特許第6499080号(P6499080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6499080安定化されたインスリン様成長因子ポリペプチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6499080
(24)【登録日】2019年3月22日
(45)【発行日】2019年4月10日
(54)【発明の名称】安定化されたインスリン様成長因子ポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/65 20060101AFI20190401BHJP
   C12N 15/16 20060101ALI20190401BHJP
   A61K 38/30 20060101ALI20190401BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20190401BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20190401BHJP
【FI】
   C07K14/65ZNA
   C12N15/16
   A61K38/30
   A61P21/00
   !C07K19/00
【請求項の数】10
【全頁数】81
(21)【出願番号】特願2015-547255(P2015-547255)
(86)(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公表番号】特表2016-501025(P2016-501025A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】IB2013060985
(87)【国際公開番号】WO2014097116
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月5日
(31)【優先権主張番号】61/738,475
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フォルナロ,マラ
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ズリーニ,マウロ
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−535967(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/011073(WO,A1)
【文献】 特表2008−526233(JP,A)
【文献】 特表2009−539383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/65
C12N 15/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIGF−1バリアントを含むポリペプチドであって、
前記ポリペプチドは、ヒトIGF−1の生物活性を有し、かつヒト野生型IGF−1と比較して、インビトロ系でのC2C12筋管及び含脂肪細胞(3T3−L1)において、より低いグルコース取り込みを誘導し、インビボでIGF−1治療の低血糖のリスクを低下させる活性を有し、
前記ヒトIGF−1バリアントは、配列番号1に示されるアミノ酸配列における42位におけるアミノ酸グリシンがセリンに変異している、ヒトIGF−1バリアントを含むポリペプチド。
【請求項2】
前記ヒトIGF−1バリアントが、
a.アミノ酸E3が欠失し、
b.アミノ酸G42がセリンに変異し、かつ、
c.アミノ酸R37がアラニンに変異している
改変を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ヒトIGF−1バリアントが、
a.アミノ酸G1、P2及びE3が欠失しており、
b.アミノ酸G42がセリンに変異しており、かつ、
c.アミノ酸R37がアラニンに変異している
改変を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
前記ヒトIGF−1バリアントが、
a.アミノ酸G1、P2及びE3が欠失しており、
b.アミノ酸G42がセリンに変異しており、
c.アミノ談R36がグルタミンに変異しており、かつ、
d.アミノ酸R37がアラニンに変異している
改変を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号1に示されるアミノ酸配列の42位のアミノ酸グリシンがセリンに変異している、ヒトIGF−1バリアント
【請求項6】
配列番号1に示されるアミノ酸配列の42位のアミノ酸グリシンがアミノ酸セリンによって置換されているヒトIGF−1バリアントであって、以下:
(a)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され若しくは欠失しており、又は
(b)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、又は
(c)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37が置換され若しくは欠失しており、又は
(d)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、又は
(e)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニンによって置換されており、又は
(f)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、又は
(g)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37が置換され若しくは欠失しており、又は
(h)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、又は
(i)アミノ酸G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されている、ヒトIGF−1バリアント
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチド又は請求項5又は6に記載のバリアントをコードする核酸分子を含むポリヌクレオチド。
【請求項8】
治療に使用するための、請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチド又は請求項5又は6に記載のバリアントを含む医薬組成物。
【請求項9】
必要とする患者における筋障害を治療するための、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記筋障害が筋萎縮である、請求項9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明はインスリン様成長因子1(IGF−1)改変の分野にある。特に、本発明は、ヒト免疫グロブリンFc領域に連結している改変されたIGF−1ポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
インスリン様成長因子(IGF)は、細胞がそれらの生理環境で連絡するために使用する複合系の部分である。この複合系(しばしばインスリン様成長因子軸と称される)は、2つの細胞表面受容体(IGF−1R及びIGF−2R)、2つのリガンド(IGF−1及びIGF−2)、6つの高親和性IGF結合タンパク質(IGFBP1〜6)のファミリー及び関連するIGFBP分解酵素(プロテアーゼ)からなる。この系は、正常な生理の調節だけでなく、多くの病理学的状態にも重要である(Glass, Nat Cell Biol 5:87-90, 2003)。
【0003】
IGF軸は細胞増殖の促進及び細胞死(アポトーシス)の阻害において役割を果たすことが示されている。IGF−1はヒト成長ホルモン(hGH)による刺激の結果として肝臓によって主に分泌される。ヒトの身体におけるほとんど全ての細胞、特に筋肉、軟骨、骨、肝臓、腎臓、神経、皮膚及び肺における細胞は、IGF−1による影響を受ける。インスリン様効果に加えて、IGF−1はまた、細胞成長を調節できる。IGF−1及びIGF−2はIGF結合タンパク質として知られている遺伝子産物のファミリーによって調節される。これらのタンパク質は、IGF受容体への結合を阻止することによってIGF作用を阻害すること、及び受容体への送達を補助し、血流中のIGF半減期を増加させることによってIGF作用を促進することの両方を含む複雑な手段でIGF作用を調節するのに役立つ。少なくとも6つの特性付けされた結合タンパク質(IGFBP1〜6)が存在する。
【0004】
その成熟形態において、ソマトメジンとも呼ばれるヒトIGF−1は、培養物中の広範囲の細胞の成長を刺激することが示されている70アミノ酸の小タンパク質である。IGF−1タンパク質は3つの公知のスプライスバリアントmRNAによって最初にコードされる。各mRNAのオープンリーディングフレームは、70アミノ酸IGF−1(配列番号1)及び特定のIGF−1 mRNAに応じて、C末端における特定のE−ペプチドを含有する前駆タンパク質をコードする。これらのE−ペプチドは、
【化1】
ペプチドと呼ばれており、35〜87アミノ酸長の範囲であり、N末端において共通配列領域及びC末端において可変配列領域を包含する。例えば、IGF−1−Eaについての野生型オープンリーディングフレームは、リーダー配列を含む135アミノ酸のポリペプチド及びリーダー配列を含まない105アミノ酸のポリペプチド
【化2】
をコードする。生理的発現において、E−ペプチドは内因性プロテアーゼによって前駆体から切断されて成熟70アミノ酸IGF−1を生じる。ヒト血清におけるIGF−1の利用可能性及び半減期は、プロテアーゼ及びIGF−1結合タンパク質(IGFBP)によって主に影響を受け、調節される。IGFBPはIGF−1活性を阻害又は増強できる(Oh Y, et al., Characterization of the affinities of insulin-like growth factor (IGF)-binding proteins 1-4 for IGF-I, IGF-II, IGF-I/insulin hybrid, and IGF-I analogs. Endocrinology. 1993 Mar;132(3):1337-44)。IGF−1の半減期を増加させる戦略は従来技術に記載されている。意図されている戦略は、
(i)セリンプロテアーゼによるヒト血清におけるIGF−1の切断を阻止すること、又はIGF−1の利用可能性若しくは血清半減期に対するIGF−1結合タンパク質の負の影響を軽減することを目的とする特異的変異を含むIGF−1バリアントの産生(WO200040613、WO05033134、WO2006074390、WO2007/146689)、
(ii)成熟IGF−1タンパク質がヒト免疫グロブリンFc領域に融合している、IGF−1融合タンパク質の産生(WO2005033134、WO200040613)、
(iii)プロテアーゼによるIGF−1からのE−ペプチドの切断が前駆タンパク質の改変によって低下する、IGF−1前駆タンパク質の使用(WO2007146689)、
(iv)上記の戦略の組合せ((i)/(ii)WO05033134、(i)/(ii)WO200040613、(i)/(iii)WO2007146689)である。
【0005】
上記の戦略にも関わらず、ヒト免疫グロブリンFc領域に融合したIGF−1前駆体バリアントは主に2つの理由のために不十分な薬物候補のままである:(i)哺乳動物産生系における低い産生収率、及び(ii)低血糖、治療に関する有害事象を生じる可能性がある、未改変のヒト野生型IGF−1と比較してインスリン受容体(InsR)に対する増加した結合親和性。
【0006】
従って、上記の従来技術の問題を克服する技術についての必要性が存在する。本発明は多くの態様においてこの必要性に対処するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本開示の第1の主題は、ヒトIGF−1(hIGF−1)タンパク質を含むポリペプチドであって、前記hIGF−1タンパク質の42位におけるアミノ酸グリシンが欠失し又は置換されており、アミノ酸の番号付けが配列番号1に対応する、ポリペプチドに関する。
【0008】
本開示のさらなる実施形態は、ヒトIgGの免疫グロブリンFc領域に融合したヒトIGF−1タンパク質を含むポリペプチドであって、ヒトIGF−1タンパク質の42位におけるアミノ酸グリシンが欠失し又は置換されており、アミノ酸の番号付けが配列番号1に対応する、ポリペプチドに関する。
【0009】
本開示の別の主題は、ヒトIGF−1前駆タンパク質を含むポリペプチドであって、
前記ヒトIGF−1前駆タンパク質の42位におけるアミノ酸グリシンが欠失し又は置換されており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、ポリペプチドに関する。
【0010】
本開示のさらなる実施形態は、ヒトIgGの免疫グロブリンFc領域に融合したヒトIGF−1前駆タンパク質を含むポリペプチドであって、ヒトIGF−1前駆タンパク質の42位におけるアミノ酸グリシンが欠失し又は置換されており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、ポリペプチドに関する。
【0011】
特定の実施形態において、本開示は、42位におけるアミノ酸グリシンが欠失し又はセリンによって置換されている、上記のポリペプチドに関する。
【0012】
さらなる実施形態において、上述のヒトIGF−1タンパク質は、アミノ酸G1、P2、E3、R36、R37、K68、S69及び/又はA70においてさらなる欠失又は変異を含む。
【0013】
さらなる実施形態において、上述のヒトIGF−1前駆タンパク質は、Ea−ペプチド及びアミノ酸G1、P2、E3、R36、R37、K68、S69、A70、R71、S72、R74、R77、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105のさらなる欠失又は変異を含む。
【0014】
本開示の上記の実施形態と組み合わせてもよい、さらに別の実施形態において、ヒトIGF−1前駆タンパク質及びFc領域はペプチドヒンジ領域によって分離している。
【0015】
従って、本開示はまた、ペプチドヒンジ領域が、ペプチドヒンジ1(配列番号22)、ヒンジ2(配列番号23)及びヒンジ3(配列番号24)からなる群から選択される、上記のヒトIGF−1前駆タンパク質に関する。
【0016】
特定の実施形態において、アミノ酸R74、R77及び/又はR104にてEa−ペプチドにおいて変異している場合、前記アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している、上記のヒトIGF−1前駆タンパク質。
【0017】
上記のヒトIGF−1タンパク質又はヒトIGF−1前駆タンパク質を含む又はそれからなるポリペプチドであって、
a.アミノ酸E3、R71及びS72が欠失しており、
b.アミノ酸G42が欠失し又はセリンによって置換されており、かつ、
c.アミノ酸R37がアラニンに変異しており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、ポリペプチド。
【0018】
本開示の別の特定の実施形態は、E−ペプチドがEa−ペプチドであり、
a.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、
b.アミノ酸G42が欠失し又はセリンに変異しており、かつ、
c.アミノ酸R36、R74、R77及びR104がグルタミンに変異しており、
d.アミノ酸R37がアラニンに変異しており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、
上記のヒトIGF−1前駆タンパク質に関する。
【0019】
本開示の別の特定の実施形態は、E−ペプチドがEa−ペプチドであり、
a.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71、S72、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105が欠失しており、
b.アミノ酸G42が欠失し又はセリンに変異しており、かつ、
c.アミノ酸R36、R74及びR77がグルタミンに変異しており、かつ、
d.アミノ酸R37がアラニンに変異しており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、
上記のヒトIGF−1前駆タンパク質に関する。
【0020】
同様に、本開示は、E−ペプチドがEa−ペプチドであり、
a.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、
b.アミノ酸G42が欠失し又はセリンに変異しており、
c.アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミンに変異しており、かつ、
d.アミノ酸R37がグルタミン酸に変異しており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、
上記のヒトIGF−1前駆タンパク質に関する。
【0021】
同様に、本開示は、E−ペプチドがEa−ペプチドであり、
a.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71、S72、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105が欠失しており、
b.アミノ酸G42が欠失し又はセリンに変異しており、
c.アミノ酸R74及びR77がグルタミンに変異しており、かつ、
d.アミノ酸R37がグルタミン酸に変異しており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、
上記のヒトIGF−1前駆タンパク質に関する。
【0022】
さらに特定の実施形態において、本開示は、E−ペプチドがEa−ペプチドであり、
a.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、
b.アミノ酸G42が欠失し又はセリンに変異しており、かつ、
c.アミノ酸R36、R74、R77及びR104がグルタミンに変異しており、
d.アミノ酸R37がアラニンに変異しており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応し、かつ、
e.IGF−1前駆タンパク質及びFc領域がヒンジペプチドヒンジ1(配列番号22)によって分離している、
上記のヒトIGF−1前駆Fc融合タンパク質に関する。
【0023】
さらに、本開示は、E−ペプチドがEa−ペプチドであり、
a.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、
b.アミノ酸G42が欠失し又はセリンに変異しており、
c.アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミンに変異しており、
d.アミノ酸R37がグルタミン酸に変異しており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応し、かつ、
e.IGF−1前駆タンパク質及びFc領域がヒンジペプチドヒンジ3(配列番号24)によって分離している、
上記のヒトIGF−1前駆Fc融合タンパク質に関する。
【0024】
特定の実施形態において、本開示は、Fc領域がFc受容体へのその結合を調節するように改変されている、上記のポリペプチドに関する。
【0025】
従って、本開示は、Fc領域が、
I.Fc受容体に対するその親和性を低下させ、
II.ADCC活性を低下させ、又は
III.ADCC活性を阻止する
ように改変されている、上記のヒトIGF−1前駆Fc融合タンパク質に関する。
【0026】
本開示の別の特定の実施形態は、配列番号8又は配列番号9又は配列番号10又は配列番号11又は配列番号12又は配列番号13又は配列番号14又は配列番号27を含む上記のヒトIGF−1前駆Fc融合タンパク質に関する。
【0027】
本開示の上記の実施形態と組み合わせてもよい、特定の実施形態において、ヒトIGF−1前駆Fc融合タンパク質はグリコシル化される。
【0028】
別の態様において、本開示は、上記のヒトIGF−1前駆Fc融合タンパク質をコードする核酸分子を含むポリヌクレオチドに関する。
【0029】
従って、本開示は、配列番号15又は配列番号16又は配列番号17又は配列番号18又は配列番号19又は配列番号20又は配列番号21に記載される核酸分子を含むポリヌクレオチドに関する。
【0030】
本開示は、治療に使用するための上記に開示したヒトIGF−1前駆タンパク質のいずれか1つを含むポリペプチドを含む医薬組成物をさらに提供する。
【0031】
本開示の別の実施形態において、上述の治療的使用は、それを必要とする患者における筋障害の治療である。本開示の特定の実施形態において、治療的使用は、除脂肪体重(lean body mass)の喪失及び/若しくは筋肉疲労を患っている熱傷患者の治療又はCOPD患者の治療又はケネディ病(Kennedy disease)患者の治療又は慢性腎疾患患者の治療である。
【0032】
本開示のさらなる実施形態において、上記の筋障害は筋萎縮である。従って、本開示のいくつかの態様において、治療的使用は、肥満関連サルコペニア、サルコペニア及び糖尿病関連筋萎縮の治療である。
【0033】
本開示は、必要とする患者における筋障害を治療する方法であって、治療有効量の本発明の上記のヒトIGF−1前駆タンパク質を投与する工程を含む、方法をさらに提供する。
【0034】
従って、1つの特定の実施形態において、本開示は、除脂肪体重の喪失及び/若しくは筋肉疲労を患っている熱傷患者を治療する方法又はCOPD患者を治療する方法又はケネディ病患者を治療する方法又は慢性腎疾患患者を治療する方法に関する。
【0035】
さらに、本開示は、必要とする患者における筋障害を治療する方法であって、筋障害が、肥満関連サルコペニア、サルコペニア及び糖尿病関連筋萎縮からなる群から選択される筋萎縮である、方法を提供する。
【0036】
別の実施形態において、本開示は、42位におけるアミノ酸グリシンが欠失している、上記のIGF−1ポリペプチド又はIGF−1前駆ポリペプチドに関する。別の実施形態において、本開示は、前記タンパク質がペグ化される、上記のIGF−1ポリペプチド又はIGF−1前駆ポリペプチドに関する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】IGF−1Rに対する結合親和性 rhIGF1Rに対するhIGF−1及びIGF−1バリアントの高親和性結合は表面プラズモン共鳴(Biacore)を使用して測定した。
図2-1】(A〜D):NIH3T3−IGF−1R細胞形質転換体におけるIGF−1Rのリン酸化 ヒトIGF−1受容体(NIH3T3−IGF−1R)を過剰発現するNIH3T3細胞を成長培地中で24時間培養し、無血清培地中で18時間飢餓し、等モル濃度の示したペプチドにより37℃にて10分間刺激した。IGF−1Rリン酸化レベルをELISAによって分析した。受容体リン酸化を対照の%±標準偏差(SD)として表す(New York University School of Medicine Department of Pathologyにて1962年に単離され、開始された細胞株由来のNIH 3T3マウス胎児線維芽細胞;Todaro GJ, Green H . Quantitative studies of the growth of mouse embryo cells in culture and their development into established lines. J. Cell Biol. 17: 299-313, 1963)。
図2-2】(A〜D):NIH3T3−IGF−1R細胞形質転換体におけるIGF−1Rのリン酸化 ヒトIGF−1受容体(NIH3T3−IGF−1R)を過剰発現するNIH3T3細胞を成長培地中で24時間培養し、無血清培地中で18時間飢餓し、等モル濃度の示したペプチドにより37℃にて10分間刺激した。IGF−1Rリン酸化レベルをELISAによって分析した。受容体リン酸化を対照の%±標準偏差(SD)として表す(New York University School of Medicine Department of Pathologyにて1962年に単離され、開始された細胞株由来のNIH 3T3マウス胎児線維芽細胞;Todaro GJ, Green H . Quantitative studies of the growth of mouse embryo cells in culture and their development into established lines. J. Cell Biol. 17: 299-313, 1963)。
図3-1】(A〜D):NIH3T3−InsR細胞形質転換体におけるInsRのリン酸化 ヒトインスリン受容体(NIH3T3−InsR)を過剰発現するNIH3T3細胞を成長培地中で24時間培養し、無血清培地中で18時間飢餓し、等モル濃度の示したペプチドにより37℃にて10分間刺激した。InsRリン酸化レベルをELISAによって分析した。受容体リン酸化を任意の単位±標準偏差(SD)として表す。
図3-2】(A〜D):NIH3T3−InsR細胞形質転換体におけるInsRのリン酸化 ヒトインスリン受容体(NIH3T3−InsR)を過剰発現するNIH3T3細胞を成長培地中で24時間培養し、無血清培地中で18時間飢餓し、等モル濃度の示したペプチドにより37℃にて10分間刺激した。InsRリン酸化レベルをELISAによって分析した。受容体リン酸化を任意の単位±標準偏差(SD)として表す。
図4】(A〜C):ヒト及びカニクイザル初代筋芽細胞におけるIGF−1Rのリン酸化 細胞を成長培地中で培養し、4時間飢餓し、次いで37℃にて15分間、hIGF−1又はhIGF−1バリアントにより刺激した。IGF−1Rリン酸化レベルを、DuoSet ICヒト蛍光体−IGF1Rを使用してELISAによって分析した。受容体リン酸化を対照の%±標準偏差(SD)として表す。
図5】(A〜D):マウス筋管及び含脂肪細胞におけるグルコース取り込み 3T3−L1含脂肪細胞(B及びD)及びC2C12マウス筋管(A及びC)細胞を24ウェルプレート上に播種し、無血清DMEM中で4時間培養した。次いで無血清DMEMを、3T3−L1含脂肪細胞及びC2C12のそれぞれについてKRP緩衝液又はHBSと置き換えた。細胞を37℃にて指定したペプチドにより1時間処理した。グルコース取り込みを、0.4(含脂肪細胞)又は0.8(C2C12)μCiの[H]2−デオキシ−D−グルコース及び0.1(含脂肪細胞)又は0.01(C2C12)mMの2−デオキシ−D−グルコースを、室温にて10分間(含脂肪細胞)又は5分間(C2C12)加えることによって測定した。放射線をシンチレーション計数によって分析した。
