(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
植物を収容する栽培容器と、前記栽培容器を支持する容器支持体と、培養液を貯える培養液用容器と、培養液を栽培容器の内部の植物へ導く給液用導液材とを備えた栽培装置において、
前記容器支持体が、前記栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し、
前記給液用導液材が、前記培養液用容器の内部の培養液から空間部を介して栽培容器の内部へ延設され、
前記容器支持体が、前記容器支持体の側部に形成された上側大気開放口と、上側大気開放口より下方に形成された下側大気開放口と、水平に延設されて空間部と上側大気開放口とを繋ぐ上側連通孔と、上側連通孔より下方で水平に延設されて空間部と下側大気開放口とを繋ぐ下側連通孔とを備えていることを特徴とする栽培装置。
植物を収容する栽培容器と、前記栽培容器を支持する容器支持体と、培養液を貯える培養液用容器と、培養液を栽培容器の内部の植物へ導く給液用導液材とを備えた栽培装置において、
前記容器支持体が、前記栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し、
前記給液用導液材が、前記培養液用容器の内部の培養液から空間部を介して栽培容器の内部へ延設され、
前記容器支持体の空間部が、栽培容器側に形成された穴部分と、前記穴部分と連設されて培養液用容器の内部の培養液側へ向かって徐々に径が大きくなっているテーパ部分とを有していることを特徴とする栽培装置。
前記栽培容器の内部において、前記給液用導液材が、前記栽培容器の底部から側方に延びてから上方へ延びて培地の内部で水平方向に延びて側視コ字状に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の栽培装置。
前記給液用導液材の側視コ字状の導液材上部が、帯状に形成されて前記栽培容器の平面視で栽培容器の中央のみを横切って両側方を横切らない構成であることを特徴とする請求項5に記載の栽培装置。
栽培容器と容器支持体と培養液用容器と給液用導液材とを備え、容器支持体が栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し、容器支持体が、前記容器支持体の側部に形成された上側大気開放口と、上側大気開放口より下方に形成された下側大気開放口と、水平に延設されて空間部と上側大気開放口とを繋ぐ上側連通孔と、上側連通孔より下方で水平に延設されて空間部と下側大気開放口とを繋ぐ下側連通孔とを備えている栽培装置を用いた栽培方法であって、
前記給液用導液材が、前記培養液用容器の内部の培養液を吸い上げる培養液吸い上げ工程と、
前記空間部が、前記給液用導液材の内部の培養液を気化熱の原理で冷却する培養液冷却工程と、
前記給液用導液材が、前記培養液冷却工程で冷却された培養液を栽培容器の内部へ供給する培養液供給工程とを具備していることを特徴とする栽培方法。
栽培容器と容器支持体と培養液用容器と給液用導液材とを備え、容器支持体が栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し、前記容器支持体の空間部が、栽培容器側に形成された穴部分と、前記穴部分と連設されて培養液用容器の内部の培養液側へ向かって徐々に径が大きくなっているテーパ部分とを有している栽培装置を用いた栽培方法であって、
前記給液用導液材が、前記培養液用容器の内部の培養液を吸い上げる培養液吸い上げ工程と、
前記空間部が、前記給液用導液材の内部の培養液を気化熱の原理で冷却する培養液冷却工程と、
前記給液用導液材が、前記培養液冷却工程で冷却された培養液を栽培容器の内部へ供給する培養液供給工程とを具備していることを特徴とする栽培方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の装置は、吸水紐が貯水槽の水を単に吸い上げて栽培容器の内部の植物へ導く構造であったため、水に空気が十分含まれておらず、栽培容器の内部へ空気を十分含んだ水や培養液を供給することができないという問題や、夏季に培養液用容器の内部の水や培養液の特に上方の水面近くの温度が高くなった場合に、栽培容器の内部へ温度が高い温水や培養液が供給されて植物が傷むという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、栽培容器の内部へ空気を十分含んだ培養液を供給するとともに、夏季に培養液用容器の内部の培養液の特に上方の水面近くの温度が高くなった場合であっても、栽培容器の内部へ比較的低温の培養液を供給する栽培装置、および栽培装置を用いた栽培方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明は、植物を収容する栽培容器と、前記栽培容器を支持する容器支持体と、培養液を貯える培養液用容器と、培養液を栽培容器の内部の植物へ導く給液用導液材とを備えた栽培装置において、前記容器支持体が、前記栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し、前記給液用導液材が、前記培養液用容器の内部の培養液から空間部を介して栽培容器の内部へ延設され
