(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498690
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】可変水位を有するウォータライド
(51)【国際特許分類】
A63G 21/18 20060101AFI20190401BHJP
A63G 21/04 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
A63G21/18
A63G21/04
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-556265(P2016-556265)
(86)(22)【出願日】2015年3月11日
(65)【公表番号】特表2017-508531(P2017-508531A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】EP2015055010
(87)【国際公開番号】WO2015135963
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2017年11月15日
(31)【優先権主張番号】102014103226.8
(32)【優先日】2014年3月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516098579
【氏名又は名称】マック ライズ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Mack Rides GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾルニック フランク
(72)【発明者】
【氏名】ゴルト デニス
【審査官】
宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭48−112486(JP,U)
【文献】
米国特許第06758231(US,B1)
【文献】
実開平02−030394(JP,U)
【文献】
中国特許出願公開第101417179(CN,A)
【文献】
特開平07−178253(JP,A)
【文献】
特開平08−156725(JP,A)
【文献】
特開昭56−125084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 21/00 − 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルート(20)を有するウォータライド(10)であって、前記ルート(20)上には、少なくとも1人の乗客を収容する少なくとも1つの車両(12)が移動可能であり、前記ルート(20)は、少なくとも1つの位置が固定されて設けられているルート部分(22)を有し、前記少なくとも1つの車両(12)が、水(30)を前記ルート部分(22)に満たすために前記ルート部分(22)に設けられた水槽(35、37)に保持されている前記水(30)の中をガイドされるウォータライド(10)において、
前記ルート部分(22)の領域に、前記少なくとも1つの車両(12)が走行中に高くされた水位(32a)の場合も低くされた水位(32b)の場合も前記ルート部分(22)を通過できるように前記水(30)の水位(32)を上げ又は下げる手段を有することを特徴とするウォータライド(10)。
【請求項2】
前記低くされた水位(32b)は、前記高くされた水位(32a)と零との間の水位(32)であることを特徴とする請求項1に記載のウォータライド(10)。
【請求項3】
前記手段は、前記水位を上げ又は下げる少なくとも1つの装置(60)を有し、これにより、前記水(30)が前記ルート部分(22)から外へ運ばれることが可能で、
前記手段は、さらに、水供給設備又はポンプ又はそれに類似するもの(38)を有し、これにより、前記水(30)が前記水槽(35、37)から前記ルート部分(22)へ供給されることが可能であることを特徴とする請求項2に記載のウォータライド(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの車両(12)が1つ又は複数のリニアモータ(40)により駆動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のウォータライド(10)。
【請求項5】
前記1つ又は複数のリニアモータ(40)が前記ルート上に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のウォータライド(10)。
【請求項6】
前記ルート部分(22)は、直線状に延び、断面において高い位置を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のウォータライド(10)。
【請求項7】
前記ルート部分(22)は、ローラコースタの一部分であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のウォータライド(10)。
【請求項8】
