(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、特許文献1にあるように、感温素子(熱式センサ)を用いて風量を測定する場合には、測定装置を小型化にすることはできるものの、風量しか測定することができず、風量に対する通風抵抗を測定することができなかった。
【0006】
また、特許文献2にあるように、圧力センサを用いて風量を測定する場合には、風量及び通風抵抗を測定することが可能になるものの、予め定められたチャンバの大きさやノズルの開口面積等に対応した範囲の風量しか測定することができず、情報基地局などのサーバ、電源装置、計測器、換気扇、エアーカーテン、排気ダクト、コンプレサー、ファン等の風が流れる装置(以下「風流装置」という)から送風された様々な範囲の風量及び通風抵抗を測定することが困難であり、汎用性に乏しかった。
【0007】
例えば、大きい風量のときには大きい開口面積のノズルが必要となり、小さい風量のときには小さい開口面積のノズルが必要となる。これは、大きい風量のときに小さい開口面積のノズルを用いると、ノズルから戻される気流の渦等により最適な圧力差を得ることができず、小さい風量のときに大きい開口面積のノズルを用いると、チャンバ間の圧力差が僅かな値となってしまい、風量及び通風抵抗の測定の精度が著しく低下してしまうからである。
【0008】
さらには、チャンバの大きさとノズルに設けられた開口部の位置との関係性も、計測可能な風量の範囲に影響を与えることになり、予め定められたチャンバの大きさとノズルに設けられた開口部の位置等に対応した風量及び通風抵抗しか計測することができなかった。
【0009】
本発明の目的は、上記事情を鑑みて発明されたものであり、風量及び通風抵抗を測定する測定装置として、様々な範囲の風量に対応した汎用性の高い測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る測定装置は、外部から送風された空気を取り入れる取入口を有する通風路が形成されたケーシングを備え、風量及び通風抵抗を測定する測定装置であって、前記通風路には、前記取入口から取り入れた空気を整流するための整流格子と、前記整流格子を通過した空気を取り入れる第1のチャンバと、前記第1のチャンバが取り入れた空気が通過可能な開口部が形成された開口板と、前記開口板の開口部を通過した空気を取り入れる第2のチャンバと、前記取入口から前記整流格子までの空気の第1の圧力と、前記第1のチャンバにおける空気の第2の圧力と、前記第2のチャンバにおける空気の第3の圧力とを計測するための圧力センサと、が備えられており、前記ケーシングには、前記開口板を取り換え可能にするために、前記通風路の側面を開口させた特定開口部が形成されており、前記特定開口部を開閉可能な開閉部を備えたことを特徴とする。
これにより、開閉部により通風路の側面を開口させて、様々な種類の開口板に変更することができるので、風量及び通風抵抗を測定する測定装置の汎用性を高めることができる。さらには、チャンバの大きさを基準とした場合に、そのチャンバの大きさに対応した開口板の開口面積及び開口の位置を定めることもできるので、チャンバの大きさを必要以上に大型化にせずに、計測装置の小型化を図ることもできる。
【0011】
また、本発明に係る測定装置は、前記ケーシングは、樹脂材で構成され、前記ケーシングには、前記圧力センサと接続され、風量及び通風抵抗を算出する制御基板と、前記制御基板により算出された風量及び通風抵抗を表示する表示部と、が取り付けられていることを特徴とする。
これにより、ケーシングの軽量化が図られ、制御基板と表示部とが計測装置に取り付けられていることから、計測・算出・表示に関する機能が1つにまとめられており、軽量な計測装置を持ち運び、様々な場所にある風流装置の風量及び通風抵抗の計測を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る測定装置は、前記制御基板において、前記圧力センサにより計測された前記第2の圧力と前記第3の圧力との差圧に基づいて、風量を算出し、算出された風量と前記圧力センサにより計測された前記第1の圧力とに基づいて、通風抵抗を算出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る測定装置は、前記通風路における前記取入口と反対側の送出口には、前記通風路の空気を外部に送り出すための補助ファンが備えられていることを特徴とする。
この補助ファンにより、通風路自体の形状等の意図しない負荷によって計測対象の風流装置から送風された空気の風量が低下することを防止することができ、計測に適した適切な風量を保持することができる。このため、より正確な風量及び通風抵抗を計測することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、風量及び通風抵抗を測定する測定装置として、様々な範囲の風量に対応した汎用性の高い測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について説明する。
