【文献】
Akihito Noda et al.,Inter-IC for Wearables (I2We): Power and Data Transfer over Double-sided Conductive Textile,IEEE Transactions on Biomedical circuits and systems,2019年 2月,Vol.13 No.1
【文献】
Akihito Noda et al.,Frequency-division-multiplexed signal and power transfer for wearable devices networked via conducti,2017 IEEE MTT-S International Microwave Symposium (IMS),米国,IEEE,2017年 6月 4日,pages.537-540
【文献】
Junichi Akita et al.,Flexible Network Infrastructure for Wearable Computing Using Conductive Fabric and Its Evaluation,26th IEEE International Conference on Distributed Computing Systems Workshops (ICDCSW'06),米国,IEEE,2006年 7月 4日,pages.1-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の導体と第2の導体とを介して通信する複数の通信装置と、前記第1の導体と前記第2の導体とを介して前記複数の通信装置に直流電力を供給する直流電源と、を備える通信システムであって、
前記複数の通信装置のうち第1の通信装置は、
シリアルクロックに対応するディジタル信号であるクロック信号と送信対象のシリアルデータに対応するディジタル信号であるデータ信号とを生成する信号生成回路と、
第1の周波数を有する第1の搬送波を生成する第1の発振回路と、
前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の搬送波を生成する第2の発振回路と、
前記第1の搬送波を前記クロック信号でディジタル変調した第1の変調信号と前記第2の搬送波を前記データ信号でディジタル変調した第2の変調信号とを生成し、前記第1の変調信号と前記第2の変調信号とを前記第1の導体と前記第2の導体との間に印加する変調回路と、を備え、
前記複数の通信装置のうち前記第1の通信装置とは異なる第2の通信装置は、
前記第1の導体と前記第2の導体とに接続され、高入力インピーダンスを有するバッファアンプを備え、前記第1の導体と前記第2の導体との間に印加された前記第1の変調信号と前記第2の変調信号とを復調し、前記クロック信号と前記データ信号とを生成する復調回路と、
前記復調回路により生成された前記クロック信号と前記データ信号とに基づいて、前記シリアルデータを取得するデータ取得回路と、を備える、
通信システム。
前記第1の導体を含み、導電性を有する第1の導電層と、前記第2の導体を含み、導電性を有する第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層とを絶縁する絶縁層と、を備える繊維構造体を更に備える、
請求項1に記載の通信システム。
前記第1の導電層と前記第2の導電層とを含むコンデンサに対して並列に設けられ、前記第1の周波数と前記第2の周波数とにおける、前記コンデンサの両端間の並列合成インピーダンスを増加させるフィルタ回路を更に備える、
請求項2から4のいずれか1項に記載の通信システム。
前記複数の通信装置のうち第3の通信装置と、アクチュエータと発光装置とセンサとのうちのいずれかであり、前記第3の通信装置と通信する通信対象装置と、前記第3の通信装置と前記通信対象装置とを搭載する回路基板と、前記回路基板を前記繊維構造体に取り付けるための取付部材と、を備える統合モジュールを更に備え、
前記取付部材は、
導体により構成され、前記第1の導電層側から前記第2の導電層側に向けて前記繊維構造体に差し込まれる鋲と、
前記第2の導電層側において前記鋲の突出部と固定される固定部材と、を備え、
前記鋲は、前記第1の導電層と接触する第1の電極部を備え、
前記固定部材は、前記第2の導電層と接触する第2の電極部と、前記鋲の突出部が差し込まれるソケットと、を備え、
前記回路基板は、前記第1の電極部と前記ソケットとを介して前記第1の導電層と接続され、前記第2の電極部を介して前記第2の導電層と接続される、
請求項2から5のいずれか1項に記載の通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通信に利用できる導体が2つしかない場合、クロック信号とデータ信号とを用いたシリアル通信を直ちに採用することはできない。一方、このようなシリアル通信を実現するために導電層を増やすことが困難である場合も多い。また、特許文献1には、このようなシリアル通信を2つの導体を用いて実現する方法は全く記載されていない。このため、クロック信号とデータ信号とを用いたシリアル通信を2つの導体を用いて実現する技術が望まれている。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、クロック信号とデータ信号とを用いたシリアル通信を2つの導体を用いて実現する通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る通信システムは、
