(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498613
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】流体を迂回させるシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20190401BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20190401BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20190401BHJP
A61M 25/098 20060101ALI20190401BHJP
A61M 39/24 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
A61M1/00 130
A61M25/00 534
A61M25/06 556
A61M25/098
A61M39/24
【請求項の数】31
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2015-555226(P2015-555226)
(86)(22)【出願日】2014年1月22日
(65)【公表番号】特表2016-508393(P2016-508393A)
(43)【公表日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】US2014012449
(87)【国際公開番号】WO2014116640
(87)【国際公開日】20140731
【審査請求日】2017年1月13日
(31)【優先権主張番号】61/755,018
(32)【優先日】2013年1月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518424512
【氏名又は名称】アヌンシア・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】アナンド・ピージェイ
(72)【発明者】
【氏名】シング・ディープ アルジュン
(72)【発明者】
【氏名】ブロフィー・モーガン
(72)【発明者】
【氏名】ファロン・ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】デゴン・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アター・マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ウォラー・アリソン
(72)【発明者】
【氏名】イースト・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイアー・ジョン・ティー
【審査官】
小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−235987(JP,A)
【文献】
特開2012−071135(JP,A)
【文献】
米国特許第07842002(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0277862(US,A1)
【文献】
特表2003−507140(JP,A)
【文献】
特開平03−029665(JP,A)
【文献】
特開2009−189815(JP,A)
【文献】
特表昭63−501546(JP,A)
【文献】
米国特許第04560375(US,A)
【文献】
特表平05−506595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 25/00
A61M 25/06
A61M 25/098
A61M 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭蓋骨内部に蓄積した流体を迂回させるためのカテーテルにおいて、
近位端部および遠位端部を有する細長い管状本体と、
前記細長い本体の前記遠位端部から延びる第1および第2の可撓性先端部であって、前記第1および第2の可撓性先端部を通って延びる1つまたは複数の流体通路を有する、第1および第2の可撓性先端部と、
前記第1および第2の先端部に形成された複数の流体ポートと、
前記カテーテルの前記第1および第2の先端部の周りに配置され、前記第1および第2の先端部を互いに隣接した位置に保持するように構成された連結部材と、
を含み、前記連結部材は、前記カテーテルが患者内に植え込まれている間に、前記第1および第2の先端部が互いに対して動くことが可能になるように取り外し可能であり、前記カテーテルの前記第1および第2の先端部は、前記連結部材を前記第1および第2の先端部から離れるように近位に引っ張ることにより前記連結部材を取り外すことによって連結解除される、カテーテル。
【請求項2】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の可撓性先端部は、脳室に設置されるようにサイズ決めされ構成される、カテーテル。
【請求項3】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記連結部材は、前記第1および第2の先端部の周りに配された剥離可能シースを含む、カテーテル。
【請求項4】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記連結部材は、前記第1および第2の先端部の周りに配された、円滑に取り外し可能な挿入シースを含む、カテーテル。
【請求項5】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記連結部材は、前記第1の先端部と前記第2の先端部との間に配された生体吸収性接着剤を含む、カテーテル。
【請求項6】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記連結部材は、前記第1および第2の先端部の周りに配された、スタイレットもしくはカニューレを含む、カテーテル。
【請求項7】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部はそれぞれ、D字型の断面を有する、カテーテル。
【請求項8】
請求項7に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部は、前記連結部材により互いに連結されると、全体として円形断面を形成する、カテーテル。
【請求項9】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部はそれぞれ、円形断面を有する、カテーテル。
【請求項10】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記複数の流体ポートは、前記第1および第2の先端部の側壁を通る螺旋パターンで形成される、カテーテル。
【請求項11】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部が中に配される流体の拍動流は、前記第1および第2の先端部を互いにぶつからせるのに有効であり、それにより障害物が前記第1および第2の先端部から除去される、カテーテル。
【請求項12】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
複数のシュラウドをさらに含み、
各前記シュラウドは、前記複数の流体ポートのうちの対応する1つの上に配される、カテーテル。
【請求項13】
請求項12に記載のカテーテルにおいて、
前記複数のシュラウドは、中空の4分の1球体として形成される、カテーテル。
【請求項14】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部のうちの少なくとも一方は、埋め込みマイクロセンサーを含む、カテーテル。
【請求項15】
請求項14に記載のカテーテルにおいて、
前記埋め込みマイクロセンサーは、問い合わせ可能センサー、圧力センサー、フローセンサー、傾きセンサー、加速度センサー、グルタメートセンサー、pHセンサー、温度センサー、イオン濃度センサー、二酸化炭素センサー、酸素センサー、およびラクテートセンサーのうちの少なくとも1つを含む、カテーテル。
【請求項16】
請求項14に記載のカテーテルにおいて、
前記埋め込みマイクロセンサーは、前記第1および第2の先端部の周辺の環境における圧力を示す出力を弁に供給して、前記弁を通る流体流量を制御する、圧力センサーである、カテーテル。
【請求項17】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部のうちの少なくとも一方は、ある量の薬剤を収容するか、薬剤でコーティングされるか、または、薬剤を含浸している、カテーテル。
【請求項18】
請求項17に記載のカテーテルにおいて、
前記薬剤は、抗菌剤、抗炎症薬、コルチコステロイド、およびデキサメタゾンのうちの少なくとも1つを含む、カテーテル。
【請求項19】
請求項1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部は、ポリマー組成物から形成される、カテーテル。
【請求項20】
患者の頭蓋骨内部に蓄積された流体を排出するシャントにおいて、
請求項1に記載のカテーテルと、
前記細長い管状本体の前記近位端部に連結された頭蓋骨アンカーであって、前記頭蓋骨アンカーは、注入ポートを含み、前記注入ポートを通って、流体が前記細長い管状本体に供給されるか、または前記細長い管状本体から抜き取られることができる、頭蓋骨アンカーと、
前記頭蓋骨アンカーから延びる排液カテーテルと、
前記カテーテルおよび前記排液カテーテルのうちの少なくとも一方と一直線に配される、一方向の圧力制御弁と、
を含む、シャント。
【請求項21】
カテーテルにおいて、
近位端部および遠位端部、ならびに中を通って延びる流体内腔を有する、細長い管状本体と、
前記流体内腔の内表面から半径方向内側に延びる複数の流れ表示突出部であって、前記突出部はそれぞれ、撮像可能部分を有する、複数の流れ表示突出部と、
を含み、
前記突出部の少なくとも前記撮像可能部分は、流体が前記流体内腔を通って流れているときは前記流体内腔に対して動くように、また、流体が前記流体内腔を通って流れていないときは前記流体内腔に対して静止したままであるように、構成される、カテーテル。
【請求項22】
請求項21に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部はそれぞれ、前記流体内腔の前記内表面に固定された第1の端部と、前記流体内腔の前記内表面に対して自由に動くことができる第2の端部と、を含む、カテーテル。
【請求項23】
請求項22に記載のカテーテルにおいて、
前記撮像可能部分は、前記突出部の前記第2の自由端部に配される、カテーテル。
【請求項24】
請求項21に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部は、前記細長い管状本体の側壁を貫通した開口部を通して前記突出部を前進させ、その後、前記開口部をシールすることにより、形成される、カテーテル。
【請求項25】
請求項21に記載のカテーテルにおいて、
前記撮像可能部分は、放射線不透過性材料から形成される、カテーテル。
【請求項26】
請求項21に記載のカテーテルにおいて、
前記撮像可能部分は、金属材料から形成される、カテーテル。
【請求項27】
請求項21に記載のカテーテルにおいて、
前記撮像可能部分は、磁気共鳴映像法(MRI)下で見ることができる材料から形成される、カテーテル。
【請求項28】
請求項21に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部は、可撓性である、カテーテル。
【請求項29】
請求項21に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部は、前記細長い管状本体の長さ全体にわたり配される、カテーテル。
【請求項30】
請求項21に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部は、前記細長い管状本体内部の別々の場所に形成された1つまたは複数の群に分けられる、カテーテル。
【請求項31】
カテーテルにおいて、
細長い本体であって、近位端部および遠位端部、ならびに前記細長い本体の少なくとも一部を通って延びる複数の独立した流体内腔を有する、細長い本体と、
前記細長い本体の側壁に形成された複数の流体開口部であって、各前記流体開口部は、前記複数の流体内腔のうちの1つと流体連通している、複数の流体開口部と、
を含み、
前記流体開口部は、前記複数の独立した流体内腔のうちの別々の流体内腔と流体連通している前記流体開口部が異なる方向を向くように形成され、
前記カテーテルは、前記細長い本体の前記遠位端部に形成された円錐状先端部をさらに含み、前記円錐状先端部は、その中に形成された複数の流体開口部を有し、前記流体開口部はそれぞれ、前記複数の流体内腔のうちの1つまたは複数の流体内腔と流体連通している、カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2013年1月22日出願の米国仮特許出願第61/755,018号の優先権を主張し、この仮特許出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔分野〕
本発明は、流体を迂回させる、例えば水頭症の治療において脳脊髄液を迂回させる、システムおよび方法に関する。
【0003】
〔背景〕
身体の1つの領域から別の領域まで体液を運ぶシャントシステムが、一般的に知られている。例えば、シャントシステムは、余分な脳脊髄液(CSF)を脳室から排出するために、水頭症の治療でしばしば使用される。典型的なシャントシステムは、皮膚の下に植え込まれる、一方向の圧力制御弁を含む。脳室カテーテルが、弁の片側から、脳室へと延びる。排液カテーテルが、弁のもう一方の側から、腹腔などの排液部位まで延びる。
【0004】
植え込んで、長期間にわたり使用した後、シャントシステムは、ある人では、詰まってくる傾向がある。詰まりは、シャントシステムの狭い管状通路内、ならびに、そのような通路の入口開口部および出口開口部内にたまる異物により、生じ得る。したがって、障害物を取り除くか、またはシステム全体を取り替えるために、個人に対し追加の手術を行うことがしばしば必要となる。これらの追加処置に付随する不便さ、費用、および合併症のリスクは、無視できないものであり、かつ望ましくない。したがって、流体を迂回させるための、改善されたシステムおよび方法に対するニーズが存在する。
【0005】
〔概要〕
流体を迂回させること、例えば水頭症の治療において脳脊髄液を迂回させることを一般的に伴う、システムおよび方法が、本明細書において提供される。割れた先端部を含む自動洗浄式カテーテルが提供され、割れた先端部は、カテーテルが挿入された空洞内の流体の拍動流により、それらの先端部が互いにぶつかり、それによって障害物を取り除くことができるように構成されている。内蔵フローインジケータを備えたカテーテルも提供される。例示的なフローインジケータは、カテーテルの内表面から半径方向内側に延びる突出部を含み、この突出部は、撮像可能部分(imageable portions)(例えば、磁気共鳴映像法(MRI)下で見ることのできる部分)を含む。カテーテルを通って流れる流体により引き起こされるフローインジケータの動きは、MRIを使用して検知されることができ、これにより、カテーテルが部分的または完全に塞がれているかどうかについて、信頼性のある表示がもたらされる。シャントシステムを洗い流すシステムおよび方法も、シャントシステムを通る補助流体経路を開くさまざまなシステムおよび方法として、本明細書に開示される。
【0006】
いくつかの実施形態では、患者の頭蓋骨内部に蓄積した流体を迂回させるためのカテーテルが提供され、これは、近位端部および遠位端部を有する細長い管状本体と、細長い本体の遠位端部から延びており、1つまたは複数の流体通路が中を通って延びる、第1および第2の可撓性先端部と、第1および第2の先端部に形成された複数の流体ポートと、第1および第2の先端部を互いに隣接した位置に保持するように構成された連結部材と、を含む。
【0007】
第1および第2の可撓性先端部は、脳室に設置されるようにサイズ決めされ構成されることができる。連結部材は、第1および第2の先端部の周囲に配された剥離可能シースであってよいか、またはそのような剥離可能シースを含むことができる。連結部材は、第1および第2の先端部の周囲に配された、円滑に取り外し可能な挿入シースであってよいか、または、そのような、円滑に取り外し可能な挿入シースを含むことができる。連結部材は、第1の先端部と第2の先端部との間に配された生体吸収性接着剤であってよいか、または、そのような生体吸収性接着剤を含むことができる。連結部材は、第1および第2の先端部の周りに配されたスタイレットもしくはカニューレであってよいか、またはそのようなスタイレットもしくはカニューレを含むことができる。第1および第2の先端部はそれぞれ、D字型断面を有し得る。第1および第2の先端部は、連結部材により互いに連結されると、全体として円形断面を形成し得る。第1および第2の先端部はそれぞれ、円形断面を有することもできる。複数の流体ポートは、第1および第2の先端部の側壁を通る螺旋パターンで形成され得る。第1および第2の先端部が中に配される流体の拍動流は、第1および第2の先端部を互いにぶつからせるのに有効となり得、それにより、障害物が第1および第2の先端部から除去される。カテーテルは、複数のシュラウドを含んでよく、各シュラウドは、複数の流体ポートのうちの対応する1つの上に配されている。複数のシュラウドは、中空の4分の1球体(hollow quarter spheres)として形成され得る。
【0008】
