(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498452
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】IC検査用ソケットおよびそれを用いた検査方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20140101AFI20190401BHJP
H01R 33/76 20060101ALI20190401BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
G01R31/26 J
H01R33/76 Z
G01R1/073 B
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-12542(P2015-12542)
(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公開番号】特開2015-166734(P2015-166734A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2017年11月2日
(31)【優先権主張番号】特願2014-25810(P2014-25810)
(32)【優先日】2014年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 清一
(72)【発明者】
【氏名】梅津 達生
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大樹
【審査官】
山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−142548(JP,A)
【文献】
特開2006−289483(JP,A)
【文献】
実開平03−017580(JP,U)
【文献】
実開昭59−014075(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 1/073
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージの特性試験と前記特性試験後の分別排出を行うIC検査用ソケットであって、
断面視において、前記半導体パッケージの排出口を挟んで第1の方向に向かい合う側面を有する対のソケットベースと、
前記対のソケットベース上に設けられ、平面視において前記排出口を挟んで前記第1の方向に互いに向かい合う第1の台形形状端部を有し、前記第1の台形形状端部に前記半導体パッケージを載置可能な段差を備え、前記第1の方向に可動する対の開閉式ガイドと、
前記排出口を挟んで前記第1の方向に対し垂直な第2の方向に互いに向かい合う第2の台形形状端部を有し、前記第1の台形形状端部の側面に前記第2の台形形状端部の側面が接するように設けられ、第2の方向に可動する対の開閉ユニットと、
前記対のソケットベースの向かい合う側面の上端に一端が取り付けられ、前記一端を中心に回転可能な分別弁と、
からなることを特徴とするIC検査用ソケット。
【請求項2】
前記分別弁には、前記ソケットベースに取り付けた分別弁レバーが接することを特徴とする請求項1に記載のIC検査用ソケット。
【請求項3】
前記排出口の下方に仕切り付き排出トレイを有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のIC検査用ソケット。
【請求項4】
IC検査用ソケットを用いた検査方法であって、
開閉式ガイドの互いに向かい合う対の段差を接近させる工程と、
前記開閉式ガイドの先端の段差上に半導体パッケージを載置する工程と、
前記半導体パッケージを電気特性試験する工程と、
前記開閉式ガイドの互いに向かい合う段差間距離が前記半導体パッケージの端子側外寸よりも大きくして、前記半導体パッケージを排出口に落下させる工程と、
前記電気特性試験における判定結果に基づいて、分別弁を回転駆動させ、前記半導体パッケージを分別排出する工程と、
からなることを特徴とするIC検査用ソケットを用いた検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はIC検査用ソケットに挿入した半導体パッケージを測定終了後、速やかにソケットから排出及び分別できる機構を備えたIC検査用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のIC検査用ソケットの断面図である。
