【実施例】
【0104】
方法及び材料
【0105】
粘度
粘度は、Brookfield LV−DV−I+スピンドル粘度計を使用して測定した。Brookfield粘度計は、所定のスピンドルを回転体として有する回転式粘度計である。LVスピンドルを回転体として使用した。粘度は温度依存性を有するため、粘度計及び測定液体の温度を±0.5℃の精度で一定に維持した。LVスピンドルに加えて、恒温水浴、温度計(0〜100℃)及びタイマー(目盛り:0.1秒以下)を使用した。100mlのサンプルを広口瓶に入れ、予備較正後に、気泡が存在しない状態において温度制御条件下で測定を行った。粘度を測定するために、サンプル内においてスピンドルがマークまで達するように、粘度計をサンプルに対して配置した。開始ボタンを押して測定を開始し、最大測定可能トルクの50%(±20%)の望ましい測定範囲で測定を実施するように注意しながら測定を行った(望ましい測定範囲とならない場合には、適当なスピンドルを使用する必要がある)。測定結果(mPas)は粘度計のディスプレイに表示され、密度(g/ml)で除算して粘度(mm
2/s)とした。
【0106】
粒度試験
a)粒ゲージによる試験
測定は、DIN EN 21524(ISO 1525に対応)に準拠して行った。
【0107】
プラスチック製ビーカー内において、実施例5(Z2)に従って製造した白色ペースト3gを同量のDOPと共にへらを使用して十分に撹拌した。希釈したペーストをHegmanブロック(粒ゲージ)に塗布(Hegmanブロック0〜100μm)した後、適切な粒度のサンプルをHegmanブロック0〜25μmに塗布した(Erichsen社製を使用)。目視により測定した粒度(μm)を記録した。
【0108】
b)圧力フィルター試験
圧力フィルター値は、単軸押出機であるBrabender Plasti−Corder LAB Station(スクリュー直径/長さ:30mm/25D)を使用して測定した。GKD社製のスクリーンパック(PZ−Microdur 10、フィルター網目サイズ:9μm)及び315μmの網目幅を有する支持布を使用した。押出機を200℃の温度まで加熱した。フィルターの温度は230℃に調節した。押出機をLDPEで十分にフラッシングした後、スクリーンパックを有するフィルターホルダーを入れた。マスターバッチペレットを充填し、バイパスにおける着色材料が現れた後、溶融流をスクリーンパックに通し、コンピュータによる測定データの取り込みを開始した。測定データは、150バールの最高圧力に達するか、60分間にわたる小さな圧力上昇が生じるまで記録した。スループットは40g/分だった。
【0109】
難燃性試験
プラスチック組成物の難燃性の測定では、射出成形によって4mmの厚みを有する試験片を製造した。UL(Underwriter Laboratories)94規格に準拠して燃焼性(fire class)を測定した。燃焼性の定義は以下のとおりである。
【0110】
V−0:10回の接炎において10秒間よりも長い再燃焼はなく、再燃焼時間の合計は50秒以下であり、燃焼ドリップはなく、サンプルは完全に燃焼せず、火炎への暴露後のサンプルの赤熱時間は30秒間以下である。
V−1:10回の接炎において、火炎への暴露後のサンプルの赤熱時間は60秒間以下であり、再燃焼時間の合計は250秒以下であり、その他の評価基準はV−0を満たす。
V−2:燃焼ドリップのために発火するが、その他の評価基準はV−1を満たす。
未分類不可能(ncl):燃焼性V−2を満たさない。
【0111】
分光分析
NMRスペクトルの記録及び解釈は当業者には公知である。例えば、「NMR Spectra of Polymers and Polymer Additives」,A.Brandolini及びD.Hills,2000,Marcel Dekker,Inc.を参照されたい。スペクトルは、室温においてBruker Spectrospin分光計を使用して記録した(プロトンスペクトルを記録する場合の測定周波数:399.9MHz、
13Cスペクトルを記録する場合の測定周波数:100.6MHz、
29Siスペクトルを記録する場合の測定周波数:79.5MHz)。
【0112】
分子量(重量平均分子量Mw)の測定
