(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1設定部は、前記操作部材の操作が行われた場合には、前記制御弁に付与するパイロット圧を当該操作部材の操作に応じた圧力に設定する請求項1、3、5のいずれかに記載の作業機の油圧システム。
前記第2設定部は、前記操作部材の操作が行われた場合には、前記制御弁の開度を、当該操作部材の操作に応じた開度に設定する請求項2、4、6のいずれかに記載の作業機の油圧システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図15は、本発明に係る作業機の側面図を示している。
図15では、作業機の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0019】
作業機1は、
図15,
図16に示すように、作業機1は、機体2と、キャビン3と、作業装置4と、走行装置5とを備えている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(
図15の左側)を前方、運転者の後側(
図15の右側)を後方、運転者の左側(
図15の手前側)を左方、運転者の右側(
図15の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0020】
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3には運転席8が設けられている。作業装置4は機体2に装着されている。走行装置5は、機体2の外側に設けられている。機体2内の後部には、原動機が搭載されている。
作業装置4は、ブーム10と、作業具11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ15とを有している。
【0021】
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
【0022】
左側及び右側の各ブーム10の前部同士は、異形の連結パイプで連結されている。各ブーム10の基部(後部)同士は、円形の連結パイプで連結されている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
【0023】
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸18(第3枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸19(第4枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
【0024】
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸20(第5枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸21(第6枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
【0025】
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
【0026】
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具が装着可能とされている。別の作業具としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。
左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の第1管材とを接続する装置である。具体的には、接続部材50の一端には、第1管材が接続可能で、他端には、予備アタッチメントの油圧機器に接続された第2管材が接続可能である。これにより、第1管材を流れる作動油は、第2管材を通過して油圧機器に供給される。
【0027】
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
左側及び右側の各走行装置5は、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置を採用してもよい。
【0028】
次に、本発明に係る作業機の油圧システムについて説明する。
図1及び
図2に示すように、油圧システムは、走行系油圧システム30Aと、作業系油圧システム30Bとに大別することができる。
走行系油圧システム30Aについて説明する。
図1に示すように、走行系油圧システム30Aは、主に、左走行モータ装置(第1走行モータ装置)31Lと、右走行モータ装置(第2走行モータ装置)31Rとを駆動するシステムである。また、走行系油圧システム30Aは、原動機32と、方向切換弁33と、第1油圧ポンプP1と、第1走行モータ装置31Lと、第2走行モータ装置31Rと、油圧装置34とを備えている。
【0029】
原動機32は、電気モータ、エンジン等から構成されている。この実施形態では、原動機32はエンジンである。第1油圧ポンプP1は、原動機32の動力によって駆動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。特に、第1油圧ポンプP1は、主に制御に用いる作動油を吐出する。説明の便宜上、作動油を貯留するタンク22のことを作動油タンクということがある。また、第1油圧ポンプP1から吐出した作動油のうち、制御用として用いられる作動油のことをパイロット油、パイロット油の圧力のことをパイロット圧ということがある。
【0030】
第1油圧ポンプP1の吐出側には、作動油(パイロット油)を流す吐出油路(第5油路)40が設けられている。吐出油路40には、フィルタ35、方向切換弁33、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rが設けられている。フィルタ35と方向切換弁33との間には、吐出油路40から分岐したチャージ油路41が設けられている。このチャージ油路41は、油圧装置34に至っている。
【0031】
方向切換弁33は、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rの回転を変更する電磁弁であって、励磁により第1位置33aと第2位置33bとに切り換え可能な二位置切換弁である。方向切換弁33の切換え操作は、図示省略の操作部材等によって行う。
第1走行モータ装置31Lは、機体2の左側に設けられた走行装置5の駆動軸に動力を伝達するモータである。第2走行モータ装置31Rは、機体2の右側に設けられた走行装置の駆動軸に動力を伝達するモータである。
【0032】
第1走行モータ装置31Lは、HSTモータ(走行モータ)36と、斜板切換シリンダ37と、走行制御弁(油圧切換弁)38Aとを有している。HSTモータ36は、斜板形可変容量アキシャルモータあって、車速(回転)を1速或いは2速に変更することができるモータである。
斜板切換シリンダ37は、伸縮によってHSTモータ36の斜板の角度を変更するシリンダである。走行制御弁38Aは、斜板切換シリンダ37を一方側或いは他方側に伸縮させる弁であって、第1位置38a及び第2位置38bに切り換わる二位置切換弁である。この走行制御弁38Aの切換え操作は、当該走行制御弁38Aに接続された上流側に位置する方向切換弁33によって行われる。
【0033】
以上、第1走行モータ装置31Lによれば、操作部材の操作によって方向切換弁33を第1位置33aにした場合、方向切換弁33と走行制御弁38Aとの間における区間においてパイロット油が抜け、走行制御弁38Aが第1位置38aに切換えられる。その結果、斜板切換シリンダ37が縮み、HSTモータ36は1速状態になる。また、操作部材の操作によって方向切換弁33を第2位置33bにした場合、方向切換弁33を通じて走行制御弁38Aにパイロット油が供給され、走行制御弁38Aが第2位置38bに切換えられる。その結果、斜板切換シリンダ37が延び、HSTモータ36は2速状態になる。