図1は、本発明の測定装置1を第1の方向から見た斜視図の一例を示す図であり、
図2は、本発明の測定装置1を第1の方向とは異なる方向の第2の方向から見た斜視図の一例を示す図である。
【0017】
測定装置1は、外部から送風された空気を取り入れる取入口2と取り入れた空気を外部に送り出す送出口3とに連通する通風路4を形成したケーシング10を備えている。
【0018】
そして、ケーシング10の上面には、風量及び通風抵抗を計測するための制御を行う制御装置20が取り付けられている。
【0019】
図1に示すように、ケーシング10における第1の方向からの第1の側面には、空気の圧力を計測するための第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bが搭載された中継基板6と、第1圧力センサ5aに空気を送り出す調整を行う第1バルブ7a及び第2バルブ7bと、空気を2つの流路に分配する分配器8と、複数のチューブ9a〜9fとが取り付けられている。
【0020】
中継基板6に搭載された第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bは、空気の圧力を計測するためのセンサであり、2つの入力口を有する差圧センサである。具体的には、第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bは、一方(上方)の入力口がプラスの入力口を構成し、他方(下方)の入力口がマイナスの入力口を構成している。
なお、本実施形態においては、第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bを中継基板6に搭載して構成したが、中継基板6を備えずに、第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bをケーシング10に直接取り付けて構成しても構わない。
【0021】
ここで、ケーシング10の第1の側面には、通風路4における空気の圧力を計測するために、第1の開口部10aと第2の開口部10bと第3の開口部10cとの3つの孔が形成されている(
図1、
図3参照)。
【0022】
そして、第1の開口部10aには、第1のチューブ9aの一端が接続されており、第1のチューブ9aの他端には、分配器8が接続されている。
【0023】
分配器8は、第1のチューブ9a、第2のチューブ9b及び第1バルブ7aと接続されており、第1のチューブ9aを介して入力した空気を第2のチューブ9b及び第1バルブ7aに分配している。
【0024】
第1バルブ7aは、3つの口を有しており、2つの口には分配器8及び第3のチューブ9cが接続されており、残りの1つの口は外気を取り込むための第1外気口11aを構成している。そして、第1バルブ7aは、十字形状の調整部を回転させることにより、第3のチューブ9cに分配器8を介して入力した第1の開口部10aからの空気を送り出すか、第3のチューブ9cに第1外気口11aを介して入力した外気を送り出すかを調整可能にしている。
例えば、
図1に示すように、第1バルブ7aにおける調整部の矢印が中継基板6側または上側を向いているときには、第1バルブ7aは、第3のチューブ9cに第1外気口11aを介して入力した外気を送り出し、第1バルブ7aにおける調整部の矢印が分配器8側または上側を向いているときには、第1バルブ7aは、第3のチューブ9cに分配器8を介して入力した第1の開口部10aからの空気を送り出すことになる。
【0025】
第1バルブ7aに接続されている第3のチューブ9cは、第1圧力センサ5aのマイナスの入力口に接続されている。このため、第1圧力センサ5aのマイナスの入力口には、第1の開口部10aからの空気、または第1外気口11aを介して入力した外気のいずれかが入力されることになる。
【0026】
第2バルブ7bも、第1バルブ7aと同様に3つの口を有しており、2つの口には第2のチューブ9b及び第4のチューブ9dが接続されており、残りの1つの口は外気を取り込むための第2外気口11bを構成している。そして、第2バルブ7bは、十字形状の調整部を回転させることにより、第4のチューブ9dに第2のチューブ9bを介して入力した第1の開口部10aからの空気を送り出すか、第4のチューブ9dに第2外気口11bを介して入力した外気を送り出すかを調整可能にしている。
例えば、
図1に示すように、第2バルブ7bにおける調整部の矢印が分配器8側または上側を向いているときには、第2バルブ7bは、第4のチューブ9dに第2のチューブ9bを介して入力した第1の開口部10aからの空気を送り出し、第2バルブ7bにおける調整部の矢印が中継基板6側または上側を向いているときには、第2バルブ7bは、第4のチューブ9dに第2外気口11bを介して入力した外気を送り出すことになる。
