(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記温度帯のうち第1の温度帯における前記温度は、100から140°Fの範囲でありかつ前記温度帯のうち第2の温度帯における前記温度は、約160から190°Fの範囲である、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、空気/水遮蔽膜と物理的に一体化されて独自の遮蔽構成要素を提供する外装野地板パネルの種々の実施形態を提供する。一体型空気/水遮蔽膜野地板パネルは、作業現場において別個の耐空気および耐水性遮蔽を個々に設置する必要性を排除する設置が容易な単一のパネルを提供し得る。そうすることによって、建築外構を完成するために必要なステップ数が減少して個々に密封されなければならない接合箇所の数が減少し、建築囲壁の空気/水遮蔽システム性能要件に適合するために必要な時間および労力が実質的に減少する。本開示は、空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルが管理された工場環境において均一かつ一体構造の遮断性を有して大量生産され、したがって現場で不十分な量の遮蔽材料が塗布された状態に関連した問題を減少する方法に関する実施形態も提供する。さらには、本開示において提供されるような管理され、自動化された工場環境において空気/水遮蔽膜を外装野地板に塗布することは、膜塗布が天候の移り変わり/環境変動または作業員疲労を受けず、それにより空気/水遮蔽膜と野地板基板との間の最適接着結合を有する一貫した被膜厚さを提供することを確実にする。
【0017】
具体的には、一部の実施形態において、セメント質の外装野地板パネルは、パネルの少なくとも1つの表面上に接着性流体塗布空気/水遮蔽を備える。
図1を参照すると、一部の実施形態は、全体に10と名付けられた一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを含む。パネルは、セメント質の芯12、カバーシート14aおよび任意のカバーシート14b、ならびに空気/水遮蔽膜16を含む。セメント質の芯12は、カバーシート14aと14bとの間に挟まれている。カバーシート14aは、カバーシート14aがセメント質の芯12と一体型空気/水遮蔽膜16との間に挟まれるように空気/水遮蔽膜16が上に被さっている。
【0018】
セメント質の野地板パネルは、外装用途を対象とした任意の適した無機芯材料からなっていてよい。具体的には、芯は、任意の適した添加剤と共に、任意のセメント質材料、物質、または組成物からなっていてよい。セメント質の芯において用いてよい材料の非限定的な例には、ポルトランドセメント、ソレルセメント(sorrel cement)、スラグセメント、フライアッシュセメント、カルシウムアルミナセメント、水溶性無水硫酸カルシウム、硫酸カルシウムα半水和物、硫酸カルシウムβ半水和物、天然、合成、または化学的修飾硫酸カルシウム半水和物、硫酸カルシウム二水和物(「石膏」、「硬化石膏」または「水和石膏」)およびそれらの混合物が含まれる。本明細書で使用する場合、「硫酸カルシウム材料」と言う語は、上で参照された硫酸カルシウムの形態のいずれかを指す。特定の好ましい実施形態において、セメント質の芯は、硫酸カルシウム材料、ポルトランドセメント、またはそれらの混合物を含む。好ましくはセメント質の芯は、石膏を含む。
【0019】
本開示の実施形態において使用するための適したセメント質の外装野地板パネルの例には、例えば、SHEETROCK(登録商標)、SHEETROCK FIRECODE(登録商標)、SECUROCK(登録商標)、FIBEROCK(登録商標)、およびDUROCK(登録商標)の商品名でイリノイ州、シカゴのUnited States Gypsumから市販されている物が含まれる。
【0020】
セメント質の芯は、添加剤、例えばセメント質の物品(例えば、石膏ボードまたはセメントボード)を生成するために一般に用いられる任意の添加剤を含んでいてよい。適した添加剤には、これに限定されないが、鉱物綿、連続または細断ガラス繊維(グラスファイバーとも呼ばれる)、パーライト、クレイ、バーミキュライト、炭酸カルシウム、ポリエステル、および紙繊維などの構造添加剤が含まれる。化学添加剤には、例えば、発泡剤、充填剤、促進剤、糖、増強剤(例えば、リン酸塩、ホスホン酸塩、ホウ酸塩)、遅延剤、結合剤(例えば、デンプンおよびラテックス)、着色剤、殺真菌剤、および殺生物剤が含まれる。これらの一部および他の添加剤の使用の例は、例えば、米国特許第6,342,284号、第6,410,118号、第6,632,550号、第6,800,131号、第5,643,510号、第5,714,001号および第6,774,146ならびに米国特許出願公開第2004/0231916号、第2002/0045074号、および第2005/0019618号に記述されており、その開示が参照により本書に組み込まれる。特定の実施形態において、セメント質の芯は、金属繊維、セルロース繊維、鉱物繊維、ガラス繊維、ポリマー繊維、炭素繊維、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0021】
セメント質の芯は、芯に対して上に重なる形でその反対表面上を、少なくとも1つの基板によって、および一部の実施形態においては2つの基板によって覆われている。言い換えれば、セメント質の芯は、2つの基板の間に挟まれている。基板は、例えば、紙カバーシートまたはマットなどの、カバーシートであってよい。様々な種類の紙カバーシートが当技術分野において知られており(例えば、マニラ紙、クラフト紙、ポリマーなど)全てのこうした種類の紙カバーシートを、本発明において用いてよい。多層の紙を、種々の実施形態において用いてよい。必要に応じて、紙カバーシートは、防水、防火、抗真菌、および/または抗菌特性などの特性を与えるために化学的または物理的添加剤で処理してよい。一部の実施形態において、カバーシートは、約40から約65lb/msf(千平方フィート)の重量を有する紙カバーシートである。
【0022】
他の実施形態において、繊維質マットを含むカバーシートが用いられる。マットは、ポリマー繊維、鉱物繊維、またはそれらの組み合わせの任意の適した種類を含んでいてよい。適した繊維の非限定的な例には、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維(例えば、テレフタル酸ポリエチレン(PET))、ポリビニルアルコール(PVOH)、酢酸ポリビニル(PVAc)、セルロース繊維(例えば、綿、レーヨン、など)、およびそれらの組み合わせが含まれる。さらには、マットの繊維は、疎水性または親水性、コーティングまたは非コーティングであってよい。繊維の選択は、部分的に、セメント質の野地板パネルが用いられる用途の種類に依存するであろう。例えば、野地板パネルが耐熱または耐火性を必要とする用途に用いられる場合、適切な耐熱または耐火性繊維が繊維質マットにおいて用いられるべきである。
