(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1回転軸を有し、供給された被処理物を前記第1回転軸の回転に伴い送るスクリュと、前記スクリュを取り囲むように配置され、第1ろ過溝が形成された積層状ろ体とを含み、被処理物の1次脱水を行うスクリュ式脱水部と、
第2回転軸と、前記第2回転軸の軸方向に沿って配置され、第2ろ過溝が形成された積層状回転ろ体とを有する、上下2列に配置される複数の回転体を含み、前記スクリュ式脱水部の後段に配置され、前記スクリュ式脱水部により前記1次脱水された被処理物の2次脱水を行う回転体式脱水部とを備え、
前記スクリュ式脱水部と前記回転体式脱水部とを一体的に構成し、
前記スクリュ式脱水部の前記第1ろ過溝を通過したろ液を受け取るろ液受け部を設け、
前記ろ液受け部により、前記スクリュ式脱水部の前記第1ろ過溝を通過したろ液を、前記回転体式脱水部の前記第2ろ過溝を通過したろ液に対して分けるように構成され、
前記スクリュは、前記回転体よりも速い回転速度で回転するように構成されている、固液分離装置。
前記ろ液受け部と、前記回転体式脱水部の前記第2ろ過溝を通過したろ液を貯留する貯留部とを一体的に含む、タンクをさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固液分離装置。
第1回転軸を有し、供給された被処理物を前記第1回転軸の回転に伴い送るスクリュと、前記スクリュを取り囲むように配置され、第1ろ過溝が形成された積層状ろ体とを含み、被処理物の1次脱水を行うスクリュ式脱水部と、
第2回転軸と、前記第2回転軸の軸方向に沿って配置され、第2ろ過溝が形成された積層状回転ろ体とを有する、上下2列に配置される複数の回転体を含み、前記スクリュ式脱水部の後段に配置され、前記スクリュ式脱水部により前記1次脱水された被処理物の2次脱水を行う回転体式脱水部と、
前記スクリュ式脱水部の前記第1ろ過溝を通過したろ液を受け取るろ液受け部と、前記ろ液受け部とは区切られて設けられ、前記回転体式脱水部の前記第2ろ過溝を通過したろ液を貯留する貯留部とを一体的に含む、タンクと、
前記タンクから被処理物が供給され、供給された被処理物の固体成分を凝集してフロック化するとともに、被処理物を前記スクリュ式脱水部に供給する混和槽とを備え、
前記スクリュ式脱水部と前記回転体式脱水部とを一体的に構成し、
前記ろ液受け部により、前記スクリュ式脱水部の前記第1ろ過溝を通過したろ液を、前記回転体式脱水部の前記第2ろ過溝を通過したろ液に対して分けるように構成され、
前記スクリュは、前記回転体よりも速い回転速度で回転するように構成されている、固液分離システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のような従来の固液分離装置では、排出される被処理物(脱水ケーキ)の含水率を下げるためには、比較的低速で回転体を回転させる必要があり、排出の効率が悪くなってしまうという不都合がある。一方、排出を効率よく行うために比較的高速で回転体を回転させると脱水が不十分となり含水率が高くなってしまうという不都合がある。したがって、固液分離装置では、効率的に被処理物を排出することと、被処理物の含水率を低くすることとを両立させることが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被処理物の含水率を低くするとともに、効率よく被処理物を排出することが可能な固液分離装置および固液分離システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における固液分離装置は、第1回転軸を有し、供給された被処理物を送るスクリュと、スクリュを取り囲むように配置され、第1ろ過溝が形成された積層状ろ体とを含み、被処理物の1次脱水を行うスクリュ式脱水部と、第2回転軸と、第2回転軸の軸方向に沿って配置され、第2ろ過溝が形成された積層状回転ろ体とを有する、上下2列に配置される複数の回転体を含み、スクリュ式脱水部の後段に配置され、スクリュ式脱水部により1次脱水された被処理物の2次脱水を行う回転体式脱水部とを備え、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部とを一体的に構成し、スクリュ式脱水部の第1ろ過溝を通過したろ液を受け取るろ液受け部を設け、ろ液受け部により、スクリュ式脱水部の第1ろ過溝を通過したろ液を、回転体式脱水部の第2ろ過溝を通過したろ液に対して分けるように構成され