図6】グルコース取り込み:含脂肪細胞における経時変化 3T3−L1含脂肪細胞を24ウェルプレート上に播種し、無血清DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中で4時間培養した。次いで無血清DMEMをKRP緩衝液と置き換え、細胞を37℃にて指定したペプチドにより、15、60、90及び120分の間、処理した。グルコース取り込みを、0.4μCiの[3H]2−デオキシ−D−グルコース及び0.1mMの2−デオキシ−D−グルコースを、室温にて10分間加えることによって測定した。放射線をシンチレーション計数によって分析した。3T3−L1は脂肪組織に関する生物学的研究において使用される3T3細胞由来の細胞株である;Green H, Kehinde O (1975). "An established preadipose cell line and its differentiation in culture. II. Factors affecting the adipose conversion". Cell 5 (1): 19-27。
図7】(A〜B): 成体のオスのラット(n=3/群)に、10mg/kgにて、hIGF−1−Ea−Fc_mut 13/2_A又はhIGF−1−Ea−Fc_mut 04/2_Eの静脈内(i.v.)ボーラス又は皮下(s.c.)注射を与えた。一連の血液検体を、試験物質の投与後、2、4、8、24、48、72、96、168及び336時間に採取した。組換えタンパク質の血清濃度をELISAによって決定した。
図8】(A〜C):デキサメタゾン誘導性筋萎縮に対するhIGF−1−Ea−Fc_変異体の効果。 群(A)ビヒクル、(B)Dex、(C)3.8mg/kg/日、s.c.ミニポンプ注入にてhIGF−1とDex、(D)3mg/kg/日、s.c.eodにてhIGF−1−Ea−Fc_mut_13/2_AとDex、(E)10mg/kg/日、s.c.eodにてhIGF−1−Ea−Fc_mut_13/2_AとDex、及び(F)3mg/kg/日、s.c.eodにてhIGF−1−Ea−Fc_mut_13/2_AとDexの身体(A)及び筋肉(B及びC)の体重変化。値を平均±SEM(n=4〜6)として表す。群Bに対して、:P<0.05、**:P<0.01、**:P<0.001、群Aに対して、###P<0.001(ANOVAに従ったダネット多重比較検定)。
図9】HEK293細胞における異なるG42変異を有するIGF−1バリアントの産生 FuGeneでトランスフェクトした100mlスケールHEK293F培養物からの産生データ。清浄した細胞培養上清物から分析プロテインA HPLCによって力価を測定した。プロテインA精製後、濃度を測定した。SEC−MALSによって精製タンパク質の凝集レベルを測定した。
図10】2つの異なるCHO細胞株から発現したhIGF1−Ea−D1−3、R37A、D71−72、77−fc(配列番号6)(濃い灰色)及びhIGF1−Ea−hFc_mut13/2_A(配列番号9)(明るい灰色)の短縮された物質の割合。トランスフェクトしたCHOK1派生細胞及びCHO−DUX11派生細胞の精製タンパク質(プロテインAクロマトグラフィー)から短縮された物質の割合を決定した。逆相LC−MS分析によって短縮の割合を決定した。短縮された物質の割合は、両方の細胞株においてhIGF1−Ea−hFc_mut13/2_Aについて顕著に低い。
図11】バイオリアクターの試行における組換え抗体を発現するCHO−K1派生細胞(太線)及びhIGF−1Ea3mut(配列番号27)を発現するCHO−K1派生細胞(点線)の細胞成長。B:バイオリアクターの試行における生存細胞の百分率(太線、CHO−K1派生クローンを産生する抗体、点線、hIGF−1Ea 3mutを発現するクローン)。
図12】生存細胞数:実線はCHO−K1派生細胞の細胞成長を示す。野生型IGF−1又はhIGF−1Ea 3mutとの共培養の間、細胞成長は阻害される(それぞれ点線及び破線)。3回の生物学的反復の平均を示す。IGF−1/hIGF−1Ea 3mutは2日目に急上昇した(急上昇実験)。B:細胞生存率:実線はCHO−K1派生細胞の細胞生存率を示し、点線、破線は、それぞれ、IGF−1/hIGF−1Ea 3mut急上昇後に低下した細胞生存率を示す。細胞生存率は、細胞をIGF−1/hIGF−1Ea 3mutと共インキュベートした場合、2日早く下降する。細胞成長又は細胞生存率においてIGF−1とhIGF−1Ea 3mutとの相違は検出できなかった。
図13】CHO−DUXB11派生細胞の細胞成長(太線)及びIGF−1Ea 3mutとの共培養の間に低下した細胞成長(点線)を示す。IGF−1Rチロシンキナーゼ阻害剤NVPAEW541(アスタリスクを有する太線)を加えた後、細胞成長はわずかに低下する。IGF−1Ea 3mutとの共培養及びIGF−1Rチロシンキナーゼ阻害剤の添加により、さらなる細胞成長阻害は生じなかった(アスタリスクを有する点線)。
図14】太線において野生型(WT)CHO−K1派生細胞の細胞成長及び円を有する太線においてIGF−1との共培養の間の低下した細胞成長を示す。点線により、3つのIGF−1R KOクローンの細胞成長を示す。細胞成長は野生型CHO−K1派生細胞と比較してわずかに改善した。IGF−1との共培養により、少しのみの細胞成長阻害が生じ、細胞成長はIGF−1と共培養していない野生型CHO−K1派生細胞と同様である。
図15】14日のバッチ培養のIGF−1−Fc融合タンパク質力価を示す(プールレベル)。5つの異なる細胞株における7つの異なるIGF−1−Fc融合タンパク質の発現を強調する。IGF−1−Fc融合タンパク質の発現は、CHO−K1又はCHO−DUXB11派生野生型細胞株と比較して、CHO−K1派生IGF−1R−KO細胞株、CHO−DUXB11派生IGF−1R−KO細胞株及びCHO−DUXB11派生shRNA(IGF−1R及びINSRの発現は低下した)細胞株において5〜20倍増加した。
図16】50ml振盪フラスコ中の14日のバッチ培養のIGF−1−Fc融合物の力価。IGF−1−Fc融合タンパク質の力価:15個の最適なCHO−DUXB11派生IGF−1R−KOクローンにおけるhIGF−1−Ea−fc_mut 13/2_Aは、IGF−1−Fc融合タンパク質:CHO−DUXB11派生野生型細胞クローンにおけるhIGF−1−Ea−Δ1−3、R37A、Δ71−72、R77Q−fcドメインの力価と比較して約6〜7倍高かった。
図17】HEK293F細胞におけるIGF−1バリアントの産生及びタンパク質チャレンジ。 PEIでトランスフェクトした100mlスケールHEK293T培養物からの産生データ。プロテインA精製後の収率を1L培養体積に対して外挿した。プロテインA精製後にSEC−MALSによって凝集を測定した。精製タンパク質を、5日間、CHOK1由来細胞及び20日間、CHODUXB11由来細胞からの馴化CHO培地とインキュベートした。残存している完全長タンパク質の百分率を示す。方法は実施例2に記載されている。
図18】NIH3T3−InsR細胞形質転換体におけるInsRのリン酸化 ヒトインスリン受容体(NIH3T3−InsR)を過剰発現するNIH3T3細胞を、成長培地中で24時間培養し、無血清培地中で18時間飢餓し、等モル濃度の示したペプチドにより37℃にて10分間刺激した。InsRリン酸化レベルをELISAによって分析した。受容体リン酸化を任意の単位±標準偏差(SD)として表す。
図19-1】マウス筋管及び含脂肪細胞におけるグルコース取り込み 3T3−L1含脂肪細胞(A)及びC2C12マウス筋管(B)細胞を24ウェルプレート上に播種し、無血清DMEM中で4時間培養した。次いで無血清DMEMを、3T3−L1含脂肪細胞及びC2C12のそれぞれについてKRP緩衝液又はHBSと置き換えた。細胞を37℃にて指定したペプチドにより1時間処理した。0.4(含脂肪細胞)又は0.8(C2C12)μCiの[H]2−デオキシ−D−グルコース及び0.1(含脂肪細胞)又は0.01(C2C12)mMの2−デオキシ−D−グルコースを室温にて10分間(含脂肪細胞)又は5分間(C2C12)加えることによってグルコース取り込みを測定した。放射線をシンチレーション計数によって分析した。
図19-2】マウス筋管及び含脂肪細胞におけるグルコース取り込み 3T3−L1含脂肪細胞(A)及びC2C12マウス筋管(B)細胞を24ウェルプレート上に播種し、無血清DMEM中で4時間培養した。次いで無血清DMEMを、3T3−L1含脂肪細胞及びC2C12のそれぞれについてKRP緩衝液又はHBSと置き換えた。細胞を37℃にて指定したペプチドにより1時間処理した。0.4(含脂肪細胞)又は0.8(C2C12)μCiの[H]2−デオキシ−D−グルコース及び0.1(含脂肪細胞)又は0.01(C2C12)mMの2−デオキシ−D−グルコースを室温にて10分間(含脂肪細胞)又は5分間(C2C12)加えることによってグルコース取り込みを測定した。放射線をシンチレーション計数によって分析した。
【発明を実施するための形態】
【0038】
一般的定義
本発明をより容易に理解できるようにするために、特定の用語を最初に定義する。さらなる定義は詳細な説明を通して記載される。
【0039】
含む:「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味し、例えば、Xを「含む」組成物は、Xのみからなってもよいか、又は追加のもの、例えばX+Yを含んでもよい。
【0040】
「Δ」という記号又は「d」若しくは「D」という文字:タンパク質を記載している文脈(例えば、「hIGF−1−Ea−Δ1−3、R37A、Δ71−72、R77Q−fcドメイン」又は「hIGF−1−Ea−D1−3、R37A、D71−72、R77Q−fcドメイン」)において、アミノ酸欠失を指す。一例として、「D71−72、77」(タンパク質の文脈において、hIGF1−Ea−D1−3、R37A、D71−72、77−fc)という用語は、アミノ酸71、72及び77が欠失しているという事実を記載している。
【0041】
インスリン様成長因子1タンパク質又はそのバリアント:「インスリン様成長因子1タンパク質又はそのバリアント」という語句は、インスリン様成長因子1遺伝子によってコードされるタンパク質を指し、特に、ヒトインスリン様成長因子1(hIGF−1)タンパク質及びそのバリアントが好ましい。IGF−1タンパク質バリアントはIGF−1野生型配列と少なくとも1つのアミノ酸が異なるタンパク質であり、「野生型配列」という用語は、少なくとも1つの天然に存在する生物において利用可能なポリペプチド若しくは遺伝子配列又はヒトにより変化、変異若しくは別様で操作されていないポリペプチド若しくは遺伝子配列を指す。IGF−1バリアント及びIGF−1模倣物という用語は、本文献全体を通して交換可能に使用される。IGF−1バリアントはまた、ペプチドリーダー配列を含むIGF−1前駆タンパク質又はpro−IGF−1タンパク質である。IGF−1バリアントはまた、IGF−1タンパク質を含む融合タンパク質、例えば、免疫グロブリンFc領域に融合したIGF−1タンパク質を含むタンパク質である。IGF−1バリアントの例は、とりわけ、特許出願WO05033134(stabilized IGF-1 protein fused to an immunoglobulin Fc region)及びWO2007146689(stabilized IGF-1 precursor proteins)に開示されている。上記のIGF−1バリアントは、このようなタンパク質が野生型IGF−1の機能的等価物としてみなされ得るという意味でその生物活性を保持する。
【0042】
IGF−1タンパク質に関する機能的等価物は、天然又は人工変異を含むIGF−1タンパク質として理解されなければならない。変異は、IGF−1タンパク質の生物活性を減少しない1つ又は複数の核酸の挿入、欠失又は置換であってもよい。少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%超の同一性、非常に特に好ましくは100%未満であるが、少なくとも98%の同一性を有する機能的等価物は、IGF−1野生型タンパク質、例えばヒトIGF−1タンパク質配列番号1と同一である。上記の融合タンパク質の場合、100%同一性はこのような融合タンパク質のIGF−1部分に基づいてのみ定義される。
【0043】
インスリン様成長因子(IGF)は、細胞がそれらの生理環境で連絡するために使用する複合系の部分である。この複合系(しばしばインスリン様成長因子軸と称される)は、2つの細胞表面受容体(IGF−1R及びIGF−2R)、2つのリガンド(IGF−1及びIGF−2)、6つの高親和性IGF結合タンパク質(IGFBP1〜6)のファミリー及び関連するIGFBP分解酵素(プロテアーゼ)からなる。この系は、正常な生理の調節だけでなく、多くの病理学的状態にも重要である(Glass, Nat Cell Biol 5:87-90, 2003)。IGF軸は細胞増殖の促進及び細胞死(アポトーシス)の阻害において役割を果たすことが示されている。IGF−1はヒト成長ホルモン(hGH)による刺激の結果として肝臓によって主に分泌される。ヒトの身体におけるほとんど全ての細胞、特に筋肉、軟骨、骨、肝臓、腎臓、神経、皮膚及び肺における細胞は、IGF−1による影響を受ける。インスリン様効果に加えて、IGF−1はまた、細胞成長を調節できる。IGF−1及びIGF−2はIGF結合タンパク質として知られている遺伝子産物のファミリーによって調節される。これらのタンパク質は、IGF受容体への結合を阻止することによってIGF作用を阻害すること、及び受容体への送達を補助し、血流中のIGF半減期を増加させることによってIGF作用を促進することの両方を含む複雑な手段でIGF作用を調節するのに役立つ。少なくとも6つの特性付けされた結合タンパク質(IGFBP1〜6)が存在する。IGF−1は広範囲の治療用途に使用される。メカセルミン(商標名Increlex(商標))は成長阻害の治療に承認されているIGF−1の合成類似体である。複数の会社が、1型糖尿病、2型糖尿病、筋萎縮性側索硬化症、重度の熱傷及び筋強直性ジストロフィーを含む、種々のさらなる症状について臨床試験においてIGF−1を評価している。明確性及び一貫性のために、本出願及び請求項を通してIGF−1前駆体又は成熟タンパク質におけるアミノ酸残基の番号付けは、ヒトインスリン様成長因子1(ソマトメジンC)、シグナルペプチドを有さないアイソフォームCRA_c(受託番号EAW97697)(すなわち配列番号5)の野生型前駆タンパク質配列の番号付けに基づく。
【0044】
哺乳動物細胞:開示されている方法の文脈において「哺乳動物細胞」という用語は、工業的製造規模でタンパク質産生に適切である哺乳動物細胞を指す。これらの細胞は当業者に周知であり、例えば、チャイニーズハムスター(Cricetulus griseus)、ミドリザル(Cercopithecus aethiops)、ホモサピエンス(Homo sapiens)、ゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)、ハツカネズミ(Mus musculus)及びオナガザル種(Chlorocebus species)に由来する。それぞれの細胞株は、CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣)、COS細胞(サルの腎臓(アフリカミドリザル)に由来する細胞株、ベロ細胞(アフリカミドリザルから抽出された腎臓上皮細胞)、ヒーラ細胞(この株はHenrietta Lacksから得た子宮頸癌細胞に由来した)、BHK細胞(ベビーハムスター腎臓細胞、HEK細胞(ヒト胎児腎臓)、NS0細胞(マウス骨髄腫細胞株)、C127細胞(非腫瘍形成性マウス細胞株)、PerC6(登録商標)細胞(ヒト細胞株、Crucell)、CAP細胞(CEVEC’s Amniocyte Production)及びSp−2/0細胞(マウス骨髄腫細胞)として知られている。
【0045】
本出願の文脈において「安定化されたIGF−1の従来技術のタンパク質の受容体特異性」という用語はまた、低血糖、治療に関する有害事象を誘導するリスクを低下させる従来技術のIGF−1バリアントと比較して本発明のIGF−1分子のインスリン受容体リン酸化を誘導する低下した能力(減少した効力及び/又は有効性)を指す。
【0046】
前駆体:以下において、本発明の文脈に使用される場合、「前駆体」という用語は、シグナルペプチドを有さないが、Ea、Eb及びEcペプチドのそれぞれを含む、成熟ヒトIGF−1タンパク質の前駆体を指す。
【0047】
発明の詳細な説明
免疫グロブリンFc領域に融合したEa−ペプチドを含む分子であって、タンパク質残基G1、P2、E3、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R77が欠失し又はグルタミンによって置換されており、R37アミノ酸がアラニンによって置換されている、分子(hIGF1−Ea−del1−3、R37A、del71−72、77−fcドメイン(配列番号6)及びhIGF1−Ea−del1−3、R37A、del71−72、R77Q−fcドメイン(配列番号7))が、産生され、試験された。哺乳動物細胞系におけるhIGF1−Ea−del1−3、R37A、del71−72del71−72、77−fcドメイン(配列番号6)の発現は凝集及び分解の問題のために可能ではなかった(産生タンパク質の90%超が分解した;図10を参照のこと)。
【0048】
さらに、hIGF1−Ea−del1−3、R37A、del71−72del71−72、77−fcドメイン(配列番号6)タンパク質は、NIH3T3 InsRリン酸化アッセイにおいて未改変の成熟IGF−1と比較して受容体特異性の減少を示した(図3を参照のこと)。
【0049】
それ故、ヒト免疫グロブリンFc領域に融合したIGF−1前駆体バリアントは、(i)哺乳動物産生系における低い産生収率、及び(ii)低血糖、治療に関する有害事象を生じる可能性がある、未改変のヒト野生型IGF−1と比較してインスリン受容体(InsR)に対する増加した結合親和性のために、不十分な薬物候補である。
【0050】
本発明は、(1)哺乳動物細胞産生系における産生収率及び(2)天然IGF−1タンパク質又は安定化されたIGF−1の従来技術のタンパク質の受容体特異性が、さらなる特定のアミノ酸変異を導入することによって改善され得るという驚くべき観察に基づき、異なる変異は異なる問題を解決し、前記変異は、産生収率、効果及び/又は受容体特異性に関連する複数の問題を扱うために組み合わせてもよい。
【0051】
特定の驚くべき結果は、G42位にて変異している(G42S置換)ヒトIGF−1タンパク質(配列番号1)が、未改変のヒト野生型IGF−1と比較して、インビトロ系でのC2C12筋管及び含脂肪細胞(3T3−L1)において、より低いグルコース取り込みを誘導し、インビボでのIGF−1治療の低血糖のリスクを低下させ得るという観察であった(図18)。
【0052】
さらに特定の驚くべき結果は、G42位にて変異している(欠失又は特定の置換)ヒトIGF−1前駆体の従来技術のタンパク質が、未改変のヒト野生型IGF−1と同様のインスリン受容体(InsR)リン酸化を刺激する能力を示し、従来技術のIGF−1バリアントの低血糖のリスクを減少させるという観察であった(図3)。さらにより驚くべきことは、G42S変異が、哺乳動物細胞における免疫グロブリンFc領域に融合しているヒトIGF−1前駆体の従来技術のタンパク質の産生収率に対してさらなるプラスの影響を有し(図10/17)、すなわち、産生収率にマイナスの影響を与える凝集体の形成が、G42S変異を導入することによって劇的に低下され得るという観察であった(図9/17)。従って、本発明は、ある程度まで、ヒトIGF−1タンパク質又はそのヒトIGF−1前駆体バリアントにおけるアミノ酸グリシン42を操作することによって、治療的IGF−1バリアントの開発における2つの主要な技術的障害を克服できるという驚くべき発見に基づく。別の態様において、本発明は、前記融合タンパク質が哺乳動物細胞プロテアーゼによって容易に分解されるので、ヒトIgGの免疫グロブリンFc領域に融合している従来技術のIGF−1前駆タンパク質が、哺乳動物細胞において工業規模で産生できないという問題についての解決策を提供する。従って、別の態様において、本発明は、IGF−1 Ea−ペプチド前駆体バリアントにおける特定のアミノ酸を操作することによって、治療的IGF−1前駆体バリアントの開発におけるさらなる主要な技術的障害が克服できるという驚くべき発見に基づく。
【0053】
このような分子の例には、限定されないが、以下のポリペプチドが含まれる:
【0054】
アミノ酸G42が欠失しているヒトIGF−1タンパク質(配列番号1)。
【0055】
アミノ酸G42がアミノ酸セリンによって置換されているヒトIGF−1タンパク質(配列番号1)。
【0056】
アミノ酸G42がアミノ酸セリンによって置換されており、アミノ酸が以下である、ヒトIGF−1タンパク質(配列番号1)
(a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され若しくは欠失しており、又は
(b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、又は
(c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37が置換され若しくは欠失しており、又は
(d)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、又は
(e)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニンによって置換されており、又は
(f)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、又は
(g)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37が置換され若しくは欠失しており、又は
(h)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、又は
(i)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されている。
【0057】
アミノ酸G42がアミノ酸セリンによって置換されており、アミノ酸E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニンによって置換されている、ヒトIGF−1タンパク質(配列番号1)。
【0058】
アミノ酸G42がアミノ酸セリンによって置換されており、アミノ酸E3が欠失しており、アミノ酸R37が、免疫グロブリンFc領域、特に改変されたFc領域、特に以下に記載されているようにFc受容体へのその結合を調節するように改変されているFc領域に融合したアラニンによって置換されている、ヒトIGF−1タンパク質(配列番号1)。
【0059】
本発明の別のポリペプチドは配列番号117のヒトIGF−1タンパク質である。
【0060】
本発明の別のポリペプチドは配列番号118のヒトIGF−1前駆タンパク質である。
【0061】
上述の従来技術のIGF−1 Eaペプチド前駆タンパク質のアミノ酸R74、R77、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105の変異又は欠失は、哺乳動物細胞によって発現される場合、分解されていないタンパク質のより高い収率を導くことが発見されている。さらに、R74、R77、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105位の上述の変異/欠失の組合せは相乗効果を生じることが発見されている。従って、一実施形態において、改変されたIGF−1タンパク質がEa−ペプチド(配列番号2)を含むならば、R74、R77、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105は、本明細書に開示されている改変されたIGF−1前駆タンパク質において欠失し又は変異している。一実施形態において、R74、R77及び/又はR104は本明細書に開示されているIGF−1前駆タンパク質においてQに変異している。さらなる実施形態において、K68、S69、A70、R71及び/又はR72はさらに、本明細書に開示されている改変されたIGF−1前駆タンパク質において欠失していてもよい又は変異していてもよい。
【0062】
従って、本発明は、ヒトIGF−1前駆タンパク質を含有する、すなわち、ヒトIGF−1由来のEa−ペプチドを含む、ポリペプチドであって、42位におけるアミノ酸グリシンが欠失し又は別のアミノ酸によって置換されており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、ポリペプチドを提供する。E−ペプチドは、Ea、Eb又はEcペプチド(配列番号2〜4)であってもよい。特定の実施形態において、42位におけるアミノ酸グリシンは欠失し又はアミノ酸若しくはセリンによって置換されている。
【0063】
一実施形態において、上記のG42位にて変異している(欠失し又はセリンに変異している)上記のヒトIGF−1 Ea−ペプチド前駆タンパク質は、アミノ酸G1、P2、E3、R36、R37、K68、S69、A70、R71、S72、R74、R77、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105におけるさらなる欠失及び/又は変異を含み、アミノ酸の番号付けは配列番号5に対応する。
【0064】
このような分子の例には、限定されないが、以下のポリペプチドが含まれる:
【0065】
アミノ酸G42がアミノ酸セリンによって置換されており、アミノ酸が以下である、ヒトIGF−1 Ea−ペプチド前駆タンパク質を含むポリペプチド。
(1)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(2)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(3)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(4)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(5)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(6)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(7)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(8)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(9)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(10)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R77がグルタミン(Q)に変異している。