前記ルート部分(22)は、行ったり来たりする線路の一部分であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載のウォータライド(10)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの車両(12)が前記ルート部分(22)の領域で、供給・回収ステーション(50)により前記ルート(20)上に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載のウォータライド(10)。
【請求項10】
前記ルート(20)はレールであり、前記少なくとも1つの車両(12)が前記ルート(20)上を、又は前記ルート(20)に接して走行可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか一項に記載のウォータライド(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルの特徴に対応するウォータライドに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなウォータライドは、良く知られており、レジャーパークにおいていつも大変人気がある。このようなウォータライドは、通常は、レールを有るルートを具備し、そのレールに沿って車両が動くことができる。このようなルートの少なくとも一部のルートは、車両が少なくとも部分的に水の中に入り、この水の中でガイドされる。
【0003】
このようなウォータライドの例は、出願人の特許文献1の中で記載されている。そこに記載されているウォータライドは、山間の急流に設けられたルートにおいて、水路に浮くボートには、特別な車台と、走行車輪と、ガイド車輪が設けられている。このような水路では、ボートは浮いている一方、一旦、水路に置かれると、走行車輪と側面車輪を有する台車がボートをレールシステム内をガイドする。
【0004】
出願人の特許文献2は、さらに他のウォータライドを開示しており、車両が大きな高低差を有する滑降コースを安全にガイドされ、車両の浮いている胴体部が、水に入る際および様々な積み荷の際に、自然な浮く動作を実行する。このために、車両は、ガイドユニットとして動作する、柔軟で、及び/又は、関節のような接続ユニットによって台車に接続される浮く胴体を有している。このために、車両の浮いている胴体部と車台との間の制限された相対運動が可能とされている。
【0005】
最後に、特許文献3は、娯楽ボート走行のための装置についてのもので、ボートに類似の車両の乗客は、第1の接岸の水のコースをこのコースの一端から他端まで水路に沿って行ったり来たりすることができる。駆動装置として、牽引ワイヤーが乗客用ボートに固定され、それを介して、乗客用ボートが2つの巻き上げリールによりコースの一端で前後方向に引かれる。
【0006】
これらの知られたにウォータライドに共通なことは、これらは、車両が決められたルート部分において、予め固定されている一定の水位を有する水槽の中を通過するということである。
【0007】
この点から、本発明はスタートしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 298 23 592 U1
【特許文献2】DE 2004 062 315 A1
【特許文献3】DE 198 03 465 C2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、最初に説明された技術のウォータライドをさらに発展させるものであり、一方で、走行中の乗客がウォータライドでの走行時に走行の楽しさを経験でき、他方で、水で満たされたルート部分の領域を他の手段を用いずに高い水の抵抗にさらされることなく車両の速度を速めることができることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1の特徴部を有するウォータライドにより解決される。
【0011】
そのようなウォータライドのさらなる展開は、従属する請求項の対象である。
【0012】
本発明は、本質的に以下のことに基づいている。すなわち、ウォータライドの所定のルート部分に、簡単な方法で、水位をできる限り速く高くし、再び、低くする手段を設ける。これにより、同じルート部分を一度は、高い水位で、別の時には、低い零となり得る水位で、位置が固定されているルート上を走行可能となる。
【0013】
例えば、ふさわしい手段として、上記ルート部分の領域に設けられる水門を有する水槽とポンプステーションがある。この水槽は、まず、水が満たされ、適切な制御設備により水槽のところで水門が開かれ、車両が走行するルート部分が所定の水位まで水で満たされる。駆動により、人気の大きな波頭(スプラッシュ)、車両の後には、水の噴出がついてくるのに対応する速度で車両がこのルート部分で比較的高い水を通過する。
【0014】
このルート部分の新たな通過に際し、上記手段によって、水位が低められ、場合によっては、零まで低められる。このために上記水門が閉じられ、ポンプステーションによって水がルート部分から再び水槽に戻される。車両がこのルート部分を水が比較的少ない状態又は全く無い状態で、通過する。車両に発生する抵抗は、著しく低減される。これは、ルート部分に、車両のための、例えばリニアモータのような加速設備が配置される場合に有利である。
【0015】
