特許第6498129号(P6498129)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6498129アクリレートに基づく保護コーティング及び接着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498129
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】アクリレートに基づく保護コーティング及び接着剤
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/02 20060101AFI20190401BHJP
   B42D 25/328 20140101ALI20190401BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20190401BHJP
   G11B 7/254 20130101ALI20190401BHJP
【FI】
   G03H1/02
   B42D25/328
   G02B1/14
   G11B7/254
【請求項の数】23
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-558497(P2015-558497)
(86)(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公表番号】特表2016-517530(P2016-517530A)
(43)【公表日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】EP2014053723
(87)【国際公開番号】WO2014131795
(87)【国際公開日】20140904
【審査請求日】2017年2月22日
(31)【優先権主張番号】13156949.3
(32)【優先日】2013年2月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バイザー,マルク−シユテフアン
(72)【発明者】
【氏名】フレム,ウテ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンチエル,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブルーダー,フリードリツヒ−カルル
(72)【発明者】
【氏名】レール,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ベルネト,ホルスト
(72)【発明者】
【氏名】ヘーネル,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ヘツケ,トーマス
【審査官】 山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−093713(JP,A)
【文献】 特開2007−118467(JP,A)
【文献】 特開2010−120235(JP,A)
【文献】 特開2001−138674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/00−5/00
G02B 5/18、5/32
G02B 1/10−1/18
B42D 15/02、25/00
G11B 7/24−7/2595
B32B 1/00−43/00
G03F 7/00、7/06、7/07、
7/12−7/14、
7/26−7/42
G03C 1/00、1/005−1/492
1/74、1/76−1/775
1/785−1/79
1/795、1/805−1/91
1/93−1/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光フォトポリマー層及び該露光フォトポリマー層に接するように設けられた保護層を備える層状構造物であって、前記保護層が、少なくとも1つの放射線硬化樹脂I)、多官能性放射線硬化樹脂II)及び光開始剤系III)を含む混合物又は少なくとも1つの放射線硬化樹脂I)、多官能性放射線硬化樹脂II)及び光開始剤系III)からなる混合物の反応によって得られ、前記放射線硬化樹脂I)が、500未満の重量平均分子量を有する化合物を5重量%以下、及び1000を超える重量平均分子量を有する化合物を75重量%以上含み、前記多官能性放射線硬化樹脂II)が、少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートを含むか、又は少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートからなり、前記混合物が、少なくとも55重量%の前記放射線硬化樹脂I)及び35重量%を超えない前記多官能性放射線硬化樹脂II)を含む、層状構造物。
【請求項2】
前記フォトポリマー層が、少なくとも1つのポリイソシアネート成分a)とイソシアネート反応性成分b)の反応によって得られる架橋マトリックスポリマーA)、架橋書込モノマーB)、光開始剤C)を含むか、又は、少なくとも1つのポリイソシアネート成分a)とイソシアネート反応性成分b)の反応によって得られる架橋マトリックスポリマーA)、架橋書込モノマーB)、光開始剤C)、触媒D)を含ことを特徴とする請求項1に記載の層状構造物。
【請求項3】
前記放射線硬化樹脂I)が、ラジカル重合性基を有する少なくとも1つのポリエステル−、ポリエーテル−、ポリカーボネート及び/又はポリウレタン−含有バインダーを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の層状構造物。
【請求項4】
前記ラジカル重合性基が、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基であることを特徴とする請求項3に記載の層状構造物。
【請求項5】
前記放射線硬化樹脂I)が、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートの群からの少なくとも1つの化合物を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の層状構造物。
【請求項6】
前記放射線硬化樹脂I)が、少なくとも1つの脂肪族ウレタンアクリレート及び/又は少なくとも1つの芳香族ウレタンアクリレートを含むことを特徴とする請求項5に記載の層状構造物。
【請求項7】
前記放射線硬化樹脂I)中に、500未満の重量平均分子量を有する化合物が4重量%以下、及び1000を超える重量平均分子量を有する化合物が77重量%以上あることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の層状構造物。
【請求項8】
前記放射線硬化樹脂I)中に、500未満の重量平均分子量を有する化合物が3.5重量%以下、及び1000を超える重量平均分子量を有する化合物が79重量%以上あることを特徴とする請求項7に記載の層状構造物。
【請求項9】
前記多官能性放射線硬化樹脂II)の前記放射線硬化基が、ラジカル重合性基であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の層状構造物。
【請求項10】
前記ラジカル重合性基が、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基から選択されることを特徴とする請求項9に記載の層状構造物。
【請求項11】
前記多官能性放射線硬化樹脂II)が、少なくとも2個の放射線硬化基を有する化合物のみからなることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の層状構造物。
【請求項12】
前記多官能性放射線硬化樹脂II)が、3個及び/又は4個の放射線硬化基を有する化合物のみからなることを特徴とする請求項11に記載の層状構造物。
【請求項13】
前記保護層を製造するための前記混合物が、3重量%〜30重量%の前記多官能性放射線硬化樹脂II)を含むことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の層状構造物。
【請求項14】
前記保護層を製造するための前記混合物が、5重量%〜15重量%の前記多官能性放射線硬化樹脂II)を含むことを特徴とする請求項13に記載の層状構造物。
【請求項15】
前記混合物が、10重量%以下の放射線硬化樹脂IV)を含み、前記放射線硬化樹脂IV)が、ラジカル重合性基を有する1又は複数の放射線硬化化合物から選択されることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の層状構造物。
【請求項16】
前記放射線硬化樹脂IV)中に使用される前記化合物が、800g/mol以下の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項15に記載の層状構造物。
【請求項17】
前記放射線硬化樹脂IV)中に使用される前記化合物が、85g/mol〜300g/molの重量平均分子量を有することを特徴とする請求項16に記載の層状構造物。
【請求項18】
前記放射線硬化樹脂I)、前記多官能性放射線硬化樹脂II)及び前記光開始剤系III)を含む混合物又は前記放射線硬化樹脂I)、前記多官能性放射線硬化樹脂II)及び前記光開始剤系III)からなる混合物が、露光フォトポリマー層に塗布され、及び硬化され、ここで、前記放射線硬化樹脂I)中に、500未満の重量平均分子量を有する化合物が5重量%以下、及び1000を超える重量平均分子量を有する化合物が75重量%以上あり、前記多官能性放射線硬化樹脂II)が、少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートを含むか、又は少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートからなり、前記混合物中に、少なくとも55重量%の前記放射線硬化樹脂I)及び35重量%を超えない前記多官能性放射線硬化樹脂II)があることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の層状構造物を製造するための方法。
【請求項19】
前記硬化の前に、前記混合物がカバー層で覆われ、及び続いて硬化されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化が、前記フォトポリマー層及び/又は前記カバー層を通して放射線硬化により行われることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線硬化樹脂I)、前記多官能性放射線硬化樹脂II)及び前記光開始剤系III)を含む混合物又は前記放射線硬化樹脂I)、前記多官能性放射線硬化樹脂II)及び前記光開始剤系III)からなる混合物が、転写表面に塗布され、及び前記フォトポリマー層が、まだ未硬化の混合物に施され、及び押し付けられ、前記保護層を生成する硬化が行われ、及び続いて、前記保護層及び前記フォトポリマー層から構成されるラミネートが前記転写表面から除去されることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の層状構造物を製造するための方法。
【請求項22】
前記混合物が、ロール工程において運ばれる前記露光フォトポリマー層に塗布され、及び続いて硬化され、滑らかな表面又は構造化表面が、前記保護層内に生成されることを特徴とする請求項18から20のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
多層構造とホログラフィック光学層とを有する、ラベル、セキュリティーカード、銀行券、印刷物、光学的構造物、電子表示又は他の物品における請求項1から17のいずれかに記載の層状構造物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護層及び露光フォトポリマー層を備える層状構造物に関し、保護層は、少なくとも1つの放射線硬化樹脂I)、多官能性放射線硬化樹脂II)及び光開始剤系III)を含むか、又はこれらからなる混合物の反応によって得ることができて、上記放射線硬化樹脂I)は、500未満の重量平均分子量を有する化合物を5重量%以下、及び1000を超える重量平均分子量を有する化合物を75重量%以上含み、上記多官能性放射線硬化樹脂II)は、少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートを含むか、又は少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートからなり、上記混合物は、少なくとも55重量%の放射線硬化樹脂I)及び35重量%を超えない多官能性放射線硬化樹脂II)を含む。さらに本発明は、この種類の層状構造物を製造するための方法及びその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック媒体を製造するためのフォトポリマー層の原理は、WO2011/054797及びWO2011/067057により知られている。これらのホログラフィック媒体の利点は、回折光屈折効率が高いこと、及び、ホログラフィック露光後に、例えば、化学現像又は熱現像のステップなど、追加の加工ステップが必要でないことである。これらのフォトポリマー層は、好ましくはPUベースの組成物である。
【0003】
DE69937920T2には、接着剤の層など、隣接する層からフォトポリマー層へ物質が膨潤する場合、又はフォトポリマー層から隣接する層へ物質が浸出する場合に、どのようにホログラフィックフォトポリマー層の色が変わる可能性があるか記載されている。2つの現象のうちの1つが起きる場合、フォトポリマー層で体積の膨張又は体積の収縮が起きることがある。これはホログラムにおいて、長波長又は短波長のカラーシフトにつながる。特に多色ホログラムの場合、これは望ましくない視覚的な色の変化につながる。
【0004】
体積が変化したり、それに関連して色が変化したりしないようにするために、DE69937920T2では、隣接する層及び/又はフォトポリマー層に、事前に、内部へ膨潤又は外部へ浸出する十分な量の物質を添加することが教示されている。しかし、この工程は費用がかかり、面倒である。さらに、隣接する層に使用される材料に応じて適応させなければならない。最後に、加えられる物質は、さらに、フォトポリマー層を破壊しないように選択しなければならない。
【0005】
今のところ未公開の特許出願EP12150275.1には、成分を適切に選択することによって保護層を露光フォトポリマー層に施すことができる方法が記載されている。これらの保護層は、少なくとも1つの放射線硬化樹脂I)、イソシアネート官能性樹脂II)及び光開始剤系III)を反応させることによって製造することができる。EP12150275.1に記載の保護層は、適切な保護層に対する要件を満たしており、その理由は、例えば塗布後に、フォトポリマー層の体積が変化したり、それに伴ってホログラムの色が変化したりすることなく、保護層及び露光フォトポリマー層を備える層状構造物を提供することができて、且つ、この層状構造物は、例えば接着剤の層など、非常に多種多様な任意の隣接する層に堅固に接合することができるためである。同じく今のところ未公開の欧州特許出願EP12150277.7には、EP12150275.1に記載の配合物を、露光フォトポリマー層を直接接着結合するために使用することもできる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2011/054797