(11)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(12)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びQ104がグルタミン(Q)に変異している。
(13)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(14)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(15)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(16)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R77がグルタミン(Q)に変異している。
(17)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(18)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(19)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(20)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(21)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミンに変異している。
(22)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(23)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(24)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミンに変異している。
(25)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(26)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(27)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(28)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(29)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(1a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(2a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(3a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(4a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(5a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(6a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(7a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(8a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(9a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(10a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(11a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(12a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びQ104がグルタミン(Q)に変異している。
(13a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(14a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(15a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(16a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(17a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(18a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(19a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(20a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(21a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミンに変異している。
(22a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(23a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72 72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(24a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミンに変異している。
(25a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(26a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(27a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(28a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(29a)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
【0066】
別の実施形態において、本開示はポリペプチド(1)〜(29a)を含む上記タンパク質であって、1〜3位にて変異している代わりに前記分子が、アミノ酸E3のみが欠失している、タンパク質に関する(例えば、分子(28a)はまた、ヒトIGF−1 Ea−ペプチド前駆タンパク質を含むポリペプチドであって、アミノ酸G42がアミノ酸セリンによって置換されており、アミノ酸E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している、ポリペプチドを指すことができる)。
【0067】
さらに、本開示は、ヒトIGF−1前駆タンパク質を含有する、すなわち、免疫グロブリンFc領域に融合しているヒトIGF−1由来のEa−ペプチドを含む、ポリペプチドであって、42位におけるアミノ酸グリシンが別のアミノ酸によって置換されており、前記タンパク質のIGF−1部分のアミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、ポリペプチドに関する。E−ペプチドは、Ea、Eb又はEcペプチドであってもよく、42位におけるグリシンが置換されているアミノ酸はセリンである。
【0068】
従って、一実施形態において、本開示は、ヒトIGF−1前駆タンパク質を含むポリペプチドであって、(a)アミノ酸G42が欠失し又はアミノ酸セリンによって置換されており、(b)免疫グロブリンFc領域、特に改変されたFc領域、特にFc受容体へのその結合を調節するように改変されているFc領域に連結している、ポリペプチドに関する。例えば、1つ又は複数のアミノ酸は、Fc領域がFc受容体又は相補体のC1成分に対して変化した親和性を有するように、異なるアミノ酸残基と置き換えてもよい。いわゆる発現停止した免疫グロブリンFc領域が当該分野において記載されている:LALA及びN297A(Strohl, W., 2009, Curr. Opin. Biotechnol. vol. 20(6):685-691);及びD265A(Baudino et al., 2008, J. Immunol. 181: 6664-69; Strohl, W.,上記)。サイレントFc IgG1抗体の例は、IgG1 Fcアミノ酸配列におけるL234A及びL235A変異を含む、いわゆるLALA変異体を含む。サイレントIgG1抗体の別の例はD265A変異を含む。別のサイレントIgG1抗体はN297A変異を含み、これにより、無グルコシル化(aglycosylated)/非グリコシル化(non-glycosylated)抗体が得られる。
【0069】
上述のLALAアプローチは、両方、Winterらによる、US5,624,821及びUS5,648,260にさらに詳細に記載されている。従って、一実施形態において、開示されているhIGF−1前駆タンパク質は、L234A及びL235A変異又はD265A変異又はN297A変異を含むFc領域に融合している。このようなFc LALA、D265A又はN297A構築物はADCC活性を低下させる。
【0070】
一実施形態において、免疫グロブリンFc領域に融合したヒトIGF−1 Ea−ペプチド前駆タンパク質を含有するポリペプチドであって、42位におけるアミノ酸グリシンがアミノ酸セリンによって置換されている、ポリペプチドは、アミノ酸G1、P2、E3、R36、R37、K68、S69、A70、R71、S72、R74、R77及び/又はR104においてさらなる欠失及び/又は変異を含む。
【0071】
このような分子の例には、限定されないが、以下のポリペプチドが含まれる:
【0072】
免疫グロブリンFc領域に融合したヒトIGF−1 Ea−ペプチド前駆タンパク質を含有するポリペプチドであって、42位におけるアミノ酸グリシンがアミノ酸セリンによって置換されており、前記タンパク質のIGF−1部分のアミノ酸の番号付けが配列番号5に対応し、アミノ酸が以下である、ポリペプチド
(1b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(2b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(3b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(4b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(5b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(6b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(7b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(8b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(9b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失している。
(10b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(11b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(12b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びQ104がグルタミン(Q)に変異している。
(13b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(14b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(15b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(16b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R77がグルタミン(Q)に変異している。
(17b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(18b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(19b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(20b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(21b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(22b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(23b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(24b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(25b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(26b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(27b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(28b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(29b)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(1c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(2c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(3c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(4c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(5c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(6c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(7c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(8c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(9c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失している。
(10c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(11c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(12c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36が置換され又は欠失しており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びQ104がグルタミン(Q)に変異している。
(13c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(14c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(15c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(16c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(17c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(18c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(19c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(20c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(21c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がアラニン(A)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミンに変異している。
(22c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(23c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72 72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(24c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R37がプロリン(P)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(25c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74がグルタミン(Q)に変異している。
(26c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
27c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74及びR77がグルタミン(Q)に変異している。
(28c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
(29c)G1、P2、E3が欠失しており、アミノ酸R36がグルタミン(Q)によって置換されており、R37がアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している。
【0073】
別の実施形態において、本開示は、上記のポリペプチド(1b)〜(29c)を含む上記のタンパク質であって、1〜3位にて変異している代わりに、前記分子が、アミノ酸E3のみが欠失している、タンパク質に関する(例えば、分子(28c)はまた、免疫グロブリンFc領域に融合したヒトIGF−1前駆タンパク質を含む、ポリペプチドであって、アミノ酸G42がアミノ酸のアミノ酸セリンによって置換されており、アミノ酸E3が欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方がグルタミン(Q)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミン(Q)に変異している、ポリペプチドを指すことができる)。
【0074】
別の実施形態において、本開示は、アミノ酸
【化3】
からなる変異したE−ペプチドを含む、上記のポリペプチド(例えばポリペプチド1〜29c)に関する。
【0075】
さらなる実施形態において、本開示は、Fc領域に融合している上記のIGF−1前駆タンパク質であって、Fc領域が改変されたIGF−1前駆ポリペプチドに直接融合していてもよい又は当該分野において周知の組換えDNA技術を使用してヒンジ領域によって結合していてもよい、IGF−1前駆タンパク質を提供する。DNAヒンジ領域が使用される場合、Fc領域は改変されたIGF−1前駆ポリペプチドの任意の部分に結合していてもよい。一実施形態において、Fc領域は改変されたIGF−1前駆ポリペプチドのC末端に直接融合している。別の実施形態において、Fc領域は、Gly Ser(−GS−)リンカーによって改変されたIGF−1前駆ポリペプチドのC末端に連結している。
【0076】
DNAリンカーは、操作を容易にするように成分の間に制限部位を提供するために使用してもよい。リンカーはまた、宿主細胞からポリペプチドの発現を向上させるため、成分がその最適な三次又は四次構造を推測でき、且つ/又はその標的分子と適切に相互作用できるように立体障害を減少させるために提供してもよい。所望のスペーサーを識別するリンカー及び方法に関しては、例えば、George et al. (2003) Protein Engineering 15:871-879を参照のこと。
【0077】
リンカー配列は、受容体成分に天然に結合した1つ又は複数のアミノ酸を含んでもよく、又は融合タンパク質の発現を向上させるために使用される付加配列であってもよく、成分ドメインが最適な三次構造を形成でき、且つ/又はその標的分子との成分の相互作用を向上させることができる、目的の特に望まれる部位を提供する。一実施形態において、リンカーは、1〜100アミノ酸、好ましくは1〜25アミノ酸長の間にある1つ又は複数のペプチド配列を含む。一実施形態において、リンカーは1〜5アミノ酸長である。一実施形態において、リンカーは3アミノ酸配列であり、より具体的には、Gly Pro Glyの3アミノ酸配列である。別の実施形態において、リンカーはGly Serである。
【0078】
このようなヒンジ分子の例は、限定されないが、以下のポリペプチドが含まれる:
【化4】
【0079】
従って、本開示は、好ましくは上記のようにアミノ酸234及び235の一方又は両方をアラニンに置換することによって、免疫グロブリンFc領域、特に改変されたFc領域、特にFc受容体へのその結合を調節するように改変されているFc領域に融合しているヒトIGF−1 Ea−ペプチド前駆タンパク質を含有するポリペプチドであって、42位におけるアミノ酸グリシンがセリンによって置換され、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応し、免疫グロブリンFc領域がヒンジ領域を介してIGF−1前駆タンパク質に融合している、ポリペプチドに関する。
【0080】
このような分子の例には、限定されないが、以下のポリペプチド:
【化5】
が含まれる。
【0081】
本開示の1つの特定の実施形態において、上記のIGF−1前駆タンパク質のアミノ酸R71及びS72は以下のように変異していてもよい:
(1)R71及びS72の一方若しくは両方の欠失、並びに/又は
(2)R71及びS72の一方若しくは両方をアラニンなどの非塩基性アミノ酸に変異すること、並びに/又は
(3)R71とS72の間に1つ若しくは複数の非塩基性アミノ酸を挿入すること、並びに/又は
(4)プロテアーゼ部位をマスクするのに十分にR71及びS72に近接してグリコシル化部位を配置すること、並びに/又は
(5)非天然アミノ酸による、R71若しくはS72のいずれかの置換、又はR71とS72に近接した若しくは間の挿入を使用した部位特異的ペグ化。
【0082】
部位特異的変異誘発法、グリコシル化部位の導入又は部位特異的ペグ化のようなタンパク質改変のための方法は当業者に周知である。
【0083】
一実施形態において、Fc領域はFc受容体へのその結合を調節するように改変されている。一実施形態において、Fc領域はFc受容体に対するその親和性を低下させるように改変されている。一実施形態において、Fc領域はADCC活性を低下させるように改変されている。一実施形態において、Fc領域はADCC活性を阻止するように改変されている。
【0084】
一実施形態において、本発明は、配列番号8(hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_E)を含むポリペプチドを提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号9(hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_A)を含むポリペプチドを提供する。一実施形態において、本発明は、配列番号10(hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_C)を含むポリペプチドを提供する。一実施形態において、本発明は配列番号11(hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_F)を含むポリペプチドを提供する。
一実施形態において、本発明は、配列番号12(hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_E)を含むポリペプチドを提供する。
【0085】
一実施形態において、本発明は、配列番号13(hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_A)を含むポリペプチドを提供する。
【0086】
一実施形態において、本発明は、配列番号14(hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_F)を含むポリペプチドを提供する。
【0087】
一実施形態において、本発明は、配列番号8、9、10、11、12、13又は14からなるポリペプチドを提供する。
【0088】
一実施形態において、本開示は、配列番号8と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるポリペプチドを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号9と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるポリペプチドを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号10と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるポリペプチドを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号11と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるポリペプチドを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号12と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるポリペプチドを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号13と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるポリペプチドを提供する。一実施形態において、本開示は、配列番号14と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一であるポリペプチドを提供する。一実施形態において、本発明のポリペプチドはグリコシル化される。