【0034】
なお、第2走行モータ装置31Rも第1走行モータ装置31Lと同様に作動する。第2走行モータ装置31Rの構成及び作動は、第1走行モータ装置31Lと同様であるため説明を省略する。
油圧装置34は、第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rを駆動する装置であって、第1走行モータ装置31Lの駆動用の駆動回路(左用駆動回路)34Lと、第2走行モータ装置31Rの駆動用の駆動回路(右用駆動回路)34Rとを有している。
【0035】
駆動回路34L、34Rは、それぞれHSTポンプ(走行油圧ポンプ)53と、変速用油路57h,57iと、第2チャージ油路57jとを有している。変速用油路57h,57iは、HSTポンプ53とHSTモータ36とを接続する油路である。第2チャージ油路57jは、変速用油路57h,57iに接続され、第1油圧ポンプP1からの作動油を変速用油路57h,57iに補充する油路である。
【0036】
HSTポンプ53は、原動機32の動力によって駆動される斜板形可変容量アキシャルポンプである。HSTポンプ53は、パイロット圧が作用する前進用受圧部53aと後進用受圧部53bとを有している、受圧部53a、53bに作用するパイロット圧によって斜板の角度が変更される。斜版の角度を変更することによって、HSTポンプ53の出力(作動油の吐出量)や作動油の吐出方向を変えることができる。
【0037】
HSTポンプ53の出力や作動油の吐出方向の変更は、運転席8の周囲に設けられた走行レバー54によって行うことができる。走行レバー54は、中立位置から、前後左右と前後左右の間の斜め方向に傾動可能に支持されている。走行レバー54には、吐出油路(第5油路)40が接続され、第1油圧ポンプP1からの作動油(パイロット油)が供給可能である。走行レバー54を傾動操作することにより、走行レバー54の下部に設けられたパイロット弁(操作弁)55を操作することができる。
【0038】
走行レバー54を前側に傾動させると、前進用パイロット弁55Aが操作されて当該前進用パイロット弁55Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、左用駆動回路34Lの前進用受圧部53a及び右用駆動回路34Rの前進用受圧部53aに作用する。これによりHSTモータ36の出力軸が走行レバー54の傾動量に比例した速度で正転(前進回転)して作業機1が前方に直進する。
【0039】
また、走行レバー54を後側に傾動させると、後進用パイロット弁55Bが操作されて当該後進用パイロット弁55Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、左用駆動回路34Lの後進用受圧部53b及び右用駆動回路34Rの後進用受圧部53bに作用する。これによりHSTモータ36の出力軸が走行レバー54の傾動量に比例した速度で逆転(後進回転)して作業機1が後方に直進する。
【0040】
また、走行レバー54を右側に傾動させると、右旋回用パイロット弁55Cが操作されて当該右旋回用パイロット弁55Cからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は左用駆動回路34Lの前進用受圧部53a及び右用駆動回路34Rの後進用受圧部53bにも作用する。これにより、左側のHSTモータ36の出力軸が正転し且つ右側のHSTモータ36の出力軸が逆転して作業機1が右側に旋回する。
【0041】
走行レバー54を前側に傾動させると、前進用パイロット弁55Aが操作されて当該前進用パイロット弁55Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、左用駆動回路34Lの前進用受圧部53a及び右用駆動回路34Rの前進用受圧部53aに作用する。これによりHSTモータ36の出力軸が走行レバー54の傾動量に比例した速度で正転(前進回転)して作業機1が前方に直進する。
【0042】
また、走行レバー54を後側に傾動させると、後進用パイロット弁55Bが操作されて当該後進用パイロット弁55Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、左用駆動回路34Lの後進用受圧部53b及び右用駆動回路34Rの後進用受圧部53bに作用する。これによりHSTモータ36の出力軸が走行レバー54の傾動量に比例した速度で逆転(後進回転)して作業機1が後方に直進する。
【0043】
また、走行レバー54を右側に傾動させると、右旋回用パイロット弁55Cが操作されて当該右旋回用パイロット弁55Cからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は左用駆動回路34Lの前進用受圧部53a及び右用駆動回路34Rの後進用受圧部53bにも作用する。これにより、左側のHSTモータ36の出力軸が正転し且つ右側のHSTモータ36の出力軸が逆転して作業機1が右側に旋回する。
【0044】
また、走行レバー54を左側に傾動させると、左旋回用パイロット弁55Dが操作されて当該左旋回用パイロット弁55Dからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、右用駆動回路34Rの前進用受圧部53a及び左用駆動回路34Lの後進用受圧部53bにも作用する。これにより、右側のHSTモータ36の出力軸が正転し且つ左側のHSTモータ36の出力軸が逆転して作業機1が左側に旋回する。
【0045】
また、走行レバー54を斜め方向に傾動させると、各駆動回路の前進用受圧部53aと後進用受圧部53bとに作用するパイロット圧の差圧によって、HSTモータ36の出力軸の回転方向及び回転速度が決定され、作業機が前進又は後進しながら右旋回又は左旋回する。
作業系油圧システム30Bについて説明する。
【0046】
図2に示すように、作業系油圧システム30Bは、ブーム10、バケット11、予備アタッチメント等を作動させるシステムであって、複数の制御弁56と、作業系油圧ポンプ(第2油圧ポンプ)P2を備えている。
第2油圧ポンプP2は、第1油圧ポンプP1とは異なる位置に設置されたポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、作動油タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。特に、第2油圧ポンプP2は、主に油圧アクチュエータを作動させる作動油を吐出する。
【0047】
第2油圧ポンプP2の吐出側には、メイン油路(油路)39が設けられている。このメイン油路39には、複数の制御弁56が接続されている。制御弁56は、パイロット油のパイロット圧によって作動油の流す方向を切換可能な弁である。また、制御弁56は、油圧機器を制御可能な弁である。油圧機器とは、例えば、ブーム、バケット、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の油圧装置を制御(駆動)するための機器であって、例えば、油圧シリンダ、油圧モータ等である。
【0048】
図2に示すように、複数の制御弁56は、第1制御弁56A、第2制御弁56B、第3制御弁56Cである。第1制御弁56Aは、ブームを制御する油圧シリンダ(ブームシリンダ)14を制御する弁である。第2制御弁56Bは、バケットを制御する油圧シリンダ(バケットシリンダ)15を制御する弁である。第3制御弁56Cは、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等の予備アタッチメントに装着された油圧機器(油圧シリンダ、油圧モータ)を制御する弁である。