【特許文献2】WO2011/067057
【特許文献3】DE69937920T2
【特許文献4】EP12150275.1
【特許文献5】EP12150277.7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、EP12150275.1に開示されている組成物は、すべての点で満足のいくものとは限らない。イソシアネート官能性樹脂が存在する結果として、当該組成物が水分に対して比較的不安定であり、また、例えば、OH基やNH基など、イソシアネート反応性成分に対して化学的に反応性である。しかし、このような基は、しばしば、放射線硬化樹脂、又は工業的な配合物に必須のその他の助剤中に存在する。この結果、当該組成物は常に使用前に新たに用意されなければならず、このことがその技術的応用を限定してしまう。その理由は、塗布する場所に、適した混合装置だけでなく、イソシアネート官能性成分の取り扱いに適した安全対策が必要になるためである。
【0008】
したがって、本発明の目的は、製造が容易で、フォトポリマー層の親和性及び不変性の両方に関する要件、及び、例えば、後からこの保護層に施される接着剤の層などの隣接する層に対する十分な保護機能に関する要件を満たす改善された保護層を備える層状構造物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、保護層が、少なくとも1つの放射線硬化樹脂I)、多官能性放射線硬化樹脂II)及び光開始剤系III)を含むか、又はこれらからなる混合物の反応によって得ることができて、上記放射線硬化樹脂I)が、500未満の重量平均分子量を有する化合物を5重量%以下、及び1000を超える重量平均分子量を有する化合物を75重量%以上含み、上記多官能性放射線硬化樹脂II)が、少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートを含むか、又は少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートからなり、上記混合物が、少なくとも55重量%の放射線硬化樹脂I)及び35重量%を超えない多官能性放射線硬化樹脂II)を含む、保護層及び露光フォトポリマー層を有する層状構造物により達成される。
【0010】
本発明は、上述の保護層を用いて、とりわけ、フォトポリマー層内に生成されるホログラムに現在まで使用された接着剤の悪影響を阻止することが可能であるという、実験によって支持された知見に基づく。このことは、特に、アクリレートベースの(感圧)接着剤に関してあてはまる。保護層は、接着剤からホログラフィックフォトポリマー層へ入る低分子質量物質に対する拡散障壁として機能すると考えられる。
【0011】
用語「官能性」は、放射線硬化反応性基、とりわけ二重結合の形態のものを指す。この文脈において「多官能性」は、当該樹脂が分子あたり少なくとも2個のこれらの放射線硬化反応性基を持つことを意味する。
【0012】
本発明によれば、保護層を製造するための混合物は、少なくとも1つの放射線硬化樹脂I)、多官能性放射線硬化樹脂II)及び光開始剤系III)を含む。これは、それぞれの場合において、少なくとも1つ−そうでなければ、もしくは2つ以上の代表的なもの−のそれぞれのクラスの物質が使用されることを意味する。それと同時に、放射線硬化樹脂I)、多官能性放射線硬化樹脂II)及び光開始剤系III)によって表される物質は、合わせて最大100重量%になり、そうでなければ、別の成分が混合物中に存在する場合、100重量%未満になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】フォトポリマー層を製造するためのフィルムコーティングラインの構造の概略図である。
図2】フォトポリマー層内にホログラムを生成するための装置の図である。
図3図2による装置を用いて書かれたホログラムの形態の図である。
図4】退色に使用されるUVランプのスペクトルの図である(メーカーからの情報)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
フォトポリマー層の説明
フォトポリマー層の製造に適したフォトポリマー配合物も同じく当業者に周知であり、例えば、WO−A 2011/054797及びWO2011/067057に記載されている。フォトポリマー層を製造するためのフォトポリマー配合物は、好ましくは、ポリイソシアネート成分、イソシアネート反応性成分、少なくとも1つの書込モノマー及び少なくとも1つの光開始剤を含む配合物である。
【0015】
ポリイソシアネート成分a)は、少なくとも2個のNCO基を有する少なくとも1つの有機化合物を含む。使用されるポリイソシアネートは、それ自体当業者に周知のあらゆる化合物、又はその混合物を含んでもよい。これらの化合物は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族又は脂環式の主成分を有してもよい。少量で、ポリイソシアネート成分a)は、モノイソシアネート、すなわち、NCO基を有する有機化合物、及び/又は不飽和基を含むポリイソシアネートを含んでもよい。
【0016】
適したポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びその異性体(TMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、異性体のビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及び任意の所望の異性体含有量のこれらの混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体のシクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネート、あるいは上述の化合物の任意の所望の混合物である。
【0017】
ウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオン及び/又はイミノオキサジアジンジオンの構造を有する単量体のジイソシアネート又はトリイソシアネートも同じく使用してもよい。
【0018】
好ましいポリイソシアネートは、脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート又はトリイソシアネートに基づくものである。特に好ましいのは、二量化又はオリゴマー化された脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート又はトリイソシアネートであるポリイソシアネートである。特に好ましいポリイソシアネートは、HDI、TMDI、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、又はこれらの混合物に基づくイソシアヌレート、ウレトジオン及び/又はイミノオキサジアジンジオンである。
【0019】
ポリイソシアネート成分a)は、NCO官能性プレポリマーを含んでもよく、又は、NCO官能性プレポリマーからなる。プレポリマーは、ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基及び/又はアミド基を有してもよい。これらの種類のプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネートa1)とイソシアネート反応性化合物a2)との反応により得ることができる。
【0020】
適したポリイソシアネートa1)は、あらゆる既知の脂肪族、脂環式、芳香族又は芳香脂肪族ジイソシアネート及びトリイソシアネートである。これらに加えて、ウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオンの構造を持つ単量体のジイソシアネート及び/又はトリイソシアネートの、分子質量がさらに高い既知の誘導体を、それぞれの場合において、個別に、又は互いに任意の所望の混合物で使用することもできる。
【0021】
ポリイソシアネートa1)として使用できる適した単量体のジイソシアネート又はトリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4−及び/又は2,6−トルエンジイソシアネートである。
【0022】
イソシアネート反応性化合物a2)として、好ましくは、OH官能性化合物を使用できる。これらは、とりわけ、ポリオールでもよい。特に好ましくは、イソシアネート反応性化合物a2)として、後述の成分b)ポリオールを使用できる。
【0023】
同じく、アミンをイソシアネート反応性化合物a2)として使用できる。適したアミンの例は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、二官能性ポリアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)製品など、アミン末端ポリマー、とりわけ、最大10000g/molの数平均モル質量を有するものである。同じく、上述のアミンの混合物を使用してもよい。
【0024】
また、イソシアネート反応性化合物a2)は、好ましくは、200g/mol以上、10000g/mol以下、より好ましくは500g/mol以上、8500g/mol以下、非常に好ましくは1000g/mol以上、8200g/mol以下の数平均モル質量を有する。
【0025】
ポリイソシアネート成分a)のプレポリマーは、特に、1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、非常に好ましくは0.2重量%未満の残存する遊離単量体イソシアネート含有量を有してもよい。
【0026】
ポリイソシアネート成分a)は、上述のポリイソシアネート及びプレポリマーの混合物を含んでもよい。
【0027】
また、ポリイソシアネート成分a)は、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したポリイソシアネートを比例して含んでもよい。この場合、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物として、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミドなどのα,β−不飽和カルボン酸誘導体、ならびに、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、及び、ジシクロペンタジエニル単位を含み、イソシアネートに対して反応性の少なくとも1個の基を有する化合物を使用することが好ましい。特に好ましいのは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有するアクリレート及びメタクリレートである。
【0028】
イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したポリイソシアネート成分a)中のポリイソシアネートの割合は、0〜99重量%、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜25重量%、非常に好ましくは0〜15重量%でもよい。
【0029】
また、ポリイソシアネート成分a)は、コーティング技術により既知のブロッキング剤と完全に、又は部分的に反応したポリイソシアネートを完全に、又は比例して含んでもよい。ブロッキング剤の例は、アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセタート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾール、ならびに、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、ジエチルマロネート、エチルアセトアセタート、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルなどのアミン、又はこれらの混合物である。
【0030】
ポリイソシアネート成分a)は、特に好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート又は脂肪族プレポリマー、及び、好ましくは一級NCO基を有する脂肪族ポリイソシアネート又は脂肪族プレポリマーを含むか、又はこれらからなる。
【0031】
イソシアネート反応性成分b)は、少なくとも2個のイソシアネート反応性基を有する少なくとも1つの有機化合物(イソシアネート反応性化合物)を含む。本発明の文脈において、ヒドロキシル基、アミノ基又はチオ基は、イソシアネート反応性基と見なされる。
【0032】
イソシアネート反応性成分として、平均で少なくとも1.5個、好ましくは少なくとも2個、より好ましくは2〜3個のイソシアネート反応性基を有するあらゆる系を使用できる。
【0033】
適したイソシアネート反応性化合物は、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート及び/又はポリウレタンポリオールである。
【0034】
特に適したポリエステルポリオールは、例えば、直鎖又は分岐鎖のポリエステルポリオールであり、これらは、脂肪族、脂環式又は芳香族のジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸及び/又はこれらの無水物から、2個以上のOH官能基を持つ多価アルコールとの反応により得ることができる。
【0035】
ポリエステルポリオールは、ヒマシ油など、天然の原料に基づいてもよい。同じく、ポリエステルポリオールは、ラクトンのホモポリマー又はコポリマーに基づくことができる。これらは、好ましくは、ブチロラクトン、ε−カプロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトンなどのラクトンならびに/あるいはラクトン混合物と、例えば、上記のタイプの、2個以上のOH官能基を持つ多価アルコールなどのヒドロキシ官能性化合物との付加反応により得られてもよい。
【0036】
ポリエステルポリオールは、好ましくは、400g/mol以上、4000g/mol以下、より好ましくは500g/mol以上、2000g/mol以下の数平均モル質量を有する。
【0037】
ポリエステルポリオールのOH官能基は、好ましくは、1.5〜3.5、より好ましくは1.8〜3.0である。
【0038】
ポリエステルの調製に特に適したジカルボン酸及び/又はポリカルボン酸及び/又は無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又はトリメリット酸、及び、o−フタル酸無水物、無水トリメリット酸又は無水コハク酸などの酸無水物、又はこれらの混合物である。
【0039】
