特許第6498306号(P6498306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6498306回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出するセンサ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498306
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出するセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/14 20060101AFI20190401BHJP
   G01L 3/10 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   G01L3/14 Z
   G01L3/10 311
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-540221(P2017-540221)
(86)(22)【出願日】2016年1月15日
(65)【公表番号】特表2018-503828(P2018-503828A)
(43)【公表日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】EP2016050747
(87)【国際公開番号】WO2016120095
(87)【国際公開日】20160804
【審査請求日】2017年7月28日
(31)【優先権主張番号】102015201577.7
(32)【優先日】2015年1月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フランク クロプフ
(72)【発明者】
【氏名】ズィーモン シュナイダー
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−225630(JP,A)
【文献】 特開2014−202727(JP,A)
【文献】 特表2002−541473(JP,A)
【文献】 特開2012−021783(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/143285(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0029879(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01696216(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 3/10
G01L 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持されたシャフト(5)のトルクを間接的に検出するセンサ装置(1C,1D)であって、
支持構造部(3)に接続する前記シャフト(5)の軸受(7)周辺に配置された少なくとも1つのセンサ素子(30)を含むセンサ(10C,10D)を備え、
前記センサ素子(30)は、軸受応力(F,FL2)の所定の方向に作用する成分を検出し、該成分から前記シャフト(5)のトルクが算出可能である、センサ装置において、
前記センサ(10C,10D)は、外側輪郭(24)を有する少なくとも1つのセンサ基体部(20)を備え、
前記センサ基体部(20)は、対応するセンサ素子(30)を支持し、
前記センサ素子(30)を収容するハウジング(50,50A)の外側輪郭(54,54A)が、前記支持構造部(3)内に設けられた収容孔(12)内に圧入されていることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記ハウジング(50A)の圧入された前記外側輪郭(54A)は、少なくとも1つの凹部(54.1)を有している、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記センサ基体部(20)のための収容孔(52.1)は、前記ハウジング(50,50A)の支持構造部(52)内に設けられており、前記ハウジングは、前記軸受応力(F,FL2)の作用成分を、前記支持構造部(52)を介して前記センサ基体部(20)に伝達する、請求項1または2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記センサ(10C,10D)は、少なくとも1つの評価電子回路(40A)を含んでおり、前記評価電子回路は、少なくとも1つの前記センサ素子(30)と電気的に接続されている、請求項1からのいずれか1項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