第1および第2の先端部のうちの少なくとも一方は、埋め込みマイクロセンサーを含み得る。埋め込みマイクロセンサーは、問い合わせ可能センサー(interrogatable sensor)、圧力センサー、フローセンサー、傾きセンサー(tilt sensor)、加速度センサー(accelerometer sensor)、グルタメートセンサー(glutamate sensor)、pHセンサー、温度センサー、イオン濃度センサー、二酸化炭素センサー、酸素センサー、およびラクテートセンサー(lactate sensor)のうちの少なくとも1つであってよいか、または、これらのうちの少なくとも1つを含むことができる。埋め込みマイクロセンサーは、圧力センサーであってよいか、または圧力センサーを含んでよく、この圧力センサーは、弁を通る流体流量を制御するために、弁に対して、第1および第2の先端部の周辺の環境における圧力を示す出力を供給するものである。第1および第2の先端部のうちの少なくとも一方は、ある量の薬剤を収容することができるか、薬剤でコーティングされることができるか、または、薬剤を含浸することができる。薬剤は、抗菌剤、抗炎症薬、コルチコステロイド、およびデキサメタゾンのうちの少なくとも1つであってよいか、またはこれらのうちの少なくとも1つを含み得る。第1および第2の先端部は、ポリマー組成物から形成され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、患者の頭蓋骨内部に蓄積した流体を排出するシャントが提供され、これは、近位端部および遠位端部を有する細長い管状本体と、細長い本体の遠位端部から延びており、1つまたは複数の流体通路が中を通って延びる、第1および第2の可撓性先端部と、第1および第2の先端部に形成される複数の流体ポートと、第1および第2の先端部を互いに隣接する位置に保持するように構成された連結部材と、を有する、カテーテルを含む。シャントは、細長い管状本体の近位端部に連結された頭蓋骨アンカーをさらに含んでよく、頭蓋骨アンカーは、注入ポートを含み、注入ポートを通って、流体が、細長い管状本体に供給されるか、または細長い管状本体から抜き取られることができる。シャントは、頭蓋骨アンカーから延びる排液カテーテルと、カテーテルおよび排液カテーテルのうちの少なくとも一方と一直線に配される、一方向の圧力制御弁と、をさらに含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、体液を迂回させる方法が提供され、この方法は、遠位端部から延びて互いに連結された第1および第2の可撓性先端部を有するカテーテルを、流体収容空洞に挿入し、流体がカテーテルを通って空洞から流出することができるようにすることと、空洞内の流体の拍動流により第1および第2の先端部が互いにぶつかり、それにより障害物を第1および第2の先端部から除去するように、第1および第2の先端部を切り離すことと、を含む。
【0011】
第1および第2の先端部を切り離すことは、第1および第2の先端部の周囲に配されたシースを取り外すこと、第1および第2の先端部の周囲に配されたスタイレットもしくはカニューレを取り外すこと、ならびに第1の先端部と第2の先端部との間に配された生体吸収性接着剤を流体にさらすこと、のうちの少なくとも1つを含み得る。方法は、第1および第2の先端部のうちの少なくとも一方の上に配された圧力センサーの出力に応じて、弁を通る流体流量を調節することを含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、カテーテルが提供され、これは、近位端部および遠位端部、ならびに中を通って延びる流体内腔を有する細長い管状本体と、流体内腔の内表面から半径方向内側に延びる、複数の流れ表示突出部(flow-indicating projections)と、を含み、突出部はそれぞれ、撮像可能部分を有している。突出部の少なくとも撮像可能部分は、流体が流体内腔を通って流れているときは流体内腔に対して動くように、また、流体が流体内腔を通って流れていないときには流体内腔に対して静止したままであるように、構成され得る。
【0013】
突出部はそれぞれ、流体内腔の内表面に固定された第1の端部と、流体内腔の内表面に対して自由に動くことができる第2の端部と、を含み得る。撮像可能部分は、突出部の第2の自由端部に配され得る。突出部は、細長い管状本体の側壁を貫通した開口部を通して突出部を前進させ、その後開口部をシールすることによって、形成され得る。撮像可能部分は、放射線不透過性材料から形成され得る。撮像可能部分は、金属材料から形成され得る。撮像可能部分は、磁気共鳴映像法(MRI)下で見ることができる材料から形成され得る。突出部は、可撓性であってよい。突出部は、細長い管状本体の長さ全体にわたり配されていてよい。突出部は、細長い管状本体内部の別々の場所に形成された1つまたは複数の群に分けられ得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、植え込まれたカテーテルの流体内腔を通って流体が流れているかどうかを判断する方法が提供される。この方法は、カテーテル、および流体内腔の内表面から半径方向内側に延びる複数の流れ表示突出部の、1つまたは複数の画像を撮ることを含んでよく、突出部はそれぞれ、撮像可能部分を有する。この方法は、撮像可能部分が流体内腔に対して動いていることを画像が示した場合には、流体が流体内腔を通って流れていると判断することと、撮像可能部分が流体内腔に対して静止していることを画像が示した場合には、流体が流体内腔を通って流れていないと判断することと、を含むこともできる。画像は、磁気共鳴画像、コンピュータ断層画像、陽電子放出断層画像、およびX線透視画像のうちの少なくとも1つであってよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、カテーテルが提供され、これは、近位端部および遠位端部、ならびに内部の少なくとも一部を通って延びる複数の独立した流体内腔を有する細長い本体と、細長い本体の側壁に形成された複数の流体開口部と、を含み、各流体開口部は、複数の流体内腔のうちの1つと流体連通している。流体開口部は、複数の独立した流体内腔のうちの別々の流体内腔と流体連通している流体開口部が異なる方向を向くように形成され得る。カテーテルは、細長い本体の遠位端部に形成された円錐状先端部を含んでよく、円錐状先端部は、その中に形成された複数の流体開口部を有し、流体開口部はそれぞれ、複数の流体内腔のうちの1つまたは複数と流体連通している。
【0016】
いくつかの実施形態では、流水装置(flusher)が提供され、これは、上流ポートおよび下流ポートを有する本体と、脳室チャネルおよび排液チャネルからドームまで延びる流水チャネルと、を含み、脳室チャネルは、上流ポートから流水チャネルまで延び、排液チャネルは、下流ポートから流水チャネルまで延びている。流水装置はまた、流水チャネル内に配された弁を含み、弁は、脳室チャネルおよび排液チャネルが互いに流体連通していて、ドームが流水チャネルを介して脳室チャネルまたは排液チャネルと流体連通していない、第1の位置と、ドームが流水チャネルを介して脳室チャネルと流体連通していて、排液チャネルがドームまたは脳室チャネルと流体連通していない、第2の位置と、を有する。ドームは、弁を第2の位置まで動かして、脳室チャネルを通して流体を流すように、潰れることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、流水システムが提供され、これは、潰れることができるドームを有する流水構成要素と、第1のカテーテルによって流水構成要素に連結された弁構成要素であって、その中に配された流水弁およびフラッパー弁を有する、弁構成要素と、第2のカテーテルにより弁構成要素に連結され、第3のカテーテルにより流水構成要素に連結された、Y字アダプタと、を含む。流水弁は、流水弁にわたる圧力差が所定の閾値を超えると開くように構成され、フラッパー弁は、弁構成要素からY字アダプタへの流体の流れを遮断するように、流水弁が開くと、開くように構成され、ドームは、流水弁にわたって圧力差を生じるように潰れることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、流水装置が提供され、これは、上流ポートおよび下流ポートを有する本体と、上流ポートから流水弁チャンバまで延びる脳室チャネルと、下流ポートから再充填弁チャンバまで延びる排液チャネルと、流水弁チャンバからドームまで延びる流水チャネルと、再充填弁チャンバからドームまで延びる再充填チャネルと、流水弁チャンバから再充填弁チャンバまで延びるバイパスチャネルと、流水弁チャンバ内に配された流水弁であって、流水弁にわたる圧力差が所定の閾値を超えると流水チャネルと脳室チャネルとの間の流体連通を可能にするように構成された、流水弁と、再充填弁チャンバ内に配された再充填弁であって、流体がバイパスチャネルから再充填チャネルに流れ込むことを可能にし、かつ流体が再充填チャネルからバイパスチャネルに流れ込むのを防ぐように構成された、再充填弁と、バイパスチャネル内の流体圧力が所定の閾値を超えるとバイパスチャネルを通る流体の流れを妨げるように構成された、バイパスチャネル内に配されたバイパス弁と、を含む。ドームは、潰れることができ、流水弁および脳室チャネルを通して流体を送ると共に、バイパス弁を閉じさせて、流体が排液チャネルを通って送られるのを防ぐ。流水装置は、ドームを潰れていない形態に付勢するように構成された、ばねを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、カテーテルが提供され、これは、主要流体入口ポートであって、これを通って、カテーテルの外部の流体がカテーテルの内側内腔へ流れ込むことができる、主要流体入口ポートと、膜により覆われた補助流体入口ポートであって、カテーテルの外部の流体が補助入口ポートを通って流れることができない、補助流体入口ポートと、を含む。膜は、補助流体入口ポートを開き、補助流体入口ポートに流体を流すことができるように、カテーテルの内側内腔の中の流体によって所定の閾値力(threshold force)が膜に加えられると、裂けるように構成される。補助流体入口ポートは、角が丸い矩形スロットであってよく、あるいは角が丸い矩形スロットを含み得る。主要流体入口ポートは、その中を通って延びる少なくとも1つのスリットを含んでよく、入口ポートの周辺部は、カテーテルが洗い流されると、外側に変形するように構成される。
【0020】
本発明は、特許請求するような、装置、システム、および方法をさらに提供する。
【0021】
本発明は、添付図面と併せて理解される以下の詳細な説明から、さらに十分に理解されるであろう。
【0022】
〔詳細な説明〕
概して、流体を迂回させること、例えば水頭症の治療において脳脊髄液を迂回させることを伴う、システムおよび方法が本明細書において提供される。自動洗浄式カテーテルが提供され、これは、割れた先端部を含み、この先端部は、カテーテルが挿入される空洞内の流体の拍動流によって先端部が互いにぶつかり、それにより障害物を取り除くことができるように、構成されている。内蔵フローインジケータを備えるカテーテルも提供される。例示的なフローインジケータは、カテーテルの内表面から半径方向内側に延び、撮像可能部分(例えば、磁気共鳴映像法(MRI)下で見ることができる部分)を含む、突出部を含む。カテーテルを通って流れる流体により引き起こされるフローインジケータの動きは、MRIを用いて検出されることができ、これにより、カテーテルが部分的または完全に塞がれているかどうかについて、信頼性のある表示を提供する。シャントシステムを通る補助流体経路を開くさまざまなシステムおよび方法として、シャントシステムを洗い流すシステムおよび方法も本明細書には開示される。
【0023】
本明細書に開示する方法、システムおよび装置の構造、機能、製造、および使用の原理が全体的に理解されるよう、ある例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つまたは複数の実施例は、添付図面に例示されている。本明細書に具体的に記載され、添付図面に例示される方法、システム、および装置は、非限定的な例示的実施形態であること、また、本発明の範囲は請求項によってのみ定められることを、当業者は理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関して例示または記載された特徴部は、他の実施形態の特徴部と組み合わせられ得る。そのような改変および変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【0024】
〔シャントシステム〕
図1は、シャントシステム100の1つの例示的な実施形態を示す。このシステムは、概して、脳室カテーテル102と、アンカー104と、インライン弁108を備えた排液カテーテル106と、を含む。いくつかの実施形態では、シャントシステム100は、脳室カテーテル102を植え込むことで水頭症を治療するのに使用されることができ、カテーテルの遠位端部は、患者112の脳室110内部に配される。アンカー104は、皮膚表面の下で患者の頭蓋骨に取り付けられることができ、排液カテーテル106は、排液カテーテルの近位端部が腹腔などの排液部位内部に配されるように植え込まれることができる。弁108は、脳室110から排液部位への流体の流れを調整するように構成され得る。例えば、脳室内の流体圧力が弁108の開口圧力を超えると、弁は、脳室110から余分な流体を排出するために開くよう構成され得る。流体圧力が許容可能なレベルまで低下したら、弁108は、閉じるように構成されてよく、これにより流体のさらなる排出が止まる。
【0025】
図1に示すシステム100の構成および特徴部は単に例示的なものであり、また、いくつかの他の変形が可能であることが、認識されるであろう。例えば、弁108は、図示のようにアンカー104より近位ではなく、アンカー104より遠位に配されてもよい。他の実施形態では、弁108は、アンカー104と一体であってよく、あるいは、アンカーは完全に省略されてもよい。
【0026】
シャントシステム100は、単一内腔カテーテル、多内腔カテーテル、および先端部が割れたカテーテルを含め、さまざまなカテーテルのいずれかを含んでよい。
図2に示すように、例示された、先端部が割れた脳室カテーテル102は、近位端部114Pおよび遠位端部114Dを有する細長い管状本体114を含む。カテーテル102はまた、本体114の遠位端部114Dから延びる第1および第2の可撓性先端部116を含む。2つの先端部116が示されているが、カテーテル102は、任意の数の先端部(例えば、3つ、4つ、5つ、6つなど)を含み得ることが認識されるであろう。第1および第2の先端部116はそれぞれ、その中を通って延びる、1つまたは複数の別々の、または独立した流体通路を有し得る。流体通路は、カテーテル102の全長にわたり互いに分離されたままであってよく、あるいは、流体通路のうち1つまたは複数は、例えば第1および第2の先端部116と細長い本体114との間の接合点で、合流してもよい。
【0027】
複数の流体ポート118が、第1および第2の先端部116のそれぞれに形成され得る。ポート118は、さまざまな構成のうちのいずれかで配列されてよい。例えば、流体ポート118は、第1および第2の先端部116の側壁を通って螺旋パターンで配列され得る。あるいは、または加えて、流体ポート118のうちのいくつかまたはすべてが、線形パターンで、円形パターンで、かつ/または第1および第2の先端部116の開口末端遠位端部(open terminal distal ends)として、配列されてもよい。例示的な実施形態では、第1および第2の先端部はそれぞれ、1個〜12個の流体ポートを含み得る。流体ポートの直径は、約0.1mm〜約2.5mmであってよい。流体ポートの断面積は、約1mm
2〜約3mm
2であってよい。いくつかの実施形態では、流体ポートは、カテーテルの遠位端部に向かって直径が徐々に大きくなって、ポートを通る流れを一様にするか、またはバランスが取れるようにすることができる。このようにしてポートをサイズ決めすることで、そうしなかった場合にサイズが等しいポートで起こり得る、大流量または小流量の局所エリアを防ぐことができ、これにより、詰まりが生じる可能性を減少させる。
【0028】
先端部116のうちの1つまたは複数は、埋め込みセンサー120を含み得る。センサー120は、温度センサー、フローセンサー、pHセンサー、圧力センサー、酸素センサー、張力センサー、問い合わせ可能センサー、傾きセンサー、加速度センサー、グルタメートセンサー、イオン濃度センサー、二酸化炭素センサー、ラクテートセンサー、神経伝達物質センサー、またはさまざまな他のセンサータイプのうちのいずれか、を含むことができ、制御回路にフィードバックを与えることができ、制御回路は、感知した1つまたは複数のパラメータに基づいて、システム100を通じた流体の排出を調整することができる。センサーワイヤ(不図示)が、センサー120から植え込み可能な制御ユニットまで延びてよく、かつ/または、センサーは、センサー出力を、体外の制御ユニットに無線で通信することができる。埋め込みマイクロセンサー120は、圧力センサーであってよく、圧力センサーは、第1および第2の先端部116の周りの環境における圧力を示す出力を弁108に提供して、弁を通る流体流量を制御する。
【0029】
脳室カテーテル102の少なくとも一部(例えば第1および第2の先端部116)またはシステム100の任意の他の構成要素は、ある量の薬剤を収容し得るか、または、ある量の薬剤を含浸することができる。代わりに、または加えて、その一部の表面は、薬剤でコーティングされ得る。例示的な薬剤は、抗炎症成分、抗菌成分、薬剤浸透性増加成分、遅延放出性コーティングなどを含む。いくつかの実施形態では、システム100の1つまたは複数の部分は、植え込み部位周辺の膨張、およびそのような膨張により生じ得る流体排出機能の乱れを防ぐことのできる、デキサメタゾンなどのコルチコステロイドでコーティングされるか、またはそれを含浸することができる。
【0030】
図3に示すように、第1および第2の先端部116はそれぞれ、D字型断面を有し得る。言い換えれば、第1および第2の先端部116はそれぞれ、実質的に平坦な側壁122、および実質的に半円筒形の側壁124を有し得る。第1の先端部のD字型の向きは、第2の先端部のD字型の向きとは反対であってよく、第1および第2の先端部116が互いに連結された場合、または、それらが長さ方向に互いに当接した場合には、第1および第2の先端部116が一緒になって円形断面を形成する。第1および第2の先端部116は、他の断面形状を有してもよい。例えば、
図4に示すように、第1および第2の先端部116はそれぞれ、円形断面を有し得る。
【0031】
脳室カテーテル102、特に第1および第2の可撓性先端部116は、脳室内に置かれるようにサイズ決めされ構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、脳室カテーテル102の本体114は、約2cm〜約15cmの長さ、および約1mm〜約5mmの外径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1および第2の先端部116は、約3cm〜約15cmの長さ、および/または約1mm
2〜約7mm
2の断面積を有し得る。
【0032】
脳室カテーテル102内の流体ポート118のうちの1つまたは複数は、ポートが詰まる傾向を軽減するためにシュラウドまたはカバー126を含み得る。例えば、
