(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498166
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
E03B 5/02 20060101AFI20190401BHJP
F04D 29/60 20060101ALI20190401BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20190401BHJP
F04D 13/14 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
E03B5/02
F04D29/60 B
F04D29/58 A
F04D13/14
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-174148(P2016-174148)
(22)【出願日】2016年9月7日
(65)【公開番号】特開2018-40141(P2018-40141A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2017年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133939
【氏名又は名称】テラル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】菊池 好晃
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−082348(JP,A)
【文献】
特開2002−021129(JP,A)
【文献】
特開2005−054730(JP,A)
【文献】
特開平10−306787(JP,A)
【文献】
特開2004−092088(JP,A)
【文献】
特開2000−355961(JP,A)
【文献】
実開昭56−066506(JP,U)
【文献】
実開昭54−148172(JP,U)
【文献】
欧州特許出願公開第02489789(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 5/00
E03B 5/02
F04D 13/00
F04D 13/14
F04D 29/58
F04D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入した水を加圧するポンプ本体及び該ポンプ本体を駆動させる駆動モータを有する一対のポンプと、
該各ポンプで加圧された水を貯溜及び保圧可能な圧力タンクと、
上記両ポンプ及び上記圧力タンクを収容する収容空間を内部に有するキャビネットとを備え、
上記両ポンプは、上記駆動モータの回転軸心が上下に延びる姿勢で水平方向に並設され、
上記圧力タンクは、その中心軸が上下に延びる姿勢において上記両ポンプの間の当該両ポンプが並ぶ直線上からずれた位置で、且つ、上記両ポンプの各々に接近するように配置され、
上記収容空間には、上記各ポンプ本体に対応するように一対設けられ、吸入口から吸入した水を上記ポンプ本体に案内する吸入管と、一端が上記各ポンプ本体にそれぞれ接続される一方、他端同士が互いに接続され、上記各ポンプ本体から流れ出た加圧状態の水が互いに接続された他端部分で合流するように案内する一対の第1吐出管と、該両第1吐出管の他端部分に接続されて下方へ延び、該他端部分で合流した加圧状態の水を吐出口まで案内して当該吐出口から吐出させる第2吐出管とが設けられ、
上記各第1吐出管の中途部には、当該各第1吐出管を開放状態と閉塞状態とに切替可能な仕切弁が設けられ、
上記各第1吐出管は、上記両ポンプが並ぶ直線上から上記圧力タンクのずれた側における上記各ポンプに対応する領域にそれぞれ位置するとともに、他端部分に近づくほど下に位置するように傾斜していることを特徴とする給水装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給水装置において、
上記吸入管の吸入口及び上記第2吐出管の吐出口は、上記キャビネットの底面から外側に臨むとともに下方に向かって開口していることを特徴とする給水装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給水装置において、
上記各第1吐出管は、上記各ポンプ本体から上記第2吐出管に向かって直線状に延びていることを特徴とする給水装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の給水装置において、
上記キャビネットの正面側には、上記収容空間に連通する開口部と、該開口部を開閉可能な扉部とが形成され、