回転可能に支持されたシャフト(5)のトルクを間接的に検出するセンサ装置(1A)であって、
支持構造部(3)に接続する前記シャフト(5)の軸受(7)周辺に配置された少なくとも1つのセンサ素子(30)を含むセンサ(10A)を備え、
前記センサ素子(30)は、軸受応力(F,FL2)の所定の方向に作用する成分を検出し、該成分から前記シャフト(5)のトルクが算出可能である、センサ装置において、
前記センサ(10A)は、外側輪郭(24)を有する少なくとも1つのセンサ基体部(20)を備え、
前記センサ基体部(20)は、対応するセンサ素子(30)を支持し、収容孔(12)内に圧入されており、
前記収容孔(12)は、対応するセンサ基体部(20)のために前記支持構造部(3)内に設けられており、
前記センサ(10A)は、少なくとも2つの前記センサ素子(30)を含み、前記センサ素子は、前記軸受(7)周辺の異なる位置に配置されており、
少なくとも2つの前記センサ素子(30)は、異なる検出方向を有し、前記軸受応力(F,FL2)の異なる方向に作用する成分を検出することを特徴とするセンサ装置。
【請求項6】
隣接する2つの前記センサ素子(30)の前記検出方向は、相互に垂直に延在している、請求項5記載のセンサ装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記センサ素子(30)は、薄膜技術で製造された圧抵抗センサ素子として実現され、且つ金属製の基体部(31)を有し、前記基体部には絶縁層(33)と、圧抵抗材料からなる機能層(32)とが被着されており、前記機能層(32)は、ホイートストンブリッジに相互接続された4つの抵抗体構造部(34)を有している、請求項1から6のいずれか1項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の上位概念に係る、回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出するセンサ装置から出発する。
【0002】
トルクを検出するセンサは、あらゆるタイプのモータおよび変速機試験台の重要な構成要素である。さらにそれらは、多くの大規模工場で使用される駆動システムに統合された構成部品である。それらの支援により、例えば船舶のシャフト、風力設備またはボーリングロッドにおけるトルクが監視される。トルクセンサは広く普及しているが、その比較的複雑な構造とそれに伴うコストがこれまでは、大量生産品でのそれらの使用を阻害してきた。電動自転車のドライブシャフトのトルクの測定は、トルクセンサにとって、第1の潜在的大規模市場をあらわすが、しかしながら工場施設のために使用されるセンサ構想は、この目的のためにはもちろん高価すぎる。
【0003】
多くの試験台または較正装置の場合、静的検出器を用いたトルクの検出で十分である。この場合、そのトルクが検出されるべきシャフトは、変形要素の一方の側に接続される。弾性体とも称する変形体の他方の端部は、固定された構造要素、例えば支持体またはハウジング部材に接続される。係合トルクは、捻れによる弾性体の変形につながる。結果として生じる捻れは、僅かばかりの程度であり、多くの公知の測定方法による検出が可能である。ここではとりわけ磁気的方法が一般に使われており、この磁気的方法では、固定された磁界センサに相対する、弾性体に取り付けられた磁気的構造部の捻れが検出される。また光学的方法もこの目的のために適している。
【0004】
代替的に、弾性体において変形に基づき生じた材料膨張を検出することが可能である。構造に応じて、これらは、捻れモーメントまたはせん断応力からの結果として生じる。この材料膨張の測定のために通常は、被着された圧抵抗歪みゲージが用いられ、これはホイートストンブリッジに相互接続されている。代替的にこれらの歪みは、磁気弾性測定原理を用いても検出することが可能である。このことは、材料の応力がもたらされたときの強磁性材料の透磁率が変化することに基づいている。これらの変化は、例えば送信器および受信器コイルを備えた構造形態の好適なセンサシステムによって非接触で検出することが可能である。
【0005】
大抵の用途では、上述したトルクの静的検出は十分ではない。それどころか、回転しているシャフトのトルクを検出する必要がある。この目的のために、共回転する複数のセンサが開発され、それらはドライブシャフト内に統合され、その捻れを測定している。このことは通常は、捻れによって引き起こされた材料膨張の検出のための上述した2つの方法のうちの1つを介して行われる。
