特許第6498564号(P6498564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6498564処理装置、基板検査装置、処理方法および基板検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498564
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】処理装置、基板検査装置、処理方法および基板検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20190401BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20190401BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   G01R31/02
   G01R31/28 K
   H05K3/00 P
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-162420(P2015-162420)
(22)【出願日】2015年8月20日
(65)【公開番号】特開2017-40557(P2017-40557A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】小河原 豪
【審査官】 永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−249368(JP,A)
【文献】 特開平4−315557(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0130826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
G01R 31/28
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のマークが設けられると共に設計上の外形が長方形をなす検査対象基板を検査場所に配置した配置状態において当該検査対象基板の当該マークの位置を測定した第1位置と、前記検査対象基板を設計どおりに形成した基準基板を前記検査場所の基準位置に配置した基準状態における前記マークの位置である第2位置と、前記基準状態の前記基準基板における測定用プローブを接触させる接触位置である第3位置とに基づき、前記検査対象基板における前記第3位置に対応する第4位置を特定する処理を実行する処理部を備えた処理装置であって、
前記処理部は、前記検査対象基板の外形である四角形における連続する3つの辺に相当する3つのベクトルを含んで構成される数式であって3つの前記マークについての前記第1位置および前記第2位置を代入して当該各ベクトルを求めて作成した当該数式に前記第3位置を代入して第5位置を求め、前記3つのマークを除く他の1つの前記マークについての前記第1位置および前記第2位置に基づいて前記配置状態における前記検査対象基板の前記基準位置からの位置ずれ量を求め、当該位置ずれ量で前記第5位置を補正して前記第4位置を特定する処理装置。
【請求項2】
前記第1位置を測定する測定部を備えている請求項1記載の処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の処理装置と、前記測定用プローブを移動させる移動機構と、当該移動機構を制御して前記処理装置によって特定された前記第4位置に前記測定用プローブを接触させる制御部と、前記測定用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて前記検査対象基板を検査する検査部とを備えている基板検査装置。
【請求項4】
複数のマークが設けられると共に設計上の外形が長方形をなす検査対象基板を検査場所に配置した配置状態において当該検査対象基板の当該マークの位置を測定した第1位置と、前記検査対象基板を設計どおりに形成した基準基板を前記検査場所の基準位置に配置した基準状態における前記マークの位置である第2位置と、前記基準状態の前記基準基板における測定用プローブを接触させる接触位置である第3位置とに基づき、前記検査対象基板における前記第3位置に対応する第4位置を特定する処理を実行する処理方法であって、
前記検査対象基板の外形である四角形における連続する3つの辺に相当する3つのベクトルを含んで構成される数式であって3つの前記マークについての前記第1位置および前記第2位置を代入して当該各ベクトルを求めて作成した当該数式に前記第3位置を代入して第5位置を求め、前記3つのマークを除く他の1つの前記マークについての前記第1位置および前記第2位置に基づいて前記配置状態における前記検査対象基板の前記基準位置からの位置ずれ量を求め、当該位置ずれ量で前記第5位置を補正して前記第4位置を特定する処理方法。
【請求項5】