第1の導体と第2の導体とを介して通信する複数の通信装置と、前記第1の導体と前記第2の導体とを介して前記複数の通信装置に直流電力を供給する直流電源と、を備える通信システムであって、
前記複数の通信装置のうち第1の通信装置は、
シリアルクロックに対応するディジタル信号であるクロック信号と送信対象のシリアルデータに対応するディジタル信号であるデータ信号とを生成する信号生成回路と、
第1の周波数を有する第1の搬送波を生成する第1の発振回路と、
前記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の搬送波を生成する第2の発振回路と、
前記第1の搬送波を前記クロック信号でディジタル変調した第1の変調信号と前記第2の搬送波を前記データ信号でディジタル変調した第2の変調信号とを生成し、前記第1の変調信号と前記第2の変調信号とを前記第1の導体と前記第2の導体との間に印加する変調回路と、を備え、
前記複数の通信装置のうち前記第1の通信装置とは異なる第2の通信装置は、
前記第1の導体と前記第2の導体とに接続され、高入力インピーダンスを有するバッファアンプを備え、前記第1の導体と前記第2の導体との間に印加された前記第1の変調信号と前記第2の変調信号とを復調し、前記クロック信号と前記データ信号とを生成する復調回路と、
前記復調回路により生成された前記クロック信号と前記データ信号とに基づいて、前記シリアルデータを取得するデータ取得回路と、を備える。
【0008】
前記第1の導体を含み、導電性を有する第1の導電層と、前記第2の導体を含み、導電性を有する第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層とを絶縁する絶縁層と、を備える繊維構造体を更に備えてもよい。
【0009】
前記繊維構造体を備える被服を更に備えてもよい。
【0010】
前記第1の搬送波の波長である第1の波長と前記第2の搬送波の波長である第2の波長とは、前記繊維構造体上における最も遠い2点間の長さよりも長くてもよい。
【0011】
前記第1の導電層と前記第2の導電層とを含むコンデンサに対して並列に設けられ、前記第1の周波数と前記第2の周波数とにおける、前記コンデンサの両端間の並列合成インピーダンスを増加させるフィルタ回路を更に備えてもよい。
【0012】
前記複数の通信装置のうち第3の通信装置と、アクチュエータと発光装置とセンサとのうちのいずれかであり、前記第3の通信装置と通信する通信対象装置と、前記第3の通信装置と前記通信対象装置とを搭載する回路基板と、前記回路基板を前記繊維構造体に取り付けるための取付部材と、を備える統合モジュールを更に備え、
前記取付部材は、
導体により構成され、前記第1の導電層側から前記第2の導電層側に向けて前記繊維構造体に差し込まれる鋲と、
前記第2の導電層側において前記鋲の突出部と固定される固定部材と、を備え、
前記鋲は、前記第1の導電層と接触する第1の電極部を備え、
前記固定部材は、前記第2の導電層と接触する第2の電極部と、前記鋲の突出部が差し込まれるソケットと、を備え、
前記回路基板は、前記第1の電極部と前記ソケットとを介して前記第1の導電層と接続され、前記第2の電極部を介して前記第2の導電層と接続されてもよい。
【0013】
前記第2の導電層には、メッシュ状の開孔が形成されており、
前記鋲は、前記開孔を貫通するように前記繊維構造体に差し込まれ、前記第2の導電層と絶縁されてもよい。
【0014】
前記鋲の一部は、絶縁体で被覆され、
前記絶縁体が前記第2の導電層と接触し、前記鋲は、前記第2の導電層と絶縁されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、クロック信号とデータ信号とを用いたシリアル通信を2つの導体を用いて実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中において、同一又は対応する部分には、同一の符号を付す。
【0018】
(実施形態1)
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る被服100について説明する。なお、被服100は、本発明の実施形態に係る通信システム1000の一部である。被服100は、人体に振動を与えたり、人体に関する情報を収集したりするために用いられる。本実施形態では、被服100は、人体に振動を与えるために用いられるものとする。本実施形態では、被服100は、衣服であるものとする。ただし、被服100は、帽子、手袋、靴下、サポーター、靴、等であってもよい。
【0019】
図1に示すように、被服100は、繊維構造体110を備える。繊維構造体110は、繊維により構成された構造体である。繊維構造体110は、電力を供給したり情報を伝送したりするウェアラブルな伝送シートである。繊維構造体110は、被服100の生地として使用されてもよいし、既存の被服100に取り付けられて使用されてもよい。なお、
図1には、被服100の前面片側のみに繊維構造体110が設けられた例を示すが、被服100の複数箇所に繊維構造体110が設けられてもよいことは勿論である。
【0020】
