特許第6498845号(P6498845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6498845
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】引込み装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/14 20060101AFI20190401BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20190401BHJP
   E05F 7/00 20060101ALI20190401BHJP
【FI】
   E05F1/14 A
   E05F5/02 E
   E05F7/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-519066(P2018-519066)
(86)(22)【出願日】2017年12月8日
(86)【国際出願番号】JP2017044120
(87)【国際公開番号】WO2018142762
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2018年4月27日
(31)【優先権主張番号】特願2017-19260(P2017-19260)
(32)【優先日】2017年2月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107572
【氏名又は名称】スガツネ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(72)【発明者】
【氏名】柏熊 一彰
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 学
(72)【発明者】
【氏名】小川 幸彦
【審査官】 鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−095979(JP,A)
【文献】 特開2009−127293(JP,A)
【文献】 特開2014−145180(JP,A)
【文献】 特開2014−098267(JP,A)
【文献】 特開2009−263964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/10−1/16
E05F 3/00−3/22
E05F 5/00−5/02
E05C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面コ字状のケースと、
前記ケースに引き出された位置と引込み位置との間を回転可能に支持されるアームと、
前記アームに連動して前記ケースの長さ方向に移動するスライダと、
前記アームに少なくとも引込み方向の回転力が働くように、前記スライダを付勢するばねと、を備える引込み装置において、
前記アームの回転の中心となる軸よりも前記ケースの長さ方向における一方側に前記スライダ及び前記ばねを配置し、
前記軸よりも前記ケースの前記長さ方向における他方側に前記アームを収容するためのケース開口部を配置し、
前記ケースは、上壁と、互いに対向する一対の側壁と、一方の側壁から他方の側壁に向かって突出する曲げ片と、を有し、
前記軸は、その両端部が前記上壁と前記曲げ片に支持される引込み装置。
【請求項2】
前記引込み装置は、
前記アームの引込み動作の少なくとも一部を制動するダンパを備え、
前記ダンパを前記ケースの前記他方側に配置することを特徴とする請求項1に記載の引込み装置。
【請求項3】
前記引込み装置は、
前記ケースの前記一方側に固定され、閉じた断面を持つ案内体を備え、
前記スライダが前記案内体内を移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の引込み装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉、蓋等を引き込むための引込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扉、蓋等(以下、扉等という)を引き込む引込み装置が知られている(特許文献1参照)。この引込み装置は、ケースと、ケースに引き出された位置と引込み位置との間を回転可能に支持されるアームと、アームに連動してケースの長さ方向に移動するスライダと、アームに少なくとも引込み方向の回転力が働くように、スライダを付勢するばねと、を備える。引込み装置は、扉等及び枠のいずれか一方に取り付けられる。アームに係合する受座軸は、扉等及び枠の他方に取り付けられる。
