形抑制片101を押圧した際に、第2変形抑制片102が変形しにくくなる長さに設定されており、具体的には、
図13に示すように、差込片52の前後方向の長さ(厚さ)と略同一に設定されている。
【0063】
また、このような構成された引掛部50は、任意の方法で製造することができ、例えば、鋼製の板状体(具体的には、スチール製の板状体、ステンレス製の板状体等)を折り曲げ成形することによって、引掛本体片51、差込片52、支持片53、及び第2変形抑制片102を一体に成形し、この折り曲げ成形の前後のいずれかの時点で、複数の取付孔51a及び取付孔53aを打ち抜き形成することにより、引掛部50を製造することができる。
【0064】
このような取付構造により、差込状態において上記火災が発生した場合に、第2変形抑制片102が差込片52の挿通部分52aから上方に向けて張り出されていない場合に比べて、差込片52の変形が比較的小さい段階で第2変形抑制片102を第1変形抑制片101と当接させることができ、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に傾くことを一層抑制することが可能となる。
【0065】
(効果)
このように実施の形態3によれば、第1変形抑制片101を、第1突出片62のうち差込孔64よりも当第1突出片62の先端部側に設け、差込状態において火災が発生した場合に第2変形抑制片102が第1変形抑制片101と当接するように、当該第2変形抑制片102を、差込片52の挿通部分52aから上方に向けて張り出すように設けたので、差込状態において上記火災が発生した場合に、第2変形抑制片102が差込片52の挿通部分52aから上方に向けて張り出されていない場合に比べて、差込片52の変形が比較的小さい段階で第2変形抑制片102を第1変形抑制片101と当接させることができ、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に傾くことを一層抑制することが可能となる。
【0066】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0067】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係るシャッター収納部20の周辺で火災が発生した場合に、シャッター収納部20が建物の壁面側とは反対側(建物の屋外側)に向けて傾斜したとしても、シャッター収納部20と建物の壁面との相互間に生じた隙間を介して火炎等が流入又は流出することを防止できたり、又は、当該隙間の大きさが、上記炉内貫通が生じる程度の大きさになることを防止できる場合には、本願の課題は解決している。
【0068】
(引掛部について)
上記実施の形態1から3では、建物の壁面のうちシャッター収納部20における左側の壁面側部21及び右側の壁面側部21と対応する部分に、引掛部50をそれぞれ設けると説明したが、これに限られず、任意の位置に設けてもよい。例えば、シャッター収納部20の左右方向の長さ(幅)が比較的長い場合(例えば、シャッター収納部20の左右方向の長さが2000mm以上となる場合等)には、建物の壁面のうちシャッター収納部20の左右方向中央に対応する部分に、引掛部50をさらに設けてもよい。この場合において、実施の形態1、2では、被引掛部60における第1突出片62の左右方向の中央部に、差込孔64がさらに設けられる。また、実施の形態3では、被引掛部60における第1突出片62の左右方向の中央部に、差込孔64及び第1変形抑制片101がさらに設けられる。
【0069】
(被引掛部について)
上記実施の形態1、2では、被引掛部60が、壁面側部21の上端部に設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、被引掛部60の設置スペースに制約がある場合には、被引掛部60は、壁面側部21のうち上端部よりも下方に位置する部分に設けられてもよい。
【0070】
(変形抑制片について)
上記実施の形態1、2では、変形抑制片65が板状体にて形成されていると説明したが、これに限られず、例えば、柱状体、棒状体等にて形成されてもよい(なお、実施の形態3に係る第1変形抑制片101及び第2変形抑制片102についても同様とする)。
【0071】