ポリエステルの調製に特に適したアルコールの例は、エタンジオール、ジ−、トリ−及びテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジ−、トリ−及びテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、オクタン−1,8−ジオール、デカン−1,10−ジオール、ドデカン−1,12−ジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール又はこれらの混合物である。
【0040】
適したポリカーボネートポリオールは、従来の方法で、有機カーボネート又はホスゲンと、ジオール又はジオール混合物との反応により得ることができる。
【0041】
この反応に適した有機カーボネートの例は、ジメチル、ジエチル及びジフェニルカーボネートである。
【0042】
適した多価アルコールは、ポリエステルポリオールに関する議論の一部として上述した2個以上のOH官能基を持つ多価アルコールを包含する。好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及び/又は3−メチルペンタンジオールを使用することが可能である。
【0043】
ポリエステルポリオールは、ポリカーボネートポリオールに転換することもできる。ポリカーボネートポリオールを生成する記載したアルコールの反応において、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートの使用が特に好ましい。
【0044】
ポリカーボネートポリオールは、好ましくは、400g/mol以上、4000g/mol以下、より好ましくは500g/mol以上、2000g/mol以下の数平均モル質量を有する。
【0045】
ポリカーボネートポリオールのOH官能基は、好ましくは1.8〜3.2、より好ましくは1.9〜3.0である。
【0046】
適したポリエーテルポリオールは、環状エーテルとOH−又はNH−官能性スターター分子との重付加生成物であり、ブロック状構造のものでもよい。適した環状エーテルの例は、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリン、及びこれらの任意の所望の混合物である。スターター分子として、ポリエステルポリオールに関する議論の一部として上述した2個以上のOH官能基を持つ多価アルコール、ならびに一級又は二級アミン及びアミノアルコールを使用することが可能である。
【0047】
好ましいポリエーテルポリオールは、プロピレンオキシドのみに基づく上述の種類のものである。同じく、さらに1−アルキレンオキシドを伴うプロピレンオキシドに基づく、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーである上述の種類のポリエーテルポリオールが好ましく、1−アルキレンオキシドの割合は、特に、80重量%を超えない。特に好ましいのは、プロピレンオキシドホモポリマー、ならびにオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位及び/又はオキシブチレン単位を有するランダムコポリマー又はブロックコポリマーであり、すべてのオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位及びオキシブチレン単位の総量に基づくオキシプロピレン単位の割合は、とりわけ20重量%以上、好ましくは45重量%以上である。この場合、オキシプロピレン及びオキシブチレンは、あらゆる直鎖及び分岐鎖C及びC異性体を包含する。
【0048】
ポリエーテルポリオールは、好ましくは、250g/mol以上、10000g/mol以下、より好ましくは500g/mol以上、8500g/mol以下、非常に好ましくは600g/mol以上、4500g/mol以下の数平均モル質量を有する。これらのOH官能基は、好ましくは1.5〜4.0個、より好ましくは1.8〜3.1個である。
【0049】
さらに好ましいポリエーテルポリオールは、タイプY(X−H)(i=1〜10及びn=2〜8)のヒドロキシ官能性マルチブロックコポリマーを含むイソシアネート反応性成分からなり、セグメントXはそれぞれ、式(I)のオキシアルキレン単位から構成され、
−CH−CH(R)−O−(I)
式中、Rは、ヘテロ原子(エーテル酸素など)又は水素で置換又は割込されてもよいアルキル基又はアリール基であり、Yは親スターターである。
【0050】
基Rは、好ましくは、水素、メチル、ブチル、ヘキシル又はオクチル、あるいはエーテル基含有アルキル基であってもよい。好ましいエーテル基含有アルキル基は、オキシアルキレン単位に基づく。
【0051】
好ましくは、nは2〜6の整数、より好ましくは2又は3、非常に好ましくは2である。
【0052】
同じく好ましくは、iは1〜6の整数、より好ましくは1〜3、非常に好ましくは1である。
【0053】
セグメントXi及びYの総量に基づくセグメントXの割合が50重量%を超え、好ましくは66重量%以上であることがさらに好ましい。
【0054】
また、セグメントX及びYの総量に基づくセグメントYの割合が50重量%未満、好ましくは34重量%未満であることが好ましい。
【0055】
マルチブロックコポリマーY(X−H)は、好ましくは、1200g/molを超え、より好ましくは1950g/molを超えるが、好ましくは12000g/mol未満、より好ましくは8000g/mol未満の数平均分子量を有する。
【0056】
ブロックXは、同じオキシアルキレンの繰り返し単位のみからなるホモポリマーでもよい。また、これらは、異なるオキシアルキレン単位からランダムに構成されてもよく、又は、異なるオキシアルキレン単位からブロック状に構成されてもよい。
【0057】
好ましくは、セグメントXは、プロピレンオキシドのみに基づくか、又は他の1−アルキレンオキシドを伴うプロピレンオキシドのランダムな、又はブロック状の混合物に基づき、他の1−アルキレンオキシドの割合は、好ましくは80重量%を超えない。
【0058】
特に好ましいセグメントXは、プロピレンオキシドホモポリマー、ならびにオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位を有するランダムコポリマー又はブロックコポリマーである。この場合、非常に好ましくは、すべてのオキシエチレン単位及びオキシプロピレン単位の総量に基づくオキシプロピレン単位の割合は、20重量%以上、さらにより好ましくは40重量%以上である。
【0059】
ブロックXを、上記のアルキレンオキシドの開環重合により、n−tuplyヒドロキシ−又はアミノ−官能性スターターY(H)に付加させてもよい。
【0060】
スターターY(H)は、環状エーテルに基づくジ−及び/又はさらに多価のポリ−ヒドロキシ官能性ポリマー構造、あるいは、ジ−及び/又はさらに多価のポリ−ヒドロキシ官能性ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂及び/又はポリウレタン構造単位、又は対応するハイブリッドからなっていてもよい。
【0061】
適したスターターY(H)の例は、前述のポリエステル、ポリカーボネート及びポリエーテルポリオールである。
【0062】
ポリエステルポリオールは、好ましくは、200〜2000g/mol、より好ましくは400〜1400g/molの数平均モル質量を有する。
【0063】
ポリカーボネートポリオールは、好ましくは、400〜2000g/mol、より好ましくは500〜1400g/mol、非常に好ましくは650〜1000g/molの数平均モル質量を有する。
【0064】
ポリエーテルポリオールは、好ましくは、200〜2000g/mol、より好ましくは400〜1400g/mol、非常に好ましくは650〜1000g/molの数平均モル質量を有する。
【0065】
特に好ましいスターターY(H)は、特に、テトラヒドロフランの二官能性ポリマー、とりわけ二官能性脂肪族ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオール、ならびに、特に数平均モル質量が3100g/mol未満、好ましくは500g/mol以上、2100g/mol以下のε−カプロラクトンのポリマーである。
【0066】
適したポリエーテル及びこれらの調製に適した工程の他の例は、EP2172503 A1に記載されており、その関連する開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
別の好ましい実施形態の場合、書込モノマーが、少なくとも1つの単官能性及び/又は1つの多官能性書込モノマーを含むようになっており、当該書込モノマーは、とりわけ、単官能性及び多官能性アクリレート書込モノマーにすることができる。特に好ましくは、書込モノマーは、少なくとも1つの単官能性及び1つの多官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含んでもよい。
【0068】
アクリレート書込モノマーは、とりわけ、一般式(II)の化合物でもよく、
【化1】
【0069】
式中、t≧1且つt≦4、Rは、直鎖、分岐鎖、環状又は複素環式の非置換有機基であり、そうでなければヘテロ原子置換有機基でもよく、及び/又は、Rは、水素、あるいは直鎖、分岐鎖、環状又は複素環式の非置換有機基であり、そうでなければヘテロ原子置換有機基でもよい。特に好ましくは、Rは、水素もしくはメチル、及び/又は、Rは、直鎖、分岐鎖、環状又は複素環式の非置換有機基であり、そうでなければヘテロ原子置換有機基でもよい。
【0070】
同様に、アクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミドなどのα,β−不飽和カルボン酸誘導体、また、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル及びジシクロペンタジエニル単位含有化合物、ならびに、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、オレフィン、例えば、1−オクテン及び/又は1−デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸などのオレフィン不飽和化合物など、さらなる不飽和化合物を付加することができる。しかし、アクリレート及びメタクリレートが好ましい。
【0071】
一般に、アクリル酸のエステル及びメタクリル酸のエステルをそれぞれアクリレート及びメタクリレートと呼ぶ。使用できるアクリレート及びメタクリレートの例は、使用してもよいアクリレート及びメタクリレートの選択のみ挙げると、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、p−クロロフェニルメタクリレート、p−ブロモフェニルアクリレート、p−ブロモフェニルメタクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルメタクリレート、プロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、及びこれらのエトキシル化類似化合物、N−カルバゾリルアクリレートである。
【0072】
アクリレートとして、ウレタンアクリレートももちろん使用することができる。ウレタンアクリレートは、少なくとも1つのウレタン結合をさらに有する少なくとも1個のアクリル酸エステル基を有する化合物を意味すると理解される。このような化合物は、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステルをイソシアネート官能性化合物と反応させることによって得られることが知られている。
【0073】
この目的のために使用できるイソシアネート官能性化合物の例は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族及び脂環式ジ−、トリ−又はポリイソシアネートである。このようなジ−、トリ−又はポリイソシアネートの混合物を使用することもできる。適したジ−、トリ−又はポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−及び/又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体のビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ならびに任意の所望の異性体含有量を有するこれらの混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体のシクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−メチルチオフェニルイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネート及びトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート、あるいは、ウレタン、尿素、カルボジイミド、アシル尿素、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオン又はイミノオキサジアジンジオン構造を有するこれらの誘導体、ならびにこれらの混合物である。芳香族又は芳香脂肪族ジ−、トリ−又はポリイソシアネートがこの場合好ましい。
【0074】
ウレタンアクリレートの調製に適したヒドロキシ官能性アクリレート又はメタクリレートは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートなど、例えば、Tone(登録商標)M100(Dow、シュヴァルバッハ、ドイツ)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシル化、プロポキシル化又はアルコキシル化トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールのヒドロキシ官能性モノ−、ジ−又はテトラアクリレートなどの化合物、あるいはこれらの工業的な混合物である。2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート及びポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0075】
さらに、アクリレート基及び/又はメタクリレート基を単独で、又は前述の単量体化合物と組み合わせて含むイソシアネート反応性オリゴマー又はポリマー不飽和化合物が適している。ヒドロキシル基を含み、20〜300mg KOH/gのOH含有量を有する、それ自体周知のエポキシ(メタ)アクリレート、又はヒドロキシル基を含み、20〜300mg KOH/gのOH含有量を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、又は20〜300mg KOH/gのOH含有量を有するアクリル化ポリアクリレート、及びこれらの互いの混合物、ならびにヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとの混合物、及びポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物、又はヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物も同じく使用することができる。