ゲル浸透クロマトグラフィー分析(GPC)は、Hewlett−Packard社製の1100型装置を使用して行った(SDVカラムの組み合わせ(1,000/10,000Å、各65cm、内径:0.8cm、温度:30℃、移動相:THF、流量:1ml/min、RI detector(Hewlett−Packard))。システムは、ポリスチレン標準に対して162〜2,520,000g/molの範囲で較正した。
【0113】
SiH含有量の測定
水素シロキサン及び反応マトリクスのSiH含有量の測定は、ガスビュレットを使用して計量したサンプル量のアリコートの酪酸ナトリウム誘導分解に基づくガス容量分析によって行った。測定した水素の体積を通常の気体の状態方程式に代入し、抽出物(educt)及び反応混合物中の活性SiH官能基の含有量を決定した(転化率モニタリング)。5重量%酪酸ナトリウム溶液を使用した。
【0114】
以下の実施例において、「TP 6875」TEGOPREN(登録商標) 6875(Evonik Industries社(ドイツ・エッセン)製)を意味する。
【0115】
実施例1:合成
ポリエーテル(表1、PE)としては、アリルエーテル官能基(PE1〜PE8)又はビニルエーテル官能基(PE9)及び水酸基(PE1〜PE9)(分子鎖末端)を有し、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン質量含有量(アリル/ビニル基を含まないポリエーテル部位に対するEO/PO/BO質量含有率)及び分子量(Mw)が異なるポリエーテルを使用した。ビニルポリエーテルPE9は、式(III)において指数oを付したフラグメントとしてオキシブチレン残基(−O−(CH
2)
4−)を有する。
【0116】
ポリエーテルPE10にはグリセリンモノアリルエーテルを使用し、ポリエーテルPE11にはトリメチロールプロパンモノアリルエーテルを使用した。
【0117】
【表1】
【0118】
水素シロキサン(表2、SH)としては、SiH含有量及び粘度が異なる水素シロキサンを使用した。
【0119】
【表2】
【0120】
ポリエーテル変性シロキサン(表3、O)は、以下に記載する方法によるヒドロシリル化によって製造した。
【0121】
KPG撹拌器、還流冷却器及び内部温度計を備えた500ml四ツ口フラスコに、水素シロキサンSH及びヒドロキシ官能性末端不飽和PEを入れ(SiH 1mol当量あたりアリルポリエーテル1.35mol)、撹拌下において70℃で加熱した。注射器を使用して、5ppmの白金(Pt
2(ジビニルテトラメチルジシロキサン)
3錯体(Karstedt触媒、1.5%Pt、デカメチルシクロペンタシロキサン溶液))を混合物に添加した。ガス容量分析で測定した転化率は、70〜80℃における反応後1〜3時間において定量的だった。混合物を濾過し、黄色がかった茶色の透明で粘性を有する液体を得た。
【0122】
【表3】
【0123】
実施例2:エマルション
185gのO12を、約18.8のHLB値を有する40gのエチレンオキシド付加ステアリン酸及び60gの脱イオン水からなる乳化剤溶液に、剪断力を与えながら(Mizerディスク、2,000rpm)、冷却下において20分間かけて添加した。次に、20分間にわたって混合物に剪断力を与えた。これにより、高い粘度を有するペーストを得た。次に、剪断力を与えながら、214gの脱イオン水を10分間かけて添加した。これにより、約45重量%の固形分含有量を有する白色エマルションを得た。その後、エマルションを保存するために、20重量%メチルイソチアゾリノン(MIT)の0.15%水溶液を添加した。
【0124】
実施例3:粒子の表面処理
V1:乾式法による無機顔料の処理
495gの粒子をヘンシェルミキサーに入れ、5gの表面処理剤(表3のO1〜O17及び従来の表面処理剤)を添加した。次に、70℃で加熱しながら、ミキサーを15分間にわたって900rpmの速度で作動させた。
【0125】
酸化鉄:粒子p−FO−1〜p−FO−17
炭酸カルシウム:粒子p−KC−1〜p−KC−17
タルク:粒子P−T−1〜P−T−17
ATH:粒子P−ATH−1〜P−ATH−17
MDH:粒子P−MDHT−1〜P−MDHT−17
【0126】
また、従来の表面処理剤を使用して比較粒子を製造した。
【0127】
【表4】
【0128】
V2:湿式法による無機顔料の処理
