(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記人物判定部は、前記撮影装置が撮影した前記撮影画像から、前記乗りかご内の前記乗客が荷物を持っているかどうかを判定し、前記乗客が荷物を持っている場合には前記乗客の特定を行わない
請求項1に記載のエレベーターの負荷検出調整装置。
前記人物判定部は、前記撮影装置により撮影された前記撮影画像を解析し、解析結果を前記演算部に出力し、前記演算部は、前記撮影画像の解析結果を元に、前記乗客が前記乗りかごの床板の中央部に乗っているか否かを判断し、前記乗客が前記乗りかごの床板の中央部に乗っていない場合には、前記最大積載時負荷検出値を算出する処理を行わない
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエレベーターの負荷検出調整装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、各図において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
<1.一実施形態>
[エレベーターの概要]
図1は、一実施形態に係るエレベーターの概要を示す図である。
図1において、エレベーター100は、建物構造物内に形成された昇降路1、利用者が乗車する乗りかご6、巻上機8a、釣合い錘10、巻上機8a及び反らせ車8bに巻きかけられ、乗りかご6と釣合い錘10を懸架する主ロープ7、エレベーター制御装置2を備える。
【0016】
昇降路1は、建築構造物内に形成され、その頂部には機械室1Aが設けられている。巻上機8aは、機械室1Aに配置され、不図示のモーターにより正転又は逆転し、主ロープ7を巻き掛けることにより乗りかご6を昇降させる。また、巻上機8aの近傍には、主ロープ7が装架される反らせ車8bが設けられている。また、巻上機8aには、不図示のモーターに直結しモーターの速度に比例するパルスを発生するエンコーダー9が設けられている。
【0017】
昇降路1は、複数階床用であって各乗り場には乗り場ドア13が設置されている。乗りかご6は、行き先階に応じて各階の停止位置を示す着床レベル14(乗り場)で停止し、乗りかごドア11及び着床した階の乗り場ドア13が開く。アナウンス装置12は、音声等により行き先階への乗りかご6の到着や乗りかごドア11の開閉状態などの情報を利用者に伝える。
【0018】
乗りかご6の天井裏には、画像認識装置3が設置され、乗りかご6内に設置されたかご内カメラ17と接続されている。画像認識装置3は、かご内カメラ17の撮影画像から利用者の検出及び認識を行う。
【0019】
乗りかご6の床下部の中央には、この乗りかご6に掛かる荷重、すなわち乗りかご6内の負荷を検出するためのかご内負荷検出装置4が取り付けられている。そして、画像認識装置3とかご内負荷検出装置4は、テールコード5を介して、エレベーター100の運行を制御するエレベーター制御装置2に接続されている。
【0020】
エレベーター制御装置2は、電話回線等を介して、エレベーター100の状態を監視する不図示の監視センターに接続している。監視センターは、エレベーター100に異常があれば、エレベーター100を停止、又はエレベーター100を減速して運転するなどの制御を行う。
【0021】
[エレベーターの負荷検出調整装置の制御系]
図2は、エレベーター100の制御系を示すブロック図である。
エレベーター100は、画像認識装置3、かご内負荷検出装置4、エレベーター制御装置2、アナウンス装置12、かご内カメラ17を備える。エレベーター制御装置2、画像認識装置3、及びかご内負荷検出装置4は、エレベーターの負荷検出調整装置90の構成要素の一例である。かご内負荷検出装置4は、一般にエレベーターの乗りかごの床下に設定されているかご内負荷検出装置を利用することができる。
【0022】
かご内負荷検出装置4は、かご内負荷検出部41を備えている。かご内負荷検出部41は、乗りかご6の床下部に取り付けられている不図示の弾性装置(例えば防振ゴム)のたわみ量等から、乗りかご6に乗り込んだ利用者や物体等の質量に基づく乗りかご6内の負荷に応じた出力データ(負荷検出値)を出力する。また、かご内負荷検出部41は、現在の乗りかご6の負荷検出値を、エレベーター制御装置2内の最大積載時負荷検出値演算部21に送信する。
【0023】
画像認識装置3は、人物判定部31と、個人情報データベース32を備えている。
