特許第6498660号(P6498660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498660
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20190401BHJP
   G09F 19/12 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   G09F19/12 L
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-504494(P2016-504494)
(86)(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公表番号】特表2016-516221(P2016-516221A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】EP2013000906
(87)【国際公開番号】WO2014154225
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2016年2月3日
【審判番号】不服2018-7584(P2018-7584/J1)
【審判請求日】2018年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】515267541
【氏名又は名称】ルソスペース, プロジェクトス エンゲンハリア エリデーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】デ マトス ぺレイラ ヴィエイラ,イヴォ イヴェス
【合議体】
【審判長】 西村 直史
【審判官】 山村 浩
【審判官】 古田 敦浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2000−506998(JP,A)
【文献】 特開2006−292883(JP,A)
【文献】 特開平6−51239(JP,A)
【文献】 特開2011−75956(JP,A)
【文献】 特開2005−303843(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/198471(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/01,27/02
H04N 5/64
G02F 1/13
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置(10)であって、
シースルー部分(14)を備えるシースルー部品(12)を有し、
前記シースルー部品(12)は可視光を放射する複数の表示素子(16)を含み、該複数の表示素子(16)は前記シースルー部分(14)内に相互に間隔をあけて設けられており、
前記シースルー部品(12)は、さらに、前記シースルー部分(14)内に設けられた複数のホログラム光学素子(20)を含み、各々のホログラム光学素子(20)は各々の表示素子(16)に関連付けられており、
前記表示素子(16)が前記関連付けられたホログラム光学素子(20)の焦点面内に位置する時に、各々のホログラム光学素子(20)は前記関連付けられた表示素子(16)によって放射される可視光を平行にするように適合されたものであり、
各々の前記表示素子(16)は、複数の実質的に透明な表示画素部(18)を含み、該複数の表示画素部(18)は前記表示素子(16)に関連付けられた前記ホログラム光学素子(20)の光軸(22)からそれぞれ異なる距離の位置に配置されるように、相互に間隔をあけて設けられており、
各々の前記表示画素部(18)はオン状態では可視光を放射し、かつ、オフ状態では可視光を放射しないように適合されたものであり、
前記表示装置は、さらに、前記表示素子(16)上に表示画像を表示するように、各々の前記表示素子(16)の前記複数の表示画素部(18)のオン及びオフ状態を制御する表示素子制御部(24)を有し、
前記表示素子制御部(24)は、第1の表示画像位置における前記表示画像の可視光が前記表示素子(16)に関連付けられた前記ホログラム光学素子(20)によって偏向されて第1の射出瞳(26)を通過するように、かつ、第2の表示画像位置における前記表示画像の可視光が前記表示素子(16)に関連付けられた前記ホログラム光学素子(20)によって偏向されて第2の射出瞳(28)を通過するように、前記第1の表示画像位置から、該第1の表示画像位置から空間的に移動された前記第2の表示画像位置に、前記表示素子の表示領域内で前記表示画像を動かすように適合され、
前記第1の射出瞳(26)の位置は、前記第2の射出瞳(28)の位置から空間的に移動されたものであることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
さらに、使用者の眼球(30)の瞳(34)の像を取り込み、前記使用者の眼球(30)の瞳(34)の位置を表す位置信号を生成する像取得手段(32)を有し、
前記像取得手段によって生成された位置信号に基づく表示画像位置の表示画像の可視光が、前記表示素子(16)に関連付けられた前記ホログラム光学素子(20)によって偏向されて射出瞳(26、28)を通過するように、かつ、前記射出瞳の位置が前記使用者の眼球(30)の瞳(34)の位置に一致するように、前記表示素子制御部(24)が各々の前記表示素子の表示画像を前記表示画像位置に表示するように適合されたものであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
さらに、複数の液晶表示(LCD)素子(36)を有し、各々のLCD素子は個々の前記表示素子(16)にそれぞれ関連付けられており、
前記各々のLCD素子(36)は、複数のLCD画素部(38)を含み、該複数のLCD画素部(38)は前記LCD素子(36)に関連付けられた前記ホログラム光学素子(20)の光軸(22)からそれぞれ異なる距離の位置に配置されるように、相互に間隔をあけて設けられており、