、前記容器支持体が、前記容器支持体の側部に形成された上側大気開放口と、上側大気開放口より下方に形成された下側大気開放口と、水平に延設されて空間部と上側大気開放口とを繋ぐ上側連通孔と、上側連通孔より下方で水平に延設されて空間部と下側大気開放口とを繋ぐ下側連通孔とを備えていることにより、前述した課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、
植物を収容する栽培容器と、前記栽培容器を支持する容器支持体と、培養液を貯える培養液用容器と、培養液を栽培容器の内部の植物へ導く給液用導液材とを備えた栽培装置において、前記容器支持体が、前記栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し、前記給液用導液材が、前記培養液用容器の内部の培養液から空間部を介して栽培容器の内部へ延設され、前記容器支持体の空間部が、栽培容器側に形成された穴部分と、前記穴部分と連設されて培養液用容器の内部の培養液側へ向かって徐々に径が大きくなっているテーパ部分とを有していることにより、前述した課題
を解決するものである。
【0008】
本請求項3に係る発明は、請求項
2に記載された栽培装置の構成に加えて、
前記小径の穴が複数配設され、隣り合う穴部分が互いに離間して配設され、隣り合うテーパ部分が互いに連設されていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載された栽培装置の構成に加えて、
前記容器支持体が、前記容器支持体の上側大気と空間部と繋ぐ通気孔を備えていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項5に係る発明は、
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載された栽培装置の構成に加えて、
前記栽培容器の内部において、前記給液用導液材が、前記栽培容器の底部から側方に延びてから上方へ延びて培地の内部で水平方向に延びて側視コ字状に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項6に係る発明は、請求項
5に記載された栽培装置の構成に加えて、
前記給液用導液材の側視コ字状の導液材上部が、帯状に形成されて前記栽培容器の平面視で栽培容器の中央のみを横切って両側方を横切らない構成であることにより、前述した課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項7に係る発明は、
栽培容器と容器支持体と培養液用容器と給液用導液材とを備え、容器支持体が栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し、容器支持体が、前記容器支持体の側部に形成された上側大気開放口と、上側大気開放口より下方に形成された下側大気開放口と、水平に延設されて空間部と上側大気開放口とを繋ぐ上側連通孔と、上側連通孔より下方で水平に延設されて空間部と下側大気開放口とを繋ぐ下側連通孔とを備えている栽培装置を用いた栽培方法であって、前記給液用導液材が、前記培養液用容器の内部の培養液を吸い上げる培養液吸い上げ工程と、前記空間部が、前記給液用導液材の内部の培養液を気化熱の原理で冷却する培養液冷却工程と、前記給液用導液材が、前記培養液冷却工程で冷却された培養液を栽培容器の内部へ供給する培養液供給工程とを具備していることにより、前述した課題
を解決するものである。
【0013】
本請求項8に係る発明は、栽培容器と容器支持体と培養液用容器と給液用導液材とを備え、容器支持体が栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し
、前記容器支持体の空間部が、栽培容器側に形成された穴部分と、前記穴部分と連設されて培養液用容器の内部の培養液側へ向かって徐々に径が大きくなっているテーパ部分とを有している栽培装置を用いた栽培方法であって、前記給液用導液材が、前記培養液用容器の内部の培養液を吸い上げる培養液吸い上げ工程と、前記空間部が、前記給液用導液材の内部の培養液を気化熱の原理で冷却する培養液冷却工程と、前記給液用導液材が、前記培養液冷却工程で冷却された培養液を栽培容器の内部へ供給する培養液供給工程とを具備していることにより、前述した課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の栽培装置は、植物を収容する栽培容器と、栽培容器を支持する容器支持体と、培養液を貯える培養液用容器と、給液用導液材とを備えていることにより、培養液を栽培容器の内部の植物へ導くことができるばかりでなく、以下のような特有の効果を奏することができる。