人物判定部31は、かご内カメラ17(撮影装置の一例)が撮影した乗りかご6内の撮影画像を取得し、撮影画像から乗りかご6内に搭乗している乗客U(人物)を特定し、特定した人物の体重情報を個人情報データベース32から取得する。人物判定部31は、取得した体重情報を、最大積載時負荷検出値演算部21に送信する。
【0024】
また、人物判定部31は、かご内カメラ17が撮影した撮影画像に対してノイズ除去等の画像処理を実施する。また、人物判定部31は、画像処理を実施した撮影画像を解析し、解析結果を最大積載時負荷検出値演算部21に出力する。最大積載時負荷検出値演算部21において、人物判定部31から入力される撮影画像の解析結果を元に、乗客Uが乗りかごの床板の中央部に乗っているか否かが判断される。人物判定部31には、例えばデジタル信号の画像処理に特化したDSP(Digital Signal Processor)を用いてもよい。
【0025】
[個人情報データベース]
個人情報データベース32は、顔画像データベース33aと、体重情報データベース33bを備える。
【0026】
図3は、個人情報データベース32の一例を示す。
図3Aは顔画像データベース33aの一例であり、
図3Bは体重情報データベース33bの一例である。
顔画像データベース33aのレコードは、顔画像フィールドと、ID情報を有する(
図3A)。即ち顔画像データベース33aには、乗客Uの顔画像と、乗客UのID情報(個別識別情報の一例)が対応づけられて登録されている。
【0027】
体重情報データベース33bのレコードは、ID情報フィールドと、体重情報フィールドを有する(
図3B)。
図3Bの例では、IDが‘001’のとき体重が‘60kg’であり、IDが‘002’のとき体重が‘48kg’である。
【0028】
個人情報データベース32への情報の登録は、専門技術者が点検の際に携帯する保守コンソール18により行われる。また、個人情報データベース32への情報の登録に、乗りかご6内の図示しない操作盤や、呼びボタンの機能割り当てを変更して行われる暗号操作を利用してもよい。あるいは他の装置で予め個人情報データベース32を作成し、その個人情報データベース32を画像認識装置3の不図示の不揮発性の記録部に記録してもよい。また、登録される人物は、エレベーター100が設置された建物のオーナーや管理人、守衛、住居者など、頻繁にエレベーターを利用する人物が望ましい。
【0029】
人物判定部31は、かご内カメラ17の撮影画像(顔画像)を元に顔画像データベース33aを検索して乗りかご6内に搭乗している乗客U(ID情報)を特定する。そして、ID情報を元に体重情報データベース33bを検索して、特定した人物の体重情報を個人情報データベース32から抽出する。
【0030】
なお、顔画像データベース33aと体重情報データベース33bは一つのデータベースにまとまっていてもよい。また、個人情報データベース32は、少なくとも顔画像と体重情報が対応付けられていればよい。
【0031】
図2の説明に戻る。エレベーター制御装置2は、最大積載時負荷検出値演算部21と、最大積載時負荷検出値良否判定部22と、最大積載時負荷検出値補正部23と、最大積載時負荷検出値記録部24を備える。乗客Uが重い荷物を運搬していたり、同乗者が居たりする場合には、かご内負荷検出部41が出力する負荷検出値と、IDカードCに登録された体重情報との間に差異が発生する。このような場合に、エレベーター制御装置2の各部が協働して、その差異を補正する。
【0032】
最大積載時負荷検出値演算部21(演算部の一例)は、最大積載時の乗りかご6の負荷検出値に相当する最大積載時負荷検出値を算出する処理を行う。負荷検出調整が初調整である場合、最大積載時負荷検出値演算部21は、次の処理を実行する。初調整において、最大積載時負荷検出値演算部21は、かご内負荷検出部41から送信される現在の乗りかご6内の負荷検出値と、人物判定部31から送信される体重情報と、無負荷時にかご内負荷検出部41から送信される負荷検出値とから、最大積載時負荷検出値を演算する。そして、最大積載時負荷検出値演算部21は、最大積載時負荷検出値を求める際に用いた各データ(無負荷時の負荷検出値、現在の負荷検出値、体重情報)、及び最大積載時負荷検出値を、最大積載時負荷検出値記録部24に記録する。
【0033】
負荷検出調整が2回目以降の場合には、最大積載時負荷検出値演算部21は、かご内負荷検出部41から送信される現在の乗りかご6内の負荷検出値と、人物判定部31から送信される体重情報とから、最大積載時負荷検出値を演算する。そして、最大積載時負荷検出値演算部21は、この最大積載時負荷検出値を最大積載時負荷検出値良否判定部22に出力する。
