特許第6498809号(P6498809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6498809
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/06 20060101AFI20190401BHJP
   H01R 12/91 20110101ALI20190401BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20190401BHJP
   H01R 13/631 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   H01R31/06 R
   H01R12/91
   H01R12/71
   H01R13/631
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-41772(P2018-41772)
(22)【出願日】2018年3月8日
【審査請求日】2018年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】浦野 哲
(72)【発明者】
【氏名】工藤 高明
【審査官】 山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−060499(JP,A)
【文献】 特開2003−037919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/06
H01R 13/631
H01R 12/00 − 12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合し且つ電気的に接続される電気コネクタであって、
前記嵌合方向に延びる板状の垂直部を有する固定側コンタクトと、
前記嵌合方向の前方に向かって延び且つ前記固定側コンタクトの前記垂直部に交差する交差方向に対向する一対の前側腕部と前記嵌合方向の後方に向かって延び且つ前記交差方向に対向する一対の後側腕部を有し、前記一対の後側腕部の間に前記固定側コンタクトの前記垂直部を挟み込むことにより前記固定側コンタクトに対して揺動可能に保持されると共に前記固定側コンタクトに電気的に接続される中継コンタクトと、
前記嵌合方向の前方に向かって開口が形成された中継コンタクト挿入溝を有するインシュレータと
を備え、
前記固定側コンタクトは、前記インシュレータに固定され、
前記中継コンタクトは、前記インシュレータの前記中継コンタクト挿入溝内に収容され、
前記交差方向において、前記インシュレータの前記中継コンタクト挿入溝の前記開口の開口幅は、前記一対の前側腕部の前記嵌合方向の前方における端部の開口幅よりも狭く、前記中継コンタクトが揺動したときであっても、前記嵌合方向の前方から見て、前記中継コンタクトの前記一対の前側腕部の前記端部が前記中継コンタクト挿入溝の前記開口内に張り出すことがなく、
前記中継コンタクトは、前記一対の前側腕部と前記一対の後側腕部の間に配置され且つ前記交差方向に延びる連結部を有し、
前記インシュレータは、前記中継コンタクト挿入溝の内部に配置され且つ前記中継コンタクトの前記連結部に対向する梁部を有し、
前記相手側コネクタとの嵌合時に、前記中継コンタクトの前記一対の前側腕部の間に前記相手側コネクタのコンタクトを挟み込むことにより前記相手側コネクタに電気的に接続されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記中継コンタクトの前記一対の前側腕部は、前記相手側コネクタのコンタクトを挟み込んで接触する一対の接触部を有し、
前記中継コンタクトの前記一対の接触部の開口幅は、前記一対の前側腕部の前記端部の開口幅よりも狭く、前記一対の前側腕部の前記端部から前記接触部までは傾斜したガイド面を形成している請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記中継コンタクトは、H字形状に打ち抜かれた金属平板からなる請求項1または2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記梁部は、前記中継コンタクトの前記連結部に対向する部分に丸みを帯びた湾曲面を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合し且つ電気的に接続される電気コネクタであって、
前記嵌合方向に延びる板状の垂直部を有する固定側コンタクトと、
前記嵌合方向の前方に向かって延び且つ前記固定側コンタクトの前記垂直部に交差する交差方向に対向する一対の前側腕部と前記嵌合方向の後方に向かって延び且つ前記交差方向に対向する一対の後側腕部を有し、前記一対の後側腕部の間に前記固定側コンタクトの前記垂直部を挟み込むことにより前記固定側コンタクトに対して揺動可能に保持されると共に前記固定側コンタクトに電気的に接続される中継コンタクトと、
前記嵌合方向の前方に向かって開口が形成された中継コンタクト挿入溝を有するインシュレータと
を備え、
前記固定側コンタクトは、前記インシュレータに固定され、
前記中継コンタクトは、前記インシュレータの前記中継コンタクト挿入溝内に収容され、