【0049】
第1制御弁56A、第2制御弁56Bは、それぞれパイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。第1制御弁56A、第2制御弁56Bは、パイロット圧によって、中立位置、中立位置とは異なる第1位置、中立位置及び第1位置とは異なる第2位置に切り換わる。
第1制御弁56Aには、油路を介してブームシリンダ14が接続され、第2制御弁56Bには、油路を介してバケットシリンダ15が接続されている。
【0050】
ブーム10、バケット11の操作は、運転席8の周囲に設けられた操作レバー58によって行うことができる。操作レバー58は、中立位置から、前後、左右、斜め方向に傾動可能に支持されている。操作レバー58を傾動操作することにより、操作レバー58の下部に設けられた複数のパイロット弁(操作弁)59A、59B、59C、59Dを操作することができる。パイロット弁59A、59B、59C、59Dと第1油圧ポンプP1とは、吐出油路(第5油路)40によって接続されている。また、パイロット弁59A、59B、59C、59Dは、作動油タンク22に接続する排出ポート(ポート)を有し、排出油路42を介して作動油タンク22に接続されている。
【0051】
複数のパイロット弁(操作弁)59A、59B、59C、59Dと複数の制御弁56とは、複数の油路(第6油路)43a、43b、43c、43dによって互いに接続されている。具体的には、パイロット弁59Aは、第6油路43aを介して第1制御弁56Aに接続されている。パイロット弁59Bは、第6油路43bを介して第1制御弁56Aに接続されている。パイロット弁59Cは、第6油路43cを介して第1制御弁56Bに接続されている。パイロット弁59Dは、第6油路43dを介して第1制御弁56Bに接続されている。パイロット弁(操作弁)59A、59B、59C、59Dは、それぞれ操作レバー58の操作に応じて出力する作動油の圧力が設定可能である。
【0052】
詳しくは、操作レバー58を前側に傾動させると、下降用パイロット弁(操作弁)59Aが操作されて当該下降用パイロット弁59Aから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第1制御弁56Aの受圧部に作用し、ブームシリンダ14が収縮して、ブーム10は下降する。
操作レバー58を後側に傾動させると、上昇用パイロット弁(操作弁)59Bが操作されて当該上昇用パイロット弁59Bから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第1制御弁56Aの受圧部に作用し、ブームシリンダ14が伸長して、ブーム10は上昇する。
【0053】
操作レバー58を右側に傾動させると、バケットダンプ用のパイロット弁(操作弁)59Cが操作されて当該パイロット弁59Cから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第2制御弁56Bの受圧部に作用し、バケットシリンダ15は伸長して、バケット11がダンプ動作する。
操作レバー58を左側に傾動させると、バケットスクイ用のパイロット弁(操作弁)59Dが操作され当該パイロット弁59Dから出力されるパイロット油のパイロット圧が設定される。このパイロット圧は、第2制御弁56Bの受圧部に作用し、バケットシリンダ15は収縮して、バケット11がスクイ動作する。
【0054】
第3制御弁56Cは、パイロット方式の直動スプール形3位置切換弁である。第3制御弁56Cは、パイロット圧によって、第1位置62a、第2位置62b、第3位置(中立位置)62cに切り換わる。即ち、第3制御弁56Cは、第1位置62a、第2位置62b及び第3位置62cに切り換わることによって、予備アタッチメントの油圧機器へ向かう作動油の方向、流量及び圧力を制御する。
【0055】
第3制御弁56Cには、給排油路83が接続されている。給排油路83の一端は、第3制御弁56Cの給排ポートに接続され、給排油路83の中途部は、接続部材50に接続され、給排油路83の他端部は、予備アタッチメントの油圧機器に接続される。給排油路83は、上述した第1管材及び第2管材等で構成される。
詳しくは、給排油路83は、第3制御弁56Cの第1給排ポートと接続部材50の第1ポートとを接続する第1給排油路83aを含んでいる。また、給排油路83は、第3制御弁56Cの第2給排ポートと接続部材50の第2ポートとを接続する第2給排油路83bとを含んでいる。つまり、第3制御弁56Cを操作することによって、第3制御弁56Cから第1給排油路83aに向けて作動油を流したり、第3制御弁56Cから第2給排油路83bに向けて作動油を流すことができる。
【0056】
第3制御弁56Cは、複数の比例弁60によって操作される。比例弁60は、励磁によって開度が変更可能な電磁弁である。複数の比例弁60は、第1比例弁60Aと、第2比例弁60Bである。第1比例弁60A及び第2比例弁60Bには、吐出油路40が接続されている。第1比例弁60A及び第2比例弁60Bには、第1油圧ポンプP1から、作動油のうち制御用として用いられる作動油であるパイロット油が供給される。
【0057】
第3制御弁56Cと、比例弁60(第1比例弁60Aと、第2比例弁60B)とは、第1油路86により接続されている。
第1油路86は、パイロット油を比例弁60(第1比例弁60Aと、第2比例弁60B)を介して第3制御弁56Cに流す油路である。第1油路86は、鋼管、パイプ、ホース等で構成されている。第1油路86は、第1比例弁60Aと第3制御弁56Cの受圧部61aとを接続する第1制御油路86aと、第2比例弁60Bと第3制御弁56Cの受圧部61bとを接続する第2制御油路86bとを含んでいる。
【0058】
したがって、第1比例弁60Aを開くと、パイロット油は第1制御油路86aを介して第3制御弁56Cの受圧部61aに作用し、当該第1比例弁60Aの開度によって受圧部61aに付与(作用)するパイロット圧が決まる。受圧部61aに付与されたパイロット圧が所定値以上になると、スプールの移動によって、第3制御弁56Cは、第3位置(中立位置)62cから第1位置62aに切り換わる。また、第2比例弁60Bを開くと、パイロット油は第2制御油路86bを介して第3制御弁56Cの受圧部61bに作用し、当該第2比例弁60Bの開度によって受圧部61bに付与(作用)するパイロット圧が決まる。受圧部61bに付与されたパイロット圧が所定値以上になると、スプールの移動によって、第3制御弁56Cは、第3位置(中立位置)62cから第2位置62bに切り換わる。
【0059】
第1油路86には、第2油路87が接続されている。第2油路87は、第1油路86と作動油タンク(タンク)22とを接続する油路である。即ち、第2油路87は、第3制御弁56Cと比例弁60との間と、作動油タンク22とを接続する油路である。具体的には、第2油路87は、第1制御油路86aと作動油タンク22を接続する第1排出油路87aと、第2制御油路86bと作動油タンク22を接続する第2排出油路87bとを含んでいる。また、第2油路87には、当該第2油路87に流れる作動油の流量を低下させる絞り部88が設けられている。絞り部88は、第1制御油路86aに設けられた第1絞り部88aと、第2制御油路86bに設けられた第2絞り部88bとを含んでいる。
【0060】
比例弁60(第1比例弁60Aと、第2比例弁60B)の励磁等は、制御装置90で行う。制御装置90は、CPU等から構成されている。制御装置90は、第1設定部91と、記憶部92とを備えている。第1設定部91は、制御装置90に組み込まれたプログラム、電気・電子回路等から構成されている。第1設定部91は、比例弁60に対して所定の励磁を行うことにより、当該比例弁60の開度を設定する。