【0034】
また、最大積載時負荷検出値演算部21は、体重情報を取得した場合に、アナウンス指令部25に対し、乗客Uが乗りかご6の中央部に乗ることを促すためのアナウンスを行うよう指示する。乗りかご6の床板の中央部とは、真に中央もしくは中央を含む所定領域である。かご内負荷検出装置4は、乗りかご6の床下部の中央に取り付けられる。そのため、アナウンスを行って乗客Uを乗りかご6内の床板の中央部に位置させることで、計測時の誤差を極力小さくし、最大積載時負荷検出値の調整精度を上げることができる。
【0035】
[負荷検出値と負荷量との関係例]
図4は、負荷検出値と負荷量との関係例を示すグラフである。この
図4を参照して、最大積載時負荷検出値を算出する方法を説明する。
【0036】
例えば初調整においては、専門技術者が乗りかご6内の図示しない操作盤の切換スイッチを操作し、負荷検出調整モードを確立したとき、動作が開始される。操作盤とエレベーター制御装置2とは、テールコード5を介して接続されている。専門技術者は乗りかご6から乗り場に降りて、乗りかご6内を無負荷状態にし、例えば図示しない乗り場ボタンを押す。この操作により、無負荷時におけるかご内負荷検出部41の負荷検出値D0が最大積載時負荷検出値演算部21に送信される。
【0037】
次に、専門技術者が乗りかご6に乗ると、かご内カメラ17が専門技術者を撮影する。人物判定部31は、撮影画像から乗りかご6内の人物が専門技術者であることを特定して、予め個人情報データベース32に登録された専門技術者の体重情報を取得する。人物判定部31は、個人情報データベース32から取得した負荷量W1の体重情報(
図4参照)を、最大積載時負荷検出値演算部21に送信する。またこのとき、かご内負荷検出部41は、現在の乗りかご6内の負荷検出値D1(
図4参照)を最大積載時負荷検出値演算部21に送信する。最大積載時負荷検出値演算部21は、無負荷時における負荷検出値D0、負荷量W1の体重情報、現在の乗りかご6内の負荷検出値D1をRAM53に記録する(
図5参照)。
【0038】
そして、最大積載時負荷検出値演算部21は、RAM53に記録されている無負荷時における負荷検出値D0、負荷量W1の体重情報、現在の乗りかご6内の負荷検出値D1を用いて、1次関数L(
図4参照)で表される最大積載時負荷検出値の計算式を算出する。負荷量を表す横軸をx、負荷検出値を表す縦軸をyとおくと、1次関数Lは次式(1)で表される。
【0039】
y={(D1−D0)/W1}x+D0 ・・・・(1)
【0040】
最大積載時負荷検出値演算部21は、1次関数Lを用いて、乗りかご6の最大積載量の100%である負荷量Wmaxのときにかご内負荷検出部41から送信されるべき最大積載時負荷検出値Dmax(
図4参照)を算出し、RAM53に記録する。そして、最大積載時負荷検出値演算部21は、無負荷時における負荷検出値D0、負荷量W1の体重情報、現在の乗りかご6内の負荷検出値D1、及び最大積載時負荷検出値Dmaxを、書き換え可能な不揮発性ストレージ57(
図5参照)等の不揮発性の記録部に記録する。
【0041】
なお、上述した初調整では、負荷量W1の体重情報を個人情報データベース32から取得するようにしたが、専門技術者が操作盤を操作して自身の体重を入力してもよい。あるいは、無負荷時における負荷検出値D0、負荷量W1、及び現在の乗りかご6内の負荷検出値D1から算出される計算式、並びに最大積載時負荷検出値Dmaxを、工場出荷時等の段階で予め算出しておいて、不揮発性ストレージ57等に記録しておいてもよい。また、工場出荷時等の段階では各データをROM52(
図5参照)に記録しておき、2回目以降の調整で算出したデータを不揮発性ストレージ57等に記録してもよい。
【0042】
2回目以降の調整においては、例えば専門技術者ではない乗客Uが乗りかご6に乗り、かご内カメラ17により撮影が行われることで、負荷検出調整モードが確立され、動作が開始される。人物判定部31は、撮影画像から乗りかご6内の人物が専門技術者であることを特定して、予め個人情報データベース32に登録された専門技術者の体重情報を取得する。人物判定部31は、個人情報データベース32から取得した負荷量W2(
図4参照)の体重情報を、最大積載時負荷検出値演算部21に送信する。またこのとき、かご内負荷検出部41は、現在の乗りかご6内の負荷検出値D2(