後処理剤の量は、顔料、難燃剤又は充填剤の分散液の固形分含有量に対する量である。湿式処理では、量比はスラリー中の式(I)で表される化合物の固形分含有量に関連する。
【0129】
実施例4:実施例3に従って製造した表面変性粒子又は実施例3と同様にして製造した表面変性粒子を含む化合物の調製
Leistritz押出機(27mm)(Leistritz社製の二軸押出機)(200rpm)を使用して、以下の充填剤コンパウンドを調製した。
【0130】
【表5】
【0131】
これにより、本発明に係る組成物Z−T−1〜Z−T−17を得た。
【0132】
そして、本発明に係る組成物Z−FO−1〜Z−FO−17(酸化鉄)及び比較組成物Z−FO−18(表面処理を実施せず)〜Z−FO−17(比較粒子P−FO−19〜P−FO−20を含む)を得た。
【0133】
同様にして、表面処理されたATH粒子を含む難燃剤コンパウンドを調製した。
【0134】
【表6】
【0135】
そして、本発明に係る組成物Z−ATH−1〜Z−ATH−17(ATH)及び比較組成物Z−ATH−18〜20(比較粒子P−ATH−18〜P−ATH−20を含む)を得た。
【0136】
同様にして、表面処理されたMDH粒子を含む難燃剤コンパウンドを調製した。
【0137】
【表7】
【0138】
そして、本発明に係る組成物Z−MDH−1〜Z−MDH−17(MDH)及び比較組成物Z−MDH−23〜28(比較粒子P−MDH−23〜P−ATH−28を含む)を得た。
【0139】
実施例5:実施例3の粒子の物性試験(嵩密度の測定)
嵩密度を測定するために、15g又は30gのサンプルを室温において100mlのメスシリンダーに入れた。10分後、体積を読み取った。嵩密度は、サンプルの重量と体積の商として算出した。
【0140】
以下の表において、「*」はタルク、ATH又はMDHを意味する(すなわち、最初の3種類の粒子はP−T−1、P−ATH−1及びP−MDH−1である)。
【0141】
【表8】
【0142】
実施例6A:引張強度、破断伸び及び耐衝撃性
充填剤コンパウンドの機械的特性を評価するために、射出成形(Engel社(ドイツ)製の射出成形機を使用)によってショルダー付きのロッドを製造した。DIN ISO 527−2に準拠して引張試験用ロッド1Aを得た。
【0143】
引張強度は、Zwick社製の引張試験機を使用して測定した(温度:23℃、相対湿度:50%)。
装置パラメータ:初期荷重:20N、初期荷重までの速度:1mm/分、試験速度:5mm/分、固定長さ:120mm、増加ピックアップの測定長さ:80mm、試験片の厚み:4mm(対応する引張試験用ロッド1Aを使用)
【0144】
耐衝撃性(シャルピー衝撃試験)
試験は、ISO 179に準拠して5J衝撃振り子を使用して行った。
【0145】
機械的試験の結果:Z−T−18及びZ−ATH−18は、後処理されていない粒子を含む試験片である。
【0146】
【表9】
【0147】
【表10】
【0148】
表面処理されたMDH粒子を含む組成物
充填剤コンパウンドの機械的特性を評価するために、単軸押出機(Brabender Plasti−Corder LAB Station、スクリュー直径/長さ:30mm/25D)を使用して、二軸押出機によって上述したように製造したコンパウンドから1.7mmの厚みを有するコンパウンドストリップを連続的に製造し、ツールを使用してショルダー付きのロッドを打ち抜いてDIN ISO 527−2に準拠した5Aロッドを得た。
【0149】
引張強度は、Zwick社製の引張試験機を使用して測定した(温度:23℃、相対湿度:50%)。
装置パラメータ:初期荷重:20N、初期荷重までの速度:1mm/分、試験速度:5mm/分、固定長さ:120mm、増加ピックアップの測定長さ:80mm
【0150】
UL94規格に準拠して、内燃室内において燃焼性の試験を行った。
Z−MDHT−18:MDHは表面処理されていない。
【0151】
【表11】
【0152】
実施例6B:燃焼性
5つのサンプル(試験片)(機械的試験のために製造した1Aロッド)を使用して試験を行った。
【0153】
