(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の反射部が前記固定部に設けられる位置は、前記検出部が有する検出誤差と、前記基準決定部で決定される前記基準点の位置の誤差とに基づいて決定されている請求項2から4のいずれか1項に記載の組立体製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長尺状部材は、例えば、航空機の構造体であるストリンガーであり、約5mから15mの長さを有する。ストリンガーは、設置場所に応じて形状が異なるため、1台の航空機に設置されるストリンガーには多数の種類が存在する。そのため、ストリンガーに対しクリップ等の他の部品を取り付ける際、ストリンガーを保持する固定用治具は、多数の種類を用意しておく必要がある。
【0005】
また、ストリンガーと接合される板状のスキンは、複曲面であることが多く、スキンが複曲面である場合、ストリンガーは複曲線であって立体的な形状を有する。すなわち、ストリンガーは、一つの平面上に設置可能な線状部材ではなく、ストリンガーを保持する固定用治具も、複雑な形状となってしまう。
【0006】
そこで、固定用治具の代わりに、長尺状部材を複数の把持用ロボットで把持させることが考えられる。把持用ロボットが長尺状部材を把持する位置は、長尺状部材の長さや形状に応じて変更できるため、固定用治具に比べて多数の種類や複雑な形状の長尺状部材に対応できる自由度が高い。
【0007】
把持用ロボットのハンド部で長尺状部材を把持して固定する場合や、固定された長尺状部材に対し取付用ロボットによって他の部品を接合し固定する場合、長尺状部材を位置決めしたり、把持用ロボットや取付用ロボットを制御するために、任意の1点を基準点(原点)に設定し、また、座標系を設定する必要がある。なお、これらの課題は、航空機に用いられるストリンガーに限られず、低剛性で撓みやすい長尺状部材を保持する際に一般的に生じる。
【0008】
上述の特許文献1では、圧縮機等の大型の装置を取り外して復帰させるときに、不動物と取り外す設備部分の両方にターゲットを設け、レーザ式測定器を用いて位置座標を測定することにより、高精度に復元させることが開示されている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、長尺状部材の実際の位置を検出する場合における誤差を小さくし、精度の良い基準点や座標系の設定を行うことが可能な組立体製造装置及び組立体製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の組立体製造装置及び組立体製造方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る組立体製造装置は、長尺状の第1部材を把持する複数の第1の把持部と、前記第1部材の一端を固定し、前記第1部材の長手方向の移動を拘束する固定部と、前記第1の把持部を移動させて、前記第1部材を把持した前記第1の把持部の位置を調節する第1の駆動部と、前記固定部の設置位置を検出する検出部と、前記検出部で検出された前記固定部の設置位置に基づいて、前記第1の把持部の位置調節に用いられる基準座標又は基準点を決定する基準決定部と、前記第1部材の原形状が記録された記憶部と、前記記憶部に記録された前記原形状と、前記基準決定部で決定された前記基準座標又は前記基準点に基づいて、前記第1の把持部が把持する前記第1部材の形状が前記原形状と一致するように、前記第1の駆動部を駆動して、前記第1部材を把持した前記複数の第1の把持部の位置を調節する制御部とを備える。
【0011】
この構成によれば、長尺状の第1部材は、複数の第1の把持部によって把持され、第1部材を把持するそれぞれの第1の把持部は、第1の駆動部によって移動されつつ位置が調節される。このとき、制御部は、記憶部に記録された第1部材の原形状に基づいて、第1の駆動部を駆動して、複数の第1の把持部の位置を調節する。このように、複数の第1の把持部の位置が調節されることで、複数の第1の把持部によって把持された第1部材は、記憶部に記録された第1部材の原形状と一致した形状に保持される。さらに、固定部によって、第1部材の一端が固定され、第1部材の長手方向の移動が拘束されるため、第1部材の一端を位置決めの基準位置とすることができる。そして、第1の把持部の位置調節に用いられる基準座標又は基準点が、第1部材の一端が固定される固定部の設置位置から決定されるため、第1部材の位置調節を精度良く行うことができる。
【0012】
上記発明において、前記固定部に設けられ、レーザー光を反射する第1の反射部を更に備え、前記検出部は、レーザー光を照射しつつ走査する照射部と、前記第1の反射部で反射された前記レーザー光を受光する受光部と、前記第1の反射部で反射され前記受光部が受光した前記レーザー光に基づいて、前記第1の反射部が設けられた前記固定部の設置位置を算出する位置算出部とを有し、前記基準決定部は、前記位置算出部によって算出された前記固定部の設置位置に基づいて、前記基準座標又は前記基準点を決定する。
【0013】
この構成によれば、照射部がレーザー光を照射し、固定部に設けられた第1の反射部がレーザー光を反射した後、受光部がレーザー光を受光する。固定部の設置位置は、受光部で受光したレーザー光に基づいて算出される。そして、算出された固定部の設置位置から、基準点又は基準座標が決定される。
【0014】
上記発明において、前記固定部とは異なる位置に、互いに離隔して二つ又は一つ設けられる第2の反射部を更に備え、前記第1の反射部は、前記固定部において、一つ又は互いに離隔して二つ設けられ、前記位置算出部は、前記第2の反射部で反射され前記受光部が受光した前記レーザー光に基づいて、前記第2の反射部の設置位置を算出し、前記基準決定部は、前記位置算出部で算出された前記固定部の設置位置及び前記第2の反射部の設置位置に基づいて前記基準座標を決定する。
【0015】
この構成によれば、第1部材の一端側に設置された固定部に、一つ又は二つの第1の反射部が設けられ、固定部と異なる位置に、二つ又は一つの第2の反射部が設けられる。レーザー光は、合計少なくとも三つとなる第1の反射部と第2の反射部で反射し、基準座標は、第1の反射部と第2の反射部で反射したレーザー光に基づいて決定される。第1の反射部が、第1部材の一端を固定する固定部に設けられ、基準座標は、固定部の設置位置に基づいて決定されるため、第1部材の位置調節を精度良く行うことができる。
【0016】
上記発明において、前記第1の反射部は、前記固定部に互いに離隔して三つ設けられ、前記位置算出部は、三つの前記第1の反射部で反射され前記受光部が受光した前記レーザー光に基づいて、前記第1の反射部が設けられた前記固定部の設置位置を算出し、前記基準決定部は、前記位置算出部で算出された前記固定部の設置位置に基づいて前記基準点を決定する。
【0017】
この構成によれば、固定部に、三つの第1の反射部が設けられ、レーザー光は、これらの三つの第1の反射部で反射する。基準点は、三つの第1の反射部で反射したレーザー光に基づいて決定される。三つの第1の反射部が、第1部材の一端を固定する固定部に設けられ、基準点は、固定部の設置位置に基づいて決定されるため、第1部材の位置調節を精度良く行うことができる。
【0018】
上記発明において、前記第1の反射部が前記固定部に設けられる位置は、前記検出部が有する検出誤差と、前記基準決定部で決定される前記基準点の位置の誤差とに基づいて決定されている。
【0019】