【0023】
繊維質マットは、織物または不織物であってよい。不織マットは、結合剤によって相互に結合された繊維を含む。結合剤は、典型的にはマット産業において用いられる任意の結合剤であってよい。適した結合剤には、これに限定されないが、尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ステアリン酸メラミンホルムアルデヒド、ポリエステル、アクリル、酢酸ポリビニル、酢酸ポリビニルまたはアクリルで変性またはブレンドした尿素ホルムアルデヒドまたはメラミンホルムアルデヒド、スチレンアクリルポリマー、およびそれらの組み合わせが含まれる。適した繊維質マットには、セメント質の外装野地板パネルのための化粧材料として用いられる市販のマットが含まれる。
【0024】
一体型パネルは、任意の適した方法によって調製してよい。一般には、接着性流体塗布空気/水遮蔽は、セメント質の外装野地板パネルの少なくとも1つの表面(例えば、外装化粧面)に塗布される。接着性流体は、任意の適した組成物であってよく、かつ一部の実施形態においては液状ポリマー配合物の形態である。塗布するステップは、液状ポリマー配合物を野地板パネルの表面に付加する任意の適した方法を含んでいてよい。こうした方法は、当技術分野において既知であり、例えば、パネルの表面に液状ポリマー配合物を噴霧、ローリング(例えば、加圧ローリング)、こて塗、はけ塗、ワイピング、浸し塗、浸漬、および/または含浸することが含まれる。一旦塗布すると、液状ポリマー配合物は、表面上で乾燥し、凝固し、硬くなり、および/または硬化して気密性および/または防湿性を有する接着性層を提供する。本ステップは、所望のレベルの粘着性を達成するために室温または高温において特定の時間実行してよい。
【0025】
液状ポリマー配合物は、流体塗布膜において用いられる任意の適した材料であってよい。空気/水遮蔽配合物のための適した配合物は、CAN/ULC−S741(「Standard for Air Barrier Materials-Specification」)によって示される最低条件に適合するかまたは上回りかつASTM E2178(「Standard Test Method for Air Permeance of Building Materials」)に従って試験されるべきである。こうした配合物は、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを通る空気侵入/漏出および透水を防止または最小化しながら、それでも水蒸気に対してパネルが透過性を維持する物が含まれる。他の適した空気/水遮蔽配合物には、パネルを通る空気侵入/漏出を防止または最小化しかつ水蒸気に対するパネルの透過性も最小化する物が含まれる。
【0026】
少なくとも一部の実施形態において、乾燥後および/または硬化後、液状ポリマー配合物は、外装野地板パネルの少なくとも1つの表面上にゴム化した(エラストマーの)膜を形成する。
【0027】
少なくとも一部の実施形態において、液状ポリマー配合物は、ポリマー結合剤として機能して配合物が乾燥した後および/または硬化した後に自己ガスケット効果を提供する1種または複数の材料(例えば、ポリマー)を含む。一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルに適した液状ポリマー配合物の非限定的な例には、ポリアクリル酸塩(例えば、メタクリル酸塩、アクリル酸エチル、メチルアクリル酸エチル、ブチルアクリル酸塩、メタクリル酸ブチル、2−クロロエチルビニルエーテル、2−アクリル酸エチルヘキシル、およびメタクリル酸ヒドロキシエチルを基材とするポリマーおよびコポリマー)、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエンco−スチレン)、ポリイソプレン、ポリアクリロニトリルブタジエン、ポリクロロプレン、酢酸ポリビニル、塩化ポリビニル、ポリウレタン、酢酸ポリビニル、シリコーンエマルション、およびそれらの組み合わせが含まれる。流体塗布膜の例は、例えば、米国特許第8,151,537号および米国特許第7,662,221号によって例証されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
特定の実施形態において、液状ポリマー配合物は、水系エラストマーエマルション(例えば、水系アクリルエマルション)または油系エラストマーエマルション(例えば、ゴム化(エラストマー)エマルション)などの液状エマルション(例えば、液状ポリマーエマルション)の形態である。エマルションにおいて用いられる溶媒は、水、有機溶媒、またはそれらの組み合わせであってよい。有機溶媒の例には、ミネラルスピリット、鉱油、キシレン、およびナフサが含まれる。
【0029】
少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、アクリルエマルションを含む配合物から調製された膜を備える。少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、5から80wt%のポリアクリル酸塩を含む膜を備える。少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、30から70wt%のポリアクリル酸塩を含む膜を備える。少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、40から60wt%のポリアクリル酸塩を含む膜を備える。
【0030】
少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、ポリウレタンを含む配合物から調製された膜を備える。少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、5から50wt%のポリウレタンを含む膜を備える。少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、10から40wt%のポリウレタンを含む膜を備える。少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、ポリウレタンと以下のシリコーンおよびポリアクリル酸塩の少なくとも1つから選択される別のポリマーとの組み合わせを含む膜を備える。少なくとも一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、スチレンコポリマーを含む膜を備える。
【0031】