59%又は61.4%の粒子を含むサンプルを使用して、UL94規格に準拠した試験を行った。UL94規格に準拠して、内燃室内において燃焼性の試験を行い、燃焼性としては、V−2、V−1又はV−0を満たした試験片の数を記載した。全ての試験片がV−2、V−1又はV−0を満たさなかった場合には、「不合格」と記載した。
【0154】
Z−AHT−18は、表面処理していないAHT粒子を含む組成物である。Z−AHT−19は、従来のシリコーン油で処理した粒子を含む組成物である。
【0155】
【表12】
【0156】
表12に示すように、難燃剤(ATH)の含有量が低い場合であっても、試験片は燃焼性V−0を有していた。
【0157】
実施例6C:乾式法による後処理MDH粒子(難燃剤コンパウンド)のMFI(melt flow index)及び吸水率
吸水率の測定では、(打ち抜いた5A押出ストリップではなく)引張試験用ロッド(1Aロッド)を使用した。試験片をオーブン内において80℃で14日間保管し、重量増加率(%)を算出した。
【0158】
MFIの試験は、SWO Polymertechnik社製のMeltfixerを使用してDIN EN ISO 1133に準拠して行った。
【0159】
Z−MDHT−18は、表面処理していない粒子を含む組成物である。
【0160】
【表13】
【0161】
表13に示すように、粒子の表面処理を行うことにより、本発明に係る組成物の吸水率は0.45%未満に低下した。未処理の粒子を含む組成物と比較して、流動性は少なくとも5%増加した。
【0162】
V4:液体ペースト法(liquid pastes method)
V4A:表面変性顔料を含む顔料ペーストの製造
乾式法による変性処理によって式(I)で表される化合物でコーティングした顔料を使用して液体ペーストを製造した。上述したヘンシェルミキサーを使用して、98gの顔料を2gのポリエーテル変性シロキサンで後処理した。次に、80gのエポキシ化大豆油(例えば、FACI社製のEpoxol D44)及び本発明に係る化合物でコーティングされた20gのPigment Blue 15:3 (例えば、BASF社製のHeliogen Blue K 7090)を秤量して250 mlの粉末瓶に入れ、ディゾルバーディスクを備えたH−Triebを使用して2500rpmで5分間分散させた。
【0163】
液体ペーストの試験
3gの顔料ペーストをHegmanブロック(粒ゲージ)(0〜25μm)(Erichsen社製)に塗布して粒度を測定した。目視により測定した粒度(μm)を記録した。
【0164】
粒度が15μmを超える場合は分散が不十分であることを示す。
【0165】
粒度の測定:Z−P−18は、表面処理していない粒子を含むペーストであり、Z−P−19は、従来のシリコーン油で表面処理した粒子を含むペーストである。
【0166】
【表14】
【0167】
一工程においてポリマーを粒子及び表面処理剤と混合して製造した組成物
V5B:未変性粒子を連続相と特定のアルコキシ化ポリエーテルの混合物に分散させた顔料ペーストの製造
固体顔料マスターバッチの代替物として、顔料ペーストを以下のように製造した。
【0168】
式(I)で表される添加剤を使用することにより、本発明に係る組成物が得られる。
【0169】
成分を200gのガラスビーズ(直径:2mm)と共に250mlの粉末瓶に入れ、Scandex(Lau社製)内において2時間分散させた。
【0170】
【表15】
【0171】
ポリプロピレンからなる熱可塑性射出成形品
表16に示すペーストの着色力及び分散性を測定するために、射出成形(Engel社(ドイツ)製の射出成形機を使用)によって6×6×0.2cmのサイズを有するプレートを製造した。すなわち、PEバッグ内において400gのポリプロピレン(MFI20)を16gの白色マスターバッチ(TiO
2含有量:50%)及び4gの顔料ペーストと混合し、比色分析によって射出成形品を評価した。
【0172】
比色分析評価及び色強度の算出
製造したプレートの比色分析値は分光光度計(SP68、X−Rite)を使用して測定した。表16に、結果をL−a−b値として示す。また、参考サンプルに対する色強度を算出した。顔料が良好に分散されている場合には、参考サンプルに対する色強度は高くなる。参考サンプルの色強度を100%とする。
【0173】
【表16】
【0174】
各値はペースト1を使用して測定し、ZZ−P−18は、式(I)で表される化合物を含まない組成物からなる。