この構成によれば、例えば、検出部が有する検出誤差に対する基準決定部で決定される基準点の位置の誤差を小さくするように、第1の反射部が設けられることで、基準点の位置を精度良く設定できる。反対に検出部が有する検出誤差に対する基準決定部で決定される基準点の位置の誤差を大きくすると、第1の反射部の設置位置の自由度を高めることができるが、基準点の位置精度は悪化する。
【0020】
上記発明において、前記第1部材を把持する、前記第1の把持部よりも少ない数の第2の把持部と、前記第1の駆動部による前記第1の把持部の位置調節における位置精度よりも精度が高く、前記第2の把持部を移動させて、前記第1部材を把持した前記第2の把持部の位置を調節する第2の駆動部と、前記第2の把持部に設けられる第3の反射部とを更に備え、前記位置算出部は、前記第3の反射部で反射され前記受光部が受光した前記レーザー光に基づいて、前記第3の反射部の設置位置を算出し、前記基準決定部は、前記位置算出部で算出された前記第3の反射部の設置位置に基づいて、前記第2の把持部が前記第1部材を把持する位置を決定し、前記制御部は、前記記憶部に記録された前記第1部材の原形状と、前記基準決定部で決定された前記基準座標又は前記基準点とに基づいて、前記第1の把持部及び前記第2の把持部が把持する前記第1部材の形状が前記記憶部に記録された前記第1部材の原形状と一致するように、前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部を駆動して、前記複数の第1の把持部及び前記第2の把持部の位置を調節する。
【0021】
この構成によれば、長尺状の第1部材は、複数の第1の把持部によって把持され、第1部材を把持するそれぞれの第1の把持部は、第1の駆動部によって移動されつつ位置が調節される。また、長尺状の第1部材は、第1の把持部よりも少ない数の第2の把持部によって把持され、第2の把持部は、第2の駆動部によって移動されつつ位置が調節される。第2の駆動部による第2の把持部の位置調節は、第1の駆動部による第1の把持部の位置調節における位置精度よりも精度が高い。このとき、制御部は、記憶部に記録された第1部材の原形状に基づいて、第1の駆動部と第2の駆動部を駆動して、複数の第1の把持部と第2の把持部の位置を調節する。このように、複数の把持部の位置が調節されることで、複数の第1の把持部及び第2の把持部によって把持された第1部材は、記憶部に記録された第1部材の原形状と一致した形状に保持される。また、位置精度の精度が高い第2の把持部とともに複数の第1の把持部が第1部材を保持することで、第2の把持部を用いない場合に比べて、第1部材の所定部分について位置ずれを低減することができる。
【0022】
また、第2の把持部に、第3の反射部が設けられ、レーザー光は、第3の反射部で反射する。第2の把持部が第1部材を把持する位置は、第3の反射部で反射したレーザー光に基づいて算出された第3の反射部の設置位置から決定される。これにより、第2の把持部の位置が精度良く位置決めされ、第2部材の把持位置が精度良く決定される。
【0023】
上記発明において、前記第1部材に対し第2の部材を取り付ける取付けロボットと、前記取付けロボットに設けられる第4の反射部とを更に備え、前記位置算出部は、前記第4の反射部で反射され前記受光部が受光した前記レーザー光に基づいて、前記第4の反射部の設置位置を算出し、前記基準決定部は、前記位置算出部で算出された前記第4の反射部の設置位置に基づいて、前記取付けロボットが前記第2の部材を取り付ける位置を決定する。
【0024】
この構成によれば、取付けロボットによって、第1の把持部又は第2の把持部が把持する第1部材に対して第2部材が取り付けられる。また、取付けロボットに、第4の反射部が設けられ、レーザー光は、第4の反射部で反射する。取付けロボットが第2の部材を取り付ける位置は、第4の反射部で反射したレーザー光に基づいて算出された第4の反射部の設置位置から決定される。これにより、取付けロボットの位置が精度良く決定され、第2の部材の取り付け精度が向上する。
【0025】
本発明に係る組立体製造方法は、複数の第1の把持部が、長尺状の第1部材を把持するステップと、固定部が、前記第1部材の一端を固定し、前記第1部材の長手方向の移動を拘束するステップと、第1の駆動部が、前記第1の把持部を移動させて、前記第1部材を把持した前記第1の把持部の位置を調節するステップと、検出部が、前記固定部の設置位置を検出するステップと、基準決定部が、前記検出部で検出された前記固定部の設置位置に基づいて、前記第1の把持部の位置調節に用いられる基準座標又は基準点を決定すると、制御部が、記憶部に記録された前記第1部材の原形状と、前記基準決定部で決定された前記基準座標又は前記基準点に基づいて、前記第1の把持部が把持する前記第1部材の形状が前記原形状と一致するように、前記第1の駆動部を駆動して、前記第1部材を把持した前記複数の第1の把持部の位置を調節するステップとを備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、長尺状部材の実際の位置を検出する場合における誤差を小さくし、精度の良い基準点や基準座標の設定を行うことができ、長尺状部材の位置調節の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の一実施形態に係る長尺部材組立装置について、図面を参照して説明する。
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る長尺部材組立装置の構成について説明する。
長尺部材組立装置1は、コンベヤー2と、テーブル3と、複数台の支持ロボット4と、突き当て板5と、取付けロボット6と、レーザートラッカー7と、把持ロボット11などを備える。長尺部材組立装置1は、第1部材である長尺部材10に対し、第2部材である他の部品22が取り付けられた組立体を製造する組立体製造装置である。
【0029】
長尺部材組立装置1は、長尺部材10を供給位置20から取り出し、取付位置21まで搬送する。そして、取付位置21にて長尺部材10に対し他の部品22を取り付ける。供給位置20には、部品22を取り付ける前の長尺部材10が仮置きされており、取付位置21の近傍には、取付けロボット6及び把持ロボット11が床上に固定して載置されている。
【0030】
長尺部材10は、例えば、航空機の構造用部材であるストリンガーである。ストリンガーは、約5mから15mの長さを有し、例えば、複曲線状であって立体的な形状を有する。ストリンガーには、例えば、クリップといわれる他の部品22が取り付けられる。ここで、ストリンガーに対してクリップが取り付けられたものが組立体に相当する。クリップは、複数のストリンガーに接続される長尺状のフレームを結合するための部品である。クリップがストリンガーの長手方向に対し正確な位置で取り付けられることで、複数のストリンガーに対して一本のフレームを組み付ける際、フレームを撓ませることなく複数のストリンガーにわたって接続することができる。
【0031】
コンベヤー2は、通常用いられるものを適用することができ、後述するテーブル3が載置される。コンベヤー2は、テーブル3を一端側から他端側へ、また、他端側から一端側へ移動させる。コンベヤー2の一端側は、長尺部材10の供給位置20の近傍であり、コンベヤー2は、テーブル3を供給位置20の近傍から取付けロボット6の近傍へ移動させる。
【0032】