【0027】
第2バルブ7bに接続されている第4のチューブ9dは、第1圧力センサ5aのプラスの入力口に接続されている。このため、第1圧力センサ5aのプラスの入力口には、第1の開口部10aからの空気、または第2外気口11bを介して入力した外気のいずれかが入力されることになる。
【0028】
従って、第1バルブ7a及び第2バルブ7bを調整することにより、(1)第1圧力センサ5aのプラスの入力口に第1の開口部10aからの空気を入力させ、第1圧力センサ5aのマイナスの入力口に外気を入力させるケースと、(2)第1圧力センサ5aのプラスの入力口に外気を入力させ、第1圧力センサ5aのマイナスの入力口に第1の開口部10aからの空気を入力させるケースとを選択することができることになる。なお、第1バルブ7a及び第2バルブ7bを調整することにより、第1圧力センサ5aのプラスの入力口とマイナスの入力口に、同じ空気の圧力を入力させることもできるが、そのような場合には、制御装置20によりエラーと判定されることになる。
【0029】
このように、第1バルブ7a及び第2バルブ7bを備えて、第1圧力センサ5aのプラスの入力口とマイナスの入力口に、第1の開口部10aからの空気または外気のいずれかを入力させることが選択できるようにしたのは、風流装置の風量及び通風抵抗を測定しているとき(計測対象の風流装置から送風を受けているとき)に、第1の開口部10aからの空気の圧力が外気の圧力(大気圧)よりも低い値となり、第1の開口部10aを介した空気の静圧がマイナスとなることを防止するためである。すなわち、差圧センサである第1圧力センサ5aが計測する計測値をプラスの値にするためである。
【0030】
また、第2の開口部10bには、第5のチューブ9eの一端が接続されており、第5のチューブ9eの他端には、第2圧力センサ5bのプラスの入力口が接続されている。第3の開口部10cには、第6のチューブ9fの一端が接続されており、第6のチューブ9fの他端には、第2圧力センサ5bのマイナスの入力口が接続されている。
【0031】
このため、第2圧力センサ5bのプラスの入力口には、第2の開口部10bからの空気が入力され、第2圧力センサ5bのマイナスの入力口には、第3の開口部10cからの空気が入力されることになる。
【0032】
このような、第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bが搭載された中継基板6と、分配器8と、複数のチューブ9a〜9fとを外部から保護するために、ケーシング10の第1の側面には、保護カバー12が取り付けられている。なお、
図1においては、中継基板6等を示すために、保護カバー12が取り外されている。
【0033】
保護カバー12には、保護カバー12をケーシング10に取り付けたときにも第1バルブ7a及び第2バルブ7bの調整ができるように、第1バルブ7a及び第2バルブ7bにおける十字形状の調整部よりも大きい開口部として、第1調整開口部12a及び第2調整開口部12bが形成されている。なお、第1調整開口部12aは、保護カバー12をケーシング10に取り付けたときに、保護カバー12における第1バルブ7aの調整部と対向する面に形成されており、第2調整開口部12bは、保護カバー12をケーシング10に取り付けたときに、保護カバー12における第2バルブ7bの調整部と対向する面に形成されている。
【0034】
また、ケーシング10の取入口2側における外周面には、後述する接続ダクト30(
図6参照)を係止するためのフランジ10dが形成され、ケーシング10の上面部には、測定装置1を持ち運びし易くするために把手10eが形成されている。
【0035】
特に、本実施形態においては、ケーシング10は、ナイロン、ポリアセタール、ふっ素樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、メタクリル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン等の樹脂材で構成され、軽量化が図られている。なお、ケーシング10は、計測対象の風流装置からの送風による冷却や、計測対象の風流装置からの温風(熱風)による加熱等が伴うことを考慮して、把手10eや制御装置20に温度が伝わらないようにするため、熱伝導率が低い樹脂材であることが望ましい。
【0036】
このように、ケーシング10を樹脂材で構成することにより軽量化が図られ、ケーシング10の上面部には把手10eが形成されていることから、測定装置1を容易に持ち運ぶことができる。
【0037】
図2に示すように、ケーシング10における第2の方向からの第2の側面には、後述する開口板16(
図3、4参照)を取り換え可能にするために、開口板16の側面と対向する対向面において、通風路4の側面を開口させた特定開口部10fが形成されている。
【0038】