【0003】
最初にアームは引き出された位置にある。扉等を閉じるとき、受座軸が引き出された位置にあるアームに係合し、アームが引込み方向に回転する。アームが引込み方向に所定角度まで回転すると、ばねがスライダを付勢する力によって、アームに引込み方向の回転力が働く。このアームに働く引込み方向の回転力によって、扉等が自動的に閉まる。
【0004】
ところで、従来の引込み装置において、ケースはばね等の部品を組み込むことができるように断面コ字状に形成される。また、ケースには、アームを収容するためのケース開口部が形成される。そして、ばね、スライダ及びケース開口部は、アームの回転の中心となる軸よりもケースの長さ方向における同一側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5662509号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スライダには、ばねからの付勢力とアーム側からの力が働く。この合力によって、スライダには、ケースの側壁をケースの長さ方向と直交する方向に押す力が働く。従来の引込み装置にあっては、スライダに働く側壁を押す力によって、ケースが変形するおそれがあるという課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、ケースの変形を防止できる引込み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、断面コ字状のケースと、前記ケースに引き出された位置と引込み位置との間を回転可能に支持されるアームと、前記アームに連動して前記ケースの長さ方向に移動するスライダと、前記アームに少なくとも引込み方向の回転力が働くように、前記スライダを付勢するばねと、を備える引込み装置において、前記アームの回転の中心となる軸よりも前記ケースの長さ方向における一方側に前記スライダ及び前記ばねを配置し、前記軸よりも前記ケースの前記長さ方向における他方側に前記アームを収容するためのケース開口部を配置し、前記ケースは、上壁と、互いに対向する一対の側壁と、一方の側壁から他方の側壁に向かって突出する曲げ片と、を有し、前記軸は、その両端部が前記上壁と前記曲げ片に支持される引込み装置である。
【0009】
なお、本発明において、ケースの他方側にケース開口部を配置するとは、ケースの他方側におけるケース開口部の面積がケースの一方側におけるケース開口部の面積よりも大きいことを意味し、ケースの他方側にのみケース開口部を配置する場合も含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アームの回転の中心となる軸よりもケースの長さ方向における一方側にスライダ及びばねを配置し、他方側にアームを収容するためのケース開口部を配置するので、ケースの一方側の剛性がケース開口部によって低下するのを防止できる。したがって、スライダがケースの側壁をケースの長さ方向と直交する方向に押しても、ケースが変形するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の引込み装置が組み込まれる扉の上部の斜視図である。
図2】上記扉の平面図(枠の断面図)である(図2(a)は引き出された位置にあるアームが受座に係合する状態(扉の引込み開始位置)を示し、図2(b)はアームの引込み位置(扉の閉じ位置)を示す)。
図3】本実施形態の引込み装置の外観斜視図である。
図4】本実施形態の引込み装置の上面側分解斜視図である。
図5】本実施形態の引込み装置の下面側分解斜視図である。
図6】本実施形態の引込み装置の要部を示す斜視図(ケースの断面図を含む)である。
図7】本実施形態の引込み装置のダンパ位置調節機構を示す斜視図(ケースの断面図を含む)である。
図8】ダンパの位置を3段階に調節した例を示す側面図である(図8(a)はダンパの制動力が最も弱い例であり、図8(b)はダンパの制動力が中間の例であり、図8(c)はダンパの制動力が最も大きい例である)。
図9】受座を示す分解斜視図である。