外装野地板パネルにおける一体型空気/水遮蔽膜のための好ましいポリマー性結合剤には、アクリルラテックス、アクリルスチレンコポリマーおよびスチレン−ブタジエン分散液が含まれることが、期せずして発見された。これらのポリマー性結合剤は、30から70%の量で用いてよい。一部の実施形態において、ポリマー性結合剤は、以下の市販の結合剤から選択してよい:OmnovaのPLIOTEC EL−25(アクリルエラストマーラテックス)、BASFのACRONAL S400(アクリル酸エステルおよびスチレンの水性可塑剤を含まないコポリマー分散液)、DOWのUCAR 9176(スチレンアクリルコポリマー)、DOWのRHOPLEX 2620(100%アクリルポリマー)またはBASFのBUTONAL NS 175(高固体、定温重合されたアニオン性スチレン−ブタジエン分散液)。
【0032】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、ポリマーエマルションおよび分散剤を含む配合物から調製された膜を備える。ポリビニルアルコール、セルロースおよびそれらの誘導体、ビニルピロリドン含有コポリマー、エトキシ化モノ−、ジ−およびトリアルキルフェノール、エトキシ化脂肪アルコールならびに硫酸の硫酸アルキルのアルカリ金属およびアンモニウム塩、エトキシ化アルカノールのモノエステルならびにアルキルスルホン酸およびアルキルアリールスルホン酸のエトキシ化アルキルフェノールのモノエステル、ドデシルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属および/またはアンモニウム塩、ならびにエトキシ化ドデカノールの硫酸モノエステルのアルカリ金属および/またはアンモニウム塩などの、種々の分散剤を、エマルションを安定化するために用いてよい。分散剤は、約0〜10wt%(例えば、約1〜9wt%の間、約2〜7wt%の間、3〜6wt%の間)の量で配合物に加えてよい。
【0033】
一部の実施形態において、適した分散剤には、顔料親和性(pigment affinic)の基を有する高分子量ブロックコポリマーの溶液、アクリル酸塩コポリマーのアンモニウム塩の溶液、アニオン性高分子電解質(polyelectroyte)、トリポリリン酸カリウムおよび酸性基を有するコポリマーのアルキロールアンモニウム塩が含まれる。これらの分散剤は、0〜10%および好ましくは0.1〜5%の量で用いてよい。一部の実施形態において、分散剤は、以下の市販の分散剤から選択してよい:BYKのDISPERBYK−190(顔料親和性の基を有する高分子量ブロックコポリマーの溶液)、BYKのBYK−156(アクリル酸塩コポリマーのアンモニウム塩の溶液)、DOWのTAMOL 851(アニオン性高分子電解質)、INNOPHOSのトリポリリン酸カリウム(トリリン酸、五カリウム塩)、BYKのDISPERBYK−180(酸性基を有するコポリマーのアルキロールアンモニウム塩)。
【0034】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、遮蔽材料の性能をさらに強化するために1種または複数の添加剤を配合した膜を備える。適した添加剤には、例えば、石油アスファルト、石灰石、炭酸カルシウム、シラン(例えば、ジアミノシラン、トリメトキシビニルシラン)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル)、粘着性付与剤(例えば、ロジンまたはロジン誘導体、例えばウッドロジン、テルペンもしくは変性テルペン、脂肪族、脂環式(cycloaliphaticm)もしくは芳香族の樹脂)、接着促進剤、硬化触媒、架橋剤、シロアリ殺虫剤、真菌成長阻害剤(例えば、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、銀ゼオライト、酸化亜鉛およびピリチオン亜鉛)、充填剤(例えば、カオリン粘土、雲母、重晶石、滑石、砂、石英粉末、チョーク、二酸化チタン、シリカ、フライアッシュ)、および/または相変化材料が含まれる。
【0035】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、上述のポリマー性結合剤および20から50重量%で用いてよい炭酸カルシウムを配合した膜を備える。炭酸カルシウムの適した商業的供給源には、これに限定されないが、Specialty MineralsのTHIXO−CARB 500(商標)(沈降炭酸カルシウム)、Specialty MineralsのULTRAFLEX 100(商標)(沈降炭酸カルシウム)、Huber Engineered MaterialsのHUBERCARB Q6(商標)(炭酸カルシウム)、OmyaのOMYACARB 100−PT(商標)(炭酸カルシウム)、Huber Engineered MaterialsのHUBERCARB Q325(商標)(炭酸カルシウム)およびTakehara Kagaku Kogyo Co.のNEOLIGHT SS(商標)(沈降被覆炭酸カルシウム)が含まれる。
【0036】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、上述のようなポリマー性結合剤、炭酸カルシウムおよび少なくとも1種または複数の添加剤、例えば消泡剤、顔料、増粘剤、防腐剤、pH調整剤、乳化安定剤、湿潤およびレベリング剤ならびに架橋剤を配合した膜を備える。
【0037】
一部の実施形態において適した消泡剤には、これに限定されないがパラフィン系鉱油と疎水性成分との混合物、強化鉱油系に混合された分子、ポリエーテル修飾されたポリジメチルシロキサンの溶液、およびポリグリコール中の泡破壊(foam−destroying)ポリシロキサンおよび疎水性固体の混合物が含まれる。これらの消泡剤は、0.1から5%の量で用いてよい。消泡剤の適した商業的供給源には、BYKのBYK−033(商標)(パラフィン系鉱油と疎水性成分の混合物)、BASFのFOAMSTAR ST 2410(商標)別名FOAMSTAR A10(商標)(強化鉱油系に混合された分子)、BYKのBYK−019(商標)(ポリエーテル修飾されたポリジメチルシロキサンの溶液)、BYKのBYK−021(商標)(ポリグリコール中の泡破壊ポリシロキサンおよび疎水性固体の混合物)が含まれる。
【0038】
一部の実施形態において適した顔料には、これに限定されないが、二酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、微粉化沈降シリカ、滑石およびそれらの組み合わせが含まれる。これらの顔料は、0.1重量%から10重量%の量で用いてよい。顔料の適した商業的供給源には、Maroon Inc.のHUNTSMAN TR93(商標)(二酸化チタン)、Zochem Icc.のZOCO 101(商標)(酸化亜鉛)、SoltexのSOLTEX ACE BLACK(商標)(カーボンブラック)、HuberのZEOTHIX 265(商標)(微粉化沈降シリカ)、およびImerysのSIERRALITE 402S(商標)(滑石)が含まれる。
【0039】