取付けロボット6が、長尺部材10に対し長手方向に複数の部品22を取り付ける場合、長尺部材10の所定の領域の取り付けが完了した後、コンベヤー2が、長尺部材10を把持した支持ロボット4が設置されたテーブル3を搬送する。これにより、支持ロボット4が長尺部材10の部品形状を所定の保持形状に維持した状態で把持したまま、長尺部材10が搬送されることになり、取付けロボット6が、次の所定の領域に部品22の取り付けを行うことができる。また、その所定の領域の取り付けが完了すると、コンベヤー2がテーブル3を搬送し、取付けロボット6が、更に次の長尺部材10の所定の領域に部品22の取り付けを行う。この動作を繰り返すことで、長尺部材10の長手方向全てにわたって、部品22の取り付けが行われる。一つの所定の領域での部品22の取り付けは、一つの部品22である場合もあるし、長手方向に沿って複数の部品22である場合もある。
【0033】
テーブル3には、複数の支持ロボット4と突き当て板5が一列に設置される。これにより、複数の支持ロボット4と突き当て板5が一体的にコンベヤー2上を移動する。支持ロボット4は、複数台がテーブル3上に一列に載置され、突き当て板5は、テーブル3の両端、すなわち、複数の支持ロボット4の両側に一つずつ載置される。テーブル3上に載置される支持ロボット4の台数や、支持ロボット4間の距離は、組み立ての対象となる長尺部材10に応じて、予め設定される。長尺部材10を把持するため稼働する支持ロボット4の台数は、実際に把持する長尺部材10の長さに応じて決定される。
図1では、5台の支持ロボット4のうち4台で長尺部材10を把持している様子を示している。
【0034】
支持ロボット4は、
図1及び
図2に示すように、長尺部材10を把持する構成を有するハンド部8と、ハンド部8が先端に設けられた腕部9と、腕部9を支持する胴部12などを有する。ハンド部8は、第1の把持部の一例であり、腕部9及び胴部12は、第1の駆動部の一例である。
【0035】
ハンド部8は、長尺部材10が脱落しないように把持するストッパー13と、ストッパー13が把持していないときに長尺部材10をX方向へ移動させることが可能なように、かつ、長尺部材10のY座標を位置決めするA基準面ローラ部14と、Z座標を位置決めするB基準面ローラ部15などを有する。ハンド部8の詳細な構成については、後述する。
【0036】
腕部9及び胴部12は、ハンド部8が長尺部材10を適切に支持できるように、ハンド部8を移動させる構成を有する。腕部9及び胴部12については、通常用いられるロボットの構成を適用できる。支持ロボット4は、支持ロボット4自身が有する基準位置に基づいて、ハンド部8の位置を検出しつつ、ハンド部8を移動させる。
【0037】
突き当て板5は、平板部16を有し、平板部16の面上に長尺部材10の一端が突き当てられる。
また、突き当て板5は、長尺部材10の一端を拘束する構成を有する。これにより、突き当て板5に突き当てられた長尺部材10の一端を、他の部品22を取り付ける際の位置決めの基準位置とすることができる。突き当て板5の詳細な構成については、後述する。
【0038】
突き当て板5には、レーザートラッカー7からのレーザー光を反射するリフレクタ27が設けられる。レーザートラッカー7では、レーザートラッカー7から照射されリフレクタ27で反射したレーザー光により、突き当て板5に設けられたリフレクタ27の位置情報が検出される。リフレクタ27の位置情報により、突き当て板5の位置や傾きを検出することができ、かつ、基準点及び基準座標を設定できる。
【0039】
突き当て板5は、テーブル3の両端に一つずつ、すなわち、複数の支持ロボット4の両側に一つずつ載置される。長尺部材10を突き当て板5に接触させる際、二つの突き当て板5のうち一つの突き当て板5のみが用いられる。突き当て板5は、長尺部材10の形状に応じて選択される。
図1では、レーザートラッカー7に近い側の突き当て板5に長尺部材10が当接されている状態が示されている。
【0040】
取付けロボット6は、他の部品22を把持するハンド部17と、ハンド部17が先端に設けられた腕部18と、腕部18を支持する胴部19などを有する。
【0041】
腕部18及び胴部19は、ハンド部17が把持した他の部品22を長尺部材10の取付位置21に移動させる構成を有する。腕部18及び胴部19については、通常用いられるロボットの構成を適用できる。取付けロボット6は、取付けロボット6自身が有する基準位置と、取付けロボット6のハンド部17に設けられたリフレクタ28の位置情報に基づいて、ハンド部17の位置を検出しつつ、ハンド部17を移動させる。
【0042】
取付けロボット6のハンド部17には、レーザートラッカー7からのレーザー光を反射するリフレクタ28が設けられる。レーザートラッカー7では、レーザートラッカー7から照射されリフレクタ28で反射したレーザー光により、ハンド部17に設けられたリフレクタ28の位置情報が検出される。レーザートラッカー7で検出されたリフレクタ28の位置情報に基づいてハンド部17を制御でき、リフレクタ28が設けられない場合よりも取付けロボット6のハンド部17の位置制御の精度を向上させることができる。
【0043】
リフレクタ28は、ハンド部17において、少なくとも3点設置され、各リフレクタ28の位置は、レーザートラッカー7によって検出される。これにより、ハンド部17の傾斜や位置が正確に算出される。
【0044】
取付けロボット6、把持ロボット11、又は、別のロボットが、長尺部材10と部品22をクランプしたり、穴明けしたり、打鋲したりする機能を併せ持つ。
【0045】
把持ロボット11は、長尺部材10及び他の部品22を把持する構成を有するハンド部37と、ハンド部37が先端に設けられた腕部38と、腕部38を支持する胴部39などを有する。
【0046】
ハンド部37は、長尺部材10をX方向へ移動させることが可能な構成を有しており、かつ、長尺部材10のY座標とZ座標を位置決めすることが可能な構成を有する。
【0047】
腕部38及び胴部39は、ハンド部37が長尺部材10を適切に支持できるように、ハンド部37を移動させる構成を有する。腕部38及び胴部39については、通常用いられるロボットの構成を適用できる。把持ロボット11は、把持ロボット11自身が有する基準位置と、把持ロボット11のハンド部37に設けられたリフレクタ29の位置情報に基づいて、ハンド部37の位置を検出しつつ、ハンド部37を移動させる。
【0048】
把持ロボット11のハンド部37には、レーザートラッカー7からのレーザー光を反射するリフレクタ29が設けられる。これにより、レーザートラッカー7では、レーザートラッカー7から照射されリフレクタ29で反射したレーザー光により、ハンド部37に設けられたリフレクタ29の位置情報が検出される。レーザートラッカー7で検出されたリフレクタ29の位置情報に基づいてハンド部37を制御でき、リフレクタ29が設けられない場合よりも把持ロボット11のハンド部37の位置制御の精度を向上させることができる。よって、本実施形態では、把持ロボット11は、支持ロボット4と比べて、位置決めにおいて位置誤差が少ない。
【0049】
リフレクタ29は、ハンド部37において、少なくとも3点設置され、各リフレクタ29の位置は、レーザートラッカー7によって検出される。これにより、ハンド部37の傾斜や位置が正確に算出される。
【0050】
把持ロボット11が、長尺部材10を適切に支持した後、取付けロボット6、把持ロボット11、又は、別のロボットが長尺部材10と部品22をクランプしたり、穴明けしたり、打鋲したりする。
【0051】