前記LCD素子(36)の各々のLCD画素部(38)は前記関連付けられた表示素子(16)によって放射される可視光に対してオン状態では実質的に不透明であり、かつ、オフ状態では実質的に透明であるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
さらに、前記像取得手段によって生成された前記位置信号に基づき前記LCD素子(36)上にLCD像を表示するように、各々のLCD素子(36)の前記複数のLCD画素部(38)のオン及びオフ状態を制御するLCD素子制御部(40)を有し、
前記LCD素子制御部(40)は、前記LCD像の第1のLCD像位置において、前記LCD素子が、前記第1の表示画像位置における前記関連付けられた表示素子(16)の表示画像の可視光を吸収して、前記可視光が前記表示素子(16)から第1の射出瞳(26)を通って直接的に通過するのを防ぐように、かつ、前記LCD像の第2のLCD像位置において、前記LCD素子が、前記第2の表示画像位置における前記関連付けられた表示素子(16)の表示画像の可視光を吸収して、前記可視光が前記表示素子(16)から第2の射出瞳(28)を通って直接的に通過するのを防ぐように、前記第1のLCD像位置、又は、前記第1のLCD像位置から空間的に移動された前記第2のLCD像位置に前記LCD像を表示するように適合されたものであることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
さらに、前記複数の表示素子(16)を、前記複数のホログラム光学素子(20)から離れる方向、又は、近づく方向に移動させるアクチュエータ(42)と、
前記表示素子(16)によって放射される可視光によって作り出される虚像(46)の位置が使用者の眼球(30)の配置される位置に関連して調整可能とされるように、前記アクチュエータ(42)を制御するアクチュエータ制御部(44)を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
さらに、複数のアクチュエータ(42)を有し、各々の前記アクチュエータ(42)は、前記表示素子(16)に関連付けられた前記ホログラム光学素子(20)に関して前記表示素子(16)を移動させるように、個々の表示素子(16)にそれぞれ関連付けられており、
各々の前記表示素子(16)によって放射される前記可視光よって作り出される虚像(46)の位置が使用者の眼球(30)に関して個別に調整可能とされるように、前記複数のアクチュエータ(42)を制御するアクチュエータ制御部(44)を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
さらに、複数の第1の部分反射面(52)を含む光学部品(50)を有し、
該光学部品(50)は、前記複数のホログラム光学素子(20)の前記使用者の眼球(30)の方向側で、かつ、前記複数の表示素子(16)の前記使用者の眼球(30)の方向側に設けられており、
前記複数の第1の部分反射面(52)は、ホログラム光学素子(20)によって偏向される光ビーム(56)を、第1の平面内を伝搬する複数の平行な光ビーム(58)の束に分割するように配置されるものであり、
前記光学部品は、さらに、複数の第2の部分反射面(60)を含み、
該複数の第2の部分反射面(60)は、前記複数の第1の部分反射面(52)の前記使用者の眼球(30)の方向側に設けられており、
前記複数の第2の部分反射面(30)は、第1の部分反射面(52)によって偏向される光ビーム(62)を、前記第1の平面に平行ではない第2の平面内に伝搬する複数の平行な光ビーム(64)の束に分割するように配置されるものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置は、シースルーディスプレイ装置、ヘッドマウントディスプレイ装置、シースルーヘッドマウントディスプレイ装置、ヘルメットマウントディスプレイ装置、シースルーヘルメットマウントディスプレイ装置、ヘッドアップディスプレイ装置、及び/又は、シースルーヘッドアップディスプレイ装置でありうる。表示装置、特に、ヘッドアップディスプレイ装置は、例えば自動車のような乗り物のフロントガラス内に提供されることができる。
【0003】
そのような表示装置は、現実性を増した光景を作り出すために、すなわち、実体世界の像と使用者の視野内のディスプレイの像とを重ねあわせる(重畳する)ために使用される。従って、表示装置を適切に使用している間、その表示装置越しの実体世界の像に加えて、上書き情報を表す追加的に重畳されるディスプレイの像が使用者の眼球に到達する。
【0004】
使用者が重畳される両画像に彼/彼女の視覚を適応させることができるように、表示装置の光学システムはディスプレイの像を拡大し、かつ、それを(仮想的に)無限遠に投影するように適合されることができる。例えば、表示装置の像は、使用者の眼球の方向にその表示装置から発する平行化された可視光によって表すことが可能であり、それは無限遠に適応する人間の水晶体によって、角膜上に焦点を合わされる。この点で、ディスプレイによって放射される可視光を平行にすることは、無限遠の距離にディスプレイの像を作り出すことを意味することが理解される。それに代わり、表示装置の光学システムは、表示装置の像を、虚像を作り出すためのある平面上に(仮想的に)映し出すように適合されることができる。これは、人間の目が無限遠ではなく、例えば、虚像のある面に相当する平面内に位置する実世界の物体へ焦点が合わされる時に、有効である。
【0005】
公知の表示装置、特に公知のシースルー表示装置においては、ディスプレイは表示装置のシースルー部品から切り離されている。公知の表示装置のディスプレイは、可視光に対して透明ではないために、このような設計が必要になる。従って、ディスプレイは表示装置を使用している使用者の視線外、又は、視野外に移されねばならない。
【0006】
しかしながら、このアプローチ(方法)の問題は、ディスプレイの像を表す可視光が、光学システムによって使用者の眼球に向けられる前に、付加的な伝達光学システムによって使用者の視線内、又は、視野内に伝達されねばならないことである。この付加的な伝達光学システムは表示装置の重量と大きさの増加をももたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