図4参照)を最大積載時負荷検出値演算部21に送信する。最大積載時負荷検出値演算部21は、負荷量W2の体重情報、現在の乗りかご6内の負荷検出値D2をRAM53に記録する(
図5参照)。
【0043】
そして、最大積載時負荷検出値演算部21は、RAM53に記録されている無負荷時における負荷検出値D0、負荷量W2の体重情報、現在の乗りかご6内の負荷検出値D2を用いて、1次関数L´(
図4参照)で表される最大積載時負荷検出値の計算式を算出する。1次関数L´は次式(2)で表される。
【0044】
y={(D2−D0)/W2}x+D0 ・・・・(1)
【0045】
最大積載時負荷検出値演算部21は、1次関数L´を用いて、乗りかご6の最大積載量の100%である負荷量Wmaxのときにかご内負荷検出部41から送信されるべき最大積載時負荷検出値Dmax´(
図4参照)を算出し、RAM53に記録する。そして、最大積載時負荷検出値演算部21は、この最大積載時負荷検出値Dmax´を、最大積載時負荷検出値良否判定部22に出力する。
【0046】
図2の説明に戻る。最大積載時負荷検出値良否判定部22(判定部の一例)は、最大積載時負荷検出値演算部21で演算された最大積載時負荷検出値と、記録部に登録(最後に記録)された最大積載時負荷検出値とを比較し、良否判定を行う。良否判定の基準は、例えば両者の差異(増減率)が規定値以内かどうかであり、差異が規定値を超えていれば「否」、差異が規定値以内に収まっていれば「良」とする。最大積載時負荷検出値良否判定部22は、良否判定の結果を、最大積載時負荷検出値補正部23に出力する。本実施形態では、規定値を±10%とするが、この例に限らない。
【0047】
最大積載時負荷検出値補正部23(補正部の一例)は、最大積載時負荷検出値良否判定部22の良否判定の結果が「否」であれば、最大積載時負荷検出値演算部21が今回演算した結果を正とし、最大積載時負荷検出値を補正する。一方、最大積載時負荷検出値補正部23は、最大積載時負荷検出値良否判定部22の良否判定の結果が「良」であれば、補正を実施しない。
【0048】
最大積載時負荷検出値記録部24(記録部の一例)は、最大積載時負荷検出値演算部21で算出された最大積載時負荷検出値、又は最大積載時負荷検出値良否判定部22で補正された最大積載時負荷検出値を記録する。最大積載時負荷検出値記録部24には、例えば不揮発性ストレージ57(
図5参照)又は図示しないEEPROMが適用される。この最大積載時負荷検出値記録部24には、最大積載時負荷検出値演算部21が現在の乗りかご6内の負荷検出値から最大積載時負荷検出値を求める際に用いる計算式(1次関数)が記録されている。
【0049】
アナウンス指令部25(出力部の一例)は、最大積載時負荷検出値演算部21が体重情報を取得した場合に、アナウンス装置12に対し、乗客Uが乗りかご6の床板の中央部に乗ることを促すためのアナウンスを行うよう指令を出す。
【0050】
アナウンス装置12は、アナウンス指令部25からの指令に基づき、音声等により乗客Uに乗りかご6の床板の中央部に乗るように報知する。アナウンス装置12は、例えば図示しない音声出力装置(スピーカー)と、図示しない液晶パネル等の表示装置とから構成される。アナウンス装置12は、音声出力装置を用いて音声出力を行うだけでなく、表示装置にメッセージを表示することができる。
【0051】
[計算機のハードウェア構成例]
次に、上述したエレベーター100のエレベーター制御装置2を構成する計算機のハードウェア構成を説明する。
【0052】
図5は、エレベーター制御装置2に用いられる計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。本実施形態では、人物判定部31についても計算機50と同様のハードウェア構成としている。ただし、各装置の機能、使用目的に合わせて計算機50の各部は取捨選択される。
【0053】
計算機50は、いわゆるコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機50は、バス54にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53を備える。さらに、計算機50は、表示部55、操作部56、不揮発性ストレージ57、ネットワークインターフェース58を備える。
【0054】