前記交差方向において、前記インシュレータの前記中継コンタクト挿入溝の前記開口の開口幅は、前記一対の前側腕部の前記嵌合方向の前方における端部の開口幅よりも狭く、前記中継コンタクトが揺動したときであっても、前記嵌合方向の前方から見て、前記中継コンタクトの前記一対の前側腕部の前記端部が前記中継コンタクト挿入溝の前記開口内に張り出すことがなく、
前記一対の後側腕部と前記中継コンタクト挿入溝の内面との間のクリアランスは、前記一対の前側腕部と前記中継コンタクト挿入溝の内面との間のクリアランスより小さく、
前記相手側コネクタとの嵌合時に、前記中継コンタクトの前記一対の前側腕部の間に前記相手側コネクタのコンタクトを挟み込むことにより前記相手側コネクタに電気的に接続されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項6】
嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合し且つ電気的に接続される電気コネクタであって、
前記嵌合方向に延びる板状の垂直部を有する固定側コンタクトと、
前記嵌合方向の前方に向かって延び且つ前記固定側コンタクトの前記垂直部に交差する交差方向に対向する一対の前側腕部と前記嵌合方向の後方に向かって延び且つ前記交差方向に対向する一対の後側腕部を有し、前記一対の後側腕部の間に前記固定側コンタクトの前記垂直部を挟み込むことにより前記固定側コンタクトに対して揺動可能に保持されると共に前記固定側コンタクトに電気的に接続される中継コンタクトと、
前記嵌合方向の前方に向かって開口が形成された中継コンタクト挿入溝を有するインシュレータと
を備え、
前記固定側コンタクトは、前記インシュレータに固定され、
前記中継コンタクトは、前記インシュレータの前記中継コンタクト挿入溝内に収容され、
前記交差方向において、前記インシュレータの前記中継コンタクト挿入溝の前記開口の開口幅は、前記一対の前側腕部の前記嵌合方向の前方における端部の開口幅よりも狭く、前記中継コンタクトが揺動したときであっても、前記嵌合方向の前方から見て、前記中継コンタクトの前記一対の前側腕部の前記端部が前記中継コンタクト挿入溝の前記開口内に張り出すことがなく、
複数の前記固定側コンタクトを備え、
それぞれの前記固定側コンタクトに対応して少なくとも1つの前記中継コンタクトが配置され、
前記相手側コネクタとの嵌合時に、前記中継コンタクトの前記一対の前側腕部の間に前記相手側コネクタのコンタクトを挟み込むことにより前記相手側コネクタに電気的に接続されることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項7】
複数の前記固定側コンタクトのうちの少なくとも1つの前記固定側コンタクトに、複数の前記中継コンタクトが揺動可能に保持され且つ電気的に接続されている請求項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記中継コンタクトの前記一対の前側腕部の開口幅は、前記一対の後側腕部の開口幅よりも広い請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気コネクタに係り、特に、相手側コネクタとの位置ずれを吸収しつつ相手側コネクタと嵌合する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
相手側コネクタとの位置ずれを吸収し得るコネクタとして、例えば、特許文献1には、図14に示されるようなコネクタ1が開示されている。コネクタ1は、複数の固定側コンタクト2が固定された固定側ハウジング3と、複数の可動側コンタクト4が保持された可動側ハウジング5を有している。可動側ハウジング5は、相手側コネクタ6との嵌合方向に対して直交する方向にスライド可能に、固定側ハウジング3に組み込まれており、それぞれの可動側コンタクト4の連結部7が、固定側ハウジング3と可動側ハウジング5の間に挟み込まれることで、可動側コンタクト4は、嵌合方向と可動側ハウジング5のスライド方向の双方に直交する回転軸の周りに回転可能に保持されている。
【0003】
図15に示されるように、固定側ハウジング3に固定された複数の固定側コンタクト2と相手側コネクタ6の複数のコンタクト8とが位置ずれした状態で、相手側コネクタ6がコネクタ1に嵌合すると、固定側ハウジング3に対して可動側ハウジング5がスライドし、これに伴って複数の可動側コンタクト4が回転することで、位置ずれが吸収され、コネクタ1の固定側コンタクト2が、可動側コンタクト4を介して相手側コネクタ6のコンタクト8に電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−195299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、固定側コンタクト2と相手側コネクタ6のコンタクト8の位置ずれを吸収するために、互いにスライド可能な固定側ハウジング3と可動側ハウジング5からなる2つのハウジングが必要となり、コネクタ1の部品点数および組立工数が多く、製造コストが嵩むと共に小型化が難しいという問題がある。