上記圧力タンクは、上記開口部側に配置されていることを特徴とする給水装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の給水装置において、
上記両第1吐出管の互いに接続された他端部分内方には、当該両第1吐出管の互いに接続された他端部分内方の一部を一方の第1吐出管側と他方の第1吐出管側とに仕切るとともに上記第2吐出管の管中心に向かって延びる整流板が配設されていることを特徴とする給水装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の給水装置において、
上記収容空間の上部には、強制空冷式のインバータを中途部に収容する制御ボックスが配置され、
上記各駆動モータは、下方に空気流を発生させる外扇を有する外扇型空冷モータであり、
上記制御ボックス下面の上記インバータに対応する位置には、上方に空気流を発生して上記インバータを冷却する冷却ファンが取り付けられ、
該冷却ファンは、上記圧力タンクの上方に位置していることを特徴とする給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管や貯水槽の水を加圧して集合住宅やビル等に供給する給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1に開示されている給水装置は、内部に収容空間を有する直方体形状のキャビネットを備え、上記収容空間には、一対のポンプと圧力タンクとが収容されている。上記各ポンプは、回転軸心が上下に延びるポンプ本体と、該ポンプ本体の上方に設けられ、当該ポンプ本体を回転させる駆動モータとを備えており、上記収容空間の一方側半分の位置において水平方向に並設されている。一方、上記圧力タンクは、上記収容空間の他方側半分の位置に設けられ、中心軸が上下に延びる姿勢となっている。上記両ポンプの下方には、水平方向に延びる吸入管が設けられ、該吸入管の下流側が上記ポンプ本体の上流側に接続されている。また、上記吸入管におけるキャビネットの開口部側には、吐出管が並設され、該吐出管の上流側が上記各ポンプ本体の下流側に接続される一方、上記吐出管の下流側が上記圧力タンク下部の給排水部に接続されている。そして、両ポンプにて加圧された水は、吐出管を流れて当該吐出管の下流端から吐出するようになっていて、ポンプ起動時等の吐出管内の流量が急激に変動する際には、上記圧力タンクが吐出管内の圧力変動を抑制して吐出管内の圧力を保持するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−21052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の給水装置では、2つのポンプが収容空間の一方側半分の位置に偏って配置されているので、両駆動モータの駆動時における発熱によって収容空間の温度がポンプ側だけ偏って上昇してしまう。したがって、上記収容空間における両ポンプ側に設けられた各種機器の寿命が短くなってしまうおそれがある。
【0005】
これを回避するために、各種機器を冷却する冷却機器を追加することも考えられるが、コストが嵩むとともに給水装置全体が大型化してしまうおそれがある。
【0006】
また、近年では、給水装置の設置面積が狭くなるように給水装置全体の更なるコンパクト化が求められている。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンパクトで、且つ、キャビネット内部の温度が偏って上昇しないようにできる低コストな給水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、キャビネットの収容空間における両ポンプおよび圧力タンクの配置について工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、第1の発明では、吸入した水を加圧するポンプ本体及び該ポンプ本体を駆動させる駆動モータを有する一対のポンプと、該各ポンプで加圧された水を貯溜及び保圧可能な圧力タンクと、上記両ポンプ及び上記圧力タンクを収容する収容空間を内部に有するキャビネットとを備え、上記両ポンプは、上記駆動モータの回転軸心が上下に延びる姿勢で水平方向に並設され、上記圧力タンクは、その中心軸が上下に延びる姿勢において上記両ポンプの間の当該両ポンプが並ぶ直線上からずれた位置で、且つ、上記両ポンプの各々に接近するように配置され