【0006】
歪みゲージ(DMS)を使用する場合、回転するシステムでは、測定ブリッジへの給電も、信号の取り出しも、ケーブル接続を介して行うことができないという問題がある。この給電は、通常は、コイルがドライブシャフトの周りに巻回され、それによってコイル自身が共回転する変圧器装置を用いた交流電圧の伝送によって達成される。他のコイルは固定され、やや広い間隔でシャフトを取り囲む。それにより、鉄心として作用するシャフトと共に、比較的良好な特性を有する変圧器が生じる。歪みゲージブリッジの出力信号は比較的小さいため、従って測定ブリッジ直近の信号評価と増幅が、共回転する電子回路によって行われる。それらの出力信号は、ここでは例えば送信器および受信器コイルによって、またはさらなる電子回路によって、所定の無線規格を用いて外方へ、すなわちセンサの固定された部品に伝送され得る。そのようなセンサおよびそれらのために必要な全ての構成要素は、従来技術から公知である。そのようなセンサは、自身に課せられた要求は満たすが、しかしながら上述したように構造上の高いコストが必要となる。共回転するトルクセンサの領域では、磁気弾性センサは、使用する測定方法が非接触であるため、原理に基づく利点を有する。つまりここでは、それ自体回転する構成要素の接触接続の問題は全く発生せず、このことは、より僅かな構造上のコストに表れる。
【0007】
圧抵抗センサによっても、磁気弾性センサによっても、回転するシャフトのトルクは非常に良好に測定することができる。この場合のそれらの最大の利点は、直接的な測定原理にある。それらによって検出されたシャフトの捻れは、トルクと直接関係がある。但しそこからは、それらの最大の欠点も生じる。シャフトとセンサの特性は、分離不能に相互に結び付いている。これらのセンサは、シャフトの弾性的および/または磁気的特性が、センサ特性よりも優勢なため現行のシャフトには適用できない。トルクセンサは、むしろそれ自体シャフトの一部である。それ故それらの特有の要件は、初めからドライブトレイン全体の構造のもとで考慮しなければならない。1つのシステムのために見つけられた構造的解決手段は、簡単には別の用途に転用することはできない。このことは、例えば磁気弾性センサの製造業者が、(全ての歯車を含めた)シャフト、統合されたトルクセンサおよび所要の軸受からなる完全なパッケージを提供しなければならないことにつながる。この統合は、とりわけ製造技術的には良好な解決手段を表している。但しそれは、用途の特有性も強いため、それに伴って他の用途のために使用が困難なだけでなく、全く使用できないこともある。これにより生産個数が限られ、それに伴いそのような解決手段のための潜在的なコストも当然限られてくる。
【0008】
トルクの直接的な測定に対して代替的に、1つのシャフトから他のシャフトへのトルクの伝達の際に生じる、それらの軸受に対する応力を測定し、そこからトルクを推論することも可能である。この間接的なアプローチは、従来技術から公知であり、例えば独国特許出願公開第102012200232号明細書および独国特許出願公開第102010027010号明細書に開示されている。しかしながらこれらの明細書には、軸受応力の測定を行い得るようないかなる具体的な実現化も含まれていない。
【0009】
発明の開示
それに対して、独立請求項1の特徴部分を備えた、回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置は、シャフトの軸受応力の検出を介して、当該シャフトのトルクが、間接的に測定可能になる利点を有している。この目的のために好ましくは圧抵抗センサ素子が用いられ、この圧抵抗センサ素子は、薄膜技術において低コストで製造可能である。この少なくとも1つのセンサ素子は、軸受を取り囲む支持構造部内に設けられ、軸受応力に基づき生じる材料膨張若しくは材料圧縮を検出する。個々のセンサ素子は非常に小型に構成され、極小化され、非常に低コストで製造され得る。回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の実施形態は、好ましくは軸受領域における僅かな構造的変更しか必要としない。シャフトの構成はこれには関係していない。それ故回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の実施形態の使用は、原則既存のシステムにおいても、僅かな適合化のみで可能となる。
【0010】