、スクリュは、回転体よりも速い回転速度で回転するように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による固液分離装置では、上記のように、被処理物を送るスクリュを含み、被処理物の1次脱水を行うスクリュ式脱水部と、回転体を含み、スクリュ式脱水部の後段に配置され、被処理物の2次脱水を行う回転体式脱水部とを設ける。これにより、従来のように回転体式脱水部のみにより1段階で脱水を行う場合と比較して、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部とにより2段階で脱水を行なうことができるので、スクリュの回転および回転体の回転を速くしたとしても、被処理物の含水率を低くすることができる。したがって、固液分離装置は、被処理物の含水率を低くするとともに、効率よく被処理物を排出することができる。また、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部とを別体とする場合と比較して、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部との間に設けられる配管などの被処理物の移送設備を設ける必要がないので、装置構成を簡素化することができる。
ここで、一般的に、重力ろ過される被処理物よりも固分を多く含む被処理物に対して行われる圧搾ろ過は、重力ろ過よりも時間を要する。したがって、スクリュ式脱水部の後段に回転体式脱水部を設け、スクリュ式脱水部のスクリュを回転体式脱水部の回転体よりも速い回転速度で回転させることにより、スクリュ式脱水部において重力ろ過を行った後、スクリュ式脱水部における重力ろ過よりも、回転体式脱水部における圧搾ろ過を時間を掛けて行うことができる。その結果、効果的に被処理物の含水率を下げることができる。なお、重力ろ過とは、例えば、細かな隙間などにより液分をこし取るようなろ過であり、被処理物の液分に作用する重力により、固分と液分とを分離させるろ過である。また、圧搾ろ過とは、被処理物を加圧(圧搾)することにより、被処理物から液分を絞り出すろ過である。
【0010】
また、第1の局面による固液分離装置では、好ましくは、スクリュ式脱水部により1次脱水された被処理物に凝集剤を供給する凝集剤供給部をさらに備える。このように構成すれば、脱水の途中において被処理物の凝集を行うことができるので、固分と液分に容易に分離することができる。その結果、より効率よく被処理物の脱水を行うことができる。また、凝集剤供給部により、1次脱水された被処理物に凝集剤が供給されるので、2次脱水を行う回転体式脱水部の回転体により、被処理物と凝集剤とを撹拌することができる。このため、被処理物と凝集剤とを撹拌するための構成を別途設ける必要がなく装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0011】
また、第1の局面による固液分離装置では、好ましくは、スクリュ式脱水部は、回転体式脱水部に被処理物を排出するスクリュ式脱水部排出口を含み、スクリュ式脱水部排出口は、スクリュ式脱水部に被処理物を排出する混和槽の混和槽排出口と略同じ高さ位置に配置されている。このように構成すれば、スクリュ式脱水部排出口が混和槽排出口よりも低い位置にある場合と異なり、1次脱水が不十分な場合でも被処理物が、回転体式脱水部まで流れ出てしまうのを抑制することができる。また、スクリュ式脱水部排出口が混和槽排出口よりも高い位置にある場合と異なり、スクリュ式脱水部はより高い位置まで被処理物を移動させる必要がないので、スクリュの駆動部分の負荷が大きくなるのを抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、スクリュ式脱水部は、混和槽から被処理物が供給されるスクリュ式脱水部供給口を含み、スクリュ式脱水部は、スクリュ式脱水部排出口がスクリュ式脱水部供給口よりも上方に位置するように、後段の回転体式脱水部に向かって斜め上方に傾斜して配置されている。このように構成すれば、越流により混和槽からスクリュ式脱水部に被処理物を供給して、越流によりスクリュ式脱水部から回転体式脱水部に被処理物を容易に供給することができる。
【0013】
また、第1の局面による固液分離装置では、好ましくは
、ろ液受け部と
、回転体式脱水部の第2ろ過溝を通過したろ液を貯留する貯留部とを一体的に含む、タンクをさらに備え
る。このように構成すれば、ろ液受け部と貯留部とを別体とする場合よりも、装置構成を簡素化することができる。
この場合、好ましくは、回転体式脱水部の第2ろ過溝を通過したろ液を貯留する貯留部をさらに備え、また、さらに好ましくは、貯留部に貯留された被処理物は、スクリュ式脱水部の前段に返送されるように構成されている。このように構成すれば、回転体式脱水部から排出されたろ液を
貯留部にて貯留することができるとともに、貯留部に貯留されたろ液を再循環させることにより確実に処理することができる。