、上記収容空間には、上記各ポンプ本体に対応するように一対設けられ、吸入口から吸入した水を上記ポンプ本体に案内する吸入管と、一端が上記各ポンプ本体にそれぞれ接続される一方、他端同士が互いに接続され、上記各ポンプ本体から流れ出た加圧状態の水が互いに接続された他端部分で合流するように案内する一対の第1吐出管と、該両第1吐出管の他端部分に接続されて下方へ延び、該他端部分で合流した加圧状態の水を吐出口まで案内して当該吐出口から吐出させる第2吐出管とが設けられ、上記各第1吐出管の中途部には、当該各第1吐出管を開放状態と閉塞状態とに切替可能な仕切弁が設けられ、上記各第1吐出管は、上記両ポンプが並ぶ直線上から上記圧力タンクのずれた側における上記各ポンプに対応する領域にそれぞれ位置するとともに、他端部分に近づくほど下に位置するように傾斜していることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において
、上記吸入管の吸入口及び上記第2吐出管の吐出口は、上記キャビネットの底面から外側に臨むとともに下方に向かって開口していることを特徴とする。
【0011】
第
3の発明では、第
1又は第
2の発明において
、上記各第1吐出管は、上記各ポンプ本体から上記第2吐出管に向かって直線状に延びていることを特徴とする。
【0012】
第
4の発明では、第
1から第
3のいずれか1つの発明において、上記キャビネットの正面側には、上記収容空間に連通する開口部と、該開口部を開閉可能な扉部とが形成され、上記圧力タンクは、上記開口部側に配置されていることを特徴とする。
【0013】
第
5の発明では、第
1から第
4のいずれか1つの発明において、上記両第1吐出管の互いに接続された他端部分内方には、当該両第1吐出管の互いに接続された他端部分内方の一部を一方の第1吐出管側と他方の第1吐出管側とに仕切るとともに上記第2吐出管の管中心に向かって延びる整流板が配設されていることを特徴とする。
【0014】
第
6の発明では、第1から第
5のいずれか1つの発明において、上記収容空間の上部には、強制空冷式のインバータを中途部に収容する制御ボックスが配置され、上記各駆動モータは、下方に空気流を発生させる外扇を有する外扇型空冷モータであり、上記制御ボックス下面の上記インバータに対応する位置には、上方に空気流を発生して上記インバータを冷却する冷却ファンが取り付けられ、該冷却ファンは、上記圧力タンクの上方に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、圧力タンクが両ポンプの間に位置しているので、キャビネット内部の温度が偏って上昇しなくなる。したがって、収容空間における両ポンプ側に設けられた各種機器の寿命を長くすることができる。また、一対のポンプと圧力タンクとが平面視で三角形の頂点をなす位置関係となるので、両ポンプの間、及び、ポンプと圧力タンクとの間を同時に狭くすることができる。したがって、キャビネット内部に両ポンプ及び圧力タンクを収容する空間を確保しながら、キャビネットの横幅及び奥行きを短くすることができ、装置全体をコンパクトにすることができる。さらに、各ポンプが圧力タンクに接近した位置になるので、各ポンプの駆動モータが圧力タンク内に溜まる水によって冷却されるようになり、冷却機器を追加することなく両ポンプを効率良く冷却することができるとともにコストを低く抑えることができる。
【0016】
また、収容空間における各ポンプ及び圧力タンクが占有する領域以外の領域を有効利用することができ、キャビネットを無駄に大きくすることなく各第1吐出管を最適な位置に配置することができる。
【0017】
一方の仕切弁で一方の第1吐出管を閉塞状態にすると、他方の第1吐出管に水を流すことで装置を止めることなく一方の第1吐出管周りの各機器の保守点検及び部品交換を行うことができる一方、他方の仕切弁で他方の第1吐出管を閉塞状態にすると、一方の第1吐出管に水を流すことで装置を止めることなく他方の第1吐出管周りの各機器の保守点検及び部品交換を行うことができる。このように、装置を稼働させたままの状態で各第1吐出管周りの保守点検及び部品交換を行うことができ、効率的である。
【0018】
第
2の発明では、給水装置に水を導入する配管や給水装置の下流側の設備に水を供給する配管を本発明の給水装置に取り付ける際、給水装置の上流側又は下流側の配管の設置事情を考慮して、これらの配管を給水装置のどの方向からでも無理な姿勢にすることなく接続の向きを変えて取り付けることができるようになるので、給水装置の設置姿勢に関係無く、給水装置に対する配管の取付作業を簡単に行うことができる。
【0019】
第
3の発明では
、各第1吐出管を流れる水の圧力損失が減るので、各ポンプ本体から流出する水を第2吐出管までスムーズに流すことができる。
【0020】
第
4の発明では、収容空間において両ポンプが並ぶ直線上から圧力タンクのずれた側における各ポンプに対応する領域が開口部に面するようになるので、各第1吐出管が開口部に接近した位置となる。したがって、キャビネットの扉部を開けると、圧力タンク及び各第1吐出管周りの各機器の保守点検及び部品交換を容易に行うことができるようになる。
【0021】
第