部品点数および組立工数の削減を図るために、可動側ハウジング5を省略して固定側ハウジング3のみに使用とすると、複数の可動側コンタクト4の向きが統一されないので、たとえ1つでも大きく変位した可動側コンタクト4が存在すると、相手側コネクタ6との嵌合を行うことができなくなってしまう。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、製造コストの低減および小型化を図りながらも相手側コネクタとの位置ずれを吸収しつつ相手側コネクタと嵌合することができる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る電気コネクタは、嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合し且つ電気的に接続される電気コネクタであって、嵌合方向に延びる板状の垂直部を有する固定側コンタクトと、嵌合方向の前方に向かって延び且つ固定側コンタクトの垂直部に交差する交差方向に対向する一対の前側腕部と嵌合方向の後方に向かって延び且つ交差方向に対向する一対の後側腕部を有し、一対の後側腕部の間に固定側コンタクトの垂直部を挟み込むことにより固定側コンタクトに対して揺動可能に保持されると共に固定側コンタクトに電気的に接続される中継コンタクトと、嵌合方向の前方に向かって開口が形成された中継コンタクト挿入溝を有するインシュレータとを備え、固定側コンタクトは、インシュレータに固定され、中継コンタクトは、インシュレータの中継コンタクト挿入溝内に収容され、交差方向において、インシュレータの中継コンタクト挿入溝の開口の開口幅は、一対の前側腕部の嵌合方向の前方における端部の開口幅よりも狭く、中継コンタクトが揺動したときであっても、嵌合方向の前方から見て、中継コンタクトの一対の前側腕部の端部が中継コンタクト挿入溝の開口内に張り出すことがなく、中継コンタクトは、一対の前側腕部と一対の後側腕部の間に配置され且つ交差方向に延びる連結部を有し、インシュレータは、中継コンタクト挿入溝の内部に配置され且つ中継コンタクトの連結部に対向する梁部を有し、相手側コネクタとの嵌合時に、中継コンタクトの一対の前側腕部の間に相手側コネクタのコンタクトを挟み込むことにより相手側コネクタに電気的に接続されるものである。
【0008】
中継コンタクトの一対の前側腕部は、相手側コネクタのコンタクトを挟み込んで接触する一対の接触部を有し、中継コンタクトの一対の接触部の開口幅は、一対の前側腕部の端部の開口幅よりも狭く、一対の前側腕部の端部から接触部までは傾斜したガイド面を形成していることが好ましい。
中継コンタクトは、H字形状に打ち抜かれた金属平板からなることが好ましい
部は、中継コンタクトの連結部に対向する部分に丸みを帯びた湾曲面を有することが好ましい。
【0009】
第2の発明に係る電気コネクタは、嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合し且つ電気的に接続される電気コネクタであって、嵌合方向に延びる板状の垂直部を有する固定側コンタクトと、嵌合方向の前方に向かって延び且つ固定側コンタクトの垂直部に交差する交差方向に対向する一対の前側腕部と嵌合方向の後方に向かって延び且つ交差方向に対向する一対の後側腕部を有し、一対の後側腕部の間に固定側コンタクトの垂直部を挟み込むことにより固定側コンタクトに対して揺動可能に保持されると共に固定側コンタクトに電気的に接続される中継コンタクトと、嵌合方向の前方に向かって開口が形成された中継コンタクト挿入溝を有するインシュレータとを備え、固定側コンタクトは、インシュレータに固定され、中継コンタクトは、インシュレータの中継コンタクト挿入溝内に収容され、交差方向において、インシュレータの中継コンタクト挿入溝の開口の開口幅は、一対の前側腕部の嵌合方向の前方における端部の開口幅よりも狭く、中継コンタクトが揺動したときであっても、嵌合方向の前方から見て、中継コンタクトの一対の前側腕部の端部が中継コンタクト挿入溝の開口内に張り出すことがなく、一対の後側腕部と中継コンタクト挿入溝の内面との間のクリアランスは、一対の前側腕部と中継コンタクト挿入溝の内面との間のクリアランスより小さく、相手側コネクタとの嵌合時に、中継コンタクトの一対の前側腕部の間に相手側コネクタのコンタクトを挟み込むことにより相手側コネクタに電気的に接続されるものである。
第3の発明に係る電気コネクタは、嵌合方向に沿って相手側コネクタに嵌合し且つ電気的に接続される電気コネクタであって、嵌合方向に延びる板状の垂直部を有する固定側コンタクトと、嵌合方向の前方に向かって延び且つ固定側コンタクトの垂直部に交差する交差方向に対向する一対の前側腕部と嵌合方向の後方に向かって延び且つ交差方向に対向する一対の後側腕部を有し、一対の後側腕部の間に固定側コンタクトの垂直部を挟み込むことにより固定側コンタクトに対して揺動可能に保持されると共に固定側コンタクトに電気的に接続される中継コンタクトと、嵌合方向の前方に向かって開口が形成された中継コンタクト挿入溝を有するインシュレータとを備え、固定側コンタクトは、インシュレータに固定され、中継コンタクトは、インシュレータの中継コンタクト挿入溝内に収容され、交差方向において、インシュレータの中継コンタクト挿入溝の開口の開口幅は、一対の前側腕部の嵌合方向の前方における端部の開口幅よりも狭く、中継コンタクトが揺動したときであっても、嵌合方向の前方から見て、中継コンタクトの一対の前側腕部の端部が中継コンタクト挿入溝の開口内に張り出すことがなく、複数の固定側コンタクトを備え、それぞれの固定側コンタクトに対応して少なくとも1つの中継コンタクトが配置され、相手側コネクタとの嵌合時に、中継コンタクトの一対の前側腕部の間に相手側コネクタのコンタクトを挟み込むことにより相手側コネクタに電気的に接続されるものである。