特定開口部10fは、開口板16を通風路4に挿入・取り出し可能な大きさで開口されており、特定開口部10fには、通風路4の長手方向に対して垂直方向にスライド可能な開閉部13が備えられている。
【0039】
この開閉部13には、基台13aと、特定開口部10fの開口を塞いで、閉口させる側板13bが備えられている。
【0040】
基台13aの裏面には、通風路4の内部に設けられたスライダ(図示せず)に移動可能に係合するガイドレール13cが備えられており、開閉部13をスライド可能に構成している。
【0041】
また、側板13bには、開閉部13をつかむための側板把手部13dと、特定開口部10fを閉口させたときに開口板16を通風路4に立設させ、開口板16が通風路4の長手方向側に移動することを規制する規制部13eと、特定開口部10fが閉口している状態を保持するために、ケーシング10に取付けられた本体係止部13fと係止する開閉係止部13gとが備えられている。
【0042】
これにより、側板把手部13dをつかみ、開閉部13をスライドさせることにより、特定開口部10fを開口させたり、閉口させたりすることができる。そして、特定開口部10fを開口させている状態のときには、計測対象の風流装置の風量に対応した開口板16に取り換えることができるので、様々な範囲の風量に対応した汎用性を高めることができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、開閉部13をスライド可能に構成したが、開閉部13の一端側をケーシング10に軸支して、開閉部13の他端側を開放可能に構成し、扉のように開閉可能に構成してもよい。
【0044】
図3は、測定装置1から中継基板6、第1バルブ7a、第2バルブ7b、分配器8、複数のチューブ9a〜9f及び保護カバー12を取り外した状態において、ケーシング10の一部を取り除いた測定装置1の断面説明図の一例を示す図である。
【0045】
図3に示すように、通風路4には、取入口2から取り入れた空気を整流するための整流格子14と、整流格子14を通過した空気を取り入れる第1のチャンバ15と、第1のチャンバ15が取り入れた空気が通過可能な開口部が形成された開口板16と、開口板16の開口部を通過した空気を取り入れる第2のチャンバ17と、通風路4の空気を外部に送り出すための補助ファン18とが備えられている。
【0046】
また、ケーシング10の内部には、開口板16を通風路4に立設させた状態を保持するための1つの立設保持部10gが形成されている。
【0047】
整流格子14は、矩形の格子状に構成されており、計測対象の風流装置から送風された空気を整流するためのものである。
【0048】
第1のチャンバ15は、整流格子14から開口板16までの空間を形成しており、第2のチャンバ17は、開口板16から補助ファン18までの空間を形成している。
【0049】
上述した第1の開口部10aは、取入口2から整流格子14までに形成されており、整流格子14を通過する前の空気の圧力を計測できるように形成したものである。また、第2の開口部10bは、第1のチャンバ15に形成されており、第1のチャンバ15における空気の圧力を計測できるように形成したものである。また、第3の開口部10cは、第2のチャンバ17に形成されており、第2のチャンバ17における空気の圧力を計測できるように形成したものである。
【0050】
補助ファン18は、送出口3側に備えられており、計測対象の風流装置から送風された通風路4にある空気を外部に向けて補助的に送り出すものである。この補助ファン18は、計測対象の風流装置から送風された風量が大きいものにも対応できるように、金属製のファンで構成されている。なお、軽量化を図るために、補助ファン18を樹脂製のファンで構成してもよい。
【0051】
この補助ファン18により、計測対象の風流装置から送風された空気が通風路4を通過するときに、通風路4自体の形状による負荷(圧損)や通風路4の長手方向の長さ等の意図しない負荷によって計測対象の風流装置から送風された空気の風量が低下することを防止することができ、計測に適した適切な風量を保持することができる。別の言い方をするのであれば、補助ファン18を設けたことにより、測定装置1を計測対象の風流装置に対応した軸流送風機として、測定装置1の通風路4を計測対象の風流装置の通風路と疑似的に構成することができる。
【0052】
開口板16は、第1のチャンバ15における空気の圧力と第2のチャンバ17における空気の圧力とに意図的に圧力差を発生させるためのものであり、
図4(a)に示すように、漏斗状に開口が狭くなっていく差圧用開口部16aが略中央に形成されている。
【0053】
なお、本実施形態においては、差圧用開口部16aを漏斗状に開口が狭くなっていく形状としたが、
図4(b)に示すように、開口板16を平板状に構成し、円柱状の差圧用開口部16bを略中央に形成してもよい。
【0054】