レーザートラッカー7は、レーザー光を走査して、リフレクタ27,28,29で反射したレーザー光を受光して、リフレクタ27,28,29の位置を検出する。レーザートラッカー7は、コンベヤー2や、支持ロボット4、取付けロボット6、把持ロボット11とは別の位置に固定して設置される。
【0052】
レーザートラッカー7は、照射部41と、受光部42と、位置算出部43とを有する。照射部41は、レーザー光を走査しながら照射する。受光部42は、リフレクタ27,28,29で反射したレーザー光を受光する。
【0053】
位置算出部43は、リフレクタ27,28,29で反射され受光部42が受光したレーザー光に基づいて、リフレクタ27,28,29の位置を算出する。リフレクタ27は、突き当て板5に設置されることから、位置算出部43がリフレクタ27の位置を算出することで、位置算出部43は突き当て板5の設置位置を算出する。
【0054】
基準決定部50は、位置算出部によって算出された突き当て板5の設置位置に基づいて、基準座標又は基準点を決定する。基準座標又は基準点は、長尺部材10の位置決めや、支持ロボット4のハンド部8の位置調節に用いられる。また、基準決定部50は、位置算出部で算出されたリフレクタ29の設置位置に基づいて、把持ロボット11のハンド部37が長尺部材10を把持する位置を決定する。さらに、基準決定部50は、位置算出部で算出されたリフレクタ28の設置位置に基づいて、取付けロボット6のハンド部17が他の部品22を取り付ける位置を決定する。
【0055】
長尺部材組立装置1を制御する制御部30は、
図3に示すように、例えば、コンベヤー制御部31と、支持ロボット制御部32と、取付けロボット制御部33と、把持ロボット制御部34などを備える。制御部30は、例えばプログラムによって実行されるコンピュータである。
【0056】
コンベヤー制御部31は、長尺部材10の所定の領域が取付位置21に移動するようにコンベヤー2の位置を調節する。コンベヤー制御部31は、長尺部材10において部品22が取り付けられる領域と、取付位置21に基づいて、コンベヤー2の移動を開始し、所定の位置までテーブル3を移動させる。
【0057】
支持ロボット制御部32は、支持ロボット4自身が有する基準位置と、レーザートラッカー7によって取得された、突き当て板5に設けられたリフレクタ27の位置情報による基準点及び基準座標に基づいて、ハンド部8の位置を検出しつつ、ハンド部8を移動させる。支持ロボット制御部32は、長尺部材10の端部を突き当て板5に当接させる。また、支持ロボット制御部32は、メモリ35に記録された長尺部材10の原形状に基づいて、複数の支持ロボット4のハンド部8を移動させる。
【0058】
取付けロボット制御部33は、取付けロボット6自身が有する基準位置と、取付けロボット6のハンド部17に設けられたリフレクタ28の位置情報と、レーザートラッカー7によって取得された、突き当て板5に設けられたリフレクタ27の位置情報による基準点及び基準座標に基づいて、ハンド部17の位置を検出しつつ、ハンド部17を移動させる。また、取付けロボット制御部33は、長尺部材10に対し他の部品22を取り付けるようにハンド部17を動作させる。具体的には、取付けロボット制御部33は、ハンド部17に対し、長尺部材10と部品22にクランプや穴明けや打鋲させる。但し、本機能は、後述する把持ロボット制御部34、又は、別のロボットの制御部が実施してもよい。
【0059】
把持ロボット制御部34は、把持ロボット11自身が有する基準位置と、把持ロボット11のハンド部37に設けられたリフレクタ29の位置情報と、レーザートラッカー7によって取得された、突き当て板5に設けられたリフレクタ27の位置情報による基準点及び基準座標に基づいて、ハンド部37の位置を検出しつつ、ハンド部37を移動させる。
【0060】
次に、
図4から
図6を参照して、支持ロボット4のハンド部8の構成について説明する。
支持ロボット4のハンド部8は、ストッパー13と、A基準面ローラ部14と、B基準面ローラ部15などを備える。なお、
図4から
図6では、横断面がいわゆるZ形である長尺部材10の場合について説明しているが、本発明は、ストッパー13と、複数の把持部の配置位置を変更することで、他の断面形状を有する長尺部材10にも適用可能である。
【0061】
ストッパー13は、長尺部材10の平板部分を両側から挟み込む。ストッパー13は、長尺部材10を供給位置20からコンベヤー2側まで移動するときに用いられ、支持ロボット4のハンド部8から長尺部材10が脱落することを防止する。また、ストッパー13で長尺部材10を把持しているとき、長尺部材10を突き当て板5に当接する。このとき、いずれかの支持ロボット4のストッパー13のみが、長尺部材10を挟み込んでいればよい。
ストッパー13は、長尺部材10を突き当て板5に対し突き当てた後は、長尺部材10の把持を解除する。
【0062】
ストッパー13は、例えば、固定部品13Aと移動部品13Bからなり、移動部品13Bはアクチュエータ(図示せず。)によって、固定部品13Aに対し近づいたり遠ざかったりする。移動部品13Bが固定部品13Aに近づくことで、長尺部材10の平板部分を挟み込み、反対に、移動部品13Bが固定部品13Aから遠ざかることで、挟み込みを解除する。
【0063】
A基準面ローラ部14は、長尺部材10におけるA基準面の位置決めを行う。A基準面ローラ部14は、把持している部分のY座標の位置を調節する。
A基準面ローラ部14は、固定ローラ14Aと移動ローラ14Bからなり、移動ローラ14Bはアクチュエータ(図示せず。)によって、XY平面内でY軸に対し平行に移動し、固定ローラ14Aに対し近づいたり遠ざかったりする。移動ローラ14Bが固定ローラ14Aに近づくことで、長尺部材10の平板部分を挟み込み、反対に、移動ローラ14Bが固定ローラ14Aから遠ざかることで、挟み込みを解除する。
【0064】
また、固定ローラ14Aと移動ローラ14Bのそれぞれの回転軸は、長尺部材10の長手方向に対して垂直であって、かつ、A基準面に対し平行な軸方向である。これにより、A基準面ローラ部14は、固定ローラ14Aと移動ローラ14Bが長尺部材10を挟み込んだとき、長尺部材10の長手方向への移動を拘束せず、長尺部材10が長手方向に移動することを許容する。
【0065】
固定ローラ14Aと移動ローラ14Bが長尺部材10を挟み込んだとき、固定ローラ14Aの外周面と接触する長尺部材10の平板面が、A基準面である。したがって、支持ロボット4が、A基準面と接触する固定ローラ14Aの外周面の位置を調節することで、長尺部材10におけるA基準面の位置決めが行われる。
【0066】
B基準面ローラ部15は、長尺部材10におけるB基準面の位置決めを行う。B基準面ローラ部15は、把持している部分のZ座標の位置を調節する。
B基準面ローラ部15は、A基準面ローラ部14と同様に、固定ローラ15Aと移動ローラ15Bからなり、移動ローラ15Bはアクチュエータ(図示せず。)によって、XZ平面内でZ軸に対し平行に移動する。固定ローラ15Aと移動ローラ15Bのそれぞれの回転軸は、長尺部材10の長手方向に対して垂直であって、かつ、B基準面に対し平行な軸方向である。
【0067】
固定ローラ15Aと移動ローラ15Bが長尺部材10を挟み込んだとき、固定ローラ15Aの外周面と接触する長尺部材10の平板面が、B基準面である。したがって、支持ロボット4が、B基準面と接触する固定ローラ15Aの外周面の位置を調節することで、長尺部材10におけるB基準面の位置決めが行われる。
【0068】
次に、
図7及び
図8を参照して、突き当て板5の構成について説明する。