図2に示すように、繊維構造体110は、基本的に、導電層111と、絶縁層113と、導電層112とが、順に積層されて構成される。導電層111と導電層112とは、導体を備え、導電性を有する層である。導電層111と導電層112とは、電力と情報とを伝送する媒体として機能する。本実施形態では、導電層111と導電層112とは、メッシュ状の開孔を有し、導電層111と導電層112とを平面視したときの柄は格子柄であるものとする。なお、開孔の大きさ、開孔の間隔、柄などは、繊維構造体110の用途、電源電圧、信号電圧、信号の周波数、最長伝送距離などに応じて、適宜、調整される。また、本実施形態では、導電層112が接地電位に設定され、導電層111に、電力供給のための電源電圧と情報伝送のための信号とが印加されるものとする。導電層111と導電層112とは、例えば、導電性を有する導電糸により構成される。ただし、導電層111と導電層112とは、例えば、導電性を有しない非導電糸により構成された布に、導電インクをプリント、又は、金属をめっきしたもの等であってもよい。
【0021】
導電糸は、導電体を含む糸である。導電体は、例えば、比抵抗(「体積抵抗率」ともいう。)が10
8Ω・cm未満の物質である。導電糸は、銅やステンレス等の金属により構成された金属繊維であってもよいし、炭素により構成された炭素繊維であってもよい。また、導電糸は、合成繊維に、スパッタリングやメッキにより金属をコーティングした糸であってもよい。或いは、導電糸は、合成繊維の中に、金属粉末や導電ポリマーなどの導電物質を練り込んだ糸であってもよい。一方、非導電糸は、導電体を含まない糸である。非導電糸は、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、無機繊維などの糸である。
【0022】
絶縁層113は、導電層111と導電層112とを相互に絶縁するための層として機能する。従って、絶縁層113は、導電層111と導電層112との間に配置される。ここで、導電層111と導電層112とが接触すると、電力の供給や情報の伝送ができないだけでなく、大電流が流れて発熱する可能性があり、好ましくない。そこで、本実施形態では、導電層111と導電層112とが接触しないように、絶縁層113の厚さが十分に厚いものとする。絶縁層113は、例えば、導電性を有しない非導電糸により構成される。
【0023】
導電層111と導電層112と絶縁層113とは、織り込み又は編み込みにより一体的に形成されてもよいし、別々に形成された後に相互に固定されてもよい。固定方法としては、例えば、非導電糸による縫い付け、接着剤による接着、両面テープによる貼り付けなどがある。繊維構造体110は、基本的に、導電糸と非導電糸とにより構成されるため、柔軟性に富む。
【0024】
繊維構造体110には、複数の統合モジュール200が取り付けられる。後述するように、統合モジュール200は、装置、基板、部材などを統合したモジュールである。以下、
図3を参照して、統合モジュール200の構成について説明する。
図3に示すように、統合モジュール200は、通信装置400と、通信対象装置500と、回路基板600と、中継基板610と、支持部材620と、取付部材700とを備える。
【0025】
通信装置400は、後述する通信装置300と通信し、また、通信対象装置500と通信する装置である。本実施形態では、通信装置300と通信装置400とは、I2C(Inter Integrated Circuit)に対応した半二重方式のシリアルバスインターフェースを備え、I2C通信が可能であるものとする。I2C通信は、シリアルクロック線であるSCL(Serial Clock)とシリアルデータ線であるSDA(Serial Data)とを用いて、1つのマスタが1つ以上のスレーブと通信する通信方式である。本実施形態では、通信装置300がマスタであり、通信装置400がスレーブであるものとする。
【0026】
SCLは、同期をとるための信号線である。SDAは、SCLに同期する信号線であり、データの転送に用いられる信号線である。本実施形態では、SCLの状態とSDAの状態とは、マスタにより制御される。SCLとSDAとは、マスタによってHレベル(電源電位であるVcc)又はLレベル(接地電位である0V)に設定される。なお、一般的なI2C通信では、スレーブがビジー状態を通知する場合、SCLの状態がスレーブによっても制御されることもあるが、本実施形態では採用しない。また、一般的なI2C通信では、スレーブが、データを送信する場合、又は、ACKを送信する場合に、SCLの状態がスレーブによっても制御されることもあるが、本実施形態では採用しない。また、一般的なI2C通信では、SCLとSDAとは、いずれも、オープンコレクタ接続、又は、オープンドレイン接続であり、信号線が、抵抗を介して電源電圧にプルアップされる。ただし、本実施形態では、例えば、SCLの出力端子及びSDAの出力端子が、スイッチ制御回路333の内部にて抵抗を介して電源電圧にプルアップされ、Hレベル又はLレベルの電圧として出力される。
【0027】
一般的に、I2C通信では、マスタとスレーブとは、SCLとSDAと接地線とで相互に接続される。一方、本実施形態では、通信装置300と通信装置400とは、導電層111と導電層112とで相互に接続される。ここで、導電層112は、接地線としての役割を果たす。このため、本実施形態では、SCLを用いて送信すべきデータとSDAを用いて送信すべきデータとの双方のデータを、導電層111を用いて送信する必要がある。そこで、本実施形態では、互いに異なる周波数を有する2つの搬送波をそれぞれ2つのデータで変調し、変調により得られた2つの変調信号を導電層111に重畳する方式を採用する。