軽量かつ小型設計の表示装置を提供することが、本発明の実施態様の一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は請求項1に記載の表示装置によって達成される。
【0009】
表示装置は、シースルー部分を備えるシースルー部品を有する。シースルー部品は、複数の表示素子を含む。各々の表示素子は、可視光を放射するように適合される。複数の表示素子は、シースルー部分内に相互に間隔をあけて設けられる。
【0010】
例えば、複数の表示素子は、シースルー部分が隣り合う表示素子の各々の組み(二つ)の間にシースルー領域を含むように、相互に間隔をあけてシースルー部分内に設けられてもよい。シースルー領域により、可視光がシースルー部品を通過することが可能になる。
【0011】
それに代わり、又は、それに加えて、表示素子は、例えば透明な有機発光ダイオード(OLED)及び/又は透明なトランジスタを使用して表示素子を形成することによって、可視光に対して透明又は実質的に透明とされてもよい。透明又は実質的に透明な複数の表示素子により、可視光はシースルー部品を通過することができる。
【0012】
シースルー部品は、さらに、シースルー部分内に設けられた複数のホログラム光学素子を含む。各々のホログラム光学素子は、個々の表示素子にそれぞれ関連付けられる。各々の表示素子は関連付けられたホログラム光学素子の焦点面内に位置してもよい。一般的に、各々のホログラム光学素子は、関連付けられた表示素子によって放射される可視光を偏向(すなわち、反射、屈折、方向変更等)するように適合されてもよい。特に、表示素子が関連付けられたホログラム光学素子の焦点面内に位置する時に、各々のホログラム光学素子は関連付けられた表示素子によって放射される可視光を平行にするように適合されてもよい。複数のホログラム光学素子は、表示素子の平行化光学システムを表していてもよい。
【0013】
隣り合う表示素子の各々の組みの間のシースルー領域により、可視光がシースルー部品を通過することができる、及び/又は、(実質的に)透明な複数の表示素子の結果として、可視光は隣り合う表示素子の各々の組みの間をシースルー領域を通って、及び/又は、複数の表示素子自体を通って、通過することができる。複数の表示素子が表示装置のディスプレイを形成するので、ディスプレイ自体によって放射される可視光と実体世界からの可視光の両方が、ディスプレイを通過することができる。それにより、ディスプレイは透明又は少なくとも半透明である。従って、ディスプレイを表示装置を使用している使用者の視線内、又は、視野内に直接的に設けることができる。複数のホログラム光学素子のみ必須であるが、ディスプレイによって放射される可視光を視線又は視野内に伝達する付加的な光学伝達システムは必ずしも必要でない。これにより、表示装置の軽量かつ小型設計をも可能にする。
【0014】
各々の表示素子は、複数の透明又は実質的に透明な表示画素部を含んでいてよい。特に、各々の表示画素部は可視光に対して透明又は実質的に透明であるように適合されてもよい。これにより、複数の表示素子を透明又は実質的に透明とすることができる。各々の表示画素部は、オン状態で可視光を放射するように、かつ、オフ状態で可視光を放射しないように適合されてもよい。例えば、各々の表示画素部はOLEDでもよい。複数の画素部は、それらの画素部を備える表示素子が、例えば、特定の単色の放射スペクトルの可視光だけを放射するように適合されることを実現するために使用されてもよい。複数の表示画素部は、それらの表示画素部が表示素子に関連付けられたホログラム光学素子の光軸からそれぞれ異なる距離の位置に配置されるように、相互に間隔をあけて設けられてもよい。例えば、複数の表示画素部はある直線に沿って、又は、ある平面内に等間隔で設けられてもよい。特定の時にオン状態になる表示素子の複数の表示画素部は、表示素子上に表示画像を形成する。これにより、各々の表示素子を、表示画像を表示するマイクロディスプレイとして実現することができる。
【0015】
表示装置は、表示素子上に表示画像を表示するように各々の表示素子の複数の表示画素部のオン及びオフ状態を制御する表示素子制御部を有していてよい。特に、表示素子制御部は第1の表示画像位置又は第2の表示画像位置に表示画像を表示するように適合されてもよい。第1の表示画像位置は、第2の表示画像位置とは異なっていてよく、すなわち、第2の表示画像位置は第1の表示画像位置から空間的に移動されてもよい。とりわけ、表示素子制御部は、第1の表示画像位置における表示画像の可視光が表示素子に関連付けられたホログラム光学素子よって偏向されて第1の射出瞳を通過するように、かつ、第2の表示画像位置における表示画像の可視光が表示素子に関連付けられたホログラム光学素子よって偏向されて第2の射出瞳を通過するように、第1の表示画像位置、又は、第1の表示画像位置から空間的に移動された第2の表示画像位置に表示画像を表示するように適合されてもよい。第2の射出瞳の中心位置は、第1の射出瞳の中心位置に関して空間的に移動されてもよい。第2の射出瞳の大きさは、第1の射出瞳の大きさに関してより大きくても、又は、より小さくてもよい。もちろん、表示素子制御部は、表示素子の表示部分内の表示画像を、表示素子に関連付けられたホログラム光学素子の光軸から離れる、又は、近づく方向に、任意の解像性で空間的に変化又は移動させることに対応した複数の第1及び/又は第2の表示画像位置に表示するように適合されてもよい。換言すると、表示素子制御部は、(全ての)表示素子の複数の表示画素部によって放射される可視光が使用者の眼球の方向に表示装置から発する際に通る射出瞳の位置を調整するように適合されることができる。このことにより、表示装置の射出瞳の位置を任意の所定の位置に設定することが可能になる。あるいは、さらに換言するならば、表示素子制御部は、表示素子を第1の表示画像位置に表示画像を表示させることから、第2の表示画像位置に表示画像を表示させることへ変更することができ、それにより、表示素子の表示部分内で表示画像を動かす(すなわち、空間的に移動させる)ことができる。これにより、表示素子に関連づけられたホログラム光学素子に関する表示画像を動かすことが可能になる。
【0016】