【0015】
本請求項1に係る発明の栽培装置によれば、空間部において給液用導液材が空気と接触して給液用導液材の内部の培養液内に空気が吸収されるため、栽培容器の内部へ空気を十分含んだ培養液を供給することができる。
さらに、夏季に培養液用容器の内部の培養液の特に上方の水面近くの温度が高くなった場合であっても、空間部において気化熱の原理により給液用導液材から水分が気化して給液用導液材の内部の培養液が冷却されるため、栽培容器の内部へ比較的低温の培養液を供給することができる。
また、空間部の内部において空気の温度差によって空気の対流が生じようとするが、空間部の上方の温かい空気が上側連通孔を介して大気へ逃げるとともに、空間部の上方よりも温度が低い大気の冷たい空気が下側連通孔を介して空間部の下方へ入り込み空間部の空気の温度の上昇が抑制されるため、より一層低い温度の培養液を栽培容器の内部へ供給することができる。
【0016】
本請求項2に係る発明の栽培装置によれば、
空間部において給液用導液材が空気と接触して給液用導液材の内部の培養液内に空気が吸収されるため、栽培容器の内部へ空気を十分含んだ培養液を供給することができる。
さらに、夏季に培養液用容器の内部の培養液の特に上方の水面近くの温度が高くなった場合であっても、空間部において気化熱の原理により給液用導液材から水分が気化して給液用導液材の内部の培養液が冷却されるため、栽培容器の内部へ比較的低温の培養液を供給することができる。
また、空間部の体積が大きくなってより効果的に給液用導液材の内部の培養液が冷却されるため、より低い温度の培養液を栽培容器の内部へ供給することができる。
【0017】
本請求項3に係る発明の栽培装置によれば、
請求項2に係る発明が奏する効果に加えて、空間部を形成するそれぞれのテーパ部分が連なって空気の温度が一律になるため、それぞれの栽培容器の内部へ供給される培養液の温度のバラツキを抑制して栽培条件を略均一にすることができる。
【0018】
本請求項4に係る発明の栽培装置によれば、
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、空間部の熱が通気孔を介して上側大気へ逃げるため、より効果的に空間部で培養液を冷却することができる。
【0019】
本請求項5に係る発明の栽培装置によれば、
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに係る発明が奏する効果に加えて、側視コ字状の導液材上部が種の近傍に位置して種に培養液が供給されるため、高い確率で発芽させることができる。
さらに、側視コ字状の導液材上部に種をまくと種が導液材上部に支持されて光線を受けやすくなるため、成長の早い丈夫な植物ができる。
【0020】
本請求項6に係る発明の栽培装置によれば、
請求項5に係る発明が奏する効果に加えて、根が育つときに給液用導液材の導液材上部が僅かに根に接するだけになるため、給液用導液材の導液材上部を設けた場合であっても根の発育の妨げになることを回避できる。
【0021】
本請求項7に係る発明の
栽培方法によれば、
空間部において給液用導液材が空気と接触して給液用導液材の内部の培養液内に空気が吸収されるため、栽培容器の内部へ空気を含んだ培養液を供給することができる。
さらに、夏季に培養液用容器の内部の培養液の特に上方の水面近くの温度が高くなった場合であっても、空間部において気化熱の原理により給液用導液材から水分が気化して給液用導液材の内部の培養液が冷却されるため、栽培容器の内部へ比較的低温の培養液を供給することができる。
また、空間部の内部において空気の温度差によって空気の対流が生じようとするが、空間部の上方の温かい空気が上側連通孔を介して大気へ逃げるとともに、空間部の上方よりも温度が低い大気の冷たい空気が下側連通孔を介して空間部の下方へ入り込み空間部の空気の温度の上昇が抑制されるため、より一層低い温度の培養液を栽培容器の内部へ供給することができる。
【0022】
本請求項8に係る発明の栽培方法によれば、空間部において給液用導液材が空気と接触して給液用導液材の内部の培養液内に空気が吸収されるため、栽培容器の内部へ空気を含んだ培養液を供給することができる。
さらに、夏季に培養液用容器の内部の培養液の特に上方の水面近くの温度が高くなった場合であっても、空間部において気化熱の原理により給液用導液材から水分が気化して給液用導液材の内部の培養液が冷却されるため、栽培容器の内部へ比較的低温の培養液を供給することができる。