この場合、複数の固定側コンタクトのうちの少なくとも1つの固定側コンタクトに、複数の中継コンタクトが揺動可能に保持され且つ電気的に接続されるように構成することもできる。
また、中継コンタクトの一対の前側腕部の開口幅は、一対の後側腕部の開口幅よりも広いことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、インシュレータの中継コンタクト挿入溝内に収容される中継コンタクトの一対の前側腕部の間に固定側コンタクトの垂直部を挟み込むことにより中継コンタクトが固定側コンタクトに対して揺動可能に保持されると共に固定側コンタクトに電気的に接続され、相手側コネクタとの嵌合時に、中継コンタクトの一対の前側腕部の間に相手側コネクタのコンタクトを挟み込むことにより相手側コネクタに電気的に接続され、固定側コンタクトの垂直部に交差する交差方向において、インシュレータの中継コンタクト挿入溝の開口の開口幅は、一対の前側腕部の嵌合方向の前方における端部の開口幅よりも狭く、中継コンタクトが揺動したときであっても、嵌合方向の前方から見て、中継コンタクトの一対の前側腕部の端部が中継コンタクト挿入溝の開口内に張り出すことがないので、製造コストの低減および小型化を図りながらも相手側コネクタとの位置ずれを吸収しつつ相手側コネクタと嵌合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1基板に実装された、この発明の実施の形態に係る電気コネクタを示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る電気コネクタの分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る電気コネクタに用いられる中継コンタクトを示す正面図である。
図4】実施の形態に係る電気コネクタに用いられるインシュレータを示す底面図である。
図5】実施の形態に係る電気コネクタに用いられるインシュレータを示す平面図である。
図6】実施の形態に係る電気コネクタの断面図である。
図7】実施の形態に係る電気コネクタに相手側コネクタが位置合わせされた状態を示す斜視図である。
図8】相手側コネクタの分解斜視図である。
図9】嵌合状態の実施の形態に係る電気コネクタと相手側コネクタを示す斜視図である。
図10】嵌合状態の実施の形態に係る電気コネクタと相手側コネクタを示す平面図である。
図11図10のA−A線断面図である。
図12図10のB−B線断面図である。
図13】相手側コネクタが位置ずれした場合の実施の形態に係る電気コネクタの内部を示す部分断面図である。
図14】従来のコネクタと相手側コネクタを示す断面図である。
図15】位置ずれして嵌合した状態の従来のコネクタと相手側コネクタを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に、この発明の実施の形態に係る電気コネクタ11を示す。電気コネクタ11は、複数の固定側コンタクト21と、これら複数の固定側コンタクト21が固定されるインシュレータ31を有し、複数の固定側コンタクト21が第1基板B1の接続パッドPにハンダ付けされることにより第1基板B1に実装されている。
図2に示されるように、電気コネクタ11は、複数の固定側コンタクト21に接続され且つインシュレータ31の内部に収容される複数の中継コンタクト41を有している。
【0013】
固定側コンタクト21は、互いに対向するように配置された2組のコンタクト群21Aおよび21Bを有し、これらのコンタクト群21Aおよび21Bは、それぞれ、一列に配列された2つの信号用コンタクト22と1つの電源用コンタクト23から構成されている。それぞれの信号用コンタクト22は、第1基板B1の接続パッドPにハンダ付けされる実装部22Aと、実装部22Aに対して垂直に延びる板状の垂直部22Bを有している。それぞれの電源用コンタクト23は、信号用コンタクト22よりも幅広に形成されているが、信号用コンタクト22と同様に、第1基板B1の接続パッドPにハンダ付けされる実装部23Aと、実装部23Aに対して垂直に延びる板状の垂直部23Bを有している。コンタクト群21Aの信号用コンタクト22の垂直部22Bが、コンタクト群21Bの電源用コンタクト23の垂直部23Bに対向し、コンタクト群21Bの信号用コンタクト22の垂直部22Bがコンタクト群21Aの電源用コンタクト23の垂直部23Bに対向している。
【0014】
複数の中継コンタクト41は、互いに同一の形状を有しており、固定側コンタクト21の1つの信号用コンタクト22に対して1つの中継コンタクト41が対応して配置され、固定側コンタクト21の1つの電源用コンタクト23に対して4つの中継コンタクト41が対応して配置されている。それぞれの中継コンタクト41は、H字形状に打ち抜かれた金属平板からなり、対応する信号用コンタクト22の垂直部22Bおよび電源用コンタクト23の垂直部23Bに対して直交する方向に延びるように配置されている。