表示装置は、使用者の眼球の瞳の像を取り込み、使用者の眼球の瞳の位置を表す位置信号を生成する像取得手段を有していてよい。従って、像取得手段は、使用者の眼球の瞳の位置を追跡することができる。この点で、像取得手段は、眼球の動きを追跡する装置(eye tracker)とみなすことができる。像取得手段は、表示装置の傍らに位置する独立型のマイクロカメラであってよく、又は、表示装置自体に組み込まれてもよい。
【0017】
表示素子制御部は、像取得手段よって生成された位置信号に基づく表示画像位置の表示画像の可視光が、表示素子に関連付けられたホログラム光学素子よって偏向されて射出瞳を通過するように、かつ、射出瞳の位置が使用者の眼球の瞳の位置に一致するように、この表示画像位置に各々の表示素子の表示画像を表示するように適合されてもよい。これにより、複数の表示素子の複数の表示画素部によって放射される可視光が使用者の眼球の方向に表示装置から発する際に通る射出瞳の位置を、使用者の眼球の瞳の位置に設定することができる。この概念の一つのさらなる利点は、使用者の眼球が動いているときであっても、表示素子によって放射される可視光を常に受けられることである。この概念の別の利点は、射出瞳の位置を使用者の眼球の瞳の位置に設定することが、機械的に動作する部品を必要とせずに、電気的/光学的に制御されることである。
【0018】
表示装置は複数の液晶表示(LCD)素子を有していてよい。各々のLCD素子は、個々の表示素子にそれぞれ関連付けられてもよい。各々のLCD素子は、複数のLCD画素部を含んでよい。特に、LCD素子の各々のLCD画素部は関連付けられた表示素子によって放射される可視光に対してオン状態では不透明又は実質的に不透明であり、かつ、関連付けられた表示素子によって放射される可視光に対してオフ状態では透明又は実質的に透明でもよい。とりわけ、LCD素子の各々のLCD画素部は関連付けられた表示素子によって放射される光に対してのみ不透明又は実質的に不透明とされ、かつ、可視光に対してオフ状態では透明又は実質的に透明でもよい。複数のLCD画素部は、LCD素子に関連付けられたホログラム光学素子の光軸からそれぞれ異なる距離の位置に配置されるように、相互に間隔をあけて設けられてもよい。例えば、複数のLCD画素部は、直線に沿って、又は、平面内に等間隔に設けられてもよい。特定の時にオン状態になるLCD素子の複数のLCD画素部は、LCD素子上にLCD像を形成する。これにより、各々のLCD素子を、LCD像を表示するマイクロLCDとして実現することができる。従って、複数のLCD素子を可視光を吸収する複数の任意形状のマスクを形成するために用いることができる。
【0019】
表示装置は、像取得手段よって生成された位置信号に基づきLCD素子上にLCD像を表示するように、各々のLCD素子の複数のLCD画素部のオン及びオフ状態を制御するLCD素子制御部を有していてよい。特に、LCD素子制御部は、第1のLCD像位置、又は、第1のLCD像位置から空間的に移動された第2のLCD像位置にLCD像を表示するように適合されてもよい。とりわけ、LCD素子制御部は、第1のLCD像位置におけるLCD像が、第1の表示画像位置における関連付けられた表示素子の表示画像の可視光を吸収して、可視光が表示素子から第1の射出瞳を通って直接的に通過するのを防ぐように、かつ、第2のLCD像位置におけるLCD像が、第2の表示画像位置における関連付けられた表示素子の表示画像の可視光を吸収して、可視光が表示素子から第2の射出瞳を通って直接的に通過するのを防ぐように、第1のLCD像位置、又は、第1のLCD像位置から空間的に移動された第2のLCD像位置にLCD像を表示するように適合される。もちろん、LCD素子制御部は、LCD素子の表示領域内のLCD像を、表示素子に関連付けられたホログラム光学素子の光軸から離れる、又は、近づく方向に、任意の解像性で空間的に変化又は移動させることに対応した複数の第1及び/又は第2のLCD像位置に表示するように適合されてもよい。換言すると、LCD素子制御部は、表示素子によって表示される表示画像の各々の表示画像位置をLCD素子によって表示されるLCD像の個々のLCD像位置にそれぞれ関連付けるように適合されることができる。このことにより、表示素子が使用者の眼球に向かって可視光を直接的に放射するのを防ぐように、各々の表示素子に対して、空間的に可変で任意形状のマスクを実現することが可能になる。
【0020】
表示装置は、複数の表示素子を、複数のホログラム光学素子から離れる方向、又は、近づく方向に移動させるアクチュエータを有してよい。表示装置は、さらに、表示素子によって放射される可視光によって作り出される虚像の位置が使用者の眼球の配置される位置に関連して調整可能とされるように、アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部を有してよい。これにより、複数のホログラム光学素子の複数の焦点面内に全体として複数の表示素子を配置することが可能になる。従って、複数の表示素子と複数のホログラム光学素子の間の距離を変えることができる。その結果、複数の表示素子と複数のホログラム光学素子によって作り出される複数の虚像の焦点面を変えることができる。例えば、3次元像を作り出す場合には、使用者の両眼の共同運動(両眼転導)を用いることにより、脳のストレスが回避され、使用者の観察される快適さが増すように、虚像の位置を調整することができる。もし、表示装置が像取得手段のような眼球追跡システムも有するならば、アクチュエータ制御部は、使用者によって観察される個々の虚像領域について、それぞれ虚像の位置を調整するように適合されてもよい。使用者の視野の周辺部では、正確な面の距離に焦点が合わされる必要はない。アクチュエータはリニアアクチュエータでよい。
【0021】
それに加えて、又は、それに代わり、表示素子は、複数のアクチュエータを有してよく、各々のアクチュエータは、表示素子に関連付けられたホログラム光学素子から離れる方向、又は、近づく方向に表示素子を移動させるように、個々の表示素子にそれぞれ関連付けられてもよい。表示素子は、さらに、各々の表示素子によって放射される可視光よって作り出される虚像の位置が使用者の眼球に関して個別に調整可能とされるように、複数のアクチュエータを制御する制御部を有していてよい。これにより、各々の表示素子を関連付けられたホログラム光学素子の焦点面内にそれぞれ個別に配置することができる。従って、各々の表示素子とそれに関連付けられた個々のホログラム光学素子との間の距離を別々に変更することができる。その結果として、特定の被写界深度を有する虚像を作り出すことができる。