【0028】
本実施形態では、通信対象装置500は、アクチュエータである。従って、通信装置400は、通信装置300から受信したデータに基づいて、通信対象装置500を制御すればよい。そして、通信装置400は、通信対象装置500からデータを受信し、受信したデータを通信装置300に送信する必要はない。このため、通信装置400は、通信装置300からデータを受信する機能を有するが、通信装置300にデータを送信する機能を有しない。なお、通信装置400は、通信装置300にACKを送信する機能と、ビジー状態を通知する機能とを有しないが、これらの機能は通信装置300が使用しなければよい。以上説明したように、通信装置400は、通信装置300から受信したデータに基づいて、通信対象装置500を制御する。
【0029】
通信対象装置500は、通信装置400の通信対象の装置であり、通信装置400により制御される装置である。上述したように、本実施形態では、通信対象装置500は、アクチュエータである。従って、通信対象装置500は、通信装置400による指示に従って振動し、被服100の着用者の人体に振動を与える。
【0030】
回路基板600は、通信装置400と通信対象装置500とを搭載する回路基板である。回路基板600は、電極601と電極602とを備える。電極601は、電線603を介して導電層111と接続される。電極602は、電線604を介して導電層112と接続される。回路基板600は、電極601と電極602とを介して、通信装置400と通信対象装置500とに直流電力を供給する。また、回路基板600は、電極601と電極602とを介して、通信装置400に信号を供給する。
【0031】
中継基板610は、導電層111と電極601との接続と、導電層112と電極602との接続とを中継する。中継基板610は、後述する取付部材700を支持するとともに、電線603と電線604と電線605とにより回路基板600に固定される。中継基板610は、後述するソケット722と電線603とを接続することにより、導電層111と電極601とを接続する。また、中継基板610は、後述する電極721と電線604とを接続することにより、導電層112と電極602とを接続する。
【0032】
支持部材620は、回路基板600を支持する部材であり、統合モジュール200全体の土台となる部材である。取付部材700は、統合モジュール200を繊維構造体110に取り付けるための部材である。取付部材700は、鋲710と固定部材720とを備える。
【0033】
鋲710は、第1の導電層側から第2の導電層側に向けて繊維構造体110に差し込まれる部材である。第1の導電層は、例えば、導電層111である。第2の導電層は、例えば、導電層112である。ただし、第1の導電層が導電層112であり、第2の導電層が導電層111であってもよい。鋲710は、導体により構成される。鋲710は、第1の電極部と、突出部712と、を備える。第1の電極部は、鋲710が繊維構造体110に差し込まれたときに、第1の導電層と接触する部分である。第1の電極部は、例えば、電極711である。電極711は、鋲710が備える笠型の部位の裏面の部分である。突出部712は、鋲710が繊維構造体110に差し込まれたときに、第2の導電層から突出する部分である。
【0034】
固定部材720は、第2の導電層側において鋲710の突出部712と固定される。固定部材720は、第2の電極部と、ソケット722と、を備える。第2の電極部は、第2の導電層と接触する。第2の電極部は、例えば、電極721である。電極721は、導体で構成される。ソケット722には、鋲710が備える突出部712が差し込まれる。ソケット722は、導体で構成される。
【0035】
図4に、繊維構造体110に差し込まれた鋲710が固定部材720により固定されて、統合モジュール200が繊維構造体110に固定された様子を示す。
図4は、鋲710と繊維構造体110とを、鋲710が備える突出部712の中心軸を含む切断面で切断したときの断面図である。
【0036】
まず、鋲710は、導電層111側から導電層112側に向けて、導電層112が有する開孔を通過するように、繊維構造体110に差し込まれる。つまり、鋲710は、導電層112を避けるように、導電層111側から繊維構造体110に差し込まれる。鋲710の差し込みが進むと、鋲710が繊維構造体110を貫き、鋲710が有する突出部712が導電層112側に突出する。ここから、鋲710の差し込みが進むと、鋲710が備える電極711が導電層111に接触し、鋲710の更なる差し込みが抑制される。
【0037】
ここで、鋲710が有する突出部712が、固定部材720が有するソケット722に差し込まれるように、固定部材720を導電層112側から繊維構造体110に押し当てる。すると、鋲710が有する突出部712が、固定部材720が有するソケット722に差し込まれる。このとき、突出部712とソケット722とが接触し、鋲710が固定部材720により支持される。ここで、固定部材720を更に繊維構造体110に押し当てると、固定部材720が備える電極721が導電層112に接触し、固定部材720の移動が抑制される。
【0038】