半導体パッケージ2を固定し、接続を取るためのソケットは、手動の場合、ソケットベース12と上面の蓋13から構成される構造であり、蓋13を開けた開口部からピンセットなどで半導体パッケージ2をつまんで挿入し、ガイドにあわせて位置決めした後、開口部の蓋13を閉じることで半導体パッケージ2を固定する構造となっている。
【0003】
また、この構造のソケットから半導体パッケージ2を取り出すには、上面の蓋13を開き、ピンセットなどで半導体パッケージ2をつまんで、開口部から任意の場所へ移動させなければならない。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−195630公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
抜き取り検査においては上述のIC検査用ソケットを用いて、半導体集積回路(IC)の電気特性を測定することが多い。手動の場合、上述した構造のIC検査用ソケットを用いて、トレイに置かれた半導体パッケージを取出し、IC検査用ソケットへ挿入・排出し、任意のトレイに戻す場合、ピンセットで半導体パッケージをつかみ、IC検査用ソケットへの挿入、その後、取り出しをする動作とあわせ、ソケットとトレイの間で半導体パッケージをつかんだまま移動するという動作を繰り返す必要がある。このため、人が手動で1つの半導体パッケージをIC検査用ソケットにセットし、取り出すという一連の動作が完了するためには、所定の時間が必要だった。
【0006】
本発明のIC検査用ソケットは、IC検査用ソケットに挿入された半導体パッケージを、ソケットから取り出す動作とトレイに移動させる動作を容易にすることで、所定の時間を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明によるIC検査用ソケットは、半導体パッケージを排出する開閉ユニットと分別する分別弁を備え、開閉ユニットを動作させることで、半導体パッケージが下方向へ排出できる機構を備え、かつ任意の排出トレイへ収納する事とした。
【0008】
具体的には、以下の手段を用いた。
まず、半導体パッケージの特性試験と前記特性試験後の分別排出を行うIC検査用ソケットであって、前記半導体パッケージの排出口を挟んで向かい合う対のソケットベースと、前記ソケットベース上に設けられ、互いに向かい合う対の段差の上に前記半導体パッケージを載置する可動タイプの開閉式ガイドと、前記開閉式ガイドと接して、互いに向かい合う対の開閉ユニットと、前記ソケットベースの前記排出口側の上端に取り付けた分別弁と、からなることを特徴とするIC検査用ソケットとした。
【0009】
また、前記分別弁には、前記ソケットベースに取り付けた分別弁レバーが接することを特徴とするIC検査用ソケットとした。
また、前記排出口の下方に仕切り付き排出トレイを有することを特徴とするIC検査用ソケットとした。
【0010】
また、前記開閉式ガイドの互いに向かい合う対の段差を接近させる工程と、前記開閉式ガイドの先端の段差上に前記半導体パッケージを載置する工程と、前記半導体パッケージを電気特性試験する工程と、前記開閉式ガイドの互いに向かい合う段差間距離が半導体パッケージの端子側外寸よりも大きくして、前記半導体パッケージを前記排出口に落下させる工程と、前記電気特性試験における判定結果に基づいて、前記分別弁を回転駆動させ、前記半導体パッケージを分別排出する工程と、からなることを特徴とするIC検査用ソケットを用いた検査方法を用いた。
【0011】
また、互いに向かい合う対の前記開閉ユニットを接近させ、凹部を形成する工程と、
前記凹部に前記半導体パッケージを把持しながら挿入する工程と、前記開閉式ガイドの互いに向かい合う対の段差を接近させる工程と、前記開閉式ガイドの先端の段差上に前記半導体パッケージを載置する工程と、前記半導体パッケージを電気特性試験する工程と、前記開閉式ガイドの互いに向かい合う段差間距離が半導体パッケージの端子側外寸よりも大きくして、前記半導体パッケージを前記排出口に落下させる工程と、前記電気特性試験における判定結果に基づいて、前記分別弁を回転駆動させ、前記半導体パッケージを分別排出する工程と、からなることを特徴とするIC検査用ソケットを用いた検査方法を用いた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半導体パッケージを容易に排出および分別できる為、半導体パッケージをピンセットでつかむ動作や、つかんだままトレイへ移動させる動作がなくなり、半導体パッケージをIC検査用ソケットへ繰り返しセットし、取り出す時間を削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明のIC検査用ソケットの断面図である。
【
図2】本発明のIC検査用ソケットのIC電気特性試験時の上面図である。