図5に示すように、カテーテル102は、各先端部116に形成された流体ポート118の上に少なくとも部分的に延びる、シュラウド126を含み得る。いくつかの実施形態では、シュラウド126は、中空球体の一部、例えば図示のような中空の4分の1球体として形成され得る。シュラウド126は、円筒形の一部、立方体の一部などを含め、さまざまな他の形状を有し得る。シュラウド126は、さまざまな向きのうちのいずれかで設置され得る。例えば、シュラウド126は、ランダムな向きで、互い違いの向き(alternating orientations)で、向きを反復配列にして(repetitive sequence of orientations)、またその他で、設置され得る。動作中、シュラウド126は、流体ポート118内への脈絡叢の内部成長および/または流体ポートを塞ぎ得る他の組織、破片、もしくは物質の堆積を妨げることができる。
【0033】
図6に示すように、脳室カテーテル102は、第1および第2の先端部116を互いに隣接した位置に、例えば互いに長さ方向に当接した状態で、保持するように構成された、連結部材128を含み得る。連結部材128は、図示のように第1および第2の先端部116の周りに配されてよく、それにより、先端部を、互いに近接した位置に保持するように構成される。例示的な連結部材128は、第1および第2の先端部116の周りに配され、かつカテーテル102の近位端部から取り外されるようにアクセス可能な、円滑に取り外し可能な挿入シース、剥離可能シース、スタイレット、またはカニューレを含み得る。連結部材は、第1および第2の先端部116間に配された接着剤の形態であってもよい。例えば、D字型の先端部116の場合、第1および第2の先端部の平坦な側壁122は、互いに接着され得る。接着剤、または少なくともその接着強度は、接着剤が患者の体内の条件(例えば、ある温度、pH、化学組成物など)にさらされた場合に、分解するように構成され得る。例示的な実施形態では、接着剤は、生体適合性、かつ生体吸収性であり、また、患者の脳室内の脳脊髄液にさらされると急速に分解するように構成される。例示的な接着剤は、例えばポリラクチド、ポリグリコリド、ポリラクトン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、タンパク質、でんぷん、糖、ならびにそれらのコポリマーおよび/または組み合わせを含む。
【0034】
カテーテル102の最遠位先端部は、さまざまな形状および構成を有し得る。例えば、第1および第2の先端部116の遠位端部は、開口していても閉じていてもよく、あるいは、その中に形成された1つまたは複数の開口部を備えて、主に閉じていてもよい。さらなる一例として、第1および第2の先端部116の遠位端部は、一緒になって(例えば
図2に示すように)球体の一部を形成してよく、(例えば
図6に示すように)鈍端を形成するようまっすぐ切られてもよく、斜めに切られる(slash cut)こともでき、あるいは、(例えば
図7に示すように)円錐の一部を形成することもできる。
【0035】
脳室カテーテル102は、流体がカテーテルを流れているかどうか、またはどの程度流体がカテーテルを流れているかを示す、さまざまな特徴部を含み得る。そのような特徴部は、有利には、カテーテルを取り外す必要なく、カテーテル102内部の妨害物または流れが減少した状態を正確に検出または確認することを可能にし得る。例えば、
図8に示すように、カテーテル102は、その中に配された複数の流れ表示突出部130を含み得る。突出部は、さまざまな可撓性材料のうちのいずれかから形成されて、突出部が曲がったり屈曲したりできるようにする。突出部は、カテーテル102の流体内腔の内表面132から半径方向内側に延びてよく、各突出部130の第1の端部134は、内表面132に固定され、各突出部の第2の端部136は、突出部が曲がったり屈曲したりした場合に、内表面に対して自由に動くことができる。
【0036】
突出部130は、撮像可能であってよく、あるいは、1つまたは複数の撮像可能部分を含み得る。例えば、突出部130は、突出部の第2の自由端部136に配された撮像可能部分138を含み得る。撮像可能部分138は、磁気共鳴映像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)撮像、陽電子放射断層撮影法(PET)撮像、およびX線透視撮像など、1つまたは複数の撮像技術の下で可視となり得る。よって、撮像可能部分138は、放射線不透過性材料、金属材料、磁気共鳴映像法下で見ることができる材料、または、前述した撮像技術下で見ることができるさまざまな他の材料のうちのいずれかから、形成され得る。
図9に示すように、いくつかの実施形態では、各突出部130の全体が、撮像可能であってよい。
【0037】
突出部130は、カテーテルの側壁に突出部を刺し通し、あいた開口部を通して突出部を前進させることによって、カテーテル102に連結され得る。この開口部は、次に、シリコーン糊または他の接着剤を含む、さまざまなシール化合物のうちのいずれかを用いて、シールされ得る。これは突出部130をカテーテル102に固定する多くの方法のうちの1つにすぎず、そのため、さまざまな他の技術を、代わりに、または追加的に用いてよいことが、認識されるであろう。
【0038】
突出部130は、カテーテル102の長さ全体にわたって(例えば、カテーテルの細長い管状本体114および/または遠位先端部116内に)配されてよく、あるいは、カテーテル内の別々の場所に形成された1つまたは複数の群にグループ分けされ得る。突出部130の密度(例えば、カテーテルの内部の所与の表面積内に配された突出部の数)は、突出部が配される流体内腔のサイズに基づいて選択され得る。
【0039】
使用中、突出部130の少なくとも撮像可能部分138は、流体が流体内腔を通って流れている際には流体内腔に対して動くように、また、流体が流体内腔を通って流れていないときには流体内腔に対して静止したままであるように、構成され得る。よって、突出部130は、流体がカテーテル102を通って流れる際に前後に揺れる縮帆部または糸のような構造体(reef or thread-like structures)として作用する。突出部130のこの動きは、流体がシャントシステム100を通って流れているかどうか、および流体がどの程度シャントシステム100を通って流れているかを評価するために、前述した撮像技術を用いて観察され得る。
【0040】
図10は、脳室カテーテル202の別の例示的な実施形態を示す。以下に示すことを除き、カテーテル202の構造および動作は、前述したカテーテル102と同じであるので、その詳細な説明は、簡潔化のためここでは省略する。複数の可撓性先端部の代わりに、多内腔カテーテル202は、複数の独立した流体内腔240が内部を延びる単一の先端部216を含む。流体内腔240は、カテーテル202の長さ全体にわたって独立したままであってよいか、あるいは、カテーテルの遠位端部からある距離だけ離れた場所で、1つまたは複数の共通の流体内腔へと、まとまることができる。3つの流体内腔240が図示されているが、事実上、任意の数の流体内腔を含み得ることが、認識されるであろう。例えば、カテーテル202は、2〜5個の流体内腔240を含み得る。独立した流体内腔240はそれぞれ、その側壁に形成された1つまたは複数の流体開口部218を含んでよく、これらの流体開口部を通って、迂回させるべき流体が、流体内腔に流れ込むことができる。流体内腔240の遠位端部は、図示のとおり開口していてよく、あるいは、完全に、または部分的に閉じていてよい。いくつかの実施形態では、カテーテル202の遠位端部は、中に形成された1つまたは複数の流体開口部218を有し得る、例えば
図11に示すような球体または円錐242の一部を形成し得る。複数の独立した流体内腔240を設けることにより、流体内腔のうちの1つまたは複数が詰まった場合に、有利には、余分なもの(redundancy)をもたらすことができる。さらに、詰まりの元が方向性であるとき、すなわち、詰まりの元が主に1方向でカテーテルに到達するときには、1つの内腔が詰まった場合に、その他の内腔に入る開口部が、詰まった内腔とは異なる方向に向いているので、それらの内腔が動作し続ける可能性が高い。また、複数の流体内腔240を設けることにより、単一内腔カテーテルに匹敵する流量が可能となると共に、各流体内腔240の断面積を、単一内腔カテーテルと比べて小さくすることができる。複数の内腔240のより小さい寸法は、異物または脈絡叢の内部成長したものが内腔に入るのを妨げることができ、これにより、詰まりの可能性が低減される。
【0041】
カテーテル102、106、202、および連結部材128は、ポリマー組成物、パリレン組成物、シラスティック組成物、ポリウレタン組成物、PTFE組成物、シリコーン組成物などを含む、さまざまな材料のうちのいずれかから形成され得る。
【0042】
図1および
図2を再び参照すると、システム100は、脳室カテーテル102が連結され得るアンカー104を含み得る。アンカー104は、患者の頭蓋骨に、皮膚の下で固定されて、脳室カテーテル102の近位端部を固定し、システム100へのアクセスを提供することができる。例えば、アンカー104は、脳室カテーテル102と流体連通しており、かつ隔壁144で覆われた貯蔵部を含み得る。針を使用して、皮膚および隔壁144に穴を開け、流体を貯蔵部に供給し、また流体を貯蔵部から抽出することができる。脳室カテーテル102を介した貯蔵部と患者の脳室110との間の流体連通は、1つまたは複数の薬剤、治療薬などを脳室に注入するために使用され得る。カテーテル102が複数の独立した内腔を含む実施形態では、1つまたは複数の内腔は、脳室110への薬剤送達専用としてよく、1つまたは複数の他の内腔は、脳室からの流体排出専用とすることができる。
【0043】
例示した実施形態では、アンカー104は、実質的にディスク型であり、患者の頭蓋骨の輪郭と実質的に一致するように構成された、凹状の遠位表面146を含む。アンカー104の近位表面148は、保持リング150を含んでよく、保持リング150は、アンカーの周辺部の周りに延び、隔壁144を所定の場所に保持する。脳室カテーテル102は、遠位表面146の中心点に連結することができる。排液カテーテル106が、アンカー104から下流の弁108まで、そして最終的には排液部位まで、外側に延びることができる。よって、アンカー104は、植え込まれた1つまたは複数のカテーテル102、106間の硬い連結をもたらし、脳室110から流体管路が90°曲がるのを容易にすることができる。
【0044】
アンカー104から延びる排液カテーテル106は、脳室110から流体を解放するために選択的に開くように構成された弁108に連結され得る。一般的に、弁108は、入口ポート、出口ポート、および入口ポートと出口ポートとの間に配された、付勢されたフラッパー(biased flapper)を含み得る。圧力がフラッパーの付勢強度を超えると、フラッパーは開いて、入口ポートと出口ポートとの間の流体連通を可能にすることができる。弁108は、例えば外部から加えられる磁場を介して、調節可能であってもよい。調節可能な圧力設定を有するシャント弁が、当技術分野で周知であり、また、例えば、「VENTRICULAR SHUNT HAVING A VARIABLE PRESSURE VALVE」の名称で1975年6月3日に発行された米国特許第3,886,948号に開示されており、この米国特許の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
弁108は、排液カテーテル106に対して一直線に配されてよく、例えば、排液カテーテル106の第1の部分が、弁108の入口ポートに流体連結され、排液カテーテル106の第2の部分が、弁108の出口ポートに流体連結される。よって、排液カテーテル106は、2つの別個のカテーテルとして概念的に解釈することができ、カテーテルのうち1つは、アンカー104と弁108との間に延び、もう1つは、弁と排液部位との間に延びている。排液カテーテル106は、その近位端部が患者の身体の排液部位、例えば腹腔に配されるように、延びることができる。排液カテーテル106は、単一の流体内腔が中を通って延びる、従来の円筒形カテーテルであってよい。あるいは、排液カテーテル106は、その長さの少なくとも一部に沿って延びる複数の別々の流体内腔を含むことができる。排液カテーテル106の近位端部は、先端部が割れたデザインを有してよく、かつ/または、別の状況では、前述した脳室カテーテル102、202の遠位端部と同じように、構成され得る。
【0046】
使用中、シャントシステム100は、1つの場所から別の場所へ流体を移すのに使用され得る。患者の身体内で使用される場合、シャントシステム100は、さまざまな疾患、健康状態、または病気のうちのいずれかを治療するために使用され得る。例えば、システム100は、カテーテルの遠位端部が患者112の脳室110内部に配されるように脳室カテーテル102を植え込むことによって、水頭症を治療するため、および/または患者の頭蓋骨内部に蓄積した流体を迂回させるために、使用され得る。アンカー104は、患者の頭蓋骨に、皮膚表面の下で取り付けられてよく、排液カテーテル106は、排液カテーテルの近位端部が腹腔などの排液部位内に配されるように植え込まれ得る。
【0047】
いったん脳室カテーテル102の遠位端部が脳室110内部に配されると、連結部材128を取り外して(または接着剤の場合には分解させて)、第1および第2の先端部116を互いから切り離し、それら先端部を離すことができる。前述のとおり、連結部材128は、カテーテル102の近位端部から除去されるためにアクセス可能であってよい、剥離可能シース、スタイレット、またはカニューレであってよいか、あるいはそのような剥離可能シース、スタイレット、またはカニューレを含み得る。言い換えれば、連結部材128は、カテーテル102の遠位先端部がいったん所望の場所に置かれたら、連結部材を取り外すために、外科医または他のユーザーによって近位に引っ張られることができる。
【0048】
いったん切り離されると、脳室110内部の流体の拍動流は、第1および第2の先端部116を互いにぶつからせるのに有効となり得る。そのようにぶつかった結果として先端部116に加えられる力で、第1および第2の先端部または流体ポート118もしくはその通路から障害物を除去することができ、それによって、詰まりが、防止、低減、または軽減される。流体の比較的連続した拍動流は、治療期間にわたり持続してよく、自動洗浄および詰まり防止機能性がもたらされることが、認識されるであろう。
【0049】
典型的なシャントシステムで見られるように、脳室110の流体圧力が弁108の開口圧力を超えると、弁は、開いて、余分な流体を脳室から排出するように構成されることができる。流体圧力が許容可能レベルまで下がると、弁108は、閉じるように構成されてよく、これにより、流体のさらなる排出が停止する。いくつかの実施形態では、第1および第2の先端部116のうちの一方の中または上に配されたセンサー120(例えば圧力センサー)の出力は、弁108の動作を制御するのに使用され得る。例えば、弁108の開口圧力、流量、または他の性質は、圧力センサー120の出力に応じて調節され得る。
【0050】
流れ表示特徴部130を含む実施形態では、流体が流体内腔を通って流れているかどうか、またはどの程度、流体が内腔を通って流れているかについて、判断を行うことができる。例えば、カテーテル102およびその中に配された複数の流れ表示突出部130の1つまたは複数の画像(例えばMRI、CT、PETなど)を撮ることができる。観察者は、その後、画像を見て、突出部130が動いているかどうか、および突出部130がどの程度動いているか、を判断することができる。例えば、突出部130の撮像可能部分138が流体内腔に対して動いていることを画像が示せば、流体が流体内腔を通って流れていると判断され得る。同様に、撮像可能部分138が流体内腔に対して静止していると画像が示した場合、流体は流体内腔を通って流れておらず、シャントシステム内に妨害物または障害物があるかもしれないと判断され得る。
【0051】
〔流水装置〕
いくつかの実施形態では、シャントシステム100は、障害物をシャントシステムから取り除くため、または、シャントシステムを通る補助流体経路を開くために、流水装置を含み得る。流水装置は、脳室カテーテル102とアンカー104との間、アンカー104と弁108との間、または弁108と排液カテーテル106との間、に配され得る。流水装置は、脳室カテーテル102、アンカー104、弁108、および排液カテーテル106のうちのいずれかと一体的に形成されてもよい。
図12〜
図27は、シャントシステムと共に(例えば前述したシャントシステム100と共に)使用され得る、さまざまな例示的な流水装置の実施形態を示している。
【0052】
図12は、ボールおよびばねの弁(ball and spring valve)1202を備えた流水装置1200の例示的な実施形態を示す。流水装置は、脳室カテーテルに連結されるか、または脳室カテーテルと流体連通して設置されるように構成された上流ポート1206と、排液カテーテルに連結されるか、または排液カテーテルと流体連通して設置されるように構成された下流ポート1208と、を備える本体1204を含む。流水装置1200はドーム1210も含み、ドーム1210は、例えば、ドームを潰すかまたは圧縮し、ドームから流体を放出するように、患者の皮膚を通じてドームに対し下向きの圧力を指で加えることにより、作動され得る。流体チャネルのネットワークが、流水装置の本体に形成されており、これは、脳室チャネル1212、排液チャネル1214、流水チャネル1216、および再充填チャネル1218を含む。脳室チャネル1212は、上流ポート1206から流水チャネル1216まで延びる。排液チャネル1214は、下流ポート1208から流水チャネル1216まで延びる。流水チャネル1216は、脳室チャネル1212および排液チャネル1214からドーム1210まで延びる。再充填チャネル1218は、脳室チャネル1212からドーム1210まで延びる。しかしながら、他の実施形態では、再充填チャネル1218が排液チャネル1214からドーム1210まで延びてよいことが、認識されるであろう。一方向弁または逆止弁1220が、再充填チャネル1218に配される。弁1220は、流体が再充填チャネルを通ってドーム1210から脳室チャネル1212まで流れるのを妨げるように構成されるが、流体が再充填チャネルを通って脳室チャネルからドームまで流れるのを可能にする。
【0053】
ボールおよびばねの弁1202は、流水チャネル1216内に配され、流水装置1200を通る流体の流れを制御する。弁1202は、ドームが流水チャネルを通じて脳室チャネルおよび排液チャネルと流体連通しないように、弁のボール部分1222がドーム1210と脳室チャネル1212および排液チャネル1214との間で流水チャネル1216をシールする第1の位置を少なくとも有する。ボール1222は、ゴム、シリコーン、ポリウレタン、またはボールと流水チャネル1216との間にシールを提供し得る他の材料から形成され得る。ボール1222はまた、締まりばめで流水チャネル1216内部に嵌まってシールを強化し、ボールを動かすのに必要とされる力の量を制御するようにサイズ決めされ得る。第1の位置では、脳室チャネル1212および排液チャネル1214は、互いに流体連通し、流体は、上流ポート1206から下流ポート1208まで自由に流れることができる。