また、空間部の体積が大きくなってより効果的に給液用導液材の内部の培養液が冷却されるため、より低い温度の培養液を栽培容器の内部へ供給することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の栽培装置は、植物を収容する栽培容器と、栽培容器を支持する容器支持体と、培養液を貯える培養液用容器と、培養液を栽培容器の内部の植物へ導く給液用導液材とを備え、容器支持体が、栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成し、給液用導液材が、培養液用容器の内部の培養液から空間部を介して栽培容器の内部へ延設されていることにより、栽培容器の内部へ空気を含んだ培養液を供給するとともに、栽培容器の内部へ比較的低温の培養液を供給するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0025】
また、本発明の栽培方法は、栽培容器と容器支持体と培養液用容器と給液用導液材とを備え、容器支持体が栽培容器より小径の穴を有するとともに栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に配設されて栽培容器と培養液用容器の内部の培養液との間に空気で満たされた空間部を形成している栽培装置を用いた栽培方法であって、給液用導液材が、培養液用容器の内部の培養液を吸い上げる培養液吸い上げ工程と、空間部が、給液用導液材の内部の培養液を気化熱の原理で冷却する培養液冷却工程と、給液用導液材が、培養液冷却工程で冷却された培養液を栽培容器の内部へ供給する培養液供給工程とを具備していることにより、栽培容器の内部へ空気を含んだ培養液を供給するとともに、栽培容器の内部へ比較的低温の培養液を供給するものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【0026】
例えば、容器支持体は、培養液用容器の内部の培養液に浮かぶ構成でもよいし、培養液用容器の底部と接触する構成でもよい。
また、容器支持体が栽培容器を支持するものであれば、容器支持体の材料は、如何なるものであっても構わない。
【実施例1】
【0027】
以下に、本発明の第1実施例である栽培装置100について、
図1(A)乃至
図2に基づいて説明する。
ここで、
図1(A)は、本発明の第1実施例の栽培装置100の概略を示す断面図であり、
図1(B)は、
図1(A)の符号1Bから視た概略図であり、
図1(C)は、
図1(A)の符号1Cから視た概略図であり、
図2は、本発明の第1実施例の栽培装置100の空間部121の作用を示す原理図である。
本発明の第1実施例である栽培装置100は、
図1(A)に示すように、栽培容器110と、容器支持体120と、培養液用容器130と、給液用導液材140とを備えている。
このうち、栽培容器110は、植物PTを収容するものであり、栽培容器110の内部には、培地CMが入れられ、この培地CMに植物PTが植えられている。
容器支持体120は、栽培容器110を支持するものであり、一例として発泡スチロールで形成され、培養液用容器130の内部の培養液FLに浮かべられている。
【0028】
培養液用容器130は、培養液FLを貯えるものであり、所謂、水槽の役割を果たす。
本実施例の培養液用容器130は、一例として、培養液FLを培養液用容器130の外部へ排出する排液口131と、培養液FLを培養液用容器130の内部へ供給する給液口132とを有している。
給液用導液材140は、培養液FLを栽培容器110の内部の植物PTへ導くものである。
本実施例の給液用導液材140は、毛管現象で液体を吸い上げて移動させるフェルトや不織布である。
【0029】
本実施例では、容器支持体120が、栽培容器110より小径の穴を有するとともに栽培容器110と培養液用容器130の内部の培養液FLとの間に配設されている。
そして、容器支持体120が、栽培容器110と培養液用容器130の内部の培養液FLとの間に空気で満たされた空間部121を形成している。
さらに、給液用導液材140が、培養液用容器130の内部の培養液FLから空間部121を介して栽培容器110の内部へ延設されている。
【0030】
これにより、
図2に示すように、空間部121において給液用導液材140が空気と接触して給液用導液材140の内部の培養液内に空気が吸収される。
その結果、栽培容器110の内部へ空気を含んだ培養液FLを供給することができる。
つまり、植物PTの根圏に対して不足がちの空気が補われて、根圏の活性を促して丈夫な植物PTにすることができる。
さらに、夏季に培養液用容器130の内部の培養液FLの特に上方の水面近くの温度が高くなった場合であっても、空間部121において気化熱の原理により給液用導液材140から水分が気化して給液用導液材140の内部の培養液FLが冷却される。
その結果、栽培容器110の内部へ比較的低温の培養液FLを供給することができる。
【0031】
さらに、本実施例では、容器支持体120が、容器支持体120の上側大気と空間部121と繋ぐ通気孔122を備えている。