CPU51は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM52から読み出して実行する。即ち、CPU51がROM52から読み出したプログラムコードを実行することにより、エレベーター制御装置2の各機能が実現される。なお、計算機50は、CPU51の代わりに、MPU(Micro-Processing Unit)等の処理装置を備えるようにしてもよい。
【0055】
RAM53には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。表示部55は、例えば、液晶ディスプレイモニタであり、計算機50で行われる処理の結果等を表示する。操作部56には、例えば、キーボード、マウス等が用いられ、専門技術者又は乗客Uが所定の操作入力、指示を行うことが可能である。
【0056】
不揮発性ストレージ57としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等が用いられる。この不揮発性ストレージ57には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機50を機能させるためのプログラムが記録されている。ネットワークインターフェース58には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、LAN等のネットワークNを介して不図示の監視センター等との間で各種のデータを送受信することが可能である。
【0057】
不揮発性ストレージ57又は図示しないEEPEOMにより、
図2の最大積載時負荷検出値記録部24が実現される。
【0058】
[エレベーター制御装置の動作例]
図6は、一実施形態に係るエレベーターの負荷検出調整装置の動作例を示すフローチャートである。
図6を参照してエレベーターの負荷検出調整装置の動作について説明する。
【0059】
まず、最大積載時負荷検出値演算部21は、乗客Uが乗りかご6に乗車したか否かを判定する(S1)。乗客Uが乗りかご6に乗車したかどうかは、例えばかご内負荷検出部41の負荷検出値、又は人物判定部31によるかご内カメラ17の撮影画像の解析結果から判断できる。乗客Uが乗車していない場合(S1のNO)、最大積載時負荷検出値演算部21は、ステップS1の処理に戻り、乗客Uが乗りかご6に乗車するまで待機する。
【0060】
次に、ステップS1において乗客Uが乗りかご6に乗車した場合(S1のYES)、人物判定部31は、かご内カメラ17の撮影画像を解析して乗客Uが荷物を持っているかどうかを判定する(S2)。乗客Uが荷物を持っている場合には(S2のYES)、人物判定部31は、乗客Uの判定を行わず、ステップS1に戻る。
【0061】
例えば、誤差10%を規定値として最大積載時負荷検出値の補正をするか否か判断する場合に、乗客Uの服装や荷物によっては、実際の乗客Uの体重(服装、荷物を含む)と登録している体重情報との間で10%以上の誤差が生じる可能性がある。例えば体重60kgの人物が6kg以上の荷物を持っているような場合が、それに該当する。よって、人物判定部31が、乗客Uが荷物を持っていることを検知した場合には、乗客Uの判定即ち補正処理を行わないことで、負荷検出値の調整精度が一定レベル以上に維持される。なお、乗客Uの服装の違いや、荷物の有無については、例えば予め特定の服装を来た乗客Uや、荷物を持った乗客Uの画像データのモデルを個人情報データベース32等に保存しておき、人物判定部31が、撮影画像と、当該モデルとの類似度に基づいて判断すればよい。
【0062】
次に、ステップS2において乗客Uが荷物を持っていない場合には(S2のNO)、人物判定部31は、かご内カメラ17の撮影画像を解析して乗りかご6内に搭乗している人物を判定する(S3)。
【0063】
次に、人物判定部31は、個人情報データベース32(体重情報データベース33b)に乗客Uの体重情報があるか否かを判定する(S4)。個人情報データベース32に乗客Uの体重情報がない場合(S4のNO)、人物判定部31は、ステップS1の処理に戻る。
【0064】
次に、ステップS4において個人情報データベース32に乗客Uの体重情報がある場合(S4のYES)、人物判定部31は、取得した乗客Uの体重情報(
図4の負荷量W2)をエレベーター制御装置2の最大積載時負荷検出値演算部21へ送信する(S5)。
【0065】