請求項4記載の処理方法によって特定した前記第4位置に前記測定用プローブを接触させ、前記測定用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて前記検査対象基板を検査する基板検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象基板における測定用プローブを接触させる接触位置を特定する処理を実行する処理装着、その処理装着を備えた基板検査装置、検査対象基板における測定用プローブを接触させる接触位置を特定する処理を実行する処理方法、およびその処理方法を用いる基板検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の基板検査装置として、下記特許文献1において出願人が開示した回路基板検査装置が知られている。この回路基板検査装置は、被検査基板を保持する保持部と、ガイドレール部および可動アーム部等を有して2つのプローブを移動させる機構とを備えて、被検査基板の測定ポイントにプローブを接触させて被検査基板の検査を実行可能に構成されている。また、この回路基板検査装置では、被検査基板に配設されている3つの基準位置マークを位置補正用カメラで撮像して基準位置マークの位置を測定し、基準位置マークの設計上の位置と測定した位置との差に基づいて基板や実装部品の位置ずれを特定して、プローブを移動させる際の移動量の補正を行うことで、測定ポイントにプローブを接触させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3509040号公報(第3−5頁、第1−8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の回路基板検査装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この回路基板検査装置では、3つの基準位置マークを測定することで、基板や実装部品の位置ずれを特定することが可能となっている。しかしながら、上記の回路基板検査装置が行っている処理では、基板の線形変換(拡大縮小、剪断、回転)および平行移動による位置ずれを補正することができるものの、基板自体が変形しているとき、具体的には、設計どおりに形成されているときには長方形をなす基板が、対向する2組の辺がいずれも平行ではなく、かつ隣り合う辺同士がいずれも直交しない形状に変形しているときには、位置ずれを補正して正しい測定ポイントを特定することが困難であるという課題が存在する。
【0005】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、検査対象基板が変形している場合においても測定用プローブの接触位置を正確に特定し得る処理装置、基板検査装置、処理方法および基板検査方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の処理装置は、複数のマークが設けられると共に設計上の外形が長方形をなす検査対象基板を検査場所に配置した配置状態において当該検査対象基板の当該マークの位置を測定した第1位置と、前記検査対象基板を設計どおりに形成した基準基板を前記検査場所の基準位置に配置した基準状態における前記マークの位置である第2位置と、前記基準状態の前記基準基板における測定用プローブを接触させる接触位置である第3位置とに基づき、前記検査対象基板における前記第3位置に対応する第4位置を特定する処理を実行する処理部を備えた処理装置であって、前記処理部は、前記検査対象基板の外形である四角形における連続する3つの辺に相当する3つのベクトルを含んで構成される数式であって3つの前記マークについての前記第1位置および前記第2位置を代入して当該各ベクトルを求めて作成した当該数式に前記第3位置を代入して第5位置を求め、前記3つのマークを除く他の1つの前記マークについての前記第1位置および前記第2位置に基づいて前記配置状態における前記検査対象基板の前記基準位置からの位置ずれ量を求め、当該位置ずれ量で前記第5位置を補正して前記第4位置を特定する。なお、長方形には正方形が含まれるものとする。
【0007】
また、請求項2記載の処理装置は、請求項1記載の処理装置において、前記第1位置を測定する測定部を備えている。
【0008】
また、請求項3記載の基板検査装置は、請求項1または2記載の処理装置と、前記測定用プローブを移動させる移動機構と、当該移動機構を制御して前記処理装置によって特定された前記第4位置に前記測定用プローブを接触させる制御部と、前記測定用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて前記検査対象基板を検査する検査部とを備えている。
【0009】
また、請求項4記載の処理方法は、複数のマークが設けられると共に設計上の外形が長方形をなす検査対象基板を検査場所に配置した配置状態において当該検査対象基板の当該マークの位置を測定した第1位置と、前記検査対象基板を設計どおりに形成した基準基板を前記検査場所の基準位置に配置した基準状態における前記マークの位置である第2位置と、前記基準状態の前記基準基板における測定用プローブを接触させる接触位置である第3位置とに基づき、前記検査対象基板における前記第3位置に対応する第4位置を特定する処理を実行する処理方法であって、前記検査対象基板の外形である四角形における連続する3つの辺に相当する3つのベクトルを含んで構成される数式であって3つの前記マークについての前記第1位置および前記第2位置を代入して当該各ベクトルを求めて作成した当該数式に前記第3位置を代入して第5位置を求め、前記3つのマークを除く他の1つの前記マークについての前記第1位置および前記第2位置に基づいて前記配置状態における前記検査対象基板の前記基準位置からの位置ずれ量を求め、当該位置ずれ量で前記第5位置を補正して前記第4位置を特定する。