このように、繊維構造体110を貫通した突出部712がソケット722に嵌め込まれると、鋲710と固定部材720とが繊維構造体110を挟んだ状態で、鋲710と固定部材720とが相互に固定される。鋲710と固定部材720とが固定されると、取付部材700が繊維構造体110に固定され、その結果、統合モジュール200が繊維構造体110に固定される。
【0039】
このとき、電極711と導電層111とは接触し、突出部712とソケット722とが接触する。ここで、ソケット722は、中継基板610と電線603とを介して、電極601に接続される。つまり、回路基板600は、電極711とソケット722とを介して、導電層111と接続される。また、電極721と導電層112とは接触する。そして、電極721は、中継基板610と電線604とを介して、電極602に接続される。つまり、回路基板600は、電極721を介して、導電層112と接続される。
【0040】
以上、統合モジュール200が通信装置400を備える例について説明した。統合モジュール200が通信装置300を備える場合、或いは、統合モジュール200が直流電源380を備える場合も、統合モジュール200の繊維構造体110への取り付けに関しては同様である。なお、統合モジュール200が通信装置300を備える場合、統合モジュール200は、通信装置400に代えて通信装置300を備え、通信対象装置500を備えない。また、統合モジュール200が直流電源380を備える場合、統合モジュール200は、通信装置400と通信対象装置500とに代えて直流電源380を備える。本実施形態では、統合モジュール200が通信装置300と直流電源380とを備えるものとする。
【0041】
次に、
図5を参照して、通信システム1000の構成について詳細に説明する。
図5に示すように、通信システム1000は、少なくとも、通信装置300と、通信装置400と、通信対象装置500と、導電層111と、を備える。通信装置300は、マスタとして機能し、通信装置400はスレーブとして機能する。第1の通信装置は、例えば、通信装置300に対応する。第2の通信装置は、例えば、通信装置400に対応する。なお、本実施形態では、通信装置300及び通信装置400のいずれもが、第3の通信装置であり、回路基板600や取付部材700とともに統合モジュール200としてまとめられているものとする。通信対象装置500は、通信装置400を介して、通信装置300により制御される。導電層111には、SCLに対応する変調信号とSDAに対応する変調信号とが重畳される。
【0042】
通信装置300は、制御回路310と、通信回路320と、変調回路330と、発振回路361と、発振回路362と、バンドパスフィルタ371と、バンドパスフィルタ372と、直流電源380と、インダクタ381と、を備える。
【0043】
制御回路310は、通信装置300の全体の動作を制御する。例えば、制御回路310は、シリアルデータを、通信回路320に供給する。このシリアルデータは、送信対象のシリアルデータであり、通信対象装置500を制御するために通信装置400に送信するシリアルデータである。
【0044】
通信回路320は、I2C通信を実現するための通信回路である。通信回路320は、第1のクロック信号と、第1のデータ信号と、を生成する。つまり、通信回路320は、信号生成回路である。第1のクロック信号は、シリアルクロックに対応するディジタル信号である。第1のデータ信号は、送信対象のシリアルデータに対応するディジタル信号である。なお、第1のクロック信号は、例えば、電源電位(Vcc)を表すHレベルと、接地電位(0V)を表すLレベルとを、交互に示す信号である。また、第1のデータ信号は、例えば、シリアルデータが1であるときに電源電位(Vcc)を表すHレベルを示し、シリアルデータが0であるときに接地電位(0V)を表すLレベルを示す信号である。
【0045】
変調回路330は、第1の変調信号と第2の変調信号とを生成し、第1の変調信号と第2の変調信号とを第1の導電層と第2の導電層との間に印加する。第1の変調信号は、第1の搬送波を第1のクロック信号でオンオフ変調することにより得られる信号である。第1の搬送波は、第1の周波数を有する搬送波である。第1の搬送波は、第1の発振回路により生成される。第1の発振回路は、例えば、発振回路361である。第2の変調信号は、第2の搬送波を第1のデータ信号でオンオフ変調することにより得られる信号である。第2の搬送波は、第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する搬送波である。第2の搬送波は、第2の発振回路により生成される。第2の発振回路は、例えば、発振回路362である。
【0046】
変調回路330は、スイッチ331と、スイッチ332と、スイッチ制御回路333と、を備える。スイッチ331は、発振回路361が生成した第1の搬送波の導電層111への導通又は遮断を制御するスイッチである。スイッチ332は、発振回路362が生成した第2の搬送波の導電層111への導通又は遮断を制御するスイッチである。スイッチ制御回路333は、スイッチ331の状態とスイッチ332の状態とを制御する回路である。例えば、スイッチ制御回路333は、第1のクロック信号がLレベルであるときに、スイッチ331を遮断状態に制御し、第1のクロック信号がHレベルであるときに、スイッチ331を導通状態に制御する。例えば、スイッチ制御回路333は第1のデータ信号がLレベルであるときに、スイッチ332を遮断状態に制御し、第1のデータ信号がHレベルであるときに、スイッチ332を導通状態に制御する。