【0022】
表示装置は、ビーム拡張部を有していてよい。ビーム拡張部は、複数のホログラム光学素子の利用者の眼球の方向側で、かつ、複数の表示素子の利用者の眼球の方向側に設けられてもよい。
【0023】
ビーム拡張部は、少なくとも一つの光学部品を有していてもよい。光学部品は、複数の部分反射面を含んでいてよい。各々の部分反射面は平面でよい。複数の部分反射面は、相互に平行かつ、等間隔に配置されてもよい。各々の部分反射面は、ホログラム光学素子の光軸に関して、ある傾斜角度で傾斜して配置されてもよい。傾斜角度は、例えば、約45°である。各々の部分反射面は、例えば、光学的な複数のコーティングを使用して、ビームスプリッターとして作用するように適合されてもよい。各々の部分反射面は、複数の表示素子又は複数の表示画素部によって放射される可視光の一部だけを反射するように適合されてもよく、さもなければ可視光に対して透明である。
【0024】
複数の部分反射面は、光学部品に入射する光ビームを、光束面内を伝搬する平行な光ビームの束に分割するように配置されてもよい。特に、部分反射面は、光ビームを透過光ビームと反射光ビームに分割し、透過光ビームは光学部品から離れ、かつ、反射光ビームは伝達方向に沿って光学部品内を伝達し、そしてさらに隣の部分反射面によって光学部品から離れる透過光ビームと、次の部分反射面等への伝達方向に沿って光学部品内を伝わる反射光ビームに再度分割されるように、複数の部分反射面は光学部品に入射する光ビームを分割するように配置されてもよい。複数の透過光ビームの伝搬方向と複数の反射光ビームの伝達方向とは、光束面内にわたる。このように、伝達方向は複数の分割されたビームの束が広げられる際の拡張方向を表す。従って、光学部品の複数の部分反射面は、光束面と光学部品の拡張方向が任意の方位を向くように配置されてもよい。これにより、表示装置のアイボックス(眼球に向かう平行光の範囲)を広げることができる。
【0025】
ビーム拡張部は、第1の光束面と第1の拡張方向を持つ第1の光学部品と、第2の光束面と第2の拡張方向を持つ第2の光学部品とを有していてよく、第1の光束面は第2の光束面と平行であり、及び/又は、第1の拡張方向と第2の拡張方向は正反対でよい。第1の光学部品と第2の光学部品は、複数のホログラム光学素子よって偏向される複数の光ビームが、第1の光学部品か第2の光学部品のいずれかに直接入射するように配置されてもよい。これにより、表示素子のアイボックスを1次元に拡張することができる。
【0026】
ビーム拡張部は、第1の光束面と第1の拡張方向を持つ第1の光学部品と、第2の光束面と第2の拡張方向を持つ第2の光学部品とを有していてよく、第1の光束面は第2の光束面と垂直であり、及び/又は、第1の拡張方向は第2の拡張方向と垂直でよい。これにより、表示素子のアイボックスを2次元に拡張することができる。第1の光学部品と第2の光学部品は、複数のホログラム光学素子よって偏向される複数の光ビームが、第1の光学部品に直接入射するように配置されてもよく、第1の光学部品によって分割される複数の平行なビームの束は、次に、さらなる分割のために第2の光学部品に入射する。
【0027】
以下で換言して説明する。表示素子は複数の第1の部分反射面を含む光学部品を備えていてよい。光学部品は、複数のホログラム光学素子の使用者の眼球の方向側で、かつ、複数の表示素子の使用者の眼球の方向側に設けられてよい。複数の第1の部分反射面は、相互に平行に配置されてよい。各々の第1の部分反射面を、ホログラム光学素子の光軸に関して、例えば約45°傾斜させて配置してもよい。複数の第1の部分反射面は、ホログラム光学素子によって偏向される光ビームを、第1の平面内を伝搬する複数の平行な光ビームの束に分割するように適合されてもよい。これにより、アイボックスの大きさを増加させることに対応する1次元の方向に、射出瞳を広げることができる。光学部品は付加的に複数の第2の部分反射面を含んでよい。複数の第2の部分反射面は、複数の第1の部分反射面の使用者の眼球の方向側に設けられる。複数の第2の部分反射面は、第1の部分反射面によって偏向される光ビームを、第1の平面とは平行でない第2の平面内を伝搬する複数の平行な光ビームの束に分割するように適合されてもよい。これにより、第1の平面内の一方向に沿って射出瞳を広げるだけでなく、アイボックスの大きさ2次元に増加させることに対応する、第1の平面内の別な方向に沿って射出瞳を広げることもできる。
【0028】
シースルー部品とは、例えば、基板(支持層)、ビューイングポート(視認用窓)、窓、ひさし(バイザー)、ガラス板、接眼レンズ、メガネ、矯正レンズ、フロントガラス、及び/又は、表示装置の眼球レンズを表す。シースルー部品は、ガラス又はプラスチックで製造されうる。シースルー部分とは、例えば、使用者が表示装置を適切に使用している間にシースルー部品を通して見る際の、そのシースルー部品の一部、区分、領域、又は、部分である。シースルー部分及び/又はシースルー領域は、全可視光スペクトルに対して透明及び/又は半透明でもよい。換言すると、可視光はシースルー部分及び/又はシースルー領域を散乱、反射、屈折、偏向、及び/又は、吸収されることなく通過してもよい。
【0029】
複数の表示素子は、シースルー部品及び/又はシースルー部分上又は内に配置されることができる。例えば、複数の表示素子をシースルー部品の内部に配置することで、引っかくこと(スクラッチ)のような物理的な衝撃に対して表示素子を保護することができる。複数の表示素子の配置は、固定、糊付け、接着、溶接、又は印刷により回路として実現されうる。
【0030】
ホログラム光学素子は、ホログラフィック凹面鏡(すなわち、凹面鏡からなる反射ホログラム)でよい。特に、ホログラフィック凹面鏡は、反射、凹面かつ放物面の鏡である(すなわち、反射、凹面かつ放物面鏡からなる反射ホログラム)。そのようなホログラム光学素子により、そのホログラム光学素子に関連付けられた表示素子を、シースルーヘッド又はヘルメット表示装置を通して適切に見る使用者の眼球の方向側に、配置することができる。ホログラム光学素子は、例えば、回転対象、凹面、かつ放物面の鏡からなる反射ホログラムであることにより、回転対称な像特性を持ってよい。