また、上記実施の形態1、2では、変形抑制片65が、第1突出片62における建物の屋外側の端部に設けられていると説明したが、これに限られず、第1突出片62のうち差込孔64よりも当該第1突出片62の先端部側(第1突出片62における建物の屋外側の端部側)の部分であれば、どの部分に設けられてもよい。例えば、差込状態において上記火災が発生した場合に、差込片52の変形が比較的小さい段階で差込片52の挿通部分52aを変形抑制片65に当接させることができるように、変形抑制片65は、第1突出片62のうち建物の屋外側の端部よりも若干建物の屋内側に位置する部分に設けられてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態3では、第1変形抑制片101が略水平に設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、差込状態において上記火災が発生した場合に、差込片52の変形が比較的小さい段階において、第2変形抑制片102の先端部(第2変形抑制片102の上端部)が第1変形抑制片101と当接できるように、第1変形抑制片101が、第1突出片62のうち差込孔64よりも当該第1突出片62の先端部側から下方に向けて張り出すように設けられてもよく、具体的には、第1変形抑制片101が上下方向に略沿うように設けられたり、又は、第1変形抑制片101の先端部(第1変形抑制片101の下端部)が当該第1変形抑制片101の基部(第1変形抑制片101の上端部)よりも建物の壁面側(建物の屋内側)に位置するように、当該第1変形抑制片101が傾斜するように設けられてもよい。また、上記実施の形態3では、差込片52に第2変形抑制片102を設けると説明したが、これに限られない。例えば、
図15に示すように、差込状態において上記火災が発生した場合に、差込片52の変形が比較的小さい段階において、差込片52の先端部(差込片52の上端部)が第1変形抑制片101と当接し、且つ、差込片52の挿通部分52aの基部(挿通部分52aの上端部)が被引掛本体片61と当接することにより、引掛部50を被引掛部60に対して強固に引掛けることができる場合には、第2変形抑制片102を省略してもよい。
【0073】
また、上記実施の形態3では、差込片52における挿通部分52aの先端部に第2変形抑制片102を設けていると説明したが、これに限られない。例えば、引掛部50の製造上の制約により、第2変形抑制片102を挿通部分52aの先端部に設けることができない場合には、第2変形抑制片102を挿通部分52aの左端部及び右端部に設けてもよく、具体的には、
図16に示すように、引掛部50の差込片52の左右両端部の各々から左右方向の外側に向けて張り出すように設けてもよい。この場合において、第2変形抑制片102の形成方法については任意であるが、例えば、差込片52と一体に形成されてもよい。また、被引掛部60における第1突出片62の差込孔64は、具体的には、差込片52を当該差込孔64に差し込むことができると共に、差込状態において上記火災が発生した場合に、各第2変形抑制片102が対応する第1変形抑制片101と当接することが可能な形状に形成される。例えば、
図16に示すように、差込孔64における建物の屋外側の部分の左右方向の長さ(幅)が、差込片52の左右方向の長さ(幅)及び2つの第2変形抑制片102の左右方向の長さ(幅)の合計長さよりも短く、差込孔64における建物の屋内側の部分の左右方向の長さ(幅)が上記合計長さよりも長くなるように、略凸状に形成されてもよい。あるいは、これに限られず、例えば、
図16に示す被引掛部60において、2つの第1変形抑制片101同士が左右方向に略沿って連接されたものが用いられてもよい。この場合において、差込孔64の左右方向の長さ(幅)については、
図16に示したものと同様に、差込片52を当該差込孔64に差し込むことができるように、上記合計長さよりも長くなる形状にて形成される。このような構成により、差込状態において上記火災が発生した場合に、第2変形抑制片102が第1変形抑制片101と当接させるだけでなく、挿通部分52aが第1変形抑制片101と当接させることが可能となる。
【0074】
(付記)