【0054】
弁1202は、弁のボール部分1222が排液チャネル1214をシールし、かつドーム1210が流水チャネル1216を介して脳室チャネル1212と流体連通させられる第2の位置も少なくとも有する。具体的には、弁のボール部分1222は、排液チャネル1214と流水チャネル1216との接合部に形成された球状の弁座1224に設置され得る。ボール1222が弁座1224に設置されると、排液チャネル1214と流水チャネル1216との間、および排液チャネル1214と脳室チャネル1212との間の流体連通は、中断される。さらに、ボールが弁座1224内へ動くと、隙間空間が、ボール1222と流水チャネル1216の側壁との間に形成され、流水チャネルのシールが解除され、ドーム1210が脳室チャネル1212と流体連通する。弁のばね部分1226は、ボール1222を第1の位置に向けて付勢する。
【0055】
使用中、流水装置1200は概して、2つの動作モードを有する。通常動作モードでは、ボール1222は、ばね1226の付勢により、第1の位置に配され、流体は、上流ポート1206から下流ポート1208まで自由に流れることができる。流水装置1200がシャントシステムの一部として患者に植え込まれると、流体は、脳室から、流水装置を通って、流水装置から下流に配された弁または排液カテーテルまで、自由に流れることができる。通常動作モードでは、ドーム1210は、再充填チャネル1218を通じてドームに先に供給されていた流体で満たされたままである。
【0056】
流水作業モードでは、ドームを潰して、ドームから流水チャネル1216内へと流体を移すために、力がドーム1210に加えられる。これにより、ボールの上部に作用する流体の力が、ボールと流水装置のチャネル1216との間の締まりばめと、付勢ばね1226とによってボールの下部に及ぼされるばね力を超えるまで、ボール1222上の圧力が増加し、ばね力を超えると、ボールは第1の位置から第2の位置へと移動する。いくつかの実施形態では、ボール1222を第1の位置から第2の位置まで動かすのに必要な圧力は、約0.28MPa(約40psig)である。ボールが第2の位置に移動すると、加圧流体が、突然放出され、結果として、脳室チャネル1212を通って戻る流体の、上流での「咳(cough)」または流水が生じ、これは、脳室カテーテルまたはシャントシステムの他の上流の構成要素から障害物を除去するか、または、以下でさらに説明するような補助流路を開くのに有効となり得る。流体の咳が放出された後、ばね1226は、ボール1222を付勢して第1の位置に戻し、ドーム1210に加えられた力は取り除かれる。下流方向に流水装置1200を通る流体の流れがその後再開し、流体の流れの一部は、再充填チャネル1218を通って迂回して、ドーム1210を流体で再充填し、ドームを潰れていない構成に戻す。再充填チャネル1218のサイズは、ドーム1210が再充填される速度を制御するように選択され得る。例えば、再充填チャネル1218の断面積は、ドーム1210内への流体の流れを詰まらせるように小さくすることができる。ドーム1210が弾性特性を有する実施形態では、このことは、有利なことに、ドームが潰れていない構成に素早く跳ね返って、流水作業により除去された破片もしくは障害物が再びシャントシステムに吸い込まれる逆流作用を生じるのを防ぐことができる。
【0057】
よって、流水装置1200は、シャントシステムの脳室側のみを洗い流す、流体の高圧の咳が生成され、適用されるのを容易にする。ボールおよびばねの弁1202は、流体の咳が、シャントシステムの排液側を通って移動するのを防ぐ。しかしながら、他の実施形態では、流水装置1200は、代わりに、またはさらに、システムの排液側を洗い流すように構成され得る。
【0058】
図13A〜13Cは、二重内腔流水システム1300の例示的な実施形態を示す。システム1300は、流水構成要素1302、弁構成要素1304、およびY字アダプタ1306を含む。システム1300は、弁構成要素から流水構成要素まで延びる第1のカテーテル1308、弁構成要素からY字アダプタまで延びる第2のカテーテル1310、および流水構成要素からY字アダプタまで延びる第3のカテーテル1312も含む。カテーテルにより相互接続された3つの別個の構成要素が図示および説明されるが、構成要素のうちの任意の2つまたは3つ以上が1つのパッケージ内に統合され、通常それらの構成要素の間に延びるカテーテルも、内蔵流体チャネルとしてそのパッケージ内に統合されてよいことが、認識されるであろう。
【0059】
図13Bに示すように、流水構成要素1302は、第1のカテーテル1308により弁構成要素1304に連結されるように構成された弁構成要素ポート1316、および第3のカテーテル1312によりY字アダプタ1306に連結されるように構成された再充填ポート1318を備えた、本体1314を含む。流水構成要素1302はまた、ドーム1320を含み、ドーム1320は、流体をドームから放出するために、例えば患者の皮膚を通じてドームに下向きの圧力を指で加えることによって、作動され得る。流体チャネルのネットワークが、流水構成要素1302の本体1314に形成されており、弁構成要素チャネル1322、再充填チャネル1324、および流水チャネル1326を含んでいる。弁構成要素チャネル1322は、弁構成要素ポート1316から、傘型一方向弁1330が配される空洞1328まで、延びる。再充填チャネル1324は、空洞1328から再充填ポート1318まで延びる。流水チャネル1326は、ドーム1320から弁構成要素チャネル1322まで延びる。一方向弁1330は、流体が空洞1328を通って弁構成要素チャネル1322から再充填チャネル1324まで流れるのを防ぎ、また、流体が空洞を通って再充填チャネルから弁構成要素チャネルまで流れるのを可能にする。
【0060】
図13Cに示すように、弁構成要素1304は、第1のカテーテル1308により流水構成要素1302に連結されるように構成された流水構成要素ポート1334と、脳室カテーテルに連結されるか、または脳室カテーテルと流体連通して設置されるように構成された上流ポート1336と、第2のカテーテル1310によりY字アダプタ1306に連結されるように構成された下流ポート1338と、を備える本体1332を含む。流水構成要素ポート1334は、圧力ドームにより画定された上方チャンバ1340に連結される。上方チャンバ1340は、流水システム1300を通る流体の流れを制御するために傘型弁1344およびフラッパー弁1346によって下方チャンバ1342から分離される。フラッパー弁1346は、さまざまな構成を有し得る。いくつかの実施形態では、フラッパー弁1346は、一体的なリビングヒンジを含み、これを中心としてフラッパー弁が旋回して、開閉する。他の実施形態では、フラッパー弁1346は、ピボットピンにより弁構成要素の本体1332に連結され、ピボットピンを中心としてフラッパー弁が旋回して、開閉する。
【0061】
弁構成要素1304は、傘型弁1344およびフラッパー弁1346の双方が閉じて、弁構成要素の上流ポート1336が下流ポート1338と流体連通する、第1の構成を有する。第1の構成では、流体は、上流ポート1336から下流ポート1338まで、Y字アダプタ1306を通って(例えば排液カテーテルまで)自由に流れることができる。
【0062】
弁構成要素1304は、傘型弁1344が開いて上方チャンバ1340を下方チャンバ1342と流体連通させ、フラッパー弁1346が蝶番式に開いて、下方チャンバ1342と下流ポート1338との間の流体連通を妨げる、第2の構成も有する。
【0063】
使用中、流水システム1300は概して、2つの動作モードを有する。通常動作モードでは、弁構成要素1304は第1の構成にあり、流体は、上流ポート1336から下流ポート1338までY字アダプタ1306を通って自由に流れることができる。流水システム1300がシャントシステムの一部として患者に植え込まれると、流体は、流水システムを通って、脳室から、流水システムから下流に配された弁または排液カテーテルまで、自由に流れることができる。通常動作モードでは、ドーム1320は、再充填チャネル1324を通じてドームに先に供給されていた流体で満たされたままである。
【0064】
流水作業モードでは、ドームを潰して、ドームから流水チャネル1326および弁構成要素チャネル1322内に流体を移すために、ドーム1320に力が加えられる。一方向弁1330は、ドームから再充填チャネル1324内へ流体が移動させられるのを防ぐ。弁構成要素1304の上方チャンバ1340内の圧力は、傘型弁1344の上部に対して作用する流体の力が、弁の吹き出し閾値(popping threshold)を超えるまで増加し、吹き出し閾値を超えると、弁構成要素1304は、第2の構成に移る。いくつかの実施形態では、傘型弁1344を開くのに必要な圧力は、約0.28MPa(約40psig)であり、これは、弁を開くには、弁の上の圧力が弁の下の圧力を少なくとも0.28MPa(40psig)だけ超えなければならないことを意味している。傘型弁1344が開くと、圧力が、フラッパー弁1346の上部に加えられ、フラッパー弁1346が蝶番式に動いて開き、ヒンジ軸を中心に反時計回りに回転し(矢印A1で示す)、やがて、フラッパー弁1346のドーム状部分が下流ポート1338への入口に接触し、下方チャンバ1342と下流ポートとの間の流体連通を妨げる。加圧流体はまた、突然下方チャンバ1342内へ放出され、結果として、上流ポート1336を通って戻る流体の上流での「咳」または流水が生じ、これは、脳室カテーテルまたはシャントシステムの他の上流構成要素から障害物を除去するのに有効となり得る。流体の咳が放出された後、(例えば、付勢ばね、弾性材料、または水圧作用により生成された)付勢力により、フラッパー弁1346および傘型弁1344が閉じる。その結果、流体連通は、弁構成要素の上流ポート1336と下流ポート1338との間で回復する。下流方向に流水システム1300を通る流体の流れがその後再開し、Y字アダプタ1306を通る流体の流れの一部は、第3のカテーテル1312を通って流水構成要素1302の再充填チャネル1324内へと迂回して、一方向弁1330を通じてドーム1320を再び満たす。
【0065】
いくつかの実施形態では、第3のカテーテル1312は、Y字アダプタ1306の下流ポートから延びるカテーテルよりも断面積が大きくてよく、流体は、Y字アダプタからシャントシステムの下流構成要素まで流れ出る前に、優先的に第3のカテーテルを通って流れてドーム1320を再充填する。例えば、下流カテーテルは、約1.27mm(約0.050インチ)の内径を有してよく、第3のカテーテル1312は、約2.54mm〜約3.81mm(約0.100インチ〜約0.150インチ)の内径を有してよい。
【0066】
流水チャネル1326、または下流チャネル、例えば第3のカテーテル1312、再充填ポート1318、もしくは再充填チャネル1324のサイズは、ドーム1320が再充填される速度を制御するように選択され得る。例えば、流水チャネル1326の断面積は、ドーム1320内への流体の流れを塞ぐように小さくされてもよい。ドーム1320が弾性特性を有する実施形態では、これにより、有利なことに、ドームが潰れていない構成に素早く跳ね返り、流水作業により除去された破片または障害物がシャントシステムに再び吸いこまれる逆流作用を生じるのを防ぐことができる。
【0067】
よって、流水システム1300は、シャントシステムの脳室側のみを洗い流す、流体の高圧の咳が生成され、適用されるのを容易にする。フラッパー弁1346は、流体の咳が、シャントシステムの排液側を通って移動するのを妨げる。
【0068】
図14A〜
図14Cは、流水装置1400の別の例示的な実施形態を示す。流水装置1400は、脳室カテーテルに連結されるか、または脳室カテーテルと流体連通して設置されるように構成された上流ポート1406と、排液カテーテルに連結されるか、または排液カテーテルと流体連通して設置されるように構成された下流ポート1408と、を備えた本体1404を含む。流水装置はまた、ドーム1410を含み、ドーム1410は、流体をドームから放出するために、例えば患者の皮膚を通じてドームに下向きの圧力を指で加えることによって、作動され得る。流水装置の本体1404はまた、円筒形の側壁1402を含み、側壁1402は、ドーム基部の周辺部の周りに延びており、ドーム1410の最大高さとほぼ等しい高さを有する。側壁1402は、(例えば、流水装置1400が頭皮の下に植え込まれた患者が横になっていて、流水装置を表面に押し付けている場合に)ドーム1410が不用意に作動されることから守ることができる。流体チャネルのネットワークが、流水装置の本体1404に形成されており、脳室チャネル1412、排液チャネル1414、流水チャネル1416、再充填チャネル1418、およびバイパスチャネル1420を含んでいる。
【0069】
脳室チャネル1412は、上流ポート1406から流水弁チャンバ1422まで延び、流水弁チャンバ1422の中には、流水チャネル1416を脳室チャネルと選択的に流体連通させるように構成された流水弁1424が配される。排液チャネル1414は、下流ポート1408から再充填弁チャンバ1426まで延び、再充填弁チャンバ1426の中には、排液チャネルを再充填チャネル1418と選択的に流体連通させるように構成された再充填弁1428が配される。バイパスチャネル1420は、再充填弁チャンバ1426から流水弁チャンバ1422まで延びており、バイパスチャネルを通じた流体連通を制御するように構成されたインラインバイパス弁1430を含む。再充填チャネル1418および流水チャネル1416は、ドーム1410の内部と流体連通している。
【0070】
例示された再充填弁1428は、傘型逆止弁であるが、他の一方向弁が、代わりに、またはさらに、使用されてもよい。再充填弁1428は、排液チャネル1414から再充填チャネル1418内への流体の流れを可能にし、かつ再充填チャネルから排液チャネル内への流体の流れを妨げるように構成される。
【0071】
例示された流水弁1424は、傘型逆止弁であるが、他の一方向弁が、代わりに、またはさらに、使用されてもよい。流水弁1424は、流水チャネル1416から脳室チャネル1412内への流体の流れを可能にし、かつ脳室チャネルから流水チャネル内への流体の流れを妨げるように構成される。流水弁1424は、弁にわたり所定の差圧閾値に達した場合のみ、開くように構成される。例えば、流水弁1424は、流水チャネル1416内の圧力が脳室チャネル1412内の圧力より少なくとも0.28MPa(40psig)大きくなった場合にのみ、弁が開くように、構成され得る。
【0072】
例示されたバイパス弁1430は、ボールソケット弁(ball and socket valve)であるが、他の弁の種類が、代わりに、またはさらに、使用されてもよい。バイパス弁1430は、バイパスチャネル1420を通じた流体連通を自動的に制御するように構成される。バイパスチャネル1420の中に矢印A2の方向の低圧の流体の流れが存在する場合(例えば、通常の脳室排液が行われているとき)、ボール1432は、座部1434から遠ざかり、流体は、脳室チャネル1412から排液チャネル1414まで、ボールの周りで自由に流れることができる。バイパスチャネル1420の中に矢印A2の方向の高圧の流体の流れが存在する場合(例えば、流水咳(flushing cough)が流水弁1424を通って発せられたときに、脳室チャネル1412内の圧力が急上昇すると)、ボール1432は動いて座部1434と係合し、バイパスチャネル1420を封印し、脳室チャネルから排液チャネル1414への流体の流れを妨げる。よって、バイパス弁1430は、脳室チャネル1412が排液チャネル1414と流体連通している第1の位置と、脳室チャネルが排液チャネルと流体連通していない第2の位置と、を有する。バイパス弁1430は、流水咳が流水弁1424を通じて発せられるのに応じて、第1の位置から第2の位置に自動的に動くように構成される。
【0073】
流水装置1400は、ドーム1410および/もしくは流水装置のさまざまな流体チャネルに食塩水などの流体を満たすため、または、患者に送達されるように薬剤もしくは治療薬を注入するために、使用され得る、1つまたは複数の隔壁1401を含み得る。使用中、隔壁1401は、針で穴をあけられてよく、流体が、隔壁を通って流水装置1400の中へ注入されて、例えば流水装置の内部から任意の気泡を除去することができる。各隔壁1401は、シリコーンなどのセルフシール材料から形成されてよく、隔壁は、針が抜き取られた後で、隔壁を再びシールする。流水装置1400は、患者に植え込まれる前、または患者に植え込まれた後で満たされてよい。いくつかの実施形態では、ドーム1410自体は、セルフシール隔壁として作用してよく、セルフシール隔壁は、針で穴をあけられて、流水装置1400を満たすことができる。各隔壁1401は、隔壁上にシールを提供するためにプラグ1403を受容するように構成されたボアホールの中にほぼ同じ高さで(sub-flush)取り付けられ得る。プラグ1403は、流水装置1400が隔壁1401を介して満たされた後、(例えばスナップ嵌め、締まりばめ、ねじ嵌め(threaded fit)などによって)流水装置の本体に連結されるように構成され得る。隔壁は、流水装置1400のチャネルまたはチャンバのいずれかの中への流体管路をもたらすために含まれ得る。
【0074】
使用中、流水装置1400は概して、2つの動作モードを有する。通常動作モードでは、バイパス弁1430は開き、流体は、上流ポート1406から下流ポート1408まで自由に流れることができる。流水装置1400がシャントシステムの一部として患者に植え込まれると、流体は、脳室から流水装置を通って、流水装置から下流に配された弁または排液カテーテルまで自由に流れることができる。通常動作モードでは、ドーム1410は、再充填チャネル1418を通じてドームに先に供給されていた流体で満たされたままである。
【0075】
流水作業モードでは、ドームを潰して、ドームから流水チャネル1416内へ流体を移すために、力がドーム1410に加えられる。これにより、弁の吹き出し圧力に達するまで流水弁1424にわたる差圧が増加し、吹き出し圧力に達すると、弁が開き、加圧流体が突然放出される。この突然の放出により、結果として、脳室チャネル1412を通って戻る流体の上流での「咳」または流水が生じ、このことは、脳室カテーテルまたはシャントシステムの他の上流構成要素から障害物を除去するのに、または、以下でさらに詳細に説明する補助流路を開くのに、有効となり得る。流体の咳により、バイパス弁1430が閉じ、咳が下流ポート1408まで移動するのを防ぐ。再充填弁1428も、ドーム1410が作動されたときには閉じたままであり、流体が再充填チャネル1418を通って漏れるのを防ぐ。流体の咳が放出された後、バイパスチャネル1420を通る低圧の排液流が再び始まり、ボール1432は、当然座部1434から離れて浮遊する。ボール1432はまた、ばねまたは他の付勢機構によって、座部1434から離れるよう積極的に押しやられることもできる。流水弁1424は、圧力がいったん下がると閉じ、再充填弁1428は開いて、ドーム1410が再充填チャネル1418を通じて再充填される。