【0031】
ホログラム光学素子は、偏向スペクトル内の可視光だけを偏向(すなわち、反射又は屈折)して、透過スペクトル内の可視光については透過するように適合されてもよく、偏向スペクトルと透過スペクトルとは分離している。換言すれば、偏向スペクトルと透過スペクトルの各々は可視光スペクトルのそれぞれ対応するスペクトル部分を包含するだけであり、偏向スペクトルと透過スペクトルは重複しない。これは偏向スペクトル内の可視光だけを使用してホログラム光学素子にホログラム的に記録することによって実現できる。そのようなホログラム光学素子は、偏向スペクトル内の可視光を屈折又は反射するだけである。透過スペクトル内の可視光は、ホログラム光学素子によって屈折、反射、及び/又は、吸収されることなく、ホログラム光学素子を通過する。従って、表示装置の外の実体世界の像を表す可視光は、ホログラム光学素子の存在によって影響を受けないか、又は、わずかに影響を受けるだけである。
【0032】
表示素子は、放射スペクトル内に可視光だけを放射するように適合されてもよい。特に、表示素子は、放射スペクトルが限られた放射帯域幅を有する放射帯スペクトルを含むように適合されてもよい。放射帯スペクトルは赤色を含んでよい。赤色の波長は、例えば、約630nmであってよい。しかしながら、緑又は青のような他の色も考えられる。放射帯スペクトルの放射帯域幅は、例えば、30nm以下に限定されてよい。そのような表示素子により、単色の像を作り出すことができる。
【0033】
特に、表示素子は、その表示素子に関連付けられたホログラム光学素子の偏向スペクトル内に可視光だけを放射するように適合されてもよい。換言すると、表示素子の放射スペクトルは、その表示素子の全放射スペクトルが関連付けられたホログラム光学素子によって屈折又は反射されるように、その関連付けられたホログラム光学素子の偏向スペクトルによって完全に包含されてもよい。
【0034】
表示素子の複数の画素部は、その表示素子に関連付けられたホログラム光学素子の焦点面内に設けられてもよい。表示素子内で、複数の画素部はそれぞれの2次元の画素アレイ(配列)にわたって、菱形形状、矩形形状、又は正方形形状に設けられてもよい。画素アレイは、平面内、又は湾曲した画素配置領域内に存在してよい。その画素配置領域は、仮想上のもの、又は、シースルー部品の表面でよい。画素配置領域は、複数の表示素子を配置するための配置領域に一致してもよい。
【0035】
表示システムは、2つの表示装置を有していてよい。これにより、使用者の各々の眼球にそれぞれ一つの表示装置を使用することができる。従って、両眼での観察、及び/又は、3Dの(仮想)像を作り出すことができる。
【0036】
本明細書を通して、複数の構成要素のうちのある構成要素の特質を明らかにする特徴を参照するときに、その複数の要素の各々は、対応する特徴によって明らかにされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、以下の添付図面に基づいてさらに明らかにされる。
【0038】
図1】表示装置の第1の実施態様の概略図であり、表示素子は第1の表示画像位置に表示画像を表示する。
図2図1の表示装置の概略図であり、表示素子は第1の表示画像位置から空間的に移動された第2の表示画像位置に表示画像を表示する。
図3A】複数のホログラム光学素子から離れる方向、又は、近づく方向に複数の表示素子を移動させるアクチュエータを備えた表示装置の第2の実施態様の概略図である。
図3B】複数のホログラム光学素子から離れる方向、又は、近づく方向に複数の表示素子を移動させるアクチュエータを備えた表示装置の第2の実施態様の他の概略図である。
図4】複数のホログラム光学素子から離れる方向、又は、近づく方向に複数の表示素子のうちの各々の表示素子をそれぞれ個別に移動させる複数のアクチュエータを備えた表示装置の第3の実施態様の概略図である。
図5】複数の部分反射面を含む光学部品を備えた表示装置の第4の実施態様の概略図である。
図6図5の光学部品の他の実施態様の概略図である。
図7図5の光学部品のさらに他の実施態様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
表示装置10が図1及び図2に示される。表示装置10は、シースルー部分14を備えるシースルー部品12を有する。シースルー部品12は、複数の表示素子16を含む。例として、2つの表示素子16だけが図に示されている。さらなる表示素子16はドット(点)で示されている。
【0040】
各々の表示素子16は、(図中に矢印で示される)可視光を放出するように適合される。複数の表示素子16は、シースルー部分14に相互に間隔をあけて設けられる。
【0041】
このために、各々の表示素子16は、透明な、又は、実質的に透明な複数の表示画素部18を含む。各々の表示画素部18は、可視光に対して透明、又は、実質的に透明である。例えば、各々の表示画素部18は、透明なOLEDである。
【0042】
各々の表示画素部18は、オン状態では可視光を放射し、かつ、オフ状態では可視光を放射しないように適合される。図1及び図2において、オン状態の表示画素部18は灰色で表示され、一方、オフ状態の表示画素部18は白色で表示される。
【0043】
シースルー部品12は、さらに、シースルー部分14内に設けられる複数のホログラム光学素子20を含んでいる。各々のホログラム光学素子20は、個々の表示素子16にそれぞれ関連付けられる。図1及び図2において、各々の表示素子16は関連付けられたホログラム光学素子20の焦点面内に位置している。各々のホログラム光学素子20は、関連付けられた表示素子16によって放射される可視光を偏向(すなわち、反射、屈折、方向変更等)するように適合される。特に、図1及び図2の実施態様に示されるように、各々のホログラム光学素子20は、表示素子が関連付けられたホログラム光学素子20の焦点面内に位置しているときに、関連付けられた表示素子18によって放射される可視光を平行にするように適合される。このように、複数のホログラム光学素子20は、表示装置10の平行化光学システムを表している。