本発明の実施形態は、回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出するセンサ装置であって、センサを備えており、該センサは、支持構造部に接続するシャフトの軸受周辺に配置された少なくとも1つのセンサ素子を含み、センサ素子は、軸受応力の所定の方向に作用する成分を検出し、該成分からシャフトのトルクが算出可能である、センサ装置を提供する。本発明によれば、このセンサは、外側輪郭を有する少なくとも1つのセンサ基体部を備えており、このセンサ基体部は、対応するセンサ素子を支持し、収容孔内に圧入されており、センサ素子は、軸受に対して所定の間隔と所定の角度とを有している。
【0011】
従属請求項に記載された手段およびさらなる構成により、独立請求項1に示された回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出するセンサ装置の好ましい改善例が可能である。
【0012】
特に好ましくは、収容孔は、対応するセンサ基体部のために支持構造部内に設けられ得る。これは、センサ基体部が直接支持構造部内に圧入されることを意味する。代替的に、センサ素子を収容するハウジングは、その外側輪郭が、支持構造部内に設けられた収容孔内に圧入され得る。センサ基体部のための収容孔は、この実施形態では、ハウジングの支持構造部内に設けられ得る。この場合ハウジングは、応力の作用成分を、支持構造部を介してセンサ基体部に伝達可能である。両方のケースにおいて、材料膨張若しくは材料圧縮は、センサ素子に伝達され、このセンサ素子によって検出および出力され得る。センサ基体部若しくはセンサ素子への応力の中央導入を達成するために、センサ基体部の領域におけるセンサハウジングの外側輪郭に、少なくとも1つの凹部を設けることは、有利であり得る。
【0013】
本発明に係るセンサ装置のさらに好ましい構成では、少なくとも1つのセンサ素子は、薄膜技術で製造された圧抵抗センサ素子として実施可能であり、金属製の基体部を有しており、この基体部には絶縁層と、圧抵抗材料からなる機能層とが被着されており、この機能層は、ホイートストンブリッジに相互接続された4つの抵抗体構造部を有している。材料膨張若しくは材料圧縮は、圧抵抗センサ素子に伝達され、個々の抵抗体構造部におけるオーム抵抗の変化を引き起こす。このオーム抵抗の変化によって、ホイートストンブリッジの出力電圧が変化する。従ってこの電圧信号からは、好適な評価電子回路を介して、作用トルクを推論することが可能である。測定ブリッジの信号と、トルクに比例した応力との間の正確な関係は、軸受に関するセンサ素子の位置付けに依存している。このことは、位置付けおよび製造誤差に対して所定の要求を課すことになるが、しかしながら用途においては大きな自由度も与える。そのため例えばセンサ素子30を単に、以前よりもシャフトからやや広い間隔で配置する、あるいは、推定される軸受応力の方向に対して以前とは別の角度に配置する、だけで、一度構想したセンサ設計によって、より大きなトルクも測定することができるようになる。その上さらに、そのような例えばシャフトの軸受応力の方向を、変化する条件の下で監視するために、複数のセンサ素子を、軸受周りに配置することも可能である。
【0014】
本発明に係るセンサ装置のさらに好ましい構成では、センサは、少なくとも2つのセンサ素子を含み、このセンサ素子は、軸受周辺の異なる位置に配置されている。少なくとも2つのセンサ素子は、異なる検出方向を有し、軸受応力の異なる方向に作用する成分を検出し得る。さらにこの検出装置は、隣接する2つのセンサ素子から実質的に相互に垂直に延在し得る。それにより、例えばシャフト上で複数の歯車を有する変速機の場合のように、軸受応力の方向が運転状況に応じて変化する、軸受応力も検出および算出が可能になる。作用する応力の大きさと方向を正確に決定するために、少なくとも2つのセンサ素子の信号が相応に評価される。さらに固定の変速比の場合でも、有効信号を障害量からより良好に分離することができる。例えば軸受に対する横方向応力などのような障害量を消去するために、または冗長的な信号を得るために、2つ以上のセンサ素子を備えたセンサも実施可能である。
【0015】
本発明に係るセンサ装置のさらに好ましい構成では、センサは、少なくとも1つの評価電子回路を含んでおり、この評価電子回路は、少なくとも1つのセンサ素子と電気的に接続されている。これらのセンサ素子は、例えばワイヤボンディングによって、その上に好適な評価回路が存在しているそれぞれ1つのプリント基板に接続される。
【0016】
本発明の実施形態は、図面に示され、以下の明細書でより詳細に説明される。これらの図面中、同一若しくは類似の機能を果たす構成要素若しくは素子には同じ符号が付される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の実施形態によって検出可能な軸受応力の実現を図解するための複数のシャフトと歯車の概略図