図10】アームが引込み位置から引き出された位置まで回転するときの引込み装置の動作図である(図10(a)はアームの引込み位置を示し、図10(b)はリンクの平行位置を示し、図10(c)はリンクの思案点位置を示し、図10(d)はアームの引き出された位置を示す)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態の引込み装置を説明する。ただし、本発明の引込み装置は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明の範囲を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
【0013】
図1及び図2は、本実施形態の引込み装置1が組み込まれた扉2示す。図1は、扉2の上部の斜視図を示し、図2は、扉2の平面図(枠の断面図)を示す。枠3には、ヒンジ4を介して扉2が開閉可能に取り付けられる。扉2の上面には、引込み装置1が埋め込まれる。引込み装置1は、回転可能なアーム5を備える。アーム5は、図2(a)に示す引き出された位置と図2(b)に示す引込み位置との間を回転する。枠3の上枠の下面には、受座軸6(図2(a)参照)が設けられる。アーム5は、受座軸6に係合する。
【0014】
最初にアーム5は引き出された位置にある。開き位置にある扉2を閉じると、図2(a)に示すように、引き出された位置のアーム5が受座軸6に係合する(すなわち、アーム5の溝5aに受座軸6が嵌まる)。扉2をさらに閉じると、引き出された位置にあるアーム5が引込み方向に回転する。図2(b)に示すように、このアーム5に働く引込み方向の回転力によって、扉2が自動的に閉まる。このとき、アーム5は引込み位置にある。
【0015】
図3は、引込み装置1の外観斜視図を示す。アーム5は、ケース7に回転可能に支持される。ケース7には、アーム5が収容されるケース開口部8が形成される。アーム5の回転の中心となる軸9よりもケース7の長さ方向における一方側(図3の右側)には、スライダ11(図4参照)及びばね12(図4参照)が配置される。軸9よりもケース7の長さ方向における他方側(図3の左側)には、ケース開口部8が配置される。
【0016】
図4は、引込み装置1の上面側分解斜視図を示す。図5は、引込み装置1の下面側分解斜視図を示す。符号7はケース、符号5はアーム、符号9は軸、符号11はスライダ、符号12はばね、符号18はダンパである。
【0017】
なお、以下の説明において、説明の便宜上、引込み装置1を水平面に配置し、ケース7を長さ方向から見たときの方向、すなわち図4及び図5の上下、左右、前後を用いて引込み装置1の構成を説明する。もちろん、引込み装置1の配置は、このような配置に限られるものではない。
【0018】
図4に示すように、ケース7は、前後方向に長く、前後方向に直交する断面視でコ字状である。ケース7は、上壁7aと、上壁7aの幅方向の両端部から直角に曲がり、互いに対向する左右一対の側壁7b,7cと、を有する。ケース7の下面は、アーム5、スライダ11、ばね12、ダンパ18等の部品を挿入できるように開放する。ケース7の長さ方向の端面も、これらの部品を挿入できるように開放する。図5に示すように、側壁7cの下端部の前後方向の中央部には、対向する側壁7bに向かって突出する三角形状の曲げ片7dが形成される。
【0019】
図4に示すように、軸9は、その上下の両端部が上壁7aと曲げ片7dとに支持される。ケース7の上壁7aには、軸9が挿入される穴7a1が開けられる。軸9の下端部は、曲げ片7dにかしめ等の固定手段によって固定される。
【0020】
ケース7の、軸9よりも奥側には、アーム5の形状に合わせて切り欠かれた略四角形状のケース開口部8が形成される。正確にいえば、ケース開口部8の大部分は軸9よりも奥側に形成され、ケース開口部8の一部は穴7a1を避けるようにして、軸9よりも手前側にも形成される。ケース開口部8は、上壁7aと側壁7bとの交差部分にも形成される。
【0021】
アーム5は、軸9に軸受20を介して回転可能に支持される。アーム5は、横長で偏平状のアーム本体21と、アーム本体21に固定されるアーム軸部22と、を備える。アーム本体21の上面には、アーム本体21の長さ方向に延びる溝5aが形成される。この溝5aは、受座軸6を受け入れることができるように、後端部が開放する。
【0022】
アーム本体21とアーム軸部22とは、第1ピン31及び第2ピン32によって回転不可能に連結される。アーム軸部22は、略三角形状の上板部22aと、略三角形状の下板部22bと、を備える。上板部22a及び下板部22bには、第1ピン31及び第2ピン32が通される穴が開けられる。第1ピン31及び第2ピン32の上端部は、アーム本体21にかしめ等の固定手段によって固定される。
【0023】