【0044】
複数の表示画素部18は、表示素子16に関連付けられたホログラム光学素子20の光軸22からそれぞれ異なる距離の位置に配置されるように、相互に間隔をあけて設けられる。図1及び図2の側面図に模式的に示されるように、表示素子16の複数の表示画素部18は、平面内の直線に沿って等間隔で設けられる。特定の時にオン状態になる複数の表示画素部は、表示画像を形成する。従って、各々の表示素子16は、そのような表示画像を表示するマイクロディスプレイと見なすことができる。
【0045】
各々の表示画素部18は可視光に対して透明、又は、実質的に透明なので、可視光は各々の表示素子16を通過することができる。それゆえ、表示素子16自体は、透明、又は少なくとも実質的に透明である。従って、複数の表示素子16により、可視光はシースルー部品12を通過することができる。さらに、複数の表示素子16が表示装置10のディスプレイを形成するので、ディスプレイ自体によって放射される可視光と実体世界からの可視光の両方がそのディスプレイを通過することができる。それゆえに、ディスプレイは全体として透明、又は少なくとも半透明である。従って、ディスプレイを表示装置10を使用する使用者の視線又は視界の中に直接的に設けることができる。複数のホログラム光学素子20のみは必須であるが、ディスプレイによって放射される可視光を視線又は視野内に伝達する付加的な光学伝達システムは必ずしも必要でない。これにより、表示装置10の軽量かつ小型設計をも可能にする。
【0046】
図1及び図2に示すように、表示装置10は、表示素子16上に表示画像を表示するように、各々の表示素子16の複数の表示画素部18のオン及びオフ状態を制御する表示素子制御部24を有している。換言すれば、表示素子制御部24は、各々の表示素子16を、第1の表示画像位置において表示される表示画像から、第2の表示位置において表示される表示画像へ変更することができ、それにより、表示素子16の表示領域内で表示画像を動かす(すなわち、空間的に移動させる)ことができる。これにより、表示素子16に関連づけられたホログラム光学素子20に関して表示画像を動かすことが可能になる。
【0047】
特に、表示素子制御部24は、表示画像を、(図1に示すように)第1の表示画像位置に表示するか、又は、(図2に示すように)第2の表示画像位置に表示するように適合される。表示素子制御部24は、(図1に示すように)第1の表示画像位置における表示画像の可視光が表示素子18に関連付けられたホログラム光学素子20よって偏向されて第1の射出瞳26を通過するように、かつ、(図2に示すように)第2の表示画像位置における表示画像の可視光が表示素子16に関連付けられたホログラム光学素子20よって偏向されて第2の射出瞳28を通過するように、第1の表示画像位置、又は、該第1の表示画像位置から空間的に移動された第2の表示画像位置に表示画像を表示するように適合される。図1図2を比較して理解されるように、第2の射出瞳28の中心の位置は、第1の射出瞳26の中心の位置関して空間的に移動される。従って、表示素子制御部24により、複数の表示素子16の複数の表示画素部18によって放射される可視光が使用者の眼球の方向に表示装置10から発する際に通る射出瞳26、28の位置を調整することができる。これにより、射出瞳26、28の位置を任意の所定の位置に設定することができる。
【0048】
図1及び図2に示すように、表示装置10は、さらに、使用者の眼球30の瞳34の像を取り込み、使用者の眼球30の瞳34の位置を表す位置信号を生成する像取得手段32を有している。従って、像取得手段32により、使用者の眼球30の瞳34の位置を追跡することができる。この点で、像取得手段32は、眼球の動きを追跡する装置とみなすことができる。
【0049】
図1及び図2に例示するように、像取得手段32よって生成された位置信号に基づく表示画像位置の表示画像の可視光が、表示素子16に関連付けられたホログラム光学素子20よって偏向されて射出瞳26、28を通過するように、かつ、射出瞳の位置が使用者の眼球30の瞳34の位置に一致するように、表示素子制御部24が各々の表示素子16の表示画像を表示画像位置に表示するように適合される。これにより、複数の表示素子16の複数の表示画素部18によって放射される可視光が使用者の眼球30の方向に表示装置20から発する際に通る射出瞳26、28の位置を、使用者の眼球30の瞳34の位置に設定することができる。この概念の一つのさらなる利点は、使用者の眼球30が動いているときであっても、使用者の眼球30は複数の表示素子16によって放射される可視光を常時受光することである。この概念の別の利点は、射出瞳26、28の位置を使用者の眼球30の瞳34の位置に設定することが、機械的に動作する部品を必要とせずに、電子的/光学的に制御されることである。
【0050】
図1及び図2に示すように、表示装置は複数の液晶表示(LCD)素子36も有している。各々のLCD素子36は、個々の表示素子16にそれぞれ関連付けられており、複数のLCD画素部38を含む。特に、LCD素子36の各々のLCD画素部38は、関連付けられた表示素子16によって放射される可視光に対してオン状態では不透明又は実質的に不透明であり、かつ、関連付けられた表示素子16によって放射される可視光に対してオフ状態では透明又は実質的に透明である。図1及び図2において、オン状態のLCD画素部38は灰色で示され、一方、オフ状態のLCD画素部38は白色で示される。複数のLCD画素部38は、LCD素子16に関連付けられたホログラム光学素子20の光軸22からそれぞれ異なる距離の位置に配置されるように、相互に間隔をあけて設けられる。図1及び図2の側面図に模式的に示すように、複数のLCD画素部38は、平面内の直線に沿って等間隔で設けられる。これにより、各々のLCD素子36を、LCD像を表示するマイクロLCDとして実現することができる。従って、複数のLCD素子36を可視光を吸収する複数の任意形状のマスクを形成するために用いることができる。
【0051】