【0010】
また、請求項5記載の基板検査方法は、請求項4記載の処理方法によって特定した前記第4位置に前記測定用プローブを接触させ、前記測定用プローブを介して入出力する電気信号に基づいて前記検査対象基板を検査する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の処理装置、請求項3記載の基板検査装置、請求項4記載の処理方法、および請求項5記載の基板検査方法では、処理部が、3つのマークの第1位置および第2位置を代入して求めた検査対象基板の3辺に相当する各ベクトルを含んで構成される数式に第3位置を代入して第5位置を求め、1つのマークの第1位置および第2位置に基づいて求めた検査対象基板の位置ずれ量で第5位置を補正して第4位置を特定する。このようにして第4位置を特定することにより、この処理装置、基板検査装置、処理方法、および基板検査方法によれば、検査対象基板が変形している場合においても、第4位置を正確に特定することができる。したがって、この基板検査装置および基板検査方法によれば、各第4位置に各プローブを確実に接触させることができる結果、物理量の測定、およびその物理量に基づく検査対象基板の検査を正確に行うことができる。
【0012】
また、請求項2記載の処理装置、および請求項3記載の基板検査装置によれば、測定部が第1位置を測定することにより、第1位置を測定する処理とその第1位置を用いて第4位置を特定する処理を一貫して行うことができるため、例えば、処理装置や基板検査装置以外の外部装置を用いて第1位置を測定する構成と比較して、処理効率を十分に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
図2】保持台21に配置された検査対象基板50aの平面図である。
図3】保持台21に配置された基準基板50bの平面図である。
図4】特定処理70のフローチャートである。
図5】特定処理70を説明する第1の説明図である。
図6】特定処理70を説明する第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る処理装置、基板検査装置、処理方法および基板検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、基板検査装置の一例としての図1に示す基板検査装置1の構成について説明する。基板検査装置1は、同図に示すように、基板保持部2、移動機構3、カメラ4、一対のプローブ5、記憶部6および処理部7を備えて、後述する基板検査方法に従って基板50(図2,3も参照)を検査可能に構成されている。なお、移動機構3、カメラ4、記憶部6および処理部7により、後述する特定処理70(処理方法に従った処理)を実行する処理装置が構成される。
【0016】
ここで、基板50は、図3に示すように、設計どおりに形成されたときの外形が長方形をなすように構成されている。また、基板50には、図2,3に示すように、基板50の位置や形状を特定する際に用いる複数(例えば、4つ)のマークMが予め設けられている。また、基板50には、検査の際にプローブ5を接触させるべき複数の接触位置(図3に示す複数の第3位置P3)が規定されている。なお、以下の説明において、設計どおりに形成された基板50(理論上の基板)を基準基板50b(図3参照)ともいい、検査対象の基板50(実基板)を検査対象基板50a(図2参照)ともいう。
【0017】
基板保持部2は、基板50が配置される保持台21(図2参照)と、保持台21に配置された基板50を固定する図外の固定部とを備えて、基板50を保持可能に構成されている。移動機構3は、ガイドレール、スライダおよび上下動機構(いずれも図示を省略する)を備えて構成され、処理部7の制御に従い、カメラ4およびプローブ5を移動させる。
【0018】
カメラ4は、処理部7の制御に従って検査対象基板50aのマークMを撮像する。プローブ5は、移動機構3によって移動させられて、検査対象基板50aにおける第4位置P4(上記した第3位置P3に対応する位置:図2参照)に先端部が接触させられる。
【0019】
記憶部6は、各種のデータを記憶する。具体的には、記憶部6には、処理部7によって実行される特定処理70(図4参照)において用いられる第2位置データD2および第3位置データD3が予め記憶されている。この場合、第2位置データD2は、図3に示すように、基板保持部2における保持台21(検査場所に相当する)の規定位置に配置された状態(以下、「基準状態」ともいう)の基準基板50bにおけるマークMの位置(設計上の位置)である第2位置P2を示すデータである。また、第3位置データD3は、基準状態の基準基板50bにおけるプローブ5を接触させるべき接触位置である複数の第3位置P3(同図参照)を示すデータである。
【0020】
