(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498629
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】血中中性脂肪上昇抑制用食品
(51)【国際特許分類】
A23L 33/21 20160101AFI20190401BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20190401BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
A23L33/21
A23L33/105
A23L2/00 F
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-82631(P2016-82631)
(22)【出願日】2016年4月18日
(62)【分割の表示】特願2015-58579(P2015-58579)の分割
【原出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-174609(P2016-174609A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2017年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】森川 琢海
(72)【発明者】
【氏名】鍔田 仁人
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【審査官】
川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−179032(JP,A)
【文献】
再公表特許第2006/041021(JP,A1)
【文献】
特開2012−019762(JP,A)
【文献】
特開2012−019764(JP,A)
【文献】
特開2010−209051(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103392881(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第101904946(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第101248871(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第1981585(CN,A)
【文献】
日本食品化学学会誌,2009年,Vol.16,No.1,Page.20-27
【文献】
健康・栄養食品研究,2002年,Vol.5,No.3,Page.117-130
【文献】
機能性食品と薬理栄養,2006年,Vol.3,No.6,Page.447-452
【文献】
Phytotherapy Research,25(2),pp.234-238
【文献】
Analytical and Bioanalytical Chemistry,2011年,400(10),pp.3643-3654
【文献】
Journal of Nutritional Science and Vitaminology,2010年,56(2),pp.150-156,Sammary,Fig.1,Tab.2
【文献】
Nutrition Reports International,1989年,Vol.40,No.2,pp.271-280
【文献】
MINTEL, GNPD, Grain and Strawberry Jasmine Wheat Snacks, [online], [2018年6月14日検索]、インターネット<URL:http://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/1789800/from_search/11n93EMBYa/?page=1>
【文献】
fracora, いつものティータイムがダイエットタイムに! ダイエットプログラムハーバルスリムティー定期便, [online], [2018年6月14日検索]、インターネット<URL:http://www.fracora.com/products/diet/limit/detail.html?prod_id=28100601>
【文献】
Iranian Journal of Pharmaceutical Research,2014年,Vol.13,No.4,,pp.1295-1301
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/21
A23L 2/52
A23L 33/105
A61K 36/00−36/9068
A61K 31/716
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難消化性デキストリン及びラベンダー粉砕物を含有することを特徴とする食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品に係り、詳しくは、難消化性デキストリン及び特定の茶素材を含有する血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品に関する。
【背景技術】
【0002】
難消化性デキストリンは、身体の調子を整える様々な機能を有していることが知られており、その一つとして、血中中性脂肪上昇抑制作用が知られている。しかしながら、その単独の作用効果は必ずしも十分なものとはいえない。
【0003】
一方、難消化性デキストリンの機能に関するものとしては、例えば、難消化性デキストリンを有効成分とするIgA分泌促進剤(特許文献1参照)や、難消化性デキストリンを有効成分とする腎不全患者用の血中クレゾール低下剤(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−152125号公報