【0076】
トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート及びm−メチルチオフェニルイソシアネートと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコール官能性アクリレートとの反応から得ることができるウレタンアクリレートが特に好ましい。
【0077】
特に好ましいのは、1.8〜3.1個の官能基を持ち、200〜4000g/molの数平均モル質量を有するポリエーテルポリオールへの、ブチロラクトン、e−カプロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトンの付加生成物からなるマトリックスポリマーを、イソシアヌレート、ウレトジオン、イミノオキサジアジンジオン及び/又はHDIに基づく他のオリゴマーを併用して製造する際の成分a)及びb)の組み合わせである。特に好ましいのは、1.9〜2.2個の官能基及び500〜2000g/mol(とりわけ600〜1400g/mol)の数平均モル質量を有するポリ(テトラヒドロフラン)へのe−カプロラクトンの付加生成物であり、HDIに基づくオリゴマー、イソシアヌレート及び/又はイミノオキサジアジンジオンを併用して、この付加生成物の数平均全モル質量は、800〜4500g/mol、とりわけ1000〜3000g/molである。
【0078】
別の好ましい実施形態において、フォトポリマー配合物は、添加剤としてウレタンをさらに含み、ウレタンは、とりわけ、少なくとも1個のフッ素原子で置換されるものとする。
【0079】
ウレタンは、好ましくは、一般式(III)を有してもよく、
【化2】
【0080】
式中、m≧1且つm≦8、Rは、非置換、そうでなければヘテロ原子で置換されてもよい直鎖、分岐鎖、環状又は複素環式の有機基であり、且つ/又は、R、Rは、互いに無関係に水素であり、好ましくは、基R、R、Rのうちの少なくとも1つは、少なくとも1個のフッ素原子で置換され、より好ましくは、Rは、少なくとも1個のフッ素原子を有する有機基である。特に好ましくは、Rは、非置換、そうでなければヘテロ原子、例えばフッ素などで置換されてもよい直鎖、分岐鎖、環状又は複素環式の有機基である。
【0081】
使用される光開始剤は、通常、化学線によって活性化可能で、対応する基の重合を誘発できる化合物である。
【0082】
適した光開始剤は、通常、化学線によって活性化可能で、対応する基の重合を誘発できる化合物である。光開始剤のうち、単分子開始剤(タイプI)と二分子開始剤(タイプII)が区別される。これらはさらに、その化学的特徴によって、ラジカル、アニオン、カチオン又は混合タイプの重合のための光開始剤に区別され、これに関連する広範な先行技術がある。
【0083】
ラジカル光重合用のタイプIの光開始剤(NorrishタイプI)は、照射により単分子結合が開裂してフリーラジカルを生成する。
【0084】
タイプIの光開始剤の例は、トリアジン、例えば、トリス(トリクロロメチル)トリアジン、オキシム、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール、アルファ−アルファ−ジアルコキシアセトフェノン、フェニルグリオキシル酸エステル、ビスイミダゾール、アロイルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、スルホニウム塩及びヨードニウム塩である。
【0085】
ラジカル重合用のタイプIIの光開始剤(NorrishタイプII)は、照射により二分子反応が起こり、ここで、光開始剤は、励起状態で第2の分子、共開始剤と反応し、電子又はプロトンの移動又は直接の水素抜き取りによって重合誘発ラジカルを生成する。
【0086】
タイプIIの光開始剤の例は、キノン、例えば、カンファーキノン、芳香族ケト化合物、例えば、三級アミンと組み合わせたベンゾフェノン、アルキルベンゾフェノン、ハロゲン化ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロン、メチルp−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、チオキサントン、ケトクマリン、アルファ−アミノアルキルフェノン、アルファ−ヒドロキシアルキルフェノン及びカチオン染料、例えば、三級アミンと組み合わせたメチレンブルーである。
【0087】
タイプI及びタイプIIの光開始剤は、UV及び短波長の可視光領域に使用され、一方、比較的長波長の可視光領域には、主としてタイプIIの光開始剤が使用される。
【0088】
また、アルキルアリールホウ酸アンモニウム及び1又は複数の染料の混合物からなるEP0223587Aに記載の光開始剤系もラジカル重合用のタイプIIの光開始剤として有用である。適したアルキルアリールホウ酸アンモニウムの例は、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボラート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボラート、テトラブチルアンモニウムトリ−ナフチルヘキシルボラート、テトラブチルアンモニウムトリス(4−tert−ブチル)フェニルブチルボラート、テトラブチル−アンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボラート、テトラメチルアンモニウムトリフェニルベンジルボラート、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウム(sec−ブチル)トリフェニルボラート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジペンチルジフェニルボラート及びテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボラート(Cunningham et al.,RadTech’98 North America UV/EB Conference Proceedings,Chicago,Apr.19−22,1998)である。
【0089】
アニオン重合に使用される光開始剤は一般にタイプIの系であり、1列目の遷移金属錯体から誘導される。この場合、言及してもよい例は、クロム塩、例えば、trans−Cr(NH(NCS)(Kutal et al,Macromolecules 1991,24,6872)又はフェロセニル化合物(Yamaguchi et al.Macromolecules 2000,33,1152)である。
【0090】
アニオン重合の別の選択肢は、クリスタルバイオレットロイコニトリル又はマラカイトグリーンロイコニトリルなどの染料の使用であり、これらは、光分解によってシアノアクリレートを重合することができる(Neckers et al.Macromolecules 2000,33,7761)。この場合、発色団は生じるポリマーに取り込まれ、ポリマーを本質的に着色する。
【0091】
カチオン重合に有用な光開始剤は、実質的に次の3つのクラスからなる:アリールジアゾニウム塩、オニウム塩(この場合、具体的には:ヨードニウム、スルホニウム及びセレノニウム塩)及び有機金属化合物。フェニルジアゾニウム塩は、照射によって、水素供与体の存在下だけでなく、水素供与体がない状態でも、重合を開始するカチオンを生成することができる。系全体の効率は、ジアゾニウム化合物に対して使用される対イオンの性質によって決まる。この場合、反応性は低いが、かなり費用のかかるSbF、AsF又はPFが好ましい。これらの化合物は、一般に、薄膜のコーティングにおける使用にあまり適しておらず、その理由は、露出後に放出される窒素によって表面品質が低下する(ピンホール)ためである(Li et al.,Polymeric Materials Science and Engineering,2001,84,139)。
【0092】
オニウム塩、具体的にはスルホニウム塩及びヨードニウム塩は、非常に広く用いられており、多種多様な形態で市販もされている。これらの化合物の光化学は、継続して調査の主題とされてきた。ヨードニウム塩は、励起によって初めに均等に分解し、それによって1個のラジカルと、まず、水素抜き取りによってカチオンに遷移し、最終的にプロトンを放出してカチオン重合を開始する1個のラジカルカチオンとを生成する(Dektar et al.J.Org.Chem.1990,55,639;J.Org.Chem.,1991,56.1838)。この機構により、ヨードニウム塩は同じくラジカル光重合に使用することができる。この場合もやはり、対イオンの選択が非常に重要である。同じく、SbF、AsF又はPFの使用が好ましい。この構造的なクラスは、他の点からすれば、芳香族の置換の選択に関してかなり自由であり、これは、適したシントンの利用可能性によって実質的に決まる。スルホニウム塩は、NorrishタイプIIの機構によって分解する化合物である(Crivello et al.,Macromolecules,2000,33,825)。また、対イオンの選択もスルホニウム塩において極めて重要であり、ポリマーの硬化速度に大きく反映される。最良の結果は、一般に、SbF塩を用いて達成される。
【0093】
ヨードニウム塩及びスルホニウム塩の固有吸収が300nm未満にあるため、これらの化合物は、近UV又は短波長の可視光を用いた光重合に対して適切に感光性となるはずである。これは、さらに長い波長で吸収する芳香族、例えば、アントラセン及び誘導体(Gu et al.,Am.Chem.Soc.Polymer Preprints,2000,41(2),1266)あるいはフェノチアジン及び/又はその誘導体(Hua et al,Macromolecules 2001,34,2488−2494)を用いることにより達成される。
【0094】
これらの感光剤、そうでなければ光開始剤の混合物を使用することが有利な可能性がある。使用される放射線源に応じて、光開始剤のタイプ及び濃度を、当業者に周知の方法で適合させなければならない。さらに詳しくは、例えば、P.K.T.Oldring(Ed.),Chemistry&Technology of UV&EB Formulations For Coatings,Inks&Paints,Vol.3,1991,SITA Technology,London,p.61−328に記載されている。
【0095】
好ましい光開始剤は、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボラート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボラート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボラート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボラート([191726−69−9]、CGI 7460、BASF SE(バーゼル、スイス)の製品)及びテトラブチルアンモニウムトリス−(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボラート([1147315−11−4]、CGI 909、BASF SE(バーゼル、スイス)の製品)と式(I)の染料との混合物である。
【0096】
カチオン染料の例は、アストラゾンオレンジG、ベーシックブルー3、ベーシックオレンジ22、ベーシックレッド13、ベーシックバイオレット7、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット及びチオニンである。
【0097】
本発明のフォトポリマー配合物は、特に好ましくは、式FAnのカチオン染料を含む。
【0098】
式Fのカチオン染料は、好ましくは、以下のクラスのカチオン染料である:アクリジン染料、キサンテン染料、チオキサンテン染料、フェナジン染料、フェノキサジン染料、フェノチアジン染料、トリ(ヘテロ)アリールメタン染料−特にジアミノ−及びトリアミノ(ヘテロ)アリールメタン染料、モノ−、ジ−及びトリメチンシアニン染料、ヘミシアニン染料、外部がカチオン性のメロシアニン染料、外部がカチオン性のニュートロシアニン染料、ヌルメチン染料−特にナフトラクタム染料、ストレプトシアニン染料。このような染料は、例えば、H.Berneth in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Azine Dyes,Wiley−VCH Verlag,2008,H.Berneth in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Methine Dyes and Pigments,Wiley−VCH Verlag,2008,T.Gessner,U.Mayer in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Triarylmethane and Diarylmethane Dyes,Wiley−VCH Verlag,2000に記載されている。
【0099】