また、記憶部6は、特定処理70を実行する過程で処理部7によって生成される第1位置データD1、第4位置データD4、第5位置データD5を記憶する。この場合、第1位置データD1は、図2に示すように、基板保持部2の保持台21に配置した状態(以下、「配置状態」ともいう)の検査対象基板50aにおけるマークMの位置(処理部7によって測定される位置)である第1位置P1を示すデータである。また、第4位置データD4は、上記した各第3位置P3にそれぞれ対応する検査対象基板50aにおける位置である第4位置P4を示すデータであり、第5位置データD5は、第4位置P4を求めるために特定処理70において求められる第5位置P5を示すデータである。
【0021】
処理部7は、制御部として機能し、移動機構3によるカメラ4およびプローブ5の移動を制御する。また、処理部7は、検査部として機能し、プローブ5を介して入出力する電気信号に基づいて検査対象基板50aを検査する。また、処理部7は、移動機構3およびカメラ4と共に測定部として機能し、検査対象基板50aに設けられているマークMの位置である第1位置P1を測定する測定処理を実行する。また、処理部7は、検査対象基板50aを検査する際に、図4に示す特定処理70(処理方法に従った処理)を実行して、第4位置P4を特定する。
【0022】
次に、基板検査装置1を用いて検査対象基板50aを検査する基板検査方法、およびその際の基板検査装置1を構成する各構成要素の動作について、図面を参照して説明する。
【0023】
最初に、検査対象基板50aを基板保持部2に保持させる。具体的には、図2に示すように、基板保持部2における保持台21に検査対象基板50aを配置し、次いで図外の固定部で基板50を固定する。
【0024】
続いて、図外の操作部を操作して、検査の開始を指示する。これに応じて、処理部7は、第4位置P4を特定する特定処理70(図4参照)を実行する。この特定処理70では、処理部7は、4つのマークMの第1位置P1を測定する測定処理を実行する(ステップ71)。この測定処理では、処理部7は、カメラ4を制御して撮像を開始させると共に、移動機構3を制御して、カメラ4の中心(撮像画像の中心)が検査対象基板50aにおけるマークMの中心と一致するようにマークMの上方にカメラ4を移動させる。また、処理部7は、移動機構3によるカメラ4の移動距離に基づいてマークMの第1位置P1を測定する。以下、同様にして、処理部7は、各マークMの第1位置P1を測定し、各第1位置P1を示す第1位置データD1を生成して記憶部6に記憶させる。
【0025】
次いで、処理部7は、各マークMについての第2位置データD2を記憶部6から読み出す(ステップ72)。続いて、処理部7は、第4位置データD4の特定に必要な第5位置P5を求めるための数式(1)を作成する(ステップ73)。
【0026】
ここで、図6に示すように、基準基板50bの外形である長方形の辺Abが水平で、辺Ab,Cbの交点ACbが基準点P0(保持台21上に設けられた点)に位置している基準状態であると仮定したときの基準基板50bにおける任意の点Pfの位置を位置Pbとする。また、図5に示すように、検査対象基板50aの外形である四角形の辺Aaが水平で、辺Aa,Caの交点ACaが基準点P0に位置している基準状態であると仮定する。一方、同図に示すように、検査対象基板50aが変形している(長方形ではない)ときには、基準基板50bにおける上記した点Pfの位置Paは、位置Pbとは異なることとなる。この場合、図5に示すように、上記した検査対象基板50aの四角形における連続する3つの辺Aa,Ba,Caに相当する3つのベクトル↑α,↑β,↑γ(「↑」は、ベクトルを表す)を想定し、図6に示すように、上記した基準基板50bの長方形の辺Ab,CbをそれぞれX軸、Y軸とする直交座標系における位置PbのXY座標をxb,ybとすると、検査対象基板50aにおける点Pfの位置Paは、次の数式(1)で表される。
Pa(xa,ya)=xb・↑α+yb・↑γ+xb・yb・(↑β−↑α)・・・・数式(1)
【0027】
上記の数式(1)では、3つのベクトル↑α,↑β,↑γが含まれている。このため、これらを変数とする3つの方程式からなる連立方程式を解いてベクトル↑α,↑β,↑γを求めることで、基準基板50bにおける任意の点Pfの位置Pb(XY座標)から、検査対象基板50aの点Pfの位置Pa(XY座標)を求めることが可能な上記数式(1)を作成することができる。
【0028】
上記の連立方程式を構成する3つの方程式を作成するには、4つのマークMのうちの3つのマークM(例えば、図2,3における左下のマークMを除く3つのマークM)の第1位置P1および第2位置P2を用いる。まず、これらの3つのマークMのうちの1つのマークMについての第1位置データD1を記憶部6から読み出して、その第1位置データD1に示される第1位置P1を上記の数式(1)のPaに代入すると共に、ステップ72で読み出したそのマークMについての第2位置データD2に示される第2位置P2のXY座標を数式(1)のxb,ybに代入して1つの方程式を作成し、次いで、同様にして、上記した3つのマークMのうちの他の2つのマークMについての第1位置P1および第2位置P2を数式(1)にそれぞれ代入して2つの方程式を作成する。
【0029】
続いて、上記した3つの方程式からなる連立方程式を解いてベクトル↑α,↑β,↑γを求める。これにより、第4位置データD4の特定に必要な第5位置P5を求めるための数式としての数式(1)が作成される。
【0030】