【0061】
また、制御装置90には、操作部材93が接続されている。制御装置90には、操作部材93の操作量(例えば、スライド量、揺動量等)が入力される。操作部材93は、例えば、揺動自在なシーソ型スイッチ、スライド自在なスライド型スイッチ、或いは、押圧自在なプッシュ型スイッチで構成されている。
以下、第3制御弁56C、比例弁60、制御装置90、第1設定部91、記憶部92、操作部材93等について詳しく説明する。
【0062】
図3は、第3制御弁56Cの受圧部61a、61bに作用するパイロット圧と、第3制御弁56Cの切替との関係を示した図である。
図3に示すように、例えば、第3制御弁56Cの受圧部61aに作用するパイロット圧が、中立位置62cから第1位置62aに切り換える境界の圧力(切換圧)A1未満であれば、第3制御弁56Cは中立位置62cのままである。
【0063】
ここで、制御装置90の第1設定部91は、操作部材93が操作されていない状態(操作量が零)では、第3制御弁56Cに付与するパイロット圧を、切換圧A1よりも低い圧力に設定可能である。詳しくは、第1設定部91は、操作部材93が操作されていない状態において、第3制御弁56Cの受圧部61aに所定のパイロット圧(第1与圧B1という)をかける制御を行う。第1与圧B1は、零以上であって切換圧A1未満(0<B1<A1)である。即ち、第1設定部91は、受圧部61aに作用するパイロット圧が第1与圧B1となるように、第1比例弁60Aの開度を設定する。言い換えれば、第1設定部91は、第1制御油路86aのパイロット圧を零以上切換圧A1未満に設定する。
【0064】
例えば、制御装置90の記憶部92は、切換圧A1であるときの第1比例弁60Aの開度(第1切換開度)、或いは、第1切換開度に相当する電流値を記憶している。第1設定部91は、第1比例弁60Aのソレノイド60aに所定の電流を印加することで、第1比例弁60Aの開度を零以上第1切換開度未満に保持する。
同様に、第3制御弁56Cの受圧部61bに作用するパイロット圧が、中立位置62cから第2位置62bに切り換える境界の圧力(切換圧)A2よりも低い圧力であれば、第3制御弁56Cは第3位置62cのままである。第1設定部91は、操作部材93が操作されていない状態において、第3制御弁56Cの受圧部61bに所定のパイロット圧(第2与圧B2という)をかける制御を行う。第2与圧B2は、零以上であって切換圧A2未満(0<B2<P2)である。即ち、第1設定部91は、受圧部61bに作用するパイロット圧が第2与圧B2となるように、第2比例弁60Bの開度を設定する。言い換えれば、第1設定部91は、第2制御油路86bのパイロット圧を零以上切換圧A2未満に設定する。
【0065】
例えば、制御装置90の記憶部92は、切換圧A2であるときの第2比例弁60Bの開度(第2切換開度)、或いは、第2切換開度に相当する電流値を記憶している。第1設定部91は、第2比例弁60Bのソレノイドに所定の電流を印加することで、第2比例弁60Bの開度を零以上第2切換開度未満に保持する。
この実施形態では、切換圧A1と切換圧A2とは同じ値であるが異なる値であってもよい。また、切換圧A1及び切換圧A2は、第3制御弁56Cに設けられたスプリング(パイロット圧に伴って移動するスプールを中立位置に戻そうとするスプリング)によって設定が可能である。
【0066】
以上、第1設定部91によれば、第3制御弁56Cの受圧部に作用するパイロット圧を切換圧A1,A2未満に保持している。そのため、比例弁60(第1比例弁60A、第2比例弁60B)から第1油路86(第1制御油路86a、第2制御油路86b)へとパイロット油が流れ、当該パイロット油は第1油路86から第2油路87(第1排出油路87a、第2排出油路87b)に流れて、作動油タンク22に戻る。つまり、油圧機器を作動させていない状態(第3制御弁56Cを中立位置に保持した状態)において、作動油タンク22の作動油を、第1ポンプP1、吐出油路40、比例弁60、第1油路86、第2油路87を経て循環させることができ、循環によって作動油の温度を上昇させることができる。言い換えれば、油圧システムの暖機を行うことができる。
【0067】
なお、第1設定部91によって第1与圧B1、第2与圧B2をかける制御(比例弁60の調整制御)は、第1比例弁60Aと第2比例弁60Bとで交互に行ってもよい。例えば、第1設定部91は、第1比例弁60Aの開度を所定時間、零以上第1切換開度未満に保持した後、当該第1比例弁60Aに対する開度制御を停止し、その後、第2比例弁60Bの開度を所定時間、零以上第2切換開度未満に保持する開度制御を開始する。
【0068】
一方、操作部材93が操作されると(操作量が零でなくなる)、操作部材93の操作量に応じた電流を、第1比例弁60Aのソレノイド60a、或いは、第2比例弁60Bのソレノイド60bに印加する。即ち、第1比例弁60Aや第2比例弁60Bは、操作部材93の操作量に応じて開度が変更される。
例えば、操作部材93を一方向に揺動、或いは、スライドすることによって、第1比例弁60Aの開度を調整した結果、受圧部61aのパイロット圧が切換圧以上になると、第3制御弁56Cのスプールが移動して当該第3制御弁56Cは、第1位置62aに切り換わる。また、例えば、操作部材93を他方向に揺動、或いは、スライドすることによって、第2比例弁60Aの開度を調整した結果、受圧部61bのパイロット圧が切換圧以上になると、第3制御弁56Cのスプールが移動して当該第3制御弁56Cは、第3制御弁56Cは第2位置62bに切り換わる。
【0069】
図4は、第1実施形態における作業系油圧システムの変形例を示す図である。
図4に示すように、作業系油圧システム30Bは、作動油の温度を測定する測定装置95を備えている。測定装置95は、例えば、作動油タンク22内、メイン油路39、吐出油路40、比例弁60の入側のいずれかに設けられている。測定装置95で測定した温度は、制御装置90に入力される。
【0070】
第1設定部90は、制御装置90が取得した測定装置95の温度が、予め定められた温度以下である場合に、第3制御弁56Cに付与するパイロット圧を、第3制御弁56Cのパイロット圧よりも低い圧力に保持する。例えば、操作部材93が操作されていない状態で且つ、測定装置95で測定した温度が0℃以下である場合、第1比例弁60Aの開度を零以上第1切換開度未満に保持したり、第2比例弁60Bの開度を零以上第2切換開度未満に保持する。そして、測定装置95で測定した温度が、10℃を超えると、比例弁60の開度制御を停止する。なお、第1設定部90は、測定装置95で測定した温度に応じて比例弁60の開度(第3制御弁56Cに付与するパイロット圧)を設定することが好ましい。具体的には、第1設定部90は、測定装置95で測定した温度が低いほど、第1比例弁60Aの開度を大きく(付与する圧力を大きく)、測定装置95で測定した温度が大きいほど、第1比例弁60Aの開度を小さく(付与する圧力を小さく)する。例えば、第1設定部90は、温度が−20℃の場合、第3制御弁56Cに付与するパイロット圧を0.3MPa、−10℃の場合、第3制御弁56Cに付与するパイロット圧を0.2MPaに設定する。
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態における走行系油圧システムの一部を示している。
図5は、走行系油圧システム30Aにおいて、第1実施形態で示した走行制御弁38Aを、別の走行切換弁38Bに変更した回路を示している。第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0071】