さらに、図1及び図2に示すように、表示装置10は、LCD素子36上にLCD像を表示するように、各々のLCD素子36の複数のLCD画素部38のオン及びオフ状態を制御するLCD素子制御部40も有している。特に、LCD素子制御部40は、(図1に示すように)第1のLCD像位置に、又は(図2に示すように)第1のLCD像位置から空間的に移動された第2のLCD像位置にLCD像を表示するように適合される。とりわけ、LCD素子制御部40は、第1のLCD像位置におけるLCD像が、(図1に示すように)第1の表示画像位置における関連付けられた表示素子16の表示画像の可視光を吸収して、可視光が表示素子16から第1の射出瞳26を通って直接的に通過するのを防ぐように、かつ、(図2に示すように)第2のLCD像位置におけるLCD像が、第2の表示画像位置における関連付けられた表示素子16の表示画像の可視光を吸収して、可視光が表示素子16から第2の射出瞳28を通って直接的に通過するのを防ぐように、像取得手段32によって生成された位置信号に基づいてLCD像を表示するように適合される。換言すると、LCD素子制御部40は、表示素子16によって表示される表示画像の各々の表示画像位置を、関連付けられるLCD素子36によって表示されるLCD像の個々のLCD画像位置にそれぞれ関連付けるように適合されることができる。これにより、表示素子16が使用者の眼球30の方向に可視光を直接的に放射するのを防ぐように、各々の表示素子16に対して、空間的に可変で任意の形状のマスクを実現できる。
【0052】
図3A及び図3Bに示す表示装置10は、複数の表示素子16を複数のホログラム光学素子20から離れる方向、又は、近づく方向に移動させるアクチュエータ42を有している。表示装置10は、さらに、表示素子16によって放射される可視光によって作り出される虚像46の位置が使用者の眼球30の配置される位置に関連して調整可能とされるように、アクチュエータ42を制御するアクチュエータ制御部44を有している。これにより、複数の表示素子16を全体として複数のホログラム光学素子20の複数の焦点面内に配置することができる。従って、複数の表示素子16と複数のホログラム光学素子20の間の距離48を変更することができる。その結果として、複数の表示素子16と複数のホログラム光学素子20によって作り出される複数の虚像46の焦点面を変更することができる。図3Aにおいては、虚像46の位置は(矢印によって示される)無限遠にあるように適合される。図3Bにおいては、複数の表示素子16と複数の表示画素部18はホログラム光学素子20の焦点距離にもはや存在しないので、虚像46の配置は、有限距離での像となる。複数のホログラム光学素子20の焦点距離は、符号49によって示される。
【0053】
図4に示す表示装置10は、複数のアクチュエータ42を有しており、各々のアクチュエータ42は、表示素子16に関連付けられたホログラム光学素子20から離れる方向、又は、近づく方向に表示素子16を移動させるために、個々の表示素子16にそれぞれ関連付けられている。表示装置10は、さらに、各々の表示素子16によって放射される可視光よって作り出される虚像46の位置が使用者の眼球30に関して個別に調整可能とされるように、複数のアクチュエータ42を制御するアクチュエータ制御部44を有している。これにより、各々の表示素子16を関連付けられるホログラム光学素子20の焦点面内に個別に配置することができる。従って、各々の表示素子16と対応する個々のホログラム光学素子20の間の距離48を個別に変更することができる。その結果として、特定の被写界深度を有する虚像46を作り出すことができる。
【0054】
図5図6、及び図7に示すように、表示装置は複数の第1の部分反射面52を含む光学部品50を備えている。光学部品50は、複数のホログラム光学素子20の使用者の眼球30の方向側で、かつ、複数の表示素子16の使用者の眼球30の方向側に設けられる。複数の第1の部分反射面52は、相互に平行に配置される。各々の部分反射面は、複数のホログラム光学素子20の光軸22に関して45°傾斜して配置される。各々の部分反射面52は、ビームスプリッターとして作用するように適合される。
【0055】
複数の部分反射面52は、ホログラム光学素子20によって偏向される光ビーム56を、第1の平面内を伝搬する複数の平行な光ビーム58の束に分割するように適合される。これにより、アイボックス58の大きさを増加させることに対応する1次元の方向に、射出瞳を広げることができる。
【0056】
図7に示すように、光学部品は複数の第2の部分反射面60を追加的に含む。複数の第2の部分反射面60は、複数の第1の部分反射面52の前記使用者の眼球30の方向側に設けられる。複数の第2の部分反射面60は、第1の部分反射面52によって偏向される光ビーム62を、第1の平面に平行ではない第2の平面内に伝搬する複数の平行な光ビーム64の束に分割するように適合される。これにより、第1の平面内のある方向に沿って射出瞳を広げることができるばかりでなく、アイボックス66の大きさを2次元に増加させることに対応する第1の平面内の別の方向に沿って射出瞳を広げることもできる。
【0057】
各々のホログラム光学素子20は、ホログラフィック凹面鏡(すなわち、凹面鏡による反射ホログラム)である。特に、ホログラフィック凹面鏡は、反射、凹面かつ放物面の鏡(すなわち、反射、凹面かつ放物面鏡からなる反射ホログラム)である。そのようなホログラム光学素子20により、ホログラム光学素子20に関連付けられた表示素子16を、ホログラム光学素子20の表示装置10を通して適切に見る使用者の眼球30の方向側に配置することができる。各々のホログラム光学素子20は、偏向スペクトル内の可視光だけを偏向(すなわち、反射又は屈折)して、透過スペクトル内の可視光に対しては透明であるように適合されており、偏向スペクトルと透過スペクトルは分離している。各々の表示素子16は、その表示素子16に関連付けられたホログラム光学素子20の偏向スペクトル内の可視光だけを放射するように適合される。
【0058】
明白に別に述べられないならば、図中の同一の符号は同一、又は同様に作用する構成要素を表す。また、個々の実施態様に結び付けた複数の特徴及び/又は図を参照して説明された複数の修正を任意に組み合わせることも考えられる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7