一部の実施形態において適した増粘剤には、これに限定されないが、以下の少なくとも1つが含まれる:ヒドロキシエチルセルロース、アクリル系増粘剤、アニオン性逆エマルション増粘剤、HASE、および疎水的変性アルカリ膨潤性アクリルエマルション。これらの増粘剤は、0.1重量%から5重量%の量で用いてよい。増粘剤の適した商業的供給源には、Ashland Inc.のNATROSOL 250 HBR(商標)(ヒドロキシエチルセルロース)、DOWのACRYSOL ASE−95NP(商標)(アルカリ溶解性、アクリル系増粘剤)、Scott BaderのTEXIPOL 63−510(商標)(アニオン性逆エマルション増粘剤)、ArkemaのPOLYPHOBE 106HE(商標)(HASE)、およびLubrizolのSOLTHIX A100(商標)(疎水的変性アルカリ膨潤性アクリルエマルション)が含まれる。
【0040】
一部の実施形態において適した防腐剤には、これに限定されないが、以下の少なくとも1つが含まれる:2[(ヒドロキシメチル)アミノ]−2−メチルプロパノール、カルバミン酸ブチル3−ヨード−2−プロピニル(3−iodo−2−propnynyl butyl carbamate)、n−(3,4−ジクロロフェニル)−n,n−ジメチル尿素(n−(3,4−Dichlorophenyl)−n,n−Dimethlyurea)、1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびテトラクロロイソフタロニトリル。これらの増粘剤は、0.1重量%から5重量%の量で用いてよい。増粘剤の適した商業的供給源には、Troy CorporationのTROYSAN 186(商標)(2[(ヒドロキシメチル)アミノ]−2−メチルプロパノール)、Troy CorporationのPOLYPHASE AF1(商標)(カルバミン酸ブチル3−ヨード−2−プロピニル)、Troy CorporationのPOLYPHASE 663(商標)(n−(3,4−ジクロロフェニル)−n,n−ジメチル尿素)、Troy CorporationのMERGAL 758(商標)(1,2ベンゾイソチアゾリン−3−オン)およびAshland Inc.のNUOCIDE 404D(商標)(テトラクロロイソフタロニトリル)が含まれる。
【0041】
一部の実施形態において適したpH調整剤には、これに限定されないが、以下の少なくとも1つが含まれる:水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、30%アンモニア水および2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール。これらのpH調整剤は、0.1重量%から5重量%の量で用いてよい。pH調整剤の適した商業的供給源には、Jost ChemicalのCalcium Hydroxide(水酸化カルシウム)、OXYChemのCaustic Soda(水酸化ナトリウム溶液)、Chem One Ltd.のPotassium hydroxide(水酸化カリウム)、Tanner IndustriesのAmmonia Hydroxide Solution(30%アンモニア水)、およびAngusのAMP 95(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)が含まれる。
【0042】
一部の実施形態において適した乳化安定剤には、これに限定されないが、以下の少なくとも1つが含まれる:ベントナイト粘土、アクリル酸とC10〜C30アクリル酸アルキルとの高分子量架橋コポリマー、非イオン性オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤、トール油樹脂および天然樹脂抽出物。これらの乳化安定剤は、0.1重量%から5重量%の量で用いてよい。乳化安定剤の適した商業的供給源には、BYKのOPTIGEL LX(商標)(ベントナイト粘土)、LubrizolのPEMUIEN 1622(商標)(アクリル酸とC10〜C30アクリル酸アルキルとの高分子量、架橋コポリマー)、DOW Chemical CompanyのTRITON X405(商標)(非イオン性、オクチルフェノールエトキシレート界面活性剤)、Arizona ChemicalのSYLVAROS(商標)NCY(トール油樹脂)、およびPinnovaのVINSOL(商標)SOAP(天然樹脂抽出物)が含まれる。
【0043】
一部の実施形態において適した湿潤およびレベリング剤には、これに限定されないが、以下の少なくとも1つが含まれる:スルホコハク酸塩、ポリエーテル変性シロキサン、尿素変性ポリウレタン、アクリル酸塩コポリマーの変性尿素アンモニウム塩。これらの湿潤およびレベリング剤は、0.1重量%から5重量%の量で用いてよい。湿潤およびレベリング剤の適した商業的供給源には、CytecのAEROSOL(商標)LF−4(専売スルホコハク酸塩ブレンド)、BYKのBYK−349(ポリエーテル変性シロキサン)、BYK−425(尿素変性ポリウレタン)、BYK−420(変性尿素)、およびBYK−154(アクリル酸塩コポリマーのアンモニウム塩)が含まれる。
【0044】
一部の実施形態において適した架橋剤には、これに限定されないが、以下の少なくとも1つが含まれる:酸化亜鉛、亜鉛金属イオン、アニオン性水酸化ジルコニウムポリマー含有安定化炭酸ジルコニウムアンモニウムおよびエポキシ官能性シラン。これらの架橋剤は、0.1重量%から5重量%の量で用いてよい。架橋剤の適した商業的供給源には、US ZincのZinc Oxide(酸化亜鉛)、MunzingのZIMPLEX(商標)15(亜鉛金属イオン)、Melchemical Inc.のBACOTE(商標)20(アニオン性水酸化ジルコニウムポリマーを含有する、安定化炭酸ジルコニウムアンモニウムの透明アルカリ溶液)、Buhler GroupのOXYLINK(商標) 3404(酸化亜鉛を含む無機粒子の水性配合物)、およびMomentiveのSILANE(商標)A−187(エポキシ官能性シラン)が含まれる。
【0045】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、上述のような適したポリマーおよび以下の添加剤の少なくとも1つを配合した膜を含む:石油アスファルト、石灰石、炭酸カルシウム、カオリン粘土、雲母、重晶石、滑石、砂、石英粉末、チョーク、二酸化チタン、シリカ、フライアッシュ、石膏、またはこれらの添加剤の少なくとも2つの組み合わせ。添加剤は、20から80重量%、25から75重量%および30から60重量%を含めた異なる量で用いてよい。一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、ポリアクリル酸塩および以下の添加剤の少なくとも1つを配合した膜を含む:石油アスファルト、石灰石、炭酸カルシウム、カオリン粘土、雲母、重晶石、滑石、砂、石英粉末、チョーク、二酸化チタン、シリカ、フライアッシュ、石膏、またはこれらの添加剤の少なくとも2つの組み合わせ。