図5に示すように、走行制御弁38Bは、第1位置38a、第2位置38b、第3位置(中立位置)38cに切り換わる電磁式の三位置切換弁で構成されている。即ち、走行制御弁38Aは、第1位置38a、第2位置38b、第3位置(中立位置)38cに切り換わることによって、油圧機器である斜板切換シリンダ37を一方側或いは他方側に伸縮させる。
【0072】
走行制御弁38Bには、吐出油路40が接続されると共に、第3油路(給排油路)100が接続されている。第3油路100は、走行制御弁38Bと斜板切換シリンダ37とを接続する油路である。
第3油路100は、走行制御弁38Bの第1給排ポートと斜板切換シリンダ37の第1ポート(ボトムポート)とを接続する第1給排油路100aを含んでいる。また、第3油路100は、走行制御弁38Bの第2給排ポートと斜板切換シリンダ37の第2ポート(ロッドポート)とを接続する第2給排油路100bとを含んでいる。つまり、走行制御弁38Bを操作することによって、走行制御弁38Bから第1給排油路100aに向けて作動油を流したり、走行制御弁38Bから第2給排油路100bに向けて作動油を流すことができる。
【0073】
第3油路100には、第4油路101が接続されている。第4油路101は、第3油路100と作動油タンク(タンク)22とを接続する油路である。即ち、第4油路101は、走行制御弁38Bと斜板切換シリンダ37との間と、作動油タンク22とを接続する油路である。
具体的には、第4油路101は、第1給排油路100aと作動油タンク22を接続する第1排出油路101aと、第2給排油路100bと作動油タンク22を接続する第2排出油路101bとを含んでいる。また、第4油路101には、当該第4油路101に流れる作動油の流量を低下させる絞り部102が設けられている。絞り部102は、第1給排油路100aに設けられた第1絞り部102aと、第2給排油路100bに設けられた第2絞り部102bとを含んでいる。
【0074】
走行制御弁38Bの励磁等は、制御装置105で行う。制御装置105は、CPU等から構成されている。制御装置105は、第2設定部106と、記憶部107とを備えている。第2設定部106は、制御装置105に組み込まれたプログラム、電気・電子回路等から構成されている。第2設定部106は、走行制御弁38Bに対して所定の励磁を行うことにより、当該走行制御弁38Bの開度を設定する。
【0075】
また、制御装置105には、操作部材108が接続されている。制御装置105には、操作部材108の操作量(例えば、スライド量、揺動量等)が入力される。操作部材108は、例えば、揺動自在なシーソ型スイッチ、スライド自在なスライド型スイッチ、或いは、押圧自在なプッシュ型スイッチで構成されている。
以下、走行制御弁38B、走行制御弁38B、制御装置105、第2設定部106、記憶部107、操作部材108等について詳しく説明する。
【0076】
制御装置105の第2設定部106は、操作部材108が操作されていない状態(操作量が零)では、走行制御弁38Bの開度を、当該走行制御弁38Bの切換開度未満に設定可能である。
図6は、走行制御弁38Bの開度と、走行制御弁38Bの切替との関係を示した図である。
【0077】
図6に示すように、例えば、走行制御弁38Bの開度が、中立位置38cから第1位置38aに切り換える境界の開度(第1切換開度)M1未満であれば、走行制御弁38Bは中立位置38cのままである。ここで、作動油が吐出油路40から走行制御弁38Bと通過して第1給排油路100aに流れる場合の最も小さな開度を最低開度M3とする。第2設定部106は、操作部材108が操作されていない状態では、走行制御弁38Bの開度K1を最低開度M3以上第1切換開度M1未満に設定する(M3≦K1<M1)。
【0078】
例えば、制御装置105の記憶部107は、第1切換開度M1(第1切換開度M1に相当する電流値)、最低開度M3を記憶している。第2設定部106は、操作部材108の操作量が零である場合に、走行制御弁38Bのソレノイドに所定の電流を印加することで、走行制御弁38Aの開度K1を最低開度M3以上第1切換開度M1未満に保持する。
また、走行制御弁38Bの開度が、中立位置38cから第2位置38bに切り換える境界の開度(第2切換開度)M2未満であれば、走行制御弁38Bは中立位置38cのままである。第2設定部106は、操作部材108が操作されていない状態では、走行制御弁38Bの開度K2を最低開度M3以上第2切換開度M2未満に設定する(M3≦K1<M2)。
【0079】
例えば、制御装置105の記憶部107は、第2切換開度M2(第2切換開度M2に相当する電流値)、最低開度M3を記憶している。第2設定部106は、操作部材108の操作量が零である場合に、走行制御弁38Bのソレノイドに所定の電流を印加することで、走行制御弁38Aの開度K2を最低開度M3以上第2切換開度M2未満に保持する。
この実施形態では、第1切換開度M1と第2切換開度M2とは同じ値であるが異なる値であってもよい。また、第1切換開度M1及び第2切換開度M2は、走行制御弁38Bに設けられたスプリング(パイロット圧に伴って移動するスプールを中立位置に戻そうとするスプリング)によって設定が可能である。
【0080】
以上、第2設定部106によれば、走行制御弁38Bを第1切換開度M1及び第2切換開度M2未満に保持している。そのため、走行制御弁38Bから第3油路100(第1給排油路100a、第2給排油路100b)へとパイロット油が流れ、当該パイロット油は第3油路100から第4油路101(第1排出油路101a、第2排出油路101b)に流れて、作動油タンク22に戻る。つまり、油圧機器を作動させていない状態(第3制御弁56Cを中立位置に保持した状態)において、作動油タンク22の作動油を、第1ポンプP1、吐出油路40、走行制御弁38B、第3油路100、第4油路101を経て循環させることができ、循環によって作動油の温度を上昇させることができる。言い換えれば、油圧システムの暖機を行うことができる。
【0081】
なお、第2設定部106によって開度K1、K2を、最低開度M3以上第1切換開度M1未満、或いは、最低開度M3以上第2切換開度M2未満に設定する制御(走行制御弁38Bの調整制御)は、で交互に行ってもよい。例えば、第2設定部106は、走行制御弁38Bの開度を所定時間、第1切換開度未満に保持した後、当該走行制御弁38Bに対する開度制御を停止し、その後、走行制御弁38Bの開度を所定時間、第2切換開度未満に保持する開度制御を開始する。
【0082】
一方、操作部材108が操作されると(操作量が零でなくなる)、操作部材108の操作量に応じた電流を、走行制御弁38Bのソレノイド、或いは、走行制御弁38Bのソレノイドに印加する。即ち、走行制御弁38Bは、操作部材108の操作量に応じて開度が変更される。
例えば、操作部材108を一方向に揺動、或いは、スライドすることによって、走行制御弁38Bの開度が切換開度以上になると、走行制御弁38Bのスプールが移動して当該走行制御弁38Bは、第1位置38aに切り換わる。また、例えば、操作部材108を他方向に揺動、或いは、スライドすることによって、走行制御弁38Bの開度が切換開度以上になると、走行制御弁38Bのスプールが移動して当該走行制御弁38Bは、走行制御弁38Bは第2位置38bに切り換わる。
【0083】
図7は、第2実施形態における作業系油圧システムの変形例を示す図である。
図7に示すように、走行系油圧システム30Aは、作動油の温度を測定する測定装置109を備えている。測定装置109は、例えば、作動油タンク22内、メイン油路39、吐出油路40、走行制御弁38Bの入側のいずれかに設けられている。測定装置109で測定した温度は、制御装置105に入力される。
【0084】