Anは、アニオンを指すと理解されるべきである。好ましいアニオンAnは、特に、C−〜C25−アルカンスルホネートであり、好ましくは少なくとも3個の水素原子をアルキル鎖内に持つC13−〜C25−アルカンスルホネート、C−〜C18−パーフルオロアルカンスルホネート、C−〜C18−パーフルオロアルカンスルホネートであり、C−〜C25−アルカノエート、C−〜C25−アルケノエート、C−〜C25−アルキルスルファートであり、好ましくはC13−〜C25−アルキルスルファート、C−〜C25−アルケニルスルファートであり、好ましくは少なくとも3個の水素原子をアルキル鎖内に持つC13−〜C25−アルケニルスルファート、C−〜C18−パーフルオロアルキルスルファート、C−〜C18−パーフルオロアルキルスルファートであり、少なくとも4当量のエチレンオキシド及び/又は4当量のプロピレンオキシドに基づくポリエーテルスルファートであり、少なくとも8個のフッ素原子で置換されたビス−C−〜C25−アルキルスルホスクシネート、C−〜C−シクロアルキルスルホスクシネート、C−〜C−アルケニルスルホスクシネート、C−〜C11−アラルキルスルホスクシネート、ビス−C−〜C10−アルキルスルホスクシネートであり、C−〜C25−アルキルスルホアセタート、ハロゲン、C−〜C25−アルキル、パーフルオロ−C−〜C−アルキル及び/又はC−〜C12−アルコキシカルボニルの群からの少なくとも1つの部分で置換されたベンゼンスルホネートであり、ニトロ−、シアノ−、ヒドロキシル−、C−〜C25−アルキル−、C−〜C12−アルコキシ−、アミノ−、C−〜C12−アルコキシカルボニル−又は塩素−置換ナフタレン−又はビフェニルスルホネートでもよく、ニトロ−、シアノ−、ヒドロキシル−、C−〜C25−アルキル−、C−〜C12−アルコキシ−、C−〜C12−アルコキシカルボニル−又は塩素−置換ベンゼン−、ナフタレン−又はビフェニルジスルホネートでもよく、ジニトロ−、C−〜C25−アルキル−、C−〜C12−アルコキシカルボニル−、ベンゾイル−、クロロベンゾイル−又はトルオイル−置換ベンゾエートであり、ナフタレンジカルボン酸、スルホン化又は硫酸化されたジフェニルエーテルジスルホネートのアニオンであり、脂肪族C−〜C−アルコール又はグリセロールのモノ−又はポリ不飽和C−〜C25−脂肪酸エステル、ビス(スルホ−C−〜C−アルキル)C−〜C12アルカンジカルボン酸エステル、ビス(スルホ−C−〜C−アルキル)イタコン酸エステル、(スルホ−C−〜C−アルキル)C−〜C18−アルカンカルボン酸エステル、(スルホ−C−〜C−アルキル)アクリル酸又はメタクリル酸エステルでもよく、最大12のハロゲン部分で置換されてもよいトリスカテコールホスフェートであり、フェニル部分又はフェノキシ部分がハロゲン−、C−〜C−アルキル−及び/又はC−〜C−アルコキシ−置換されてもよいテトラフェニルボラート、シアノトリフェニルボラート、テトラフェノキシボラート、C−〜C12−アルキルトリフェニルボラートの群からのアニオンであり、B原子及び/又はC原子上で1個又は2個のC−〜C12−アルキル基又はフェニル基で置換されてもよいC−〜C12−アルキルトリナフチルボラート、テトラ−C−〜C20−アルコキシボラート、7,8−又は7,9−ジカルバニドウンデカボラート(1−)又は(2−)であり、ドデカヒドロジカルバドデカボラート(2−)又はB−C−〜C12−アルキル−C−フェニルドデカヒドロジカルバドデカボラート(1−)であり、ここで、ナフタレンジスルホネートなどの多価アニオン中のAnは、このアニオンの1当量であり、ここで、アルカン基及びアルキル基は、分岐しても、且つ/又は、ハロゲン−、シアノ−、メトキシ−、エトキシ−、メトキシカルボニル−又はエトキシカルボニル−置換されてもよい。
【0100】
特に好ましいアニオンは、sec−C11−〜C18−アルカンスルホネート、C13−〜C25−アルキルスルファート、分岐鎖C−〜C25−アルキルスルファートであり、分岐鎖ビス−C−〜C25−アルキルスルホスクシネートでもよく、スルホン化又は硫酸化されたsec−又はtert−C−〜C25−アルキルベンゼンスルホネートであり、脂肪族C−〜C−アルコール又はグリセロールのモノ不飽和又はポリ不飽和C−〜C25−脂肪酸エステルでもよく、ビス(スルホ−C−〜C−アルキル)C−〜C12−アルカンジカルボン酸エステル、(スルホ−C−〜C−アルキル)C−〜C18−アルカンカルボン酸エステル、最大12のハロゲン部分で置換されたトリスカテコールホスフェートであり、シアノトリフェニルボラート、テトラフェノキシボラート、ブチルトリフェニルボラートである。
【0101】
染料のアニオンAnは、好ましくは1〜30の範囲、より好ましくは1〜12の範囲、さらにより好ましくは1〜6.5の範囲のAClogPを有する。AClogPは、J.Comput.Aid.Mol.Des.2005,19,453;Virtual Computational Chemistry Laboratory(http://www.vcclab.org)に記載の通り計算される。
【0102】
光開始剤は、特に好ましくは、吸収スペクトルが400〜800nmのスペクトル領域を少なくとも部分的に含む染料と、染料に合わせた少なくとも1つの共開始剤の組み合わせを含む。
【0103】
フォトポリマー配合物は、好ましくは、青、緑及び赤から選択されるレーザー光の色に適した少なくとも1つの光開始剤を含む。
【0104】
フォトポリマー配合物は、さらに好ましくは、青、緑及び赤から選択される少なくとも2つのレーザー光の色に対して、それぞれ1つの適した光開始剤を含む。
【0105】
最後に、フォトポリマー配合物は、特に好ましくは、青、緑及び赤のレーザー色それぞれに対して、それぞれ1つの適した光開始剤を含む。
【0106】
層Pは、好ましくは、5μm〜100μm、より好ましくは5μm〜30μm、非常に好ましくは10μm〜25μmの厚さを有してもよい。
【0107】
本発明の好ましい実施形態において、層Pは、基材層Sに施されていてもよい。基材(S)を形成する好ましい材料又は材料の組立品は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースアセタート、セルロース水和物、ニトロセルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、セルローストリアセタート(CTA)、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール又はポリジシクロペンタジエンあるいはこれらの混合物に基づく透明なフィルムに基づく。好ましくは、それらは、高い光学的品質を有し、使用されるフォトポリマー配合物との良好な屈折率の適合を示すフィルムに基づく。より好ましくは、それらはPC、PET及びCTAに基づく。
【0108】
原則的に、基材(S)に使用されるフィルムラミネート又は共押出品などの材料の組立品を使用することもできる。材料の好ましい組立品は、スキームA/B、A/B/A又はA/B/Cのうちの1つにしたがって構成される二重及び三重のフィルムである。特に好ましいのは、PC/PET、PET/PC/PET及びPC/TPU(TPU=熱可塑性ポリウレタン)である。
【0109】
層Sの厚さは、15〜375μm、好ましくは23μm〜175μm、より好ましくは36μm〜125μmでもよい。
【0110】
体積ホログラムは層P内に露光される。このホログラムは、反射型、透過型又はエッジリットホログラムでもよい。露光の取り込みは単色レーザーを用いて行われ、ここで、ビームスプリッター及びレーザービームの拡大により干渉場が生成される。このレーザーは、さまざまな色(光の周波数)を発生させてもよく、好ましくは、青、赤、緑又は黄の発光波長が使用されてもよい。同じく、異なる色のレーザーを同時に、及び順次使用することもできる。したがって、このようにして、2色又は多色反射型ホログラムを生成することができる。
【0111】
層P内では、露光により取り込まれた1又は複数のホログラムが同じ場所に、又は互いに並んで存在してもよい。同じ場所での露光により、異なる画像内容を取り込むことができる。同様に、露光により、再生角度をわずかに変化させて対象物の異なる側面を取り込み、したがって、ステレオグラムを生成することができる。同じく可能なことは、露光による隠しホログラム及びマイクロテキストの取り込みである。透過型ホログラムの場合も同様に、露光により、複数の導光機能、及び/又は異なるスペクトル範囲の導光機能を取り込むことが可能である。
【0112】
放射線硬化樹脂I)の説明
放射線硬化樹脂I)は、好ましくは、放射線硬化基、とりわけラジカル重合性基を有する少なくとも1つのポリエステル−、ポリエーテル−、ポリカーボネート−及び/又はポリウレタン−含有バインダーを含み、ラジカル重合性基は、好ましくはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、マレイル基及び/又はフマリル基、より好ましくはアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基、非常に好ましくはアクリロイル基である。(メタ)アクリロイル含有バインダーは、一般に、(メタ)アクリル酸をポリオールで(例えば、DE000019834360A1、EP000000900778B1参照)、又はポリ−オキサルキル化ポリオールでDE102007037140A1にしたがってエステル化することによって調製される。ポリオール中に存在する化学基にしたがって、生成物は、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート又はポリカーボネートアクリレートと呼ばれる。2つ以上のタイプの基が存在する場合、例えば、ポリエーテル/エステルアクリレートなどの用語も用いられる。
【0113】
同様に、(メタ)アクリロイル含有バインダーは、ジ−又はポリイソシアネートと事前に架橋されて、さらに分子質量の大きな樹脂を与えることができて、その結果、ウレタン基がさらに導入される。このような樹脂はウレタンアクリレートと呼ばれる。脂肪族イソシアネートが使用される場合、生成物は脂肪族ウレタンアクリレートとも呼ばれる。芳香族イソシアネートが使用される場合は、これらの生成物は芳香族ウレタンアクリレートとも呼ばれる。また、ウレタンアクリレートは、例えば、DE19944156A1及びDE10143630A1に記載の、例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルアクリレートなど、ジ−及びポリイソシアネートとヒドロキシル基官能性アクリル酸エステルとの付加生成物も含むと解釈される。
【0114】
また、アロファネート基をさらに含む有利な低粘度ウレタンアクリレートを使用することもできる。これらは、とりわけ、DE102004048873A1及びDE102009008569A1にしたがって中間体として調製されるイソシアネート及びウレタンアクリレートによる固有の触媒作用を備え、同じく非常に適している。
【0115】
さらに使用することができるバインダーはエポキシアクリレートであり、エポキシ樹脂とアクリル酸との反応によって調製されてもよい。エポキシ樹脂は、例えば、異なるブレンド割合のビスフェノールA及びエピクロルヒドリンから得ることができる種類の低分子質量ジエポキシドの反応生成物である。さまざまな脂肪族又は芳香族アルコール/フェノールとエピクロルヒドリン、及びその後のアクリル酸との反応に基づく他のエポキシアクリレートも同じく使用することができる。
【0116】
放射線硬化樹脂I)は、好ましくは、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートの群からの少なくとも1つの化合物、及び好ましくは少なくとも1つの脂肪族ウレタンアクリレート及び/又は少なくとも1つの芳香族ウレタンアクリレートを含む。
【0117】
本発明の別の好ましい実施形態において、放射線硬化樹脂I)は、500未満の重量平均分子量を有する化合物を4重量%以下、1000を超える重量平均分子量を有する化合物を77重量%以上、好ましくは、500未満の重量平均分子量を有する化合物を3.5重量%以下、1000を超える重量平均分子量を有する化合物を79重量%以上含む。異なる放射線硬化樹脂I)のブレンドも同様に使用することができる。次いで、これらの混合物は、類推によって上述の適した重量平均分子量の割合にされ、これは、これらの混合物の平均の重量平均分子量の割合と関係がある。
【0118】
保護層を製造するための混合物中において、1又は複数の放射線硬化樹脂I)は、少なくとも55重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、特に好ましくは少なくとも80重量%の程度まで使用される。
【0119】
多官能性放射線硬化樹脂II)の説明
多官能性放射線硬化樹脂II)は、好ましくは、分子あたり少なくとも、それぞれの場合において、2個の放射線硬化基、とりわけラジカル重合性基を有する1又は複数の放射線硬化化合物を含むか、又はこれらからなり、ラジカル重合性基は、好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、マレイル基及び/又はフマリル基、より好ましくはアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基、非常に好ましくはアクリロイル基である。
【0120】
多官能性放射線硬化樹脂II)中で使用される化合物は、好ましくは、分子あたり少なくとも3個及び/又は少なくとも4個の放射線硬化基、とりわけラジカル重合性基を含む。特に好ましくは、多官能性放射線硬化樹脂II)中で使用される化合物は、分子あたり正確に3個及び/又は正確に4個の放射線硬化基、とりわけラジカル重合性基を含む。
【0121】
多官能性アクリレート及び/又はメタクリレート、より好ましくは少なくとも二官能性成分、さらに特に好ましくは少なくとも三官能性成分、非常に好ましくは三官能性及び/又は四官能性成分の使用が好ましく、「官能性」は、好ましくは二重結合の形態の放射線硬化反応性基それぞれの数を指す。
【0122】
特に適した多官能性アクリレートの例には、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジ(トリメチロール)テトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、0.3〜9プロポキシ単位のグリセロールプロポキシレートトリアクリレート、0.3〜9エトキシ単位のグリセロールエトキシレートトリアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが含まれる。
【0123】
さらに、さまざまな多官能性放射線硬化樹脂II)の調製も同様に適用してもよい。
【0124】
保護層を製造するための混合物中では、最大でも35%、さらに有利に3重量%〜33重量%の1又は複数の多官能性放射線硬化樹脂II)が使用されており、好ましくは5重量%〜15重量%である。
【0125】
光開始剤系III)の説明
光開始剤系III)は、高エネルギー放射線、例えばUV光などへの暴露でラジカル重合を誘発できる開始剤を含む。このような光開始剤は、例えば、P.K.T.Oldring(Ed.),Chemistry&Technology of UV&EB Formulations For Coatings,Inks&Paints,Vol.3,1991,SITA Technology,London,p.61−325に記載されている。光開始剤系III)は、好ましくは、2−ヒドロキシフェニルケトン、特に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルケタール、特にベンジルジメチルケタール、アシルホスフィンオキシド、とりわけ、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ジアシルホスフィンオキシド、ベンゾフェノン及びこれらの誘導体の群からの少なくとも1つの化合物を含んでもよい。これらは、単独又は混合物で使用することができて、コーティング系の固形分に基づいて計算された、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜7重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の量の添加剤としての別の促進剤又は共開始剤と共に使用されてもよい。
【0126】
放射線硬化樹脂IV)の説明
配合物は、10重量%以下の別の低分子質量、放射線硬化樹脂IV)を含んでもよい。
【0127】
放射線硬化樹脂IV)は、好ましくは、ラジカル重合性基を有する1又は複数の放射線硬化化合物から選択され、ラジカル重合性基は、好ましくは、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、マレイル基及び/又はフマリル基、より好ましくはアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基である。