長尺部材10の一端部における端面(YZ面)が、突き当て板5の平板部16の平面(YZ面)に面状に完全に当接され、かつ、Y方向及びZ方向にも拘束されることによって、突き当て板5に当接された長尺部材10の一端部の位置と、長尺部材10の延設方向が特定可能となる。
【0069】
突き当て板5には、平板部16と、平板部16に設けられたA基準面治具24及びB基準面治具25と、フローティングユニット23と、リフレクタ27などが設けられる。なお、
図7及び
図8は、横断面がいわゆるZ形である長尺部材10の場合について説明しているが、本発明は、A基準面治具24と、B基準面治具25の配置位置を変更することで、他の断面形状を有する長尺部材10にも適用可能である。また、
図8では、
図1とは異なる側の突き当て板5に対して、長尺部材10が当接されている状態を示している。
【0070】
A基準面治具24は、長尺部材10におけるA基準面が、基準位置となるように拘束する。A基準面治具24は、長尺部材10のY方向の移動を拘束する。
【0071】
A基準面治具24は、例えば、固定部品24Aと移動部品24Bからなり、固定部品24Aは、平板部16の一面側にて突出して設置されている。移動部品24Bはアクチュエータ(図示せず。)によって、固定部品24Aに対し近づいたり遠ざかったりする。移動部品24Bが固定部品24Aに近づくことで、長尺部材10の平板部分を挟み込み、反対に、移動部品24Bが固定部品24Aから遠ざかることで、挟み込みを解除する。
【0072】
固定部品24Aが長尺部材10と接触する面は、平板部16の平面に対して垂直な面を有する。これにより、A基準面治具24によって、長尺部材10のY方向の移動が拘束されたとき、長尺部材10の端面が、突き当て板5に確実に押し当てられるとともに、長尺部材10の延設方向が正確になる。
なお、固定部品24Aと移動部品24Bが長尺部材10を挟み込んだとき、固定部品24Aと接触する長尺部材10の平板面が、A基準面である。
【0073】
B基準面治具25は、長尺部材10におけるB基準面が、基準位置となるように拘束する。B基準面治具25は、長尺部材10のZ方向の移動を拘束する。
【0074】
B基準面治具25は、例えば、固定部品25Aと移動部品25Bからなる。固定部品25Aが長尺部材10と接触する面は、平板部16の平面に対して垂直な面を有する。これにより、B基準面治具25によって、長尺部材10のZ方向の移動が拘束されたとき、長尺部材10の端面が、突き当て板5に確実に押し当てられるとともに、長尺部材10の延設方向が正確になる。
なお、固定部品25Aと移動部品25Bが長尺部材10を挟み込んだとき、固定部品25Aと接触する長尺部材10の平板面が、B基準面である。
【0075】
フローティングユニット23は、支持台26と平板部16の間に設置される。フローティングユニット23は、平板部16がX方向に移動したり、X方向に対して傾斜することを許容する。これにより、長尺部材10の端面が、突き当て板5の平板部16の面上に適切に面接触する。
支持台26は、テーブル3上に固定して設置される。
【0076】
リフレクタ27は、平板部16において、少なくとも3点設置され、各リフレクタ27の位置は、レーザートラッカー7によって検出される。これにより、平板部16の傾斜や位置が正確に算出される。
【0077】
次に、
図9及び
図10を用いて、本実施形態に係る長尺部材組立装置の動作について説明する。
組立対象となる長尺部材10は、
図1に示すように、他の部品22が取り付けられる前、供給位置20のラック等に仮置きされている。そして、複数の支持ロボット4が載置されたテーブル3がコンベヤー2上を移動して、仮置きされた供給位置20にある長尺部材10のほうへ支持ロボット4が近づく(ステップS1)。このとき、長尺部材10を把持する支持ロボット4の台数、長尺部材10を当接する側の突き当て板5が決定されている。なお、テーブル3上で支持ロボット4の位置の調整は、既に行われた状態となっている。
【0078】
次に、複数の支持ロボット4のハンド部8が長尺部材10を把持し、供給位置20からコンベヤー2側へ長尺部材10を移動させて、供給位置20から長尺部材10を取り出す(ステップS2)。このとき、支持ロボット4のハンド部8は、長尺部材10が撓まないような位置、すなわち、長尺部材10に引っ張り力や圧縮力が作用しない位置で、長尺部材10を把持することが好ましい。
【0079】
そして、メモリ35に記録された長尺部材10の原形状に基づいて、複数の支持ロボット4のハンド部8を移動させ、支持ロボット4によって、長尺部材10の位置や保持形状の調節がされる(ステップS3)。このとき、長尺部材10の一端部は、突き当て板5に対し拘束される。これにより、長尺部材10の一端部を基準にして、長尺部材10の位置や保持形状が正確に調節される。
【0080】
長尺部材10の位置等が調節された後、複数の支持ロボット4が長尺部材10を把持したまま、テーブル3がコンベヤー2によって搬送される。これにより、取付けロボット6が長尺部材10に対し他の部品22を取り付け可能な取付位置21まで、コンベヤー2に載置されたテーブル3上の支持ロボット4を搬送して、長尺部材10を移動させる(ステップS4)。
【0081】
また、他の部品22を取り付ける前に、メモリ35に記録された長尺部材10の原形状に基づいて、把持ロボット11のハンド部37を移動させ、把持ロボット11によって、長尺部材10の位置や保持形状の調節がされる(ステップS5)。把持ロボット11の大きな動作時は、レーザートラッカー7による位置制御ではなく、把持ロボット11自身の基準位置に基づく位置制御を行い、最終的な微調整時にレーザートラッカー7を用いた位置制御を行う。複数の支持ロボット4による調節だけでなく、複数の支持ロボット4よりも位置精度が高い把持ロボット11による調節が行われることで、他の部品22を取り付ける取付位置21の位置精度が向上する。
【0082】
その後、取付けロボット6及び把持ロボット11が長尺部材10に対し他の部品22を取り付ける(ステップS6)。取付けロボット6の大きな動作時は、レーザートラッカー7による位置制御ではなく、取付けロボット6自身の基準位置に基づく位置制御を行い、最終的な微調整時にレーザートラッカー7を用いた位置制御を行う。上述したとおり、支持ロボット4及び把持ロボット11によって、長尺部材10の位置や保持形状が正確に調節されていることから、取付けロボット6によって、所望の正確な位置に他の部品22を取り付けることができる。なお、取付けロボット6が長尺部材10に対し他の部品22を取り付ける前に、再度、支持ロボット4によって、長尺部材10の位置や保持形状が調節されてもよい。
【0083】
なお、長尺部材10の位置等が支持ロボット4によって調節され、搬送された後、他の部品22が取付けロボット6によって取り付けられる前に、長尺部材10が正確な位置や原形状で保持されているか否かが検査されてもよい。例えば、長尺部材10上における他の部品22の取付位置21が測定されたり、長尺部材10の全長が測定されて、原形状で保持されているか否か検査されたりする。
【0084】
次に、本実施形態に係る支持ロボット4及び把持ロボット11による長尺部材10の把持方法について説明する。
複数の支持ロボット4は、長尺部材10における変形量(撓み量)が可能な限り最小限になるような位置で把持する(ステップS11)。長尺部材10を把持する支持ロボット4の台数は、長尺部材10の全長や形状、支持ロボット4の動作範囲等に基づいて決定される。長尺部材10の変形量が最小限になる把持位置は、例えば、長尺部材10の原形状と長尺部材10の変形量に基づいて、事前の解析で決定される。突き当て板5を用いて長尺部材10の端部を拘束する場合は、解析条件として、突き当て板5による拘束も考慮しておく。