5の発明では、各第1吐出管を流れる水がそれぞれ整流板によって案内されてその流れが同方向に向くようになった状態で合流するので、各第1吐出管を流れる水が合流する地点において発生する圧力損失を低下させることができる。また、両ポンプのうちの一方のポンプだけを稼働させる場合において、一方の第1吐出管を流れる水が他方の第1吐出管の他端部分に接近すると、整流板に遮られて他方の第1吐出管側に向かわなくなるので、一方の第1吐出管を流れる水がスムーズに第2吐出管に向かって流れるようになり、両第1吐出管の接続された他端部分において流れる水の圧力損失を低下させることができる。
【0022】
第
6の発明では、各駆動モータによって発生する下方に向かう空気流とインバータを冷却する冷却ファンの上方に向かう空気流とによって収容空間を循環する2つの空気流れが収容空間の中央部分を境に対称に発生するので、キャビネット内部の温度が偏って上昇してしまうのを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る給水装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る給水装置内部の正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る給水装置内部を正面側斜め上から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る給水装置内部を奥側斜め上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0025】
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係る給水装置1を示す。該給水装置1は、マンション等に設置され、貯水槽に貯水された水を加圧してマンション等の各フロアに供給するためのものであり、内部に収容空間S1を有する直方体形状のキャビネット2と、複数のフレームで矩形枠状に形成され、上記キャビネット2を支持する架台3とを備えている。
【0026】
上記キャビネット2の正面には、上記収容空間S1に連通する矩形状の開口部2aが形成され、該開口部2aは、矩形板状をなす扉部2bで開閉されるようになっている。
【0027】
上記収容空間S1には、
図2乃至
図5に示すように、一対のポンプ4が水平方向に並設され、該各ポンプ4は、上記収容空間S1の奥側(開口部2aの反対側)の各隅部に位置している。
【0028】
上記ポンプ4は、図示しない羽根車の回転中心が上下に延びるポンプ本体4aを備えている。
【0029】
該ポンプ本体4aの上方には、回転軸心が上記ポンプ本体4aの回転中心に一致する略円柱形状の駆動モータ4bが配置されている。
【0030】
該駆動モータ4bは、下方に空気流を発生させる外扇を有する外扇型空冷モータであり、上記ポンプ本体4aの図示しない羽根車を回転駆動させるようになっている。
【0031】
上記収容空間S1の下部には、上下に延びる吸入管5が上記各ポンプ本体4aに対応するように一対設けられ、上記各吸入管5は、下端に形成された吸入口5aから吸入する水を上記各ポンプ本体4aにまで案内するようになっている。
【0032】
上記吸入管5の下部は、上記キャビネット2の底面から外側に臨んでいて、上記吸入口5aは、下方に向かって開口している。
【0033】
上記吸入口5a周縁には、第1取付フランジ5bが設けられ、該第1取付フランジ5bは、貯水槽から延びる配管9aの一端を固定できるようになっている。
【0034】
上記収容空間S1の中央で、且つ、開口部2a寄りの位置には、加圧エアを充填したブラダ型のアキュムレータである圧力タンク6が設けられている。
【0035】
該圧力タンク6は、その中心軸が上下に延びるような姿勢となっており、その下端中央には、側面視で略L字状をなす給排水部6aの一端が接続されている(
図4参照)。
【0036】
そして、上記圧力タンク6は、
図3に示すように、上記両ポンプ4の間の当該両ポンプ4が並ぶ直線上から距離D1だけ上記開口部2a側にずれた位置で、且つ、上記両ポンプ4の各々に接近するように配置されている。
【0037】
上記収容空間S1において、上記各ポンプ4における上記キャビネット2の開口部2a側の領域には、それぞれ第1吐出管7が設けられている。
【0038】
すなわち、上記各第1吐出管7は、上記収容空間S1において、上記両ポンプ4が並ぶ直線上から上記圧力タンク6のずれた側における上記各ポンプ4に対応する領域にそれぞれ設けられている。
【0039】
上記各第1吐出管7は、上記各ポンプ本体4aにおける上記キャビネット2の開口部2a側の領域から上記圧力タンク6の給排水部6aにおける上記キャビネット2の開口部2a側の領域に向かって斜め下方に直線状に延びる形状をなしており、一端が各ポンプ本体4aにおける上記キャビネット2の開口部2a側にそれぞれ接続される一方、他端同士が互いに接続されていて、上記各ポンプ本体4aで加圧された水を互いに接続された他端部分で合流させるようになっている。