【0014】
また、第1の局面による固液分離装置では、好ましくは、スクリュ式脱水部は、複数設けられ、複数のスクリュ式脱水部は、回転体式脱水部の第2回転軸の軸方向に沿って並列に配置されている。このように構成すれば、スクリュ式脱水部を複数設けることにより、より効率よく脱水を行うことができる。また、スクリュ式脱水部により、スクリュ式脱水部よりも比較的幅が広い回転体式脱水部に対して効率的に被処理物を供給することができる。
【0015】
また、第1の局面による固液分離装置では、好ましくは、スクリュを毎分1回転以上の回転速度で回転させるとともに、回転体を毎分0.5回転以上の回転速度で回転させるように構成されている。このように構成すれば、スクリュを毎分1回転以上の回転速度で回転させて効率よく1次脱水を行うことができる。また、回転体を毎分0.5回転以上の回転速度で回転させて効率よく2次脱水行うことができる。
【0016】
この発明の第2の局面における固液分離システムは、第1回転軸を有し、供給された被処理物を第1回転軸の回転に伴い送るスクリュと、スクリュを取り囲むように配置され、第1ろ過溝が形成された積層状ろ体とを含み、被処理物の1次脱水を行うスクリュ式脱水部と、第2回転軸と、第2回転軸の軸方向に沿って配置され、第2ろ過溝が形成された積層状回転ろ体とを有する、上下2列に配置される複数の回転体を含み、スクリュ式脱水部の後段に配置され、スクリュ式脱水部により1次脱水された被処理物の2次脱水を行う回転体式脱水部と、スクリュ式脱水部の第1ろ過溝を通過したろ液を受け取るろ液受け部と、ろ液受け部とは区切られて設けられ、回転体式脱水部の第2ろ過溝を通過したろ液を貯留する貯留部とを一体的に含む、タンクと、タンクから被処理物が供給され、供給された被処理物の固体成分を凝集してフロック化するとともに、被処理物をスクリュ式脱水部に供給する混和槽とを備え、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部とを一体的に構成し、ろ液受け部により、スクリュ式脱水部の第1ろ過溝を通過したろ液を、回転体式脱水部の第2ろ過溝を通過したろ液に対して分けるように構成され
、スクリュは、回転体よりも速い回転速度で回転するように構成されている。
【0017】
この発明の第2の局面による固液分離システムでは、上記のように、被処理物を送るスクリュを含み、被処理物の1次脱水を行うスクリュ式脱水部と、回転体を含み、スクリュ式脱水部の後段に配置され、被処理物の2次脱水を行う回転体式脱水部とを設ける。これにより、従来のように回転体式脱水部のみにより1段階で脱水を行う場合と比較して、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部とにより2段階で脱水を行なうことができるので、スクリュの回転および回転体の回転を速くしたとしても、被処理物の含水率を低くすることができる。したがって、固液分離装置は、被処理物の含水率を低くするとともに、効率よく被処理物を排出することができる。また、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部とを別体とする場合と比較して、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部との間に設けられる配管などの被処理物の移送設備を設ける必要がないので、装置構成を簡素化することができる。
ここで、一般的に、重力ろ過される被処理物よりも固分を多く含む被処理物に対して行われる圧搾ろ過は、重力ろ過よりも時間を要する。したがって、スクリュ式脱水部の後段に回転体式脱水部を設け、スクリュ式脱水部のスクリュを回転体式脱水部の回転体よりも速い回転速度で回転させることにより、スクリュ式脱水部において重力ろ過を行った後、スクリュ式脱水部における重力ろ過よりも、回転体式脱水部における圧搾ろ過を時間を掛けて行うことができる。その結果、効果的に被処理物の含水率を下げることができる。なお、重力ろ過とは、例えば、細かな隙間などにより液分をこし取るようなろ過であり、被処理物の液分に作用する重力により、固分と液分とを分離させるろ過である。また、圧搾ろ過とは、被処理物を加圧(圧搾)することにより、被処理物から液分を絞り出すろ過である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、被処理物の含水率を低くするとともに、効率よく被処理物を排出することが可能な固液分離装置および固液分離システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
(固液分離システムの構成)
図1〜