【0089】
アミノ酸変異
上記で参照したように、種々のアミノ酸は別のアミノ酸に変異してもよい。典型的には、アミノ酸はアラニン残基と置換される。しかしながら、別の基(すなわち、極性、酸性、塩基性又は非極性)由来の非天然アミノ酸又は天然アミノ酸などの他のアミノ酸を使用してもよい。変異をタンパク質のアミノ酸内に導入する方法は当業者に周知である。例えば、Ausubel (ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1994); T. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)を参照のこと)。方法は、限定されないが、変異原性プライマーにより行われるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるポリペプチドの機能的に活性なバリアント又はその断片をコードし、必要とされる場合、アセンブリPCR又は「QuikChange.TM.Site−Directed Mutagenesis Kit」(Stratagene)などの市販のキットを使用する変異の導入によって断片を構築するDNAの増幅を含む。例えば、Ausubel (ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (1994); T. Maniatis, E. F. Fritsch and J. Sambrook, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989)を参照のこと)。さらに、変異配列は、営利会社(例えば、Geneart、Life Technology)によって提供されるサービスである合成遺伝子の合成によって得られ得る。ポリペプチドの機能に影響を与えないアミノ酸を置換することによるポリペプチドに対するポリペプチドの機能的に活性なバリアント又は誘導体の生成は当業者によって達成され得る。
【0090】
免疫グロブリンFc領域
一実施形態において、Fc領域はIgG、IgM又はIgA由来である。一実施形態において、Fc領域はIgGに由来する。IgGのFcドメインは、アイソタイプIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4並びに各々のアイソタイプ群内の任意のアロタイプから選択してもよい。一実施形態において、Fc領域はヒトFc領域である。
【0091】
Fc領域は、Fc領域のエフェクター機能を変化させるために少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基によって置換することによって変化してもよい。例えば、1つ又は複数のアミノ酸は、Fc領域がFc受容体又は相補体のC1成分に対して変化した親和性を有するように、異なるアミノ酸残基によって置換してもよい。このアプローチは、Winterらによる、US5,624,821及びUS5,648,260の両方にさらに詳細に記載されている。特に、残基234及び235は変異してもよい。特に、これらの変異はアラニンであってもよい。従って、一実施形態において、本発明の抗体はアミノ酸234及び235の一方又は両方においてFc領域における変異を有する。別の実施形態において、アミノ酸234及び235の一方又は両方はアラニンに置換してもよい。残基234及び235がアラニンに置換されているこのようなFcバリアントは一般に「LALA」と称される。このようなFc LALA構築物は低下したADCC活性を有する。一実施形態において、IGF−1前駆タンパク質はIgG1 LALA Fcに連結している。
【0092】
連結
免疫グロブリンFc領域に融合した/連結した開示されているタンパク質の文脈において本明細書に使用される場合、「に融合した」又は「に連結した」とは、同じポリペプチドにおいて天然に存在しない2つのポリペプチドを結合することを意味する。
【0093】
免疫グロブリンFc領域は、改変されたIGF−1ポリペプチドに直接融合してもよく、又は当該分野において周知の組換えDNA技術を使用してリンカーによって結合してもよい。DNAリンカーが使用される場合、Fc領域は改変されたIGF−1ポリペプチドの任意の部分に結合してもよい。一実施形態において、Fc領域は改変されたIGF−1ポリペプチドのC末端に直接融合している。別の実施形態において、Fc領域は、Gly Ser (−GS−)リンカー及び/又はhIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_E(配列番号8)、hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_A(配列番号9)、hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_C(配列番号10)、hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_F(配列番号11)、hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_E(配列番号12)、hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_A(配列番号13)又はhIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_F(配列番号14)についてのようなヒンジ領域(配列番号22〜24)によって改変されたIGF−1ポリペプチドのC末端に連結している。
【0094】
DNAリンカーは、操作を容易にするように成分の間に制限部位を提供するために使用してもよい。リンカーはまた、宿主細胞からポリペプチドの発現を向上させるため、成分がその最適な三次又は四次構造を推測でき、且つ/又はその標的分子と適切に相互作用できるように立体障害を減少させるために提供してもよい。所望のスペーサーを識別するリンカー及び方法に関しては、例えば、George et al. (2003) Protein Engineering 15:871-879を参照のこと。
【0095】
リンカー配列は、受容体成分に天然に結合した1つ又は複数のアミノ酸を含んでもよく、又は融合タンパク質の発現を向上させるために使用される付加配列であってもよく、成分ドメインが、最適な三次構造を形成でき、且つ/又はその標的分子との成分の相互作用を向上させることができる、目的の特に望まれる部位を提供する。一実施形態において、リンカーは、1〜100アミノ酸、好ましくは1〜25アミノ酸長の間にある1つ又は複数のペプチド配列を含む。一実施形態において、リンカーは1〜5アミノ酸長である。一実施形態において、リンカーは3アミノ酸配列であり、より具体的には、Gly Pro Glyの3アミノ酸配列である。別の実施形態において、リンカーはGly Serである。
【0096】
核酸
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。好ましい核酸配列は、hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_E、hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_A、hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_C、hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_F、hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_E、hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_A又はhIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_F(配列番号15〜21)をコードするものである。本発明の核酸分子はmRNAなどのRNAの形態又は例えばcDNA若しくは合成DNAを含むDNAの形態であってもよい。核酸分子は、二本鎖であってもよく、又は一本鎖であってもよい。一本鎖DNAは、センス鎖としても知られているコード鎖であってもよく、又はそれは、アンチセンス鎖とも称される非コード鎖であってもよい。
【0097】
遺伝コードの縮重は周知である。従って、2つ以上の異なる核酸配列は同じポリペプチド配列をコードできる。このようなバリアント核酸配列は本出願の範囲内に含まれる。実際に、本発明のポリペプチドの発現を改善するために核酸配列に対して保存的改変を行うことは好適であり得る。
【0098】
本発明は本発明の核酸を含むベクターをさらに提供する。ベクターはクローニング又は発現ベクターであってもよい。一実施形態において、核酸は当業者に周知の効果的な発現に必要とされるエレメントを保有する発現ベクター内に含まれてもよい。エレメントは、例えばサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー−プロモーターなどの例えばプロモーター、分泌を促進することが知られている天然又は任意の他の配列などの分泌のためのシグナル配列、例えばウシ成長ホルモン(BGH)遺伝子に由来するポリアデニル化シグナル及び転写ターミネーター、エピソーム複製及び原核生物(例えばSV40起点及びColE1又は当該分野において知られている他のもの)内の複製を可能にするエレメント並びにアンピシリン耐性遺伝子及びゼオシン又はハイグロマイシンマーカーなどの選択を可能にするエレメントを含む。
【0099】
一実施形態において、本発明は、
a)配列番号15に記載されるポリヌクレオチド配列又はその相補体、
b)配列番号15に記載される配列全体と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチド配列、
c)配列番号16に記載されるポリヌクレオチド配列又はその相補体、
d)配列番号16に記載される配列全体と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチド配列、
e)配列番号17に記載されるポリヌクレオチド配列又はその相補体、
f)配列番号17に記載される配列全体と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチド配列、
g)配列番号18に記載されるポリヌクレオチド配列又はその相補体、
h)配列番号18に記載される配列全体と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチド配列、
i)配列番号19に記載されるポリヌクレオチド配列又はその相補体、
j)配列番号19に記載される配列全体と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチド配列、
k)配列番号20に記載されるポリヌクレオチド配列又はその相補体、
l)配列番号20に記載される配列全体と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチド配列、
m)配列番号21に記載されるポリヌクレオチド配列又はその相補体、
n)配列番号21に記載される配列全体と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むポリヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む単離した核酸分子を提供する。
【0100】
別の実施形態において、本開示は、前記ヒトIGF−1前駆タンパク質がペグ化される、上記のIGF−1バリアントポリペプチドに関する。ペグ化はヒトIgGの免疫グロブリンFc領域に融合していないIGF−1前駆タンパク質にとって特に好ましい。ポリ(エチレングリコール)(PEG;ペグ化)に対するコンジュゲーションは、治療タンパク質薬物の半減期を延長するのに有益であることが証明されている。本発明のIGF前駆ポリペプチドのペグ化は同様の医薬的利点(pharmaceutical advantage)を生じ得ることが予想される。IGF−1をペグ化する方法は当該分野において周知である。例えば、リシン−モノペグ化IGF−1の有益な特性を記載している、米国特許出願公開第2006/0154865号を参照のこと。このようなリシン−モノペグ化は本発明の前駆IGFポリペプチドに適合され得る。加えて、ペグ化は非天然アミノ酸を導入することによって本発明のポリペプチドの任意の部分において達成され得る。特定の非天然アミノ酸は、Deiters et al., J Am Chem Soc 125:11782-11783, 2003; Wang and Schultz, Science 301:964-967, 2003; Wang et al., Science 292:498-500, 2001; Zhang et al., Science 303:371-373, 2004又は米国特許第7,083,970号に記載されている技術によって導入され得る。簡潔に述べると、これらの発現系のいくつかは、amber TAGなどのナンセンスコドンを、本発明のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム内に導入するための部位特異的変異誘発法を含む。次いでこのような発現ベクターは、導入されたナンセンスコドンに特異的なtRNAを利用できる宿主内に導入され、最適な非天然アミノ酸が充填される。本発明のポリペプチドに部分をコンジュゲートする目的のために有益である特定の非天然アミノ酸はアセチレン及びアジド側鎖を有するものを含む。次いでこれらの新規アミノ酸を含有するIGF前駆ポリペプチドはタンパク質内のこれらの選択された部位でペグ化され得る。加えて、E−ペプチドを有さないこのようなペグ化IGF分子もまた、治療剤として有用である。
【0101】
哺乳動物細胞における本発明のIGF−1バリアントの産生
原核生物発現系における天然ヒトIGF−1の産生は当業者に周知である。真核細胞、特に哺乳動物宿主細胞における発現は、このような真核細胞が、原核細胞より、適切に折り畳まれ、免疫学的に活性なタンパク質を構築し、分泌しやすいので、時々好ましい。
【0102】
本発明の組換え抗体を発現するための哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えば、R.J. Kaufman and P.A. Sharp, 1982 Mol. Biol. 159:601-621に記載されているようなDH FR選択可能マーカーと共に使用されるUrlaub and Chasin, 1980 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されているdhfr−CHO細胞を含む)、HEK293細胞(ヒト胎児腎臓293細胞)、NSOマウス骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞が含まれる。好ましい宿主細胞はCHO K1派生細胞である。しかしながら、CHO細胞株における組換えIGF−1の発現は、細胞成長阻害及び低力価を生じる(図11/12を参照のこと)。「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」技術を使用したCHO細胞におけるIGF−1−Rの安定なノックダウン/ノックアウトは、改善された細胞成長及びより高いIGF−1タンパク質力価を生じた(図14、15、16)。IGF−1をコードするプラスミドで安定にトランスフェクトされたIGF−1−R(si/shRNAノックダウン)の低下した発現を有するCHO細胞は、安定にトランスフェクトした野生型CHO細胞と比較して約5倍高いプール力価を生じた。さらに高いプール力価がIGF−1−Rノックアウト細胞株の安定なトランスフェクション後に測定され得る。組換えIGF−1の5〜20倍の力価増加が野生型CHO細胞株と比較して検出され得る。要約すると、これらのデータは、哺乳動物細胞株におけるIGF−1受容体遺伝子のノックダウン又はノックアウトがIGF−1及びそのバリアントの産生を顕著に改善できることを示す。
【0103】
従って、哺乳動物細胞が機能的インスリン様成長因子1受容体(IGF−1R)の発現を欠いている、前記哺乳動物細胞、例えばCHO細胞において組換えIGF−1又はそのバリアントを産生するのに適した方法は、以下の工程:
a.インスリン様成長因子1受容体の発現を欠いている哺乳動物細胞を産生する工程、
b.IGF−1又はそのバリアントをコードする核酸分子を含む発現ベクターで工程aの細胞を形質転換する工程、
c.形質転換している工程bの細胞を選択する工程、
d.IGF−1又はそのバリアントの発現を可能にする条件下で工程cにおいて選択された細胞を培養する工程、
e.工程dにおいて培養された哺乳動物細胞からIGF−1又はそのバリアントを収集する工程
を含み、別法として、工程a.及びb.の順序は逆転してもよく、又は両方の工程は同時に実施してもよい。
【0104】
当業者は、遺伝子組換えされた哺乳動物細胞、例えばCHO−K1派生細胞、CHO−DUXB11派生細胞又はCHO−DG44細胞のようなCHO細胞を形質転換し、選択し、培養する方法を知っている。選択プロトコルが、成長因子、例えばIGF−1のような所望の治療タンパク質をコードする組換えDNAを組み込んでいる可能性のある細胞の選択を容易にするために通常使用されている。形質転換ベクターに同時に組み込まれた遺伝子によって付与される抗生物質耐性又は栄養選択培地中で成長する能力が通常使用される(Weber, W. and Fussenegger, M. (2003) Inducible gene expression in mammalian cells, in Gene transfer and expression in mammalian cells, (Makrides, S.C., Ed.), Elsevier: Amsterdam, pp. 589-604を参照のこと)(Efficient selection for high-expression transfectants with a novel eukaryotic vector: Niwa Hitoshi, Yamamura Ken-ichi, Miyazaki Jun-ichi)。組換えタンパク質産生のための2つの最も一般的なCHO発現系は、シヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)系メトトレキサート(MTX)選択又はグルタミン合成酵素(GS)系メチオニンスルホキシイミン(MSX)選択を利用する(Rita Costa A, Elisa Rodrigues M, Henriques M, Azeredo J, Oliveira R. Eur J Pharm Biopharm. 2010 Feb; 74(2):127-38. Epub 2009 Oct 22. Guidelines to cell engineering for monoclonal antibody production)。
【0105】
哺乳動物細胞、特にCHO及びDHFR遺伝子欠損CHO細胞などの齧歯動物細胞においてポリペプチドを産生するのに特に適しているベクターは特許出願WO09080720Aに開示されている。哺乳動物宿主細胞内に発現ベクターを導入するための従来技術において知られているいくつかの適切な方法が存在する。それぞれの方法は、限定されないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、エレクトロポレーション、リポフェクション、微粒子銃により及びポリマーにより媒介される遺伝子導入を含む。適切な宿主細胞は上記されている。宿主細胞内への発現ベクター核酸の導入後、得られた形質転換体を、発現カセット(MSM)内に含まれる哺乳動物選択可能マーカー遺伝子の発現をアッセイするのに適した選択的条件下で培養する。これは、例えば哺乳動物選択可能マーカー遺伝子が抗生物質耐性遺伝子である場合、形質転換体が、哺乳動物細胞内で対応する抗生物質活性を含有する培地中で培養され、このような条件下で生存する形質転換体が選択され、それによりマーカー遺伝子を発現する形質転換体の取得を可能にし、それによりベクターが組み込まれていることを意味する。さらに、第2の選択工程は、発現カセット(MASM)に含まれる増幅可能な選択可能マーカー遺伝子を選択するのに適合された選択培地中で形質転換体を培養することによって実施され得る。例えばDHFRが増幅可能な選択可能マーカー遺伝子として使用される場合、形質転換体はDHFR阻害剤の存在下でヌクレオチド又はプリンを含まない培地中で培養され得る。誘導プロモーターが少なくとも1つの発現カセットに使用される場合、対応する誘導シグナルはポリペプチドの発現を開始するために提供されるべきである。DHFR選択/増幅系を使用するために、前記宿主細胞は、DHFR阻害剤の存在下で培養され得る。適切なDHFR阻害剤は例えばMTXなどの抗葉酸剤である。使用される抗葉酸剤/MTXの濃度は宿主細胞及びベクター内に組み込まれたDHFRバリアントに依存する。濃度範囲は、例えば約5nM〜20nMの範囲の値から500nM〜1000nMの値又は二次若しくはさらなる増幅工程のためにさらに高い値にてDHFR”宿主細胞において多工程の増幅手順のために選択され得る。DHFR+について、細胞開始濃度は、最初の工程において100nM〜750nM、好ましくは500nM、さらなる増幅工程について500nM〜1000nM及びそれ以上の範囲で通常高い。適切なDHFRバリアントは上記されている。
【0106】
GS選択/増幅系を使用するために、前記宿主細胞は例えばMSXの存在下で培養され得る。使用されるMSXの濃度は宿主細胞に依存する。濃度範囲は、約15〜150マイクロモル、20〜100マイクロモル及び25〜50マイクロモルの間で選択され得る。これらの範囲はNSO及びCHO細胞に特に適している。
【0107】
医薬組成物
別の態様において、本発明は、組成物、例えば医薬的に許容可能な担体と一緒に製剤化される、上記のIGF−1バリアントの1つ又は組合せを含有する、医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物はまた、併用療法、すなわち他の薬剤と組み合わせて投与してもよい。例えば、本発明のIGF−1バリアントは、少なくとも1つの筋肉量/強度増加剤、例えば、抗ActRIIB抗体、IGF−2又はバリアントIGF−2、抗ミオスタチン抗体、ミオスタチンプロペプチド、ActRIIBに結合するが、それを活性化しないミオスタチンデコイタンパク質、ベータ2アゴニスト、グレリンアゴニスト、SARM、GHアゴニスト/模倣物又はホリスタチンと組み合わせてもよい。併用療法に使用され得る治療剤の例は本発明のIGF−1バリアントの使用についての段落において以下により詳細に記載されている。
【0108】
「医薬的に許容可能な」という用語は、連邦若しくは州政府の監督官庁により承認されている又は米国薬局方若しくは動物、より特にはヒトでの使用に関する他の一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。「担体」という用語は、治療剤と一緒に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤又はビヒクルを指す。このような医薬担体は、水及び油(ピーナツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などの石油、動物、植物又は合成起源の油を含む)などの滅菌液であり得る。適切な医薬賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。所望される場合、組成物はまた、少量の湿潤若しくは乳化剤又はpH緩衝剤も含有し得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤などの形態を取り得る。伝統的な結合剤及びトリグリセリドなどの担体と共に坐薬として組成物を製剤化することができる。経口製剤は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的担体を含み得る。適切な医薬担体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0109】
好ましい実施形態において、ヒトへの静脈内投与に適合した医薬組成物として常法に従い組成物を製剤化する。必要な場合、組成物は、可溶化剤及び注射部位の痛みを緩和するためのリドカインなどの局所麻酔も含み得る。組成物を点滴により投与すべき場合、医薬グレードの滅菌水又は食塩水を含有する点滴ボトルを用いて投薬することができる。組成物を注射により投与する場合、投与前に成分を混合することができるように、注射用滅菌水又は食塩水のアンプルを提供できる。
【0110】
医薬的に許容可能な担体には、生理学的に適合する任意及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。担体は、(例えば、注射又は注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄又は上皮投与に適しているべきである。投与経路に依存して、活性化合物、すなわち抗体、免疫コンジュゲート又は二重特異性分子を、化合物を不活性にし得る酸及び他の天然条件の作用から化合物を保護するために物質でコーティングできる。
【0111】
本発明の医薬組成物は、また、医薬的に許容可能な抗酸化剤を含み得る。医薬的に許容可能な抗酸化剤の例には、水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、アルファ−トコフェロールなど;及び金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが含まれる。本発明の医薬組成物において利用され得る適切な水性及び非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)及びそれらの適切な混合物、植物油、例えば、オリーブ油及び注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルが含まれる。適切な流動性は、例えば、コーティング物質、例えば、レシチンの使用、分散物の場合、必要な粒径の維持及び界面活性剤の使用により維持することができる。
【0112】