【0175】
表16に示す値から明らかなように、本発明に係るポリエーテル変性シロキサンによって色強度は少なくとも8%増加し、良好に分散された青色顔料に通常見られる輝度値L*の低下からも分散状態が良好であることが明らかである。赤色値a*はほとんど変化せず、特徴的ではないため、全ての組成物については記載していない。青色値は参考のために記載している。
【0176】
V5C:PUフォーム用途のための顔料ペーストの製造
成分を200gのガラスビーズ(直径:2mm)と共に250mlの粉末瓶に入れ、Scandex(Lau社製)内において4時間分散させた。
【0177】
顔料ペーストは以下の組成を有していた。
【0178】
【表17】
【0179】
PUフォームの製造では、プラスチック製ビーカー内において以下の成分を混合し、発泡させた。反応終了後、得られたフォームからプレートを切り出し、分光光度計(SP68、X−Rite)を使用して色強度を算出した。参考サンプルとして、添加剤を含まないフォームを使用し、その色強度を100%とした。
【0180】
色強度に基づく分散性の評価のためのPUフォームの製造
【0181】
【表18】
【0182】
組成物Z−R−18は式(I)で表される化合物を含んでおらず、組成物Z−R−19はシリコーン油を含んでいる。
【0183】
【表19】
【0184】
色強度は少なくとも7%増加しており、カーボンブラックペーストに疎水化シリコーン油を使用した場合には、(ペーストの粘度が高いことからも明らかなように)PUフォームの着色性が大きく悪化した。
【0185】
V6:未変性粒子と特定のアルコキシ化シロキサンの押し出し/コンパウンディングにおける難燃剤の表面変性
Leistritz押出機(27mm)(Leistritz社製の二軸押出機)を使用して、以下の難燃剤コンパウンドを200rpmで製造した。
【0186】
【表20】
【0187】
組成物Z−MDHB−18は、添加剤を含まない組成物からなる(表20を参照)。
【0188】
【表21】
【0189】
V7:顔料等用の方法としてのマスターバッチ押し出しにおける顔料の表面処理
Leistritz社製の二軸押出機(Micro 27 GL 40D)を使用して混合物を200rpmで加工した。
【0190】
顔料組成物は、以下の組成に従って各成分を予備混合することによって製造した。
【0191】
【表22】
【0192】
表面処理粒子の分散性試験
E2:マスターバッチの圧力フィルター試験
圧力フィルター値は、単軸押出機であるBrabender Plasti−Corder LAB Station(スクリュー直径/長さ:30mm/25D)を使用して測定した。GKD社製のスクリーンパック(PZ−Microdur 10、フィルター網目サイズ:9μm)及び315μmの網目幅を有する支持布を使用した。押出機を200℃の温度まで加熱した。フィルターの温度は230℃に調節した。押出機をLDPEで十分にフラッシングした後、スクリーンパックを有するフィルターホルダーを入れた。マスターバッチペレットを充填し、バイパスにおける着色材料が現れた後、溶融流をスクリーンパックに通し、コンピュータによる測定データの取り込みを開始した。測定データは、150バールの最高圧力に達するか、60分間にわたる小さな圧力上昇が生じるまで記録した。スループットは40g/分だった。
【0193】
分散性の尺度としての圧力フィルター値(PFV)は以下の式に従って算出した。
【0194】
【数1】
【0195】
p
max:最終圧力(バール)
p
0:初期圧力(バール)
F:フィルター面積=6.16cm
2)
t:測定時間(分)
K:組成物全体に対する顔料の濃度(重量%)
G:スループット(g/分)
【0196】
マスターバッチ1(Heliogen Blue、D6911)の圧力フィルター値
【0197】
【表23】
【0198】
圧力フィルター値が低い程、ポリマー中における顔料の分散が良好である。圧力フィルター値が2バール*cm
2/g以下の場合には、分散性が不十分である。
【0199】
射出成形品の色強度の測定による分散性試験
【0200】
製造したマスターバッチの分散性を評価するために、300gのポリプロピレン(上記を参照)を8.6gの白色マスターバッチ(TiO