図8を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の一実施形態による固液分離システム100は、
図1に示すように、固液分離装置100aと、凝集部100bとを含んでいる。
【0022】
固液分離システム100は、汚泥などの被処理物を外部の被処理物貯留槽Tから受け取り、複数回(3回)に分けて凝集剤を供給して撹拌することにより、被処理物を凝集するように構成されている。また、固液分離システム100は、凝集された被処理物に対して2段階の脱水処理を行うことにより、含水率が小さな被処理物(脱水ケーキ)を取得(排出)するように構成されている。詳細には、固液分離システム100は、後述するスクリュ式脱水部2で主に重力ろ過による1次脱水を行うように構成されている。その後、固液分離システム100は、スクリュ式脱水部2の後段に配置される後述する回転体式脱水部3で主に圧搾ろ過による2次脱水を行うように構成されている。詳細については後述する。なお、重力ろ過とは、例えば、細かな隙間などにより液分をこし取るようなろ過であり、被処理物の液分に作用する重力により、固分と液分とを分離させるろ過である。また、圧搾ろ過とは、被処理物を加圧(圧搾)することにより、被処理物から液分を絞り出すろ過である。
【0023】
(固液分離装置の構成)
次に、
図1〜
図8を参照して固液分離装置の構成について説明する。
【0024】
固液分離装置100aは、
図1に示すように、タンク(サービスタンク)1と、スクリュ式脱水部2と、回転体式脱水部3と、貯留部凝集剤供給部4と、回転体凝集剤供給部5とを備えている。なお、スクリュ式脱水部2は、被処理物の1次脱水を行うことにより、装置外部に排出される比較的澄んだろ液と、被処理物とを分けるように構成されている。回転体式脱水部3は、スクリュ式脱水部2により1次脱水された被処理物の2次脱水を行うことにより、タンク1に貯留される比較的汚いろ液と、装置外部に排出される被処理物(脱水ケーキ)とを分けるように構成されている。また、回転体凝集剤供給部5は、特許請求の範囲の「凝集剤供給部」の一例である。
【0025】
タンク1は、貯留部10と、ろ液受け部11とを一体的に含んでいる。貯留部10とろ液受け部11とは、平面視(上方から見て)において、互いに重なるように構成されている。また、タンク1には、スクリュ式脱水部2と回転体式脱水部3との間に配置される側板1aが設けられている。貯留部10とろ液受け部11とは、この側板1aによって区切られて設けられている。すなわち、貯留部10とろ液受け部11とは、互いに被処理物の直接的な授受が行われないように構成されている。また、タンク1には、スクリュ式脱水部2と回転体式脱水部3とが設置されている。したがって、スクリュ式脱水部2と回転体式脱水部3とは、タンク1を介して一体的に設けられている。
【0026】
貯留部10は、被処理物を被処理物貯留槽Tから受け取り、被処理物を貯留するように構成されている。また、貯留部10は、回転体式脱水部3の後述する第2ろ過溝S2を通過したろ液を貯留するように構成されている。つまり、貯留部10は、回転体式脱水部3における2次脱水(主に圧搾ろ過による脱水)により得られたろ液(被処理物の液体分)を貯留するように構成されている。
【0027】
貯留部10には、撹拌ポンプ10aと、供給ポンプ10bとが設けられている。撹拌ポンプ10aは、貯留部10に被処理物貯留槽Tおよびスクリュ式脱水部2から供給された被処理物と、貯留部10に貯留部凝集剤供給部4から供給された無機凝集剤とを撹拌することにより、被処理物を凝集する(固体成分(フロック)の濃度を高める)ように構成されている。また、供給ポンプ10bは、貯留部10に貯留され、凝集された被処理物をスクリュ式脱水部2の前段(凝集部100b)に供給(返送)するように構成されている。
【0028】
ろ液受け部11は、スクリュ式脱水部2の後述する第1ろ過溝S1を通過したろ液を受け取るように構成されている。つまり、ろ液受け部11は、スクリュ式脱水部2における1次脱水(主に重力ろ過によろ脱水)により得られたろ液(被処理物)を受け取るように構成されている。また、ろ液受け部11には、ろ液排出口11aが設けられている。ろ液受け部11は、ろ液排出口11a側が低くなるようにろ液排出口11aに向けて斜め方向に傾斜している。
【0029】
スクリュ式脱水部2は、凝集部100b(後述する混和槽6)から被処理物が供給されるスクリュ式脱水部供給口20と、後段に配置される回転体式脱水部3に被処理物を排出するスクリュ式脱水部排出口21とを含んでいる。スクリュ式脱水部2は、スクリュ式脱水部排出口21がスクリュ式脱水部供給口20よりも上方に位置するように、後段の回転体式脱水部3に向かって斜め上方に傾斜して配置されている。すなわち、スクリュ式脱水部2は、回転体式脱水部3に近い側が、回転体式脱水部3から離れた側よりも上方に位置している。