図2】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の第1の実施形態の概略図
図3図2による本発明に係るセンサ装置の断面図
図4】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の第2の実施形態の概略図
図5】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の実施形態に使用可能なセンサ素子のセンサ基体部のための収容孔の平面図
図6】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の実施形態に使用可能であり、かつ図5からの収容孔内に圧入可能である、センサ素子を有するセンサ基体部の実施形態の平面図
図7】収容孔内にセンサ基体部を圧入する過程の前の図5による収容孔の断面図と図6によるセンサ基体部の断面図
図8】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の実施形態に使用可能なセンサ素子の実施形態の平面図
図9図3によるセンサ素子の断面図
図10】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の第3の実施形態の概略図
図11図10による本発明に係るセンサ装置の断面図
図12】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置のためのセンサの実施形態の概略的平面図
図13】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の第4の実施形態の概略的断面図
図14】回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置の第5の実施形態の概略的断面図
【0018】
本発明の実施形態
図1は、軸受応力の実現の図解のために使用される。図1は、複数のシャフトW1,W2,W3を示し、これらのシャフトは、複数の歯車Z1,Z2,Z3を介して相互に接続されている。この配置構成は、第1のシャフトW1からの第1のトルクM1の、第2のシャフトW2の第2のトルクM2を介した、第3のトルクM3を有する第3のシャフトW3への伝達に用いられている。このことは、シャフトW1,W3に接続された歯車Z1およびZ3によって、第2のシャフトW2に接続された介在歯車Z2を介して行われる。この場合第2のシャフトW2の軸受には2つの応力が作用する。一方では、第1の歯車Z1と第2の歯車Z2との間の接触点に作用する応力F12若しくはF21が、第2のシャフトW2の軸受にも作用する。なぜならこの第2の歯車Z2は、第2のシャフトW2を介してそこにも支持されているからである。他方では、第3の歯車Z3と第2の歯車Z2との間に作用する応力F32若しくはF23が、この軸受によって受け入れられなければならない。これらの2つの応力F12とF32の加算から、全体として第2のシャフトW2の軸受に作用する軸受応力FL2が生じる。この軸受は、この軸受応力FL2を受け入れ、それを周辺の構造部に転送する。この構造部の内部で結果として生じる材料緊張は、軸受応力FL2に比例すると共にトルクM2に比例している材料膨張に結び付く。この目的のために、軸受7を取り囲む構造部3には、孔B1が設けられ、この孔B1は、図1に示されている応力FL2によって、破線の描写B2に応じて圧縮される。圧抵抗センサ素子を用いて、この材料膨張は検出可能である。引き続きそこからは、好適な評価電子回路を用いてトルクM2が検出される。
【0019】
図2乃至図14からさらに明らかなように、回転可能に支持されたシャフト5のトルクを間接的に検出する本発明に係るセンサ装置1,1A,1B,1C,1Dの図示の実施形態は、それぞれ1つのセンサ10,10A,10B,10C,10Dを含んでいる。これらのセンサは、支持構造部3に接続するシャフト5の軸受7周辺に配置された少なくとも1つのセンサ素子30を含み、該センサ素子は、軸受応力Fの所定の方向に作用する成分を検出し、該成分からシャフト5のトルクが算出可能である。本発明によればセンサ10,10A,10B,10C,10Dは、外側輪郭24を有する少なくとも1つのセンサ基体部20を備えており、該センサ基体部は、対応するセンサ素子30を支持し、収容孔12,52.1内に圧入されており、その際センサ素子30は、軸受7に対して所定の間隔と所定の角度とを有している。