インシュレータ31は、ほぼ直方体形状の外観を有し、複数の中継コンタクト41が、インシュレータ31の内部に揺動可能に収容される。
【0015】
ここで、便宜上、固定側コンタクト21の信号用コンタクト22の垂直部22Bおよび電源用コンタクト23の垂直部23Bが延びる面をXZ面、それぞれの中継コンタクト41が延びる面をYZ面、固定側コンタクト21の信号用コンタクト22の実装部22Aおよび電源用コンタクト23の実装部23Aが実装される第1基板B1の表面に対して垂直で且つ第1基板B1の表面から電気コネクタ11が配置されている側に向かう方向を+Z方向と呼ぶものとする。+Z方向が、後述する相手側コネクタに対する電気コネクタ11の嵌合方向となる。
【0016】
図3に示されるように、中継コンタクト41は、嵌合方向の前方、すなわち、+Z方向に向かって延びる一対の前側腕部42と、嵌合方向の後方、すなわち、−Z方向に向かって延び、且つY方向に対向する一対の後側腕部43を有している。これら一対の前側腕部42および一対の後側腕部43は、それぞれ、信号用コンタクト22の垂直部22Bおよび電源用コンタクト23の垂直部23Bに対して垂直に交差する交差方向であるY方向に対向している。さらに、中継コンタクト41は、一対の前側腕部42と一対の後側腕部43の間に配置され且つY方向に連結部44を有し、全体としてH字形状を有している。
【0017】
一対の前側腕部42には、後述する相手側コネクタのコンタクトに接触するための、Y方向に対向する一対の接触部42Aが形成され、一対の後側腕部43には、固定側コンタクト21の信号用コンタクト22の垂直部22Bまたは電源用コンタクト23の垂直部23Bに接触するための、Y方向に対向する一対の接触部43Aが形成されている。
また、一対の前側腕部42の+Z方向端部42Bにおける開口幅W1は、一対の後側腕部43の−Z方向端部における開口幅W2よりも広く設定されており、一対の接触部42Aの開口幅は+Z方向端部42Bにおける開口幅W1よりも狭く、+Z方向端部42Bから接触部42AまではZ方向に対して傾斜したガイド面Gを形成している。
さらに、一対の後側腕部43には、それぞれY方向に張り出す張り出し部45が形成されている。
【0018】
−Z方向から見たインシュレータ31の底面図を図4に示す。インシュレータ31には、固定側コンタクト21の信号用コンタクト22の垂直部22Bが圧入される圧入溝32が形成されると共に、固定側コンタクト21の電源用コンタクト23の垂直部23Bが圧入される圧入溝33が形成されている。これらの圧入溝32および33は、X方向に延びると共にZ方向に延びている。また、圧入溝32および33は、固定側コンタクト21の信号用コンタクト22の垂直部22Bおよび電源用コンタクト23の垂直部23Bが圧入されて圧入溝32および33の内部に固定されるような大きさに形成されている。
また、インシュレータ31には、それぞれの圧入溝32に直交する1つの中継コンタクト挿入溝34と、それぞれの圧入溝33に直交する4つの中継コンタクト挿入溝34が形成されている。中継コンタクト挿入溝34は、内部に挿入された中継コンタクト41が主にYZ面内において揺動可能となるような大きさに形成されている。
【0019】
+Z方向から見たインシュレータ31の平面図を図5に示す。ほぼ直方体形状のインシュレータ31の上面には、後述する相手側コネクタのコンタクトを受け入れるための、2つのX方向に延びる開口35が形成されている。+Z方向から観察すると、これらの開口35の内部に、それぞれの中継コンタクト挿入溝34の一部が見えている。それぞれの中継コンタクト挿入溝34の内部には、中継コンタクト挿入溝34をX方向に貫く梁部36が形成されている。
また、インシュレータ31の上面には、2つの開口35の間に平面状の吸着部37が形成されている。この吸着部37は、電気コネクタ11の組み付け、実装等の際にインシュレータ31または電気コネクタ11を図示しない吸着治具により吸着するためのものである。
【0020】
インシュレータ31の複数の中継コンタクト挿入溝34の中に、−Z方向からそれぞれ中継コンタクト41を挿入し、この状態で、インシュレータ31の複数の圧入溝32および33に、−Z方向から信号用コンタクト22の垂直部22Bおよび電源用コンタクト23の垂直部23Bを圧入することにより、電気コネクタ11が組み立てられる。
【0021】
このようにして組み立てられて第1基板B1に実装された電気コネクタ11の内部を図6に示す。
中継コンタクト41が、インシュレータ31の中継コンタクト挿入溝34の中に収容され、中継コンタクト41の連結部44が、信号用コンタクト22の垂直部22Bの+Z方向端部とインシュレータ31の梁部36との間に配置されている。Y方向において、中継コンタクト41の一対の後側腕部43の接触部43Aの間に信号用コンタクト22の垂直部22Bが挟み込まれており、これにより、中継コンタクト41は、信号用コンタクト22に対してYZ面内で揺動可能に保持されると共に、信号用コンタクト22に電気的に接続されている。
【0022】
