(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のサイン波及び前記第2のサイン波を合成するステップは、第1の係数Aによって重み付けされた前記所望の周波数の前記第1のサイン波を、第2の係数Bによって重み付けされた前記周波数fresonantの前記第2のサイン波に加算するステップを含み、
A+B=1である、請求項1に記載の方法。
プロセッサにより実行されたときに、前記プロセッサに、共振周波数を有するリニア共振アクチュエータ(linear resonance actuator(LRA))にハプティック効果を生成させる命令を有するコンピュータ可読媒体であって、前記ハプティック効果を生成することは、請求項1から6に記載の方法の少なくとも1又はそれ以上を含む、コンピュータ可読媒体。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態は、リニア共振アクチュエータ(linear resonance actuator(“LRA”))を用いてハプティック効果を生成するシステムである。実施形態は、共振しない周波数においてLRAを駆動するために複数の信号を合成し、LRAの帯域幅を増加させる。
【0008】
LRAの1つのタイプは、振動を発生するために可動質量、永久磁石、ボイスコイル及びばねを使用してもよい。ボイスコイルは、永久磁石と作用する磁場を生成し、永久磁石が、取り付けられたばねを圧縮又は引っ張るように移動させる。駆動信号は、電流の方向を交互にする(すなわち、交流(alternating current (“AC”))信号)必要があり、ばねにより永久磁石の振動往復移動をするために磁場を生成する。可動質量は、永久磁石に取り付けられ、質量の往復移動が振動を発生させる。別のタイプのLRAは、ピエゾ曲げ時に質量が線形/振動態様で移動するように取り付けられた質量を有する2又はそれ以上の圧電セラミックスの層を含んでもよい。振動信号で駆動される振動モータを含むさらに別のタイプのLRAもまた、本明細書に開示された実施形態で用いられてもよい。
【0009】
AC駆動信号は、周波数及び振幅を有することができる。高い振幅及び大きな振動は、与えられた周波数のために出力される。しかし、駆動信号の周波数は、重要な要因となりうる。LRAは、発生させた振動を最大化するために、入力信号を動作する共振周波数を有する。振動性能は、入力信号周波数が共振周波数からかなり離れた場合に非常に弱くなる。したがって、ほとんどのハプティックデバイスは、ハプティック効果を生成するときに、LRAの共振周波数において駆動信号を供給する。ハプティック効果を生成するために用いられるほとんどのLRAは、150−200Hzの範囲内での共振周波数を有する。
【0010】
LRAを使用する既存のハプティックシステムと対比して、本発明の実施形態により生成されるハプティック効果のタイプは、LRAの共振周波数以外で、効果的であるLRAの増加された範囲/帯域幅を必要とする。具体的には、本発明の一実施形態に係るシステム10のブロック図を示す。システム10は、タッチ検出面11又はハウジング15内に搭載される他のタイプのユーザインターフェースを含む。システム10は、さらに、無線(例えば、ブルートゥース)又は有線通信リンクを用いてシステム10の他の部分と通信するペン/スタイラス13を含む。
【0011】
システム10の内部は、スタイラス13と共に、接触面11又はハウジング15のようなシステム10の他の領域で追加的に振動30,31を発生するハプティックフィードバックシステムである。ハプティックフィードバックシステムは、プロセッサ又はコントローラ12を含む。プロセッサ12に接続されるのは、メモリ10及びアクチュエータ駆動回路16であり、LRA18に接続される。プロセッサ12は、任意のタイプの汎用プロセッサであってもよく、特定用途向け集積回路(“ASIC”)のようなハプティック効果を提供するために特別に設計されたプロセッサであってもよい。プロセッサ12は、システム10全体を動作する同一のプロセッサであってもよく、別のプロセッサであってもよい。プロセッサ12は、どのようなハプティック効果がプレイされるか、及び効果がハイレベルパラメータの一部に基づいてプレイされる命令を決定することができる。通常、特定のハプティック効果を定義するハイレベルパラメータは、大きさ(magnitude)、周波数及び持続期間を含む。ストリーミングモーターコマンドのようなローレベルパラメータも特定のハプティック効果を決定するために用いられうる。ハプティック効果は、ハプティック効果が生成される又はユーザの相互作用に基づくこれらのパラメータの振動であるときに、これらのパラメータのいくつかの振動を含む場合に、“動的”であるとみなされる。
【0012】