水位が変更される上記ルート部分が閉じた、又は、開いたローラコースタの一部である場合も本発明の範囲である。後者は、「シャトルコースタ」と呼ばれるものとして知られている。ローラコースタの代わりに、任意の別のルート、例えば、行ったり来たりする、例えば、ブランコのようなものも使用可能である。
【0016】
さらに、上記ルート部分の領域で車両のための供給・回収装置が配置されることが、目的にかなうことが明らかになった。供給・回収装置として、ターンテーブルを用いることが可能で、その上で1つ又は複数の車両が配置される。このターンテーブルから車両がルート部分に置かれる。
【0017】
これまで、上記ルート部分で水位が変化するものについて説明してきたが、ルート部分において水位が一定であり、このために、車両がガイドされる、ルート部分に存在するレールシステムが上下するようにすることも本発明の範囲である。ただし、この形態は、は明らかにより費用がかかるものである。
【発明の効果】
【0018】
走行中の乗客がウォータライドでの走行時に走行の楽しさを経験でき、他方で、水で満たされたルート部分の領域を他の手段を用いずに高い水の抵抗にさらされることなく車両の速度を速めることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態のウォータライドの側面図である。
【
図4】
図1から
図3のウォータライドのルート部分の原理図を、そのルート部分にある車両と比較的高い水位と共に示している。
【
図5】
図4と同様で、水位が低くなっているものを示す図である。
【
図6】
図3と同様に別のウォータライドを示す斜視図であり、低い水位において車両をルート上に供給する供給・回収ステーションをさらに示している。
【
図7】
図6のウォータライドであり、ルート部分において高い水位を有している。
【
図8】第2の実施形態のウォータライドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のウォータライドの2つの実施形態を図面に基づいて以下により詳しく説明する。
【0021】
以下の図面では、さらに別に示されていない限り、同じ符号は、同じ意味を有する同じ部材を示す。
【0022】
図1から
図3において、ウォータライド10の実施形態が示されている。ウォータライド10は、この実施形態において、2つのレールとして、まっすぐ伸びるルート20を有している。ルート20は、以下のように選ばれている。すなわち、
図1の左から右にかけて垂直に降下する部分が始まり、4分円の形をしたカーブに移行し、まっすぐ伸びるルート部分22に案内する。ルート部分22は、さらなるルート部分23に接続し、ルート部分23は、波状に高くなるように形成されている。ルート部分23の端部は再び、4分円の形をしたカーブに接続して、ルート20が、再び垂直の領域で終わるようになっている。垂直の領域には、このため、第1のタワー24と第2のタワー25とが設けられおり、これらのタワーにルート20の2つの端部が固定されている。これらのタワー25、26は、例えば、互いの距離が100メートルを超えるように離れて位置することが可能である。これらタワーの高さは、例えば、40メートルに達するようにすることが可能である。
図1においては、右側に示されるタワー26には、車両12があるように示されている。車両12は、適切な加速装置によりルート20に沿って走行する。
【0023】
加速装置として、例えば、1つのリニアモータ又は複数のリニアモータを有するように構成することができる。これらのリニアモータは、それ自体知られており、
図1から
図3に示す実施形態のルート20のルート部分22の領域に設けられ、参照符号40により示されている。
【0024】
車両12が、そのようなリニアモータ40によって加速することができるように、車両12自身にも適切なモータの部品、例えば、永久磁石が設けられる。
【0025】
図2に示されているように、ルート部分22内でルート20のすぐ隣に、すなわち、線路の隣に、車両12をレール上に又はレールに接するように運ぶための供給・回収ステーション50がある。供給・回収ステーション50は例えば、回転する皿状の部材で構成可能である。車両12がルート部分22に配置されると、リニアモータ40が起動され、車両12は、左又は右に加速される。この場合に、以下のように加速を変えることができる。すなわち、車両が、例えば、タワー26の所でルート20の上端部まで達すると、そこで、適切な減速手段により止められることが可能で、又は、すぐに、地球の引力に基づいて又は適切な駆動手段を用いて逆に加速される。例えば、減速手段が解除された後で、車両12がルート20上で下方向に加速し、次にルート部分23に達し、その後で、引き続くルート部分22に達する。そこで、リニアモータ40により、車両12のさらなる加速が実行され、ルート20上の車両は、タワー25でルートの上端部に達する。そこで、車両12は、再び、止められるか、すぐに解放されて逆方向に戻る。
【0026】
ルート部分22が水で満たされ、そこで、例えば、水位が変えられることで、特別な走行の楽しみが生じる。このために、ウォータライド10は、例えば、ルート部分22のすぐ隣に水で満たされた水槽35、37を有している。水槽35、37は、水門38を有している。