特に、中継コンタクト41の一対の前側腕部42と中継コンタクト挿入溝34のXZ面に沿った内面との間には、クリアランスC1が確保され、中継コンタクト41の一対の後側腕部43の接触部43Aの間に信号用コンタクト22の垂直部22Bを挟み込んでいるので、中継コンタクト41は、中継コンタクト41の一対の後側腕部43の接触部43Aの間を中心としてYZ面内で揺動可能に中継コンタクト挿入溝34内に収容されている。
なお、インシュレータ31の梁部36は、中継コンタクト41の連結部44に対向する部分に丸みを帯びた湾曲面36Aを有している。このため、中継コンタクト41は、梁部36に引っ掛かることなく、中継コンタクト挿入溝34内において円滑に揺動することができる。
【0023】
また、中継コンタクト41の前側腕部42が中継コンタクト挿入溝34のXZ面に沿った内面に接触するまで、中継コンタクト41が中継コンタクト挿入溝34内で大きく揺動したときでも、+Z方向から見て、中継コンタクト41の前側腕部42の+Z方向端部42Bがインシュレータ31の開口35内に張り出すことがないように、Y方向において、インシュレータ31の+Z方向端部における開口35の開口幅W3は、中継コンタクト41の前側腕部42の+Z方向端部42Bにおける開口幅W1よりも狭く形成されている。従って、後述する相手側コネクタのコンタクトがインシュレータ31の開口35に挿入される際に、たとえ中継コンタクト41が大きく揺動した状態にあっても、中継コンタクト41の前側腕部42の+Z方向端部42Bが相手側コネクタのコンタクトの挿入を邪魔することはなく、相手側コネクタのコンタクトは、Z方向に対して傾斜したガイド面Gによって接触部42Aへと導かれる。
【0024】
なお、中継コンタクト41の一対の後側腕部43には、それぞれY方向に張り出す張り出し部45が形成されているため、一対の後側腕部43と中継コンタクト挿入溝34のXZ面に沿った内面との間に形成されているクリアランスC2は、一対の前側腕部42と中継コンタクト挿入溝34のXZ面に沿った内面との間に形成されているクリアランスC1に比べて小さい。このため、電気コネクタ11を組み立てる際に、インシュレータ31の中継コンタクト挿入溝34内に挿入された中継コンタクト41の一対の後側腕部43がY方向に大きく揺動することはなく、容易に、信号用コンタクト22の垂直部22Bを一対の後側腕部43の接触部43Aの間に挟み込みながら、インシュレータ31に圧入することができるように構成されている。
【0025】
信号用コンタクト22の垂直部22Bと同様にして、電源用コンタクト23の垂直部23Bにも中継コンタクト41が揺動可能に保持されている。なお、図6では、電源用コンタクト23の垂直部23Bに保持される中継コンタクト41が1つだけ示されているが、電源用コンタクト23の垂直部23Bに対しては、4つの中継コンタクト41がそれぞれ揺動可能に保持されており、これにより、電源供給用の大電力の伝送を行うことができるように構成されている。
【0026】
図7に、電気コネクタ11の+Z方向側に相手側コネクタ51が位置合わせされた状態を示す。相手側コネクタ51は、第2基板B2に実装されている。
図8に示されるように、相手側コネクタ51は、複数のコンタクト61と、これら複数のコンタクト61が固定されるインシュレータ71を有している。コンタクト61は、互いにY方向に対向するように配置された2組のコンタクト群61Aおよび61Bを有し、これらのコンタクト群61Aおよび61Bは、それぞれ、X方向に配列された2つの信号用コンタクト62と1つの電源用コンタクト63から構成されている。
【0027】
それぞれの信号用コンタクト62は、XZ面に沿って延び且つ第2基板B2に実装される実装部62Aと、XZ面に沿って延びる板状の垂直部62Bを有している。それぞれの電源用コンタクト63は、信号用コンタクト62よりも幅広に形成されているが、信号用コンタクト62と同様に、XZ面に沿って延び且つ第2基板B2に実装される実装部63Aと、XZ面に沿って延びる板状の垂直部63Bを有している。コンタクト群61Aの信号用コンタクト62の垂直部62Bが、コンタクト群61Bの電源用コンタクト63の垂直部63Bに対向し、コンタクト群61Bの信号用コンタクト62の垂直部62Bが、コンタクト群61Aの電源用コンタクト63の垂直部63Bに対向している。
これらの信号用コンタクト62および電源用コンタクト63は、それぞれインシュレータ71に圧入されることにより、インシュレータ71に保持される。
【0028】
図7に示されるように、電気コネクタ11の+Z方向側に位置合わせされた相手側コネクタ51を、電気コネクタ11に対して相対的に−Z方向に移動させ、電気コネクタ11に押し込むことにより、図9に示されるように、電気コネクタ11に相手側コネクタ51が嵌合される。嵌合時の電気コネクタ11と相手側コネクタ51の平面図を図10に示す。
【0029】
このようにして電気コネクタ11に相手側コネクタ51が嵌合されると、図11に示されるように、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62の垂直部62Bが、電気コネクタ11のインシュレータ31の開口35からインシュレータ31内に挿入され、中継コンタクト41の一対の前側腕部42の接触部42Aの間に挟み込まれる。これにより、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62が、中継コンタクト41を介して電気コネクタ11の信号用コンタクト22に電気的に接続される。同様にして、相手側コネクタ51の電源用コンタクト63が、中継コンタクト41を介して電気コネクタ11の電源用コンタクト23に電気的に接続される。