付記1のシャッター収納部の取付構造は、シャッターカーテンを収容するシャッター収納部を建物の壁面に対して取り付けるための取付構造であって、前記シャッター収納部の側部のうち、前記建物の壁面側に位置する壁面側部の上端側に設けられた被引掛手段と、前記建物の壁面に設けられた引掛手段であって、前記被引掛手段を引掛けるための引掛手段と、を備え、前記被引掛手段は、前記建物の壁面側とは反対側に向けて突出する突出部を備え、前記引掛手段は、前記突出部に形成された差込孔に対して当該差込孔の上方から下方に向けて差し込まれることにより、前記被引掛手段を当該引掛手段に引掛けることが可能な差込部を備え、前記突出部又は前記差込部の少なくともいずれか一方は、前記差込部の変形を抑制するための変形抑制手段を備え、前記変形抑制手段により、前記差込部が前記差込孔に差し込まれている差込状態において前記シャッター収納部の周辺で火災が発生した場合に、当該変形抑制手段と前記突出部又は当該差込部のいずれか他方とが当接することで、前記壁面側部が前記建物の壁面側とは反対側に向けて傾斜するように当該差込部が前記火災の熱によって変形することを抑制可能とした。
【0075】
付記2のシャッター収納部の取付構造は、付記1に記載のシャッター収納部の取付構造において、前記変形抑制手段を、前記突出部のうち前記差込孔よりも当該突出部の先端部側において下方に向けて張り出すように設けた。
【0076】
付記3のシャッター収納部の取付構造は、付記2に記載のシャッター収納部の取付構造において、前記変形抑制手段の先端部が当該変形抑制手段の基部よりも前記建物の壁面側に位置するように、当該変形抑制手段を傾斜させた。
【0077】
付記4のシャッター収納部の取付構造は、付記1に記載のシャッター収納部の取付構造において、前記変形抑制手段は、前記突出部に設けられた第1変形抑制手段と、前記差込部に設けられた第2変形抑制手段と、を備え、前記第1変形抑制手段を、前記突出部のうち前記差込孔よりも当該突出部の先端部側に設け、前記差込状態において前記火災が発生した場合に前記第2変形抑制手段が前記第1変形抑制手段と当接するように、当該第2変形抑制手段を、前記差込部のうち前記差込孔に挿通される挿通部分から上方に向けて張り出すように設けた。
【0078】
(付記の効果)
付記1に記載のシャッター収納部の取付構造によれば、突出部又は差込部の少なくともいずれか一方が変形抑制手段を備え、変形抑制手段により、差込状態においてシャッター収納部の周辺で火災が発生した場合に、当該変形抑制手段と突出部又は当該差込部のいずれか他方とが当接することで、壁面側部が建物の壁面側とは反対側に向けて傾斜するように当該差込部が火災の熱によって変形することを抑制可能としたので、差込状態において上記火災が発生した場合に、シャッター収納部が建物の壁面側とは反対側に向けて傾斜することを抑制することが可能となる。よって、例えば、シャッター収納部と建物の壁面との相互間に生じた隙間を介して火炎等が流入又は流出したり、当該隙間の大きさが上記炉内貫通が生じる程度の大きさになることを防止できる。
【0079】
付記2に記載のシャッター収納部の取付構造によれば、変形抑制手段を、突出部のうち差込孔よりも当該突出部の先端部側において下方に向けて張り出すように設けたので、差込状態において上記火災が発生した場合に、変形抑制手段が下方に向けて張り出されていない場合に比べて、差込部の変形が比較的小さい段階で差込部を変形抑制手段に当接させることができ、シャッター収納部が建物の壁面側とは反対側に向けて傾斜することを一層抑制することが可能となる。
【0080】
付記3に記載のシャッター収納部の取付構造によれば、変形抑制手段の先端部が当該変形抑制手段の基部よりも建物の壁面側に位置するように、当該変形抑制手段を傾斜させたので、差込状態において上記火災が発生した場合に、変形抑制手段を上下方向に沿うように設けた場合に比べて、差込部の変形が小さい段階で差込部を変形抑制手段に当接させることができ、シャッター収納部が建物の壁面側とは反対側に向けて傾斜することをさらに一層抑制することが可能となる。
【0081】
付記4に記載のシャッター収納部の取付構造によれば、第1変形抑制手段を、突出部のうち差込孔よりも当該突出部の先端部側に設け、差込状態において火災が発生した場合に第2変形抑制手段が第1変形抑制手段と当接するように、当該第2変形抑制手段を、差込部の挿通部分から上方に向けて張り出すように設けたので、差込状態において上記火災が発生した場合に、第2変形抑制手段が差込部の挿通部分から上方に向けて張り出されていない場合に比べて、差込部の変形が比較的小さい段階で第2変形抑制手段を第1変形抑制手段と当接させることができ、シャッター収納部が建物の壁面側とは反対側に傾くことを一層抑制することが可能となる。