次に、最大積載時負荷検出値演算部21は、人物判定部31から乗客Uの体重情報が送信されると、アナウンス指令部25に対し乗客Uに向けてアナウンスを行うよう指示する。アナウンス指令部25は、アナウンス装置12に対し、乗客Uが乗りかご6の床板の中央部に乗ることを促すためのアナウンスを行うよう指令を出す。アナウンス装置12は、例えば「エレベーターの中央にお乗りください」と音声出力する(S6)。さらに、この音声出力とともに、表示装置に「エレベーターの中央にお乗りください」というメッセージを表示してもよい。
【0066】
次に、人物判定部31は、かご内カメラ17から入力された画像処理後の撮影画像を解析し、乗客Uが乗りかご6の床板の中央部に乗っているか否かを判断する(S7)。このとき、乗客Uが乗りかご6の床板の中央部に乗っていない、あるいは規定の時間が経過しても乗客Uが乗りかご6の床板の中央部へ移動しない場合には(S8のNO)、最大積載時負荷検出値演算部21は演算を停止し、ステップS1の処理に戻って再度IDカードCがIDカード読取機16にかざされるまで待機する。
【0067】
次に、ステップS6において乗客Uが乗りかご6の床板の中央部に乗っている場合(S7のYES)、最大積載時負荷検出値演算部21は、かご内負荷検出装置4のかご内負荷検出部41から乗りかご6内の負荷検出値(
図4の負荷検出値D2)を取得する(S7)。
【0068】
次に、最大積載時負荷検出値演算部21は、人物判定部31から送信される体重情報と、かご内負荷検出部41から送信される現在の乗りかご6内の負荷検出値とから、最大積載時負荷検出値(Dmax´)を演算する(S9)。演算された最大積載時負荷検出値(Dmax´)は、最大積載時負荷検出値良否判定部22へ出力される。
【0069】
次に、最大積載時負荷検出値良否判定部22は、最大積載時負荷検出値演算部21から入力された最大積載時負荷検出値(Dmax´)と、不揮発性ストレージ57に登録(最後に記録)された最大積載時負荷検出値(Dmax)とを比較する。そして、最大積載時負荷検出値良否判定部22は、算出した最大積載時負荷検出値(Dmax´)と、登録された最大積載時負荷検出値(Dmax)との誤差が±10%以上であるか否かを判定する(S10)。良否判定の結果は、最大積載時負荷検出値補正部23へ出力される。
【0070】
次に、ステップS10において両者の誤差が±10%以上(良否判定の結果は「否」)である場合には(S10のYES)、最大積載時負荷検出値補正部23は、算出した最大積載時負荷検出値(Dmax´)を正として補正処理を実施する(S11)。一例として最大積載時負荷検出値補正部23は、最大積載時負荷検出値記録部24に登録されている最大積載時負荷検出値(Dmax)を、今回算出した最大積載時負荷検出値(Dmax´)に置き換え、新たな最大積載時負荷検出値(Dmax´)として登録する。あるいは、最大積載時負荷検出値(Dmax)と最大積載時負荷検出値(Dmax´)の平均値を計算し、新たな最大積載時負荷検出値として登録してもよい。ステップS10の処理が終了後、本フローチャートが終了する。
【0071】
一方、両者の誤差が±10%未満(良否判定の結果は「良」)である場合には(S10のNO)、最大積載時負荷検出値補正部23は、最大積載時負荷検出値演算部21が今回演算した結果を正とし、補正を実施しない。最大積載時負荷検出値演算部21は、ステップS1の処理に戻り、再度IDカードCがIDカード読取機16にかざされるまで待機する。
【0072】
[一実施形態の効果]
上述のように構成される一実施形態によれば、人物判定部31がかご内カメラ17の撮影画像から乗客Uを特定し、個人情報データベース32を検索して乗客Uの体重情報を取得する。次に、人物判定部31が取得した体重情報(負荷量W2)と、かご内負荷検出部41が検出した現在の乗りかご6内の負荷検出値(D2)とを用いて、最大積載時負荷検出値演算部21が最大積載時負荷検出値(Dmax´)を算出する。次に、最大積載時負荷検出値良否判定部22は、算出した最大積載時負荷検出値(Dmax´)と、最大積載時負荷検出値記録部24が記録している最後に登録された最大積載時負荷検出値(Dmax)を比較する。そして、誤差が規定値を超えた場合に、最大積載時負荷検出値補正部23が、最後に登録された最大積載時負荷検出値(Dmax)を補正する(例えば最大積載時負荷検出値(Dmax´)に置き換える)。
【0073】
このように、エレベーター100のかご内カメラ17の撮影画像から乗客Uを特定して取得した乗客Uの体重情報を利用して最大積載時の負荷検出値の調整が可能となるので、専門技術者が対象のエレベーター100まで直接出向かなくてもよい。したがって、エレベーター100の最大積載時の負荷検出値の調整頻度を上げることができる。