【0030】
このとき、それぞれの中継コンタクト41は、インシュレータ31の中継コンタクト挿入溝34内に揺動可能に収容されているが、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62が挿入される際に、中継コンタクト41の連結部44が、信号用コンタクト22の垂直部22Bの+Z方向端部に突き当たることで、中継コンタクト41が中継コンタクト挿入溝34から−Z方向に出ることはない。同様に、相手側コネクタ51の電源用コンタクト63が挿入される際に、中継コンタクト41の連結部44が、電源用コンタクト23の垂直部23Bの+Z方向端部に突き当たることで、中継コンタクト41が中継コンタクト挿入溝34から−Z方向に出ることはない。
【0031】
また、電気コネクタ11と相手側コネクタ51の嵌合状態が解除されて相手側コネクタ51が電気コネクタ11から引き抜かれる際には、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62の垂直部62Bおよび電源用コンタクト63の垂直部63BをそれぞれY方向に挟み込んでいる中継コンタクト41の一対の前側腕部42の接触部42Aが、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62と共に+Z方向に引っ張られるが、中継コンタクト41の連結部44が、インシュレータ31の梁部36に突き当たることで、中継コンタクト41が+Z方向に大きく揺動することはない。
【0032】
なお、図12に示されるように、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62は、1つの中継コンタクト41を介して電気コネクタ11の信号用コンタクト22に電気的に接続され、相手側コネクタ51の電源用コンタクト63は、4つの中継コンタクト41を介して電気コネクタ11の電源用コンタクト23に電気的に接続される。
信号用コンタクト22および62に対しても電源用コンタクト23および63に対しても同一形状の中継コンタクト41が用いられているが、信号用コンタクト22および62に1つの中継コンタクト41を接続し、電源用コンタクト23および63に4つの中継コンタクト41を接続することで、電源用コンタクト23および63により大電力の伝送を行うことが可能となる。
【0033】
電気コネクタ11の中継コンタクト41は、中継コンタクト41の一対の後側腕部43の接触部43Aの間に信号用コンタクト22の垂直部22Bを挟み込むことで、信号用コンタクト22に対してYZ面内で揺動可能に保持されている。このため、図13に示されるように、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62が電気コネクタ11の信号用コンタクト22に対してY方向に位置ずれを生じた場合には、中継コンタクト41が、一対の後側腕部43の接触部43Aの間を中心として回転してYZ面内で傾斜した状態となる。
【0034】
このとき、中継コンタクト41の傾斜に伴って、中継コンタクト41の一対の後側腕部43の接触部43Aが位置するZ方向の高さに、ずれ量ΔZ1が生じ、一対の前側腕部42の接触部42Aが位置するZ方向の高さにも、ずれ量ΔZ2が生じるが、一対の後側腕部43の接触部43Aの間に信号用コンタクト22の垂直部22Bが挟み込まれると共に一対の前側腕部42の接触部42Aの間に相手側コネクタ51の信号用コンタクト62の垂直部62Bが挟み込まれる状態は維持されており、電気コネクタ11の信号用コンタクト22と相手側コネクタ51の信号用コンタクト62は、中継コンタクト41を介して互いに電気的に接続されている。
【0035】
なお、インシュレータ31の梁部36は、中継コンタクト41の連結部44に対向する部分に丸みを帯びた湾曲面36Aを有しているので、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62が電気コネクタ11の信号用コンタクト22に対してY方向に位置ずれを生じた場合に、中継コンタクト41は、梁部36に引っ掛かることなく、中継コンタクト挿入溝34内において円滑に傾斜することとなる。
【0036】
同様に、電気コネクタ11の電源用コンタクト23に対する相手側コネクタ51の電源用コンタクト63の位置ずれに起因して中継コンタクト41が傾斜しても、電気コネクタ11の電源用コンタクト23と相手側コネクタ51の電源用コンタクト63は、中継コンタクト41を介して互いに電気的に接続されている。
【0037】
また、図12に示されるように、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62の垂直部62Bは、中継コンタクト41の厚さよりも大きいX方向の幅を有している。このため、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62が電気コネクタ11の信号用コンタクト22に対してX方向に位置ずれを生じた場合であっても、相手側コネクタ51の信号用コンタクト62が中継コンタクト41に接触する範囲内であれば、電気コネクタ11の信号用コンタクト22と相手側コネクタ51の信号用コンタクト62が、中継コンタクト41を介して互いに電気的に接続される状態が維持される。