【0030】
スクリュ式脱水部2は、スクリュ22と、複数の可動板23a(
図3参照)および複数の固定板23b(
図3参照)を有する積層状ろ体23と、第1モータ24と、外枠25と、背圧板26とをさらに含んでいる。なお、可動板23aおよび固定板23bは、リング形状を有している。
【0031】
スクリュ22は、第1回転軸22aを有している。また、スクリュ22は、第1モータ24の回転に伴い回転するように構成されている。また、スクリュ22は、スクリュ式脱水部供給口20から供給された被処理物を第1回転軸22aの回転に伴い回転体式脱水部3側に送るように構成されている。積層状ろ体23(可動板23aおよび固定板23b)は、
図2に示すように、スクリュ22が挿通される第1穴部230を有している。また、積層状ろ体23は、スクリュ22を取り囲むようにスクリュ22が第1穴部230に挿通された状態で、可動板23aと固定板23bとが交互に積層された多重板構造を有している。
【0032】
また、複数の固定板23bは、スクリュ22が挿通される第1穴部230とは別に、それぞれ、1つずつスペーサ231bが螺合される第2穴部231a(ネジ穴)を有している。そして、第2穴部231aにスペーサ231bが螺合されることより、固定板23bは、隣接する他の固定板23bとの距離を所定距離に保持するように構成されている。これにより、各固定板23b間には、第1ろ過溝S1が形成されている。また、隣接する固定板23b間の第1ろ過溝S1の可動板23aを除く部分には、ろ水流出溝G1が形成されている。
【0033】
外枠25は、複数の固定板23bを固定するように構成されている。詳細には、外枠25は、複数の固定板23bの外周端部に接触状態で配置されている。また、外枠25は、第1回転軸22aの軸方向に沿って延びている。また、固定板23bへの外枠25の接触部分は、固定板23bの周方向に等間隔で複数(たとえば3つ)設けられている(
図2では接触部分を1つのみ示している)。そして、複数の固定板23bは、外枠25に対して固定されることにより、可動板23aとの積層状態を維持するように構成されている。また、可動板23aは、第1穴部230を構成する内周面がスクリュ22の外周部に当接して、スクリュ22の回転に伴いスクリュ22の第1回転軸22aの周方向および半径方向に常に移動されるように構成されている。このように、スクリュ式脱水部2は、スクリュ22の回転により、第1ろ過溝S1内で可動板23aを常に移動させることによって、第1ろ過溝S1が目詰まりするのを抑制することができる。
【0034】
ここで、
図1および
図2を参照して、スクリュ式脱水部2の一次脱水する構造について、一次脱水の手順とともに説明する。スクリュ式脱水部2は、
図1に示すように、下方端部近傍に設けられたスクリュ式脱水部供給口20に被処理物が供給されると、スクリュ22の回転により、被処理物をスクリュ式脱水部排出口21(回転体式脱水部3側)に向けて斜め上方に押し上げるように構成されている。これにより、スクリュ式脱水部2は、被処理物を送るように構成されている。また、スクリュ式脱水部2は、
図2に示すように、スクリュ22を回転させて可動板23aを移動させることにより、第1ろ過溝S1からろ液受け部11にろ液を排出するように構成されている。また、スクリュ式脱水部2は、
図1に示すように、背圧板26により、スクリュ22により送られてきた被処理物に対して加圧することが可能に構成されている。具体的には、背圧板26は、第1回転軸の軸方向の位置を調整可能に構成されており、スクリュ式脱水部排出口21に向かう被処理物の経路幅を調整することにより、排出直前に被処理物を加圧することが可能に構成されている。ただし、スクリュ式脱水部2は、通常、背圧板26により被処理物に対して加圧しないように経路幅が広くなるように調整されている。なお、背圧板26は、スクリュ式脱水部2において重力ろ過が略完了するように必要に応じて被処理物に対して加圧するように調整される。
【0035】
スクリュ式脱水部2は、
図3に示すように、複数(2つ)設けられている。また、複数のスクリュ式脱水部2は、回転体式脱水部3の後述する第2回転軸30bの軸方向(A方向)に沿って並列かつ平行に配置されている。
【0036】
回転体式脱水部3は、
図4に示すように、複数の回転体30と、複数の第2モータ31(
図5参照)と、シール部材32と、汚泥掻き取り板33と、排出シュート34とを備えている。
【0037】
回転体30は、積層状回転ろ体30aと、第2回転軸30bとを含んでいる。
【0038】