2含有量:70%)及び3gの顔料マスターバッチと混合し、射出成形(Engel社(ドイツ)製の射出成形機を使用)によって6×6×0.2cmのサイズを有するプレートを製造し、CIE Lab表色系に従った比色分析によって評価した。参考サンプルと比較して色強度が高い程、顔料の分散が良好であり、マスターバッチにおける凝集体含有量が低い。参考サンプルの色強度を100%とした。参考サンプルZ−HB2−18は、添加剤を使用せずに製造した。
【0201】
【表24】
【0202】
表24に示す値から明らかなように、式(I)で表される添加剤によって色強度は少なくとも10%増加した。
【0203】
平坦なポリマーフィルム中のマスターバッチの試験
【0204】
上記表に示すマスターバッチを以下のように押し出してフィルムを製造した。マスターバッチをLDPEペレット(ポリマーPP 11012粉末)で希釈して顔料濃度を10重量%とした。マスターバッチとポリマーペレットはプラスチックバッグに入れ、プラスチックバッグを0.5分間にわたって手で振った。次に、単軸押出機であるBrabender Plasti−Corder LAB Station(スクリュー直径/長さ:30mm/25D)を使用し、フィルム製造装置(film blowing machine)によって混合物からフィルムを製造した。フィルムストランドをコンベアベルトによって引き出し、冷却後、巻き取った。
【0205】
フィルムストランドから得た長さ約50cmの5個の試験片を調べた(幅:10cm、厚み:150μm)。透過光に基づき、分散されていない凝集体の数を評価した。なお、不完全に分散された凝集体からなるスペックのサイズは評価において考慮しなかった。
【0206】
結果は、5ポイント評価法(1:各試験片のスペック数が0〜1、2:各試験片のスペック数が2〜3、3:各試験片のスペック数が4〜6、4:多数のスペックが観察される、5:非常に多数の(10個を超える)スペックが観察される)を使用して評価した。最後に、5個の試験片におけるスペックの総数を算出した。必要に応じて、例えば、スペック数が1又は2に該当する場合には、1.5と評価した。
【0207】
【表25】
【0208】
難燃剤を充填した不飽和ポリエステル樹脂の試験(RomppのUPESを参照)
以下の成分をディゾルバーを使用して混合し、分散容器内において3,000rpmで10分間分散させた。Dispermat(ディゾルバー)のディスクは容器の2/3の直径を有していた。
【0209】
【表26】
【0210】
得られた混合物は型内で成形してDIN ISO527−2に準拠したショルダー付きのロッド(5Aロッド)を得た。
【0211】
引張強度は、Zwick社製の引張試験機を使用して測定した(温度:23℃、相対湿度:50%)。
装置パラメータ:初期荷重:20N、初期荷重までの速度:1mm/分、試験速度:5mm/分、固定長さ:55mm、増加ピックアップの測定長さ:25mm
【0212】
また、6×6cmのプレート(層厚み:2mm)を成形し、耐擦傷性試験片として使用した。擦傷前後に輝度値を測定し、耐擦傷性をΔL値で判定した。
【0213】
耐擦傷性試験は、GMW 14688のセクションAに準拠して実施した。試験装置としては、Erichsen社(ドイツ・ヘーマー)製のScratch Hardness Tester 430 Pを使用した。6×6cmの試験プレートを装置に固定した。1.0mmの直径を有するボールを備えた試験点を使用し、40mmの長さ(間隔:2mm)にわたって1000mm/分の速度でプレートに引っかき傷を形成した。20個の引っかき傷を形成した後、プレートを90°回転させ、20個の引っかき傷をさらに形成した。得られたグリッドを使用して耐擦傷性を評価した。
【0214】
耐擦傷性の評価では、プレートを装置に固定する前に、分光光度計(SP68、X−Rite)を使用して比色分析を行った。試験後、2回目の測定を行った。比色分析では輝度値(L*)を測定し、2つのL値の差であるΔL値を評価に使用した。
【0215】
ΔL値が低い程、耐擦傷性は良好である。
【0216】
組成物Z−UPES−18は、式(I)で表される化合物を含まない組成物からなる。
【0217】
【表27】
【0218】
表27に示す値から明らかなように、本発明に係る組成物は著しく向上した耐擦傷性を示した。