第2設定部106は、制御装置105が取得した測定装置109の温度が、予め定められた温度以下である場合に、走行制御弁38Bの開度を切換開度未満にする。例えば、操作部材108が操作されていない状態で且つ、測定装置109で測定した温度が0℃以下である場合、走行制御弁38Bの開度を最低開度M3以上第1切換開度M1未満に保持したり、最低開度M3以上第2切換開度M2未満に保持する。そして、測定装置109で測定した温度が、10℃を超えると、走行制御弁38Bの開度制御を停止する。なお、第2設定部106も、第1実施形態と同様に、測定装置109で測定した温度に応じて走行制御弁38Bの開度を設定する。
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態における走行系油圧システムの一部を示している。第3実施形態は、走行モータを変更した例であり、全ての実施形態に適用可能である。なお、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0085】
図8に示すように、第3実施形態では、第1走行モータ装置31Lと第2走行モータ装置31Rとを変形したものである。第1走行モータ装置31L及び第2走行モータ装置31Rは、走行モータ236と、前後切換弁235と、走行制御弁(油圧切換弁)38Cとを有している。第1走行モータ装置31L、第2走行モータ装置31R、走行モータ236、前後切換弁235、走行制御弁(油圧切換弁)38Cには、作動油が供給可能である。
【0086】
走行モータ236は、カムモータ(ラジアルピストンモータ)を採用している。走行モータ236は、稼動時における容量(モータ容量)の大きさを可変することによって、出力軸の回転やトルクを変更する。詳しくは、走行モータ236は、第1モータ236Aと、第2モータ236Bとを有している。第1モータ236A及び第2モータ236Bを駆動することによって、モータ容量は大きくなり、走行モータ236は1速となる。また、第1モータ236Aと第2モータ236Bとのいずれかを駆動することによって、モータ容量は小さくなり、走行モータ131は2速となる。
【0087】
走行制御弁38Cは、第1位置38a及び第2位置38bに切り換わる二位置切換弁である。走行制御弁38Cの切換え操作は、比例弁237によって行う。比例弁237と走行制御弁38Cとは、第3制御油路(第1油路)286により接続されている。第3制御油路286には、当該第1油路286と作動油タンク22とを接続する第2油路287が接続されている。第2油路287には、当該第2油路287に流れる作動油の流量を低下させる絞り部288が設けられている。
【0088】
比例弁237の開度の設定は、第1設定部91を有する制御装置90によって行う。第1設定部91は、操作部材が操作されていない状態(操作量が零)では、走行制御弁38Cに付与するパイロット圧を、走行制御弁38Cの切換圧よりも低い圧力に設定する。また、第1設定部91は、操作部材が操作された場合には、制御装置90に入力された指令に基づいて、走行制御弁38Cに付与するパイロット圧を切換圧以上にする。
【0089】
以上、第3実施形態においても、走行制御弁38Cに付与するパイロット圧を、走行制御弁38Cの切換圧よりも低い圧力に設定する。そのため、比例弁237から第1油路286(第3制御油路)へとパイロット油が流れ、当該パイロット油は第1油路286から第2油路287に流れて、作動油タンク22に戻すことで暖機を行うことができる。
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態における作業系油圧システムを示している。なお、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図9に示す符号「X1」は油路の繋ぎ先を示している。
【0090】
図9に示すように、作業系油圧システムは、第1作動弁120と、複数の第7油路121a、121bとを備えている。第1作動弁120は、吐出油路(第5油路)40の中途部に接続されている。第1作動弁120は、リモコン弁(操作弁)59A、59B、59C、59Dに向かうパイロット油の圧力を変更可能な弁である。第1作動弁120は、励磁により第1位置120aと第2位置120bとに切り換え可能な二位置切換弁である。なお、第1作動弁120は、第2位置120bにおける開度が変更可能である。
【0091】
複数の第7油路121a、121bは、吐出油路40であって第1作動弁120とリモコン弁(操作弁)59A、59B、59C、59Dとの間の区間40aと、複数の第6油路43a、43b、43c、43dとを接続する油路である。第7油路121aは、区間40aと第6油路43a、43cとを接続する。第7油路121bは、区間40aと第6油路43b、43dとを接続する。第7油路121a、121bには、複数の絞り部124が設けられている。
【0092】
制御装置90は、第3設定部122と、記憶部92とを備えている。第3設定部122は、制御装置90に組み込まれたプログラム、電気・電子回路等から構成されている。以下、説明の便宜上、リモコン弁(操作弁)59A、59B、59C、59Dのことを単にリモコン弁と言い説明を続ける。
第3設定部122は、リモコン弁から出力されるパイロット圧の最大値(上限値)を、制御弁56の切換が行われる切換圧未満に設定可能である。具体的には、操作レバー58を最大に操作した状態(フルストローク)では、リモコン弁から出力されるパイロット圧は最大になる。第3設定部122は、第1作動弁120を励磁して当該第1作動弁120を開いた状態においても、リモコン弁から出力されるパイロット圧の最大値が制御弁56の切換圧未満となるように、第1作動弁120の開度を設定する。説明の便宜上、リモコン弁から出力されるパイロット圧の最大値(操作レバー58をフルストロークした場合にリモコン弁から出力されるパイロット圧の上限値)のことを、最大パイロット圧という。
【0093】
記憶部92は、操作レバー58をフルストロークにした状態において、第1制御弁56A及び第2制御弁56Bが切り換わる切換圧、或いは、切換圧に相当する第1作動弁120の開度(切換開度)、或いは、切換開度に相当する電流値を記憶している。
以下、第3設定部122の動作について詳しく説明する。
制御装置90には、スイッチ123が接続されている。スイッチ123は、制御弁56の作動を許可するか否か否を設定するオン・オフ切換スイッチである。スイッチ123の操作は、例えば、運転席8の周囲に設けられたレバー(アンロード)の上げ下げによって行う。レバーが上げられている場合、スイッチ123がオンとなり、レバーが下げられている場合、スイッチ123がオフとなる。
【0094】
ここで、第3設定部122は、スイッチ123がオン(制御弁56の作動が許可されていない状態)で且つ操作レバー58が操作されていない状態では、第1制御弁56A及び第2制御弁56Bの受圧部に作用するパイロット圧を切換圧よりも低い圧力に保持する。即ち、第3設定部122は、ソレノイド120cに所定の電流を印加することで第1作動弁120の第2位置120bに対応する開度を零よりも大きくしつつ、当該開度は切換開度未満にする。即ち、第1作動弁120が第2位置120bであるときの開度を最低開度以上切換開度未満にする。最低開度とは、上述した実施形態と同様に第1作動弁120を通って作動油が第5油路40(第7油路131)に流れる最小の開度である。
【0095】
また、第3設定部122は、スイッチ123がオフ(制御弁56の作動が許可されていない状態)で且つ操作レバー58が操作されていない状態では、第2位置における開度を全開にする。