積層状回転ろ体30aは、被処理物を固体排出口Eに送るように、固体排出口Eに向かって上下2列に複数配置されている。また、下列の6個(上列の4個)の積層状回転ろ体30aは、所定の間隔を隔てて配置されており、互いに同方向に回転することにより、被処理物を送るように構成されている。
【0039】
積層状回転ろ体30aは、
図6に示すように、第2回転軸30bに沿って積層された複数のろ片を含む。詳しくは、
図7および
図8に示すように、積層状回転ろ体30aは、複数の中径円板ろ片300、複数の小径円板ろ片301、および、複数の大径円板ろ片302の3種のろ片を含んでいる。第2回転軸30bは、A方向に延びるように配置されている。また、第2回転軸30bには、隣接する中径円板ろ片300間に、大径円板ろ片302および小径円板ろ片301が交互に配置されてろ片が積層されている。
【0040】
また、隣接する中径円板ろ片300間には、第2ろ過溝S2が形成されている。具体的には、中径円板ろ片300には、軸方向(Y方向)に隣接する他の中径円板ろ片300に当接する凸部300aが設けられている。そして、凸部300aにより隔てられた中径円板ろ片300の間に第2ろ過溝S2が形成される。凸部300aは、
図8に示すように、小径円板ろ片301の切欠部301aまたは大径円板ろ片302の穴部(図示せず)に挿入されるように構成されている。
【0041】
小径円板ろ片301は、図
7に示すように、隣接する中径円板ろ片300間の第2ろ過溝S2に揺動可能に配置されている。また、隣接する中径円板ろ片300間の第2ろ過溝S2の小径円板ろ片301を除く部分には、ろ水流出溝G2が形成されている。大径円板ろ片302は、隣接する中径円板ろ片300間の第2ろ過溝S2に揺動可能に配置されている。また、隣接する中径円板ろ片300間の第2ろ過溝S2の大径円板ろ片302を除く部分には、ろ水流出溝G2が形成されている。これらのろ水流出溝G2を通って原液中の液体成分がろ過される。
【0042】
また、
図7に示すように、大径円板ろ片3
02は、固体成分を送る方向(A方向に直交する方向)に隣接する積層状回転ろ体30aの第2ろ過溝S2内に揺動可能に配置されている。このように構成すれば、大径円板ろ片302および小径円板ろ片301の揺動により、第2ろ過溝S2が目詰まりするのを抑制することができる。
【0043】
第2モータ31は、
図5および
図6に示すように、複数の積層状回転ろ体30aのそれぞれの第2回転軸30bの軸方向(A方向)の一方端部に設けられている。また、第2モータ31は、複数(10個)の積層状回転ろ体30a毎(回転体30毎)に設けられている。なお、
図5および
図6に示すように、複数(10個)の第2モータ31を、軸方向(A方向)の一方側にのみ配置してもよいし、軸方向の両側に配置してもよい。また、複数(10個)の第2モータ31を軸方向の両側に配置する場合には、複数(10個)の第2モータ31を軸方向の一方側および他方側に交互に配置するのが好ましい。
【0044】
第2モータ31は、回転体30を毎分0.5回転以上の回転速度で回転させるように構成されている。なお、スクリュ式脱水部2の第1モータ24は、スクリュ22を毎分1回転以上の回転速度で回転させるように構成されている。また、スクリュ22は、回転体30よりも速い速度で回転するように構成されている。また、より好ましくは、第2モータ31を、回転体30を毎分1回転以上の回転速度で回転させるように構成し、第1モータ24を、スクリュ22を毎分3回転以上の回転速度で回転させるように構成するのが望ましい。また、スクリュ22の回転速度は、スクリュ式脱水部2において重力ろ過が略完了するように調整されるのが望ましい。
【0045】
シール部材32は、
図1に示すように、タンク1のスクリュ式脱水部2と回転体式脱水部3とを区切る側板1aと、下列の最上流の回転体30との間に1つ配置されている。これにより、シール部材32は、被処理物がスクリュ式脱水部供給口20側から貯留部10側に通過することがないように封止している。
【0046】
汚泥掻き取り板33は、下列の最下流の回転体30、および、上列の最下流の回転体30にそれぞれ1つずつ設けられ、回転体30の積層状回転ろ体30aの間に詰まった固形物を掻き取って、除去するように構成されている。
【0047】
排出シュート34は、
図1に示すように、固体排出口Eに設けられ、回転体式脱水部3から排出された排出物の排出経路を構成している。また、排出シュート34は、軸方向(Y方向)に対向する一対の横板34a(
図1ではA方向のうち一方の横板34aのみ図示)と、底板34bとを含んでいる。
【0048】