【0074】
また、専門技術者による特別な操作を行うことなく、最大積載時負荷検出値の調整が可能となり、専門技術者の作業量を低減させることができる。
【0075】
<2.その他>
なお、上述した一実施形態において、体重情報データベース33bに情報を登録してから期間が経過するほど、人間の体重も変化する可能性がある。したがって、所定の期間ごとに体重情報を更新することが望ましい。最大積載時負荷検出値演算部21は、取得した体重情報が、所定の期間以上更新されていないときは、該当体重情報を用いて最大積載時負荷検出値を算出しないとしてもよい。あるいは、最大積載時負荷検出値演算部21は、所定の期間以上、体重情報の更新がされていないときには、アナウンス装置12により乗客Uに体重情報の更新をお願いするアナウンスをしてもよい。
【0076】
図7は、体重情報データベースの他の例である。
体重情報データベース33b1のレコードは、ID情報フィールド、体重情報フィールド、及び登録日フィールドを有する。
図7の例では、ID‘001’の体重‘60kg’は、2015年10月30日に登録され、ID‘002’の体重‘48kg’は、2015年2月28日に登録されている。例えば更新目安とする所定の期間が3ヶ月であり、調整日の日付が2015年11月15日であると仮定すると、ID‘002’の体重情報は約8か月以上前の古い情報である。このような古い体重情報は、負荷検出値の調整に利用しないようにすることで、負荷検出値の調整精度が一定レベル以上に維持される。
【0077】
一方で、所定の期間以上更新されていない体重情報を使用して負荷検出値の調整を行う必要がある場合には、良否判定時の誤差の幅を狭めるようにする。例えば上述した各実施形態おいて、良否判定時の誤差の規定値を±10%から±5%の幅を狭める。このようにすることで、正確性が担保されていない体重情報を使用した場合に、負荷検出値の調整精度が一定レベル以上に維持される。
【0078】
また、
図2の顔画像データベース33aに登録された顔画像についても、乗客Uの顔画像を登録してから期間が経過すると老化等により、乗客Uの顔の人相が変化する可能性がある。したがって、所定の期間ごとに顔画像を更新するとよい。
【0079】
また、上述した一実施形態において、画像認識による乗りかご6内の人物特定の精度を上げるために、「所定の人物のエレベーター使用時間帯」の情報を、人物判定部31による人物特定時に用いてもよい。あるいは、「所定の服装(色、模様、パターン等)」、「所定の荷物」などの情報を用いてもよい。例えば、ビルのオーナーはいつもスーツを着用している、エレベーター100が設置された建物構造物の作業員はいつも同じ作業服や作業用道具を持っている、といった場合に上記情報が有効である。
【0080】
また、上述した一実施形態において、体重情報データベース33bは「同一人物の体重情報について、荷物を持っていると判定したときに用いる体重情報と、荷物が少ない又は持っていないと判定したときに用いる体重情報」を持つようにしてもよい。人物判定部31は、撮像画像から乗客Uが所持する荷物の有無又は荷物の多少を判定し、いずれかの体重情報を選択し、選択した体重情報を最大積載時負荷検出値演算部21に送信する。これにより、乗客Uが所持する荷物の有無や多少に応じて、乗りかご6内の乗客Uの体重(負荷)に近い適切な体重情報を用いた補正処理が行われる。
【0081】
また、上述した一実施形態において、体重情報のサンプル数を増やし、登録されている最大積載時負荷検出値の良否判定を行うことで、調整精度を向上させることが可能である。例えば画像認識装置3で10人分の顔画像を判定して10個の体重情報を取得し、最大積載時負荷検出値の良否判定ですべて「否」であれば、算出した最大積載時負荷検出値の中央値を補正値とする。
【0082】
さらに、本発明は上述した各実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0083】
例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0084】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0085】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0086】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。