以上、第3設定部122によれば、最大パイロット圧を、制御弁56の切換が行われる切換圧未満にしている。そのため、操作レバー58が操作されていない状態(操作レバー58を中立状態にしている状況下)では、作動油を、吐出油路40、第7油路121a、121b、第6油路43a、43b、43c、43d、リモコン弁のポートを経て排出油路42及び作動油タンク22に流すことができる。したがって、吐出油路40、第7油路121a、121b、第6油路43a、43b、43c、43d、リモコン弁を通して作動油を循環することができ、暖機を簡単に行うことができる。
【0096】
なお、第4実施形態でも、作動油の温度を測定する測定装置を設けて、測定装置で測定した温度が予め定められた温度以下である場合に、最大パイロット圧を制御弁56の切換が行われる切換圧未満に設定してもよい。測定装置で測定した温度が0℃以下である場合、第3設定部122は、第2位置120bに対応する弁の開度を切換開度未満に保持する。測定装置で測定した温度が10℃を超え且つ、スイッチ123がオフになった場合には、第3設定部122は、第2位置120bに対応する弁の開度を全開にする。また、第3設定部122も、上述した実施形態と同様に、測定装置で測定した温度に応じて第2位置120bに対応する弁の開度を変更してもよい。
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態における走行系油圧システムを示している。なお、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0097】
図10に示すように、走行系油圧システムは、油圧装置234と、走行レバー254と、複数の第8油路130a、130bと、第9油路131a、131bと、第1作動弁120を備えている。油圧装置234は、第1実施形態に示した油圧装置34と同様の構成である。第1作動弁120は、励磁によって開度が変更可能な電磁弁である。
走行レバー254は、上述した走行レバー54と構造は同じであって、下部にリモコン弁255A、255Bが設けられている。リモコン弁255A、255Bは、作動油タンク22に接続する排出ポート(ポート)を有し、排出油路42を介して作動油タンク22に接続されている。
【0098】
第8油路130aは、リモコン弁255AとHSTポンプ53の受圧部53bとを接続する。第8油路130bは、リモコン弁255BとHSTポンプ53の受圧部53aとを接続する。第8油路130aであって、第9油路131aが接続する接続部とHSTポンプ53との間には、絞り部133aが設けられている。また、第8油路130bであって、第9油路131bが接続する接続部とHSTポンプ53との間にも、絞り部133bが設けられている。
【0099】
第9油路131aは、吐出油路40と第8油路130aとを接続する油路である。第9油路131bは、吐出油路40と第8油路130bとを接続する油路である。詳しくは、第9油路131aは、吐出油路40であって第1作動弁120とリモコン弁(操作弁)255Aとの間の区間40bと、第8油路130aとを接続している。第9油路131bは、吐出油路40の区間40bと、第8油路130bとを接続している。
【0100】
制御装置90は、第4設定部132と、記憶部92とを備えている。第4設定部132は、制御装置90に組み込まれたプログラム、電気・電子回路等から構成されている。記憶部92は、走行レバー254をフルストロークにした状態において、HSTポンプ53が作動する最低の圧力である作動圧、作動圧に相当する第1作動弁120の最低開度、最低開度に相当する電流値を記憶している。以下、説明の便宜上、リモコン弁255A、255Bのことを単にリモコン弁と言い説明を続ける。最低開度とは、上述した実施形態と同様に第1作動弁120を通って作動油が第9油路131a、131bに流れる最小の開度である。
【0101】
第4設定部132は、暖機を行う設定がなされている場合(例えば、スイッチ等によって暖機を行う信号等が制御装置90に入力されている場合)には、走行レバー254が操作されていない状態で、第1作動弁120の開度を所定値(最低開度)以上で且つ最大パイロット圧に達しない開度にする。即ち、第4設定部132は、最大パイロット圧(走行レバー254をフルストロークにした状態でリモコン弁から出力される最大のパイロット圧)が、HSTポンプ53が作動する作動圧以上とならない範囲で第1作動弁120を開く。つまり、第4設定部132は、第1作動弁120を励磁して当該第1作動弁120を開いた状態においても、最大パイロット圧がHSTポンプ53の作動圧未満となるように、第1作動弁120の開度を設定する。
【0102】
以上、第4設定部132によれば、最大パイロット圧を、油圧装置34の作動する作動圧よりも低い圧力にしている。そのため、走行レバー254が操作されていない状態(走行レバー254を中立状態にしている状況下)では、作動油を、吐出油路40、第8油路130a、第8油路130b、リモコン弁のポートを経て排出油路42及び作動油タンク22に流すことができる。したがって、吐出油路40、第8油路130a、130b、リモコン弁を通して作動油を循環することができ、暖機を簡単に行うことができる。
【0103】
なお、第5実施形態でも、作動油の温度を測定する測定装置を設けて、測定装置で測定した温度が予め定められた温度以下である場合に、最大パイロット圧を、HSTポンプ53が作動する作動圧未満に設定してもよい。測定装置で測定した温度が0℃以下である場合、第4設定部132は、第1作動弁120の開度を作動圧未満に保持する。測定装置で測定した温度が10℃を超えた場合には、第4設定部132は、例えば、開度を全開にする。また、第4設定部132も、上述した実施形態と同様に、測定装置で測定した温度に応じて第1作動弁120の開度を変更してもよい。
【0104】
また、第5実施形態で示した第1作動弁120は、暖機のみだけでなく、例えば、エンジンストールを防止するために、リモコン弁に供給する作動油の圧力を抑制する。例えば、作業系等の負荷によって、原動機32の出力が低下する場合は、原動機32の出力に応じて第1作動弁120を調整する。エンジンストールの防止は、制御装置90によって行う。また、第1作動弁120は、上述した操作レバー58と同様にアンロードを行うために、リモコン弁に供給する作動油の圧力を抑制することも可能である。例えば、上述したように、スイッチ123がオンでは、第1作動弁120の開度が所定値に設定される。例えば、アンロードで且つ暖機を行う場合においては、第1作動弁120の開度は、第4設定部132によって、上述するように最低開度以上作動圧未満に設定する。なお、暖機以外の第1作動弁120の制御は、上述したものに限定されない。
[第6実施形態]
図11は、第6実施形態における走行系油圧システムを示している。なお、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0105】
図11に示すように、走行系油圧システムは、第10油路(第1バイパス油路)140と、第2作動弁141とを備えている。第10油路140は、吐出油路40と第8油路130aとを接続すると共に、吐出油路40と第8油路130bを接続する。第10油路140は、中途部で2つに分岐していて、分岐後の2つの油路140aには、絞り部150を有する第2バイパス油路151が接続されている。分岐後の一方の油路140aには、
第8油路130aが接続されている。分岐後の他方の油路140aには、第8油路130bが接続されている。一方の油路140a及び他方の油路140aにおいて、第2バイパス油路151を接続する区間には、HSTポンプ53からのパイロット油を許容しHSTポンプ53へ向かうパイロット油を阻止する逆止弁152が接続されている。第10油路140において、分岐前の油路には、第2作動弁141が設けられている。
【0106】
第2作動弁141は、油圧装置234(HSTポンプ53)に向かう作動油の圧力を変更可能である。第2作動弁141は、励磁によって開度が変更可能な電磁弁である。