貯留部凝集剤供給部4は、貯留部10に供給された被処理物に対して無機凝集剤を供給するように構成されている。また、回転体凝集剤供給部5は、スクリュ式脱水部2により1次脱水された被処理物に高分子凝集剤を供給するように構成されている。詳細には、回転体凝集剤供給部5は、スクリュ式脱水部2のスクリュ式脱水部排出口21から排出された被処理物に対して、回転体式脱水部3の下列の最上流の回転体30の上方から供給するように構成されている。なお、回転体凝集剤供給部5によって回転体式脱水部3に供給された高分子凝集剤は、回転体30により被処理物と撹拌される。
【0049】
(凝集部の構成)
次に、
図1を参照して、凝集部100bの構成について説明する。
【0050】
凝集部100bは、混和槽6と、混和槽凝集剤供給部7と、羽根車8とを備えている。混和槽6は、固液分離装置100aの貯留部10から被処理物が供給されるように構成されている。また、混和槽6は、スクリュ式脱水部2に被処理物排出する混和槽排出口6aを含んでいる。混和槽排出口6aと、スクリュ式脱水部排出口21とは、水平方向に延びる二点鎖線で示すように、略同じ高さ位置に配置されている。混和槽凝集剤供給部7は、混和槽6に高分子凝集剤を供給するように構成されている。羽根車8は、混和槽6内に配置されている。また、羽根車8には、駆動源としての第3モータ8aが設けられている。羽根車8は、混和槽6に供給された被処理物と高分子凝集剤後とを撹拌することにより、処理対象物を凝集する(固体成分(フロック)の濃度を高める)ように構成されている。
【0051】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0052】
本実施形態では、上記のように、被処理物を送るスクリュ22を含み、被処理物の1次脱水を行うスクリュ式脱水部2と、回転体30を含み、スクリュ式脱水部2の後段に配置され、被処理物の2次脱水を行う回転体式脱水部3とを設ける。これにより、従来のように回転体式脱水部3のみにより1段階で脱水を行う場合と比較して、スクリュ式脱水部2と回転体式脱水部3とにより2段階で脱水を行なうことができるので、スクリュ22の回転および回転体30の回転を速くしたとしても、被処理物の含水率を低くすることができる。したがって、固液分離装置100
aは、被処理物の含水率を低くするとともに、効率よく被処理物を排出することができる。ここで、一般的に、重力ろ過される被処理物よりも固分を多く含む被処理物に対して行われる圧搾ろ過は、重力ろ過よりも時間を要する。したがって、スクリュ式脱水部2の後段に回転体式脱水部3を設け、スクリュ式脱水部2のスクリュ22を回転体式脱水部3の回転体30よりも速い回転速度で回転させることにより、スクリュ式脱水部2において重力ろ過を行った後、スクリュ式脱水部2における重力ろ過よりも、回転体式脱水部3における圧搾ろ過を時間を掛けて行うことができる。その結果、効果的に被処理物の含水率を下げることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、スクリュ式脱水部2と回転体式脱水部3とを、一体的に設ける。これにより、スクリュ式脱水部2と回転体式脱水部3とを別体とする場合と比較して、スクリュ式脱水部2と回転体式脱水部3との間に設けられる配管などの被処理物の移送設備を設ける必要がないので、装置構成を簡素化することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、スクリュ式脱水部2により1次脱水された被処理物に凝集剤を供給する回転体凝集剤供給部5を設ける。これにより、回転体凝集剤供給部5により脱水の途中において被処理物の凝集を行うことができるので、固分と液分に容易に分離することができる。その結果、より効率よく被処理物の脱水を行うことができる。また、回転体凝集剤供給部5により、1次脱水された被処理物に凝集剤が供給されるので、2次脱水を行う回転体式脱水部3の回転体30により、被処理物と凝集剤とを撹拌することができる。このため、被処理物と凝集剤とを撹拌するための構成を別途設ける必要がなく装置構成が複雑化するのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、上記のように、スクリュ式脱水部2に、回転体式脱水部3に被処理物を排出するスクリュ式脱水部排出口21を設け、スクリュ式脱水部排出口21を、スクリュ式脱水部2に被処理物を排出する混和槽6の混和槽排出口6aと略同じ高さ位置に配置する。これにより、スクリュ式脱水部排出口21が混和槽排出口6aよりも低い位置にある場合と異なり、1次脱水が不十分な場合でも被処理物が、回転体式脱水部3まで流れ出てしまうのを抑制することができる。