これらの組成物は、また、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤を含有し得る。微生物の存在の阻止は、上記殺菌手順並びに種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含の両方により確保され得る。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物に包含させることが望ましいこともある。加えて、注射可能な医薬形態の吸収の延長は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの包含により実現され得る。
【0113】
医薬的に許容可能な担体には、無菌注射可能溶液又は分散液の即時調製のための無菌水溶液又は分散液及び無菌粉末が含まれる。医薬的に活性な物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は当該分野において知られている。任意の従来の媒体又は薬剤が活性化合物と適合しない場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用が考慮される。補助的な活性化合物も組成物に包含することができる。
【0114】
典型的に、治療用組成物は、製造及び保存の条件下で無菌及び安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム又は他の高濃度の薬物に適した調整構造物として製剤化することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)及び適切なそれらの混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、コーティング、例えば、レシチンの使用、分散物の場合、必要な粒径の維持及び界面活性剤の使用により維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール又は塩化ナトリウムを組成物中に含むことができる。注射可能な組成物の吸収の延長は、組成物中に吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを含むことにより実現することができる。
【0115】
無菌注射可能溶液は、上記に挙げられた薬剤の1つ又は組合せと共に、適切な溶媒中に必要な量の活性化合物を取り込み、必要な場合、次に無菌的精密濾過をすることにより調製することができる。一般的に、分散液は、塩基性分散媒及び上記に挙げられたものから必要な他の薬剤を含有する無菌ビヒクル中に活性化合物を取り込むことにより調製される。無菌注射可能溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、その事前に無菌濾過した溶液から活性剤プラス何らかのさらなる所望の薬剤の粉末が得られる、真空乾燥及びフリーズドライ(凍結乾燥)である。
【0116】
単回投薬形態を産生するために担体物質と組み合わせることができる活性剤の量は、治療される対象及び特定の投与様式に依存して変化する。単回投薬形態を産生するために担体物質と組み合わせることができる活性剤の量は、一般的に治療効果を引き起こす組成物の量である。一般的に、100%のうち、この量は、医薬的に許容可能な担体との組合せで活性剤が約0.01%から約99%、約0.1%から約70%又は活性剤が約1%から約30%の範囲である。
【0117】
投与レジメンは、所望の最適応答(例えば、治療応答)を提供するために調節される。例えば、単回ボーラスで投与してもよく、経時的に数回の分割投与で投与してもよく、又は治療状況の緊急性により指示されるとき、比例的に用量を減少又は増加してもよい。特に投与の容易性及び用量の均一性のため、非経口組成物を投薬単位形態(単位剤形(dosage unit form))で製剤化することが有利である。本明細書において使用される場合、投薬単位形態は、治療される対象に対する単位用量として適した物理的に分離した単位を指し、それぞれの単位は、必要な医薬担体と一緒に所望の治療効果を引き起こすように計算されたあらかじめ決められた量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位形態の仕様は、活性化合物の独自の特徴と達成すべき特定の治療効果、及び各個体における治療感受性に関して、このような活性化合物を配合する技術に固有の限界により規定され、直接的に依存する。
【0118】
本開示のIGF−1バリアント又は前記IGF−1バリアントを含む組成物の投与の文脈において治療有効量のポリペプチドは、約0.001〜100mg/kg、又は0.01〜30mg/kg、さらに通常0.1〜10mg/kg宿主体重の範囲である。例えば、投薬量は、約0.1mg/kg体重であってもよく、約0.2mg/kg体重であってもよく、約0.3mg/kg体重であってもよく、約1mg/kg体重であってもよく、約3mg/kg体重であってもよく、約5mg/kg体重であってもよく、又は約10mg/kg体重であってもよい。当業者は、投与経路(例えば静脈内又は皮下)に依存して変化する、適切な有効量を識別することを知っている。例示的な治療レジメは、1日に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回又は1カ月に1回の投与を必要とする。このような投与は静脈内又は皮下で実施してもよい。本発明のIGF−1バリアントについての投与レジメンには、静脈内投与により0.1mg/kg体重又は0.2mg/kg体重又は0.3mg/kg体重又は0.5mg/kg体重又は1mg/kg体重又は3mg/kg体重又は10mg/kg体重が含まれる。或いは、組成物は持続放出製剤であってもよく、この場合、少ない投与頻度が必要とされる。用量及び頻度は、患者における抗体の半減期に依存して変化する。投薬量及び頻度は、治療が予防的又は治療的であるかどうかに依存して変化し得る。予防的適用において、比較的低投薬量を比較的低頻度の間隔で長期間投与する。一部の患者は、残りの生涯、治療を受け続ける。治療的適用において、時々、比較的高投薬量が、比較的短間隔で、疾患の進行を遅らせるか若しくは停止させるまで、又は患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで必要とされる。その後、患者は予防レジメで投与され得る。
【0119】
本発明の医薬組成物中の活性剤の実際の投薬量レベルは、特定の患者、組成物及び投与様式に対して所望の治療応答を達成するために有効であり、患者に毒性がない、活性剤の量を得るために変化させることができる。選択された投薬量レベルは、利用される本発明の特定の組成物又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与の経路、投与の時間、利用される特定の化合物の排泄速度、治療の期間、利用される特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、状態、健康状態及び病歴並びに医薬分野で周知の因子を含む、種々の薬物動態因子に依存する。
【0120】
本発明の組成物に含まれるIGF−1バリアントの治療有効量の投与は、疾患症状の重症度の減少、疾患無症状期間の頻度及び持続時間の増加、又は疾患の苦痛による機能障害若しくは身体障害の予防、すなわち、筋肉量及び/若しくは機能の増加又は熱傷患者における創傷部の減少/低下をもたらすことができる。
【0121】
患者は、有効量のポリペプチド活性成分、すなわち、問題のある疾患又は障害を検出、治療、改善又は予防するのに十分な量を受ける。治療効果はまた、身体症状の低下を含み得る。任意の特定の対象についての治療タンパク質の最適な有効量及び濃度は、患者の年齢、大きさ、健康及び/又は性別、状態の性質及び程度、特定の治療タンパク質の活性、身体によるそのクリアランスの速度及びまた、治療タンパク質と組み合わせて投与される任意の可能なさらなる治療剤を含む、様々な因子に依存する。所与の状況について送達される有効量は、慣用の実験により決定することができ、臨床医の判断の範囲内である。投薬量は単回投与スケジュール又は複数回投与スケジュールによってもよい。
【0122】
本発明の組成物は、当分野において知られている種々の方法のうちの1つ又は複数を使用して、1つ又は複数の投与経路により投与することができる。当業者により理解されているように、投与の経路及び/又は様式は、所望の結果に依存して変化する。本発明の治療タンパク質についての投与の形路は、例えば注射又は注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄又は他の非経口経路の投与を含む。本明細書に使用される場合、「非経口投与」という語句は、通常、注射による、経腸及び局所投与以外の投与の様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管的、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外及び胸骨内注射及び注入が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、組成物を含む抗体は静脈内に投与される。別の実施形態において、抗体は皮下に投与される。
【0123】
或いは、本発明の組成物を含むIGF−1バリアントは、非経口ではない経路、例えば、局所、上皮又は粘膜経路の投与、例えば、鼻内、経口的、経膣的、経直腸的、舌下的又は局所的により投与することができる。
【0124】
活性化合物は、インプラント、経皮パッチ及びマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤などの、化合物を迅速な放出に対して保護する担体と共に調製することができる。生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸を使用することができる。このような製剤の調製のための多くの方法は、特許されているか、又は一般的に当業者に知られている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照のこと。
【0125】
治療用組成物は、当該分野で知られている医療デバイスで投与することができる。例えば、一実施形態において、本発明の治療用組成物は、無針皮下注射デバイス、例えば、米国特許第5,399,163号;5,383,851;5,312,335;5,064,413;4,941,880;4,790,824又は4,596,556に示されているデバイスで投与することができる。本発明において有用な周知のインプラント及びモジュールの例は、制御された速度で医薬を投薬するためのインプラント可能な微小注入ポンプを示す米国特許第4,487,603号;皮膚を介して医薬を投与するための治療デバイスを示す米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で医薬を送達するための医薬注入ポンプを示す米国特許第4,447,233号;連続的薬物送達のための流量可変のインプラント可能な注入装置を示す米国特許第4,447,224号;複数チャンバーコンパートメントを有する浸透圧薬物送達系を示す米国特許第4,439,196号;及び浸透圧薬物送達系を示す米国特許第4,475,196号を含む。他のこのような多数のインプラント、送達系及びモジュールは当業者に知られており、MicroCHIPSTM(Bedford、MA)により製造されるものを含む。
【0126】
特定の実施形態において、本発明の組成物を含むヒトIGF−1バリアントをインビボで適切な分布を確実にするため製剤化することができる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多数の高親水性化合物を排除する。本発明の治療用化合物がBBBを(所望の場合)通過することを確実にするために、それらは、例えば、リポソーム中で製剤化することができる。リポソームを製造する方法に関して、例えば、米国特許第4,522,811号;5,374,548;及び5,399,331を参照のこと。リポソームは、特定の細胞又は器官に選択的に輸送される1つ又は複数の部分を含むことができ、それにより標的薬物送達を向上させる(例えば、V.V. Ranade, 1989 J. Clin Pharmacol. 29:685を参照のこと)。例示的な標的化部分は、葉酸又はビオチン(例えば、米国特許第5,416,016号を参照のこと);マンノシド(Umezawa et al., 1988 Biochem. Biophys. Res. Commun. 153:1038);抗体(P.G. Bloeman et al., 1995 FEBS Lett. 357:140; M. Owais et al., 1995 Antimicrob. Agents Chernother. 39:180);界面活性剤プロテインA受容体(Briscoe et al., 1995 Am. J. Physiol.1233:134);p120(Schreier et al., 1994 J. Biol. Chem. 269:9090)を含む; K. Keinanen; M.L. Laukkanen, 1994 FEBSLett. 346:123; J.J. Killion; I.J. Fidler, 1994 Imrnunomethods 4:273も参照のこと。
【0127】
標的疾患及び障害
本発明は、治療に使用するための本発明のポリペプチド、核酸又は医薬組成物を提供する。本発明は、病理学的障害の治療に使用するための本発明のポリペプチド、核酸又は医薬組成物をさらに提供する。本発明は、病理学的障害の治療のための医薬の製造における本発明のポリペプチド、核酸又は医薬組成物の使用をさらに提供する。本発明は、治療有効量の本発明のポリペプチド、核酸又は医薬組成物を患者に投与することを含む、病理学的障害を患っている患者を治療する方法をさらに提供する。
【0128】
病理学的障害は、筋萎縮などの筋骨格疾患又は障害であり得る。グルココルチコイド、例えば、コルチゾール、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン又はプレドニゾロンでの治療の結果として含む、筋萎縮の多数の原因が存在する。筋萎縮はまた、神経外傷による脱神経の結果又は変性、代謝性若しくは炎症性神経障害(例えば、ギランバレー症候群、末梢性神経障害又は環境毒素若しくは薬物への暴露)の結果であり得る。
【0129】
加えて、筋萎縮は、筋疾患、例えば、筋緊張症;先天性筋疾患、例えば、ネマリン筋疾患、マルチ/ミニコア筋疾患及び筋細管(中心核)筋疾患;ミトコンドリア性筋疾患;家族性周期性四肢麻痺;炎症性筋疾患;例えば、グリコーゲン又は脂質蓄積疾患により引き起こされる代謝性筋疾患;皮膚筋炎(dermatomyositisis);多発性筋炎;封入体筋炎;骨化性筋炎;横紋筋融解症及びミオグロビン尿症の結果であり得る。
【0130】
本開示の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、ケネディ病又は慢性腎疾患の治療のために使用され得る。
【0131】
筋疾患は、筋ジストロフィー症候群、例えば、デュシェンヌ、ベッカー、筋緊張、顔面肩甲上腕、エメリードレフュス、眼咽頭筋、肩甲上腕、肢帯、福山、先天型筋ジストロフィー、又は遺伝的末梢性ミオパシーにより引き起こされ得る。筋骨格疾患はまた、骨粗鬆症、骨折、低身長症又は小人症であり得る。
【0132】
加えて、筋萎縮は、成人運動ニューロン疾患、例えば、筋萎縮性側索硬化症;乳児脊髄性筋萎縮症、若年性脊髄性筋萎縮症、多巣性伝導ブロックでの自己免疫性運動神経障害、卒中又は脊髄損傷による麻痺、外傷による骨格固定化、長期のベッド休養、自発的不活化、不随意不活化、代謝ストレス又は栄養不足、癌、AIDS、空腹時、甲状腺若しくは副腎若しくは下垂体障害、糖尿病、良性先天性低血圧、セントラルコア疾患、肝臓疾患(例えば、線維症、肝硬変症など)、敗血症、腎不全、鬱血性心不全、加齢、宇宙旅行又は無重力環境で過ごすことの結果であり得る。
【0133】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、除脂肪体重の喪失及び/又は筋肉疲労を患っている成人及び小児熱傷を含む熱傷患者の治療に使用され得る。
【0134】
治療され得る加齢関連状態の例には、サルコペニア、皮膚萎縮、筋肉疲労、脳萎縮、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、肺気腫、骨粗鬆症、骨関節症、免疫不全、高血圧、認知症、ハンチントン病、アルツハイマー病、白内障、加齢黄斑変性症、前立腺癌、卒中、平均寿命の減少、衰弱、記憶障害、しわ、腎機能障害及び加齢性難聴;II型糖尿病、メタボリックシンドローム、高血糖及び肥満を含む、代謝障害が含まれる。
【0135】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の治療のために使用され得る。
【0136】
本開示の別の実施形態において、本発明の医薬組成物は筋萎縮の治療のために使用され得る。特定の実施形態において、本開示は、筋萎縮の治療のための本発明の医薬組成物の使用であって、萎縮の群が、肥満に関連したサルコペニア、サルコペニア及び糖尿病に関連した筋萎縮からなる群から選択される、使用に関する。
【0137】
治療され得る他の状態には、急性及び/又は慢性腎疾患又は不全、肝線維症又は肝硬変症、癌、例えば、膵臓、消化管(食道、胃及び結腸を含む)、肺、前立腺、リンパ腫又は乳癌;パーキンソン病;神経細胞死と関連する状態、例えば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、脳萎縮又は認知症及び貧血;ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)により引き起こされるか、又は非定型抗酸菌(atypical mycobacteria)により引き起こされるかに関わらず、結核などの慢性感染症;慢性真菌感染症;及び医原性か、又はAIDSに起因するかに関わらず、免疫抑制の状況における日和見感染症が含まれる。
【0138】
さらなる状態には、悪液質、関節リウマチに関連する悪液質及び癌に関連する悪液質が含まれる。
【0139】
別の実施形態において、本開示は、筋障害を治療する方法であって、上記のように治療有効量の本発明のポリペプチドを投与することを含む、方法に関する。筋肉量を増加させるために開示されているポリペプチド又はそれらを含む組成物による治療の必要性は、特に、筋萎縮などの筋骨格疾患又は障害の結果として、上述の状態のうちの1つに起因し得、筋障害は、肥満に関連したサルコペニア、サルコペニア及び糖尿病に関連した筋萎縮からなる群から選択される筋萎縮である。
【0140】
さらに、本開示は、熱傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコペニアのような加齢関連状態、ケネディ病又は慢性腎疾患を治療する方法であって、上記のように治療有効量の本発明のポリペプチドを患者に投与することを含む、方法に関する。
【0141】
別の実施形態において、本開示は筋肉量を増加させる方法に関する。特定の実施形態において、本開示は、必要とする患者において筋肉量を増加させる方法に関する。筋肉量を増加させる必要性は、特に、筋萎縮などの筋骨格疾患又は障害の結果として、上述の状態のうちの1つに起因し得る。筋肉量を増加させる必要性はまた、熱傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコペニアのような加齢関連状態、ケネディ病又は慢性腎疾患に起因し得る。
【0142】
患者投与
本発明の医薬組成物は患者に投与され得る。投与は典型的には注射器による。従って、本発明は本発明の医薬組成物を含む送達デバイス(例えば注射器)を提供する。
【0143】
様々な送達系が知られており、本発明のポリペプチドを投与するために、例えばリポソーム中でのカプセル封入、微小粒子、マイクロカプセル、タンパク質を発現させることができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシス(例えば、Wu and Wu, J Biol Chem 262:4429-4432, 1987を参照のこと)レトロウイルス、アデノ関連ウイルス、アデノウイルス、ポックスウイルス(例えば、アビポックスウイルス、特に鶏痘ウイルス)又は他のベクターなどの一部としての核酸の構築物を使用することができる。導入方法は、腸内又は非経口であってもよく、限定されないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、肺、鼻内、眼内、硬膜外及び経口経路が含まれる。いずれかの好都合な経路により、例えば点滴又はボーラス注射により、上皮又は皮膚粘膜層(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を通じた吸収によりポリペプチドを投与することができ、他の生物学的に活性のある薬剤と共に投与できる。投与は全身又は局所であってもよい。加えて、脳室内及び鞘内注射を含む任意の適切な経路により、中枢神経系に本発明の医薬組成物を導入することが所望され得;例えば、Ommayaリザーバーなどのリザーバーに連結した脳室内カテーテルにより脳室内注射を促進し得る。
【0144】
特定の実施形態において、治療を必要とする部位に局所的に本発明の医薬組成物を投与することが所望され得、例えば、限定されないが、外科手術中の局所点滴、局所適用により、例えば注射によって、カテーテルによって、又はインプラントによって、多孔、非多孔又はゼラチン性材料であるインプラント(シアラスティック(sialastic)膜などの膜を含む)、繊維又は市販の皮膚代替物によって、これを遂行し得る。
【0145】
別の実施形態において、小胞、特にリポソームにおいて、医薬組成物を送達することができる(Langer, Science 249:1527-1533, 1990を参照のこと)。さらに別の実施形態において、制御放出系において活性剤を送達することができる。一実施形態において、ポンプを使用することができる。
【0146】
患者群
提案された治療から恩恵を受け得る患者は、集中治療又は長期入院(1週超)を必要とする急性又は重症疾患から回復している患者;サルコペニアを有する虚弱高齢患者;交通事故、重度の熱傷、戦闘負傷などの重症外傷及び他の外傷から回復している若年成人;上記のように悪液質を引き起こすことが知られている慢性疾患を有する患者;及び上記のように筋肉疾患を有する患者を含む。筋肉の喪失は重度又は長期のいずれかであるほとんどの病気の一般的な合併症であるので、筋肉疲労の反転は回復を加速させ、この喪失の根本原因に関わらず、筋肉低下を経験している患者の機能を戻すことが予測される。
【0147】
併用療法
この治療は筋肉疲労プロセスの主要な原因に向けられている任意の治療と組み合わせ得る。このような組合せは、コルチコステロイド、免疫抑制剤、抗サイトカイン剤、抗癌薬;エリスロポエチン、G−CSF、GM−CSF又はその他などの成長因子;糖尿病の治療に使用される薬物(インスリン及び経口血糖降下剤を含む)、抗結核薬及び抗生物質を含んでもよい。組合せは小分子及び生体分子剤の両方を含んでもよい。
【0148】
本発明の医薬組成物は、唯一の活性剤として、又は例えばアジュバントと併せて、又は他の薬物、例えばActRIIB抗体、ActRIIA抗体、可溶性ActRIIBデコイ模倣物、抗ミオスタチン抗体、ミオスタチンプロペプチド、ActRIIBに結合するが、それを活性化しないミオスタチンデコイタンパク質、ベータ2アゴニスト、グレリンアゴニスト、SARM、GHアゴニスト/模倣物又はホリスタチンと組み合わせて投与してもよい。例えば、本発明の薬物は、WO2010125003に開示されているActRIIB抗体と組み合わせて使用してもよい。
【0149】
【表1】
【0150】
本発明を実施する方法
本発明は例としてのみ記載されており、本発明の範囲及び趣旨の範囲内にある限り、改変がなされてもよいことは理解される。
【実施例】
【0151】
本明細書に開示されている組換えIGF−1バリアントは野生型タンパク質様受容体親和性を有するが(図1)、野生型IGF−1よりインビボプロファイルにおいて良好な薬物動態を示し(図7)、低頻度の投薬で筋萎縮を阻止するために使用され得る(図8)。低血糖のリスクを導くインスリン受容体(InsR)リン酸化を刺激する、従来技術のIGF−1バリアントのいくつかと対照的に、G42位において変異している(欠失又は特定の置換)本開示のヒトIGF−1前駆タンパク質は、前記低血糖のリスクを減少させる、インスリン受容体(InsR)リン酸化を刺激する野生型と同様の能力を示す(図5/6/19)。さらに、野生型hIGF−1又はいくつかの従来技術のそのバリアントと対照的に、本明細書に開示されているIGF−1バリアントは、高力価で、哺乳動物細胞系において分解せずに産生され得、工業規模の産生を可能にする。
【0152】
パートA:一般的方法
A1 試薬
組換えヒトIGF−1はNovartis AG製であり、組換えヒトインスリンはPromocell(#C−60212)から購入した。
【0153】
A2 ベクター構築
本発明の教示に係るいくつかのベクター構築物は実現可能である。ベクターの個々のエレメントは従来技術において知られているので、適切なベクターが、例えば、基本的な遺伝エレメントのシークエンシング又は増幅及び適切なクローニング並びに所望の方向における発現カセットによって構築され得る。それぞれのクローニング法は従来技術の水準であり、また、上記の遺伝エレメントの配列も従来技術に記載されている。続いて、ベクター構築物の生成は例として記載されている。しかしながら、それぞれのベクターを得るためのいくつかの他の実施形態及び手段が適しており、容易に利用できることは当業者により理解される。この段落に記載されている全ての哺乳動物発現ベクター(例えばpBW679)は、WO2009080720に記載されている哺乳動物発現ベクターに基づく。WO2009080720の実施例の段落、特に図1、表1及び実施例の段落II:ベクター構築物(21〜31ページ)は本明細書に参照として組み込まれる。
【0154】
5’Kozak(CCCGCCCGCCCACC)(配列番号112)に隣接したhIGF1−Ea−delGPE−R37A)(配列番号87)のデノボ合成をThe Blue Heron Biotechに注文し、5’HindIII/BamHI及び3’EcoRI制限部位をBlue Heron pUCベクター内に送達した。pcDNA3.1ベクター(Invitrogen,Life Technologies)内への再クローニングを、適合性のある5’BamHI及び3’EcoRIクローニング部位でのライゲーション反応によって完了した。構築物はT7及びBGHA特異的プライマーを使用して制御された完全な配列であった。次いで部位特異的変異誘発法(Quick Change II部位特異的変異誘発キット、Stratagene)を行って、以前の構築物hIGF1−Ea−delGPE−R37A/pCDNA3.1を使用して2つの残基R71及びS72を取り除いた。得られた構築物hIGF1−Ea−delGPE−R37A−delRSを使用して、hIGF1−Ea(delGPE、R37A、delRS)を哺乳動物発現ベクターpRS5a(Novartis専売のベクター、NPL000961)内に再クローニングした。PRS5aは、CMVプロモーター下の哺乳動物発現ベクター、BGH遺伝子(ウシ成長ホルモン)由来のポリアデニル化部位及びアンピシリン耐性である。hIGF1−Ea(delGPE、R37A、delRS)/pRS5aをNPL009759(Novartis専売のベクター)として保存した。