【0046】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、銀ゼオライト、酸化亜鉛およびピリチオン亜鉛から選択される抗菌剤および抗真菌剤を配合した膜を含む。抗菌剤/抗真菌剤は、約1から約10重量%または約3から約7重量%を含めた種々の量で用いてよい。
【0047】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、顔料を含む膜を備える。黒色、茶色、青色、緑色、赤色、黄色、橙色または白色顔料を提供する化学化合物を含めた、種々の顔料を用いてよい。
【0048】
市販の流体塗布空気/水遮蔽の例には、EXOAIR(商標)(Tremco)、TYVEK(商標)(DuPont)、R−GUARD(商標)(Prosoco)、AIR−SHIELD(商標)(W.R.Meadows)、STOGUARD(商標)(Sto Corp.)、およびAIR BLOC(商標)(Henry Co.)の商品名で販売されている物が含まれる。
【0049】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、ポリマー結合剤、炭酸カルシウムおよび下表1に示される通りの他の成分を配合した膜を備える。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0050】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、一体型空気/水遮蔽膜の厚さを調節する方法によって製造される。厚さは、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルがパネルを通過する空気侵入/漏出および透水を著しく減少するように調節され得る。一部の実施形態は、パネルを通過する空気侵入/漏出および透水を少なくとも50%減少する一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを提供する。一部の他の実施形態は、パネルを通過する空気侵入/漏出および透水を少なくとも70〜80%減少する一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを提供する。空気侵入/漏出および透水を著しく減少する一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルには、一体型空気/水遮蔽膜の乾燥厚さが、少なくとも10ミル、少なくとも20ミル、少なくとも30ミル、少なくとも40ミル、少なくとも50ミル、少なくとも60ミル、少なくとも70ミル、および100ミル未満、90ミル未満、80ミル未満、70ミル未満、60ミル未満、50ミル未満、40ミル未満であるそれらのパネルが含まれる。前述の値は、例えば、10〜90ミル、20〜80ミル、40〜80ミル、60〜80ミルなどのより高いおよび低い値を用いて任意の適した範囲において組み合わされてよい。
【0051】
一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを得るために、膜配合物を、5〜100ミル(例えば、少なくとも5ミル、少なくとも10ミル、少なくとも20ミル、少なくとも30ミル、少なくとも40ミル、少なくとも50ミル、少なくとも60ミル、少なくとも70ミル、および100ミル未満、90ミル未満、80ミル未満、70ミル未満、60ミル未満、50ミル未満、40ミル未満)の厚さでパネルに塗布してよい。前述の値は、例えば、10〜90ミル、20〜80ミル、40〜80ミル、60〜80ミルなどのより高いおよび低い値を用いて任意の適した範囲において組み合わせよい。膜(例えば、液状ポリマー配合物)は、典型的にはエマルションとして塗布されるので、当初の層は「湿性」である。膜が乾燥するにつれて、膜層の厚さは、配合物の濃度に応じて収縮するであろう。したがって、乾燥厚さは、約10%以上(例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%)の量でサイズが初期湿性厚さから減少するであろう。
【0052】
一実施形態において、上述のような、少なくとも1つの表面上のセメント質の一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、一体型空気/水遮蔽膜に接着したシート膜をさらに備える。パネル上に一体型空気/水遮蔽膜が形成された後に、耐空気および/または耐湿性を有するシート膜を、その膜に塗布してよい。シート膜は、下塗り、ローリング、積層、カレンダー加工、および/または加圧成形などの、任意の適した方法を用いて一体型空気/水遮蔽膜に塗布してよい。典型的にはシート膜は、セメント質の外装野地板パネルに相応しいサイズに切断されるであろう。シートは一般には、パネルへの適用の前に切断してよいが、一部の実施形態においては、シート膜は、ロール状形態で一連の接続したパネルに適用され、次いで単一の一体型パネルを画定するために切断してよい。
【0053】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜は典型的には、追加的な接着剤(1種または複数)無しでシート膜に固定するための接着特性を十分に有する。
【0054】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルの設置のためのシステムが提供される。こうしたシステムには、外装野地板パネルの一体型空気/水遮蔽膜に適用され得る1種(1つ)または複数の補助的な接着剤コーティングおよび/または密封材が含まれていてよい。追加的な接着剤は、パネルの表面全体にわたってまたは表面の選択領域において(例えば、外辺部、中央部、平行な縁部など)適用され得る。追加的な接着剤は、EXOAIR(商標)(Tremco)、TYVEK(商標)(DuPont)、R−GUARD(商標)(Prosoco)、AIR−SHIELD(商標)(W.R.Meadows)、STOGUARD(商標)(Sto Corp.)、およびAIR BLOC(商標)(Henry Co.)の商品名で販売されている物などの、任意の適した材料であってよい。一部の実施形態において、適した密封材には、SPECTREM 1(商標)(Tremco)などのポリウレタン系密封材およびDYMONIC 100(商標)(Tremco)などのシリコーン系密封材が含まれる。少なくとも一部の実施形態において、設置システムには、空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルならびに少なくとも1つのポリウレタン系および/またはシリコーン系密封材が含まれる。
【0055】