【0076】
いくつかの実施形態では、再充填弁1428のオリフィスは、排液チャネル1414よりも断面積が大きくてよく、流体は、排液チャネルを通ってシャントシステム100の下流構成要素まで流れる前に、ドーム1410を再充填するよう、再充填弁を通って優先的に流れる。ドーム1410は、リブまたは弾性材料特性を有してよく、ドームは自動的に復元する。ドーム1410は、その潰れていない構成に戻ると、流体をドーム内に引き込む吸引力を与えることができ、ドームを優先的に再充填させる。
【0077】
再充填チャネル1418のサイズは、ドーム1410が再充填される速度を制御するように選択され得る。例えば、再充填チャネル1418の断面積は、ドーム1410内への流体の流れを妨げるように小さくされてもよい。ドーム1410が弾性特性を有する実施形態では、これにより、有利なことに、ドームが潰れていない構成に素早く跳ね返り、流水作業により除去された破片または障害物がシャントシステムに再び吸い込まれる逆流作用を生じるのを防ぐことができる。
【0078】
よって、流水装置1400は、シャントシステムの脳室側のみを洗い流す、流体の高圧の咳が生成され、適用されるのを容易にする。バイパス弁1430は、流体の咳が、シャントシステムの排液側を通って移動するのを妨げる。
【0079】
例示された流水装置1400は、患者の頭皮の下への植え込みの影響を受けやすい、小型フォームファクタでパッケージに入れられる。例示的な実施形態では、流水装置1400は、約2.54cm(約1.0インチ)の長さ、約6.35mm(約0.25インチ)の幅、および約6.35mm(約0.25インチ)の高さであってよい。
【0080】
図14D〜
図14Gは、例えばボルトまたはねじを使用して、互いに連結され得る、複数のモジュール式構成要素を有する、流水装置1400’を示す。流水装置1400’のモジュール特性は、有利なことに、例えば、異なる弁モジュールを異なるドームモジュールおよび/または異なるチャネルモジュールと組み合わせることによって、装置のカスタマイズを容易にすることができる。弁モジュールは、異なる弁のサイズ、形状、開口圧力などを有する、一群の弁モジュールから選択され得る。ドームモジュールは、異なる容積、材料特性などを有する一群のドームモジュールから選択され得る。チャネルモジュールは、異なる直径、相対長さなどを有する一群のチャネルモジュールから選択され得る。
【0081】
例示された実施形態では、流水装置1400’は、上流ポートモジュール1405’、流水弁モジュール1407’、チャネルモジュール1409’、ドームモジュール1411’、再充填弁モジュール1413’、および下流ポートモジュール1415’を含む。示されたことを除き、また当業者には明らかであるように、流水装置1400’の構造および機能は、流水装置1400の構造および機能と実質的に同一である。上流ポートモジュール1405’は、上流ポート1406’を含む。流水弁モジュール1407’は、流水弁1424’およびバイパス弁1430’を含む。チャネルモジュール1409’は、流水チャネル1416’、再充填チャネル1418’、およびバイパスチャネル1420’の一部を含む。ドームモジュール1411’は、ドーム1410’を含む。再充填弁モジュール1413’は、再充填弁1428’を含む。下流ポートモジュール1415’は、下流ポート1408’を含む。第1および第2の連結ねじまたはボルト1417’は、流水装置のさまざまなモジュールを通って長さ方向に延び、それらのモジュールを互いに連結する。ドームモジュール1411’は、複数のねじまたはボルト1419’により、チャネルモジュール1409’に連結される。
【0082】
前記に開示した弁1202、1346、および1430は、流水装置1200、1300、1400、1400’のいずれにおいても、交換可能に使用され得る。さらに、他の弁の種類、例えば
図15A〜
図15Cに示すダイヤフラム弁1500を使用してもよい。例えば、ダイヤフラム弁1500は、流水装置1400のバイパス弁1430の代わりに、かつ/または流水システム1300のフラッパー弁1346の代わりに、使用され得る。ダイヤフラム弁1500は、1つまたは複数の開口部1504が内部を通って形成された、平坦なエラストマーディスク1502を含む。ディスク1502は、第2の内腔1510のポート1508に隣接して第1の流体内腔1506内に位置付けられ、ポート1508はダイヤフラム弁1500により開閉され、例えばディスク1502とポート1508の口との間に小さい分離距離Dがある。動作中、矢印A3の方向の低圧流が流体内腔1506に存在する場合、ディスク1502は、
図15Bに示すように平坦な構成のままであり、流体は、ディスクの開口部1504を通って流れ、第1の内腔1506は、第2の内腔1510と流体連通する。ディスク1502にわたる差圧が増加すると(例えば、流水咳が第1の内腔1506で放出されると)、ディスクは、
図15Cに示すような凸状の構成に変形し、ディスクの中心部分1512が、ポート1508を圧迫して、ポートを密封する。ディスク1502の開口部1504は、ディスクの周辺部において、中心部分1512の外側に形成され、第1の内腔1506と第2の内腔1510との間の流体連通は、ディスクが凸状構成に変形すると、中断される。圧力差が低下すると、ディスク1502の弾性特性によって、ディスクはその平坦な構成を回復し、第1の内腔1506と第2の内腔1510との間の流体連通が復活する。
【0083】
流水装置1200、1300、1400、1400’と共に使用され得る他の弁には、オハイオ州クリーブランドのMINIVALVE, INC.から入手可能な、
図15D〜
図15Eに示すタイプのベルヴィル型弁(Belleville type valves)1500’を含む。具体的には、弁1500’は、流水装置のドームが弁入口1502’と流体連通するように位置付けられ得る。流水作業が実行されると、ドーム内で生成された圧力が、弁本体1508’をその座部から持ち上げ、
図15Eの矢印で示すように、弁入口1502’と弁出口1504’との間に流体管路が形成される。開位置では、流体の排水が、ドームから、弁1500’を通って流れて、脳室カテーテルから出ることができる。弁チャンバの側面1506’は、開いて弁出口1504’の一部を形成することができ、あるいは、弁出口1504’が弁チャンバの上部にあるのみとなるように、閉じることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される流水装置は、約0.14MPa〜約0.28MPa(約20psig〜約40psig)以上の圧力の、流体の流水咳を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、流水の容積は、約0mL〜約1mL以上であってよい。前記に開示した流水装置1200、1300、1400、1400’は単に例示的なものであり、さまざまな流水装置のいずれも、本明細書の教示に従ってシャントシステムと共に使用され得ることが、認識されるであろう。さまざまな例示的な流水装置の実施形態が、以下の説明で開示される。以下に示すものを除き、あるいは、ある状況を仮定して当業者には容易に認識されるであろうが、これらさまざまな実施形態の構造および動作は、前述した実施形態の構造および動作と同様または同一である。したがって、このような構造および動作の詳細な説明は、簡潔化のため、ここでは省略する。
【0085】
図16は、流水装置1600の別の例示的な実施形態を示す。流水装置のドーム1602は、ステム1604を含み、ステム1604は、ドームの内部天井から延びており、ドームが作動されるとバイパスチャネル1606がピンチオフされるか、または閉塞して、その中を通る流体の流れが中断し、バイパスチャネル内の専用バイパス弁の必要性がなくなる。流水装置1600は、傘型弁1608を含み、これは、弁にわたる差圧が閾値量を超えると、上流方向に流体の排水を放出するために裂ける(crack open)ように構成される。流水装置のドームの再充填チャネル1610は、ステム1604の真下に配されてよく、ドーム1602が押されると、再充填チャネル1610も遮断される。
【0086】
図17は、流水装置1700の別の例示的な実施形態を示す。流水装置1700は、ステム1704および球状部1706を有するフラッパー弁1702を含む。フラッパー弁1702は、流水装置のドーム1710が流水作業を行うように押されると、ヒンジ軸1708(例えば、ステム1704が連結されるピボットピン、またはステムに形成されるリビングヒンジ)を中心にして矢印A4の方向に旋回するように構成される。フラッパー弁1702は、球状部1706が流水装置本体1714の傾斜部または楔部1712に接触するまで旋回し、流水作業が完了するまで、シャントシステムの排液側1716を密封する。フラッパー弁1702は、排液ポート1716が脳室ポート1718と流体連通する、開口構成に向けて付勢され得る。小さな再充填オリフィス1720が、流水装置を通る流れが再開したときにドーム1710を再充填するために設けられており、ドームがその潰れていない構成に戻る速度を制限するようにサイズ決めされ得る。
【0087】
図18は、流水装置1800の別の例示的な実施形態を示す。流水装置1800は、流水ドーム1804が押されたときに矢印A5の方向に動くように構成されたピストンおよびばねの弁(piston and spring valve)1802を含む。ピストン1806は、停止部1808に当たるまで動き、停止部1808は、脳室ポート1812と排液ポート1814との間の通路1810を塞ぐ位置に、ピストンを保持する。したがって、ピストンおよびばねの弁1802を通って放出された流水は、脳室ポートにのみ流れ、排液ポートには流れない。小さな再充填内腔1816は、ピストン1806の中心を貫通して形成され、流水作業が完了し、ピストンがばね1818の付勢を受けて元の位置に戻ると、流体は、再充填内腔を通って流れて、ドーム1804を再充填することができる。
【0088】
図19A〜
図19Bは、流水装置1900の別の例示的な実施形態を示す。流水装置1900は、脳室内腔1906と、排液内腔1908と、ドーム1910との間に延びる流水内腔1904に配された、ピストンおよびのばね弁1902を含む。ピストン1912は、
図19Aに示す第1の位置に付勢され、第1の位置では、ピストン1912は、脳室内腔1906と排液内腔1908との間に配されず、流体は、脳室内腔から排液内腔まで自由に流れることができる。ピストン1912は、
図19Bに示す第2の位置も有し、ドーム1910が作動されるとピストンが第2の位置まで動く。第2の位置では、ピストン1912は、脳室内腔1906と排液内腔1908との間に配され、これにより、脳室内腔と排液内腔との間の流体連通が中断し、流水咳は、脳室内腔にのみ流れる。ピストン1912は、
図18の流水装置1800に関して前述したように、再充填内腔を含み得る。
【0089】
図20A〜
図20Bは、流水装置2000の別の例示的な実施形態を示す。流水装置2000は、流水作業が実行されたときにシステムの排液側を塞ぐために機械的レバー/リンク装置システム2004により作動されるフラッパー弁2002を含む。レバー2004は、流水ドーム2008の下に配された第1のアーム2006を有し、これは、流水ドームが押されて第1のアームと接触すると、時計回りの方向に旋回する。この第1のアーム2006の旋回運動により、リンク装置の中央リンク2010が長さ方向に並進運動し、これにより、フラッパー2012が旋回運動する。
図20Aに示すように、通常の動作中、フラッパー2012は、流水内腔2014をシールし、流体は、脳室ポート2016から排液ポート2018まで自由に流れることができる。
図20Bに示すように、流水作業が行われると、レバー2004が作動してフラッパー2012を動かし、排液ポート2018がシールされ、ドーム2008内に生成された流水は、脳室ポート2016のみを通って流れる。流水が完了すると、レバー2004は、自然に、または、ばねもしくは他の付勢機構に付勢されて、元の位置に戻る。小さな再充填ポート(不図示)が、フラッパー2012の中または周りに形成されて、流水作業の完了後にドーム2008が再充填されることを可能にし、かつ/あるいはドームが再充填される速度を制限することができる。
【0090】
図21A〜
図21Bは、流水装置2100の別の例示的な実施形態を示す。流水装置2100は、一対のエラストマーリップ2104により形成された流水弁2102を含む。2つのリップ2104が図示されているが、任意の数のリップを設けてよいことが、認識されるであろう。各リップは、一端部が、流水内腔2106の側壁に取り付けられている。リップの他端部は、そこに加えられる流体圧力に応じて、ドーム2108に向かって、またはドーム2108から離れるように、自由に動くことができる。
図21Aに示すように、通常の動作中、リップ2104は、流水ドーム2108に向かって内側に向けられて、流体は、脳室ポート2110から排液ポート2112まで自由に流れることができる。
図21Bに示すように、流水作業が行われると、リップ2104は、流体の流水咳の力を受けて、ドーム2108から離れるように外側に押しやられる。リップ2104は、
図21Bに示すように配されると、排液ポート2112がリップのうちの1つによってシールされ、脳室ポート2110がドーム2108と流体連通させられるようにサイズ決めされ構成され、ドーム内に生成された流水は、脳室ポートのみを通って流れる。凹部2114が、脳室ポート2110に形成されて、リップが
図21Bに示すように位置付けられたときに上流のリップの周りに流体を流すことができる。流水が完了すると、リップ2104は、自然に、または、ばねもしくは他の付勢機構に付勢されて、元の位置に戻る。小さな再充填ポート(不図示)が、リップ2104の中に形成されて、流水作業の完了後にドーム2108が再充填されることを可能にし、かつ/またはドームが再充填される速度を制限することができる。
【0091】
図22は、流水装置2200の別の例示的な実施形態を示す。流水装置2200は、可撓性または柔軟な排液内腔2202を含み、排液内腔2202は、排液ポートを塞ぐように、外力(例えば、患者の皮膚を通じて流水装置に加えられる指の圧力)によって圧縮され得る。使用中、排液内腔2202は、流水作業が行われる間、排液ポートを塞ぐように圧縮され、流水は、脳室ポート2204のみを通るように向けられる。言い換えれば、排液内腔2202は、排液内腔と脳室ポート2204との間、排液内腔と流水内腔2206との間の、流体連通を中断するように圧縮され得る。いくつかの実施形態では、排液内腔2202は、内側突出部または減少した断面積を有するセクション2208を含んで、外部圧力が加えられたときに排液内腔をより確実に塞ぐことができる。排液内腔2202は、皮膚を通じて排液内腔の位置を突き止めること(location)を容易にするため、外部特徴部も含み得る。例えば、押しボタン、突出部、ドーム、または他の外部特徴部が、ユーザーへの触覚フィードバックを与えるために設けられ得る。
【0092】
図23は、流水装置2300の別の例示的な実施形態を示す。流水装置2300は、潰すことのできるステム2302を含み、このステム2302は、ドーム2304の内部天井から流水装置本体の基部2306まで延びている。例示されたステムは、相対する鋸歯支持面2308で互いに係合する上方部および下方部を含む。面2308は、ステムが潰れてドーム2304を圧縮するのに十分なほど歯を屈折させるために、長さ方向においてステム2302に加えられる所定の閾値力が必要となるように、構成される。したがって、ドーム2304は、所定の閾値力が加えられたときに押されるだけであってよく、これにより、ドームの不用意な流水または圧縮が妨げられる。ステム2302は、例えばカチッという音またはパチッという音の形で、触覚フィードバックを発するかまたは提供して、流水作業を開始するために十分な力が加えられたという確認をユーザーに与えるように構成されることもできる。
【0093】
図24は、流水装置2400の別の例示的な実施形態を示す。流水装置2400は、第1および第2のOリング2404を備えたボールおよびばねの弁2402を含み、第1および第2のOリングは、ボールおよびばねの弁の弁座として作用する。ボール2406は、ばね2408により、
図24Aに示す第1の位置に付勢され、第1の位置では、ボールは上方のOリングに接して設置され、ドーム2410と脳室ポート2412および排液ポート2414との間の流体連通を中断させる。この位置では、流体は、脳室ポート2412から排液ポート2414まで自由に流れることができる。流水作業が行われると、ボール2406は、第2の位置まで動き、第2の位置では、ボールは、下方のOリングに接して設置され、排液ポート2414とドーム2410との間、および排液ポートと脳室ポート2412との間の流体連通を中断させる。したがって、流水咳は、脳室ポート2412まで流れるにすぎない。ボール2406の寸法、およびばね2408の強度は、ボールおよびばねの弁の開口圧力を制御するため、例えば高圧の咳がドーム2410内で生成された場合にのみ弁が開くことを確実にするために、選択され得る。再充填内腔(不図示)が、脳室ポート2412とドーム2410との間に(例えば、ボールを貫通して)形成されて、流水作業が実行された後でドームを再充填させることができる。
【0094】
図25Aおよび
図25Bは、流水装置2500の別の例示的な実施形態を示す。流水装置2500は、第1の脚部2504および第2の脚部2506を有する、L字型ピストン弁2502を含む。通常の動作中、ピストン2502は、ばね2508によって、
図25Aに示す位置まで付勢され、ピストン2502の第1の脚部2504を貫通して形成された流体内腔2510が、脳室ポート2512と排液ポート2514との間に流体連通をもたらし、ピストンの本体が、ドーム2516と脳室ポートおよび排液ポートとの間の流体連通を遮る。流水作業が行われると、流水の力が、付勢ばね2508の力に逆らってピストン2502を押し下げ、流体内腔2510の両端部が閉塞される。さらに、ピストン2502の第2の脚部2506は、第2の脚部2506が排液ポート2514を閉塞するように位置付けられる。ピストン2502は、脳室ポート2512が閉塞されないように転置され、そのため、脳室ポートは、
図25Bに示すように流水ドーム2516と流体連通させられ、流水咳は、脳室ポートを通ってのみ流れる。
【0095】
本明細書に開示する実施形態のいずれにおいても、ドームは、ドームを潰れた構成に向かって、または潰れていない構成に向かって付勢する、1つまたは複数の特徴部を含み得る。例えば、コイルばね2602(