【0038】
以上説明したように、実施の形態に係る電気コネクタ11においては、中継コンタクト41の一対の後側腕部43の接触部43Aの間に信号用コンタクト22の垂直部22Bまたは電源用コンタクト23の垂直部23Bを挟み込むことで、中継コンタクト41が信号用コンタクト22または電源用コンタクト23に対してYZ面内で揺動可能に保持されている。従って、相手側コネクタ51との位置ずれを吸収して、相手側コネクタ51との電気的接続状態を維持することができる。
また、Y方向において、インシュレータ31の開口35の開口幅W3は、中継コンタクト41の前側腕部42の+Z方向端部42Bにおける開口幅W1よりも狭く形成されているので、たとえ中継コンタクト41が中継コンタクト挿入溝34内で大きく揺動した状態にあっても、中継コンタクト41の前側腕部42の+Z方向端部42Bが相手側コネクタのコンタクトに衝突することはない。従って、複数の中継コンタクト41が配列されている場合に、たとえ複数の中継コンタクト41の向きが揃っていなくても、いずれの中継コンタクト41の前側腕部42の+Z方向端部42Bも、相手側コネクタのコンタクトの挿入を邪魔することはない。
【0039】
また、電気コネクタ11は、図14および図15に示した従来のコネクタ1のように、互いにスライド可能な固定側ハウジング3と可動側ハウジング5からなる2つのハウジングを必要とせず、中継コンタクト41は、インシュレータ31により保持されるのではなく、一対の後側腕部43の接触部43Aの間に信号用コンタクト22の垂直部22Bまたは電源用コンタクト23の垂直部23Bを挟み込むことで揺動可能に保持されている。このため、部品点数および組立工数が少なく、製造コストを低減すると共に小型化を図ることが可能となる。
【0040】
なお、上記の実施の形態では、固定側コンタクト21が、互いに対向するように配置された2組のコンタクト群21Aおよび21Bを有しているが、これに限るものではなく、1組のコンタクト群のみでもよく、また、コンタクト群におけるコンタクトの個数には限定されない。さらに、コンタクト群21Aおよび21Bが、それぞれ、2つの信号用コンタクト22と1つの電源用コンタクト23から構成されているが、信号用コンタクト22のみでもよく、あるいは、電源用コンタクト23のみとすることもできる。
【0041】
また、上記の実施の形態では、中継コンタクト41の一対の前側腕部42および一対の後側腕部43が、それぞれ、信号用コンタクト22の垂直部22Bおよび電源用コンタクト23の垂直部23Bに対して垂直に交差するY方向に対向しているが、必ずしも垂直である必要はなく、信号用コンタクト22の垂直部22Bおよび電源用コンタクト23の垂直部23Bに対して交差する方向に対向していればよい。
さらに、上記の実施の形態では、中継コンタクト41は、H字形状に打ち抜かれた金属平板から形成されているが、これに限るものではなく、例えば金属板に曲げ加工を施して作製された中継コンタクトを用いることもできる。
【符号の説明】
【0042】
1 コネクタ、2 固定側コンタクト、3 固定側ハウジング、4 可動側コンタク、5 可動側ハウジング、6 相手側コネクタ、7 連結部、8 コンタクト、11 電気コネクタ、21 固定側コンタクト、21A,21B,61A,61B コンタクト群、22,62 信号用コンタクト、22A,23A,62A,63A 実装部、22B,23B,62B,63B 垂直部、23,63 電源用コンタクト、31,71 インシュレータ、32,33 圧入溝、34 中継コンタクト挿入溝、35 開口、36 梁部、36A 湾曲面、37 吸着部、41 中継コンタクト、42 前側腕部、42A,43A 接触部、42B +Z方向端部(端部)、43 後側腕部、44 連結部、45 張り出し部、51 相手側コネクタ、61 コンタクト、B1 第1基板、B2 第2基板、P 接続パッド、W1,W2,W3 開口幅、G ガイド面、C1,C2 クリアランス、ΔZ1,ΔZ2 ずれ量。
【要約】
【課題】製造コストの低減および小型化を図りながらも相手側コネクタとの位置ずれを吸収しつつ相手側コネクタと嵌合することができる電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタ11は、板状の垂直部22B、23Bを有する信号用コンタクト22および電源用コンタクト23と、一対の前側腕部42と一対の後側腕部43を有し、一対の後側腕部43の間に垂直部22B、23Bを挟み込むことにより信号用コンタクト22および電源用コンタクト23に対して揺動可能に保持されると共に電気的に接続される中継コンタクト41とを備える。中継コンタクト41が収容されるインシュレータ31の中継コンタクト挿入溝34の嵌合方向の前方における開口35の開口幅W3は、中継コンタクト41の前側腕部42の端部42Bの開口幅W1よりも狭く形成され、中継コンタクト41が揺動しても、前側腕部42の端部42Bが中継コンタクト挿入溝34の開口35内に張り出すことがない。
【選択図】 図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15