次いで、処理部7は、第3位置データD3を記憶部6から読み出す(ステップ74)。続いて、処理部7は、第3位置データD3に示される複数の第3位置P3のXY座標を上記の数式(1)のxb,ybに代入して、各第3位置P3にそれぞれ対応する第5位置P5(この場合、数式(1)のPaが第5位置P5となる)を算出して(ステップ75)、第5位置P5を示す第5位置データD5を生成して記憶部6に記憶させる。
【0031】
次いで、処理部7は、各第5位置P5から各第4位置P4を特定する(ステップ76)。この場合、上記の数式(1)は、検査対象基板50aおよび基準基板50bの双方が基準状態である(検査対象基板50aの交点ACaおよび基準基板50bの交点ACbが共に基準点P0に位置している)ことを前提としている。このため、検査対象基板50aの交点ACaが基準点P0から離間した位置に位置しているとき、つまり、図2に示すように、検査対象基板50aが基準位置から位置ずれして、基準状態ではないときには、上記した連立方程式の作成に用いた3つのマークMを除く他の1つのマークM(この例では、図2,3における左下のマークM)の第1位置P1および第2位置P2に基づいて位置ずれ量L(同図参照)を求め、その位置ずれ量Lで各第5位置P5を補正して各第4位置P4を特定する。
【0032】
続いて、処理部7は、第4位置P4を示す第4位置データD4を生成して(ステップ77)、記憶部6に記憶させ、特定処理70を終了する。
【0033】
次いで、処理部7は、最初に接触させるべき一対の第4位置P4の第4位置データD4を記憶部6から読み出し、続いて、移動機構3を制御して、各第4位置P4に各プローブ5をそれぞれ接触させる。この場合、この基板検査装置1では、上記した特定処理70によって第4位置P4を特定しているため、検査対象基板50aが変形している場合においても、第4位置P4を正確に特定することができる。したがって、この基板検査装置1では、各第4位置P4に各プローブ5を確実に接触させることが可能となっている。
【0034】
次いで、処理部7は、測定処理を実行する。この測定処理では、処理部7は、各プローブ5を介して測定用の電気信号(例えば、電流)を各第4位置P4に供給すると共に、測定用の電気信号の供給に伴って各プローブ5を介して入力した電気信号(例えば、電圧)に基づいて物理量(例えば、抵抗)を測定する。続いて、処理部7は、測定した物理量に基づいて検査対象基板50aを検査する。この場合、この基板検査装置1では、上記したように各第4位置P4に各プローブ5を確実に接触させることが可能となっているため、物理量の測定、およびその物理量に基づく検査対象基板50aの検査を正確に行うことが可能となっている。
【0035】
このように、この処理装置、基板検査装置1、処理方法および基板検査方法では、処理部7が、3つのマークMの第1位置P1および第2位置P2を代入して求めた検査対象基板50aの3辺に相当する各ベクトル↑α,↑β,↑γを含んで構成される数式(1)に第3位置P3を代入して第5位置P5を求め、1つのマークMの第1位置P1および第2位置P2に基づいて求めた検査対象基板50aの位置ずれ量Lで第5位置P5を補正して第4位置P4を特定する。このようにして第4位置P4を特定することにより、この処理装置、基板検査装置1、処理方法および基板検査方法によれば、検査対象基板50aが変形している場合においても、第4位置P4を正確に特定することができる。したがって、この基板検査装置1によれば、各第4位置P4に各プローブ5を確実に接触させることができる結果、物理量の測定、およびその物理量に基づく検査対象基板50aの検査を正確に行うことができる。
【0036】
また、この処理装置、基板検査装置1、処理方法および基板検査方法によれば、移動機構3、カメラ4および処理部7によって構成される測定部が第1位置P1を測定することにより、第1位置P1を測定する処理とその第1位置P1を用いて第4位置P4を特定する処理を一貫して行うことができるため、例えば、処理装置や基板検査装置1以外の外部装置を用いて第1位置P1を測定する構成および方法と比較して、処理効率を十分に向上させることができる。
【0037】
なお、処理装置、基板検査装置1、処理方法および基板検査方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、上記の例では、特定処理70において、4つのマークMの第1位置P1を測定し、そのうちの1つのマークMの第1位置P1に基づいて求めた位置ずれ量で第5位置P5を補正して第4位置P4を特定しているが、5つ以上のマークMの第1位置P1を測定し、数式(1)の作成に用いる3つのマークM以外の2つ以上のマークMの第1位置P1に基づいて位置ずれ量を求めて、第5位置P5を補正する構成および方法を採用することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 基板検査装置
2 基板保持部
3 移動機構
4 カメラ
5 プローブ
7 処理部
21 保持台
50a 検査対象基板
50b 基準基板
70 特定処理
L 位置ずれ量
M マーク
P0 基準点
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
P4 第4位置
↑α,↑β,↑γ ベクトル
図1
図2
図3
図4
図5
図6