図26Aに図示)または板ばね2604(
図26Bに図示)が、ドーム内部に配されてよく、また、ドームの内部天井から流水装置本体の基部まで延びることができる。いくつかの実施形態では、ばねは、ドームを潰れた構成に向けて押しやるように付勢されてよく、ばねは、再充填流体がドームに供給されるときにドームが拡張する速度を制御する。他の実施形態では、ばねは、ドームを潰れていない位置に押しやるように付勢され得、ばねは、流水作業が行われた後でドームを開始位置に戻すのを助ける。
【0096】
図27は、流水装置2700の別の例示的な実施形態を示す。流水装置2700は、ステム2702を含み、ステム2702は、ドームの内部天井から延びており、流体内腔2706が内部を貫通して形成された舌状部2704を含む。通常の動作中、ドーム2708は、潰れていない構成にあり、舌状部2704は、
図27に示すように位置付けられ、舌状部2704に形成された流体内腔2706は、脳室ポート2710と排液ポート2712との間に流体連通をもたらす。この位置では、舌状部2704は、ドーム2708と脳室ポート2710および排液ポート2712との間の流体連通を遮る。流水作業が実行されると、ドーム2708は、押されるか、または潰され、舌状部2704は、下に移動されて、舌状部を通って延びる流体内腔2706が動いて、脳室ポート2710および排液ポート2712との整列から外れ、舌状部は排液ポートを塞ぐ。切り抜きまたは流動チャネル2714が、舌状部2704に形成され、舌状部が下に移動して排液ポート2712を遮断したら、脳室ポート2710が、ドーム2708と流体連通させられ、流水咳は、脳室ポートを通ってのみ流れる。流水作業が完了したら、脳室ポート2710から排液ポート2712まで流れる流体の一部が、再充填毛細管2716を通じてドーム2708を再充填する。再充填毛細管2716は、ドームが潰れていない構成に戻る速度を制限するようにサイズ決めされ得る。
【0097】
本明細書に開示した流水装置のいずれにおいても、流水ドームは、流水作業中にシャントシステムを通って流れる流体の容積を制御するようにサイズ決めされ得る。例示的な実施形態では、流水ドームは、約1mLの内部容積を有する。本明細書に開示した流水装置のいずれにおいても、流水ドームは、逆流作用によりシャントシステムに破片を再び吸い込むことを防ぐよう、低速で、潰れていない構成に回復するか、または戻るように構成され得る。例えば、ドームは、ポリマー組成物、シリコーン、ニトリル、ポリウレタンなどといった、低い弾性特性を有する材料から形成され得る。あるいは、または加えて、ドームは、ドームの回復速度を制御する、リブ、または他の内部もしくは外部特徴部を含み得る。例えば、ドームは、ドームの基部からドームの中央頂点まで延びる、1つまたは複数のリブを含み得る。これらのリブは、ドームの内表面に沿って延びることができる。あるいは、またはさらに、ドームの厚さは、基部と頂点との間で変化し得る。例えば、ドームは、頂点より基部で厚くなることができる。シャントシステムの上流すなわち脳室側のみを洗い流すように構成された流水装置が本明細書に開示されているが、開示された流水装置は、シャントシステムの下流もしくは排液側のみを洗い流すように、かつ/またはシャントシステムの両側を洗い流すように、容易に改変され得ることが、認識されるであろう。
【0098】
〔補助流動特徴部〕
本明細書に開示した流水装置の実施形態では、流体の咳または排水は、流水装置から上流に配されたシャントシステムの構成要素内(例えば脳室カテーテル内)に向けられて、障害物をカテーテルから除去するか、または、カテーテルを通る代替的な流路を開く。さまざまな構成要素(例えばカテーテル、スイッチなど)が、以下の説明に開示され、それらのいずれも、本明細書の教示に従って前記に開示された流水装置のいずれかと共に使用されてよい。さらに、以下の説明に開示する構成要素は、他の流水装置と共に使用されてよく、または、場合によっては、流水装置なしで使用されてもよい。さらにまた、以下の説明に開示する構成要素は、シャントシステムの上流もしくは脳室側で、かつ/またはシャントシステムの下流もしくは排液側で使用され得る。前記に開示したカテーテル102、202の特徴部のうちのいずれかが、以下に開示するカテーテルのうちのいずれかに含まれることができる。
【0099】
図28A〜
図28Cは、カテーテル2800の例示的な実施形態を示す。カテーテル2800は、患者の脳室内部に配されるように構成されたカテーテルの遠位先端部に形成された複数の入口穴を含む。単一内腔で先端部が1つのカテーテルを図示しているが、カテーテルは、多内腔カテーテルおよび/または多先端部カテーテルであってもよいことが、認識されるであろう。例えば、カテーテルは、カテーテルの全長を延びる2つの独立した内腔を備えた、二重内腔カテーテルであってよい。さらなる例として、カテーテルは、遠位端部に第1および第2の先端部を有する、先端部が割れたカテーテルであってよく、第1および第2の先端部は、まとまって、カテーテルの残りの部分を通って延びる単一の内腔になる。
【0100】
複数の入口穴は、経路を形成する1つまたは複数の主要穴2802を含み、この経路を通って、カテーテル2800の外部の流体がカテーテルの内側内腔に入ることができる。複数の入口穴はまた、1つまたは複数の補助穴2804を含み、補助穴2804は、カテーテル2800の外部の流体が補助穴を通ってカテーテルの内側内腔に入ることができないように、最初は遮断されている。むしろ、流体は、(例えば、前記に開示した流水装置のうちの1つの流水作業によって)補助穴2804が開けられた後で、補助穴2804を通過することができるにすぎない。補助穴2804は、最初は膜2806により遮断されている。いくつかの実施形態では、膜2806は、カテーテル2800の外表面上に配され得る。膜2806は、シリコーンなど、さまざまな植え込み可能で生体適合性の材料から形成され得る。膜2806は、開口部2804を横切って引き伸ばされて、張力下でカテーテル2800に取り付けられることができ、膜を貫通することで、結果として裂け目が生じ、裂け目の両側が、下にある穴の邪魔にならないところに移動する。膜2806は、さまざまな方向または向きで、補助穴2804の上で引き伸ばされてよく、これにより、膜が裂けた際に生じた裂け目が、何らかの方向性を有する(すなわち、特定の方向に向く開口部を画定する)ことができる。引き伸ばされた膜2806は、さまざまな方法でカテーテル2800に取り付けられ得る。例えば、膜2806は、熱パンチ(heat punch)を用いてカテーテル2800に熱溶接されるか、膜およびカテーテルの周りに配されたOリングを用いてカテーテルに機械的に連結されるか、または、カテーテル内もしくは上に成型されることができる。いくつかの実施形態では、複数の補助穴が設けられてよく、補助穴はそれぞれ、異なる方向に引き伸ばされた膜を有する。膜の厚さ、膜に加えられる張力の程度、および膜を形成する材料は、膜を裂くのに必要な力を制御するように選択され得る。いくつかの実施形態では、膜は、シリコーンから形成され、約0.025mm(約0.001インチ)の厚さを有する。
【0101】
使用中、カテーテル2800は、カテーテルの遠位先端部を患者の脳室内に配して、患者に植え込まれる。流体は、カテーテルの主要穴2802に入り、カテーテルの内側内腔を通ってシャントシステムの下流部(例えば、流水装置、弁、および/または排液カテーテル)まで流れる。主要穴2802が詰まったり、ふさがれたりした場合、または、ユーザーがそのように望む任意の他の時間に、流水装置は、カテーテルの内側内腔を通して、流体の加圧された咳を送達するように作動され得る。流体の咳は、障害物2808を、詰まった主要穴2802から取り除き、かつ/または、1つまたは複数の補助穴2804を覆う膜2806を破裂させることができる。言い換えれば、例えば主要流体経路が詰まったり、塞がれたりした場合、カテーテルを洗い流すと、補助入口ポート2804が開き、カテーテル内への二次流体経路をもたらすことができる。
【0102】
図28Aの挿入図は、補助穴の上に配された膜2806が破裂した後の、補助穴2804を示す。
図28Bは、破裂後に引き伸ばされることなくカテーテル上に配された膜2806を示し、
図28Cは、破裂後に引き伸ばされてカテーテル上に配された膜2806’を示す。図示のとおり、引き伸ばされた膜は、破裂後に、より大きな開口部をもたらし、これは、予め張力をかけられた膜の、引き裂かれた部分が、補助穴2804’から引き離されるためである。
【0103】
図29は、カテーテル2900の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル2900は、1つまたは複数の入口穴2904を備えた主要先端部2902を含み、入口穴2904を流体が通過して、主要先端部の内側内腔に入ることができる。カテーテル2900はまた、円筒形プラグ2908が取り付けられた、補助先端部2906を含む。プラグ2908は、1つまたは複数の補助穴2910を含み、補助穴2910は、補助穴を開くために(例えば流水咳によって)破裂し得る、前記に開示したタイプの膜2912で覆われている。プラグ2908は、剛性材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、プラグ2908は、直径が約3〜5mmであってよい。
【0104】
図30は、カテーテル3000の別の例示的な実施形態を示す。カテーテルの側壁3002には流体内腔3004が形成されており、流体は、カテーテルの内側内腔3006を通って、また、カテーテルの側壁を通って、流れることができる。カテーテル3000の下流の流水装置が作動されると、流れる流体により、側壁内腔3004が拡張し、カテーテルの球形状末端遠位端部3008がバルーンのように引き伸ばされる。球状部3008が引き伸ばされると、球状部に形成された1つまたは複数の入口穴3010が、拡大され、これにより、入口穴に引っかかっていたあらゆる破片が自由になり得る。言い換えれば、流水作業は、カテーテル3000に形成された細孔3010を引き伸ばして開き、障害物を除去するのに有効である。
【0105】
図31は、カテーテルバイパススイッチ3100の例示的な実施形態を示す。バイパススイッチ3100は、流水装置に、または、脳室カテーテル自体に組み込まれ得る。スイッチ3100は、流水チャネル3102を含み、流水チャネル3102は、流水装置の脳室ポートに連結され得る。スイッチ3100は、主要カテーテルチャネル3104および二次カテーテルチャネル3106も含み、これらは、二重内腔カテーテルの対応する独立した内腔に、または2つの別個のカテーテルに連結され得る。ボール弁3108が、流水チャネル3102を通って流される流体によってボールが下向きに押しやられたときにボールを受容するようにサイズ決めされた戻り止めまたは凹部3110の上で、スイッチ内に配されている。動作中、スイッチは、最初は
図31に示すように構成され、流水作業において流水装置から排出された流体は、主要カテーテルを通って流れ、あらゆる妨害物または障害物を除去する。流水で主要カテーテル内の障害物の一部またはすべてを除去することができない場合、ボールとスイッチ3100の側壁との間の摩擦に打ち勝ってボールが戻り止め3110内へと下に動く点まで、ボール3108に作用する圧力を増加させることができる。これにより、二次チャネル3106が開き、次に流体は、患者の脳室から、二次カテーテルを通って、流水装置およびシャントシステムの下流部内へと流れることができる。戻り止め3110に通じる開口部は、ボールが戻り止め内に押し込まれた後でボール3108の周りで跳ね返ることができ、ボールは、流水の力が取り除かれた後は、戻り止め内にとどまる(二次チャネル3106は開いたままである)。流体はスイッチ3100が作動するまで二次カテーテルを通って流れないので、二次カテーテルが使用されていない間に破片が二次カテーテルに流れ込み、二次カテーテルを詰まらせる傾向が減少する。
【0106】
図32は、カテーテルバイパススイッチ3200の別の例示的な実施形態を示す。バイパススイッチ3200は、流水装置、または脳室カテーテル自体に組み込まれ得る。スイッチ3200は、流水装置の脳室ポートに連結され得る流水チャネル3202を含み得る。スイッチは、主要カテーテルチャネル3204および二次カテーテルチャネル3206も含み、これらは、二重内腔カテーテルの対応する独立した内腔に、または2つの別個のカテーテルに連結され得る。シール膜3208が、二次カテーテルチャネル3206を横切ってスイッチ3200内に配されて、二次カテーテルチャネルは、最初は、スイッチの残部から密封されている。動作中、スイッチ3200は、最初は、
図32に示すように構成され、流水作業において流水装置から排出される流体は、主要カテーテルを通って流れ、あらゆる妨害物または障害物を除去する。流水で主要カテーテル内の障害物の一部またはすべてを除去することができない場合、膜が破裂するポイントまで、膜3208に作用する圧力を増加させることができる。これにより、二次チャネル3206が開き、次に流体は、患者の脳室から、二次カテーテルを通って、流水装置およびシャントシステムの下流部内へと流れることができる。膜3208は、セルフシール式であり、かつ/または解放可能であることができ、あるいは、流水の力が取り除かれた後でも、二次チャネル3206が永続的に開くように再シール不可能であってもよい。流体はスイッチ3200が作動するまで二次カテーテルを通って流れないので、二次カテーテルが使用されていない間に破片が二次カテーテルに流れ込み、二次カテーテルを詰まらせる傾向が減少する。
【0107】
図31および
図32のスイッチ3100、3200は、流水作業による流体圧力で作動されるが、スイッチは機械的に作動されることもできる。例えば、
図33に示すように、スイッチ3300は、押しボタン3302を含んでよく、主要カテーテル3304が詰まった場合に患者の皮膚を通じてユーザーは押しボタン3302に力を加えることができる。押しボタン3302は、膜を開き、二次カテーテル3306を通る流体の流れを可能にするために押しボタンが押し下げられると、スイッチ内部の膜を貫通するように構成された、尖ったステムに連結され得る。あるいは、押しボタンは、二次カテーテル開くために
図31のボールを戻り止めに押し込むように構成された、ステムまたはレバーに連結され得る。
【0108】
図34は、カテーテル3400の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル3400は、主要先端部3402および二次先端部3404を備える、先端部が割れた遠位端部を含む。二次先端部3404は、二次先端部の内側内腔3408を横切って引き伸ばされたシール膜3406により、最初は閉じられている。使用中、膜3406は、(例えば前述した実施形態で記載するように)破裂して、二次先端部3404を開き、その中を通る流体の流れを可能にすることができる。
【0109】
図35A〜
図35Bは、カテーテル3500の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル3500は、その末端遠位端部に球状部3502を含み、球状部3502は、カテーテルの残りの部分と比べて、薄い側壁厚さを有する。1つまたは複数の入口ポート3504が、カテーテルの球状部3502に形成されて、カテーテルの外部の流体を、カテーテルの内側内腔に流れ込ませる。入口ポート3504が塞がれたり、閉塞したりしている場合、流水作業が、カテーテルの下流に配された流水装置により実行され得る。流水装置により生成された高圧流水により、
図35Bに示すように、球状部3502は引き伸ばされ、入口ポート3504が拡張し、入口ポート内に引っかかっているかもしれないあらゆる破片または障害物を取り除く。
【0110】
図36A〜
図36Bは、カテーテル3600の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル3600は、その外表面に形成された、1つまたは複数の長さ方向リブ3602を含む。例示された実施形態では、カテーテル3600は、カテーテルの周辺部の周りで互いから90°離間した、4つの外側リブ3602を含む。リブ3602は、カテーテル3600およびその中に形成された入口ポート3604を、カテーテル付近の物体(例えば患者の脳室の壁、もしくは他の組織3606)から離して保持する、スタンドオフ(standoffs)として作用する。したがって、カテーテルが患者の脳室の側面に直面して、または他の組織に直面して配されると、管路は、組織に面するカテーテルの側で、入口ポートに対して開いたままとなる。
【0111】
図37は、カテーテル3700の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル3700は、独立した主要内腔3702および二次内腔3704を含む。各内腔は、その中に形成された、1つまたは複数の入口ポート3706を含む。さらに、スタイレット3708が、二次内腔3704に配されて、二次内腔3704を通り、その中に形成された入口ポート3706を通る、流体の流れを遮断する。使用中、主要内腔3702が遮られるか、または閉塞されると、スタイレット3708が取り外されて、二次内腔3704を通る流れを開始することができる。スタイレット3708は、低侵襲外科処置中に取り外されてよく、この処置では、小さな切開部がカテーテル3700の近位端部に隣接して形成され、スタイレットは二次内腔3704から引っ張り出され、切開部が閉じられる。よって、
図37のカテーテルは、比較的侵襲性の高い処置の一部として、詰まってしまうと完全に取り外して新しいカテーテルと取り換えなければならない従来の脳室カテーテルと比べた場合に、二次流動チャネルが、低侵襲処置で広がることを可能にしている。
【0112】
図38は、カテーテル3800の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル3800は、カテーテルの内側内腔3804内部に配されたシース3802を含み、シース3802は、シースが1つまたは複数の補助流体入口ポート3806を遮断すると共に、1つまたは複数の主要流体入口ポート3808を開いたままにするように、位置付けられる。例えば、シース3802は、主要穴3808と整列される第1の穴パターン3810と、シースがカテーテル3800に対して長さ方向に並進運動した場合にのみ補助穴3806と整列される第2の穴パターン3812と、を含み得る。主要ポート3808が詰まったり、閉塞したりした場合に、シース3802は、前進または後退して、補助入口ポート3806のうちの1つまたは複数を露出することができる。例示された実施形態では、カテーテル3800は、カテーテルの遠位端部に隣接してブリード穴3814を含み、ブリード穴3814により、圧力差がシース3802に加えられた際に、シース3802は動くことができる。具体的には、ブリード穴3814により、シース3802より下の流体が漏れて、シースの前進を妨げ得る圧力上昇を低減させることができる。他の実施形態では、シース3802は、カテーテル内へ半径方向内側に延びる、1つまたは複数の突出部を含み得る。流水作業により生成される高圧流体の流れが、突出部に力を加えることができ、これにより、シース3802がカテーテル3800に対して長さ方向に並進運動して、補助ポート3806のうちの1つまたは複数を開く。あるいは、シース3802は、例えば、流水装置により作動されるレバーまたはリンク装置システムによって、機械的に並進運動することができる。