さらには、差圧用開口部16a、16bが形成される位置を開口板16の一端側の位置に偏らせてもよい。開口板16における差圧用開口部16a、16bの形状・位置は、計測する風量の範囲や第1のチャンバ15及び第2のチャンバ17の大きさ・形状等に応じて、適宜最適な形状・位置を採用することができる。
【0055】
これにより、第1のチャンバ15及び第2のチャンバ17の各チャンバの大きさを基準とした場合に、そのチャンバの大きさに対応した開口板16における差圧用開口部16a、16bの形状・位置等を定めることができるので、チャンバの大きさを必要以上に大型化にせずに、第1のチャンバ15及び第2のチャンバ17をコンパクト化でき、計測装置の小型化を図ることができる。
【0056】
また、本実施形態においては、差圧用開口部16aを漏斗状に開口が狭くなっていく形状として、差圧用開口部16aを開口板16の略中央に形成したことにより、開口板16を基準とした場合であっても、第1のチャンバ15及び第2のチャンバ17の大きさを、各チャンバにおける空気の圧力を安定して計測できる必要最低限の大きさまで抑えることができ、第1のチャンバ15及び第2のチャンバ17のコンパクト化を図ることができる。
【0057】
再び、
図3に説明を戻すと、上述した制御装置20は、電源を蓄電しておく電源部21と、風量及び通風抵抗を算出するとともに、補助ファン18を駆動させる制御を行う制御基板22と、風量及び通風抵抗等を表示する表示部23とを備えている。そして、制御基板22には、第1圧力センサ5a、第2圧力センサ5b及び補助ファン18が接続されるとともに、電源部21及び表示部23が接続されている。
【0058】
電源部21は、外部からの電源電圧を蓄電しておき、測定装置1を持ち運んだときにも制御基板22による制御が行われるように構成されている。なお、電源部21は、外部からの電源電圧を蓄電する機能を有さずに、電源プラグを備えて、外部から電源プラグを介して電力が給電されているときに、制御装置20等に電力を給電するように構成してもよい。
【0059】
制御基板22には、電源を入力するための電源ボタン、計測を開始するための測定開始ボタン、取付けている開口板16の識別番号を設定するための設定ボタン等の各種の操作ボタン24が搭載されており、測定者が各種操作を行うことができるように構成されている。
【0060】
また、制御基板22は、第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bから計測された計測値に応じて、風量及び通風抵抗を算出するとともに、補助ファン18を駆動させるように構成されている。
【0061】
図5は、測定装置1の表示部23に表示される表示内容の一例を示す図である。
【0062】
図5に示すように、表示部23には、風量(AIR FLOW)及び通風抵抗(STATIC PRESSURE)の値が表示されるとともに、開口板16(NOZZLE)の識別番号が少なくとも表示されるように構成されている。
【0063】
このように、表示部23に風量及び通風抵抗が表示されるまでの制御の概要について、以下に説明する。
【0064】
まず、第2圧力センサ5bは、第2の開口部10bを介した第1のチャンバ15における空気の圧力と第3の開口部10cを介した第2のチャンバ17における空気の圧力との差圧を計測して、計測した差圧を第2差圧値として制御基板22に出力する。
【0065】
制御基板22は、第2圧力センサ5bから第2差圧値を入力することにより、入力した第2差圧値と開口板16の開口面積等に基づいて、計測対象の風流装置から送風された空気の風量を算出する。
【0066】
また、第1圧力センサ5aは、第1の開口部10aを介した整流格子14を通過する前の空気の圧力と第1外気口11aまたは第2外気口11bを介した外気の大気圧との差圧(静圧)を計測して、計測した差圧を第1差圧値(静圧値)として制御基板22に出力する。
【0067】
そして、制御基板22は、第1圧力センサ5aから第1差圧値を入力することにより、入力した第1差圧値と算出した風量の値とに基づいて、計測対象の風流装置から送風された空気の通風抵抗を算出する。
【0068】
次に、制御基板22は、算出した風量及び通風抵抗を表示部23に表示させるために、表示部23に算出した風量及び通風抵抗の値に対応する表示信号を出力する。
【0069】
これにより、表示部23には、
図5に示すように、制御基板22から入力した表示信号に対応した風量及び通風抵抗の値が表示されることになる。
【0070】
図6は、計測対象である風流装置50の風量及び通風抵抗を計測するときに、測定装置1の使用方法の一例を示す図である。
【0071】
測定者は、
図2に示したように、本体係止部13fと開閉係止部13gとの係止を開放し、測定装置1の開閉部13をスライドさせて通風路4の側面を開口させ、計測対象の風流装置50の風量に適した開口板16を通風路4に立設させる。そして、開閉部13をスライドさせて通風路4の側面を塞ぎ、本体係止部13fと開閉係止部13gとを係止する。
【0072】
次に、