【0047】
発振回路361は、第1の周波数を有する第1の搬送波を生成する回路である。発振回路362は、第2の周波数を有する第2の搬送波を生成する回路である。本実施形態では、第1の周波数は5MHzであり、第2の周波数は2MHzであるものとする。また、I2C通信のクロック周波数、つまり、第1のクロック信号の周波数は、10kHzであるものとする。
【0048】
バンドパスフィルタ371は、第1の周波数を有する信号を通過させ、第1の周波数以外の周波数を有する信号を遮断するフィルタである。つまり、バンドパスフィルタ371は、第1の搬送波を通過させ、第2の搬送波、並びに、第1の搬送波及び第2の搬送波の高調波などの通過を遮断するフィルタである。バンドパスフィルタ372は、第2の周波数を有する信号を通過させ、第2の周波数以外の周波数を有する信号を遮断するフィルタである。つまり、バンドパスフィルタ372は、第2の搬送波を通過させ、第1の搬送波、並びに、第1の搬送波及び第2の搬送波の高調波などの通過を遮断するフィルタである。
【0049】
次に、通信装置400の構成について説明する。通信装置400は、制御回路410と、通信回路420と、復調回路440と、第2の通信回路450と、を備える。
【0050】
制御回路410は、通信装置400の全体の動作を制御する。例えば、制御回路410は、通信回路420から供給されたシリアルデータに基づいて、第2の通信回路450を介して、通信対象装置500を制御する。
【0051】
通信回路420は、I2C通信を実現するための通信回路である。通信回路420は、復調回路440により生成された第2のクロック信号と第2のデータ信号とに基づいて、シリアルデータを取得する。つまり、通信回路420は、データ取得回路である。
【0052】
復調回路440は、導電層111と導電層112とを含む伝送路に接続され、高入力インピーダンスを有するバッファアンプ441を備え、このバッファアンプ441を介して伝送路に接続される。このバッファアンプ441の入力インピーダンスは、発振回路361の出力インピーダンス及び発振回路362の出力インピーダンスよりも十分に高いことが好適である。この場合、伝送路に対して並列に複数のバッファアンプ441が接続されても、第1の変調信号と第2の変調信号との受信が可能となる。つまり、本実施形態では、この伝送路に接続される通信装置400が備える復調回路440の個々の入力インピーダンスが高いため、多数の通信装置400がこの伝送路に並列に接続されても、正常な通信動作が実現可能となる。
【0053】
ここで、復調回路440は、第1の導体を備える導電層111と第2の導体を備える導電層112との間に印加された第1の変調信号を復調し、第2のクロック信号を生成する。例えば、復調回路440は、バンドパスフィルタ371と同様のバンドパスフィルタを介して、導電層111と導電層112との間に印加された第1の変調信号を取得する。そして、復調回路440は、第1の変調信号が振幅を有するか否かを判別して、第2のクロック信号を生成する。第2のクロック信号は、基本的に、第1のクロック信号と同様の信号であり、シリアルクロックに対応するディジタル信号である。なお、第2のクロック信号は、例えば、第1の変調信号が振幅を有しないときにLレベルとなり、第1の変調信号が振幅を有するときにHレベルとなる信号である。つまり、第2のクロック信号は、第1のクロック信号がHレベルであるときにHレベルとなり、第1のクロック信号がLレベルであるときにLレベルとなる信号である。
【0054】
また、復調回路440は、導電層111と導電層112との間に印加された第2の変調信号を復調し、第2のデータ信号を生成する。例えば、復調回路440は、バンドパスフィルタ372と同様のバンドパスフィルタを介して、導電層111と導電層112との間に印加された第2の変調信号を取得する。そして、復調回路440は、第2の変調信号が振幅を有するか否かを判別して、第2のデータ信号を生成する。第2のデータ信号は、基本的に、第1のデータ信号と同様の信号であり、シリアルデータに対応するディジタル信号である。なお、第2のデータ信号は、例えば、第2の変調信号が振幅を有しないときにLレベルとなり、第2の変調信号が振幅を有するときにHレベルとなる信号である。つまり、第2のデータ信号は、第1のデータ信号がHレベルであるときにHレベルとなり、第1のデータ信号がLレベルであるときにLレベルとなる信号である。
【0055】
第2の通信回路450は、通信装置400を通信対象装置500と通信可能にするための通信回路である。第2の通信回路450は、制御回路410による制御に従って、通信対象装置500を制御するための情報を通信対象装置500に送信する。通信対象装置500は、第2の通信回路450から受信した情報に従って、動作する。
【0056】
次に、
図6を参照して、クロック信号がどのように変化するのかについて説明する。まず、通信回路320は、シリアルクロックに対応するディジタル信号である第1のクロック信号を生成する。この第1のクロック信号は、変調回路330により第1の変調信号に変換される。導電層111と導電層112との間に重畳された第1の変調信号は、復調回路440により第2のクロック信号に変換される。この第2のクロック信号は、通信回路420が、第2のデータ信号からシリアルデータを取得するときに用いられる。
【0057】