これにより、空間部121の熱が通気孔122を介して上側大気へ逃げる。
その結果、より効果的に空間部121で培養液FLを冷却することができる。
【0032】
また、本実施例の
図1(A)の3つの栽培容器110のうち、中央および右側では、栽培容器110の内部において、給液用導液材140が、栽培容器110の底部から側方に延びてから上方へ延びて培地CMの内部で水平方向に延びて側視コ字状に設けられている。
具体的には、栽培容器110の内部の底に設けられた導液材底部141a、141bと、導液材底部141a、141bから上方へ延設された導液材上方延設部142と、導液材上方延設部142の上端から水平方向に延設された導液材上部143a、143bとを有している。
【0033】
これにより、側視コ字状の導液材上部143a、143bが種の近傍に位置して種に培養液FLが供給される。
その結果、高い確率で発芽させることができる。
さらに、側視コ字状の導液材上部143a、143bに種をまくと種が導液材上部143a、143bに支持されて光線を受けやすくなる。
その結果、成長の早い丈夫な植物PTができる。
【0034】
また、本実施例の
図1(A)の3つの栽培容器110のうち、中央では、
図1(B)に示すように、給液用導液材140の側視コ字状の導液材上部143aが、栽培容器110の平面視で栽培容器110の内部の全範囲に設けられている。
また、3つの栽培容器110のうち、右側では、
図1(C)に示すように、給液用導液材140の側視コ字状の導液材上部143bが、帯状に形成されて栽培容器110の平面視で栽培容器110の中央のみを横切って両側方を横切らない構成である。
これにより、根が育つときに給液用導液材140の導液材上部143bが僅かに根に接するだけになる。
その結果、給液用導液材140の導液材上部143bを設けた場合であっても根の発育の妨げになることを回避できる。
【0035】
なお、本実施例では、容器支持体120が培養液用容器130の内部の培養液FLに浮いている構成であるので、培養液FLの量が変化した場合であっても空間部121の体積は変化しない。
つまり、培養液FLの冷却効果を保ちつつ、培養液FLの水位WLの変化に対応することができる。
【0036】
また、栽培方法としては、本実施例の栽培装置100の構成を前提にして、給液用導液材140が、培養液用容器130の内部の培養液FLを吸い上げる(培養液吸い上げ工程)。
次に、空間部121が、給液用導液材140の内部の培養液FLを気化熱の原理で冷却する(培養液冷却工程)。
そして、給液用導液材140が、培養液冷却工程で冷却された培養液FLを栽培容器110の内部へ供給する(培養液供給工程)。
【0037】
このようにして得られた本発明の第1実施例である栽培装置100は、植物PTを収容する栽培容器110と、栽培容器110を支持する容器支持体120と、培養液FLを貯える培養液用容器130と、培養液FLを栽培容器110の内部の植物PTへ導く給液用導液材140とを備え、容器支持体120が、栽培容器110より小径の穴を有するとともに栽培容器110と培養液用容器130の内部の培養液FLとの間に配設されて栽培容器110と培養液用容器130の内部の培養液FLとの間に空気で満たされた空間部121を形成し、給液用導液材140が、培養液用容器130の内部の培養液FLから空間部121を介して栽培容器110の内部へ延設されていることにより、栽培容器110の内部へ空気を含んだ培養液FLを供給するとともに、夏季に培養液用容器130の内部の培養液FLの特に上方の水面近くの温度が高くなった場合であっても、栽培容器110の内部へ比較的低温の培養液FLを供給することができる。
【0038】
さらに、容器支持体120が、容器支持体120の上側大気と空間部121と繋ぐ通気孔122を備えていることにより、より効果的に空間部121で培養液FLを冷却することができる。
また、栽培容器110の内部において、給液用導液材140が、栽培容器110の底部から側方に延びてから上方へ延びて培地CMの内部で水平方向に延びて側視コ字状に設けられていることにより、高い確率で発芽させることができるとともに、成長の早い丈夫な植物PTができる。
さらに、給液用導液材140の側視コ字状の導液材上部143bが、帯状に形成されて栽培容器110の平面視で栽培容器110の中央のみを横切って両側方を横切らない構成であることにより、給液用導液材140の導液材上部143bを設けた場合であっても根の発育の妨げになることを回避できる。
【0039】