【0085】
複数の支持ロボット4による把持位置は、例えば、複数のうち1台の支持ロボット4の把持位置が、長尺部材10の端部であり、複数の支持ロボット4による把持位置は均等となることが推定される。一方、精密な把持位置は、解析によって算出され、微調節される。なお、解析の際、長尺部材10に対し取り付けられる他の部品22の取付位置21も考慮されるため、必ずしも長尺部材10の変形量が最小限になるような把持位置になるとは限られない。
【0086】
供給位置20からコンベヤー2まで長尺部材10が取り出されると、長尺部材10の端部は、支持ロボット4によって、突き当て板5に当接される。そして、後述する方法によって、長尺部材10の端部が突き当て板5に拘束される(ステップS12)。これにより、長尺部材10の端部は、X方向、Y方向、Z方向の全方向に移動ができないように拘束される。
【0087】
突き当て板5が用いられない場合、支持ロボット4のハンド部8が誤差を生じさせるほか、長尺部材10の移動を完全に防止することは難しく、X,Y,Z方向の全方向に完全拘束させることは困難である。一方、突き当て板5を用いることによって、誤差を少なくして、基準位置を確定させることができる。
【0088】
長尺部材10の端部が突き当て板5に拘束された後、複数の支持ロボット4と把持ロボット11は、把持位置の再調節を行う。
【0089】
支持ロボット4のハンド部8は、長尺部材10の原形状に基づいて、支持ロボット4が把持している長尺部材10が原形状と一致する位置に移動される(ステップS13)。把持ロボット11のハンド部37も、長尺部材10の原形状に基づいて、把持ロボット11が支持している長尺部材10が原形状と一致する位置に移動される(ステップS14)。
【0090】
原形状は、メモリ35に記録された長尺部材10の形状である。メモリ35には、例えば、原形状として、長尺部材10の設計寸法が記録されている。ハンド部8,37の移動先の位置は、基準位置、すなわち、突き当て板5上の長尺部材10の拘束位置を基準(0点)とした座標における位置である。ハンド部8,37の移動先の位置の座標は、メモリ35に記録された原形状に基づいて算出される。ハンド部8,37が、移動先の位置として算出されたX,Y,Zの座標位置に基づいて移動すると、長尺部材10は、原形状と一致した位置に保持されることになる。
【0091】
なお、支持ロボット4のハンド部8と、把持ロボット11のハンド部37が移動を停止する位置に誤差が生じる場合であっても、ハンド部8,37は、上述したとおり、長尺部材10をX方向、すなわち、長尺部材10の長手方向には拘束しない構成を有する。したがって、長尺部材10には、長手方向に引っ張り力や圧縮力がかからない。その結果、長尺部材10に変形が生じにくい。
【0092】
上述したとおり、本実施形態では、把持ロボット11は、支持ロボット4と比べて、位置決めにおいて位置誤差が少ない。そして、長尺部材10の位置や保持形状を調節する際、複数の支持ロボット4による調節だけでなく、複数の支持ロボット4よりも位置精度が高い把持ロボット11による調節が行われることで、他の部品22を取り付ける取付位置21の位置精度が向上する。
【0093】
この点について、長尺部材10が、長さ7.9mのストリンガーである場合について、支持ロボット4及び把持ロボット11がストリンガーを保持したとき、ストリンガーの長手方向に生じる取付位置21の位置ずれを解析によって算出し、本実施形態による位置精度の向上を検証した。解析結果を
図11に示す。
図11の結果は、各条件下において、ストリンガーにおける15か所の取付位置21のうち、位置ずれが最大となった取付位置21における位置ずれの値を示している。
【0094】
条件(1)について
(1)は、ストリンガーを5台の支持ロボット4によって支持し、把持ロボット11を用いない場合において、支持ロボット4のハンド部8の位置精度を0.0mmと設定したときの結果である。この場合、ストリンガーの長手方向に生じる取付位置21の位置ずれは、0.012mmとなった。取付位置21の位置ずれが0.0mmとならないのは、支持ロボット4間においてストリンガーに僅かな撓みが生じているためである。そして、この撓みが長手方向の位置ずれとなって表れている。
【0095】
条件(2)について
(2)は、ストリンガーを5台の支持ロボット4によって支持し、把持ロボット11を用いない場合において、支持ロボット4のハンド部8の位置精度を0.5mmと設定したときの結果である。この場合、ストリンガーの長手方向に生じる取付位置21の位置ずれは、0.186mmとなった。
【0096】
条件(3)について
(3)は、ストリンガーを5台の支持ロボット4と把持ロボット11によって支持する場合において、支持ロボット4のハンド部8の位置精度を0.5mm、把持ロボット11のハンド部37の位置精度を0.0mmと設定したときの結果である。この場合、ストリンガーの長手方向に生じる取付位置21の位置ずれは、0.071mmとなった。
【0097】
条件(4)について
(4)は、ストリンガーを5台の支持ロボット4と把持ロボット11によって支持する場合において、支持ロボット4のハンド部8の位置精度を0.2mm、把持ロボット11のハンド部37の位置精度を0.0mmと設定したときの結果である。この場合、ストリンガーの長手方向に生じる取付位置21の位置ずれは、0.033mmとなった
【0098】
解析対象とした長尺部材10のストリンガーに他の部品22であるクリップを設ける場合において、取付位置21の位置ずれの要求精度が0.063mmである場合、条件(4)のように、支持ロボット4のハンド部8の位置精度を0.2mm、把持ロボット11のハンド部37の位置精度を0.0mmと設定すれば、要求精度を満たすことが分かった。
【0099】
そして、条件(4)は、条件(2)に比べて、位置精度が向上し、かつ、要求精度を満たしていることから、条件(1)のように、複数の支持ロボット4全ての位置精度を向上させなくても、条件(4)のように、1台の位置精度の高い把持ロボット11とともに長尺部材10を支持すれば、他の複数の支持ロボット4の位置精度は低くてもよいという知見が得られた。
【0100】
すなわち、本実施形態によれば、1台の位置精度の高い把持ロボット11と、把持ロボット11よりも位置精度が低い複数の支持ロボット4を用いることによって、位置精度が低い複数の支持ロボット4のみによって長尺部材10を支持する場合に比べて、取付位置21の位置精度を向上させることができる。
【0101】
また、ロボットのハンド部にリフレクタを設けるロボットの数を減らすことができ、位置制御における演算の複雑さや、ロボット本体のメンテナンスの煩わしさを低減できる。さらに、長尺部材組立装置1全体のコストを減少させることもできる。
【0102】
次に、支持ロボット4のハンド部8が、長尺部材10を突き当て板5に接触させ、長尺部材10の端部を拘束する方法について説明する。
支持ロボット4が、ハンド部8によって、供給位置20にある長尺部材10の所定位置を把持する。このときの把持位置は、他の部品22の取付け時ほど正確でなくてもよく、支持ロボット4及びコンベヤー2が有する位置検出部が検出した位置に基づいている。
【0103】
支持ロボット4は、ストッパー13が長尺部材10を把持した状態で、長尺部材10を突き当て板5に当てて接触させる。このとき、フローティングユニット23によって、長尺部材10の一端部における端面(YZ面)が、突き当て板5の平面(YZ面)に面状に完全に当接される。