【0155】
hIGF1−Ea(del GPE、R37A、del RS)をNPL009759から増幅した。PCR産物を5’HindIII/3’BamHIによって消化し、pRS5a−hIgG1 LALAベクター(NPL012935、Novartis専売のベクター)内にクローニングした。上記の部位特異的変異誘発法の数回のラウンドを実施して、hIGF1−Ea(delGPE、R37A、delRS)−[R74Q−R78Q−R104Q](NPL017580、Novartis専売のベクター)についてのプラスミドを送達した。このプラスミドを以下に記載されているさらなるクローニングに基づいて使用した。
【0156】
hIGF1−Ea−hFc_mut2のプラスミド:G42S変異を含有するPCR断片を変異原性オリゴ
【化6】
を使用してNPL017580から増幅した。BlpI及びBspEIエンドヌクレアーゼ制限部位を、生成したPCR断片をクローニングしてNPL017580に戻すために使用した。
【0157】
hIGF1−Ea−hFc_mut3のプラスミド:G42P変異を含有するPCR断片を変異原性オリゴ
【化7】
を使用してNPL017580から増幅した。BlpI及びBspEIエンドヌクレアーゼ制限部位を、生成したPCR断片をクローニングしてNPL017580に戻すために使用した。
【0158】
hIGF1−Ea−hFc_mut4のプラスミド:A37E変異を含有するPCR断片を変異原性オリゴ
【化8】
を使用してNPL017580から増幅した。ゆらぎコドンはIUPAC命名法で与えられ、Mは塩基A又はCを表し、Nは塩基A、C、G又はTを表す。後者のオリゴは37位についてゆらぎコドンを有する。BlpI及びBspEIエンドヌクレアーゼ制限部位を、生成したPCR断片をクローニングしてNPL017580に戻すために使用した。A37E置換をシークエンシングによって選択した。
【0159】
hIGF1−Ea−hFc_mut12のプラスミド:R36A−A37R変異を含有するPCR断片を変異原性オリゴ
【化9】
を使用してNPL017580から増幅した。BlpI及びSfoIエンドヌクレアーゼ制限部位を、生成したPCR断片をクローニングしてNPL017580に戻すために使用した。
【0160】
hIGF1−Ea−hFc_mut13のプラスミド:R36Q変異を含有するPCR断片を変異原性オリゴ
【化10】
を使用してNPL017580(Novartis専売のベクター)から増幅した。BlpI及びSfoIエンドヌクレアーゼ制限部位を、生成したPCR断片をクローニングしてNPL017580に戻すために使用した。
【0161】
バリアントhIGF1−Ea−hFc mut4及びmut13をさらに改変して、異なるリンカー(すなわち配列番号22及び23)を導入した:BspEIエンドヌクレアーゼ制限部位(残基IGF1 F49−R50に対応する)からAleI(Fc部分内)に及ぶリンカー配列をGeneartに注文した。リンカーを標準的な切り貼りによりクローニングして、hIGF1−Ea−hFc_mut4_E、hIGF1−Ea−hFc_mut13_E及びhIGF1−Ea−hFc_mut13_Aについてのプラスミドを得た。次の工程において、変異G42Sを導入した。
【0162】
hIGF1−Ea−hFc_mut4/2_E及びhIGF1−Ea−hFc_mut13/2_Eのプラスミド:G42S変異を含有するPCR断片をオリゴ
【化11】
を使用してhIGF1−Ea−hFc_mut2のプラスミドから増幅した。BspEI及びSfoIエンドヌクレアーゼ制限部位を、hIGF1−Ea−hFc_mut4_E及びhIGF1−Ea−hFc_mut13_Eのプラスミド内に生成したPCR断片をクローニングするために使用した。
【0163】
hIGF1−Ea−hFc_mut13/2_Aのプラスミド:G42S−R36Q変異を含有するPCR断片をオリゴ
【化12】
を使用してhIGF1−Ea−hFc_mut13/2_Eのプラスミドから増幅した。BspEI及びSfoIエンドヌクレアーゼ制限部位を、hIGF1−Ea−hFc_mut13_Aのプラスミド内に生成したPCR断片をクローニングするために使用した。
【0164】
A3 組換えタンパク質の産生
小規模産生:
FuGene及びポリエチレンイミン(PEI)に基づいた2つの異なるトランスフェクション法を使用してIGF1−Fcバリアントを産生した。
【0165】
100mlのHEK293F培養物を以下のように(PEI)でトランスフェクトした:水中の100μgのプラスミドDNAを、室温にて10分間、7mlのFreeStyle発現培地(GIBCO、Cat.12338026)中で希釈した。300μgのPEI(1mg/mlのPEIストック由来)を室温にて7mlのFreeStyle発現培地中で希釈した。次いでDNA及びPEI溶液を一緒に混合し、500mlの振盪フラスコ中で約1.4×10細胞/mLの密度にて36mlのHEK293F細胞培養物に加える前に15分間インキュベートした。6日間、100rpm、6%CO2及び37℃に設定したKuehner−Shaker ISF1−X(Kuehner)中で培養物をインキュベートした。次いでIGF1−Fcバリアントを、AKTA Avant(GE Healthcare)上のHiTrap MabSelect Sure 1mlカラム(GE Healthcare)を使用したプロテインAクロマトグラフィーによって、清浄した細胞培養物上清から精製した。ベースラインをPBSで洗浄した後、結合した物質を50mMクエン酸塩、pH3.0、150mM NaClで溶出し、すぐに中和した。
【0166】
100mlのHEK293F培養物を以下のようにFuGENE HDトランスフェクション試薬(Roche)でトランスフェクトした:水中の100μgのプラスミドDNAを、室温に維持した1mlのFreeStyle発現培地(GIBCO、Cat.12338026)中で希釈した。400μlのFuGENEを希釈したDNAに加え、混合物を室温にて15分間インキュベートした。次いで1.4mlのDNA−FuGENE混合物を、約0.5×10細胞/mLの細胞密度を有する500mlのフラスコ中の98.6mLのHEK293F(Invitrogen)細胞培養物に加えた。7日間、100rpm、6%CO2及び37℃に設定したKuehner−Shaker ISF1−X(Kuehner)中で培養物をインキュベートした。次いでIGF1−Fcバリアントを、AKTA Avant(GE Healthcare)上のHiTrap MabSelect Sure 1mlカラム(GE Healthcare)を使用したプロテインAクロマトグラフィーによって、清浄した細胞培養物上清から精製した。ベースラインをPBSで洗浄した後、結合した物質を50mMクエン酸塩、pH3.0、150mM NaClで溶出し、すぐに中和した。
【0167】
中規模産生:
9.5LのHEK293培養物を以下のようにポリエチレンイミン(PEI)でトランスフェクトした:TE緩衝液中の10mgのプラスミドDNAを、250mLの室温のOptiMEM1培地[Gibco Cat.No#11058−021]中で5分間インキュベートした。20mgのポリエチレンイミンPEI(1mg/mLのPEIストック由来)を、250mLの室温のOptiMEM1培地(Gibco Cat.no#11058−021)に加えた。次いでDNA及びPEI溶液を一緒に混合し、15分間インキュベートした。次いで500mLのDNA−PEI混合物を、0.75×106細胞/mLから1.25×106細胞/mLの間の密度にて9.5LのHEK培養物に加えた。トランスフェクトした細胞を20L Wave Cellbag(GE Healthcare、#CB0020L10−03)中に37℃にて接種した。Cellbagを、25rpm、7度の振盪角度、7%CO2、0.50lpm空気、及び37℃に設定したWave System 20/50EHT上に置いた。Fc融合構築物を、プロテインAクロマトグラフィーによって、濃縮した培養物上清から収集した。ベースラインをPBSで洗浄した後、結合した物質を50mMクエン酸塩、pH2.7、140mM NaClで溶出し、すぐに中和した。次いで中和した画分を限外濾過によって濃縮し、いくらかの汚染凝集体を除去するためにPBS中のSuperdex 200上でサイズ合わせした。物質の純度はSDS−PAEG及びLC−MS分析の両方で判断して>95%であった。
【0168】
A4 SEC−MALSによる凝集レベルの評価
プロテインAで精製したIGF−1−Fcバリアントを、多角度光散乱検出器(SEC−MALS)に連結したサイズ排除クロマトグラフィーによって凝集レベルについて試験し、測定を、3角度光散乱検出器(miniDAWN Treos、Wyatt Technology、Santa Barbara、CA、USA)に接続したAgilent 1200HPLCシステム(Agilent Technologies)で実施した。試料の濃度を、0.186ml/gの特定の屈折率増分(dn/dc)値を使用した示差屈折計(Optilab rEX、Wyatt Technology)を用いてオンラインで追跡した。50ulの試料体積をSuperdex200 10/300 GLカラム(GE Healthcare)上に注入した。データを記録し、ASTRA Vソフトウェア(Wyatt Technology)を使用して処理した。MALS検出器についての検出器遅延体積及び規格化係数を決定するために、BSA試料(Sigma、A8531)を参照として使用した。デスパイキングもバンド広がり補正もどちらも適用しなかった。
【0169】
A5 細胞培養
ヒト骨格筋(skMC)細胞をCambrex(#CC−2561)から得た。ヒト初代筋芽細胞を成長培地[20%ウシ胎仔血清(FBS、#2−01F40−1、Amimed)及び0.1%ゲンタマイシンを含有するSkGM]中で培養した。(37℃、5%CO2及び95%湿度にて)4〜5日後、細胞を、150.000細胞/ウェルの密度にて成長培地中に播種し、(37℃、5%CO2及び95%湿度にて)成長させた。播種後3日において、skMC筋芽細胞をシグナル伝達実験のために使用した。NIH3T3−IGF−1R及びNIH3T3−InsRを、10%FBS、100U/mlペニシリン及び100μg/mlストレプトマイシンを含有するD−MEM中に維持した。初代カニクイザル筋芽細胞を、オナガザル科(Macaca fascicularis)であるカニクイザルの腓腹筋から単離した。細胞を、20%ウシ胎仔血清(FBS、#2−01F40−1、Amimed)及び0.1%ゲンタマイシン(Life Technologies、#15750−037)を含有するSkBM中で培養した。3T3−L1含脂肪細胞及びC2C12細胞を、アメリカンタイプカルチャーコレクション(それぞれATCC−CL−173及びATCC;#91031101)から得た。3T3−L1含脂肪細胞を、DMEM、高グルコース、1.5g/リットルのNaHCO3(ATCC#30−2002)中に維持し、10%FCS、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、0.5mM IBMX、1μMデキサメタゾンを含有するDMEMを加えることによって分化を開始した。C2C12筋芽細胞は播種後3日に分化した。そうするまで、細胞を、2%加熱不活性化ウマ血清(HS;#US 14−403F、Cambrex)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び1%グルタミンを追加したDMEMからなる分化培地(DM)で1回洗浄し、次いでDM中で37℃、5%CO2及び95%湿度にて72時間インキュベートした。
【0170】
A6 Biacore
結合特性を、25℃にてBiacore T200機器を使用してSPRにより特性付けした。3つのCM5チップ(GE、BR−1005−30)を、標準的なアミンカップリング手順を適用することによって調製した。フローセル1は参照として与えるために固定したブランクであり、一方、IGF−1及びhIGF−1−Ea−Fc_mut_13/2_Aを測定フローセル2及び3に固定した。固定レベルは個々の相互作用に適合し、20〜143RU(IGF−1)及び32〜113RU(hIGF−1−Ea−Fc_mut_13/2_A)の範囲であった。rec.ヒトIGF−1R(R&D Systems、391−GR)の希釈系列を、30mMクエン酸塩及び0.05%BSAを含有するランニング緩衝液、1×HBS−EP+(Teknova、H8022)中で調製し、50μl/分の流速にてチップ上に注入した。検体濃度範囲は個々の相互作用に適合し、1000〜3.9nM(IGF−1R)の範囲であった。リガンドを、Ag/Ab溶出緩衝液(Thermo Scientific、21027)を50μl/分にて90秒間穏やかに注入することによって再生した。運動速度係数及びKDを、二重に参照したセンサーグラムを1:1結合モデルに適合することによって算出した。
【0171】
A7 ELISA
IGF−1Rリン酸化の分析のために、6ウェルプレート上にプレーティングした細胞を、成長培地中で24時間(NIH3T3−IGF−1R)又は72時間(ヒト及びカニクイザル初代筋芽細胞)培養した。細胞を24時間(NIH3T3−IGF−1R)又は4時間(ヒト及びカニクイザル初代筋芽細胞)飢餓し、次いで示したペプチドで37℃にて15分間刺激した。細胞を、種々のプロテアーゼ阻害剤を含有するPhosphoSafe緩衝液(Cell Signaling)で溶解し、14,000×g、4℃にて15分間の遠心分離によって清浄し、IGF−1Rリン酸化レベルを、DuoSet ICヒト蛍光体−IGF−1Rキット(R&D Systems)を使用してELISAによって分析した。
【0172】
インスリン受容体リン酸化の分析のために、NIH3T3−InsR細胞を、6ウェルプレートの1つのウェル当たり0.2×10細胞の密度にてプレーティングし、成長培地中で24時間培養した。細胞を無血清培地中で18時間飢餓し、次いで異なるリガンドで37℃にて10分間刺激した。細胞を上記のように溶解し、InsRリン酸化レベルを、DuoSet ICヒト蛍光体−InsR ELISAキット(R&D Systems)を使用してELISAによって分析した。
【0173】
A8 グルコース取り込み
グルコース取り込みを測定するために、3T3−L1含脂肪細胞及びC2C12マウス筋管細胞を24ウェルプレート上に播種し、無血清DMEM中で4時間培養した。次いで無血清DMEMを、3T3−L1含脂肪細胞及びC2C12のそれぞれについて、KRP緩衝液(130mM NaCl、1.3mM MgSO4、1.3mM CaCl、5mM KCl及び10mM Na2HPO4)又はHBS(140mM NaCl、2.5mM MgSO4、1.0mM CaCl、5mM KCl及び10mM Hepes)と置き換えた。細胞を指定したペプチドで37℃にて1時間処理した。グルコース取り込みを、0.4(含脂肪細胞)又は0.8(C2C12)μCiの[3H]2−デオキシ−D−グルコース及び0.1(含脂肪細胞)又は0.01(C2C12)mMの2−デオキシ−D−グルコースを室温にて10分間(含脂肪細胞)又は5分間(C2C12)加えることによって測定した。培地を吸引し、1μMのサイトカラシンBを含有するKRP又はHBS緩衝液を加えることによってアッセイを終了した。次いで細胞を氷冷PBSで洗浄し、0.2M NaOHを使用して溶解し、シンチレーション計数によって放射線分析した(図5/6を参照のこと)。
【0174】
A9 薬物動態プロファイル
成体のオスのラット(n=3/群)に、10mg/kgにてhIGF−1−Ea−Fc_mut 13/2_A若しくはhIGF−1−Ea−Fc_mut 04/2_E又はhIGF−1(1mg/kg)の静脈内(i.v.)ボーラス又は皮下注射を与えた。一連の血液検体を、IGF−1バリアントの投与の2、4、8、24、48、72、96、168及び336時間後又はhIGF−1投与の0.083、0.25、0.5、2、4、8及び24時間後に採取した。組換えタンパク質の血清濃度をELISAによって決定した。
【0175】
A10 デキサメタゾン誘導性筋萎縮に対するhIGF−1−Ea−Fc mut 13/2 Aの効果
デキサメタゾン(Dex)をPBS中に溶解して、Alzetモデル2ML2を用いて28日間、0.075mg/kg/日の用量を達成した。Dexを群Cにおいて3.8mg/kg/日の用量にてミニポンプ中でhIGF−1と組み合わせた。Dex処置を、群D、E及びFにおいてそれぞれ3、10及び30mg/kgの用量にてhIGF1−Ea−Fc_13/2_Aの皮下処置と一日おきに組み合わせた。ポンプを溶液で満たし、外科的移植までPBS中で37℃にて数時間維持した。ラットを、外科手術の少なくとも30分前に、1mL/kgの体積で0.02mg/kgの用量にてTemgesicで皮下処置し、次いで上記に示した溶液で満たしたポンプを、3%の濃度にてイソフルランによる麻酔下でラットの背部内に皮下移植した。外科手術の24時間及び48時間後、Temgesicをラットに皮下投与した。群A、B及びCにおけるラットを毎日のPBSの皮下注射により処置した。体重を1週間に2回測定した。処置の4週間後、ラットをCO2で安楽死させ、筋肉を切断し、秤量した。
【0176】
パートB:作業実施例
タンパク質残基E3、R71及びS72が欠失しており、R37アミノ酸がアラニンによって置換されている、Ea−ペプチド(hIGF1−Ea−Fc−mut 3)(配列番号27)を含む従来技術の分子を産生し、試験した。
【実施例1】
【0177】
DNA発現ベクターの調製
1.1 以下の改変を含有するhIGF−1−Ea前駆ポリペプチドをコードするDNA発現ベクターを上記のように構築した:hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_A(エフェクター機能サイレンシング変異L234A L235A(「LALA」)(配列番号9)を有するhIgG1由来のFc部分を含む);ここで、G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、R37はアラニンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異しており;IgG1 LALA Fc領域に連結している。
【0178】
これにより以下の分泌タンパク質配列が得られる:
【化13】
【0179】
1.2 以下の改変を含むhIGF−1−Ea前駆ポリペプチドをコードするDNA発現ベクターを上記の段落A2に記載されているように構築した:
hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_E(hIgG1 LALA Fc領域を含む):ヒトIGF−1前駆タンパク質、ここで、G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異しており;IgG1 LALA Fc領域に連結している。
【0180】
これにより以下の分泌タンパク質配列が得られる:
【化14】
【0181】
上記に概説した原理に基づいて、以下のさらなるタンパク質が産生された:
実施例54(hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_E;配列番号8)
実施例56(hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_C;配列番号10)
実施例50(hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_F;配列番号11)
実施例58(hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_A;配列番号13)
実施例59(hIgF1−Ea−Fc_mut 04/2_F;配列番号14)
【0182】
1.3 以下の改変を含有するhIGF−1ポリペプチドをコードするDNA発現ベクターを、当該分野において知られているDNAベクター構築物/DNA操作法を使用して構築した:hIgF1 G42S(配列番号117);
【0183】
これにより以下のタンパク質配列が得られる:
【化15】
【0184】
1.4 以下の改変を含有するhIGF−1ポリペプチドをコードするDNA発現ベクターを、当該分野において知られているDNAベクター構築物/DNA操作法を使用して構築した:hIGF1−Ea−mut 03−G42S(配列番号118);
【0185】
これにより以下のタンパク質配列が得られる:
【化16】
【実施例2】
【0186】
IGF−1−Fcバリアントのプロテアーゼチャレンジ
例えばCHOなどの哺乳動物細胞発現系において産生したタンパク質は、発現の間にタンパク質分解に悩まされ得る。標準化手段における産生の間に潜在的なプロテアーゼ感受性を効果的に評価するために、本発明者らは、精製タンパク質及びCHO細胞培養物由来の馴化培地を使用してプロテアーゼチャレンジアッセイを開発した。切断パターンとのそのアッセイの比較により、アッセイ検証の条件でCHO細胞において産生されたIGF−1−Fcバリアントが観察された。手短に述べると、CHO細胞を、1E7細胞/mlまでの密度で2E5細胞/ml由来のCHODM122培地中で培養した(37℃、6%CO2、85%相対湿度、90〜150rpm)。清浄した上清をアッセイに使用される馴化培地に提供する。IGF−1−Fcバリアントを上記(A3)のように精製し、馴化培地又は対照としてPBS中で100ug/mlの濃度において急上昇した。濾過滅菌後、試料を37℃にて20日までインキュベートし、種々の時点で分析する試料を得た。異なる分解産物は標準的なSDS−PAGE技術(NuPAGE Bis−Tris、Invitrogen)により十分に単離でき、分解バンドの強度を濃度測定により定量した。この結果を図17に示す。
【実施例3】
【0187】
組換えヒトIGF−1Rに対するhIGF−1及び類似体の高親和性結合
rhIGF1Rに対するhIGF−1及びIGF−1バリアントの高親和性結合を、表面プラズモン共鳴(Biacore)を使用して測定した。直接結合アッセイを実施した。ヒトIGF−1−Ea_Fc_Mut_13/2_A及びhIGF−1をチップに固定し、IGF−1受容体を溶液中の検体として与えた。得られたセンサーグラムを1:1相互作用モデルに適合して平衡解離定数(KD)を算出した。この結果により、IGF−1Rに対するhIGF−1−Ea_Fc_Mut_13/2_Aの結合がhIGF−1と同等であることが示される(図1)。
【実施例4】
【0188】
IGF−1Rリン酸化の誘導
IGF−1Rのリン酸化を刺激するhIGF−1及びhIGF−1バリアントの能力を、ELISAによってヒトIGF−1R(NIH3T3−IGF−1R)を過剰発現するNIH3T3細胞において最初に評価した。これらの細胞において、IGF−1Rリン酸化を全ての試験したペプチドによって濃度依存的に誘導した。平均化したELISAデータのロジスティック曲線適合により、hIGF1−Ea−D1−3、R37A、D71−72、R77Q−Fc及びhIGF1−Ea−Fc_mut_04/2_Eの効力(EC50)がhIGF−1と比較して減少したことが示された(図2A〜B)。しかしながら、平均化したELISAデータのロジスティック曲線適合により、全ての試験したペプチドについて非常に同等の最大応答値が生じた(図2C〜D)。内因性IGF−1Rのリン酸化を刺激するhIGF−1バリアント及びhIGF−1の能力を、初代ヒト筋芽細胞及びカニクイザル筋芽細胞において評価した。これらの細胞において、IGF−1Rリン酸化を全ての試験したペプチドによって濃度依存的に誘導した(図4B〜C)。平均化したELISAデータのロジスティック曲線適合により、hIGF−1バリアントの効力(EC50)はhIGF−1と比較して減少したことが示された(図4A)。しかしながら、平均化したELISAデータのロジスティック曲線適合により、全ての試験したペプチドについて非常に同等の最大応答値が生じた(図4)。
【実施例5】
【0189】
インスリン受容体に対する特異性
IGF−1バリアントのアミノ酸改変が受容体特異性に影響を与えるかどうかを試験するために、InsRリン酸化に対するIGF−1バリアントペプチドの効果を、ELISAによってヒトInsRを過剰発現するNIH3T3において分析した。本発明者らは、異なる濃度のIGF−1バリアント、hIGF−1及びインスリンを用いてNIH3T3−InsR細胞形質転換体を処理した。等モル濃度の示したペプチドを使用した。これらの実験の結果を図3/18に示す。改変は、受容体特異性を維持し、インスリンが最大応答を与える濃度でさえInsRリン酸化の弱い(week)誘導因子であることが示されたG42S変異(hIGF1−Ea−Fc_mut_02、hIGF1−Ea−Fc_mut_03、hIGF1−Ea−Fc_mut_04/2_E及びhIGF1−Ea−Fc_mut_13/2_A)を有するバリアントを除いて大部分のIGF−1バリアントの受容体特異性に影響を与えた。驚くべきことに、hIGF1−Ea Fc_mut_13/2_A及びhIGF1−Ea Fc_mut_04/2_Eは、図5B及びD並びに図6に示されるように急速なインスリン受容体結合(例えば分化した含脂肪細胞におけるグルコース取り込み)によって駆動されるエフェクター機能に対してIGF−1より顕著に低い効力であることが示された。対照的に、hIGF1−Ea Fc_mut_13/2_A及びhIGF1−Ea Fc_mut_04/2_E及びhIGF−1は、C2C12筋管におけるグルコース取り込みなどのIGF−1R媒介性機能について等効力であった(図5A及びC)。IGF−1タンパク質(配列番号117のIGF−1 G42Sバリアントを生じる)内及びhIGF1−Ea−mut 03タンパク質(配列番号118のhIGF1−Ea−mut 03−G42Sバリアントを生じる)内へのG42S変異の導入は、NIH3T3−InsR細胞におけるInsRリン酸化を低下させた(図18)。さらに、前記変異は含脂肪細胞及びC2C12筋管のそれぞれにおけるグルコース取り込みに対して影響を与えた(図19)。
【実施例6】
【0190】
血清濃度の決定
オスのFischerラット(n=3)における単回i.v.及びs.c.用量投与の後、hIGF1−Ea−Fc−mut_13/2_A及びhIGF1−Ea.Fc_mut_04/2_Eの血清濃度を、hIGF−1Ea 3mutに特異的なELISAによって決定した(詳細については上記のA5を参照のこと)。これらの実験の結果を図7−A及び7−Bに示す。終末相半減期はそれぞれ約75.3及び50.1時間である。最大濃度はそれぞれ、s.c.用量投与の8時間及び24時間後(Tmax)に到達した。対照的に、hIGF−1(1.0mg/kg)の静脈内投与後、hIGF−1のレベルを、0〜8時間の範囲にわたって定量できた。Tmax(0.083h)に到達した後、ペプチドの血清濃度の急激な低下を観察し、1.81時間の見かけの終末相半減期を生じた。hIGF−1(1.0mg/kg)の皮下投与後、血清レベルは投与後8時間まで定量でき、最大濃度を投与後0.5時間で観察した。従って、IGF−1類似体はヒトIGF−1と比較して非常に改善された薬物動態プロファイルを示す。