【0113】
図39A〜
図39Bは、カテーテル3900の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル3900は、
図39Aに示すように通常はカテーテルの側壁3906から半径方向内側に延びる円錐状フラップ3904により画定された、1つまたは複数の流体入口ポート3902を含む。入口ポート3902が詰まったり、閉塞したりした場合、流水作業を行うことができ、これにより、円錐状フラップ3904は、裏返しになることができ、円錐状フラップは、
図39Bに示すように、カテーテルの外部側壁から半径方向外側に延びる。フラップ3904が
図39Bに示す外側位置に移ることは、入口ポート3902を通る流体の流れを詰まらせたり閉塞させたりし得る、あらゆる破片を取り除くのに効果的となり得る。
【0114】
図40A〜
図40Bは、カテーテル4000の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル4000は、先端部が割れたカテーテルであり、第1の先端部4002および第2の先端部4004が、最初は互いに接合されている。1つまたは複数の流体入口ポート4006が、先端部4002、4004の接合面に形成され、流体は、先端部がそれらの最初の接合構成で配されている間は、入口ポート4006を通って流れることができない。先端部に形成された1つまたは複数の他の流体入口ポート4008が詰まったり、閉塞したりした場合、流水作業を行って、カテーテルの先端部を分離させ、以前は覆われていた入口ポート4006を露出させて、カテーテルを通る流体の流れを回復させることができる。先端部4002、4004は、接着剤4010で接合されてもよく、接着剤4010は、流水作業により加えられる圧力が接着剤の接着強度を超えると、先端部を解放するように構成される。よって、接着剤のタイプおよび量は、カテーテルの先端部を分離させるのに必要な圧力を制御するように選択され得る。カテーテルの先端部はまた、流水作業により加えられる圧力が穿孔または壊れやすい縫い目の引張強さを超えたときに、穿孔または壊れやすい縫い目に沿って、分離されることもできる。
【0115】
図41は、カテーテル4100の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル4100は、患者の脳室内の流体にさらされると経時的に分解するように構成された、1つまたは複数の分解可能なシース4102を含む。シース4102が分解すると、シースは、それまでシースにより覆われていた補助流体入口穴4104を露出させる。例示された実施形態では、交互になった複数のシース4102が設けられ、シースの長さは、最も内側のシースから最も外側のシースに向けて徐々に減少している。その結果、ただ1つのシース厚さの分解が、最も近位の補助穴を露出するのに必要であるが、4つのシース厚さの分解が、最も遠位の補助穴を露出するのに必要である。よって、例示されたカテーテル4100は、時間が経過するにつれて(例えば、交互になったシース4102の数に等しい数の、複数の日、週、月などに及び得るステージにおいて)追加の流体入口穴4104を徐々に露出するように構成される。さらに、補助穴4104のうちの1つまたは複数は、流水作業を行うことによって、即座に(すなわち、シース4102が分解するのを待たずに)開くことができる。カテーテル4100における、結果として得られる圧力スパイクにより、シース4102のうちの1つまたは複数は(例えば単一の層のシースのみが残っている領域において)破裂して、下に配された補助穴4104を開くことができる。
【0116】
図42は、カテーテル4200の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル4200は、主要先端部4202および二次先端部4204を有する、先端部が割れたカテーテルであり、これらの先端部はそれぞれ、その中に形成された、1つまたは複数の流体入口穴4206を有する。二次先端部4204は、最初は、くるくると巻かれていて、二次先端部に形成された流体入口穴が二次先端部の隣接する丸めた部分により塞がれるように、仮縫いされている(tacked)。流水作業が実行されると、または流水作業が試みられて主要先端部4202の洗浄がうまくいかない場合、カテーテル4200内の流体圧力は、仮縫いの結合強度を超えるまで増加することができ、これにより、仮縫いが切断され、二次先端部4204が広がることができる。いったん広がると、二次先端部4204の流体入口ポート4206が露出され、流体が流体入口ポート4206を通って、カテーテル4200の内部まで流れ込むことができる。
【0117】
図43A〜
図43Bは、カテーテル4300の別の例示的な実施形態を示す。1つまたは複数の補助流体入口穴4304が形成された、カテーテルの末端遠位先端部4302は、最初は、
図43Aに示すように、折り畳まれており、カテーテルのより近位のセクション4306に仮縫いされている。カテーテルの近位セクション4310に形成された1つまたは複数の主要流体入口ポート4308は、開いて、流体をカテーテルの中心内腔に入れる。主要流体ポート4308のうちの1つまたは複数が塞がれたり、閉塞したりしている場合、流水作業が行われて、カテーテルの折り畳み部分4302を保持する仮縫いを壊し、折り畳み部分を広げることができる。
図43Bに示すように、最初に折り畳まれた部分4302が広げられると、そこに形成された補助流体ポート4304が開き、流体は、補助流体ポートを通ってカテーテルの内側内腔に自由に流れ込むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテル4300は、先端部が割れたカテーテルであってよく、その先端部のうちの一方または両方が、折り畳まれた補助部分を有し得る。
【0118】
図44A〜
図44Bは、カテーテル4400の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル4400は、1つまたは複数の補助流体入口ポート4404が形成された遠位端部に隣接して形成された、アコーディオンまたはベローズ部分4402を含む。ベローズ部分4402は、最初は、
図44Aに示すように折り畳まれた位置で仮縫いされており、補助流体入口ポート4404は、ベローズ部分の隣接する折り畳み部により覆われている。主要流体入口ポートのうちの1つまたは複数が塞がれたり、閉塞したりしている場合、流水作業が行われて、
図44Bに示すように、折り畳まれた位置にベローズ部分4402を保持する仮縫いを壊し、補助流体入口ポート4404を開いて、カテーテルを通る流体の流れを復活させることができる。いくつかの実施形態では、さまざまな強度の仮縫いが、ベローズ部分4402の連続する折り目間に形成されてよく、各流水作業は、最も弱い残りの仮縫いを壊し、また、ベローズ部分の対応する折り目に形成された補助ポートを露出するのに有効であればよい。言い換えれば、第1の流水作業で、第1の仮縫いを壊して、第1の補助ポートを露出させることができる。第1の補助ポートが詰まったら、第2の流水作業で、第2の仮縫いを壊して、第2の補助ポートを露出させることができる。このプロセスは、仮縫いのすべてが破れるまで繰り返され得る。よって、カテーテルの可使時間は、ベローズ部分の仮縫いの数に等しい因数(factor)によって有効に延長され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、先端部が割れたカテーテルであってよく、先端部のうちの一方または両方が、ベローズ部分を有し得る。
【0119】
図45は、カテーテル4500の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル4500は、その遠位端部に形成された、複数の主要流体入口ポート4502を含む。カテーテルはまた、複数の止まり穴(blind bores)または非全層貫通部(non-full thickness penetrations)4504を含む。使用中、主要流体入口ポート4502が塞がれると、カテーテルの圧力スパイクが、流水作業の結果、生成されて、止まり穴4504の残りの材料を破裂させ、それにより、止まり穴が補助流体入口ポートに変えられ、カテーテルを通る流体の流れを復活させることができる。止まり穴4504は、さまざまな深さまで形成されてよく、複数の連続した流水で、段階的な開口(tiered opening)を達成することができる。言い換えれば、最も深い穴が、第1の流水作業で開かれ得る。それらの穴が詰まったら、次に最も深い穴を、第2の流水作業で開くことができる。このプロセスは、穴がすべて開くまで、繰り返され得る。
【0120】
図46は、カテーテル4600の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル4600は、カテーテルの内側内腔を通って長さ方向に延びるアーム4602を含む。複数のフィンガー4604が、アーム4602から半径方向外側に延びる。カテーテル4600に形成された流体入口ポート4606のいずれかが塞がれたら、流水作業を行って、アーム4602を前進および/または後退させることができ、フィンガー4604は、入口ポートを塞いでいるあらゆる障害物をカテーテルから押し出す。例示的な実施形態では、流水装置のドーム部分の押し下げは、リンク装置に対して作用して、アーム4602を長さ方向に前進させ、ドームをその潰れていない構成に戻すと、リンク装置が後ろに引っ張られてアームを長さ方向に後退させる。このプロセスは、フィンガー4604で流体入口ポート4606を「ブラッシングする」ように繰り返し行われてよく、入口ポートを塞いでいるか、または詰まらせているあらゆる破片を取り除く。アーム4602はまた、流水作業によりカテーテルに供給される流体圧力を用いて、水圧で並進運動することができる。
【0121】
図47Aは、カテーテル4700の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル4700は、患者の脳室内部に配されるように構成されたカテーテルの遠位先端部の端部4704に形成された、複数の主要入口穴4702を含む。単一内腔で単一先端部のカテーテルが図示されているが、カテーテルが多内腔カテーテルおよび/または多先端部カテーテルであってよいことが、認識されるであろう。主要穴4702は、経路を形成し、この経路を通って、カテーテル4700の外部の流体が、カテーテルの内側内腔に入ることができる。カテーテルはまた、1つまたは複数のスロット型補助穴4708が形成される、セグメント4706を含む。補助スロット4708は、カテーテル4700の外部の流体が補助スロットを通ってカテーテルの内側内腔に入ることができないように、最初は塞がれている。むしろ、流体は、補助スロット4708が(例えば、前記に開示した流水装置のうちの1つの流水作業によって)こじ開けられた後で、補助スロット4708を通過できるに過ぎない。補助スロット4708は、最初は、膜4710によって塞がれている。膜4710は、シリコーンまたは他のシラスティック材料など、さまざまな植え込み可能かつ生体適合性の材料から形成され得る。カテーテル4700は、さまざまな方法で製造され得る。例えば、スロット4708は、カテーテルチューブの側面内に、非全層穿孔(non-full-thickness punches)を作ることによって、形成され得る。スロットは、カテーテルチューブ全体を穿孔し、その後、カテーテルの上に膜4710を成型するか、または別様に膜をカテーテルに取り付けることによって、形成されることもできる。さらなる例として、スロット4708が形成された、カテーテルのセクション4706、および主要入口穴4702が形成された、カテーテルの遠位部分4704は、単一の構成要素として成型され得る。さらに別の例として、カテーテル4700全体は、単一の構成要素として成型され得る。
【0122】
図47Bに示すように、補助スロット4708が形成された、カテーテル4700のセクションは、別個の成型部分4706’であってよく、その成型部分をカテーテル4700の近位セクションおよび遠位セクションに連結するための、入口のかえり4712および出口のかえり4714を備えている。よって、取り外し可能な補助穴またはスロット4708が、カテーテルの他の部分と組み立てられる、インライン構成要素として設けられ得る。いくつかの実施形態では、成型部分4706’は、膜4710にさらなる支持を与えるために、カテーテルの残りの部分とは異なる材料(例えば、より硬いか、または高デュロメーターの材料)で形成され得る。成型部分4706’は、約2.08cm(約0.82インチ)の全長を有してよく、成型部分の円筒形主要本体部分は、約10.16mm(約0.40インチ)の長さを有し得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、カテーテルチューブは、約1.27mm(約0.050インチ)の内径、および約0.762mm(約0.030インチ)の厚さを有してよく、カテーテルの外径は約2.794mm(約0.110インチ)となる。いくつかの実施形態では、主要穴が形成された、カテーテルの遠位部分は、約10.008mm(約0.394インチ)の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、主要穴の直径は、約1.194mm(約0.047インチ)であってよい。いくつかの実施形態では、補助スロットは、約1.27mm〜約5.588mm(約0.050インチ〜約0.220インチ)の長さLを有し得る。いくつかの実施形態では、補助スロットは、約1.27mm(約0.050インチ)の幅Wを有し得る。いくつかの実施形態では、膜は、約0.025mm〜0.254mm(約0.001インチ〜0.010インチ)の厚さを有し得る。補助スロットは、さまざまな形状のうちのいずれかを有し得る。例えば、スロットは、図示のように、角が丸くなった、実質的に矩形のものであってよい。代わりに、スロットの角は、より鋭くして、角がより簡単に壊れるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、膜は、縫い目または脆弱部をもたらすように、刻み目(scoring)4716を含んでよく、その縫い目または脆弱部に沿って、膜が裂けることができる。膜は、シリコーン、ポリウレタンなどといったシラスティック材料を含め、さまざまな材料のうちのいずれかから形成され得る。いくつかの実施形態では、膜は、少なくとも約0.07MPa(約10psi)〜少なくとも約0.17MPa(約25psi)以上の圧力が膜に加えられた場合にのみ、裂けるように構成され得る。
【0124】
図48A〜
図48Dは、カテーテル4800の別の例示的な実施形態を示す。カテーテル4800は、患者の脳室内部に配されるように構成されたカテーテルの遠位先端部の端部4804に形成された、複数の入口穴4802を含む。単一内腔で単一先端部のカテーテルが図示されているが、カテーテルが多内腔カテーテルおよび/または多先端部カテーテルであってよいことが、認識されるであろう。入口穴4802は、経路を形成し、その経路を通って、カテーテル4800外部の流体が、カテーテルの内側内腔に入ることができる。スリット4806は、入口穴のうちの1つまたは複数に形成されて、洗い流されたときにその孔を歪めて、わずかに開くことができ、穴内に配されたあらゆる妨害物4808が、カテーテルから自由になり流れ出るのを容易にする。言い換えれば、入口穴4802の周辺部は、カテーテルが洗い流されると、外側に変形するように構成される。
図48Bは、通常の動作圧力下で十字型スリット4806を備えた穴4802を示す。
図48C〜
図48Dに示すように、圧力が、流水作業中に穴4802の下で増大すると、穴は、スリット4806に沿って外側に開き、妨害物4808がより容易に除去され得るように拡張する。入口穴4802は、さまざまな角度のうちのいずれかに向けられたスリット4806を有し得る。例えば、スリットは、水平、垂直であってよく、あるいは、図示のように、垂直に交差する水平および垂直なスリットを含むことができる。
【0125】
本発明は、特定の実施形態を参照することにより説明してきたが、説明した発明の概念の趣旨および範囲内で、多くの変更が行われ得ることを、理解されたい。したがって、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で定めた範囲をすべて有することを意図している。
【0126】
〔実施の態様〕
(1) 患者の頭蓋骨内部に蓄積した流体を迂回させるためのカテーテルにおいて、
近位端部および遠位端部を有する細長い管状本体と、
前記細長い本体の前記遠位端部から延びる第1および第2の可撓性先端部であって、前記第1および第2の可撓性先端部を通って延びる1つまたは複数の流体通路を有する、第1および第2の可撓性先端部と、
前記第1および第2の先端部に形成された複数の流体ポートと、
前記第1および第2の先端部を互いに隣接した位置に保持するように構成された連結部材と、
を含む、カテーテル。
(2) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の可撓性先端部は、脳室に設置されるようにサイズ決めされ構成される、カテーテル。
(3) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記連結部材は、前記第1および第2の先端部の周りに配された剥離可能シースを含む、カテーテル。
(4) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記連結部材は、前記第1および第2の先端部の周りに配された、円滑に取り外し可能な挿入シースを含む、カテーテル。
(5) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記連結部材は、前記第1の先端部と前記第2の先端部との間に配された生体吸収性接着剤を含む、カテーテル。
【0127】
(6) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記連結部材は、前記第1および第2の先端部の周りに配された、スタイレットもしくはカニューレを含む、カテーテル。
(7) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部はそれぞれ、D字型の断面を有する、カテーテル。