【0104】
そして、突き当て板5のA基準面治具24及びB基準面治具25が、A基準面治具24、B基準面治具25の順に長尺部材10を挟み込む。これにより、長尺部材10におけるA基準面とB基準面が、基準位置となるように拘束される。その後、支持ロボット4のストッパー13は、長尺部材10の把持を解除する。なお、上述の例とは逆に、B基準面治具25、A基準面治具24の順に長尺部材10を挟み込んでもよい。
【0105】
次に、本実施形態に係る長尺部材組立装置の基準点の設定方法について説明する。
基準点は、突き当て板5に当接された長尺部材10の一端部の位置に設定される。基準点は、例えば、長尺部材10が当接された突き当て板5に設置された三つのリフレクタの位置に基づいて算出される。すなわち、まず、レーザートラッカー7が、各リフレクタ27で反射したレーザー光を受光することによって、三つのリフレクタ27の位置情報を検出する。そして、リフレクタ27の位置情報に基づいて、基準点が算出される。
【0106】
具体的には、各リフレクタ27の位置と突き当て板5に当接される長尺部材10の一端部(基準点)の位置との位置関係を予め取得しておき、検出されたリフレクタ27の位置情報から、突き当て板5に当接される長尺部材10の一端部(基準点)の位置を算出する。リフレクタ27を基準点に設置することができない場合であっても、各リフレクタ27の位置と基準点の位置との位置関係を予め取得しておき、各リフレクタ27の位置情報を検出することで、基準点の位置を算出できる。
【0107】
本実施形態よれば、突き当て板5によって、長尺部材10の一端が固定され、長尺部材10の長手方向の移動が拘束されるため、長尺部材10の一端を位置決めの基準位置とすることができる。そして、長尺部材10の位置決めや支持ロボット4のハンド部8の位置調節に用いられる基準座標又は基準点が、長尺部材10の一端が固定される突き当て板5に設置されたリフレクタ27の位置から決定されるため、長尺部材10の位置調節を精度良く行うことができる。
【0108】
なお、三つのリフレクタ27のうち一つのリフレクタ27は、可能な限り基準点に近い位置に設置されることが好ましく、残りの二つのリフレクタ27は、可能な限り基準点から遠い位置に設置することが好ましい。
【0109】
すなわち、基準点を算出する際に生じる誤差(Δx,Δy,Δz)は、下記の式(3),式(6),式(9),式(12)で表される。以下、
図12を参照しながら説明する。
図12は、突き当て板5上に設置されたリフレクタ27と基準点の関係を示す。なお、以下において、Δx,Δy,Δzは、基準点を算出する際に生じるx,y,z方向の誤差であり、ly1,lz1は、リフレクタ27間の距離であり、ly2,lz2は、リフレクタ27と基準点間の距離である。また、ΔRx,ΔRy,ΔRzは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のx,y,z方向の検出誤差であり、Δp,Δq,Δrは、x,y,z軸回りの回転誤差である。
【0110】
基準点を算出する際に生じるx方向の誤差Δxは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のx方向の検出誤差ΔRxと、z軸回りの回転誤差Δrを用いて表すと、
【数1】
となる。z軸回りの回転誤差Δrは、
【数2】
である。よって、式(1)と式(2)から、基準点を算出する際に生じるx方向の誤差Δxは、
【数3】
と表される。
【0111】
また、基準点を算出する際に生じるx方向の誤差Δxは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のx方向の検出誤差ΔRxと、y軸回りの回転誤差Δqを用いて表すと、
【数4】
となる。y軸回りの回転誤差Δqは、
【数5】
である。よって、式(4)と式(5)から、基準点を算出する際に生じるx方向の誤差Δxは、
【数6】
と表される。
基準点を算出する際に生じるx方向の誤差Δxは、式(3)と式(6)のいずれでも表現できる。誤差Δxが小さくなるように、式(3)を用いてlz1とlz2を設定してもよいし、式(6)を用いてly1とly2を設定してもよい。
【0112】
同様に、基準点を算出する際に生じるy方向の誤差Δyは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のy方向の検出誤差ΔRyと、x軸回りの回転誤差Δpを用いて表すと、
【数7】
となる。x軸回りの回転誤差Δpは、
【数8】
である。よって、式(7)と式(8)から、基準点を算出する際に生じるy方向の誤差Δyは、
【数9】
と表される。
【0113】
また、基準点を算出する際に生じるz方向の誤差Δzは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のz方向の検出誤差ΔRzと、x軸回りの回転誤差Δpを用いて表すと、
【数10】
となる。x軸回りの回転誤差Δpは、
【数11】
である。よって、式(10)と式(11)から、基準点を算出する際に生じるy方向の誤差Δyは、
【数12】
と表される。
【0114】
したがって、式(3),式(6),式(9),式(12)によると、ly2,lz2が長いほど、基準点を算出する際に生じる誤差(Δx,Δy,Δz)が大きくなるのに対し、ly2,lz2が短いほど、誤差(Δx,Δy,Δz)が小さくなり精度が向上する。また、ly1,lz1が短いほど、誤差(Δx,Δy,Δz)が大きくなるのに対し、ly1,lz1が長いほど、誤差(Δx,Δy,Δz)が小さくなり精度が向上する。
【0115】
なお、基準点を算出する際に生じるy方向の誤差について、各リフレクタ27の位置と基準点の位置との関係は、
図13に示すようになる。
図13は、縦軸がレーザートラッカー7によって決まる誤差と、基準点を算出する際に生じる誤差との比(Δy/ΔRy)を表している。
【0116】
図13によると、リフレクタ距離比(lz2/lz1)が0.1程度であれば、誤差比(Δy/ΔRy)は1となり、基準点を算出する際に生じる誤差は、レーザートラッカー7によって決まる誤差そのものとなる。一方、リフレクタ比(lz2/lz1)が大きくなるほど、誤差比(Δy/ΔRy)が大きくなり、基準点を算出する際に生じる誤差は、レーザートラッカー7によって決まる誤差に対して悪化していく。リフレクタ比(lz2/lz1)が0.9の場合、基準点を算出する際に生じる誤差は、レーザートラッカー7によって決まる誤差に対して約1.6倍となる。
【0117】
上記説明では、突き当て板5に当接された長尺部材10の一端部の位置に設定される基準点について説明したが、取付けロボット6のハンド部17の位置制御や、把持ロボット11のハンド部37の位置制御に用いる作用点についても同様に算出される。
【0118】
取付けロボット6のハンド部17の位置制御に用いる作用点は、ハンド部17が部品22に対する取り付け加工を行う位置であり、把持ロボット11のハンド部37の位置制御に用いる作用点は、ハンド部37が長尺部材10を把持する位置である。
【0119】
各作用点は、取付けロボット6の場合、ハンド部17に設置された三つのリフレクタ28の位置に基づいて算出され、把持ロボット11の場合、ハンド部37に設置された三つのリフレクタ29の位置に基づいて算出される。すなわち、取付けロボット6の場合について説明すると、まず、レーザートラッカー7が、各リフレクタ28で反射したレーザー光を受光することによって、三つのリフレクタ28の位置情報を検出する。そして、リフレクタ28の位置情報に基づいて、作用点が算出される。