また、本発明の第1実施例である栽培方法は、栽培容器110と容器支持体120と培養液用容器130と給液用導液材140とを備え、容器支持体120が栽培容器110より小径の穴を有するとともに栽培容器110と培養液用容器130の内部の培養液FLとの間に配設されて栽培容器110と培養液用容器130の内部の培養液FLとの間に空気で満たされた空間部121を形成している栽培装置100を用いた栽培方法であって、給液用導液材140が、培養液用容器130の内部の培養液FLを吸い上げる培養液吸い上げ工程と、空間部121が、給液用導液材140の内部の培養液FLを気化熱の原理で冷却する培養液冷却工程と、給液用導液材140が、培養液冷却工程で冷却された培養液FLを栽培容器110の内部へ供給する培養液供給工程とを具備していることにより、栽培容器110の内部へ空気を含んだ培養液FLを供給するとともに、夏季に培養液用容器130の内部の培養液FLの特に上方の水面近くの温度が高くなった場合であっても、栽培容器110の内部へ比較的低温の培養液FLを供給することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例2】
【0040】
続いて、本発明の第2実施例である栽培装置200について、
図3に基づいて説明する。
ここで、
図3は、本発明の第2実施例の栽培装置200の概略を示す断面図である。
第2実施例の栽培装置200は、第1実施例の栽培装置100の容器支持体120の穴の断面形状を変更したものであり、多くの要素について第1実施例の栽培装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する200番台の符号を付すのみとする。
【0041】
本発明の第2実施例である栽培装置200は、
図3に示すように、栽培容器210と、容器支持体220と、培養液用容器230と、給液用導液材240とを備えている。
本実施例では、容器支持体220の空間部221が、栽培容器側に形成された穴部分221aと、穴部分221aと連設されて培養液用容器230の内部の培養液側へ向かって徐々に径が大きくなっているテーパ部分221bとを有している。
言い換えると、穴部分221aは、一定の径で形成され、テーパ部分221bは培養液側へいくに従って徐々に径が大きくなるように広がっている。
【0042】
これにより、空間部221の体積が大きくなってより効果的に給液用導液材240の内部の培養液FLが冷却される。
その結果、より低い温度の培養液FLを栽培容器210の内部へ供給することができる。
なお、本実施例の構成を上述した第1実施例の構成と組み合わせてもよいのは言うまでもない。
【0043】
このようにして得られた本発明の第2実施例である栽培装置200は、容器支持体220の空間部221が、栽培容器側に形成された穴部分221aと、穴部分221aと連設されて培養液用容器230の内部の培養液側へ向かって徐々に径が大きくなっているテーパ部分221bとを有していることにより、より低い温度の培養液FLを栽培容器210の内部へ供給することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例3】
【0044】
続いて、本発明の第3実施例である栽培装置300について、
図4に基づいて説明する。
ここで、
図4は、本発明の第3実施例の栽培装置300の概略を示す断面図である。
第3実施例の栽培装置300は、第2実施例の栽培装置200の容器支持体220の穴の断面形状を変更したものであり、多くの要素について第1実施例の栽培装置100および第2実施例の栽培装置200と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する300番台の符号を付すのみとする。
【0045】
本発明の第3実施例である栽培装置300では、
図4に示すように、栽培容器310より小径の穴が容器支持体320に複数配設されている。
そして、隣り合う穴部分321aが互いに離間して配設され、隣り合うテーパ部分321bが互いに連設されている。
【0046】
これにより、空間部321を形成するそれぞれのテーパ部分321bが連なって空気の温度が一律になる。
その結果、それぞれの栽培容器310の内部へ供給される培養液FLの温度のバラツキを抑制して栽培条件を略均一にすることができる。
なお、本実施例の構成を上述した第1実施例または第2実施例の構成と組み合わせてもよいのは言うまでもない。
【0047】
このようにして得られた本発明の第3実施例である栽培装置300は、栽培容器310より小径の穴が容器支持体320に複数配設され、隣り合う穴部分321aが互いに離間して配設され、隣り合うテーパ部分321bが互いに連設されていることにより、それぞれの栽培容器310の内部へ供給される培養液FLの温度のバラツキを抑制して栽培条件を略均一にすることができるなど、その効果は甚大である。
【実施例4】
【0048】
続いて、本発明の第4実施例である栽培装置400について、
図5に基づいて説明する。
ここで、
図5は、本発明の第4実施例の栽培装置400の概略を示す断面図である。