第1ピン31は、アーム5に回転力を与えるためのものである。第1ピン31には、アーム5に回転力を与えるためのリンク23の一端部が回転可能に連結される。リンク23の一端部は、上板部22aと下板部22bとの間に挟まれる。第2ピン32は、アーム5の回転を制動するためのものである。第2ピン32には、アーム5に制動力を与えるためのダンパスライダ15が回転可能にかつスライド可能に連結される。
【0024】
ケース7の軸9よりも手前側には、案内体13、スライダ11、ばね12、ばねベース14が配置される。これらの部品は、アーム5に引込み方向又は引出し方向の回転力を与えるために設けられる。詳しくは後述するが、これらの部品は、リンク23が思案点を超えるまでは、アーム5に引込み方向の回転力を与え、リンク23が思案点を超えたら、アーム5に引出し方向の回転力を与える。
【0025】
案内体13は、断面が四角形の枠状であり、閉じた断面を持つ本体部13aと、本体部13aと一体に形成される筒部13bと、を備える。案内体13は、ケース7の側壁7b,7c間に嵌まり、かしめピン等の固定手段によってケース7に固定される。
【0026】
スライダ11は、案内体13内に隙間無く嵌まり、案内体13内をケース7の長さ方向に移動する。スライダ11は、ばね12の一端部が挿入される筒状のばね受け11aと、ばね受け11aと一体に形成され、案内体13の筒部13bに嵌まる筒部11bと、を備える。図6に示すように、筒部11bには、リンク23の他端部に設けられる第3ピン33が回転可能に嵌まる凹部11b1が形成される。
【0027】
図4に示すように、ばね12は、コイルスプリングである。ばね12の個数は2個であるが、限定されるものではない。ばね12は、スライダ11とばねベース14との間で圧縮されていて、スライダ11を後方向に付勢する。
【0028】
ばねベース14は、四角形の板状の本体部14aと、本体部14aに一体に形成され、ばね12内に突出する棒状の支持部14bと、を備える。ばねベース14は、かしめピン等の固定手段によってケース7に固定される。
【0029】
ケース7の軸9よりも奥側には、ダンパスライダ15、ダンパ18、ダンパベース16が配置される。これらの部品は、アーム5の引込み動作の一部を制動し、扉2が閉まるときの衝撃を緩和するために設けられる。
【0030】
ダンパスライダ15は、横長の箱状の本体部15aと、本体部15aに一体に形成される連結部15bと、を備える。本体部15a内の空間は、例えば十文字状の仕切り壁によって複数の収容空間に仕切られる。複数の収容空間には、複数のダンパ18が平行に配置される。連結部15bには、左右方向に長い長穴15b1が形成される。この長穴15b1には、第2ピン32が回転可能にかつスライド可能に嵌められる。
【0031】
ダンパ18は、リニアダンパである。ダンパ18の個数は4個であるが、限定されるものではない。ダンパ18は、ダンパベース16とダンパスライダ15との間に挟まれて制動力を発生する。
【0032】
ダンパベース16は、略直方体状であり、ケース7にかしめピン等の固定手段によって固定される。ダンパベース16には、ケース7の長さ方向に延びる溝16aが形成される。この溝16aには、ダンパ18の位置を調節するためのダンパ調節ブロック17が嵌められる。この実施形態では、ダンパ調節ブロック17の個数は1であり、1つのダンパ18の位置を調節する。
【0033】
図7に示すように、ダンパベース16の溝16aの上壁面には、鋸歯状の凹凸41が形成される。ダンパ調節ブロック17の上面にも、鋸歯状の凹凸42が形成される。ケース7には、ねじ19が貫通しスライドする長穴7a2が形成される。ダンパ調節ブロック17には、ねじ19が螺合するねじ穴が形成される。ねじ19を締めると、ダンパベース16の凹凸41とダンパ調節ブロック17の凹凸42とが噛み合い、ダンパ調節ブロック17がダンパベース16に固定される。ねじ19を緩めると、ダンパベース16の凹凸41とダンパ調節ブロック17の凹凸42との噛み合いが外れ、ダンパ調節ブロック17の前後方向の位置が調節可能になる。ダンパ調節ブロック17の位置を調節することで、ダンパ18の位置が調節される。図8(a)、図8(b)、図8(c)には、ダンパ18の位置を3段階に調節した例を示す。図8(a)はダンパ18の制動力が最も弱い例であり、図8(b)はダンパ18の制動力が中間の例であり、図8(c)はダンパ18の制動力が最も大きい例である。図4に示すように、ダンパスライダ15とダンパ18との間には、ダンパ18をダンパ調節ブロック17に付勢するダンパ戻しばね35が設けられる。
【0034】