【0128】
アクリレート及びメタクリレートと呼ばれるものは、一般に、それぞれが、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルである。使用できるアクリレート及びメタクリレートの例は、使用できるアクリレート及びメタクリレートの選択のみ挙げると、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、p−クロロフェニルメタクリレート、p−ブロモフェニルアクリレート、p−ブロモフェニルメタクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモベンジルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエトキシエチルアクリレート、フェノキシエトキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルアクリレート、1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチルメタクリレート、プロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、及びこれらのエトキシル化類似化合物、エタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート及びN−カルバゾリルアクリレートである。
【0129】
保護層において、好ましくは、0重量%以上、10重量%以下の放射線硬化樹脂IV)が含まれ、とりわけ0.01〜10重量%、より好ましくは3重量%以上、10重量%以下である。
【0130】
さらに、混合物は、1又は複数の反応性の希釈剤と共に使用されてもよい。この使用において含まれてもよい反応性の希釈剤は、UV硬化の過程で同様に(共)重合し、したがって、ポリマーのネットワークに取り込まれ、NCO基に対して不活性な化合物である。このような反応性の希釈剤は、例示的に、P.K.T.Oldring(Ed.),Chemistry&Technology of UV&EB Formulations For Coatings,Inks&Paints,Vol.2,1991,SITA Technology,London,p.237−285に記載されている。これらは、アクリル酸又はメタクリル酸、好ましくはアクリル酸と、モノ−又は多官能性アルコールとのエステルでもよい。適したアルコールの例には、異性体のブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール及びデカノール、ならびに、イソボルネオール、シクロヘキサノール及びアルキル化シクロヘキサノール、ジシクロペンタノールなどの脂環式アルコール、フェノキシエタノール及びノニルフェニルエタノールなどのアリール脂肪族アルコール、ならびに、テトラヒドロフルフリルアルコールが含まれる。これらのアルコールのアルコキシル化誘導体が使用されてもよい。適した二価アルコールは、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチルヘキサンジオール及びトリプロピレングリコールなどのアルコールであり、そうでなければ、これらのアルコールのアルコキシル化誘導体である。好ましい二価アルコールは、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールである。適した三価アルコールは、グリセロール又はトリメチロールプロパン、あるいはこれらのアルコキシル化誘導体である。四価アルコールは、ペンタエリスリトール、又はそのアルコキシル化誘導体である。1つの適した六価アルコールは、ジペンタエリスリトール、又はそのアルコキシル化誘導体である。特に好ましいのは、記載した三価から六価のアルコールのアルコキシル化誘導体である。
【0131】
さらに、保護層を製造するための混合物は、添加剤をさらに含んでもよく、添加剤は、次の利用方法にしたがって追加的に使用される:ポリアクリレートなどの流れ調整助剤、シリコーン、ハイブリッド材料、帯電防止剤、溶媒、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カルシウムなどの充填剤、シリカなどのブロッキング防止剤、光安定剤、とりわけ、UV吸収剤、HALSアミン、ホスホナート、顔料及び/又は染料。
【0132】
放射線硬化樹脂IV)中で使用される反応性の希釈剤ならびに使用される化合物は、好ましくは、互いに無関係に、800g/mol以下、より好ましくは500g/mol以下、非常に好ましくは300g/mol以下の重量平均分子量を有する。好ましい範囲は、72〜800g/mol、好ましくは72g/mol〜500g/mol、より好ましくは85g/mol〜300g/molである。放射線硬化樹脂IV)は、好ましくは、少なくとも72g/molの重量平均分子量を持ち、アクリル酸が一例である。使用される反応希釈剤は、好ましくは、少なくとも62g/molの分子質量を持ち、一例はエチレングリコールである。
【0133】
保護層内の樹脂IV)及び反応性の希釈剤の合計のうち、好ましくは、0重量%以上、10重量%以下の両方の成分が存在し、とりわけ0.01〜10重量%、特に好ましくは、3重量%以上、10重量%以下である。
【0134】
本発明の層状構造物の製造
さらに本発明は、本発明の層状構造物を製造するための方法を提供し、ここで、少なくとも放射線硬化樹脂I)、多官能性放射線硬化樹脂II)、光開始剤系III)を含み、任意には放射線硬化樹脂IV)を含む混合物が、露光フォトポリマー層に塗布され、硬化され、ここで、上記放射線硬化樹脂I)中には、500未満の重量平均分子量を有する化合物が5重量%以下、1000を超える重量平均分子量を有する化合物が75重量%以上あり、上記多官能性放射線硬化樹脂II)は、少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートを含むか、又は少なくとも2個の放射線硬化基を有する少なくとも1つのアクリレートからなり、上記混合物中には、少なくとも55重量%の放射線硬化樹脂I)及び35重量%を超えない多官能性放射線硬化樹脂II)がある。
【0135】
上記混合物は、1又は複数のホログラムを含むフォトポリマー層に、液体を塗布する通例の技術により、役立つように塗布される。通例の工程は、当業者に周知のコーティングバー法(ドクターブレード、ナイフロールコーター、コンマバー、フローティングナイフコーター、ラバーブランケットコーターなど)、ダイシステム(例えば、スロットダイ)、カーテンコーター、ロール塗布工程(パターンローラ、リバースロールコーター)、浸漬法、スクリーン印刷又はスクリーン塗布などの二次元的に連続して塗布する技術である。
【0136】
保護層がフォトポリマー層の直接のシールとして使用される場合、塗布に続いてUV放射硬化を行う。この硬化は、高圧蒸気ランプを用いて行われ、このランプは、その発光スペクトルを使用される光開始剤系III)に合わせるため、異なる金属ランプドーパントを用いて適合させることができる。この場合、高圧蒸気UVランプの熱放射を、二色性反射体などにより、放射線硬化層に近づけないことが有利な場合がある。
【0137】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、まず第一に本発明の混合物を滑らかな基材表面に塗布し、次にフォトポリマー層(例えば、透過型ホログラム又は反射型ホログラムを含むブリーチングしたフォトポリマー又はフォトポリマー層)をまだ液体のワニス上に置き、続いて圧力を加えて押し付け、ラミネートを作製する手順が用いられてもよい。例えば、手動のゴムローラ及び/又はロールラミネータを用いてプレスしてもよい。これに続いて、例えばUV放射によりワニスを硬化する。硬化後、ワニスはフォトポリマー又はホログラムに堅固に接合され、また、基材から破壊されずに容易に引き離すことができる。基材のベースは、この場合、転写ベースのように働くが、その滑らかさによって、実質的に表面欠陥のないワニス層が得られる。転写ベースの表面の品質は、ワニスを塗布したフォトポリマー層を除去した後に、露出したワニス表面に再現される。適切な転写ベースは、一般に、任意の滑らかな表面、例えば、ガラス、ワニスを塗布した紙、その他の滑らかなポリマーフィルム又は金属表面などである。特に適した滑らかな基材表面はガラス表面であり、その理由は、ガラスは必要とされる滑らかな表面を有する一方で、混合物を硬化する放射、例えばUV放射などに関して十分に透明であるためである。したがって、UV透過率が低いフォトポリマー層でも、ガラス基材を通して行う、言い換えれば、フォトポリマー層の平坦な反対側から本発明の混合物を露光するステップを用いてラミネートすることができる。したがって、1つの特に好ましい方法は、混合物を転写表面、好ましくは光学的に透明な転写表面、より好ましくはガラス表面に施すステップと、フォトポリマー層をまだ未硬化の混合物に施すステップと、特に、フォトポリマー層及び/又は転写表面を通して、好ましくは転写表面を通して放射線硬化させることによる保護層の形成を伴う硬化と共に、これを押し付けるステップと、続いて、転写表面から、保護層及びフォトポリマー層から構成されるラミネートを除去するステップとを含む。
【0138】
同じく、もちろん、本発明のワニスをロール工程で速やかに効率よく塗布することもできる。この場合、好ましくは、
1.ホログラム含有フォトポリマーフィルムが、ロール・ツー・ロール工程に運ばれる。
【0139】
2.ワニスが、そこに、コーティングバー、ダイシステム、カーテンコーター、ロール塗布システム、浸漬工程、スクリーン印刷又はスクリーン塗布によって施される。
【0140】
3.コーティングされたフィルムが、湿った膜の厚さよりも小さい規定の距離をおいて透明又は不透明なロールの下を通過し、同時にUV光硬化される。
【0141】
透明なロール(例えば、ガラス製又はプラスチック製)が使用される場合、放射線源は、ワニスを硬化するためにロール内に置くことができる。不透明なロール(例えば、金属製)の場合、硬化は常にフォトポリマー側から行われる。
【0142】
ロールは、ワニス上に特定の表面構造が残るようにパターン化されてもよい。パターニングは刻まれてもよく、又は、表面張力の小さい特殊な表面(例えば、シリコーン、テフロン)を有してもよい。これは、続いて塗布される層又はラミネートされる層に対して特定の密着性を実現することが所望されている場合に有利な場合がある。同じく、それによって、つや消し、表面散乱、反射防止層、光学スペーサーなど、特定の光学特性を得ることができる。
【0143】
この種類の製品は、特に、映写スクリーン、電子表示用の特殊用途の光学フィルム、販売時点又は広告利用のための3Dホログラムの画像化、屋外用途における光からの保護、太陽電池、OLEDラミネート、ならびに一般的な光学素子に有利である。
【0144】
また、保護層を製造するための本発明の混合物は接着性もあり、したがって、放射硬化接着剤として使用することもできる。したがって、混合物を利用して、フォトポリマー層をライナーに接合することができる。本発明の方法の別の実施形態によれば、硬化前の混合物は、ライナー層に並べられ、次に、特に、フォトポリマー層及び/又はライナー層を通して行う放射線硬化により硬化する。
【0145】
さらに本発明は、多層構造とホログラフィック光学層とを備えた、ラベル、セキュリティーカード、銀行券、印刷物、光学的構造物、電子表示又は他の物品における、本発明の層状構造物の使用であって、好ましくはフォトポリマー層内に露光された少なくとも1つのホログラムを含む使用を提供する。
【0146】
記載した用途において、特に、ラベル、ステッカー、光学的構造物及び画像化ホログラフィー(3D写真及びポスター)の場合、(感圧)接着剤がホログラムの接着にしばしば用いられる。通例の感圧接着剤はポリアクリレート接着剤であり、この接着剤では、既存の層状構造物の場合、ホログラフィック回折格子が膨潤又は収縮して、ホログラムの色が著しくシフトしたり、又は視野角が著しくシフトしたりすることもある。本発明の層状構造物を用いて、ホログラム含有フォトポリマー層と(感圧)接着剤層の間に保護層を配置することにより、ホログラムに対する(感圧)接着剤のこの悪影響を防ぐことができる。この場合、(感圧)接着剤の塗布は、保護層の上に液体を塗布する方法により、又は接着剤層を転写する方法により行う。また、保護層は、転写フィルム上に存在する(感圧)接着剤層に直接塗布してもよく、この後、ホログラム含有フォトポリマー層は圧力でラミネートされて、UV放射を用いて硬化される。
【0147】
また、接着剤層の転写方法は、ラベル又はステッカー製造時に液体の化学薬品が使用されない場合、又は(感圧)接着剤層の厚さが正確に設定される場合にも特に適している。その場合には、先行するステップにおいて、(感圧)接着剤層は、再び引き離すことができる基材に塗布され、また、別の引き離すことができるラミネートシートで保護されてもよい。接着剤層の転写方法において、ラミネートシートが次に除去され、(感圧)接着剤が、硬化した保護層の上に直接ラミネートされる。(感圧)接着剤の基材は、通常、ラベル/ステッカーが付与されるまで転写基材として残される。転写基材の裏側が同様に非接着性に作られている場合は、ラミネートシートを省くことができる。
【0148】
接着剤のタイプに応じて、(感圧)接着剤の塗布の前又は後に保護層のUV放射硬化を実施することが有利なことがあり、この場合、一般に、(感圧)接着剤が塗布される前に硬化を実施することが好ましい。同じく好ましいのは、転写接着剤のフィルムによる付与である。
【0149】
ラベル、セキュリティーカード、銀行券、印刷物、光学的構造物、電子表示などにおけるフォトポリマー層及び保護層ならびに更なる層から構成される多層構造の使用においては、フォトポリマー層を接着する解決策として保護層を直接使用することが有利なことがある。これは、紙、熱可塑性物質、熱硬化性物質、金属、ガラス、木材、塗装基材、コーティング基材、ラミネート基材又は印刷基材などでできた基材に特にあてはまる。この場合、基材を前処理することが有利な場合がある。前処理の例は、脱脂などの予備洗浄のために溶媒を用いる化学的な前処理、プラズマ処理又はコロナ処理、放射線活性化、接着促進層の蒸着又は付与などの物理的な前処理である。この場合、保護層のUV放射硬化は、このような基材への付与後に実施される。付与は、保護層配合物のフォトポリマーへの湿式付与と、それに続く基材の直接のラミネーション、又は保護層配合物の基材への湿式付与と、その後のフォトポリマーの直接のラミネーション、又は、例えばラミネータでの同時付与のいずれかによって行われる。層が厚く、したがってUV透過性でないか、又はUVに対して不透明でさえある層の場合、電子ビーム又はX線などの他の高エネルギー放射線を使用して保護層を硬化することが有利なことがある。光開始剤系III)は、使用される放射の特定のタイプに役立つように合わせられる。
【0150】
