特許第6498587号(P6498587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498587
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】伸縮管継手構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20190401BHJP
【FI】
   F16L27/12 E
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-202999(P2015-202999)
(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公開番号】特開2017-75637(P2017-75637A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230526
【氏名又は名称】日本ヴィクトリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(72)【発明者】
【氏名】池 田 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂 下 晃 規
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−303548(JP,A)
【文献】 特開2008−151292(JP,A)
【文献】 特開2000−081175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/00 − 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配管と、
第2配管と、
前記第1配管と前記第2配管を接続するとともに、前記第1配管と前記第2配管のうち少なくとも一方が内面を摺動する継手スリーブとを備え、
前記継手スリーブの両端部に、円周状に延びるボルト受け部が設けられ、
各ボルト受け部に円周状シール部材を介して円周状に延びるシール部材押圧体が設けられ、
前記第1配管側のシール部材押圧体と、前記ボルト受け部との間に複数の第1ボルトを取付けて前記シール部材を押圧し、このシール部材と前記第1配管の外面との間の摩擦力を高め、
前記第2配管側のシール部材押圧体と、前記ボルト受け部との間に複数の第2ボルトを取付けて前記シール部材を押圧し、このシール部材と前記第2配管の外面との間の摩擦力を高め、
前記第1ボルトの数は前記第2ボルトの数より多くなっていることを特徴とする伸縮管継手構造。
【請求項2】
前記第1ボルトは前記ボルト受け部に所定の第1間隔をおいて配置され、
前記第2ボルトは前記ボルト受け部に所定の第2間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1記載の伸縮管継手。
【請求項3】
前記円周状シール部は、各々三角形断面を有する一対のシール部材部分を有することを特徴とする請求項1または2記載の伸縮管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は第1配管と第2配管と、これら第1配管および第2配管を接続する継手スリーブとを有する伸縮管継手構造に係り、とりわけ第1配管および第2配管のずれを確実に吸収することができる伸縮管継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より第1配管と、第2配管と、これら第1配管および第2配管を接続する継手スリーブとを有する伸縮管継手構造が知られている。
【0003】
このような伸縮管継手構造は地中に埋設され、排水等を送出する等のように種々の流体の搬送が行なわれている。
【0004】
ところで地中に埋設された伸縮管継手構造は、地震等の影響により経年変化によりずれていくことがある。
【0005】
伸縮管継手構造がずれる際、例えば第1配管と継手スリーブとの間では相対的な移動を生じさせることなく、第2配管と継手スリーブとの間で相対的な移動を生じさせるようにすることにより、移動後の第2配管と継手スリーブとの関係を確実に把握することができ、経年変化によるずれ量を大きくとることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−285137号公報
【特許文献2】特開2005−91215号公報
【特許文献3】特開2004−53317号公報