【
図3】本発明のIC検査用ソケットのIC排出時の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施例であるIC検査用ソケットの構造を説明する断面図である。
IC検査用ソケット本体は、対のソケットベース1の上に、移動可能な開閉ユニット4および開閉式ガイド3を対で設けている。対の開閉式ガイド3が向かい合う先端には段差9が設けられ、開閉式ガイド3の先端と反対側の後端とソケットベース1の間にはバネ8を設け、開閉式ガイド3の開閉に合わせてバネ8が伸縮するように取り付けられている。
【0015】
図1は、バネ8が開閉式ガイドの後端を押し、対の開閉式ガイド3の先端の段差9が互いに接近した状態を示しており、対の開閉式ガイド3の先端の段差9上には半導体パッケージ2が保持されている。また、対のソケットベースの向かい合う面の上端には、上端を支点として回転駆動する分別弁5が取り付けられ、分別弁レバー6の動きに連動して分別弁5が動くようになっている。
図1は左側のソケットベース1に取り付けられた分別弁レバー6が対のソケットベース1が向かい合う面方向、すなわち排出口10方向に押し出され、それに合わせて分別弁5が動いて排出口10の一部を塞ぐ状態になっている。また、半導体パッケージ2の下方、すなわち排出口の下には仕切り11を設けた排出トレイ7が配置され、排出された半導体パッケージを分別して回収する機構となっている。
【0016】
図2は、本発明のIC検査用ソケットのIC電気特性試験時の上面図であって、
図1に示したIC検査用ソケットを上方から見た図である。
半導体パッケージ2は、左右の開閉式ガイド3が近接して、先端の段差9の上に支えられている。紙面上、半導体パッケージ2の上下に開閉ユニット4が所定の距離をおいて配置され、開閉ユニット4と開閉式ガイド3が各々の端部で接触する形状となっている。開閉ユニット4と開閉式ガイド3は、平面視的に台形形状となっており、各々の台形の側面が互いに接するようになっている。このような形状とすることで開閉ユニット4の開閉に応じて開閉式ガイド3が開閉することになる。
【0017】
半導体パッケージ2は、段差9上に載置された状態で、各種電気特性試験を行うために、半導体パッケージの端子配置に応じた接点が段差9上に設けられており、これを介して通電され、電気特性試験が行われることになる。
【0018】
図3は、本発明のIC検査用ソケットのIC排出時の上面図である。
ICの電気特性試験が終了すると、判定結果により分別されて半導体パッケージが排出されることになるが、その場合、半導体パッケージ2の上下に配置されている対の開閉ユニット4が上記所定の距離よりも接近すると、開閉ユニット4が開閉式ガイド3を左右に押し出して互いを遠ざけるように動き、バネ8が縮む。そして、互いの段差9間の距離が半導体パッケージ2の端子側外寸よりも大きくなって、半導体パッケージ2は排出口10から下方に落下することになる。
図1を参照して、半導体パッケージ2は電気特性試験結果に基づき、良品、不良品(カテゴリ別)に分別されるが、落下する途中にある分別弁5によって落下方向が制御され、所定の排出トレイに収納されることになる。
【0019】
なお、開閉ユニット4には可動範囲が設定されており、対の開閉ユニット4が互いに接近した場合でも半導体パッケージ2を損傷しないようにリミッタが付与されており、連動する開閉式ガイド3にも同様のリミッタが付与されている。
【0020】
先の半導体パッケージが排出及び分別されると、
図2のように、開閉ユニット4が所定の距離に戻り、開閉式ガイド3の先端の段差9が接近し、次の半導体パッケージ2を段差9上に載置して電気特性試験を行うことになる。
【0021】
あるいは、
図3のような、上下の開閉ユニット4が接近して形成された凹部に次の半導体パッケージを把持したまま半分程度挿入し、次いで、
図2のように、上下の開閉ユニット4を所定の距離に戻し、接近した開閉式ガイド3の段差9上に半導体パッケージを載置して電気特性試験を行うという手順でも構わない。この場合は、上下の開閉ユニット4によって半導体パッケージ2の位置が規定できるという効果が得られる。
【0022】
以上説明した本発明の実施例によれば、半導体パッケージを容易に排出および分別できる為、半導体パッケージをピンセットでつかむ動作や、つかんだままトレイへ移動させる動作がなくなり、半導体パッケージをIC検査用ソケットへ繰り返しセットし、取り出す時間を削減できる。
【符号の説明】
【0023】
1 ソケットベース
2 半導体パッケージ
3 開閉式ガイド
4 開閉ユニット
5 分別弁
6 分別弁レバー
7 排出トレイ
8 バネ
9 段差
10 排出口
11 仕切り
12 ソケットベース
13 蓋