制御装置90は、第5設定部142と、記憶部92とを備えている。第5設定部142は、制御装置90に組み込まれたプログラム、電気・電子回路等から構成されている。記憶部92は上述した実施形態と同様に、HSTポンプ53が作動する最低の圧力である作動圧、作動圧に相当する第1作動弁120の開度(切換開度)、切換開度に相当する電流値を記憶している。
【0107】
第5設定部142は、第10油路140から出力されるパイロット圧を、HSTポンプ53が作動する作動圧未満に設定可能である。第5設定部142は、走行レバー254が操作されていない状態では、HSTポンプ53が作動しない程度に第2作動弁141の開度を設定することで第10油路140にパイロット油を流す。一方、第5設定部142は、走行レバー254が操作されると、第2作動弁141を閉鎖して第10油路140に作動油が流れないようにする。
【0108】
以上、第5設定部142によれば、走行レバー54が操作されていない状態(走行レバー254を中立状態にしている状況下)では、作動油を吐出油路40、第10油路140、第8油路130a、第8油路130b、リモコン弁のポートを経て排出油路42及び作動油タンク22に流すことができる。したがって、吐出油路40、第8油路130a、130b、リモコン弁の暖機を簡単に行うことができる。
【0109】
なお、第6実施形態でも、作動油の温度を測定する測定装置を設けて、測定装置で測定した温度が予め定められた温度以下である場合に、最大パイロット圧を、HSTポンプ53が作動する作動圧未満に設定してもよい。測定装置で測定した温度が0℃以下である場合、第5設定部142は、第1作動弁120の開度を作動圧未満に保持する。測定装置で測定した温度が10℃を超えた場合には、第5設定部142は、例えば、開度を全開にする。また、第5設定部142も、上述した実施形態と同様に、測定装置で測定した温度に応じて第1作動弁120の開度を変更してもよい。
【0110】
図12は、第6実施形態の変形例を示している。なお、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図12に示すように、走行系油圧システムには、少なくとも2つの第10油路(第1バイパス油路)140が設けられている。一方の第10油路140は、吐出油路40と第8油路130aとを接続している。他方の第10油路140は、吐出油路40と第8油路130bとを接続している。一方の第10油路140及び他方の第10油路140には、絞り部151が設けられている。変形例における作動弁120は、第5実施形態に示したように、アンチストールやアンロードにも用いられ、暖機の制御は行われない。
【0111】
図12に示す変形例によれば、走行レバー254が操作されていない状態では、作動油を吐出油路40、第10油路140、第8油路130a、第8油路130b、リモコン弁のポートを経て排出油路42及び作動油タンク22に流すことができる。したがって、吐出油路40、第8油路130a、130b、リモコン弁の暖機を簡単に行うことができる。
[第7実施形態]
図13は、第7実施形態における作業系油圧システムの一部を示している。なお、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0112】
図13に示すように、第3制御弁56Cは、2つの切換弁160A、160Bによって操作される。切換弁160A、160Bは、第1位置160aと第2位置160bとに切換可能な二位置切換弁で構成されている。切換弁160A、160Bの切換は、制御装置90によって切換可能である。例えば、制御装置90に接続した操作部材93の操作に基づいて、制御装置90から切り替える信号を切換弁160A、160Bに出力することによって行う。
【0113】
一方の切換弁160A及び他方の切換弁160Bには、吐出油路40が接続されている。一方の切換弁160Aと第3制御弁56Cの受圧部61aとは、第1制御油路186aによって接続されている。他方の切換弁160Bと第3制御弁56Cの受圧部61bとは、第2制御油路186bによって接続されている。
第7実施形態における作業系油圧システムでは、第3バイパス油路161と、第4バイパス油路162とを有している。第3バイパス油路161は、一方の切換弁160Aの入側と一方の切換弁160Aの出側とを繋ぐ油路で、絞り部163が設けられている。言い換えれば、第3バイパス油路161は、一方の切換弁160Aの入力ポートの近傍と、第1制御油路186aとを接続している。
【0114】
第4バイパス油路162は、他方の切換弁160Bの入側と他方の切換弁160Bの出側とを繋ぐ油路で、絞り部164が設けられている。言い換えれば、第4バイパス油路162は、他方の切換弁160Bの入力ポートの近傍と、第2制御油路186bとを接続している。
以上、第7実施形態によれば、一方の切換弁160aを第1位置160aにした状態では、作動油は、吐出油路40及び第3バイパス油路161を通って第1制御油路186aに入り、一方の切換弁160aを通過して、作動油タンク22に流れる。同様に、他方の切換弁160bを第1位置160bにした状態では、作動油は、吐出油路40及び第4バイパス油路162を通って第2制御油路186bに入り、他方の切換弁160bを通過して、作動油タンク22に流れる。このように、作動油を、吐出油路40、バイパス油路(第3バイパス油路161、第4バイパス油路162)、切換弁160a、160bを通して作動油を循環することができ、暖機を簡単に行うことができる。
【0115】
なお、第7実施形態では、第3制御弁56Cについて説明したが、その他の制御弁56(第1制御弁56A、第2制御弁56B)に適用してもよい。制御弁56を操作する切換弁を設けて、切換弁の入側と出側とをバイパス油路で接続することによって、作動油を循環させてもよい。
[第8実施形態]
図14は、第8実施形態における走行系油圧システムの一部を示している。第8実施形態は、上述した第2実施形態を変形したものである。なお、上述した実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0116】
図14に示すように、走行系油圧システムは、第5バイパス油路170と、第6バイパス油路171とを有している。第5バイパス油路170は、吐出油路40と斜板切換シリンダ37の第1ポート(ボトムポート)とを接続する油路である。即ち、第5バイパス油路170は、吐出油路40と第1給排油路100aとを接続している。第5バイパス油路170には、絞り部172が設けられている。
【0117】
また、第6バイパス油路171は、吐出油路40と斜板切換シリンダ37の第2ポート(ロッドポート)とを接続する油路である。即ち、第6バイパス油路171は、吐出油路40と第2給排油路100bとを接続している。第6バイパス油路171には、絞り部173が設けられている。
以上、第8実施形態によれば、走行制御弁38Bを第3位置(中立位置)38cにした状態では、作動油は、吐出油路40及び第5バイパス油路170を通って第1給排油路100aに入り、走行制御弁38Bを通過して、作動油タンク22に流れる。同様に、走行制御弁38Bを第3位置(中立位置)38cにした状態では、作動油は、吐出油路40及び第6バイパス油路171を通って第2給排油路100bに入り、走行制御弁38Bを通過して、作動油タンク22に流れる。このように、作動油を、吐出油路40、バイパス油路(第4バイパス油路170、第5バイパス油路171)、走行制御弁38Bを通して作動油を循環することができ、暖機を簡単に行うことができる。
【0118】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。