【0040】
そして、上記各第1吐出管7の互いに接続された他端部分には、上記給排水部6aの他端が接続されていて、上記圧力タンク6は、上記両第1吐出管7に流れる加圧状態の水を貯溜及び保圧可能となっている。
【0041】
上記各第1吐出管7の下流側には、当該各第1吐出管7を開放状態と閉塞状態とに切替可能な仕切弁7aが設けられている。
【0042】
また、上記各第1吐出管7における上記仕切弁7aの上流側には、逆止弁7bが内蔵されている。
【0043】
さらに、上記各第1吐出管7における上記逆止弁7bの上流側には、フロースイッチ7cが取り付けられている。
【0044】
上記収容空間S1における上記両第1吐出管7の接続された他端部分の下方には、上下に延びる第2吐出管8が設けられ、該第2吐出管8は、上記両第1吐出管7により合流した加圧状態の水を下端に形成された吐出口8aまで案内して当該吐出口8aから吐出させるようになっている。
【0045】
上記第2吐出管8の下部は、上記キャビネット2の底面から外側に臨んでいて、上記吐出口8aは、下方に向かって開口している。
【0046】
上記吐出口8a周縁には、第2取付フランジ8bが設けられ、該第2取付フランジ8bは、マンション等の各フロアに向かって延びる配管9bの一端を固定できるようになっている。
【0047】
上記両第1吐出管7の互いに接続された他端部分内方には、
図6に示すように、上下に延びる整流板12が配設され、該整流板12の中途部は、上記給排水部6aの他端部分に対応する位置となっている。
【0048】
上記整流板12は、下方に行くにつれて次第に厚みが薄くなる形状をなしており、その下側部分は上記第2吐出管8の管中心に向かって延びている。
【0049】
そして、上記整流板12は、その上端部分が上記両第1吐出管7の互いに接続された他端部分における内周面の上側部分から離間しており、上記両第1吐出管7の互いに接続された他端部分の内方の一部を一方の第1吐出管7側と他方の第1吐出管7側との仕切るようになっている。
【0050】
上記収容空間S1の最上部には、
図2に示すように、水平方向に延びる略直方体形状の制御ボックス10が配置され、該制御ボックス10の中途部内方には、強制空冷式のインバータ10aが収容されている。
【0051】
上記制御ボックス10下面の上記インバータ10aに対応する位置で、且つ、上記圧力タンク6の上方の位置には、冷却ファン11が一対取り付けられ、該冷却ファン11は、上方に空気流を発生させて上記インバータ10aを冷却するようになっている。
【0052】
そして、上記給水装置1を稼働させると、上記両駆動モータ4bの回転駆動により上記両ポンプ本体4aが両吸入管5を介して水を吸入するとともに加圧状態の水を各第1吐出管7に流出し、且つ、当該各第1吐出管7によって案内される加圧状態の水は、第2吐出管8を流れて吐出口8aから下流側に吐出するようになっていて、ポンプ4の起動時等の第1吐出管7内及び第2吐出管8内の流量が急激に変動する際には、上記圧力タンク6が第1吐出管7内及び第2吐出管8内の圧力変動を抑制して第1吐出管7内及び第2吐出管8内の圧力を保持するようになっている。
【0053】
以上より、本発明の実施形態によると、圧力タンク6が両ポンプ4の間に位置しているので、キャビネット2内部の温度が偏って上昇しなくなる。したがって、収容空間S1における両ポンプ4側に設けられた各種機器の寿命を長くすることができる。また、一対のポンプ4と圧力タンク6とが平面視で三角形の頂点をなす位置関係となるので、両ポンプ4の間、及び、ポンプ4と圧力タンクと6の間を同時に狭くすることができる。したがって、キャビネット2内部に両ポンプ4及び圧力タンク6を収容する空間を確保しながら、キャビネット2の横幅及び奥行きを短くすることができ、給水装置1全体をコンパクトにすることができる。さらに、各ポンプ4が圧力タンク6に接近した位置になるので、各ポンプ4の駆動モータ4bが圧力タンク6内に溜まる水によって冷却されるようになり、冷却機器を追加することなく両ポンプ4を効率良く冷却することができるとともにコストを低く抑えることができる。
【0054】
また、各第1吐出管7が上記両ポンプ4が並ぶ直線上から上記圧力タンク6のずれた側における上記各ポンプ4に対応する領域にそれぞれ位置しているので、キャビネット2の収容空間S1における各ポンプ4及び圧力タンク6が占有する領域以外の領域を有効利用することができ、キャビネット2を無駄に大きくすることなく各第1吐出管7を最適な位置に配置することができる。
【0055】