【0120】
具体的には、各リフレクタ28の位置と各作用点の位置との位置関係を予め取得しておき、検出されたリフレクタ28の位置情報から、各作用点の位置を算出する。リフレクタ28は、作用点に設置することができないが、各リフレクタ28の位置と作用点の位置との位置関係を予め取得しておき、各リフレクタ28の位置情報を検出することで、作用点の位置を算出できる。把持ロボット11の場合において、リフレクタ29を用いて作用点を算出する場合も同様である。
【0121】
なお、三つのリフレクタ28,29のうち一つのリフレクタ28,29は、可能な限り作用点に近い位置に設置されることが好ましく、残りの二つのリフレクタ28,29は、可能な限り作用点から遠い位置に設置することが好ましい。
【0122】
次に、本実施形態に係る長尺部材組立装置の基準座標の設定方法について説明する。
基準座標は、一側の突き当て板5に設置された一つ又は二つのリフレクタ27と、他側の突き当て板に設置された二つ又は一つのリフレクタ27に基づいて、設定される。例えば、テーブル3の一端側に設けられた突き当て板5上の一つのリフレクタ27が検出され、テーブル3の他端側に設けられた突き当て板5上の二つのリフレクタ27が検出される。これにより、XY平面が確定され、基準座標が設定される。
【0123】
リフレクタ27は、長尺部材10の長手方向を挟むように二つ設置し、長手方向のどちらか一方側において、長尺部材10の短手方向(長手方向に対して直交方向)を挟むように三つ目のリフレクタ27を設置する。これにより、2軸の座標系が設定される。長尺部材10の長手方向に設置される二つのリフレクタ27間の距離を、長尺部材10の長手方向の長さよりも長くすることで、長尺部材10の長手方向の傾斜誤差を低減できる。
【0124】
長尺部材10の短手方向(長手方向に対して直交方向)に設置される二つのリフレクタ27間の距離も、長尺部材10の短手方向の長さよりも長くすることが好ましい。
【0125】
一方、長尺部材10の長手方向に設置される二つのリフレクタ27間の距離、又は、長尺部材10の短手方向に設置される二つのリフレクタ27間の距離を、長尺部材10の長手方向、又は、短手方向の長さよりも長く設定できない場合は、リフレクタ距離比(lx2/lx1又はly2/ly1)から定まる誤差比を考慮して、リフレクタ27の設置位置を設定する。
【0126】
これらの場合に基準座標を設定したとき、長尺部材10の突き当て板5とは反対側の端部の位置を算出する際に生じる誤差(Δx,Δy,Δz)は、下記の式で表される。ここで、lx1、ly1は、二つのリフレクタ27間の距離であり、
図14に示すように、二つのリフレクタ27が長尺部材10の長手方向及び短手方向において長尺部材10を挟むように設置できない場合の距離である。
また、下記の式は、長尺部材10がz方向に大きな曲がりを持たない形状であることを前提としたものである。
【0127】
以下、
図14を参照しながら説明する。以下において、Δx,Δy,Δzは、長尺部材10の突き当て板5とは反対側の端部の位置を算出する際に生じるx,y,z方向の誤差であり、lx1,ly1は、リフレクタ27間の距離であり、lx2,ly2は、リフレクタ27と上述の長尺部材10の端部間の距離である。また、ΔRx,ΔRy,ΔRzは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のx,y,z方向の検出誤差であり、Δp,Δq,Δrは、x,y,z軸回りの回転誤差である。但し、Δp,Δq,Δrの角度は微小として、以下の近似式(式(13))を適用した。
【数13】
【0128】
長尺部材10の突き当て板5とは反対側の端部の位置を算出する際に生じるx方向の誤差Δxは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のx方向の検出誤差ΔRxを用いて表すと、
【数14】
となる。
【0129】
長尺部材10の突き当て板5とは反対側の端部の位置を算出する際に生じるy方向の誤差Δyは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のy方向の検出誤差ΔRyと、z軸回りの回転誤差Δrを用いて表すと、
【数15】
となる。z軸回りの回転誤差Δrは、
【数16】
である。よって、式(15)と式(16)から、長尺部材10の端部の位置を算出する際に生じるy方向の誤差Δyは、
【数17】
と表される。
【0130】
また、長尺部材10の突き当て板5とは反対側の端部の位置を算出する際に生じるz方向の誤差Δzは、レーザートラッカー7の性能によって決まるリフレクタ27のz方向の検出誤差ΔRzと、y軸回りの回転誤差Δqと、x軸回りの回転誤差Δpを用いて表すと、
【数18】
となる。y軸回りの回転誤差Δqは、
【数19】
であり、x軸回りの回転誤差Δpは、
【数20】
である。よって、式(18)と式(19)と式(20)から、長尺部材10の端部の位置を算出する際に生じるz方向の誤差Δzは、
【数21】
と表される。
【0131】
したがって、式(14),式(17),式(21)によると、lx2,ly2が長いほど、長尺部材10の端部を算出する際に生じる誤差(Δx,Δy,Δz)が大きくなるのに対し、lx2,ly2が短いほど、誤差(Δx,Δy,Δz)が小さくなり精度が向上する。また、lx1,ly1が短いほど、誤差(Δx,Δy,Δz)が大きくなるのに対し、lx1,ly1が長いほど、誤差(Δx,Δy,Δz)が小さくなり精度が向上する。
【0132】
以上、本実施形態によれば、例えば、レーザートラッカー7が有する検出誤差に対する基準決定部50で決定される基準点の位置の誤差を小さくするように、リフレクタ27が設けられることで、基準点の位置を精度良く設定できる。反対にレーザートラッカー7が有する検出誤差に対する位置算出部で算出される基準点の位置の誤差を大きくすると、リフレクタ27の設置位置の自由度を高めることができるが、基準点の位置精度は悪化する。
【0133】
上述した説明では、ハンド部17,37にリフレクタが常時設けられるとしたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、レーザートラッカー7による検出を常時行わなくてもよく、予め、取付けロボット6及び把持ロボット11が持つ固有の誤差を、レーザートラッカー7を用いて検出しておき、その誤差を記録しておいてもよい。そして、取り付け時にはリフレクタを外して、記録された誤差分を考慮して取付けロボット6及び把持ロボット11の取り付け動作を行うことで、部品22を取り付ける精度を向上させることができる。
【0134】
さらに、コンベヤー2に支持ロボット4及び突き当て板5が載置される場合について説明したが、この例に限定されず、取付けロボット6及び把持ロボット11がコンベヤーに載置され、支持ロボット4及び突き当て板5に対し、移動可能な構成であってもよい。
【0135】
またさらに、上述した実施形態では、複数の支持ロボット4が、予め決定された間隔でテーブル3上に配置され、テーブル3と一体となっている場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、支持ロボット4は、把持する長尺部材10の長さや形状に基づいて、テーブル3上で自走可能なように設置されてもよい。この場合、テーブル3上の基準位置に対する支持ロボット4の位置情報も用いて、支持ロボット4のハンド部8の位置決めが行われる。