図9は枠3に固定される受座51を示す。受座51は、枠3に固定される四角形の板状の座金52と、座金52の中央に設けられる受座軸6と、を備える。座金52は、ねじ等の固定手段によって枠3に固定される。座金52は化粧プレート53で覆われる。座金52に対する受座軸6の前後及び左右方向の位置は、位置調節機構によって調節可能になっている。受座51の構成は公知であるので、これ以上の詳しい説明を省略する。
【0035】
図10は、アーム5が引込み位置から引き出された位置まで回転するときの引込み装置1の動作図を示す。図10(a)に示すように、リンク23の一端部はアーム5に第1ピン31を介して回転可能に連結され、リンク23の他端部はスライダ11に第3ピン33を介して回転可能に連結される。このため、アーム5の回転とスライダ11の移動とは連動する。アーム5が引込み位置にあるとき、スライダ11にはばね12から図中左方向の付勢力が働く。また、スライダ11にはリンク23から図中右方向の力が働く。リンク23はケース7の長さ方向に対して傾斜しているので、これらの力の合力によって、スライダ11にはケース7の側壁を下方向に押す力P1(側圧)が働く。
【0036】
図10(b)に示すように、リンク23がケース7の長さ方向と平行になるまで、ケース7には側圧が働く。リンク23がケース7の長さ方向と平行であるとき、ケース7には側圧が働かず、以降は側圧の方向が切り替わる。
【0037】
図10(c)に示すように、軸9、第1ピン31、第3ピン33が一直線に並ぶときが、リンク23の思案点である。図10(a)、図10(b)に示すように、リンク23が思案点に到達するまでは、ばね12は、アーム5に引込み方向の回転力を与える。リンク23が思案点を超えたら、ばね12は、アーム5に引出し方向の回転力を与える。この回転力により、人手による扉2の開閉動作がアシストされる。
【0038】
リンク23が思案点にあるとき、スライダ11には、ばね12からの付勢力とアーム5側のリンク23からの力との合力によって、ケース7の側壁を上方向に押す力P2(側圧)が働く。
【0039】
図10(d)に示すように、アーム5が引き出された位置にあるとき、スライダ11には、ばね12からの付勢力とアーム5側のリンク23からの力との合力によって、ケース7の側壁を上方向に押す力P3(側圧)が働く。
【0040】
図10(d)に示すように、ダンパスライダ15はアーム5に第2ピン32を介して回転可能にかつスライド可能に連結される。アーム5が図10(d)に示す引き出された位置から図10(a)に示す引込み位置まで回転する間、ダンパスライダ15は図中左方向にスライドする。ダンパスライダ15が左方向に所定量以上移動すると、ダンパ18が作動し、アーム5の引込み動作の一部が制動される。これにより、扉2がゆっくり閉まるようになる。
【0041】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。ケース開口部8を軸9よりもケース7の奥側に配置するので、ケース7の手前側の剛性がケース開口部8によって低下するのを防止できる。したがって、スライダ11にケース7の側壁7b,7cを押す力が発生しても、断面コの字状のケース7が変形するのを防止できる。
【0042】
また、ケース7の側壁7b,7cを押す力が発生しにくいダンパ18をケース7の奥側に配置するので、ケース開口部8があるケース7の奥側が変形するのを防止できる。
【0043】
さらに、ケース7に閉じた断面を持つ案内体13を固定し、スライダ11が案内体13を移動するように構成するので、断面コの字状のケース7が変形するのをより防止できる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施形態に変更できる。
【0045】
上記実施形態では、アームとスライダとの間にリンクを介在させているが、アームとスライダとにカム面を形成し、アームとスライダとを直接的に接触させることもできる。
【0046】
上記実施形態では、扉に引込み装置を取り付け、枠に受座を取り付けているが、扉に受座を取り付け、枠に引込み装置を取り付けることもできる。
【0047】
本明細書は、2017年2月6日出願の特願2017−019260に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
【符号の説明】
【0048】
1…引込み装置
5…アーム
7…ケース
8…ケース開口部
9…アームの回転の中心になる軸
11…スライダ
12…ばね
13…案内体
18…ダンパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10