ここで、例えば、第1のクロック信号がHレベルであるとき、第1の変調信号は振幅を有し、第2のクロック信号はHレベルである。一方、例えば、第1のクロック信号がLレベルであるとき、第1の変調信号は振幅を有さず、第2のクロック信号はLレベルである。
【0058】
次に、
図7を参照して、データ信号がどのように変化するのかについて説明する。シリアルデータは、通信回路320により第1のデータ信号に変換される。この第1のデータ信号は、変調回路330により第2の変調信号に変換される。導電層111と導電層112との間に重畳された第2の変調信号は、復調回路440により第2のデータ信号に変換される。この第2のデータ信号は、通信回路420によりシリアルデータに変換される。
【0059】
ここで、例えば、シリアルデータが1であるとき、第1のデータ信号はHレベルであり、第2の変調信号は振幅を有し、第2のデータ信号はHレベルである。一方、例えば、シリアルデータが0であるとき、第1のデータ信号はLレベルであり、第2の変調信号は振幅を有さず、第2のデータ信号はLレベルである。
【0060】
次に、第1の周波数と第2の周波数とについて説明する。第1の周波数を有する第1の変調信号と第2の周波数を有する第2の変調信号とは、同時に、導電層111と導電層112との間に印加される。従って、第1の周波数と第2の周波数とは、閾値以上の差があることが望ましい。この閾値は、例えば、バンドパスフィルタの性能やEMCの観点などを考慮して決定される。
【0061】
ところで、第1の周波数を有する第1の搬送波は第1のクロック信号によりオンオフ変調され、第2の周波数を有する第2の搬送波は第1のデータ信号によりオンオフ変調される。従って、第1の周波数は、第1のクロック信号の周波数よりも十分に高くする必要がある。同様に、第2の周波数は、第1のデータ信号の周波数よりも十分に高くする必要がある。このため、I2C通信の通信速度を高くするためには、第1の周波数と第2の周波数とを高くすることが望ましい。
【0062】
しかしながら、第1の周波数が高い程、第1の周波数を有する第1の変調信号の波長は短くなる。そして、第1の変調信号の波長が、繊維構造体110上における最も遠い2点間の長さよりも短い場合、繊維構造体110上に定在波が発生する。そして、繊維構造体110上に定在波が発生すると、第1の変調信号が減衰する箇所が生じ、通信装置300と通信装置400とが正常に通信できなくなる可能性が高まる。従って、第1の変調信号の波長は、繊維構造体110の長さに対して十分に長いことが好適である。なお、第1の変調信号の波長は、基本的に、第1の変調信号が繊維構造体110を伝播するときの第1の変調信号の波長であり、第1の変調信号の真空中における波長よりも短い。第2の変調信号の波長についても同様である。
【0063】
また、導電層111と導電層112との間の容量が大きい程、また、第1の周波数が高い程、導電層111と導電層112との間のインピーダンスが小さくなり、第1の変調信号が減衰する。第2の変調信号についても同様である。ここで、導電層111と導電層112との間の容量は、各種の制約により、あまり小さくできない可能性がある。また、第1の周波数も、通信速度などの制約により、あまり低くできない可能性がある。
【0064】
このような場合、
図8に示すように、導電層111と導電層112とにより構成されるコンデンサ114と並列にフィルタ回路373を設け、第1の周波数と第2の周波数とにおいて、コンデンサ114とフィルタ回路373との並列回路374の並列合成インピーダンスを高めることが好適である。これにより、第1の周波数と第2の周波数とにおけるゲインが高まり、第1の変調信号及び第2の変調信号の減衰率が低下することが期待できる。なお、
図8には、発振回路361を、内部抵抗364を有しない理想的な発振回路363と内部抵抗364とに分離し、発振回路362を、内部抵抗366を有しない理想的な発振回路365と内部抵抗366とに分離した例を示す。フィルタ回路373は、例えば、複数のインダクタと複数のコンデンサとを含む回路である。
【0065】
また、
図9に、信号の周波数と、並列回路374の並列合成インピーダンスとの関係を示す。
図9に示すように、基本的には、信号の周波数が高くなるほど、並列回路374の並列合成インピーダンスが低下するが、フィルタ回路373の選択により、第1の周波数と第2の周波数とにおいて、並列合成インピーダンスが比較的高くなることを示している。
【0066】
本実施形態によれば、繊維構造体110が備える2つの導電層を用いて、複数の通信装置間で適切にクロック信号とデータ信号とを用いたシリアル通信をすることができる。
【0067】
(実施形態2)
実施形態1では、第1の導電層として、メッシュ状の開孔が形成された導電層111を採用し、第2の導電層として、メッシュ状の開孔が形成された導電層112を採用する例について説明した。
図10に示すように、第1の導電層として、開孔を有しない導電層115を採用し、第2の導電層として、開孔を有しない導電層116を採用してもよい。
【0068】
かかる構成では、実施形態1で説明した鋲710を繊維構造体110に差し込むと、導電層116と鋲710とが接触し、導電層115と導電層116とが短絡する可能性がある。そこで、本実施形態では、
図10に示すように、鋲710の一部を絶縁体713で被服する。この場合、絶縁体713が導電層116と接触し、鋲710が導電層116と接触することが抑制される。