一部の実施形態において、一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルは、追加的なシート膜との組み合わせにおいて用いてよいが、一方で他の実施形態においては外装野地板パネルは、シート膜無しで用いてよい。耐空気および/または耐湿性を有するシート膜(ハウスラップまたはビルディングラップの別名でも知られる)は、アスファルト含浸紙またはグラスファイバー、微細孔クロスラップフィルム(microperforated cross−lapped films)、スパンボンド不織布に積層したフィルム、ポリプロピレン織物に積層またはコーティングしたフィルム、スーパーカレンダー加工湿式ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)小繊維不織布(例えば、TYVEK(商標))、および排水可能なハウスラップから調製された物などの任意の適した材料であってよい。実施形態において、適したシート膜は、ASTM E2178(「Standard Test Method for Air Permeance of Building Materials」)によって示される最低条件に適合するかまたは上回ってよい。シートビルディングラップの例は、例えば、米国特許第7,148,160号および米国特許出願公開第2006/0040091号および第2006/0051560号に示されて記述され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。市販のシート膜の例には、以下の商品名で販売されている物が含まれる:Tri−Built Building Wrap(Tri−Built)、TYVEK(商標)(DuPont)、HARDIEWRAP(商標)(James Hardie)、HYDROGAP(商標)(Benjamin Obdyke)、WEATHERMATE(商標)(Dow)、BLUESKIN(商標)(Henry Co.)、FOILSKIN(商標)(Henry Co.)、AIR−SHIELD(商標)(W.R.Meadows)、およびCERTAWRAP(商標)(CertainTeed)。
【0056】
一体型空気/水遮蔽膜は、場合によってはシート膜と組み合わせて、パネルの水蒸気浸透率を調整するおよび/または変更する汎用性のある能力を有するパネルシステム(セメント質パネル、一体型空気/水遮蔽膜、および場合によってはシート膜)を可能にする。一貫したパネル厚さを維持しながら耐空気および耐湿性のセメント質外装野地板パネルの水蒸気浸透率を調整する能力は、外装建築外構の計画されたおよび/または意図的な性能によっては、特に有益である。壁アセンブリにおける湿気管理ならびに/または使用の地理的および気候地域に関する建築科学設計原理の特定の組に基づいて、耐空気および耐湿性セメント質の外装野地板パネルは、特定の建築エネルギー性能要件および/または建築外構計画的性能に対処するために異なる水蒸気浸透率を有して組み立てられる必要が有り得る。例えば、米国エネルギー省は、7つの気候帯を記載している。7つの区域のそれぞれは、暖房度日(HDD)および冷房度日(CDD)の程度に基づく。これらの指標は、国の異なる地域における建築の暖房および冷房条件がどのくらい厳しいかを格付けするために用いられる。例えば、気候帯1(南フロリダ)は、CDD>9000を有して建築敷地の条件付けは冷房が完全に優位を占める。反対に、気候帯6に位置する内陸中西部のようなエリアでは、建築エネルギーは、暖房負荷が優位を占め、HDDは7200より大きく9000より小さい。湿気および湿度条件は、設計工程時にも考慮されなければならない。湿度の考慮は、住宅内のエネルギーシステムの最適化に大きな影響があり、エネルギー性能および湿気制御の両方の観点から最もよく機能する材料またはシステムをしばしば必要とする。例えば、暑く乾燥した気候において、蒸発冷却システムは、典型的には従来の蒸気圧縮式空調システムより少ないエネルギーを用いる、家屋のための空間冷却を提供し得る。一方で、高温/湿潤な南東部のようなエリアでは、建築外構における深刻な湿気およびカビ問題を防止するために外装壁アセンブリの蒸気透過性に特別な注意を払わなければならない。したがって、気密性および防湿性のセメント質の外装野地板パネルに関する異なる水蒸気浸透率の必要性は重要である。
【0057】
水蒸気浸透率は、適用される一体型空気/水遮蔽膜の量を調整することによりおよび/または厚さにおいて変化しないが一方でそれと同時に意図的に異なる水蒸気浸透率を有して構築され得る構築された任意のシート膜の計画的な水蒸気浸透率を調整することにより修正され得る。気密性および防湿性のセメント質の外装野地板パネルの計画的な水蒸気浸透率を修正および/または調整するための例示的な方法は、寸法的に一貫した厚さを維持するパネルを提供することであろう。一貫したパネル厚さが所望されるが異なる水蒸気浸透率が所望される実際の用途においては、一体型空気/水遮蔽膜は固定のままで、任意のシート膜水蒸気浸透率が広範な水蒸気浸透率の耐空気および耐湿性セメント質の外装野地板パネル様式を達成するために変更される。シート膜は、一体型パネルが互いに接着(ブロッキング)することも防止する。
【0058】
別の実施形態において、セメント質の野地板パネルは、パネルの少なくとも1つの表面上の一体型空気/水遮蔽膜および少なくとも部分的に膜に埋め込まれた隔離材料を備える。隔離材料は、一体型パネルが互いに接着(ブロッキング)することを防止するために一体型空気/水遮蔽膜に埋め込まれていてよい任意の適した材料である。膜のゴム化した性質からすると、表面は、乾燥および/または硬化後であっても、粘着性を残し得る。結果として、隣接する一体型パネルが互いに接触することを物理的に防ぐ隔離材料を、接着および/または一体型パネルへの損傷を防止するために用いてよい。
【0059】
一実施形態において、隔離材料は、目の粗い織り方のメッシュである。メッシュは、任意の適した材料から調製される。例えば、メッシュは、綿、ジュート、サイザル麻、毛、ヘンプ、フラックス、竹、リネン、ガラス、金属、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリエステル、炭素繊維、およびそれらの組み合わせなどの、天然または合成材料(例えば、繊維)を含んでいてよい。必要に応じて、メッシュ材料は、耐火性、耐カビ性、耐水性、ならびに/あるいは材料に固有または化学添加剤および/もしくは化学処理の結果のいずれかである、耐アルカリ性などのある種の特性を有していてよい。
【0060】
抗ブロッキング特性を提供するために、メッシュは、膜の乾燥厚さより大きい厚さであるべきである。メッシュのより糸の直径は、メッシュの一部が乾燥した膜の表面を超えて伸長するように選択してよい。織り方のサイズ(堅さ)は、特に限定されないが、コストを節約するために、メッシュのより糸間の間隔は、約1から1.5インチ(約2.54から3.81cm)の範囲であってよい。より目の粗い織り方も、メッシュが一体型パネルの設置時に用いられる締結具に関して膜によって提供される自己ガスケット効果に干渉しないことを確実にする。