【特許文献4】特開2004−10355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、経年変化によるずれ量を大きくとることができる伸縮管継手構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1配管と、第2配管と、前記第1配管と前記第2配管を接続するとともに、前記第1配管と前記第2配管のうち少なくとも一方が内面を摺動する継手スリーブとを備え、前記継手スリーブの両端部に、円周状に延びるボルト受け部が設けられ、各ボルト受け部に円周状シール部材を介して円周状に延びるシール部材押圧体が設けられ、前記第1配管側のシール部材押圧体と、前記ボルト受け部との間に複数の第1ボルトを取付けて前記シール部材を押圧し、このシール部材と前記第1配管の外面との間の摩擦力を高め、前記第2配管側のシール部材押圧体と、前記ボルト受け部との間に複数の第2ボルトを取付けて前記シール部材を押圧し、このシール部材と前記第2配管の外面との間の摩擦力を高め、前記第1ボルトの数は前記第2ボルトの数より多くなっていることを特徴とする伸縮管継手構造である。
【0009】
本発明は、前記第1ボルトは前記ボルト受け部に所定の第1間隔をおいて配置され、前記第2ボルトは前記ボルト受け部に所定の第2間隔をおいて配置されていることを特徴とする伸縮管継手である。
【0010】
本発明は、前記円周状シール部は、各々三角形断面を有する一対のシール部材部分を有することを特徴とする伸縮管継手である。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、移動後の第2配管と継手スリーブとの関係を確実に把握することができ、経年変化によるずれ量を大きくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明による伸縮管継手構造を示す側断面図。
図2図2は、図1のII線方向矢視図。
図3図3は、図1のIII線方向矢視図。
図4図4は、図1の部分拡大図。
【発明の実施の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明による伸縮管継手構造の実施の形態について説明する。
ここで図1は本発明による伸縮管継手構造を示す側断面図、図2図1のII線方向矢視図、図3図1のIII線方向矢視図、図4図1の部分拡大図である。
【0014】
図1乃至図4に示すように伸縮管継手構造10は、第1配管1と、第2配管2と、第1配管1と第2配管2を接続するとともに、第1配管1と第2配管2のうち少なくとも一方が内面を摺動可能な継手スリーブ3とを備えている。
【0015】
また継手スリーブ3の両端部に、各々円周状に延びるボルト受け部5、6が設けられている。また各ボルト受け部5、6に、円周状に延びるシール部材押圧体12、14が締付け自在に取付けられている。
【0016】
この場合、ボルト受け部5、6と、シール部材押圧体11、12との間には円周状シール部材15、16が介在され、各シール部材押圧体11、12は複数の第1ボルト13および複数の第2ボルト14によってボルト受け部5、6に固定されている。
【0017】
すなわち、第1配管1側のボルト受け部5と、対応するシール部材押圧体11との間に、円周状シール部材15が介在され、この円周状シール部材15は各々三角形状断面を有する円周状に延びる一対のシール部材部分15a、15bを有している。
【0018】
そしてシール部材押圧体11を複数の第1ボルト13によりボルト受け部5に対して締付け固定することにより、ボルト受け部5とシール部材押圧体11との間に介在された一対のシール部材部分15a、15bが第1配管1の軸線方向に圧縮されている。このとき、第1配管1の軸線方向に圧縮された一対のシール部材部分15a、15bは、第1配管1の半径方向に膨張して一対のシール部材部分15a、15bと第1配管1の外面との間の摩擦力を高める。
【0019】
上述のように、第1配管1側において、円周方向に延びる円周状シール部材15は、各々三角形状断面を有する一対のシール部材部分15a、15bを有している。
【0020】
このため、一対のシール部材部分15a、15bをボルト受け部5とシール部材押圧体11との間で第1配管1の軸線方向に圧縮することにより、一対のシール部材部分15a、15bの傾斜界面において互いに摺動する。このことにより、一対のシール部材部分15a、15bを第1配管1の半径方向に膨張させることができる。この場合、一対のシール部材部分15a、15bは、ボルト受け部5によってその半径方向外面が規定されているため、一対のシール部材部分15a、15bが半径方向に膨張するに伴って一対のシール部材部分15a、15bと第1配管1の外面との間の摩擦力が上昇する。
【0021】
また、第2配管2側のボルト受け部6と、対応するシール部材押圧体12との間に、円周状シール部材16が介在され、この円周状シール部材16は各々三角形状断面を有する円周状に延びる一対のシール部材部分16a、16bを有している。
【0022】