(8) 実施態様7に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部は、前記連結部材により互いに連結されると、全体として円形断面を形成する、カテーテル。
(9) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部はそれぞれ、円形断面を有する、カテーテル。
(10) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記複数の流体ポートは、前記第1および第2の先端部の側壁を通る螺旋パターンで形成される、カテーテル。
【0128】
(11) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部が中に配される流体の拍動流は、前記第1および第2の先端部を互いにぶつからせるのに有効であり、それにより障害物が前記第1および第2の先端部から除去される、カテーテル。
(12) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
複数のシュラウドをさらに含み、
各シュラウドは、前記複数の流体ポートのうちの対応する1つの上に配される、カテーテル。
(13) 実施態様12に記載のカテーテルにおいて、
前記複数のシュラウドは、中空の4分の1球体として形成される、カテーテル。
(14) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部のうちの少なくとも一方は、埋め込みマイクロセンサーを含む、カテーテル。
(15) 実施態様14に記載のカテーテルにおいて、
前記埋め込みマイクロセンサーは、問い合わせ可能センサー、圧力センサー、フローセンサー、傾きセンサー、加速度センサー、グルタメートセンサー、pHセンサー、温度センサー、イオン濃度センサー、二酸化炭素センサー、酸素センサー、およびラクテートセンサーのうちの少なくとも1つを含む、カテーテル。
【0129】
(16) 実施態様14に記載のカテーテルにおいて、
前記埋め込みマイクロセンサーは、前記第1および第2の先端部の周辺の環境における圧力を示す出力を弁に供給して、前記弁を通る流体流量を制御する、圧力センサーである、カテーテル。
(17) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部のうちの少なくとも一方は、ある量の薬剤を収容するか、薬剤でコーティングされるか、または、薬剤を含浸している、カテーテル。
(18) 実施態様17に記載のカテーテルにおいて、
前記薬剤は、抗菌剤、抗炎症薬、コルチコステロイド、およびデキサメタゾンのうちの少なくとも1つを含む、カテーテル。
(19) 実施態様1に記載のカテーテルにおいて、
前記第1および第2の先端部は、ポリマー組成物から形成される、カテーテル。
(20) 患者の頭蓋骨内部に蓄積された流体を排出するシャントにおいて、
実施態様1に記載のカテーテルと、
前記細長い管状本体の前記近位端部に連結された頭蓋骨アンカーであって、前記頭蓋骨アンカーは、注入ポートを含み、前記注入ポートを通って、流体が前記細長い管状本体に供給されるか、または前記細長い管状本体から抜き取られることができる、頭蓋骨アンカーと、
前記頭蓋骨アンカーから延びる排液カテーテルと、
前記カテーテルおよび前記排液カテーテルのうちの少なくとも一方と一直線に配される、一方向の圧力制御弁と、
を含む、シャント。
【0130】
(21) 体液を迂回させる方法において、
遠位端部から延びて互いに連結された第1および第2の可撓性先端部を有するカテーテルを、流体収容空洞に挿入し、流体が前記カテーテルを通って前記空洞から流出することができるようにすることと、
前記空洞内の流体の拍動流により前記第1および第2の先端部が互いにぶつかり、それにより前記第1および第2の先端部から障害物を除去するように、前記第1および第2の先端部を切り離すことと、
を含む、方法。
(22) 実施態様21に記載の方法において、
前記切り離すことは、前記第1および第2の先端部の周りに配されたシースを取り外すこと、前記第1および第2の先端部の周りに配されたスタイレットもしくはカニューレを取り外すこと、ならびに前記第1の先端部と前記第2の先端部との間に配された生体吸収性接着剤を前記流体にさらすこと、のうちの少なくとも1つを含む、方法。
(23) 実施態様21に記載の方法において、
前記第1および第2の先端部のうちの少なくとも一方の上に配された圧力センサーの出力に応じて、弁を通る流体流量を調節することをさらに含む、方法。
(24) カテーテルにおいて、
近位端部および遠位端部、ならびに中を通って延びる流体内腔を有する、細長い管状本体と、
前記流体内腔の内表面から半径方向内側に延びる複数の流れ表示突出部であって、前記突出部はそれぞれ、撮像可能部分を有する、複数の流れ表示突出部と、
を含み、
前記突出部の少なくとも前記撮像可能部分は、流体が前記流体内腔を通って流れているときは前記流体内腔に対して動くように、また、流体が前記流体内腔を通って流れていないときは前記流体内腔に対して静止したままであるように、構成される、カテーテル。
(25) 実施態様24に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部はそれぞれ、前記流体内腔の前記内表面に固定された第1の端部と、前記流体内腔の前記内表面に対して自由に動くことができる第2の端部と、を含む、カテーテル。
【0131】
(26) 実施態様25に記載のカテーテルにおいて、
前記撮像可能部分は、前記突出部の前記第2の自由端部に配される、カテーテル。
(27) 実施態様24に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部は、前記細長い管状本体の側壁を貫通した開口部を通して前記突出部を前進させ、その後、前記開口部をシールすることにより、形成される、カテーテル。
(28) 実施態様24に記載のカテーテルにおいて、
前記撮像可能部分は、放射線不透過性材料から形成される、カテーテル。
(29) 実施態様24に記載のカテーテルにおいて、
前記撮像可能部分は、金属材料から形成される、カテーテル。
(30) 実施態様24に記載のカテーテルにおいて、
前記撮像可能部分は、磁気共鳴映像法(MRI)下で見ることができる材料から形成される、カテーテル。
【0132】
(31) 実施態様24に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部は、可撓性である、カテーテル。
(32) 実施態様24に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部は、前記細長い管状本体の長さ全体にわたり配される、カテーテル。
(33) 実施態様24に記載のカテーテルにおいて、
前記突出部は、前記細長い管状本体内部の別々の場所に形成された1つまたは複数の群に分けられる、カテーテル。
(34) 植え込まれたカテーテルの流体内腔を通って流体が流れているかどうかを判断する方法において、
前記カテーテル、および前記流体内腔の内表面から半径方向内側に延びる複数の流れ表示突出部の、1つまたは複数の画像を撮ることであって、前記突出部はそれぞれ、撮像可能部分を有する、ことと、
前記撮像可能部分が前記流体内腔に対して動いていることを前記画像が示した場合に、流体が前記流体内腔を通って流れていると判断することと、
前記撮像可能部分が前記流体内腔に対して静止していることを前記画像が示した場合に、流体が前記流体内腔を通って流れていないと判断することと、
を含む、方法。
(35) 実施態様34に記載の方法において、
前記画像は、磁気共鳴画像、コンピュータ断層画像、陽電子放出断層画像、およびX線透視画像のうちの少なくとも1つである、方法。
【0133】
(36) カテーテルにおいて、
細長い本体であって、近位端部および遠位端部、ならびに前記細長い本体の少なくとも一部を通って延びる複数の独立した流体内腔を有する、細長い本体と、
前記細長い本体の側壁に形成された複数の流体開口部であって、各流体開口部は、前記複数の流体内腔のうちの1つと流体連通している、複数の流体開口部と、
を含み、
前記流体開口部は、前記複数の独立した流体内腔のうちの別々の流体内腔と流体連通している流体開口部が異なる方向を向くように形成される、カテーテル。
(37) 実施態様36に記載のカテーテルにおいて、
前記細長い本体の前記遠位端部に形成された円錐状先端部をさらに含み、前記円錐状先端部は、その中に形成された複数の流体開口部を有し、前記流体開口部はそれぞれ、前記複数の流体内腔のうちの1つまたは複数と流体連通している、カテーテル。
(38) 流水装置において、
上流ポートおよび下流ポートを有する本体と、
脳室チャネルおよび排液チャネルからドームまで延びる流水チャネルであって、前記脳室チャネルは、前記上流ポートから前記流水チャネルまで延び、前記排液チャネルは、前記下流ポートから前記流水チャネルまで延びる、流水チャネルと、
前記流水チャネル内に配された弁であって、前記脳室チャネルおよび前記排液チャネルが互いと流体連通しており、前記ドームが前記流水チャネルを介して前記脳室チャネルまたは前記排液チャネルと流体連通していない、第1の位置、ならびに、前記ドームが前記流水チャネルを介して前記脳室チャネルと流体連通しており、前記排液チャネルが前記ドームまたは前記脳室チャネルと流体連通していない、第2の位置を有する、弁と、
を含み、
前記ドームは、前記弁を前記第2の位置まで動かし、前記脳室チャネルを通して流体を流すように、潰れることができる、流水装置。
(39) 流水システムにおいて、
潰すことができるドームを有する流水構成要素と、
第1のカテーテルによって前記流水構成要素に連結された弁構成要素であって、前記弁構成要素内に配された流水弁およびフラッパー弁を有する、弁構成要素と、
第2のカテーテルによって前記弁構成要素に連結され、第3のカテーテルによって前記流水構成要素に連結されたY字アダプタと、
を含み、
前記流水弁は、前記流水弁にわたる圧力差が所定の閾値を超えると開くように構成され、
前記フラッパー弁は、前記弁構成要素から前記Y字アダプタへの流体の流れの遮断するように、前記流水弁が開くと、開くように構成され、
前記ドームは、前記流水弁にわたって圧力差を生じるように、潰れることができる、流水システム。
(40) 流水装置において、
上流ポートおよび下流ポートを有する本体と、
前記上流ポートから流水弁チャンバまで延びる脳室チャネルと、
前記下流ポートから再充填弁チャンバまで延びる排液チャネルと、
前記流水弁チャンバからドームまで延びる流水チャネルと、
前記再充填弁チャンバから前記ドームまで延びる再充填チャネルと、
前記流水弁チャンバから前記再充填弁チャンバまで延びるバイパスチャネルと、
前記流水弁チャンバ内に配された流水弁であって、前記流水弁にわたる圧力差が所定の閾値を超えると、前記流水チャネルと前記脳室チャネルとの間の流体連通を可能にするように構成された、流水弁と、
前記再充填弁チャンバ内に配された再充填弁であって、流体が前記バイパスチャネルから前記再充填チャネル内に流れるのを可能にするように、また、流体が前記再充填チャネルから前記バイパスチャネル内に流れるのを防ぐように構成された、再充填弁と、
前記バイパスチャネル内に配されたバイパス弁であって、前記バイパスチャネル内の流体圧力が所定の閾値を超えると、前記バイパスチャネルを通る流体の流れを妨げるように構成された、バイパス弁と、
を含み、
前記ドームは、潰れることができ、前記流水弁および前記脳室チャネルを通して流体を送ると共に、前記バイパス弁を閉じさせて、流体が前記排液チャネルを通って送られるのを防ぐ、流水装置。
【0134】
(41) 実施態様40に記載の流水装置において、
潰れていない構成に前記ドームを付勢するように構成されたばねをさらに含む、流水装置。
(42) カテーテルにおいて、
主要流体入口ポートであって、前記主要流体入口ポートを通って、前記カテーテルの外部の流体が前記カテーテルの内側内腔に流れ込むことができる、主要流体入口ポートと、
膜で覆われた補助流体入口ポートであって、前記カテーテルの外部の流体が前記補助入口ポートを通って流れることができない、補助流体入口ポートと、
を含み、
前記補助流体入口ポートを開き、前記補助流体入口ポートを通して流体を流すことができるように、前記カテーテルの前記内側内腔内の流体により所定の閾値力が前記膜に加えられると、前記膜は裂けるように構成される、カテーテル。
(43) 実施態様42に記載のカテーテルにおいて、
前記補助流体入口ポートは、角が丸い矩形スロットを含む、カテーテル。
(44) 実施態様42に記載のカテーテルにおいて、
前記主要流体入口ポートは、その中を通って延びる少なくとも1つのスリットを含み、前記入口ポートの周辺部は、前記カテーテルが洗い流されると外側に変形するように構成される、カテーテル。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【
図1】患者に植え込まれたシャントシステムの概略図である。
【
図2】脳室カテーテルおよび頭蓋骨アンカーの斜視図である。
【
図4】円形断面を有する可撓性先端部を有する脳室カテーテルの斜視図である。
【
図5】詰まり防止シュラウドを備えた脳室カテーテルの斜視図である。
【
図6】透視図で示す連結部材を備えた脳室カテーテルの斜視図である。
【
図7】円錐状先端部を備えた脳室カテーテルの斜視図である。
【
図8】流れ表示突出部が中に配された脳室カテーテルの断面側面図である。
【
図9】流れ表示突出部が中に配された脳室カテーテルの断面斜視図である。
【
図10】複数の独立した流体内腔を有する脳室カテーテルの斜視図である。
【
図11】円錐状先端部を有する脳室カテーテルの斜視図である。
【
図12】ボールおよびばねの弁を備えた流水装置の断面図である。
【
図13A】一連の弁および流体経路を備えた流水システムの斜視図である。
【
図15A】ダイヤフラム弁ディスクの平面図である。
【
図15B】開位置にあるダイヤフラム弁の断面図である。
【
図15C】閉位置にあるダイヤフラム弁の断面図である。
【
図15D】閉位置にある別の例示的な弁の断面図である。
【
図17】球状部および楔のフラッパー弁(bulb and wedge flapper valve)を備えた流水装置の断面図である。
【
図18】ピストンおよびばねの弁を備えた流水装置の断面図である。
【
図19A】ピストンおよびばねの弁を備えた流水装置の断面図であり、弁が第1の位置にあるところが示されている。
【
図19B】
図19Aの流水装置の断面図であり、弁が第2の位置にあるところが示されている。
【
図20A】レバーおよびリンク装置の弁(lever and linkage valve)を備えた流水装置の断面図であり、弁が第1の位置にあるところが示されている。
【
図20B】
図20Aの流水装置の断面図であり、弁が第2の位置にあるところが示されている。
【
図21A】フラッパーおよび凹部の弁(flapper and recess valve)を備えた流水装置の断面図であり、弁が第1の位置にあるところが示されている。
【
図21B】
図21Aの流水装置の断面図であり、弁が第2の位置にあるところが示されている。
【
図22】手動で閉塞され得る排液チャネルを備えた流水装置の断面図である。
【
図23】潰れることができるステムを備えた流水装置の断面図である。
【
図24】ボールおよびばねの弁を備えた流水装置の断面図である。
【
図25A】ピストンおよびばねの弁を備えた流水装置の断面図であり、弁が第1の位置にあるところが示されている。
【
図25B】
図25Aの流水装置の断面図であり、弁が第2の位置にあるところが示されている。
【
図26A】流水ドーム内部に配されたコイルばねを備えた流水装置の断面図である。
【
図26B】流水ドーム内部に配された板ばねを備えた流水装置の断面図である。
【
図27】ステム弁を備えた流水装置の断面図であり、ステム弁は、主要フローチャネルおよび逆行流水フローチャネルを有している。
【
図28A】詰まった主要流体入口ポートを有するカテーテルの斜視図であり、ポートの上に配された膜が裂けた後の補助流体入口ポートの挿入図を含むものである。
【
図28B】補助流体入口ポート上に配された、張力のかかっていない膜が裂けた後の、
図28Aのカテーテルの補助流体入口ポートの平面図である。
【
図28C】補助流体入口ポート上に配された、張力のかかった膜が裂けた後の、
図28Aのカテーテルの補助流体入口ポートの平面図である。
【
図29】円筒形プラグを備えた補助先端部を有するカテーテルの平面図である。
【
図30】伸縮自在の球状遠位端部を有するカテーテルの断面図である。
【
図31】ボールおよび戻り止めバイパススイッチ(ball and detent bypass switch)の断面図である。
【
図33】押しボタンバイパススイッチの斜視図である。
【
図34】膜によりシールされた補助先端部を備える、先端部が割れたカテーテルの断面図である。
【
図35A】非伸縮位置で示された伸縮自在の遠位先端部を備えたカテーテルの断面図である。
【
図35B】伸縮位置で示された伸縮自在の遠位先端部を備えたカテーテルの断面図である。
【
図36A】長手方向のスタンドオフ型リブ(longitudinal stand-off ribs)を備えたカテーテルの平面図である。
【
図37】取り外し可能なスタイレットによってシールされた補助内腔を備えた二重内腔カテーテルの斜視図である。
【
図38】長さ方向に並進運動可能な内側シースを備えたカテーテルの断面図である。
【
図39A】流水作業前のところが示されている円錐状フラップ入口ポートを備えたカテーテルの断面図である。
【
図40A】流水作業前のところが示されている、先端部が割れたカテーテルの断面図である。
【
図40B】流水作業後のところが示されている、
図40Aのカテーテルの断面図である。
【
図41】1つまたは複数の分解可能シースを備えたカテーテルの断面図である。
【
図42】丸めた補助先端部を有する、先端部が割れたカテーテルの断面図である。
【
図43A】流水作業前の、折り畳まれた遠位端部を有するカテーテルの断面図である。
【
図44A】流水作業前の、ベローズ部分を有するカテーテルの断面図である。
【
図45】遠位側壁に形成された1つまたは複数の止まり穴を有するカテーテルの断面図である。
【
図46】アームおよびフィンガー機構を備えたカテーテルの断面図である。
【
図47A】スロット型補助穴を備えたカテーテルの斜視図である。
【
図47B】インラインカテーテル構成要素の斜視図である。
【
図48A】十字スリット入口穴を備えたカテーテルの平面図である。
【
図48B】圧力を受けていない十字スリット入口穴の平面図である。
【
図48C】圧力を受けている十字スリット入口穴の平面図である。
【
図48D】圧力を受けている十字スリット入口穴の断面側面像である。