【0020】
図2および図3から明らかなように、本発明に係るセンサ装置1の図示の第1の実施形態は、支持構造部3の収容孔12内に圧入されているセンサ素子30を有している。図1の孔B1と同様に、図2および図3の収容孔12も、図示の応力Fに応じて圧縮される。第1の変化実施形態では、センサ素子30は、センサ基体部20を介して、直接、支持構造部3内に圧入される。第2の変化実施形態では、センサ素子30は、センサ基体部20を介して、センサハウジング50,50Aの支持構造部52内に圧入され、このセンサハウジングは再び収容孔12内に圧入される。両方のケースにおいて、センサ素子30に対する圧縮が伝達され、当該センサ素子によって検出され、評価され得る。
【0021】
センサ素子30の出力信号と、トルクに比例する軸受応力Fとの間の正確な関係は、センサ素子30の位置付けに決定的に依存する。このことは、位置付けおよび製造誤差に対して所定の要求を課すことになるが、しかしながら用途においては大きな自由度も与える。そのため、例えばセンサ素子30を単に、以前よりもシャフト5からやや広い間隔で配置する、あるいは、軸受応力Fの方向に対して以前とは別の角度に配置する、だけで、一度構想したセンサ設計によって、より大きなトルクも測定することができるようになる。図4からさらに明らかなように、そのような例えばシャフト5の軸受応力Fの方向を、条件を変えて監視するために、複数のセンサ素子30を、軸受7周りに配置することも可能である。
【0022】
図4からさらに明らかなように、本発明に係るセンサ装置1Aの第2の実施形態におけるセンサ10Aは、複数のセンサ素子30を有している。ここでは第1のセンサ素子30は、図面では軸受7の下方に配置され、軸受応力Fの下方に作用する成分を検出している。第2のセンサ素子30は、図面では軸受7の左横に配置され、軸受応力Fの左方に作用する成分を検出している。第3のセンサ素子30は、図面では軸受7の上方に配置され、軸受応力Fの上方に作用する成分を検出している。第4のセンサ素子30は、図面では軸受7の右横に配置され、軸受応力Fの右方に作用する成分を検出している。検出された応力成分からは、作用する軸受応力の大きさと方向とが決定可能である。さらに、例えば軸受7に対する横方向応力のような障害量を消去すること、あるいは冗長的信号を生成することが可能である。
【0023】
図5乃至図9からさらに明らかなように、センサ素子30は、鋼製のセンサ基体部20を備えており、このセンサ基体部20は、例えば旋削加工により製造された高精度な外側輪郭24を有し、この外側輪郭24は、収容孔12,52.1の相応に成形された内側輪郭14内に圧入させるのに適している。この圧入を容易にさせるために、収容孔12,52.1の縁部およびセンサ基体部20の挿入すべき縁部にはそれぞれ1つの挿入用の傾斜16,26がつけられていてもよい。高精度な環状の外側輪郭24の下方には、圧入の際のストッパ22として使用可能である任意に成形された輪郭が存在している。図示の実施形態では、輪郭は六角形として構成されている。接合若しくは圧入の後、センサ素子30は、1つ以上の溶接点によってさらに固定可能である。
【0024】
鋼製のセンサ基体部20の上には、少なくとも絶縁層33(例えば酸化シリコン)と機能層32とからなる薄膜が存在している。機能層32としては、例えばニッケルクロム合金、白金、ポリシリコン、酸窒化チタンなどの圧抵抗材料が使用可能である。この機能層32からは、例えばウェットエッチング、ドライエッチング、レーザアブレーションなどのような好適な方法により、少なくとも4つの抵抗体34が構造化され、これらはホイートストンブリッジに相互接続されている。これらの抵抗体構造部34は、典型的には、蛇行状に形成され、それらが互いに直交する空間方向の膨張に対毎に感応するように配置されている。ブリッジおよび接触面38に対するリード導体36は、機能層32の平面内において、または付加的金属化面において実施可能である。さらに機能層32は、不動態化層(例えば窒化シリコン)または他の手段(例えばゲル化)によって保護することができる。
【0025】