プロセッサ12は、制御信号をアクチュエータ駆動回路16へ出力し、これは、所望のハプティック効果を生じるために必要とされる電流及び電圧(つまり、“モーター信号”)をLRA18に供給するために用いられる電子コンポーネント及び回路を含む。システム10は、一以上のLRA18又は他のタイプのアクチュエータを含んでもよく、各アクチュエータは、全て共通にプロセッサ16に接続される別々の駆動回路16を含んでもよい。
【0013】
メモリ装置20は、ランダムアクセスメモリ(“RAM”)又はリードオンリーメモリ(“ROM”)のような任意のタイプの記憶装置又はコンピュータ可読媒体であってもよい。メモリ20は、プロセッサ12により実行される命令を記憶する。メモリ20は、ハプティック効果モジュール22を含み、命令のうち、以下に、より詳細に開示されるようにプロセッサ12により実行されたときに、LRA18の出力帯域幅を増加させるLRA18のための駆動信号を生成する命令である。メモリ20は、プロセッサ12の内部に配置されてもよく、又は内部及び外部メモリの組み合わせでもよい。
【0014】
接触面11は、接触を認識し、表面の接触の位置及び大きさを認識する。接触に対応するデータは、プロセッサ12又はシステム10内の別のプロセッサへ送信され、プロセッサ12は、接触を読み取り、それに応じて、ハプティック効果信号を生成することができる。接触面11は、容量検出、抵抗検出、表面音波検出、圧力検出、光学検出等を含む任意の検出技術を用いて接触を検出する。接触面11は、マルチタッチコンタクトを検出し、同時に生じる複数の接触を区別することが可能であってもよい。接触面11は、キー、ダイヤル等とやりとりするためにユーザに画像を生成及び表示するタッチスクリーンであってもよく、最小限の又は画像を表示しないタッチパッドであってもよい。
【0015】
システム10は、携帯電話機、パーソナルデジタルアシスタント(“PDA”)、スマートフォン、コンピュータタブレット/パッド、ゲーミングコンソール等のようなハンドヘルドデバイスであってもよく、一又はそれ以上のLRAを含むハプティック効果システムを含む任意の他のタイプのデバイスであってもよい。システム10は、ハプティック効果を生成する一又はそれ以上LRAを含むウェアラブルデバイス(例えば、ブレスレット、アームバンド、グローブ、ジャケット、ベスト、眼鏡、靴、ベルト等)であってもよい。ユーザインターフェースは、タッチ検出面であってもよく、マウス、タッチパッド、ミニジョイスティック、スクロールホイール、トラックボール、ゲームパッド又はゲームコントローラ等のような任意の他のタイプのユーザインターフェースであってもよい。
【0016】
一実施形態では、LRA18及び駆動回路16は、スタイラス13内に配置され、スタイラス13に直接的にハプティック効果を生成する。この実施形態では、ハプティック効果システムの残りの要素は、ハウジング15内に配置され、スタイラス13と通信する。上述したように、システム10は、標準的なLRAよりも広い周波数応答範囲を有することをLRA18に要求し、これは、共振なしで設計される多様なハプティック効果を生成する必要があるためである。例えば、一実施形態は、ユーザによりスクリーン11に“ドロー(draw)”を行うために用いられたときにテクスチャをシミュレートするために、スタイラス13にハプティック効果を生成する。LRA18によりさらに生成されるハプティック効果は、スタイラス13に、異なる共振しないハプティック信号を用いてペン又は鉛筆をシミュレートさせることができる(すなわち、スタイラス13は、ハプティック効果がLRA18により生成されたことに応じて、ユーザがペン又は鉛筆のように感じることができる)。これらのタイプのハプティック効果は、さらに、振動の周波数及び強度の独立の変化を必要としてもよい。
【0017】
LRAを使用する既存のハプティック効果システム(例えば、Immersion Corpから出ている“Touchsense 3000”)は、通常、パルス幅変調(“PWM”)信号(すなわち、パルス幅が変調された矩形波を有する)を用いてハプティック駆動信号と通信するためのコントローラを用いる。これらの既知のシステムは、周波数が、通常、アクチュエータの共振周波数(通常は175Hz)に対応するAC駆動信号を必要とする。一方で、一実施形態は、LRAの帯域幅を増加させるために周波数及び強度の独立制御を可能にする。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態に係るハプティック効果の周波数パラメータのハンドリングを示す。
図2の例では、ハプティック効果は、Immersion Corp.から出ている“TS5000 Player”により最終的にレンダリング又はプレイされ、その周波数特性に基づく異なる手法で読み取られる。
【0019】
具体的には、入力効果202のような低周波数(例えば、20Hz以下)のために、周波数及び波形は、エンベロープ(包絡線)として読み取られる。例えば、効果がサイン波である場合、効果の強度は上昇し、かつ以下のようにサイン波の形状を下降させる。出力効果208は、LRAの共振周波数においてなされ、入力効果202により変調される。アクチュエータ容量に応じて、このパルス効果は、一実施形態において、設計された周波数が約20Hz又はそれ以下である場合にのみなされうる。このパルスする範囲のための抽出周波数は、LRAの共振周波数及び立ち上り時間(又はアクチュエータが公称加速度に達する時間)に依存する。