【0069】
(実施形態3)
実施形態1では、通信装置300から通信装置400にデータを送信し、通信装置400からは通信装置300にデータを送信しない例について説明した。ここで、通信対象装置500が、アクチュエータではなく、センサである場合等、通信装置400から通信装置300にデータを送信したい場合がある。この場合、通信装置300に復調機能を持たせ、通信装置400に変調機能を持たせることが好適である。
【0070】
この場合、例えば、
図11に示すように、通信装置300は、復調回路340を備える。復調回路340の機能は、基本的に、復調回路440の機能と同様である。つまり、復調回路340は、導電層111と導電層112とを含む伝送路に接続され、高入力インピーダンスを有するバッファアンプ341を備え、このバッファアンプ341を介して伝送路に接続される。また、通信装置400は、変調回路430と、発振回路461と、発振回路462と、バンドパスフィルタ471と、バンドパスフィルタ472とを備える。変調回路430の機能、発振回路461の機能、発振回路462の機能、バンドパスフィルタ471の機能、バンドパスフィルタ472の機能は、基本的に、それぞれ、変調回路330の機能、発振回路361の機能、発振回路362の機能、バンドパスフィルタ371の機能、バンドパスフィルタ372の機能と同様である。変調回路430は、スイッチ431と、スイッチ432と、スイッチ制御回路433とを備える。
【0071】
かかる構成によれば、通信装置400は、通信装置300にデータを送信することが可能となる。また、通信装置400は、通信装置300に、ACKを送信することも可能となる。また、通信装置400は、通信装置300に、ビジー状態を通知することも可能となる。
【0072】
(実施形態4)
実施形態3では、通信装置400が、第1のデータ信号だけでなく、第1のクロック信号も送信できるように、通信装置400に発振回路462等を持たせる例について説明した。しかしながら、基本的には、マスタである通信装置300が第1のクロック信号を送信すればよく、スレーブである通信装置400が第1のクロック信号を送信しなくてもよい。
【0073】
この場合、
図12に示すように、通信装置400は、発振回路461と、バンドパスフィルタ471と、を備えなくともよい。また、復調回路340は、SCLを復調する機能を有しなくてもよい。また、変調回路430は、スイッチ431を備えなくてもよい。
【0074】
かかる構成でも、通信装置400は、通信装置300にビジー状態を通知することはできないが、通信装置300にデータを送信することが可能となる。
【0075】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0076】
本発明において、上記実施形態において説明した構成、機能、動作のどの部分を採用するのかは任意である。また、本発明において、上述した構成、機能、動作のほか、更なる構成、機能、動作が採用されてもよい。また、上述した実施形態は、適宜、自由に組み合わせることができる。また、上述した実施形態で説明した構成要素の個数は、適宜、調整することができる。また、本発明において採用可能な素材、サイズ、電気的特性などが、上記実施形態において示したものに限定されないことは勿論である。
【0077】
例えば、通信対象装置500は、LEDなどを備える発光装置であってもよい。
【0078】
実施形態1では、ディジタル変調として、オンオフ変調を採用する例について説明した。ディジタル変調として、オンオフ変調以外のASK(Amplitude Shift Keying)変調、FSK(Frequency Shift Keying)変調、PSK(Phase Shift Keying)変調など、種々のディジタル変調を採用することができる。
【0079】
実施形態1では、被服100が備える繊維構造体110に本発明を適用する例について説明した。本発明を適用する繊維構造体110は、被服100が備えるものに限定されない。例えば、乗り物や施設内の座席や寝具に設けられた繊維構造体110に、本発明を適用してもよい。乗り物は、例えば、車、電車、航空機などである。施設は、例えば、娯楽施設、学校、病院などである。もしくは、家具や医療機器に設けられた繊維構造体110に、本発明を適用してもよい。
【0080】
また、繊維構造体110ではなく、複数の導電層を含む、繊維以外の素材により構成された構造体に、本発明を適用してもよい。また、層状に構成されていない複数の導体に、本発明を適用してもよい。例えば、2本の電線に、本発明を適用してもよい。
【解決手段】通信回路320は、シリアルクロックに対応するディジタル信号であるクロック信号と送信対象のシリアルデータに対応するディジタル信号であるデータ信号とを生成する。変調回路330は、第1の周波数を有する第1の搬送波をクロック信号でディジタル変調した第1の変調信号と第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の搬送波をデータ信号でディジタル変調した第2の変調信号とを生成し、第1の導体と第2の導体との間に印加する。復調回路440は、高入力インピーダンスを有するバッファアンプ441を備え、第1の変調信号と第2の変調信号とを復調し、クロック信号とデータ信号とを生成する。通信回路420は、クロック信号とデータ信号とに基づいて、シリアルデータを取得する。