本発明のさらに好ましい実施形態において、ホログラムは、フォトポリマー層内に露光されていてもよい。ホログラムは、当業者に周知の方法により記録された任意のホログラフィック体積ホログラムでもよい。これらには、とりわけ、単色で露光された、又は異なる発光波長の2種類以上のレーザーで生成された多色又はフルカラー反射型ホログラム、インライン(ガボール)ホログラム、オフアクシスホログラム、全開口トランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム(レインボーホログラム)、リップマンホログラム、デニシュークホログラム、オフアクシス反射型ホログラム、エッジリットホログラムならびにホログラフィックステレオグラムが含まれる。
【0151】
ホログラムの可能な光学的機能は、レンズ、ミラー、偏向ミラー、フィルター、拡散レンズ(視界が制限されるゾーン(アイボックス)あり・なし)、回折素子、ライトガイド、導波管、映写レンズ、マスク、スペクトル色分割、光配向及び導光のための光学プリズムならびに光成形などの光学素子の光学的機能に対応する。これらの光学素子は、しばしば、ホログラムの露光方法及びホログラムの寸法にしたがって周波数選択性を示す。
【0152】
さらに、本発明の層状構造物により、例えば、個人肖像、機密文書の生体認証表示、又は、一般的に、広告用の画像又は画像構造、セキュリティーラベル、ブランド保護、製品ブランディング、ラベル、デザイン要素、装飾、イラスト、コレクション用カード、写真など、ならびに単独、又は上述の製品と組み合わせた、デジタルデータなどを表してもよい画像について、ホログラフィー像又はホログラフィック表示を生成することもできる。ホログラフィー像は、三次元像の印象を与えることもあるが、そうでなければ、光を当てる光源(移動光源を含む)などからの角度に応じて、動画像、短編映画又はいくつかのさまざまな対象物を表現してもよい。これらの多様な設計の可能性に基づいて、ホログラム、特に体積ホログラムは、前述の用途において魅力的な技術的解決策となる。
【0153】
また、本発明の保護層は、別の設計のために、例えば、とりわけ蛍光マーカーを用いて着色されてもよい。その場合、励起はUVの範囲内であり、発光は可視スペクトルの範囲内である。代替的又は追加的に、法医学的機能が保護層内に備えられてもよい。
【実施例】
【0154】
本発明を実施例及び図1から図4を参照して以下でさらに詳しく説明する。
【0155】
使用材料:
フォトポリマー層の使用材料:
成分A:
実験用製品(Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)製)。調製は以下で説明。
【0156】
成分B1(ホスホロチオイルトリス(オキシ−4,1−フェニレンイミノカルボニルオキシエタン−2,1−ジイル)トリアクリレート):
実験用製品(Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)製)。調製は以下で説明。
【0157】
成分B2(2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)エチルプロパ−2−エノアート):
実験用製品(Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)製)。調製は以下で説明。
【0158】
成分C(ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)(2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイル)ビスカルバメート):
実験用製品(Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)製)。調製は以下で説明。
【0159】
成分D
Fascat 4102 0.07%、ウレタン化触媒、ブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)。Arkema GmbH(デュッセルドルフ、ドイツ)の製品。
【0160】
BYK(登録商標)310:
シリコーンベースの表面添加剤(BYK−Chemie GmbH(ヴェーゼル)製)、キシレン中の25%強度溶液。
【0161】
成分E
C.I.ベーシックブルー3(ビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート塩に転換されたもの)0.26%、サフラニンO(ビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート塩に転換されたもの)0.13%及びアストラゾンオレンジG(ビス(2−エチルヘキシル)スルホスクシネート塩に転換されたもの)0.13%ならびにCGI909(BASF SE(バーゼル、スイス)製実験用製品)1.5%(5.8%の酢酸エチル溶液として)。パーセントは、媒体の配合物全体に基づく。
【0162】
成分F
酢酸エチル(CAS No.141−78−6)。
【0163】
成分G
Desmodur(登録商標)N3900、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)の商品。ヘキサンジイソシアネートベースのポリイソシアネート。イミノオキサジアジンジオンの割合は少なくとも30%。NCO含有量:23.5%。
【0164】
キャリヤー基材
Makrofol(登録商標)DE1−1 C 125μm。ポリカーボネートフィルム(厚さ125μm)。Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)の商品。
【0165】
樹脂の使用材料:
樹脂1:Desmolux U100は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン)の商品。100%供給されたままの形態の硬質だが可撓性の脂肪族ウレタンアクリレート。典型的な粘度は7500mPas/23℃(樹脂Iの例として、重量分率(Mw<500g/mol):1.9%、重量分率(Mw>1000g/mol):79.0%)。
【0166】
樹脂2:トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート(CAS No.40220−08−4)をSigma−Aldrich GmbH(シュタインハイム、ドイツ)から入手した(樹脂IIの例として)。
【0167】
樹脂3:トリメチロールプロパントリアクリレート(CAS No.15625−89−5)をABCR GmbH&Co.KG(カールスルーエ、ドイツ)から入手した(樹脂IIの例として)。
【0168】
樹脂4:ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート(CAS No.94108−97−1)をSigma−Aldrich GmbH(シュタインハイム、ドイツ)から入手した(樹脂IIの例として)。
【0169】
樹脂5:ペンタエリスリトールトリアクリレート(CAS No.3524−68−3)をSigma−Aldrich GmbH(シュタインハイム、ドイツ)から入手した(樹脂IIの例として)。
【0170】
樹脂6:グリセロールプロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート(CAS No.52408−84−1)をSigma−Aldrich GmbH(シュタインハイム、ドイツ)から入手した(樹脂IIの例として)。
【0171】
樹脂7:イソボルニルメタクリレート(CAS No.7534−94−3)をAgeflex IBOMAという商品名でBASF SE(バーゼル、スイス)から入手した(樹脂IVの例として)。
【0172】
樹脂8:テトラヒドロフルフリルアクリレート(CAS No.2399−48−6)をSartomer SR 285という製品名でArkema France(コロンブ、フランス)から入手した(樹脂IVの例として)。
【0173】
樹脂9:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(CAS No.29570−58−9)をAgisyn 2830という商品名でJobachem GmbH(ダッセル、ドイツ)から入手した(樹脂IIの例として)。
【0174】
樹脂10:ヘキサンジオールジアクリレートをLaromer(登録商標)HDDAという商品名でBASF SE(ルートウィヒスハーフェン、ドイツ)から入手した(樹脂IVの例として)。
【0175】
Darocur 1173は、BASF SE(バーゼル、スイス)の製品である(光開始剤系IIIの例として)。
【0176】
Irgacure 2022は、BASF SE(ルートウィヒスハーフェン、ドイツ)の製品である(光開始剤系IIIの例として)。
【0177】
BYK(登録商標)310:シリコーンベースの表面添加剤(BYK−Chemie GmbH(ヴェーゼル)製)、キシレン中の25%強度溶液。
【0178】
測定方法:
重量平均分子量の割合を求めるためのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
使用した溶離液は非安定化テトラヒドロフランで、流量は0.6ml/分であった。使用した固定相は4つの連続的に接続されたカラム(Macherey&Nagel製)で構成されていた。タイプ:2×Nucleogel GPC 100−5及び2×Nucleogel GPC 50−5。分離材料は、架橋ポリスチレン−ジビニルベンゼンポリマー(粒径5μm、孔径50Å又は100Å)で、カラム長さ30cm、直径7.7mmである。各カラムは長さ30cm、直径7.7mmであった。校正は、ポリスチレン校正標準を用いて162〜8400g/molの範囲で行った。解析は、PSS WINGPC Unityソフトウェア(PolymerStandardServices製)を用いて行った。
【0179】
フォトポリマー乾燥膜厚の測定
物理的な層厚をFTM−Lite NIR層厚測定器(Ingenieursburo Fuchs製)などの市販の白色光干渉計を用いて測定した。
【0180】
層厚は、原則として薄層での干渉現象に基づいて測定した。異なる光学密度を持つ2つの界面から反射した光波が互いに重ね合わせられた。次に、反射した成分ビームのひずみのない重ね合わせによって、白色の連続放射源(例えば、ハロゲンランプ)のスペクトル内で周期的に明るくなったり消えたりした。この重ね合わせを、当業者は干渉と呼ぶ。干渉スペクトルを測定し、数学的に評価した。
【0181】
固形分
約1gのサンプルをコーティングされていない缶のふた内に施して、ペーパークリップで完全に広げた。缶のふたとペーパークリップは事前に重量を測定していた。サンプルをペーパークリップ及び缶のふたと共にオーブン内で125℃で1時間乾燥させた。固形分を次の通り計算した:(最終的な自重)*100/(初期の自重)。
【0182】
粘度
報告した粘度は、DIN EN ISO3219/A.3にしたがって23℃でせん断速度40s−1で測定した。
【0183】
イソシアネート含有量(NCO含有量)
報告したNCO値(イソシアネート含有量)は、DIN EN ISO11909にしたがって測定した。
【0184】
水分
報告した溶液の水分(KF)は、DIN51777にしたがって測定した。
【0185】
ホログラフィック媒体に使用した別の材料の調製手順:
成分Aの調製:
1Lのフラスコに、0.18gのスズオクトアート、374.8gのε−カプロラクトン及び374.8gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(OH当量500g/mol)を入れ、この初期の投入物を120℃まで加熱し、固形分(不揮発性成分の割合)が99.5重量%以上になるまでその温度で維持した。次に、生成物を冷却し、ろう状の固体の形態で得られた。
【0186】
成分B1の調製(ホスホロチオイルトリス(オキシ−4,1−フェニレンイミノカルボニルオキシエタン−2,1−ジイル)トリアクリレート):
500mLの丸底フラスコに、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジブチルチンジラウレート(Desmorapid(登録商標)Z、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ))及び酢酸エチル中におけるトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートの27%強度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)の製品)213.07gを入れ、この初期の投入物を60℃まで加熱した。次に、42.37gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、イソシアネート含有量が0.1%未満に下がるまで、混合物を60℃でさらに保持した。その後、混合物を冷却し、酢酸エチルを減圧下で完全に除去した。生成物が半結晶性の固体として得られた。
【0187】
成分B2の調製(2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)エチルプロパ−2−エノアート):
100mLの丸底フラスコに、0.02gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.01gのDesmorapid(登録商標)Z、11.7gの3−(メチルチオ)フェニルイソシアネートを入れ、導入し、この初期の投入物を60℃まで加熱した。次に、8.2gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、イソシアネート含有量が0.1%未満に下がるまで、混合物を60℃でさらに保持した。その後、混合物を冷却した。生成物がうすい黄色の液体として得られた。
【0188】
添加剤Cの調製(ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)(2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイル)ビスカルバメート):
2000mLの丸底フラスコに、0.02gのDesmorapid(登録商標)Z及び3.60gの2,4,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシアネート(TMDI)を入れ、この初期の投入物を70℃まで加熱した。次に、11.39gの2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタン−1−オールを滴下し、イソシアネート含有量が0.1%未満に下がるまで、混合物を70℃でさらに保持した。その後、混合物を冷却した。生成物が無色のオイルとして得られた。
【0189】
フィルムコーティングラインにおけるホログラフィック媒体の製造
本発明のフォトポリマー配合物及び本発明でないフォトポリマー配合物からのフィルム形態のホログラフィック媒体の連続製造を以下で説明する。
【0190】
製造は、図1に示すフィルムコーティングラインを用いて実施し、個々の部品は、以下の参照番号が割り当てられている:
1 第1の貯蔵容器
1’ 第2の貯蔵容器
2 計量装置
3 真空脱気装置
4 フィルター
5 スタティックミキサー
6 コーティング装置
7 強制通風式乾燥機
8 キャリヤー基材