【0061】
メッシュは好ましくは、一体型パネルのサイズに相応しいシートとして適用される。メッシュは、任意の望ましい段階で膜に適用してよい。例えば、膜は、メッシュが埋め込まれて保持されることを可能にするために膜が適した量の接着性を保持する限りは、完全に湿性、部分的に乾燥、または完全に乾燥していてよい。
【0062】
別の実施形態において、隔離材料は、少なくとも部分的に膜に埋め込まれたペレットまたはビードである。ペレットまたはビードは、抗ブロッキング効果を提供する任意の適した材料である。唯一の実際の制約は、ペレットまたはビードが、耐久性のある材料で作られておりかつそれぞれのペレット/ビードの一部が乾燥した膜の表面を超えて伸長するように乾燥した膜の厚さより大きいサイズ(すなわち、直径または厚さ)を有することである。適した材料には、ポリマー(例えば、ポリエチレン(HDPEを含む)、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ゴム、およびそれらの組み合わせ)、木材、金属、およびガラスが含まれる。ペレット/ビードは、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸エチレンコポリマー、ポリエステル、ポリエチレン、およびポリプロピレンを基材とする物などの、ホットメルト接着剤からも形成され得る。
【0063】
ペレット/ビードは、ペレット/ビードが自らを膜に埋め込むことを可能にするために任意の適した方法で付着してよい。ペレット/ビードは、任意の望ましい段階で膜に適用してよい。例えば、膜は、ペレット/ビードが埋め込まれて保持されることを可能にするために膜が適した量の接着性を保持する限りは、完全に湿性、部分的に乾燥、または完全に乾燥していてよい。好ましい実施形態において、ペレット/ビードは、一体型パネルの全範囲にわたって格子または配列状のパターンで付着される。ペレット/ビードの付着の頻度は、抗ブロッキング特性が維持されている限り(例えば、1インチ(2.54cm)おき、2インチ(5.08cm)おき、3インチ(7.62cm)おき、などの間隔)、特に限定されない。好ましい実施形態において、ペレット/ビードの配置は、一体型パネルの設置時に用いられる締結具に関して膜によって提供される自己ガスケット効果に干渉しない。
【0064】
さらなる実施形態は、空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを製造するための方法を提供する。方法には、セメント質のスラリーを調製するステップおよびスラリーを2つのカバーシートの間に挟むことによってセメント質パネルを組み立てるステップが含まれる。セメント質パネルは硬化した後、空気/水遮蔽膜でコーティングされる。一部の実施形態において、セメント質パネルは、石膏を含むセメント質のスラリーを2つのグラスファイバーマットの間に挟むことにより組み立てられる。セメント質パネルは硬化した後、表1に示す通りに配合された空気/水遮蔽膜で噴霧コーティング、ロールコーティング、またはフラッドコーティングされる。上述の方法には多数の利点がある。常に監視されかつ維持された温度を含めた管理された状況下で実行される場合に、本方法は、一貫した厚さ、均一性およびセメント質パネルに対する膜の一様な接着結合を有する空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを生成する。
【0065】
上述のような空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルが優れた膜−パネル間接着強度を有しかつ標準化されたASTM C297試験を含めた、接着強度試験において非常によく機能することが、予期せずして発見された。下表2は、上述のような空気/水遮蔽膜を備えかつ4つの異なる噴霧コーティング法AからD(方法A−パネルの中央部の外への噴霧コーティング、方法B−符号化した縁部の外への噴霧コーティング、方法C-4フィートの幅方向区域の外への噴霧コーティング、および方法D-携帯ポンプでハンドスプレー)により調製された外装野地板パネルのASTM C297密着性試験結果を示す。
【表2】
【0066】
上述のような空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルが優れた膜−パネル間接着強度を提供しかつASTM C297密着性試験における最小の15psiのZ−方向引張接着強度を満たすことが、予期せずして発見された。上表2に示されるように、全てのパネルに関して平均破壊点が、20psiを超える。さらには、表2における全てのパネルに関して破壊点は、パネル自体の内部、すなわちガラス−マット化粧仕上げ部と石膏芯との間であることも、予期せずして発見された。
【0067】
表1に従って配合された空気/水遮蔽膜を配合した外装野地板パネルは、接着性、UV安定性、透気度、噴霧用途の粘度容易性、表面粘りつきおよびブロッキング、ならびに乾燥不良を含めた種々の試験においてEXOAIR(商標)230、ICE(商標)coating、TREMGARD(商標)HB(全てTremco)などの市販のコーティングを配合したパネルよりも良好に機能することも、予期せずして発見された。幾つかの比較によるデータが、下表3に提供される。
【表3】
【0068】
空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを炉内でコンディショニングすることが、パネルブロッキングを伴う問題を防止することも、予期せずして発見された。こうしたコンディショニングされたパネルは、抗ブロッキング特性を獲得しておりメッシュまたは他の隔離材料の必要が無く貯蔵され得る。
【0069】
最良の結果は、炉内でパネルが2つの異なる温度帯でコンディショニングされた場合に達成されることが、さらに予期せずして発見された。一部の実施形態において、パネルを初めに低い温度を有する第1の温度帯においてコンディショニングして次いで第2の温度が第1の温度帯における第1の温度より高い第2の温度帯に移動することは、好ましい。一部の実施形態において、第1の温度帯は100から140°Fの間に設定してよくかつ第2の温度帯は160から190°Fの間に設定してよい。抗ブロッキング特性を有する一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを取得するためのこのコンディショニング法は、本開示に記載されている任意の一体型空気/水遮蔽膜を備えるパネルのために用いてよい。一部の実施形態において、コンディショニング法は、表1に示すようなポリマー結合剤および炭酸カルシウムを配合した一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルに用いられる。