【特許文献2】特開2014−148467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、血中中性脂肪上昇抑制作用が飛躍的に向上した食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、難消化性デキストリンの血中中性脂肪上昇抑制作用について鋭意調査・研究したところ、難消化性デキストリンに特定の茶素材を組み合わせることにより、血中中性脂肪上昇抑制作用を飛躍的に向上させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、血中中性脂肪上昇抑制作用がほとんどないか、その作用が小さい茶素材を、難消化性デキストリンと組み合わせることにより、難消化性デキストリン単独の場合に比して、その血中中性脂肪上昇抑制作用を飛躍的に向上させることができることを見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
(1)難消化性デキストリンと、プーアル、ジャスミン、ルイボス、ドクダミ、鉄観音、レモングラス、ローズヒップ及びラベンダーから選ばれる少なくとも1種の茶素材とを含有することを特徴とする血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品。
(2)血中中性脂肪上昇抑制のために用いられる血中中性脂肪上昇抑制用食品であることを特徴とする(1)記載の食品。
(3)難消化性デキストリン及び茶素材の配合質量比が、0.5:1〜70:1の範囲であることを特徴とする(1)又は(2)記載の食品。
(4)液状、粉末状又は顆粒状であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載の食品。
(5)インスタント粉末飲料又はインスタント顆粒飲料であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の食品。
(6)3〜10gのインスタント粉末飲料又はインスタント顆粒飲料を収容した包装食品であることを特徴とする(5)記載の食品。
(7)容器詰飲料であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか記載の食品。
(8)難消化性デキストリンと、プーアル、ジャスミン、ルイボス、ドクダミ、鉄観音、レモングラス、ローズヒップ及びラベンダーから選ばれる少なくとも1種の茶素材とを添加したことを特徴とする血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品。
(9)難消化性デキストリンと、プーアル、ジャスミン、ルイボス、ドクダミ、鉄観音、レモングラス、ローズヒップ及びラベンダーから選ばれる少なくとも1種の茶素材とを含まない食品素材に対して、前記難消化性デキストリンと前記茶素材とを添加することを特徴とする血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品の製造方法。
(10)(1)〜(8)のいずれか記載の食品を摂取させることを特徴とする血中中性脂肪上昇抑制方法(ただし、医療行為を除く)。
【発明の効果】
【0008】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品によれば、難消化性デキストリン単独の場合に比して、血中中性脂肪上昇抑制作用を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品を適用した雄性SDラットの血中TG濃度のAUC(血中濃度−時間曲線下面積)の結果(コントロールのAUCを100とした場合)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品は、難消化性デキストリンと、プーアル、ジャスミン、ルイボス、ドクダミ、鉄観音、レモングラス、ローズヒップ及びラベンダーから選ばれる少なくとも1種の茶素材とを含有することを特徴とする。
【0011】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品に用いられる難消化性デキストリンは、ヒトの消化酵素(アミラーゼ)では加水分解されにくい難消化性の多糖類であり、例えば、デンプンを加熱により加水分解した後、アミラーゼにより加水分解し、加水分解されにくい成分を精製して得ることができる。この難消化性デキストリンは、粉末、細粒、顆粒等の形態で市販されており、これら市販品を使用することができる。また、難消化性デキストリンは水溶性であるため、水溶液の形態のものを使用してもよい。
【0012】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品に用いられる茶素材は、上記のように、プーアル、ジャスミン、ルイボス、ドクダミ、鉄観音、レモングラス、ローズヒップ及びラベンダーから選ばれる少なくとも1種の茶素材であり、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0013】
これらの茶素材は、葉、茎、根等、植物のいずれの部位であってもよいが、通常茶として用いられる部位が好ましく、植物素材そのもの(乾燥物を含む)、その粉砕物、搾汁、抽出物等を用いることができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。絞汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノールを用いることができる。
【0014】
前記プーアルは、中華人民共和国雲南省を原産地とする中国茶(黒茶)の一種であって、生茶と熟茶があり、茶素材としては、通常、葉が用いられる。ジャスミンは、モクセイ科に属する植物であって、茶素材としては、通常、花が用いられる。ルイボスは、マメ科アスパラトゥス属に属する植物であって、茶素材としては、通常、葉や枝が用いられる。ドクダミは、ドクダミ科ドクダミ属に属する植物であって、茶素材としては、通常、茎や葉(地上部)が用いられる。鉄観音は、チャノキの一品種であって、中国茶のうち青茶(半発酵茶)に属し、茶素材としては、通常、葉が用いられる。レモングラスは、イネ科に属する植物であって、茶素材としては、通常、葉が用いられる。ローズヒップは、バラ科に属する植物であって、茶素材としては、通常、果実が用いられる。ラベンダーは、シソ科に属する植物であって、茶素材としては、通常、花が用いられる。