また、スクリュ式脱水部排出口21が混和槽排出口6aよりも高い位置にある場合と異なり、スクリュ式脱水部2はより高い位置まで被処理物を移動させる必要がないので、スクリュ22の駆動部分の負荷が大きくなるのを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、スクリュ式脱水部2に、混和槽6から被処理物が供給されるスクリュ式脱水部供給口20を設け、スクリュ式脱水部2を、スクリュ式脱水部排出口21がスクリュ式脱水部供給口20よりも上方に位置するように、後段の回転体式脱水部3に向かって斜め上方に傾斜して配置する。これにより、越流により混和槽6からスクリュ式脱水部2に被処理物を供給して、越流によりスクリュ式脱水部2から回転体式脱水部3に被処理物を容易に供給することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、スクリュ式脱水部2の第1ろ過溝S1を通過したろ液を受け取るろ液受け部11と、ろ液受け部11とを区切って設け、回転体式脱水部3の第2ろ過溝S2を通過したろ液を貯留する貯留部10とを一体的に含む、タンク1を設け、貯留部10に貯留された被処理物が、スクリュ式脱水部2の前段に返送されるように構成する。これにより、ろ液受け部11と貯留部10とを別体とする場合よりも、装置構成を簡素化することができる。また、回転体式脱水部3から排出されたろ液を再循環させることにより確実に処理することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、スクリュ式脱水部2を複数設け、複数のスクリュ式脱水部2を回転体式脱水部3の第2回転軸30bの軸方向に沿って並列に配置する。これにより、スクリュ式脱水部2を複数設けることにより、より効率よく脱水を行うことができる。また、スクリュ式脱水部2により、スクリュ式脱水部2よりも比較的幅が広い回転体式脱水部3に対して効率的に被処理物を供給することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、スクリュ22を毎分1回転以上の回転速度で回転させるとともに、回転体30を毎分0.5回転以上の回転速度で回転させるように構成する。これにより、スクリュ22を毎分1回転以上の回転速度で回転させて効率よく1次脱水を行うことができる。また、回転体30を毎分0.5回転以上の回転速度で回転させて効率よく2次脱水行うことができる。
【0060】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0061】
たとえば、上記一実施形態では、スクリュ式脱水部を2つ設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリュ式脱水部を1つまたは3つ以上設けてもよい。
【0062】
また、上記一実施形態では、複数のスクリュ式脱水部を平行に配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、複数のスクリュ式脱水部を平行ではなく、互いに所定の角度を有するように配置してもよい。
【0063】
また、上記一実施形態では、スクリュを毎分1回転以上の回転速度で回転させるとともに、回転体を毎分0.5回転以上の回転速度で回転させた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリュを毎分1回転未満の回転速度で回転させてもよく、また、回転体を毎分0.5回転未満の回転速度で回転させてもよい。
【0064】
また、上記一実施形態では、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部とを一体的に設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリュ式脱水部と回転体式脱水部とを別体で設けてもよい。
【0065】
また、上記一実施形態では、スクリュ式脱水部排出口と混和槽排出口とを略同じ高さ位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、スクリュ式脱水部排出口と混和槽排出口とを異なる高さ位置に配置してもよい。
【0066】
また、上記一実施形態では、固液分離装置がタンクを備える例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、固液分離装置がタンクを備えていなくてもよい。
【0067】
また、上記一実施形態では、スクリュ式脱水部が、スクリュ式脱水部排出口がスクリュ式脱水部供給口よりも上方に位置するように、後段の回転体式脱水部に向かって斜め上方に傾斜して配置されている例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、スクリュ式脱水部が水平に配置されるなど、スクリュ式脱水部排出口がスクリュ式脱水部供給口よりも上方に位置するように、後段の回転体式脱水部に向かって斜め上方に傾斜していなくてもよい。