図2Aに示されるように、表1に示すようなポリマー結合剤および炭酸カルシウムを配合した一体型空気/水遮蔽膜を、高い温度帯のみにおけるコンディショニングにかけた。このパネルは、膨れを生じた。
図2aにおけるパネルとは異なった、表1に示すようなポリマー結合剤および炭酸カルシウムを配合した第2の一体型空気/水遮蔽膜を、2帯法によるコンディショニングにかけた。
図2Bに示されるように、この第2のパネルは、膨れを生じずかつメッシュまたは任意の他の追加的処理の必要が無く優れた抗ブロッキング特性を有した。
【0070】
本明細書に述べる一体型パネルのいずれも、締結具(例えば、ネジ、釘)によって外面仕上げ材料としての一体型空気/水遮蔽膜と共に1つまたは複数の間柱または天井野縁に固着される一体型パネルを含むシステムの一部で有り得る。2つの隣接するパネルは、適したジョイントテープおよびジョイントコンパウンドを用いて継ぎ目において接合される。必要に応じて、追加の雨押さえ層を、さらなる空気および水遮蔽として加えてよい。被覆材料(例えば、はめ板、こけら板、石材)が、一体型パネルの外装仕上げ表面にさらに固着される。全体システムは、空気および水のパネルを通過して構造の内部への浸透を防止するように設計される。
【0071】
本明細書に引用される全ての参照は、あたかもそれぞれの参照が個々にかつ具体的に示されて参照により組み込まれその全体が本明細書に記述されているのと同程度に参照により本書に組み込まれる。
【0072】
本発明を記述する文脈における(特に下記の特許請求の範囲の文脈における)「1つの(a)」および「1つの(an)」ならびに「前記(the)」ならびに類似の指示語の使用は、本明細書に別段の指示がない限りまたは文脈によって明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を含むと解釈される。「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」という語は、特に記載の無い限り、無制限の語(すなわち、「含むが、これに限定されない」ことを意味する)と解釈される。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書に別段の指示が無い限り、単に範囲内にあるそれぞれの別個の範囲を個々に参照する簡単な方法として役立つことが意図され、かつそれぞれの別個の値はあたかも個々に本明細書に列挙されるように本明細書に組み込まれる。本明細書に述べる全ての方法は、本明細書に別段の指示が無い限りまたは文脈によって明確に否定されない限り、任意の適した順序で実行してよい。本明細書に提供される任意および全ての例の使用または例示的な言葉(例えば、「など(such as)」)は、単に本発明をより良く例示することが意図されるものであり別段の請求が無い限り本発明の範囲に制限を課さない。本明細書における言葉は、任意の非請求要素を本発明の実践に不可欠な物として示すと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0073】
実施例1
一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルの製造
セメント質パネルを、2つのグラスファイバーマットの間に挟まれた石膏を含むセメント質(cementious)芯で調製した。セメント質パネルを、硬化させた。
【0074】
空気/水遮蔽膜を、表1に示すようなポリマー性結合剤、炭酸カルシウムおよび抗真菌剤で配合した。セメント質パネルを、空気/水遮蔽膜で噴霧コーティングした。第2の対照コーティングパネルを平行して調製した。
【0075】
第1のコーティングパネルを、炉内で100〜140°Fの範囲の温度の第1の温度帯でコンディショニングし次いで第2の温度帯に移して160から190°Fの範囲の温度でさらにコンディショニングした。
【0076】
第2の対照コーティングパネルを、同じ炉内であるが、160から190°Fの範囲の温度の第2の温度帯だけでコンディショニングした。
【0077】
第1のコーティングパネルは完全にコンディショニングされ、
図2Bに示すように膨れを有さず抗ブロッキング特性を獲得した一方で、第2の対照パネルは、丸まり剥がれているコーティングの膨れで覆われかつ
図2Aに示されるように対照パネルは適切にはコンディショニングされなかった。
[付記]
[付記1]
セメント質の芯、少なくとも1つのカバーシートおよび一体型空気/水遮蔽膜を備えるセメント質パネルであって、前記カバーシートは、前記セメント質の芯と前記一体型空気/水遮蔽膜との間に挟まれている、セメント質パネル。
[付記2]
前記セメント質の芯は、硫酸カルシウム材料、ポルトランドセメントおよびそれらの混合物からなる群から選択されるセメント質材料を含む、付記1に記載のセメント質パネル。
[付記3]
前記カバーシートは、紙カバーシートおよび繊維質マットからなる群から選択される、付記1に記載のセメント質パネル。
[付記4]
前記繊維質マットは、ポリマー繊維、鉱物繊維またはそれらの組み合わせを含む、付記3に記載のセメント質パネル。
[付記5]
前記一体型空気/水遮蔽膜は、ポリアクリル酸塩、ポリウレタン、シリコーンエマルション、ポリスチレン、スチレンアクリルコポリマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される30から70重量%のポリマー性結合剤を含む、付記1に記載のセメント質パネル。
[付記6]
前記一体型空気/水遮蔽膜は、20から50重量%の炭酸カルシウムを含む、付記1に記載のセメント質パネル。
[付記7]
前記一体型空気/水遮蔽膜は、10から90ミルの範囲の乾燥厚さを有する、付記1に記載のセメント質パネル。
[付記8]
少なくとも以下の1つ(前記セメント質の芯、前記カバーシートおよび前記一体型空気/水膜)が、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、銀ゼオライト、酸化亜鉛およびピリチオン亜鉛からなる群から選択される抗菌剤を含む、付記1に記載のセメント質パネル。
[付記9]
一体型空気/水遮蔽膜を備える外装野地板パネルを製造する方法であって、
セメント質材料を含むスラリーを調製するステップと、
前記スラリーを2つのカバーシートの間に挟むステップと、
前記スラリーを硬化させ、それによってセメント質パネルを形成するステップと、
前記セメント質パネルを、ポリマー性結合剤および炭酸カルシウムを配合した一体型空気/水遮蔽膜で噴霧コーティング、ロールコーティングまたはフラッドコーティングによって少なくとも1つの表面上をコーティングするステップと、
前記コーティングされたセメント質パネルを、前記パネルが少なくとも2つの異なる温度帯に晒される、炉内においてコンディショニングするステップと
を含む方法。
[付記10]
前記第1の温度帯における前記温度は、100から140°Fの範囲でありかつ前記第2の温度帯における前記温度は、約160から190°Fの範囲である、付記9に記載の方法。