【0020】
入力効果210のような高周波数(例えば、150Hzより大きい)のために、周波数パラメータは、サービスプロバイダインターフェース(Service Provider Interface(“SPI”))213又は他のインターフェースユニットへ通過される。一実施形態のSPI213は、周波数及び強度値を(ブルートゥース又は他の媒体を通じて)スタイラス13へ送信する能力を有しており、エンベロープを一致させるために効果強度を拡大縮小する。この技術は、LRA(例えば、約150−250Hz)の共振周波数の近傍の周波数の範囲に対して効果的である。
【0021】
上述した“低い(low)”及び“高い(high)”周波数ハプティック効果に対して、“中間範囲(mid−range)”の周波数ハプティック効果(例えば、20−150Hz)について、実施形態は、上記のモードの間で推移する。周波数範囲は、使用されるアクチュエータに依存しており、LRA用の通常又は共通の中波周波数範囲よりも低くなる。例えば、中間範囲の下限は、2Hz以下であり、中間範囲の上限は、200Hz以上でありうる。実施形態は、生成され、かつ増加されたLRA帯域幅のハプティック効果のために、高周波数と低周波数との間を推移する以下の技術の一又はそれ以上を実装する。
【0022】
遷移点
一実施形態では、臨界範囲(すなわち、例えば、20−150Hzの“中間範囲”周波数)における単一のポイントが選択される。当該ポイントを下回る任意の所望の周波数は、所望の周波数においてサイン波を有する共振周波数において信号を包絡線にすることによりレンダリングされる。当該ポイントを上回る任意の所望の周波数は、アクチュエータを直接駆動するために用いられる。しかし、一つの駆動モードから他の駆動モードへの遷移は急激であり、振動の強度は、遷移点の近傍では非常に弱い。共振点での信号の周波数と立ち上がり時間+立ち下げ時間との不均衡が大きくなると、信号遷移点の効果が小さくなる。
【0023】
遷移点は、例えば、LRA18に実装されるようなデバイスに実装される加速度計を用いて加速度を測定することによりアルゴリズム的に求められてもよい。テスト用の駆動信号は、デバイスの共振周波数において、サイン波が乗算された低周波数から高周波数へ変化する(周波数スイープ)サイン又は矩形波からなり、臨界範囲が広がる。加速は、包絡線波により上昇及び下降し、各周期でのピーク加速度は、包絡線周波数が増加すると、減少する。さらに、サイン波周波数スイープ(共振成分なし)がプレイされ、デバイスの共振周波数に達するまで周波数が増加すると、通常、強度が増加する第2の加速度追跡を生成する。強度を最適化するための最良の遷移点は、これらの2つの加速度計のグラフが交差して追跡する点である。
【0024】
別の実施形態では、遷移点は、これらの2つの周波数スイープをユーザが感じることによりマニュアルで決定されてもよい。個人的な嗜好又は他の要因に基づいて低い又は高い推移点を有することが好ましい。
【0025】
設計選択
別の実施形態では、遷移点は、(例えば、Immersion Corp.から出ている“Haptic Studio”を用いた)ハプティック効果の設計者が、効果に使用するためのモードを選択するような、設計時の決定でありうる。実施形態は、追加のパラメータを効果の定義に提供すること、既存のパラメータが追加の離散値を含むように拡張すること、又は既存のパラメータを再利用若しくは再定義することにより、この決定を実装してもよい。
【0026】
搬送波
別の実施形態は、共振周波数に加えられる搬送波としてハプティック効果の所望の周波数を使用する。使用可能な周波数範囲を増加する一方で、遷移領域での強度を維持するために、2つの複合波形が使用されてもよい。
図3は、一実施形態に係る搬送波を用いる複合波形300を示す。
図3の波形300は、2つのサイン波の合計であるが、高い周波数波は、矩形波であってもよい。波形300は、以下のように定義される。
【数1】
ここで、A+B=1であり、V
desiredはアクチュエータの所望の駆動電圧であり、f
resonantは、位相波形を避けるために、LRAの真の共振周波数とできるだけ近いf
desiredの整数倍である。一実施形態は、その結果が真の共振周波数とできるだけ近くなるように、所望の周波数f
desiredに整数を乗算することによりf
resonantを決定する。例えば、実際の共振周波数が175Hzであり、55Hzが所望される場合、因数「3」がf
resonantのための165Hzの値をもたらす。因数「4」は、220Hzの値をもたらす。165Hzは、真の共振周波数に近く、そのため、この周波数が使用される。
【0027】
拡大縮小された結果物