図10および図11から明らかなように、センサ10Bは、本発明に係るセンサ装置1Bの図示の第3の実施形態では、センサ素子30を有し、そのセンサ基体部20は、支持構造部3の収容孔12内に直接圧入されている。さらにこのセンサ10Bは、図示の実施形態では、固有のハウジングを有していない。センサ素子30および関連する評価電子回路40の周辺環境の影響からの保護は、例えば変速機ハウジングによって保証され、この変速機ハウジングはここでは支持構造部3も含んでいる。センサ素子30および評価電子回路40のオイル飛散または摩耗からの保護は、保護ゲルまたは保護キャップによって行うことができる。センサ素子30は、そのセンサ基体部20を介して軸受7の近傍において変速機ハウジング内に圧入されるかまたは変速機内部の支持構造部3内に圧入される。接合若しくは圧入の後、このセンサ素子は、1つ以上の溶接点によって付加的に固定可能である。センサ素子30は、軸受応力に基づいて生じた材料膨張を検出し、この材料膨張を抵抗体構造部34から形成されたブリッジ回路を用いて出力電圧に変換する。センサ素子30は、例えばワイヤボンディングにより、例えばASIC(特定用途向け集積回路)として実施されている好適な評価回路44がその上に存在しているプリント基板42の内部接点48と接続されている。この評価回路44は、ブリッジ電圧を評価し、トルクに比例した出力信号を、電圧の形態(例えば0〜5V)、電流の形態(例えば4〜20mA)またはデジタルの形態で提供する。この信号は、外部接点46から、例えば蝋付けされたケーブルまたは差し込まれたケーブルによって取り出し可能である。センサ10B全体の電圧供給も、この外部接点46を介して行われる。ケーブルを介してこの信号は外部に案内することが可能であり、あるいは変速機ハウジング内に同じ様に統合された制御機器に転送可能である。
【0026】
図12乃至図14から明らかなように、これらの図示の実施形態におけるセンサ素子30は、ハウジング50,50Aを有している。このハウジング50,50Aは、用途において多くの利点を提供している。ハウジング50,50Aは、その圧入領域において、横方向の圧縮を、センサ素子30に伝達するように構成されている。センサ素子30は、センサ基体部20を介して、支持構造部52内の収容孔52.1内に圧入されており、この収容孔52.1は、ハウジング50,50Aのこの部分に対して径方向に延在すると共に外部応力Fの方向にも延在している。接合若しくは圧入の後、このセンサ素子30は、1つ以上の溶接点によってさらに固定可能である。
【0027】
センサ素子30および支持構造部52の領域では、ハウジング50,50Aは、高精度な外側輪郭54を有し、この外側輪郭54は、支持構造部3の相応に構成された収容孔12内に圧入させるのに適している。このように形成される摩擦結合は、軸受応力Fに基づき生じる圧縮を、センサハウジング50,50Aを介してセンサ基体部20に伝達すると共にセンサ素子30に伝達することをもたらす。図14からさらに明らかなように、センサハウジング50Aの外側輪郭54Aは、図示の実施形態では、センサ素子30の領域に、当該センサ素子30への応力Fの中央導入を達成するために、複数の凹部54.1を有している。
【0028】
図13および図14からさらに明らかなように、残りのハウジング50,50Aの部分の設計は比較的自由である。そこではただ、センサハウジング50,50Aを介してさらなる応力が信号パスに入力しないように注意を払うだけでよい。なぜならそれは、センサ装置IC,1Dの不所望な交差感度をもたらす可能性があるからである。このことは、センサハウジング50,50Aから他の構成要素へのさらなる接点を存在させない場合に、最良に達成される。配線を介した応力の導入も回避されるべきである。図13および図14からさらに明らかなように、ハウジング50,50Aは、図示の実施形態では実質的に、一方の側がカバー56により密封され、他方の側はプラグ58により密封される鋼製のスリーブからなっている。好適なプラグと共にそのような構成は気密に密閉して実施することも可能であり、そのため変速機オイル中での直接の使用も可能になる。センサ素子30は、材料膨張を、前述の実施形態と同様に抵抗体構造部34から形成されたブリッジ回路を用いて出力電圧に変換する。信号評価は、前述の実施形態と同様に行われる。プリント基板42が実質的に支持構造部3に対して平行に配置されている第3の実施形態とは異なり、第4および第5の実施形態では、プリント基板42Aが評価回路44Aと共に、支持構造部3に対して垂直にかつハウジング50,50A内部に配置されている。第3の実施形態と同様に、センサ素子30は、例えばワイヤボンディングにより、内部接点48Aと電気的に接続される。評価回路44Aの出力信号は、外部接点46Aとプラグ58とを介して出力可能である。
【0029】
本発明の実施形態は、回転可能に支持されたシャフトのトルクを間接的に検出するセンサ装置を提供し、このセンサ装置は、好ましくはドライブシャフトのトルクの低コストな検出が必要とされるあらゆるところで使用することが可能である。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14