また、吸入管5の吸入口5a及び第2吐出管8の吐出口8aがキャビネットの底面から外側に臨むとともに下方に向かって開口しているので、給水装置1に水を導入する配管9aや給水装置1の下流側の設備に水を供給する配管9bを給水装置1に取り付ける際、給水装置1の上流側又は下流側の配管9a,9bの設置事情を考慮して、これらの配管9a及び配管9bを給水装置1のどの方向からでも無理な姿勢にすることなく接続の向きを変えて取り付けることができるようになる。したがって、給水装置1の設置姿勢に関係無く、給水装置1に対する配管9a及び配管9bの取付作業を簡単に行うことができる。
【0056】
また、各第1吐出管の中途部に仕切弁7aが設けられているので、一方の仕切弁7aで一方の第1吐出管7を閉塞状態にすると、他方の第1吐出管7に水を流すことで給水装置1を止めることなく一方の第1吐出管7周りの各機器の保守点検及び部品交換を行うことができる一方、他方の仕切弁7aで他方の第1吐出管7を閉塞状態にすると、一方の第1吐出管7に水を流すことで給水装置1を止めることなく他方の第1吐出管7周りの各機器の保守点検及び部品交換を行うことができる。このように、給水装置1を稼働させたままの状態で各第1吐出管7周りの保守点検及び部品交換を行うことができ、効率的である。
【0057】
また、各第1吐出管7は、各ポンプ本体4aにおけるキャビネット2の開口部2a側の領域から圧力タンク6の給排水部6aにおけるキャビネット2の開口部2a側の領域に向かって直線状に延びているので、各第1吐出管7を流れる水の圧力損失が減り、各ポンプ本体4aから流出する水を第2吐出管8までスムーズに流すことができる。
【0058】
また、圧力タンク6は、キャビネット2の開口部2a側に配置されているので、収容空間S1において上記両ポンプ4が並ぶ直線上から上記圧力タンク6のずれた側における上記各ポンプ4に対応する領域が開口部2aに面するようになり、各第1吐出管7が開口部2aに接近した位置となる。したがって、キャビネット2の扉部2bを開けると、圧力タンク6及び各第1吐出管7周りの各機器の保守点検及び部品交換を容易に行うことができるようになる。
【0059】
また、上記各第1吐出管7を流れる水は、
図6の矢印Y1,Y2に示すように、それぞれ整流板12によって案内されてその流れが同方向に向くようになった状態で合流するので、各第1吐出管7を流れる水が合流する地点において発生する圧力損失を低下させることができる。また、両ポンプ4のうちの一方のポンプ4だけを稼働させる場合において、一方の第1吐出管7を流れる水が他方の第1吐出管7の他端部分に接近すると、整流板12に遮られて他方の第1吐出管7側に向かわなくなるので、一方の第1吐出管7を流れる水がスムーズに第2吐出管8に向かって流れるようになり、両第1吐出管7の互いに接続された他端部分において流れる水の圧力損失を低下させることができる。
【0060】
また、収容空間S1において、
図2に示すように、各駆動モータ4bの外扇ファンによって発生する下方に向かう空気流とインバータ10aを冷却する冷却ファン11の上方に向かう空気流とによって収容空間S1を循環する2つの空気流れX1,X2が収容空間S1の中央部分を境に対称に発生するので、キャビネット2内部の温度が偏って上昇してしまうのを確実に防ぐことができる。
【0061】
尚、本発明の実施形態では、第1吐出管7を直線状の形状にしているが、例えば、L字状をなす形状にしてもよい。
【0062】
また、本発明の実施形態では、上記吸入管5の吸入口5a及び上記第2吐出管8の吐出口8aがキャビネット2の底面から外側に臨むとともに下方に向かって開口しているが、キャビネット2の側面から外側に臨む構成であってもよい。
【0063】
さらに、本発明の実施形態では、圧力タンク6は、両ポンプ4の間の両ポンプ4が並ぶ直線上から開口部2a側にずれた位置で、且つ、両ポンプ4の各々に接近するように配置されているが、両ポンプ4の間の両ポンプ4が並ぶ直線上から開口部2aの反対側にずれた位置で、且つ、両ポンプ4の各々に接近する位置に配置されていてもよい。
【0064】
それに加えて、本発明の実施形態では、冷却ファン11が圧力タンク6の上方に位置しているが、冷却ファン11が圧力タンク6の上方に位置することは必須ではない。
【0065】
尚、本発明の実施形態に係る給水装置1は、水道水の水を加圧してマンション等の各フロアに供給する構成等にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、水道管や貯水槽の水を加圧して集合住宅やビル等に供給する給水装置に適している。
【符号の説明】
【0067】
1 給水装置
2 キャビネット
4 ポンプ
4a ポンプ本体
4b 駆動モータ
5 吸入管
5a 吸入口
6 圧力タンク
7 第1吐出管
7a 仕切弁
8 第2吐出管
8a 吐出口
10 制御ボックス
10a インバータ
11 冷却ファン
S1 収容空間