【0015】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品は、血中中性脂肪上昇抑制のために用いられる血中中性脂肪上昇抑制用食品であることが好ましく、かかる血中中性脂肪上昇抑制用食品としては、難消化性デキストリン及び所定の茶素材を含有し、血中中性脂肪上昇抑制に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかに血中中性脂肪上昇抑制作用の機能がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品を挙げることができ、具体的には、「中性脂肪の上昇を抑える」、「中性脂肪が気になる方に」、「脂肪の吸収を抑える」、「中性脂肪が高めの方に」等の表示したものを例示することができる。
【0016】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品の形態としては、例えば、液状、粉末状、顆粒状、錠剤状、カプセル状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、液状、粉末状、顆粒状の形態が特に好ましい。具体的には、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント粉末飲料又はインスタント顆粒飲料を例示することができる。これらは食事の際などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0017】
難消化性デキストリン及び茶素材の配合質量比としては、乾燥質量換算で、0.5:1〜80:1の範囲であることが好ましく、0.75:1〜70:1の範囲であることがより好ましく、1:1〜60:1の範囲であることがさらに好ましく、1:1〜50:1の範囲であることが特に好ましい。難消化性デキストリン及び茶素材の配合比が、上記範囲であることにより、本発明の効果をより有効に発揮することができる。
【0018】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品における難消化性デキストリン及び所定の茶素材(有効成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよいが、一般的には、乾燥質量換算で、有効成分が全体の0.01〜100質量%含まれていることが好ましく、0.1〜97質量%含まれていることがより好ましく、0.5〜95質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0019】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品が容器詰飲料である場合には、乾燥質量換算で、有効成分が全体の0.1〜10質量%含まれていることが好ましく、0.3〜6質量%含まれていることがより好ましく、0.5〜4質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0020】
また、本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品がインスタント粉末飲料又はインスタント顆粒飲料である場合には、乾燥質量換算で、有効成分が全体の10〜100質量%含まれていることが好ましく、50〜100質量%含まれていることがより好ましく、80〜100質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0021】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、1日当たりの有効成分の摂取量が、500mg/日以上となるように摂取することが好ましく、1g/日以上となるように摂取することがより好ましく、2g/日以上となるように摂取することがさらに好ましく、4g以上/日以上となるように摂取することが特に好ましい。本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2〜3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。例えば、上記インスタント粉末飲料又はインスタント顆粒飲料を3〜10gずつ包装した形態とすることができる。
【0022】
また、本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品は、必要に応じて、難消化性デキストリン及び所定の茶素材以外の成分を配合してもよい。難消化性デキストリン及び所定の茶素材以外の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【0023】
また、本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品は、必要に応じて、経口用として許容される賦形剤等を添加してもよい。賦形剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、二酸化珪素、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、麦芽糖、還元麦芽糖、還元パラチノース、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースを挙げることができる。
【0024】
また、本発明の血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品としては、難消化性デキストリンと、プーアル、ジャスミン、ルイボス、ドクダミ、鉄観音、レモングラス、ローズヒップ及びラベンダーから選ばれる少なくとも1種の茶素材とを添加したものを挙げることができる。かかる血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品としては、例えば、本発明の有効成分を通常含まない食品に対して有効成分を添加したものが挙げられる。なお、有効成分の性状、配合量、摂取量や、他の成分等は、上記と同様である。
【0025】