【実施例7】
【0191】
デキサメタゾン誘導性筋萎縮に対するhIGF−1−Ea−Fc_mut_13/2_Aの効果
IGF−1は、骨格筋においてタンパク質合成を刺激し、タンパク質分解を阻害することが示されているので、本発明者らは、デキサメタゾン処置したラットにおけるhIGF−1−Ea_Fc_mut_13/2_Aの投与が筋萎縮を阻止することができるかどうかを試験した。オスのウィスターラットを、単独で、又はビヒクル(PBS)若しくはhIGF−1と一緒のいずれかで75μgのデキサメタゾン/kg/日でAlzetポンプを介して連続的に注入した。上記のようにデキサメタゾンを注入した動物のさらなる群に、hIGF−1−Ea_Fc_mut_13/2_Aのs.c.注射を一日おきに与えた。全ての動物を28日間処置し、次いで屠殺した。体重を実験の開始、及び次いで注射後28日にモニターした。
【0192】
予想されるように、体重及び筋肉重量の顕著な低下が、ビヒクル対照と比較してデキサメタゾン処置したラットにおいて観察された(図8)。hIGF−1−Ea_Fc_mut_13/2_Aの注射は体重及び筋肉重量の喪失を顕著に低下させた(図8)。
【0193】
上記のhIGF−1−Ea前駆ポリペプチドバリアントに加えて、以下のさらなるタンパク質バリアントを本発明に従って産生でき、使用できる:
【実施例8】
【0194】
(2b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失している。
【化17】
【実施例9】
【0195】
(4b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失している。
【化18】
【実施例10】
【0196】
(5b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はアラニンによって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失している。
【化19】
【実施例11】
【0197】
(6b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はプロリン(P)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失している。
【化20】
【実施例12】
【0198】
(8b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失している。
【化21】
【実施例13】
【0199】
(9b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、R37はアラニンによって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失している。
【化22】
【実施例14】
【0200】
(13b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化23】
【実施例15】
【0201】
(14b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化24】
【実施例16】
【0202】
(15b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化25】
【実施例17】
【0203】
(16b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R77はグルタミン(Q)に変異している。
【化26】
【実施例18】
【0204】
(17b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化27】
【実施例19】
【0205】
(18b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化28】
【実施例20】
【0206】
(19b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はアラニン(A)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化29】
【実施例21】
【0207】
(20b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はアラニン(A)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化30】
【実施例22】
【0208】
(21b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はアラニン(A)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化31】
【実施例23】
【0209】
(22b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はプロリン(P)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化32】
【実施例24】
【0210】
(23b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はプロリン(P)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化33】
【実施例25】
【0211】
(24b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はプロリン(P)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化34】
【実施例26】
【0212】
(25b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化35】
【実施例27】
【0213】
(26b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化36】
【実施例28】
【0214】
(27b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、R37はアラニンによって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化37】
【実施例29】
【0215】
(28b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化38】
【実施例30】
【0216】
(29b)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、R37はアラニンによって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化39】
【実施例31】
【0217】
(2c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失している。
【化40】
【実施例32】
【0218】
(4c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失している。
【化41】
【実施例33】
【0219】
(5c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はアラニンによって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失している。
【化42】
【実施例34】
【0220】
(6c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はプロリン(P)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失している。
【化43】
【実施例35】
【0221】
(8c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失している。
【化44】
【実施例36】
【0222】
(9c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、R37はアラニンによって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失している。
【化45】
【実施例37】
【0223】
(13c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化46】
【実施例38】
【0224】
(14c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化47】
【実施例39】
【0225】
(15c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化48】
【実施例40】
【0226】
(16c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化49】
【実施例41】
【0227】
(17c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化50】
【実施例42】
【0228】
(18c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はグルタミン酸(E)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化51】
【実施例43】
【0229】
(19c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はアラニン(A)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化52】
【実施例44】
【0230】
(20c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はアラニン(A)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化53】
【実施例45】
【0231】
(21c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はアラニン(A)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミンに変異している。
【化54】
【実施例46】
【0232】
(22c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はプロリン(P)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化55】
【実施例47】
【0233】
(23c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はプロリン(P)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72 72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化56】
【実施例48】
【0234】
(24c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R37はプロリン(P)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化57】
【実施例49】
【0235】
(25c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74はグルタミン(Q)に変異している。
【化58】
【実施例50】
【0236】
(26c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化59】
【実施例51】
【0237】
(27c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、R37はアラニンによって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74及びR77はグルタミン(Q)に変異している。
【化60】
【実施例52】
【0238】
(28c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36及びR37の両方はグルタミン(Q)によって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化61】
【実施例53】
【0239】
(29c)G1、P2、E3は欠失しており、アミノ酸R36はグルタミン(Q)によって置換されており、R37はアラニンによって置換されており、G42はセリンによって置換されており、アミノ酸K68、S69、A70、R71及びS72は欠失しており、アミノ酸R74、R77及びR104はグルタミン(Q)に変異している。
【化62】
【実施例54】
【0240】
CHO IGF−1受容体欠損細胞株における組換えIGF−1の発現。
CHO細胞株における組換えIGF−1の発現により、細胞成長阻害及び低力価が生じた。図11において、バイオリアクタープロセスの間のhIGF−1Ea 3mut(配列番号27)の力価測定を示す。hIGF−1Ea 3mutの最大力価測定は8ug/mlであり、これは100mg/Lの抗体力価(モル質量に基づく)に対応する。バイオリアクタープロセスにおける組換え抗体の平均力価測定は約3g/Lである。IGF−1の低力価の1つの原因はIGF−1発現細胞の低下した細胞成長及び低い細胞生存率である。抗体発現プロセスの間、CHO−K1派生細胞は2〜2.5×10細胞/mlまで成長し、細胞生存率は、最初の230〜260時間の培養時間の間、97%超である。対照的に、IGF−1を発現するCHO−K1派生細胞は0.5〜0.9×10細胞/mlまでしか成長せず、細胞生存率は80時間後で既に97%未満に低下する(図11を参照のこと)。
【0241】
低下した細胞成長はまた、IGF−1と非トランスフェクトCHO−K1派生細胞の共培養の間に検出され得る。図12は、親CHO−K1派生細胞が2.5×10細胞/mlまで成長することを示す。野生型IGF−1又はhIGF−1Ea 3mut(50mg/L)とCHO−K1派生細胞の共培養の間、細胞成長はまた顕著に阻害された(0.9×10細胞/ml)。
【0242】
次の工程において、特異的IGF−IRチロシンキナーゼ阻害剤(NVPAEW541(NVPAEW541−IGF−IRキナーゼの新規で有効な選択的阻害剤のインビボ抗腫瘍活性;Carlos Garcia-Echeverria et al.; Cancer Cell;2004年2月26日にオンラインで公開されたDOI:10.1016/S1535610804000510)を、CHO−DUXB11派生細胞におけるIGF−1共培養実験の間に加えた。細胞成長阻害は阻止することができた(図13を参照のこと)。これにより、IGF−1−Rが、細胞成長阻害を生じる細胞内にシグナルを誘発することが検証される。
【0243】
次の工程において、ジンクフィンガーヌクレアーゼ技術(ZFN)を使用したIGF−1Rのノックアウトを、CHO−K1派生細胞及びCHO−DUXB11由来細胞株において実施した。IGF−1Rのエクソン3の領域において特異的に結合するZFNを設計した。2つのプラスミド(それらの各々はIGF−1R特異的ZFNの1つのサブユニットをコードする)をCHO−K1派生細胞又はCHO−DUXB11由来細胞において共トランスフェクトした。各ZFNサブユニットは特異的な18塩基対長の配列に結合し、従って全体で36bp配列が特異的認識される(ゲノムの他の位置におけるランダム切断を回避する)。FokIのエンドヌクレアーゼドメインを、DNAを切断するためにヘテロダイマーとしてのみ機能するように再操作する。ZFNダイマーはIGF−1Rのエクソン3において標的化した二本鎖切断を生じる。非相同末端結合のエラープローン細胞プロセスによって、この二本鎖切断はDNA配列の改変を生じることができ、そのために標的遺伝子の機能的ノックアウトを生成する。CHO−K1派生細胞について、3つのノックアウトクローンを生成した(両方の対立遺伝子及びフレームシフト変異でのノックアウト):クローン1:Δ2(配列番号99)、クローン2:Δ5(配列番号100)及びクローン3:Δ2(配列番号101)、クローン1:+18(及び14bps置換)(配列番号103)、クローン2:Δ22(配列番号102)及びクローン3:Δ114(配列番号104)。
【0244】
CHO−DUXB11由来細胞株は、CHO−K1派生細胞ポリクローナル及びIGF−1Rチャレンジングのノックアウトを生じた倍数性と対照的である(2つより多いIGF−1Rコピー/ゲノムがノックアウトされなければならない)。本発明者らはフレームシフト変異を有するいくつかの特有のノックアウトクローンを生成し、TOPOクローニング及びシークエンシングを用いてそれらの2つを検証した。クローン12:Δ7(50%)(配列番号106)/Δ22(50%)(配列番号105)、クローン19:Δ7(14.5%)/Δ16(44%)/Δ22(18%)/Δ22mut(15%)。括弧内の百分率は、この変異が32個の配列決定した細菌コロニーからどれくらいの頻度で発生するかに基づく。クローン19について、6つのIGF−1R対立遺伝子(3×Δ16、1×Δ7、1×Δ22、1×Δ22mut)が存在すると想定され得る。3つの生成したCHO−K1派生細胞IGF−1R KOクローンをIGF−1と共培養し、細胞成長阻害は検出できなかった(図14を参照のこと)。
【0245】
2つの生成したIGF−1R KO CHO−DUXB11由来のクローンもまた、IGF−1の存在/非存在下で培養した。CHO−K1 IGF−1R KOクローンと同様に、改善された細胞成長を、野生型CHO−DUXB11由来細胞と比較してKOクローンについて検出することができた(図15を参照のこと)。KOクローンの1つは、IGF−1の存在下で細胞成長阻害が存在せず、他のKOクローンは、IGF−1の存在下で、IGF−1と共培養していないCHO−DUXB11由来細胞と同様の最大の生存細胞数を有したことを示した。
【0246】
ベクターpBW806(hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_A)のクローニング戦略
hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_AをコードするベクターpBW806を2つの連続したクローニング工程に従って調製した。第1の工程において、プラスミド11AARNSC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_E _pMA−T(Novartis専売のベクター)を、デノボ合成したFc領域を抽出するためにXbaI及びAscIを用いて消化した。並行して、pBW679(Novartis専売のベクター)を、転写及び翻訳調節エレメント並びにG418/DHFR選択/増幅マーカーを有する対応する骨格断片を生成するAscI及びXbaIを用いて消化した。両方の消化したエレメントをそれらの適合性のある末端によってライゲーションして、中間体ベクターpBW805を得た。第2の工程において、プラスミド11AARNUC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_A_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_A融合タンパク質のn末端領域を抽出するためにXbaI及びSse232Iを用いて消化した。並行して中間体ベクターpBW805を続いて、Sse232I及びXbaIを用いて消化し、所望の骨格画分を送達し、それを11AARNUC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_A_pMA−T断片と最後にライゲーションして、最終発現ベクターpBW806を得た。
【0247】
ベクターpBW807(hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_C)のクローニング戦略
hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_CをコードするベクターpBW807を2つの連続したクローニング工程に従って調製した。第1の工程において、プラスミド11AARNSC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_E_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、デノボ合成したFc領域を抽出するためにXbaI及びAscIを用いて消化した。並行して、pBW679(Novartis専売のベクター)を、転写及び翻訳調節エレメント並びにG418/DHFR選択/増幅マーカーを有する対応する骨格断片を生成するAscI及びXbaIを用いて消化した。両方の消化したエレメントをそれらの適合性のある末端によってライゲーションして、中間体ベクターpBW805を得た。第2の工程において、プラスミド11AARNWC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_C_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_C融合タンパク質のn末端領域を抽出するためにXbaI及びSse232Iを用いて消化した。並行して中間体ベクターpBW805を続いて、Sse232I及びXbaIを用いて消化し、所望の骨格画分を送達し、それを11AARNUC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_C_pMA−T(Novartis専売のベクター)断片と最後にライゲーションして、最終発現ベクターpBW807を得た。
【0248】
ベクターpBW808(hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_F)のクローニング戦略
hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_F(Novartis専売のベクター)をコードするベクターpBW808を2つの連続したクローニング工程に従って調製した。第1の工程において、プラスミド11AARNSC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_E_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、デノボ合成したFc領域を抽出するためにXbaI及びAscIを用いて消化した。並行して、pBW679(Novartis専売のベクター)を、転写及び翻訳調節エレメント並びにG418/DHFR選択/増幅マーカーを有する対応する骨格断片を生成するAscI及びXbaIを用いて消化した。両方の消化したエレメントをそれらの適合性のある末端によってライゲーションして、中間体ベクターpBW805を得た。第2の工程において、プラスミド11AARNYC_hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_F_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_Fc融合タンパク質のn末端領域を抽出するためにXbaI及びSse232Iを用いて消化した。並行して中間体ベクターpBW805を続いて、Sse232I及びXbaIを用いて消化し、所望の骨格画分を送達し、それを11AARNUC_hIgF1−Ea−Fc_mut 13/2_F_pMA−T(Novartis専売のベクター)断片と最後にライゲーションして、最終発現ベクターpBW808を得た。
【0249】
ベクターpBW809(hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_E)のクローニング戦略
HIGF1−EA−FC_MUT 04/2_E Fc融合配列をコードする、ベクターpBW809を2つの連続したクローニング工程に従って調製した。第1の工程において、プラスミド11AARNSC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_E_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、デノボ合成したFc領域を抽出するためにXbaI及びAscIを用いて消化した。並行して、pBW679(Novartis専売のベクター)を、転写及び翻訳調節エレメント並びにG418/DHFR選択/増幅マーカーを有する対応する骨格断片を生成するAscI及びXbaIを用いて消化した。両方の消化したエレメントをそれらの適合性のある末端によってライゲーションして、中間体ベクターpBW805を得た。第2の工程において、プラスミド11AARN2C_hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_E_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_E融合タンパク質のn末端領域を抽出するためにXbaI及びSse232Iを用いて消化した。並行して中間体ベクターpBW805を続いて、Sse232I及びXbaIを用いて消化し、所望の骨格画分を送達し、それを11AARNUC_hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_E_pMA−T(Novartis専売のベクター)断片と最後にライゲーションして、最終発現ベクターpBW809を得た。
【0250】
ベクターpBW810(hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_A)のクローニング戦略
hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_AをコードするベクターpBW810を2つの連続したクローニング工程に従って調製した。第1の工程において、プラスミド11AARNSC_hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_E_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、デノボ合成したFc領域を抽出するためにXbaI及びAscIを用いて消化した。並行して、pBW679(Novartis専売のベクター)を、転写及び翻訳調節エレメント並びにG418/DHFR選択/増幅マーカーを有する対応する骨格断片を生成するAscI及びXbaIを用いて消化した。両方の消化したエレメントをそれらの適合性のある末端によってライゲーションして、中間体ベクターpBW805を得た。第2の工程において、プラスミド11AARN2C_hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_A_pMA−T(Novartis専売のベクター)を、hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_A融合タンパク質のn末端領域を抽出するためにXbaI及びSse232Iを用いて消化した。並行して中間体ベクターpBW805を続いて、Sse232I及びXbaIを用いて消化し、所望の骨格画分を送達し、それを11AARNUC_hIGF1−Ea−fc_mut 04/2_A_pMA−T(Novartis専売のベクター)断片と最後にライゲーションして、最終発現ベクターpBW810を得た。
【0251】
ベクターpBW410(hIGF−1Ea 3mut)のクローニング戦略。
hIGF−1Ea 3mut配列をコードする、ベクター0610900pGA4(Novartis専売のベクター)を、デノボ合成したコードIGF配列を抽出するためにXbaI及びMluIを用いて消化した。並行してpBW165(Novartis専売のベクター)を、転写及び翻訳調節エレメント並びにG418/DHFR選択/増幅マーカーを有する対応する骨格断片を生成するMluI及びXbaIを用いて消化した。両方の消化したエレメントをそれらの適合性のある末端によってライゲーションして、最終発現ベクターpBW410を得た。
【0252】
ベクターpBW664(hIGF1−Ea−D1−3、R37A、D71−72、77−fcドメイン)のクローニング戦略。
hIGF1−Ea−D1−3、R37A、D71−72、77−fcドメイン配列をコードする、ベクター0905915(Novartis専売のベクター)を、デノボ合成したコードIGF配列を抽出するためにXbaI及びAscIを用いて消化した。並行してpBW596(Novartis専売のベクター)を、転写及び翻訳調節エレメント並びにG418/DHFR選択/増幅マーカーを有する対応する骨格断片を生成するAscI及びXbaIを用いて消化した。両方の消化したエレメントをそれらの適合性のある末端によってライゲーションして、最終発現ベクターpBW664を得た。
【0253】
ベクターpBW666(hIGF1−Ea−Δ1−3、R37A、Δ71−72、R77Q−fcドメイン)のクローニング戦略。
hIGF1−Ea−Δ1−3、R37A、Δ71−72、R77Q−fcドメイン配列をコードする、ベクター0950919(Novartis専売のベクター)を、デノボ合成したコードIGF配列を抽出するためにXbaI及びAscIを用いて消化した。並行してpBW596(Novartis専売のベクター)を、転写及び翻訳調節エレメント並びにG418/DHFR選択/増幅マーカーを有する対応する骨格断片を生成するAscI及びXbaIを用いて消化した。両方の消化したエレメントをそれらの適合性のある末端によってライゲーションして、最終発現ベクターpBW666を得た。
【0254】
Δ5/Δ22 CHO−K1派生細胞IGF−1R KOクローン及びΔ7/Δ22 CHO−DUXB11細胞由来IGF−1R KOクローンを、5つの異なるIGF−1−FC融合物候補でトランスフェクトした(図15を参照のこと)。組換えIGF−1−FCタンパク質の5〜17倍の力価の増加を、異なるIGF−1−FC融合物候補でトランスフェクトした野生型CHO−K1派生細胞/CHO−DUXB11細胞由来細胞株と比較してプールレベルで検出することができた。
【0255】
CHO−K1派生細胞IGF1R−KO又はCHO−DUXB11由来IGF1R−KO細胞株において発現したIGF−1−FC融合物候補(hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_A及びhIGF1−Ea−fc_mut 04/2_E)の2つを、100Lのウェーブバイオリアクター(フェドバッチプロセス及び温度変化)において培養した。hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_A/4を発現するCHO−K1派生細胞IGF1RKOプールを3×10細胞/mlの最大生存細胞密度まで成長させ、これは平均ABプロセスより高い(平均細胞密度は2.2×10細胞/mlである。IGF−1を発現するCHO−K1由来野生型細胞と比較して、これは生存細胞数において3〜6倍高い(図11を参照のこと)。hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_A/4を発現するCHO−DUXB11由来IGF1RKO細胞を1.5〜2×107細胞/mlの最大細胞密度まで成長させ、これは野生型CHO−DUXB11由来細胞株と比較してより高い最大細胞密度である。
【0256】
hIGF1−Ea−fc_mut 13/2_Aを発現するCHO−DUXB11由来IGF1R KO細胞が分類した単一細胞であり、24ウェル及び50mlのバッチ培養物中のバッチ力価を決定した。図15において、CHO−DUXB11由来IGF−1R KOクローンにおける30個の最適なhIGF1−Ea−fc_mut 13/2_Aクローン及び30個の最適なhIGF−1−Ea−D1−3、R37A、D71−72、77−fcドメインを発現する野生型CHO−DUXB11由来クローンの24ウェル力価を示し;図16において、各群由来の15個の最適なクローンの振盪フラスコ力価を示す。CHO−DUXB11細胞由来IGF−1R KOクローンの全ては8倍高い24ウェル力価及び7倍高い振盪フラスコ力価を有する。
【実施例55】
【0257】
バイオリアクターにおいてIGF−1を発現する形質転換したCHO細胞の培養。
バイオリアクターにおいてIGF−1を発現する形質転換した細胞を培養するために、フェドバッチプロセスを適用した。細胞成長を補助し、生存率を維持することによって産生期を延ばすように供給開始及び温度変化などのプロセス事象の時間を決めた(Niraj Kumar, Patrick Gammell, Martin Clynes (2007) Proliferation control strategies to improve productivity and survival during CHO based production culture; Cytotechnology (2007) 53:33-46)。
【実施例56】
【0258】
CHO細胞からのIGF−1の収集。
収集手段として、深層濾過、続いて濾過滅菌を用いる標準的な細胞分離技術を適用した。CHO細胞を培養し、当業者に知られている標準的な方法に従って収集した(例えば、Curr. Protoc. Protein Sci. 2001 May;Chapter 5: Unit 5.10. Production of recombinant proteins in mammalian cells. Chen S, Gray D, Ma J, Subramanian S; (Mahesh Prashada, Klaus Tarrach (2006) Depth filtration: Cell clarification of bioreactor offloads, Filtration & Separation Volume 43, Issue 7, September 2006, Pages 28-30)。
【実施例57】
【0259】
IGF−1Rのエクソン3に特異的であるZFNの設計/産生及び使用:
IGF−1Rのエクソン3及び隣接するイントロンを本発明者らのCHO細胞株において配列決定した(配列番号110/111)。最初に、エクソン3を含むIGF−1R cDNAの一部を覆うハムスターDNAコンティグ及びIGF−1R遺伝子のマウス配列を使用してエクソン3を配列決定した。
【0260】
PCRプライマーを保存部分において設計し、得られたPCR産物を配列決定した。得られたエクソン3配列をSigmaに提供して、エクソン3の隣接するイントロンを配列決定し、2つの操作したZFN標的化IGF−1Rエクソン3を設計した。各ZFNは、それぞれリバース(5’上)、フォワード(3’上)DNA鎖における18ヌクレオチドを標的とし、結合する。2つの結合部位は切断部位の5つのヌクレオチドによって分離している(配列番号107)。産物の詳細及び方法は、「74188 CompoZr Custom ZFN Tech Bulletin」と呼ばれる文献においてSigmaにて入手可能である。Sigmaはまた、周囲のイントロン配列(配列番号108及び109)においてフォワード及びリバースPCRプライマーを設計して、gDNAにおいてIGF−1Rエクソン3を増幅して、501bp PCR産物を生成した。Sigmaは、それぞれリバース(pZFN1)、フォワード(pZFN2)鎖認識操作したZFNをコードする、20〜25μgの2つのDNAベクターを含む、キットCompoZrTM(Custom Zinc Finger Nucleases、製品番号CSTZFN−1KT、ロット番号08021019MN)を提供した。
【0261】
いずれかのベクターを用いて周知の形質転換プロトコルに従って大腸菌(E.coli)を形質転換し、アガロースプレートを含有する25μg/mlのカナマイシン上に播いた。各ベクターについて、4つの細菌コロニーを選択し、増殖した。各pZFNの4つの精製したDNAプラスミド試料のZFN配列を、T7フォワード及びBHGリバースプライマーを使用して検証し、プールした。環状pZFN1及びpZFN2ベクターの6μg又は10μgの均一の混合物を、CHO−K1派生細胞及びCHO−DUXB11派生親細胞において、各量について3回、トランスフェクトし、それにより各細胞株を有する6つのプール(プラストランスフェクションの陰性対照)を生成した。プールにおけるZFNの切断効率を測定するために、Surveyor Mutation Detectionアッセイ(Transgenomics、カタログ706025)を、Sigmaにより提供されている機密プロトコルに記載されているようにトランスフェクション(ゼロ日と数える)の3日及び10日後に使用した。GenElute Mammalian Genomic DNA Miniprepキット(Sigma、カタログG1N70−1KT)を使用してプールのゲノムDNAを単離し、隣接するイントロン配列中に存在するIGF−1Rのフォワード及びリバースシークエンシングプライマーを使用したPCR反応においてエクソン3を増幅した。次いでPCR産物を高温下で変性させた。温度を徐々に低下させた場合、いくつかの野生型及び変異産物をハイブリダイズして、Surveyor(登録商標)と呼ばれる酵素によって切断された切断部位周囲にミスマッチを有する二本鎖DNAを形成させた。lab901と呼ばれるゲル電気泳動系を使用して最終産物を分析した。6つ全ての形質転換したプールについて、501bpの完全一致PCR産物に加えて、切断部位のいずれかの側における断片に対応する、約277bp及び224bpの2つのより小さなバンドを検出し、従って、本発明者らの細胞においてZFN活性を証明した。トランスフェクションの7日後、プールは10×96ウェルプレートにおいてクローニングした単一の細胞であった。
【0262】
pZFNでトランスフェクトしたCHO−K1派生細胞株において、507個のクローンを96ウェルプレート中で成長させ、上記のSurveyor Mutation Detectionアッセイを使用して変異について評価した(クローンのゲノムDNAを、Sigma製のExtract−N−Amp Blood PCRキット、カタログXNAB2を使用して96ウェルプレート中で抽出する)。42個のクローンは陽性であり(2つのより小さなバンドが検出された)、これらのゲノムがエクソン3の少なくとも1つの変異コピーを含有し、それらのPCR増幅IGF−1Rエクソン3が配列決定されていることを意味している。偽2倍体CHO−K1由来細胞株から生成したクローンについて予想されるように、DNAシークエンシングクロマトグラムは、標的配列の2つのコピーを示す、最大で2つの重複する同じ強度のシグナルを示した。6つのクローンは両方のコピーにおいて変異を有し、そのうちの3つのクローンは、両方のコピー(配列番号99及び100)において近接して停止コドン又は1つのコピーにおいて近接して停止コドン及びその他において大きな欠失(配列番号101)を誘発する変異を有した。これらの3つのクローンにおける2つのコピーの配列をTOPOクローニング(TAクローニングキット、Invitrogen、cat.K4575−40;6つの細菌コロニーを選択した)によって確認した。3つ全てのK.O.クローンを親細胞より顕著に高い細胞密度で成長させ、IGF−1(「hIGF−1Ea 3mut」(配列番号27)が標準培地中で50mg/Lにて急上昇した場合、標準培地中で親細胞と同様の密度で成長させた(図8)。遺伝子型Δ5/Δ22(配列番号100/102)を有するクローンを、インスリン様成長因子1タンパク質、例えばヒトIGF−1(配列番号1又は5)又はそのバリアント(例えば配列番号8〜14)でのトランスフェクションのために選択した。
【0263】
pZFNでトランスフェクトしたCHO−DUXB11派生細胞株において、117個のみのクローンを96ウェルプレート中で成長させ、Surveyorアッセイを用いて変異について評価した。28個のクローンは、エクソン3の少なくとも1つの変異コピー(2つのより小さなバンドが検出された)を有したが、シークエンシングにより、全てのこれらのクローンは依然として野生型コピーを有することが示され、野生型配列は、シークエンシングクロマトグラムにおいて変異配列より高い強度を有した。CHO−DUXB11派生細胞株は変異誘発され、ポリクローナルであり、核型はいくつかの細胞において染色体の8個までのコピーを示し、遺伝子の予想されるコピー数の推定を困難にする。近接して停止コドンを誘発する変異配列が検出された2つのクローン(Δ22又はΔ16)を、pZFNでのトランスフェクションの第2ラウンドのために選択し、10μgの混合pZFNを使用して元のクローンにつき3つのプールを生成した。トランスフェクションの7日後、プールは6×96ウェルプレートにおいてクローニングしたFACSであった。379個のクローンを成長させ、それから211個をIGF−1Rエクソン3について配列決定し(既に変異した配列であるのでSurveyorアッセイはもはや可能ではない)、重複配列をクロマトグラムで視覚的に分析した。配列決定したクローンのほとんどは野生型及び予想される変異配列(Δ22又はΔ16)を有するヘテロ接合体であり、クローンの約20%は野生型及び2つの変異配列を有し(大部分は切断部位周囲に欠失を有する)、2つのクローンにおいて4つの異なる配列が検出され(TOPOクローニングにより確認したが、配列の1つは野生型又は1つのみのヌクレオチド挿入のいずれかであり)、2つのクローンは両方とも、検出された2つの配列(Δ16/Δ22及びΔ16/Δ5)を有するK.O.クローンであったが、IGF−1の存在下でのそれらの成長は、親CHO−DUXB11派生細胞株におけるよりごくわずかだけ良好であった。従って、遺伝子型Δ22/Δ7/野生型、Δ16/Δ7/野生型及びΔ16/Δ22/野生型を有する3つのクローンを、pZFNでの第3ラウンドのトランスフェクションのために選択した(これらの配列はTOPOクローニングによって確認され、32個の細菌コロニーを選択し、1つのクローンにつき配列決定した)。3つのクローンの各々を8μgのpZFNで2回トランスフェクトした。一旦、各クローンから2つのプールを回収し(生存率>91%、7〜9日後)、それらをプールし、(より耐性のある細胞を選択するために)50mg/lのIGF−1の存在下で約6〜8週間、共培養した。FACSクローニングの2日前に、それらを、(IGF−1−Cy5の結合を可能にし、5%未満の蛍光細胞を選択するために)IGF−1を有さずに分離した。3つのプールは全部で9×96ウェルプレートにおいてクローニングしたFACSであった。
【0264】
IGF−1Rエクソン3における野生型切断部位配列に結合するPCRプライマーを設計し、変異クローンの効果的なスクリーニングを可能にした。IGF−1Rについてのフォワードシークエンシングプライマーと一緒にPCRを実施し、クローンがPCR陰性であった場合、PCRが常に作用していると仮定し、野生型配列は存在せず、又はクローンは十分に成長しなかった(ごくわずかのDNAを抽出したので、少しの細胞が成長した)。このようにスクリーニングした389個の成長したクローンから、58個は陰性であり、配列決定した。これらのクローンの30個において、野生型配列は検出されず、22個のクローンについて変異はフレームシフトであった(クローンΔ22/Δ7/野生型由来の2つの配列Δ22/Δ7を有する13個のクローン)。50mg/lのIGF−1を有する及び有さないこれらの成長を評価し、IGF−1を有する最適な成長クローン(また、そのうちIGF−1を有さない最適な成長クローン)、配列Δ22/Δ7(TOPOクローニングによって検証した)を有する最適な成長クローンを、配列番号8〜14のタンパク質をコードするDNA構築物でのトランスフェクションのために選択した。

本発明は、以下の態様を包含し得る。
[1]
ヒトIGF−1タンパク質を含むポリペプチドであって、42位におけるアミノ酸グリシンが欠失し又は変異しており、前記ヒトIGF−1タンパク質のアミノ酸の番号付けが配列番号1に対応する、ポリペプチド。
[2]
ヒトIGF−1前駆タンパク質を含むポリペプチドであって、42位におけるアミノ酸グリシンが欠失し又は変異しており、アミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、ポリペプチド。
[3]
前記ヒトIGF−1前駆タンパク質がヒトIgGの免疫グロブリンFc領域に融合している、上記[2]に記載のポリペプチド。
[4]
前記42位におけるアミノ酸グリシンがセリンに変異している、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリペプチド。
[5]
前記ヒトIGF−1前駆タンパク質が、Eaペプチド、及び、G1、P2、E3、R36、R37、K68、S69、A70、R71、S72、R74、R77、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及びM105からなる群から選択されるアミノ酸のさらなる欠失又は変異を含む、上記[2]〜[4]のいずれかに記載のポリペプチド。
[6]
前記IGF−1前駆タンパク質及びFc領域がペプチドヒンジ領域によって分離している、上記[3]〜[5]のいずれかに記載のポリペプチド。
[7]
前記ペプチドヒンジ領域が、ペプチドヒンジ1(配列番号22)、ヒンジ2(配列番号23)及びヒンジ3(配列番号24)からなる群から選択される、上記[6]に記載のポリペプチド。
[8]
前記ヒトIGF−1タンパク質が、
a.アミノ酸E3が欠失し、
b.アミノ酸G42がセリンに変異し、かつ、
c.アミノ酸R37がアラニンに変異している
改変を含み、前記ヒトIGF−1タンパク質のアミノ酸の番号付けが配列番号1に対応する、上記[1]に記載のポリペプチド。
[9]
前記ポリペプチドが、E−ペプチドを含み、
a.アミノ酸E3、R71及びS72が欠失しており、
b.アミノ酸G42がセリンに変異しており、かつ、
c.アミノ酸R37がアラニンに変異しており、
前記ヒトIGF−1タンパク質のアミノ酸の番号付けが配列番号5に対応する、上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
[10]
前記ポリペプチドが、Eaペプチドを含み、
a.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、
b.アミノ酸G42がセリンに変異しており、かつ、
c.アミノ酸R36、R74、R77及びR104がグルタミンに変異しており、
d.アミノ酸R37がアラニンに変異している、
上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
[11]
前記ポリペプチドが、Eaペプチドを含み、
a.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71及びS72が欠失しており、
b.アミノ酸G42がセリンに変異しており、
c.アミノ酸R74、R77及びR104がグルタミンに変異しており、かつ、
d.アミノ酸R37がグルタミン酸に変異している、
上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
[12]
前記ポリペプチドが、Eaペプチドを含み、
e.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71、S72、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105が欠失しており、
f.アミノ酸G42がセリンに変異しており、かつ、
g.アミノ酸R36、R74及びR77がグルタミンに変異しており、かつ、
h.アミノ酸R37がアラニンに変異している、
上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
[13]
前記ポリペプチドが、Eaペプチドを含み、
e.アミノ酸G1、P2、E3、K68、S69、A70、R71、S72、G96、S97、A98、G99、N100、K101、N102、Y103、Q104及び/又はM105が欠失しており、
f.アミノ酸G42がセリンに変異しており、
g.アミノ酸R74及びR77がグルタミンに変異しており、かつ、
h.アミノ酸R37がグルタミン酸に変異している、
上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
[14]
前記IGF−1前駆タンパク質及び前記Fc領域がヒンジ1ペプチド(配列番号22)によって分離している、上記[10]に記載のポリペプチド。
[15]
前記IGF−1前駆タンパク質及び前記Fc領域がヒンジ3ペプチド(配列番号24)によって分離している、上記[11]に記載のポリペプチド。
[16]
前記Fc領域がFc受容体へのその結合を調節するように改変されている、上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
[17]
前記Fc領域が、
IV.Fc受容体に対するその親和性を低下させ、
V.ADCC活性を低下させ、又は
VI.ADCC活性を阻止する
ように改変されている、上記[16]に記載のポリペプチド。
[18]
配列番号8を含む、上記[10]に記載のポリペプチド。
[19]
配列番号9を含む、上記[10]に記載のポリペプチド。
[20]
配列番号10を含む、上記[12]に記載のポリペプチド。
[21]
配列番号11を含む、上記[12]に記載のポリペプチド。
[22]
配列番号12を含む、上記[11]に記載のポリペプチド。
[23]
配列番号13を含む、上記[11]に記載のポリペプチド。
[24]
配列番号14を含む、上記[13]に記載のポリペプチド。
[25]
配列番号118を含む、上記[9]に記載のポリペプチド。
[26]
前記ポリペプチドがグリコシル化されている、上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
[27]
上記[1]〜[25]のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸分子を含むポリヌクレオチド。
[28]
配列番号15に示されている核酸分子を含む、上記[27]に記載のポリヌクレオチド。
[29]
配列番号16に示されている核酸分子を含む、上記[27]に記載のポリヌクレオチド。
[30]
配列番号17に示されている核酸分子を含む、上記[27]に記載のポリヌクレオチド。
[31]
配列番号18に示されている核酸分子を含む、上記[27]に記載のポリヌクレオチド。
[32]
配列番号19に示されている核酸分子を含む、上記[27]に記載のポリヌクレオチド。
[33]
配列番号20に示されている核酸分子を含む、上記[27]に記載のポリヌクレオチド。
[34]
配列番号21に示されている核酸分子を含む、上記[27]に記載のポリヌクレオチド。
[35]
治療に使用するための、上記[1]〜[25]のいずれかに記載のポリペプチドを含む医薬組成物。
[36]
必要とする患者における筋障害を治療するための、上記[35]に記載の医薬組成物。
[37]
除脂肪体重の喪失及び/又は筋肉疲労を患っている熱傷患者を治療するための、上記[35]に記載の医薬組成物。
[38]
COPD患者を治療するための、上記[35]に記載の医薬組成物。
[39]
球脊髄性筋萎縮症(SBMA又はケネディ病)患者を治療するための、上記[35]に記載の医薬組成物。
[40]
慢性腎疾患患者を治療するための、上記[35]に記載の医薬組成物。
[41]
前記筋障害が筋萎縮である、上記[36]に記載の医薬組成物。
[42]
前記筋萎縮が、肥満関連サルコペニア、サルコペニア及び糖尿病関連筋萎縮からなる群から選択される、上記[41]に記載の医薬組成物。
[43]
必要とする患者における筋障害を治療する方法であって、治療有効量の上記項目のいずれかに記載のポリペプチドを対象に投与する工程を含む、方法。
[44]
除脂肪体重の喪失及び/又は筋肉疲労を患っている熱傷患者を治療する方法であって、治療有効量の上記項目のいずれかに記載のポリペプチドを対象に投与する工程を含む、方法。
[45]
慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者を治療する方法であって、治療有効量の上記項目のいずれかに記載のポリペプチドを対象に投与する工程を含む、方法。
[46]
球脊髄性筋萎縮症(SBMA又はケネディ病)患者を治療する方法であって、治療有効量の上記項目のいずれかに記載のポリペプチドを対象に投与する工程を含む、方法。
[47]
慢性腎疾患患者を治療する方法であって、治療有効量の上記項目のいずれかに記載のポリペプチドを対象に投与する工程を含む、方法。
[48]
前記筋障害が、肥満関連サルコペニア、サルコペニア及び糖尿病関連筋萎縮からなる群から選択される筋萎縮である、上記[43]に記載の方法。
[49]
前記42位におけるアミノ酸グリシンが欠失している、上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
[50]
前記ヒトIGF−1前駆タンパク質がペグ化されている、上記項目のいずれかに記載のポリペプチド。
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19-1】
図19-2】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]