そしてシール部材押圧体12を複数の第2ボルト14によりボルト受け部6に対して締付け固定することにより、ボルト受け部6とシール部材押圧体12との間に介在された一対のシール部材部分16a、16bが第2配管2の軸線方向に圧縮されている。このとき、第2配管2の軸線方向に圧縮された一対のシール部材部分16a、16bは、第2配管2の半径方向に膨張する。
【0023】
上述のように、第2配管2側において、円周方向に延びる円周状シール部材16は、各々三角形状断面を有する一対のシール部材部分16a、16bを有している。
【0024】
このため、一対のシール部材部分16a、16bをボルト受け部6とシール部材押圧体12との間で第2配管2の軸線方向に圧縮することにより、一対のシール部材部分16a、16bの傾斜界面において互いに摺動する。このことにより、一対のシール部材部分16a、16bを第2配管2の半径方向に膨張させることができる。この場合、一対のシール部材部分16a、16bは、ボルト受け部6によってその半径方向外面が規定されているため、一対のシール部材16a、16bが半径方向に膨張する。
【0025】
図1乃至図4に示すように、第1配管1側のシール部押圧体11は円周方向に所定間隔をおいて配置された24本の第1ボルト13によりボルト受け部5に取付けられ、第2配管2側のシール部押圧体12は円周方向に所定間隔をおいて配置された12本の第2ボルト14によりボルト受け部6に取付けられている。
【0026】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、伸縮管継手構造10は、地中に埋設される。
【0027】
上述のように第1配管1側のシール部材押圧体11が24本の第1ボルト13によりボルト受け部5に取付けられ、第2配管2側のシール部材押圧体12が12本の第2ボルト14によりボルト受け部6に取付けられている。このため、各第1ボルト13と各第2ボルトの締付け力が略同一の場合、第1配管1側においてボルト受け部5とシール部材押圧体11とにより押圧される円周状シール部材15と第1配管1との間の摩擦力は、第2配管2側においてボルト受け部6とシール部材押圧体12とにより押圧される円周状シール部材16と第2配管2との間の摩擦力より大きくなる。
【0028】
このため第1配管1と継手スリーブ3とは比較的堅固に固定され、第2配管2と継手スリーブ3は比較的緩めに固定されることになる。
【0029】
伸縮管継手構造10は、地震等の影響により経年変化につれてずれていくことがある。
【0030】
この場合、上述のように第1配管1と継手スリーブ3は堅固に固定され、第2配管2と継手スリーブ3は緩めに固定されているため、伸縮管継手構造10が軸線方向または円周方向にずれる際、継手スリーブ3内で第2配管2が軸線方向または円周方向に摺動することができる。このように、継手スリーブ3内で第2配管2が軸線方向または円周方向に摺動することにより、伸縮管継手構造10のずれを軸線方向または円周方向に沿って確実に吸収することができる。
【0031】
以上の様に本実施の形態によれば、伸縮管継手構造10がずれる際、第1配管1は継手スリーブ3内で固定され、継手スリーブ3内で第2配管2が軸線方向または円周方向に摺動することにより伸縮管継手構造10の軸線方向または円周方向のずれを確実に吸収することができる。このため、例えば、予め継手スリーブ3の左側端と、第2配管2の右側端との間の長さLを定めておくことにより、伸縮管継手構造10が軸線方向にずれた際、この軸線方向のずれ量を上記長さLの分だけ確保しておくことができる。また、伸縮管継手構造10が円周方向にずれる際、継手スリーブ3内で第2配管2が円周方向に摺動することにより伸縮管継手構造10の円周方向のずれを確実に吸収することができる。
【0032】
また伸縮管継手構造10がずれた際、このずれ量を継手スリーブ3内で第2配管2が軸線方向または円周方向に摺動することによりすべて吸収するため、ずれた際の摺動すべき配管を第2配管2のみに定め、継手スリーブ3内で第2配管2を安定して軸線方向または円周方向に摺動させることができる。
【0033】
さらにまた、伸縮管継手構造10が軸線方向または円周方向にずれた場合、基本的には第2配管2が軸線方向または円周方向に摺動することにより、軸線方向または円周方向のずれを吸収するため、第1配管1および継手スリーブ3は、軸線方向または円周方向に対して大きく移動することはない。このため、例えば、継手スリーブ3に図示しないエア弁等を設けた場合でも、これらのエア弁等が軸線方向または円周方向に対して大きくずれることはない。
【符号の説明】
【0034】
1 第1配管
2 第2配管
3 継手スリーブ
5 ボルト受け部
6 ボルト受け部
10 伸縮管継手構造
11 シール部材押圧体
12 シール部材押圧体
13 第1ボルト
14 第2ボルト
15 円周状シール部材
15a、15b 一対のシール部材部分
16 円周状シール部材
16a、16b 一対のシール部材部分
図1
図2
図3
図4