有効成分を通常含まない食品としては、例えば、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料、青汁等の飲料;アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、中華麺、即席麺等の麺類;飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳、ヨーグルト等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及びその加工食品;ソース、醤油等の調味料;カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、牛丼、ハヤシライス、オムライス、おでん、マーボドーフ、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール、各種ソース、各種スープ等のレトルトパウチ食品などを挙げることができる。
【0026】
本発明の血中中性脂肪上昇抑制方法としては、上記説明した血中中性脂肪上昇抑制作用を有する食品を摂取させることを特徴とするが、医療行為は含まれない。本発明の方法としては、例えば、レストラン等の飲食店において、脂肪の多い食品と共に又は単独で、本発明の食品を提供することにより、血中中性脂肪の上昇を抑制する方法を挙げることができる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
[実施例1]
雄性SDラット(9〜11週齢)を試験前日から14時間程度絶食させ、血中TG濃度および体重が均一になるように群分けした。実施例に係る群として、6群設定した。
【0028】
各被験物質懸濁液は、純水を溶媒として以下のような濃度で、難消化性デキストリン及び茶素材を配合した。難消化性デキストリンについては、市販の難消化性デキストリン粉末を用いた。茶素材については、プーアル、ジャスミン、ルイボス、ローズヒップ及びラベンダーは、市販の原料を、ビーズショッカー(回転数2,300rpm)にて20秒×7回粉砕した粉砕物を用いた。ドクダミは市販の粉末状の原料を用いた。
【0029】
【表1】
【0030】
各群のラットに対して5mL/kgとなるように、上記被験物質懸濁液を強制経口投与した。すなわち、実施例に係る各群において、ラットの重量(1kg)に対して、難消化性デキストリンが1000mg、茶素材が500mgとなるよう、被験物質懸濁液を投与した。
【0031】
被験物質懸濁液の投与から5分後に、下記組成からなる脂質エマルジョンを15mL/kg(油換算:1.5mL/kg)となるように強制経口投与した。脂質エマルジョンの投与前(0)、投与1、2、3、4、6時間後に尾静脈より血液を採取した。採取した血液を室温で30分以上静置した後、遠心分離し、血清を採取した。採取した血清を用いて、市販のキット(トリグリセリド−Eテストワコー:和光純薬工業株式会社)にて、血中TG(トリグリセリド)濃度を測定した。
【0032】
〔脂質エマルジョンの組成〕
(a)大豆油100g/L
(b)レシチン(卵製):12g/L
(c)グリセリン22.5g/L
【0033】
[実施例2]
表1における茶素材の濃度を4mg/mLとした以外は、実施例1と同様にして試験を行った。すなわち、実施例に係る群において、ラットの重量(1kg)に対して難消化性デキストリンが1000mg、茶素材が20mgとなるよう、被験物質懸濁液をラットに対して5mL/kg投与した。
[比較例]
比較例に係る群として、コントロール群、難消化性デキストリン群、茶素材群を設定した。コントロール群は、純水をラットに対して5mL/kg投与した。また、難消化性デキストリン群は、ラットの重量(1kg)に対して難消化性デキストリンが1000mg及び1500mgとなるよう、難消化性デキストリン濃度200mg/mL及び300mg/mLの懸濁液をラットに対して5mL/kg投与した。さらに、茶素材群では、ラットの重量(1kg)に対して各茶素材が1500mgとなるよう、茶素材濃度150mg/mLの懸濁液をラットに対して10mL/kg投与した。
【0034】
図1に、実施例1及び実施例2において測定した血中TG濃度のAUC(血中濃度−時間曲線下面積)の結果(コントロールのAUCを100とした場合)を示す。各茶素材のグラフは、左側から、茶素材(1500mg)のみ、実施例2(難消化性デキストリン1000mg、茶素材20mg)、実施例1(難消化性デキストリン1000mg、茶素材500mg)を示す。また、茶素材なしの難消化性デキストリンのみのグラフについては、左側の細斜線のカラムは1000mg投与区を示し、右側の太斜線のカラムは1500mg投与区を示す。
【0035】
図1に示すように、茶素材そのものの血中中性脂肪抑制効果はかなり低いにもかかわらず、難消化性デキストリンを組み合わせることにより、血中中性脂肪上昇抑制効果が飛躍的に向上することがわかる。
【0036】
[実施例3]
茶素材として、鉄観音、レモングラスを用いて、実施例2と同様に、ラットの重量(1kg)に対して難消化性デキストリンが1000mg,茶素材が20mgとなるよう、被験物質懸濁液をラットに対して投与し、実施例2と同様に血中TG(トリグリセリド)濃度を測定した。その結果、コントロールのAUCを100とした場合、鉄観音では、53.3、レモングラスでは、57.4という高い血中中性脂肪上昇抑制効果が示された。
【0037】
[実施例4](PETボトル飲料)
下記表2〜表9に示す配合により、PETボトル飲料を製造した。表2及び表3(製造例1〜10)は、500mlPETボトルの例であり、表4及び表5(製造例11〜20)は、350mlPETボトルの例であり、表6及び表7(製造例21〜30)は、200mlPETボトルの例であり、表8及び表9(製造例31〜40)は、165mlPETボトルの例である。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】
【表9】
【0046】
[実施例5](インスタント粉末飲料)
下記表10〜表11に示す配合により、インスタント粉末飲料を製造した。表10(製造例41〜48)は、7g包装の例であり、表11(製造例49〜56)は、5g包装の例である。
【0047】
【表10】
【0048】
【表11】
【0049】
製造例41〜56により製造されたインスタント粉末飲料は、溶解性にも問題なく、味も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の食品は、血中の中性脂肪の上昇を抑制する効果を有することから、産業上の有用性は高い。