第4実施例の栽培装置400は、第1実施例の栽培装置100の容器支持体120に上側大気開放口、下側大気開放口、上側連通孔および下側連通孔を追加したものであり、多くの要素について第1実施例の栽培装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する400番台の符号を付すのみとする。
【0049】
本発明の第4実施例である栽培装置400では、
図5に示すように、容器支持体420が、上側大気開放口422と、下側大気開放口423と、上側連通孔421cと、下側連通孔421dとを備えている。
このうち、上側大気開放口422は、容器支持体420の側部に形成されている。
上側大気開放口422と同様に、下側大気開放口423は、上側大気開放口422より下方に形成されている。
また、上側連通孔421cは、水平に延設されて空間部421と上側大気開放口422とを繋いでいる。
上側連通孔421cと同様に、下側連通孔421dは、上側連通孔421cより下方で水平に延設されて空間部421と下側大気開放口423とを繋いでいる。
【0050】
これにより、空間部421の内部において空気の温度差によって空気の対流が生じようとするが、空間部421の上方の温かい空気が上側連通孔421cを介して大気へ逃げるとともに、空間部421の上方よりも温度が低い大気の冷たい空気が下側連通孔421dを介して空間部421の下方へ入り込み空間部421の空気の温度の上昇が抑制される。
その結果、より一層低い温度の培養液FLを栽培容器410の内部へ供給することができる。
なお、本実施例の構成を上述した第1実施例乃至第3実施例の構成と組み合わせてもよいのは言うまでもない。
【0051】
このようにして得られた本発明の第4実施例である栽培装置400は、容器支持体420が、容器支持体420の側部に形成された上側大気開放口422と、上側大気開放口422より下方に形成された下側大気開放口423と、水平に延設されて空間部421と上側大気開放口422とを繋ぐ上側連通孔421cと、上側連通孔421cより下方で水平に延設されて空間部421と下側大気開放口423とを繋ぐ下側連通孔421dとを備えていることにより、より一層低い温度の培養液FLを栽培容器410の内部へ供給することができるなど、その効果は甚大である。
【実施例5】
【0052】
続いて、本発明の第5実施例である栽培装置500について、
図6に基づいて説明する。
ここで、
図6は、本発明の第5実施例の栽培装置500の概略を示す断面図である。
第5実施例の栽培装置500は、第1実施例の栽培装置100の容器支持体120に脚部を追加したものであり、多くの要素について第1実施例の栽培装置100と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する500番台の符号を付すのみとする。
【0053】
本発明の第5実施例である栽培装置500では、
図6に示すように、容器支持体520が、脚部524を有している。
脚部524は、容器支持体520の下方に設けられ、下方へ延びて培養液用容器530の底部と接触している。
つまり、容器支持体520は、培養液用容器530の内部の培養液FLに浮いている構成ではなく、培養液用容器530の底部に立って栽培容器510を支持する構成である。
培養液FLの水位WLを一定にする制御をすることにより、容器支持体520の位置・姿勢を一定にして栽培容器510の位置・姿勢も一定にしてもよい。
なお、本実施例の構成を上述した第1実施例乃至第4実施例の構成と組み合わせてもよいのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
100、 200、 300、 400、 500 ・・・ 栽培装置
110、 210、 310、 410、 510 ・・・ 栽培容器
120、 220、 320、 420、 520 ・・・ 容器支持体
121、 221、 321、 421、 521 ・・・ 空間部(穴)
221a、321a ・・・ 穴部分
221b、321b ・・・ テーパ部分
122、 222、 322、 522 ・・・ 通気孔
421c ・・・ 上側連通孔
421d ・・・ 下側連通孔
422 ・・・ 上側大気開放口
423 ・・・ 下側大気開放口
524 ・・・ 脚部
130、 230、 330、 430、 530 ・・・ 培養液用容器
131、 231、 331、 431、 531 ・・・ 排液口
132、 232、 332、 432、 532 ・・・ 給液口
140、 240、 340、 440、 540 ・・・ 給液用導液材
141a、241a、341a、441a、541a・・・ 導液材底部
141b、241b、341b、441b、541b・・・ 導液材底部
142、 242、 342、 442、 542 ・・・ 導液材上方延設部
143a、243a、343a、443a、543a・・・ 導液材上部
143b、243b、343b、443b、543b・・・ 導液材上部
CM ・・・ 培地
PT ・・・ 植物
FL ・・・ 培養液
WL ・・・ 水位