図2に不図示の制御設備によって水門38が閉じられる否や、水はルート部分22の線路内に、いつ水門38が閉じられるかに応じて、多く又は少なく流れ込む。ルート部分22の領域のルート20の右と左には、水槽35、37が配置され、入口及び出口において、以下のように制御される。即ち、この場所で、水は、流れ出ることはできず、このため、ルート部分22のみに水が供給される。このため、水槽35、37から供給された水がルート部分22から制御されずに流れ出ないようにすることに配慮する必要がある。しかしこれは、自明のことである。
【0027】
図4には、車両12の上部の縁の近くまで達する、比較的高い水位32aが示されている。
図2に示唆されているポンプステーション60によって、ルート部分22から水を排水することで、この高い水位32aを、
図5に符号32bで示さるレベルまで下げることができる。水位32bは、車両12の車輪がまだ水に覆われるくらいの低い水位である。ポンプステーション60により、水位32bが零となるまで下がり、ルート部分22のレールのみならず、床が見えるようにすることができる。
【0028】
図5に符号32bで示す場合、又はそれよりもさらに下げられた低い水位の場合には、簡単な方法により、大きな水の抵抗を克服することなく、車両12をリニアモータ40で動かすことが可能である。
【0029】
図6、
図7との関連で、ウォータライド10の運転について説明される。
【0030】
例えば、
図5に符号32bで説明されているように、
図6では、水位は低い状態である。ターンテーブル50上には、互いに180°の角度で位置がずれている2つの車両12が置かれている。2つの車両12のうちの1つは、ちょうどルート部分22に載せられたところである。リニアモータ40により、この車両12は、ルート20上をタワー26の約半分の高さのまで加速される。重力のために車両12は、タワー25の半分の高さで走行方向を反転させ、地球の引力により加速され、引き続いて、比較的低い水位32bを有するルート部分22に入って行く。リニアモータ40により車両は、ルート部分22内で、ただし、その前とは逆方向に、また加速され、車両12は、高い速度でルート部分23の少しの高台上を走行し、タワー26の上端部の近くまで達する。そこで車両は、重力により、再び、反転し、ルート部分23を逆に、しかも、タワー25の上端まで走行し、ルート部分22を離れた後、水門38が開かれ、水が高い速度で、水槽35、37からルート部分22に流れ込み、これにより、
図4に示す高さに水位が上昇する(符号32aを参照)。タワー25の一番高い点で、車両12は、方向を反転し、引き続き高い速度で水で満たされたルート部分22を通過し、そこで望みどおりの大きな波頭(スプラッシュ)が発生し、車両の後には、水の噴出がついてくる。ルートの大きな波頭(スプラッシュ)が発生する部分には、
図1と
図2において、符号27が付されている。
【0031】
車両12が、再度、タワー26上を通過し、重力により反転し、最後に再び、ルート部分22の領域に達し、ここで、リニアモータ40により車両12はブレーキがかけられて停止する。引き続いて、車両12は、ターンテーブル50に受け入れられる。ターンテーブル50が回転し、その間に乗客が乗った第2の車両12は、同様の方法により、ルート20のレールシステム上に置かれる。この経過は、パスの数において、任意に変えることが可能である。
【0032】
図8及び
図9は、可変の水位を有するウォータライドの第2の実施形態を示している。
図8は、
図1と同様に、ウォータライド10の側面図、
図9は、ウォータライド10の平面図である。
図1から
図7に示す第1の実施形態と異なる点は、リニアモータ40が水槽35、37の間の領域、即ち、ルート部分22には設けれておらず、その右側にあるルート部分23に設けられている。同様に供給・回収ステーション50は、水槽35、37の間の領域には位置しておらず、リニアモータ40の領域と右側のタワー26との間に存在している。供給・回収ステーション50は、ターンテーブルとして構成されており、そこにある2つの車両12がルート20上に交互に置かれることができる。言うまでもなく、ウォータライドが全体としてただ1つの車両12を有して運転される場合も本発明の範囲に属する。この場合には、供給・回収ステーション50は、不必要である。
【0033】
実施形態との関連で、行ったり来たりする乗り物についてのみ記載したが、円形の路線のルート部分を行ったり来たりするように構成したもの、特にローラコースタも本発明に属する。この場合、1方向の走行では、このルート部分の領域に全く水が無いか、少ない水しか無いように構成し、逆方向の走行で、この領域に明らかにより多くの水があるように構成することで、望みの「スプラッシュ」が実現される。
【0034】
さらに、車両のレールガイドシステムの代わりに、別のガイドシステム、例えば、磁気のストライプ、ロープによるガイド、又は類似の手段を有する場合も本発明に属する。また、車両のガイドには、ボブスレーのトラックと同様に形成することも可能で、その場合には、車両は、浴槽形状の路線の内部でガイドされる。
【符号の説明】
【0035】
10 ウォータライド
12 車両
20 ルート
22 ルート部分
23 ルート部分
24 床
25 第1のタワー
26 第2のタワー
27 スプラッシュゾーン
30 水
32 水位
32a 高い水位
32b 低い水位
35 水槽
37 水槽
38 水門
40 リニアモータ
50 供給・回収ステーション
60 ポンプステーション