9 カバー層
フォトポリマー配合物を製造するために、撹拌容器内の304.3gの成分Aを、段階的に138gの成分B1及び138gの成分B2の書込モノマー混合物、191gの添加剤C、0.60gの成分D、2.55gのBYK(登録商標)310及び101gの成分Fと混合し、これらの成分を混練した。次に、66.5gの成分Eを暗所で混合物に加え、組成物を混合して透明な溶液を得た。必要に応じて、成分をより速く溶液にするために、配合物を短時間60℃で加熱した。
【0191】
次に、この混合物をコーティングラインの第1の貯蔵容器1に導入した。第2の貯蔵容器1’を成分G(ポリイソシアネート)で満たした。次に、両方の成分を、942.2(成分A〜F)対57.8(成分G)の比で、計量装置2により真空脱気装置3までそれぞれ輸送し、脱気した。そこから、次に、それらをそれぞれフィルター4に通しスタティックミキサー5に入れ、そこで、成分を混合してフォトポリマー配合物を得た。得られた液体材料は、次に、暗所でコーティング装置6に供給した。
【0192】
コーティング装置6は、この場合、スロットダイであり、当業者なら知っている。しかし、代替的に、コーティングバー(ドクターブレード)システムを使用することもできる。コーティング装置6により、フォトポリマー配合物を加工温度20℃でMakrofol DE1−1(125μm)に施し、強制通風式乾燥機7内で、架橋温度80℃で5.8分間乾燥させた。これにより、フィルムの形態で媒体が得られ、次に、ポリエチレンフィルムのライナー層9(40μm厚)を施して巻き上げた。
【0193】
フィルムで得られた層厚は18μm±1μmであった。
【0194】
フォトポリマー内の反射型ホログラムの製造:
図2による装置を用いて、ホログラムをフォトポリマー内に露光した。これらのホログラムは、633nmレーザー波長の単色ホログラムであった。これらを製造するために、フィルムの部分を暗所で切断してラミネートシートを除去し、フィルムを、フォトポリマー側を下にして、ガラス板(1mm厚、サイズ50×75mm)の上に気泡が入らないようにラミネートした。使用したガラス板は、Corningブランド(Schott AG(マインツ、ドイツ)製)のものであった。
【0195】
レーザー(発光波長633nm)のビームを、シャッターSの後ろに配置されたオプションの拡大レンズAF及びコリメーティングレンズCLにより直径約3〜4cmに拡大した。拡大されるレーザービームの直径は、開いたシャッターSの絞りによって決まる。不均一な強度分布は、拡大したレーザービーム内で意図的に確認される。したがって、エッジ強度Pは、拡大したレーザービーム中央の強度Pの約半分しかない。このPは、出力/面積と理解される。
【0196】
拡大したレーザービームは、まず、ビームに対して斜めの角度で設置され、シヤリングプレートとして働くガラス板SPを通過する。シヤリングプレートSPの2つのガラス表面反射により生成される上方に反射された干渉パターンに基づいて、レーザーが単一モードで安定して発光しているか確認することができる。その場合には、シヤリングプレートSPの上方に配置された無光沢パネルに明暗のストライプが見える。発光が単一モードの場合にのみ、ホログラフィック露光が実施される。DPSSレーザーの場合、単一モードは、ポンプ流の調整により実現できる。
【0197】
拡大したビームは、約15°の斜めの角度で設置されたホログラフィック媒体Pを通過する。この部品は、参照ビームを生成し、参照ビームは、次にホログラフィック媒体Pに対して平行に配置された物体Oによって反射されてホログラフィック媒体P内に戻る。この部品は、次に、デニシューク配置の信号ビームを生成する。物体Oは、白色の紙で覆われた金属板からなり、紙側がホログラフィック媒体Pに向いている。紙の上には、黒線の形態で正方形の格子がある。正方形の辺長は0.5cmである。この格子も、ホログラフィック媒体Pのホログラフィック露光中にホログラム内に画像化される。ホログラフィック媒体P内での信号ビーム及び参照ビームの干渉によって、ホログラフィック媒体P内にホログラムが発生する。
【0198】
平均照射線量Eaveは、シャッターSの開放時間tによって設定される。したがって、固定のレーザー出力Iについては、tがEaveに比例するパラメータとなる。拡大したレーザービームの強度分布が不均一(釣鐘型)であるため、ホログラフィック媒体P内にホログラムを生成するための局所線量Eにはばらつきがある。このばらつきが、ホログラフィック媒体P及び物体Oの配置が光学軸に対して斜めであることと共に、書かれたホログラムが楕円形となる原因になる。これは図3に示されている。
【0199】
物体Oは拡散反射体であるため、ホログラムは、点光源(例えば、ポケットランプ又はLEDランプ)で照射すると容易に復元される。
【0200】
次の製造ステップにおいて、ガラス側をランプに向けたサンプルをUV源のコンベヤベルト上に置き、ベルト速度2.5m/分で2回露光させる。使用するUV源は、fusion UVタイプ「D電球」No.558434 KR85鉄ドープHgランプ(最大出力密度80W/cm)である。使用するランプのスペクトルを図4に示す(メーカーからの情報)。パラメータは、ILT 490 Light Bugを用いて測定した線量2×2.0J/cmに対応する。「線量」によって、概して、それぞれの場合において、フォトポリマーフィルムに実際に作用する光の量を意味する。
【0201】
層状構造物の製造
保護層のすべての成分をSpeedmixer内で1分間、完全に混合した。流れ調整添加剤を最後に加えた。混合した後、混合物はわずかに濁っていた。続いて混合物を、ワイヤードクターを用いて、試験ホログラムを備えた露出したフォトポリマー層の上に直接、厚さ12μmでナイフコーティングした。直接比較するために、試験ホログラムの半分のみを覆った。次に、放射線硬化層を、UVランプ(fusion UV 558434 KR85、80W/cm)の下のコンベヤベルトにのせて2.5m/分で運び、このようにして硬化した。次に、層状構造物を乾燥させた。
【0202】
本発明の保護層の組成物を以下の実施例に示す:
実施例1:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂2、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0203】
実施例2:66.7gの樹脂1、28.6gの樹脂2、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0204】
実施例3:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂3、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0205】
実施例4:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂4、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0206】
実施例5:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂5、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0207】
実施例6:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂6、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0208】
実施例7:81.4gの樹脂1、9.0gの樹脂2、4.8gの樹脂8、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0209】
実施例8:77.1gの樹脂1、8.6gの樹脂2、9.5gの樹脂7、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0210】
実施例9:63.3gの樹脂1、27.1gの樹脂2、4.8gの樹脂8、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0211】
実施例10:60.0gの樹脂1、25.7gの樹脂2、9.5gの樹脂8、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0212】
実施例11:60.0gの樹脂1、25.7gの樹脂2、9.5gの樹脂7、2.9gのDarocur(登録商標)1173、1.9gのBYK(登録商標)310。
【0213】
ワニスの転写方法:
実験室の洗浄機で事前に洗浄したフロートガラスの滑らかな板をアセトンで脱脂し、次に乾燥させて、クリップボードに固定する。ガラス表面を、12μmのワイヤードクターを用いて、所望のワニス配合物でコーティングする。次に、少なくともコーティングされた面積と同じサイズのフォトポリマー片を、ガラス上のまだ湿っているワニス表面にラミネートするか、又は、手動のローラを用いて圧延させる。この作業時、フォトポリマー層はワニスに向いており、基材フィルムは手動のローラに向いている。次に、フィルムがガラスに対して滑らないように、層状構造物を少量の接着テープでガラスの片面に固定し、この面を前方にして層状構造物をGSH380ロールラミネータに室温で通す。次に、ガラス側をランプに向けたサンプルをUV源のコンベヤベルト上に置き、ベルト速度2.5m/分で2回露光させる。使用するUV源は、上述のfusion UVタイプ「D電球」No.558434 KR85鉄ドープHgランプ(最大出力密度80W/cm)である。パラメータは、線量2×2.0J/cm(ILT490 Light Bugを用いて測定)に対応する。次に、層状構造物を乾燥させた。すると、ワニスを塗布したサンプルは、容易にガラスから除去することができる。
【0214】
ワニス配合物の接着剤としての使用:
保護層のすべての成分をSpeedmixer内で1分間、完全に混合した。この場合、流れ調整添加剤は加えなかった。混合した後、混合物はわずかに濁っていた。続いて混合物を、試験ホログラムを備えた露出したフォトポリマー層に直接、ワイヤードクターを用いて、厚さ12μmでナイフコーティングにより塗布した。直接比較するために、試験ホログラムの半分のみを覆った。ワニスを塗布した後に直接硬化する代わりに、Makrofol DE1−4(Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)の商品)の黒色ポリカーボネートフィルムを、まだ湿っているワニス表面に、手動のローラを利用してラミネートする。その後、透明な側をランプに向けたサンプルをUV源のコンベヤベルト上に置き、ベルト速度2.5m/分で2回露光させる。使用するUV源は、上述のfusion UVタイプ「D電球」No.558434 KR85鉄ドープHgランプ(最大出力密度80W/cm)である。パラメータは、線量2×2.0J/cm(ILT490 Light Bugを用いて測定)に対応する。次に、層状構造物を接合した。
【0215】
本発明の接着剤配合物の組成物を以下の実施例に示す:
実施例12:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂2、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0216】
実施例13:66.7gの樹脂1、28.6gの樹脂2、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0217】
実施例14:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂3、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0218】
実施例15:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂4、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0219】
実施例16:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂5、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0220】
実施例17:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂6、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0221】
実施例18:85.7gの樹脂1、9.5gの樹脂6、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0222】
実施例19:81.4gの樹脂1、9.0gの樹脂2、4.8gの樹脂8、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0223】
実施例20:77.1gの樹脂1、8.6gの樹脂2、9.5gの樹脂7、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0224】
実施例21:81.4gの樹脂1、9.0gの樹脂2、4.8gの樹脂10、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0225】
実施例22:63.3gの樹脂1、27.1gの樹脂2、4.8gの樹脂8、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0226】
実施例23:60.0gの樹脂1、25.7gの樹脂2、9.5gの樹脂8、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0227】
実施例24:60.0gの樹脂1、25.7gの樹脂2、9.5gの樹脂7、5.0gのIrgacure(登録商標)2022。
【0228】
ホログラムにおけるカラーシフトの検証:
ワニスの可能なカラーシフトを評価するために、上述の通り作製したサンプルを、感圧接着テープ(3M Deutschland GmbH(ノイス、ドイツ)製)(製品番号8212)を用いて、黒色ポリカーボネートMakrofol DE1−4フィルム(Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、ドイツ)の商品)の光沢面(第1の面)に対して接合させ、接合させた組立品を室温で7日間保管した。
【0229】
本発明の樹脂配合物が接着剤として直接使用されている層状構造物を試験前に正確に室温で7日間保管した。
【0230】
ワニス層の硬化及び感圧接着テープを用いた接合の後に、室温で7日保管した後、単色LED(赤、緑、青)、白色光LED及びハロゲンランプで適切に照射して、ホログラムの色の変化を肉眼で評価した。記載したすべての実施例において、肉眼で見える色の変化はなかった。感圧接着テープを直接付与した場合、赤色から緑色の顕著なカラーシフトが明らかである。したがって、記載した目的が保護層の適用によって達成された。
図1
図2
図3
図4