図6に示すように、計測対象の風流装置50の送風口51と、測定装置1のフランジ10dとに接続ダクト30を取り付ける。接続ダクト30は、測定装置1と風流装置50との間の第2通風路を形成する部材である。
【0073】
そして、制御装置20において、電源ボタンの操作を行って電源を入力するとともに、測定開始ボタンの操作を行って計測を開始する。その後、制御基板22により風量及び通風抵抗の算出が完了すると、表示部23に風量及び通風抵抗の値が表示されることになる。
【0074】
以上のように、本実施形態の測定装置1によれば、開閉部13をスライドさせて通風路4の側面を開口させることにより、計測対象の風流装置の風量に対応した様々な種類の開口板16に変更することができるので、様々な範囲の風量に対応した汎用性を高めることができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bを2つの差圧センサで構成したが、差圧センサを用いずに、大気圧を計測するための圧力センサと、第1の開口部10aの静圧を計測するための圧力センサと、第2の開口部10bの静圧を計測するための圧力センサと、第3の開口部10cの静圧を計測するための圧力センサとの4つの圧力センサを備えて構成してもよい。
【0076】
さらに、本実施形態においては、測定装置1は制御装置20をケーシング10に取り付けて、制御装置20を備えて構成したが、測定装置1は制御装置20を備えずに構成してもよい。例えば、制御装置20をパソコン等の外部の制御装置として、外部の制御装置に第1圧力センサ5a及び第2圧力センサ5bにより計測された計測値を入力させるように構成してもよい。
【0077】
さらに、本実施形態においては、測定装置1における制御装置20は、風量及び通風抵抗等を表示する表示部23を備えて構成したが、測定装置1における制御装置20は、表示部23を備えずに構成してもよい。例えば、制御装置20を外部の液晶モニタ等の外部の表示機と接続可能に構成しておき、制御装置20が外部の表示機に表示信号を出力することにより、外部の表示機が風量及び通風抵抗の値を表示するように構成してもよい。
【0078】
さらに、本実施形態においては、通風路4に立設された開口板16は、1つの立設保持部10g及び規制部13eにより開口板16が通風路4における1箇所の位置に固定されるように構成されている。しかしながら、複数の立設保持部10g及び規制部13eを備えて、通風路4における第2の開口部10bから第3の開口部10cとの間において、開口板16を複数の位置に固定できるように構成してもよい。これにより、第1のチャンバ15及び第2のチャンバ17の大きさを変更することができ、様々な範囲の風量に対応した汎用性をより高めることができる。
【0079】
さらに、本実施形態においては、通風路4に立設された開口板16は、立設保持部10g及び規制部13eにより開口板16が通風路4の長手方向側には移動しないように規制されている。しかしながら、通風路4の第2の開口部10bから第3の開口部10cとの間において、開口板16を通風路4の長手方向側に移動可能に構成してもよい。この場合には、開口板16を通風路4の長手方向側に移動させた後、風流装置による送風で開口板16の位置がずれないように、開口板16を固定させるロック機構を設けることが望ましい。例えば、立設保持部10g及び規制部13eを通風路4の長手方向側にスライド可能に構成し、立設保持部10g及び規制部13eを固定させるためのロック機構を設けて構成してもよい。これによっても、第1のチャンバ15及び第2のチャンバ17の大きさを変更することができ、風流装置の風量に対応する汎用性をより高めることができる。
【0080】
本実施形態において、接続ダクト30は測定装置1の構成要素の一部として構成することもできるし、測定装置1とは別の部材として構成することもできる。接続ダクト30を測定装置1の一部として構成した場合、接続ダクト30を測定装置1に対して着脱自在に取り付けることができるように、例えば接続ダクト30をフランジ10dに対して取り付ける適当な取り付け部材を設けてもよい。
【0081】
本実施形態において、接続ダクト30は、測定装置1(すなわちフランジ10d)に対して取り付ける第1開口部と、風流装置50の送風口51に対して取り付ける第2開口部とを有している。測定装置1を小型化した場合、フランジ10dよりも送風口51の方が大きい場合が多いと思われるので、第2開口部の開口サイズは第1開口部の開口サイズよりも大きくなるように形成することが望ましい。
【0082】
本実施形態において、接続ダクト30は、第1開口部と第2開口部との間の通風路を略気密に(すなわち風量や通風抵抗を測定するに際して支障がない程度に)密閉する通風路壁部材を備えている。この通風路壁部材は、例えばポリウレタンなどのような折り畳み自在な素材によって形成することもできる。これにより接続ダクト30の通風路壁部分を折り畳むことができるので、可搬性に優れる利点がある。