別の実施形態では、サイン包絡線パルスと直接駆動モードとの間の円滑な遷移のために、包絡線信号は、以下のように両駆動信号の成分を生成するために共振周波数又はその近傍におけるサイン波に加えられうる。
【数2】
ここで、A+B=1であり、AとBとは、包絡線共振信号が範囲の下限で支配的であり、直接駆動信号が範囲の上限近傍で支配的であるように遷移範囲に亘って逆に拡大縮小される。V
desiredはアクチュエータの所望の駆動電圧であり、f
resonantは、位相波形を回避するためにアクチュエータの真の周波数とできるだけ近い複数のf
desiredである。
図4は、一実施形態に係る拡大縮小された結果物を用いる複合波形400を示す。
【0028】
図5a−5dは、一実施形態に係る拡大縮小された結果物の様々な波形を示す。
図5aは、一実施形態に係る、共振周波数波形501及び乗じられた緩やかな包絡線波形502を示す。
図5bは、一実施形態に係る
図5aの拡大縮小された包絡線波形503を示す。
図5cは、一実施形態に係る、拡大縮小された直接駆動波形504を示す。
図5dは、一実施形態に係る、
図5cの拡大縮小された直接駆動波形504に加えられる、
図5bの拡大縮小された包絡線波形503から形成される、拡大縮小された複合波形505を示す。
【0029】
上述した全ての実施形態では、共振しないLRAの駆動は、ハプティック効果の強度の減衰をもたらす。よって、いくつかの実施形態は、flatter応答曲線を実現するために共振しない駆動信号をブーストする(すなわち、加速度計により測定される加速度対駆動周波数のグラフ)。実施形態は、他の既存の方法に加えて、以下の一又はそれ以上の方法を用いて当該信号をブーストしうる。
1.ゲインを、独立な信号に寄与する各サイン波に適用する。
2.周波数の存在に基づくスケール要因を、算出された複合波に乗算する。
3.所定のスケール要因を算出された複合波に乗算し、共振周波数における強度を減衰するために一又はそれ以上のフィルタ(例えば、ノッチ、ハイパス、ローパス等)を適用する。
【0030】
図6は、一実施形態に係る、LRAを用いてハプティック効果を生成する場合の
図1のシステム10の機能のフロー図である。一実施形態では、
図6のフロー図の機能は、メモリ又は他のコンピュータ可読若しくは有形媒体に記憶され、かつプロセッサにより実行されるソフトウェアにより実装される。別の実施形態では、前記機能は、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせ(例えば、特定用途向け集積回路(“ASIC”)、プログラマブルゲートアレイ(“PGA”)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(“FPGA”)等)により行われてもよい。
【0031】
602において、ハプティック効果信号が受信される。ハプティック効果信号は、ハプティック効果を生成するLRAの共振しない周波数(すなわち、LRAの共振周波数ではない)である周波数(すなわち、所望の周波数又は“f
desired”)を有する。
【0032】
604において、所望の周波数においてサイン波が生成される。
【0033】
606において、LRAの共振周波数又はその近傍におけるサイン波が生成される。一実施形態では、サイン波周波数は、共振しない周波数の整数倍である周波数であるが、可能な限り共振周波数に近い(“f
resonant”)。
【0034】
608において、604及び606からのサイン波形は、合成され、LRAの最大定格駆動電圧が乗算され、結果としてハプティック効果信号を生成する。一実施形態では、サイン波は、以下のように合成される。
【数3】
別の実施形態では、サイン波は、以下のように合成される。
【数4】
演算は、0と1の間であり、そのため、得られるスカラは、LRAが扱うことができる最大駆動電圧が乗算される。一実施形態では、演算は、浮動小数点0..1ではなく、−127..127の範囲内で整数を用いる。
【0035】
上述したように、実施形態は、共振しない周波数成分を含むハプティック効果を生成する。ハプティック効果の生成では、ハプティック効果を生成するLRAの帯域幅は、ハプティック効果をレンダリング可能なように拡張される。
図7は、本発明の実施形態に係る、主に共振周波数においてハプティック効果を生成するLRAのグラフ702、及び増加される範囲/帯域幅を有するハプティック効果を生成するLRAのグラフ704を示す。
【0036】
いくつかの実施形態は、本明細書に具体的に図示される、及び/又は説明される。しかし、開示された実施形態の修正及び変更は、本発明の趣旨及び意図される範囲から逸脱しない範囲で、上記の教示及び添付の特許請求の範囲の範囲に包含される。例えば、いくつかの実施形態は、LRAを使用するが、ハプティック効果を生成するときに、共振しない周波数において性能が鋭く減衰することを体験するアクチュエータデバイスを有する任意のシステムが本発明の実施形態を使用することができる。